【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。
【0033】
[製造例1]大豆油(脱酸油、脱色油、脱臭油)の製造方法
大豆抽出原油に、該大豆抽出原油に対して0.1質量%のリン酸を添加した後、リン酸と遊離脂肪酸とを中和するのに必要な量の1.1倍量の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加し、遠心分離によりガム質と石けんとを除去して、一次脱酸油を得た。次いで、該一次脱酸油に対して0.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加した後、遠心分離によりガム質と石けんとを更に除去し、温水にて洗浄して脱酸油を得た。そして、該脱酸油に対して1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去して脱色油を得た。そして、該脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、脱臭油を得た。
【0034】
[製造例2]パームオレイン油(RBD、脱色油、脱臭油)の製造方法
パームの原油に対して脱ガム処理、脱色処理を施した後、530パスカルの真空下、210℃で90分水蒸気を約3%吹き込み(脱酸・脱臭処理)、得られた油を分別し、RBDパームオレイン油を得た。次いで、該RBDパームオレイン油に対して1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去して脱色油を得た。そして、該脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、脱臭油を得た。
【0035】
[製造例3]菜種油(脱酸油、脱色油、脱臭油)の製造方法
菜種圧抽原油に、該菜種圧抽原油に対して0.1質量%のリン酸を添加した後、リン酸と遊離脂肪酸とを中和するのに必要な量の1.1倍量の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加し、遠心分離によりガム質と石けんとを除去して、一次脱酸油を得た。次いで、該一次脱酸油に対して0.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加した後、遠心分離によりガム質と石けんとを更に除去し、温水にて洗浄して脱酸油を得た。そして、該脱酸油に対して1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去して脱色油を得た。そして、該脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、脱臭油を得た。
【0036】
[実施例1]調合油:大豆油(脱酸油)+パームオレイン油(RBD)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱酸油)900gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(RBD,ヨウ素価:68)600gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去し(脱色処理)、得られた脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、実施例1の食用油を得た。
【0037】
[実施例2]調合油:大豆油(脱色油)+パームオレイン油(脱色油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱色油)720gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(脱色油,ヨウ素価:68)480gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、実施例2の食用油を得た。
【0038】
[実施例3]調合油:大豆油(脱酸油)+菜種油(脱酸油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱酸油)900gと製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱酸油)600gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、実施例1と同等の方法により脱色・脱臭処理を行い、実施例3の食用油を得た。
【0039】
[実施例4]調合油:大豆油(脱色油)+菜種油(脱色油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱色油)720gと製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱色油)480gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、実施例2と同等の方法により脱臭処理を行い、実施例4の食用油を得た。
【0040】
[実施例5]調合油:菜種油(脱酸油)+パームオレイン油(RBD)
製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱酸油)900gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(RBD,ヨウ素価:68)600gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、実施例1と同等の方法により脱色・脱臭処理を行い、実施例5の食用油を得た。
【0041】
[実施例6]調合油:菜種油(脱色油)+パームオレイン油(脱色油)
製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱色油)720gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(脱色油,ヨウ素価:68)480gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、実施例2と同等の方法により脱臭処理を行い、実施例6の食用油を得た。
【0042】
[比較例1]調合油:大豆油(原油)+パームオレイン油(RBD)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(原油)1200gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(RBD,ヨウ素価:68)800gとを混合し、得られた調合油に対して0.1質量%のリン酸を添加した後、リン酸と遊離脂肪酸とを中和するのに必要な量の1.1倍量の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加し、遠心分離によりガム質と石けんとを除去して、一次脱酸油を得た。次いで、該一次脱酸油に対して0.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加した後、遠心分離によりガム質と石けんとを更に除去し(脱酸処理)、温水にて洗浄して脱酸油を得た。そして、該脱酸油に対して1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去し(脱色処理)、脱色油を得た。そして、該脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、比較例1の食用油を得た。
【0043】
[比較例2]調合油:大豆油(脱臭油)+パームオレイン油(脱臭油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱臭油)600gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(脱臭油,ヨウ素価:68)400gとを混合し、比較例2の食用油を得た。
【0044】
[比較例3]調合油:大豆油(原油)+菜種油(原油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(原油)1200gと製造例3に記載の方法により製造した菜種油(原油)800gとを混合し、得られた調合油に対して、比較例1と同等の方法により、脱酸・脱色・脱臭処理を行い、比較例3の食用油を得た。
【0045】
[比較例4]調合油:大豆油(脱臭油)+菜種油(脱臭油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱臭油)600gと製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱臭油)400gとを混合し、比較例4の食用油を得た。
【0046】
[比較例5]調合油:菜種油(原油)+パームオレイン油(RBD)
製造例3に記載の方法により製造した菜種油(原油)1200gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(RBD,ヨウ素価:68)800gとを混合し、得られた調合油に対して、比較例1と同等の方法により、脱酸・脱色・脱臭処理を行い、比較例5の食用油を得た。
【0047】
[比較例6]調合油:菜種油(脱臭油)+パームオレイン油(脱臭油)
製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱臭油)600gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(脱臭油,ヨウ素価:68)400gとを混合し、比較例6の食用油を得た。
【0048】
[曝光処理]
上記の食用油(実施例1〜6及び比較例1〜16)について、曝光処理を行った。上記の食用油の新油200gを500mL共詮つき三角フラスコに入れ、蛍光灯(強度:7000lux)の光を40時間照射し、曝光油を得た。
【0049】
[食用油の評価:風味及び臭気]
上記の食用油(実施例1〜6及び比較例1〜6)について、風味及び臭気の評価を行った。評価は、10名の専門パネラーが常温状態の食用油を1〜2ml程度、口に含み、表1に示す評価基準(1〜5の5段階評価)に従い、行った。そして、パネラー全員の評価点数の平均値を算出し、小数点第2位を四捨五入して評価点とした。評価結果を表2〜4に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
大豆油(脱酸油)とパームオレイン油(RBD)との調合油を脱臭処理したもの(実施例1)は、大豆油(脱臭油)とパームオレイン油(脱臭油)との調合油(比較例2)に比して、生風味、加熱臭ともに良好な結果を示した。この傾向は、新油、曝光油ともに認められた。また、大豆油(脱色油)とパームオレイン油(脱色油)との調合油を脱臭処理したもの(実施例2)についても、実施例1と同様の結果を示した。しかしながら、大豆油(原油)とパームオレイン油(RBD)との調合油を脱臭処理したもの(比較例1)は、比較例2と変わらない結果を示した。
【0053】
【表3】
【0054】
大豆油(脱酸油)と菜種油(脱酸油)との調合油を脱臭処理したもの(実施例3)は、大豆油(脱臭油)と菜種油(脱臭油)との調合油(比較例4)に比して、生風味、加熱臭ともに良好な結果を示した。また、大豆油(脱色油)と菜種油(脱色油)との調合油を脱臭処理したもの(実施例4)についても、実施例3と同様の結果を示した。しかしながら、脱酸処理の工程を経ていない大豆油(原油)と菜種油(原油)との調合油を脱臭処理したもの(比較例3)は、比較例4と変わらない結果を示した。
【0055】
【表4】
【0056】
菜種油(脱酸油)とパームオレイン油(RBD)との調合油を脱臭処理したもの(実施例5)は、菜種油(脱臭油)とパームオレイン油(脱臭油)との調合油(比較例6)に比して、生風味、加熱臭ともに良好な結果を示した。また、菜種油(脱色油)とパームオレイン油(脱色油)との調合油を脱臭処理したもの(実施例6)についても、実施例5と同様の結果を示した。しかしながら、菜種油(原油)とパームオレイン油(RBD)との調合油を脱臭処理したもの(比較例5)は、比較例6と変わらない結果を示した。
【0057】
表2〜4の結果より、脱酸処理の工程を経た油脂を混合して調合油とした後、脱臭処理することにより、脱臭処理した油脂を調合するよりも、風味の良い調合油が得られることが分かった。
【0058】
[食用油の評価:臭気強度]
上記の食用油(実施例1,2及び比較例1,2)について、臭気強度の評価を行った。上記の食用油1gを密閉容器に入れ、150℃にて5分間インキュベートし、容器内のヘッドスペース中の揮発性物質量を、ニオイセンサー(製品名:ELECTRONIC NOSE SYSTEM,Alpha Mos社製)により測定した。そして、実施例1,2,比較例1の評価値は、対照品である比較例2〜4の測定値を1としたときの相対値で表した。なお、相対値は小数点第3位を四捨五入した。評価結果を表5に示す。
【0059】
【表5】