特許第5691211号(P5691211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5691211
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】燃焼排ガスの処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/50 20060101AFI20150312BHJP
   B01D 53/81 20060101ALI20150312BHJP
   B01D 53/34 20060101ALI20150312BHJP
   B01D 53/68 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B01D53/34 124Z
   B01D53/34ZAB
   B01D53/34 134A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-69268(P2010-69268)
(22)【出願日】2010年3月25日
(65)【公開番号】特開2011-200777(P2011-200777A)
(43)【公開日】2011年10月13日
【審査請求日】2013年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】益子 光博
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−218128(JP,A)
【文献】 特開2002−211763(JP,A)
【文献】 特開2003−200020(JP,A)
【文献】 特開2002−263441(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/135823(WO,A1)
【文献】 特開2003−181239(JP,A)
【文献】 特開平11−300157(JP,A)
【文献】 特開平10−216470(JP,A)
【文献】 特開2001−204561(JP,A)
【文献】 特開2005−081192(JP,A)
【文献】 特開2003−118792(JP,A)
【文献】 特開昭64−045287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/50
B01D 53/34
B01D 53/68
B01D 53/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性ガスを含有した燃焼排ガスに消石灰と炭酸含有アルカリ化合物との粉体配合品を噴霧し処理する方法において、
該炭酸含有アルカリ化合物が炭酸水素ナトリウムを含み、該粉体配合品に含まれる消石灰の配合比率が消石灰と炭酸含有アルカリ化合物の合計重量に対し5〜30%であり、
該粉体配合品を収容するホッパ内の湿度に基づいてホッパ内に供給する乾燥空気量を調整し、ホッパ内の湿度を所定値以下に調整することを特徴とする燃焼排ガスの処理方法。
【請求項2】
請求項1において、該粉体配合品の平均粒子径が5〜30μmであることを特徴とする燃焼排ガスの処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、該粉体配合品を収容するホッパ内の湿度を検知し、この湿度が設定値を超えた場合、警報を発生させることを特徴とする燃焼排ガスの処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ホッパ内の湿度を相対湿度として40%以下に管理することを特徴とする燃焼排ガスの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみ廃棄物焼却炉、産業廃棄物焼却炉、発電ボイラ、炭化炉、民間工場等の燃焼施設において発生する有害な塩化水素や硫黄酸化物等の酸性ガスや飛灰中の重金属などを処理する方法に係り、特に排ガス中の硫黄酸化物を安定して処理することができる燃焼排ガスの処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に有害な塩化水素や硫黄酸化物を含む排ガス並びに集塵機で除塵された飛灰は、特開平9−99215に記載されているように、排ガス中の酸性ガスは消石灰で処理され、飛灰は、セメント、キレート剤、リン酸等の重金属固定剤で有害なPb等重金属を不要化し、埋立処分される。ところが、消石灰は、硫黄酸化物との反応が遅く、硫黄酸化物の少ない都市ごみ焼却炉のような排ガスは処理できるが、例えば硫黄酸化物の発生が多く、変動が激しい産業廃棄物焼却炉や民間工場の排ガスは、比表面積を増加させた高反応消石灰においても硫黄酸化物を安定的に処理することができない。
【0003】
また、硫黄酸化物を安定して処理する方法として特開平11−101416(特許文献1)、特開2000−218128(特許文献2)には炭酸水素ナトリウム(重曹)を排ガスに添加する方法が記載されている。特許文献2の0029段落には、炭酸水素ナトリウムと消石灰とを併用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−101416号公報
【特許文献2】特開2000−218128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重曹は消石灰に比べて価格が高く、処理費用の負担が重い。また、重曹で酸性ガスを処理した場合、飛灰の重金属処理において、Pb、Asの重金属処理が難しくなる課題がある。
【0006】
消石灰と重曹を燃焼排ガスに噴霧することにより、酸性ガス並びに飛灰重金属の安定処理が可能である。しかしながら、消石灰と重曹などの炭酸含有アルカリ化合物は水の存在下で反応し、ホッパにおいて薬障、発熱トラブルを引き起こす。
【0007】
本発明は、消石灰と重曹などの炭酸含有アルカリ化合物の配合比率を調整することにより取扱い上安全なものとした燃焼排ガスの処理剤を用いた燃焼排ガスの処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の燃焼排ガスの処理方法は、酸性ガスを含有した燃焼排ガスに消石灰と炭酸含有アルカリ化合物との粉体配合品を噴霧し処理する方法において、該炭酸含有アルカリ化合物が炭酸水素ナトリウムを含み、該粉体配合品に含まれる消石灰の配合比率が消石灰と炭酸含有アルカリ化合物の合計重量に対し5〜30%であり、該粉体配合品を収容するホッパ内の湿度に基づいてホッパ内に供給する乾燥空気量を調整し、ホッパ内の湿度を所定値以下に調整することを特徴とするものである。
【0010】
請求項の燃焼排ガスの処理方法は、請求項1において、該粉体配合品の平均粒子径が5〜30μmであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項の燃焼排ガスの処理方法は、請求項1又は2において、該粉体配合品を収容するホッパ内の湿度を検知し、この湿度が設定値を超えた場合、警報を発生させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明で用いる燃焼排ガス処理剤は、消石灰と炭酸含有アルカリ化合物とを含んでおり、燃焼排ガス中の酸性ガス及び飛灰重金属を安定して処理することができる。本発明では消石灰を消石灰と炭酸含有アルカリ化合物との合計の10〜30%と比較的少量としているので、ホッパ等における消石灰と炭酸含有アルカリ化合物との反応が防止ないし抑制される。この炭酸含有アルカリ化合物としては、炭酸水素ナトリウム(重曹)が好適である。
【0017】
粉体配合品の平均粒子径を5〜30μmと小さくすることにより、排ガスや飛灰重金属との反応性が高いものとなる。
【0018】
本発明では、ホッパ内における水分と薬剤との反応を防止するためにホッパ内の湿度を検知し、この湿度が設定値よりも高くなったときには警報を発生させることが好ましい。また、ホッパ内に供給する乾燥空気量を調整してホッパ内の湿度を所定値以下に調整する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ホッパの概略構成図である。
図2】燃焼排ガスの流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0021】
本発明では、都市ごみ廃棄物焼却炉、産業廃棄物焼却炉、発電ボイラ、炭化炉、民間工場等の燃焼施設において発生する燃焼排ガスに対し消石灰及び炭酸含有アルカリ金属化合物を含有した粉体配合品を好ましくは噴霧により添加する。粉体配合品の噴霧位置は、バグフィルタ、電気集塵機などの集塵機よりも上流側とする。粉体配合品の添加量は、粉体配合品添加前の燃焼排ガス又は集塵機よりも下流側のガス中の硫黄酸化物及び/又は塩化水素濃度を計測し、この計測値に応じて制御されるのが好ましい。炭酸含有アルカリ化合物が炭酸水素ナトリウム(重曹)である場合、通常は上記燃焼施設にて発生する主要な酸性ガスであるHCl、SOの合算量に対し、炭酸含有アルカリ化合物が0.5〜3当量、特に0.7〜1.5当量程度となるように粉体配合品を添加するのが好ましい。
【0022】
炭酸含有アルカリ化合物としては、炭酸を含有するアルカリ物質であれば良く、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダが例示できる。中でも炭酸水素ナトリウムが好適である。
【0023】
消石灰及び炭酸含有アルカリ化合物は、硫黄酸化物や塩化水素などの酸性ガスとの反応性を高くするために、平均粒子径d50が30μm以下、特に5〜30μmとりわけ7〜20μmの微粉であることが好ましい。この炭酸含有アルカリ化合物は、粒径を調整した剤を消石灰に添加しても良いし、消石灰の粉砕設備に粒径の粗い(例えば100〜200μm程度の)炭酸含有アルカリ化合物を添加しても良い。
【0024】
消石灰としては、比表面積が高い例えばBET比表面積が30m/g以上例えば30〜70m/gとりわけ35〜60m/gのものが好適である。高比表面積の消石灰は、酸性ガスとの反応性が高く、より効率的で安定した処理が可能となる。ただし、消石灰の比表面積は上記以外であってもよい。
【0025】
燃焼排ガスに対して消石灰を含む粉体配合品を添加することにより、前述の通り、飛灰又は溶出液中の炭酸が炭酸カルシウムとして固定され、PbCO、PbCO・PbOなどの可溶性鉛化合物の生成が抑制され、鉛の溶出が防止される。
【0026】
本発明においては、消石灰の配合比率が消石灰と炭酸含有アルカリ化合物の合計重量に対し5%以上、特に10%以上とすることにより、飛灰からの鉛やヒ素等の重金属溶出が減少する。また、消石灰比率を30%以下、特に25%以下とすることにより、取扱い上安全な製品となる。
【0027】
消石灰と重曹は水の存在下で下記反応式に従って速やかに反応し、水酸化ナトリウムが生成する。
【0028】
Ca(OH)+NaHCO→CaCO3↓+Na+OH+H
これに対し、消石灰と炭酸含有アルカリ化合物配合品中の炭酸含有アルカリ化合物の比率を高くし、水溶解時に炭酸イオン又は重炭酸イオンが存在する環境にすることにより、下記反応式のように水酸化ナトリウムの生成を防止することができる。
【0029】
Ca(OH)+2NaHCO→CaCO+2Na+OH+HO+HCO
→CaCO+2Na+CO2−+2H
なお、粉体配合品中における消石灰配合比率が30%を超える場合、配合品のpHは、13〜14となる。消石灰単独のpH13.2を超える挙動からも水酸化ナトリウムの生成が示唆される。これに対し、消石灰の配合比率を30%以下とした場合には、pHは9.0〜10.5と取扱い上問題のないpHとなる。
【0030】
本発明は、粉体配合品にダイオキシン処理用の活性炭や、バグフィルターを保護する珪藻土等の濾過助剤を配合しても良い。これらの薬剤を配合する際には、配合した剤を除き、消石灰と炭酸含有アルカリ化合物の配合比率を上記比率に調整すれば良い。これらの剤の添加量を、測定したHClやSOx濃度に連動して制御してもよい。
【0031】
前述の通り、消石灰と炭酸含有アルカリ化合物との反応は、発熱反応である。この粉体配合品は、通常、2〜20tと大量に貯留される。炭酸含有アルカリ化合物が重炭酸塩の場合、貯留ホッパに水が入り込んで反応が生じると、反応過程で新たな水を生じるため、大量の熱が発生する。従って、本剤の保管にはホッパ内の湿度管理が重要である。ホッパ内の湿度は低いほど良いが、相対湿度として40%以下、特に30%以下に管理することが好ましい。また、ホッパに空気を吹き込む場合、通常冷凍式のドライヤを設置することが多い。しかしながら、上記発熱トラブルを発生する可能性がある消石灰と重曹の配合品を保管する際には、水分を極低濃度まで除去できる膜式ドライヤを設置するのが好ましい。特に、冷凍式ドライヤで乾燥した後、膜式ドライヤで乾燥する場合、冷凍式ドライヤの故障、メンテナンス不良で後段に水分が流入した際も膜式ドライヤで乾燥できるため、管理上より安全な設備となる。また、ホッパ内湿度を測定し、規定値以上の湿度を検出した場合、警報等で知らせることにより、事前にトラブル発生を防止する対策を検討でき、安全対策として有効な手段である。
【0032】
第1図は、この空気乾燥機構を備えたホッパの一例を示す概略構成図である。ホッパ1の下部にエア搬送式切出装置2が設けられており、ブロワ3から供給される空気によって粉体配合品が切り出され、煙道に噴霧添加される。ホッパ1の上部に湿度センサ4が設けられており、その検出値がコントローラ5に入力される。この湿度データに基づいて、空気流量調節弁9の開度が調整され、ホッパ1内への乾燥空気供給量が制御される。なお、空気は、ブロワ6からの空気が、冷凍式ドライヤ7及び膜式ドライヤ8によって乾燥され、ホッパ1の下部に吹き込まれる。ホッパ1の頂部には、空気の逃し部11が設けられており、この逃し部11にはバグフィルタ等が設けられている。
【0033】
ホッパ1の下部にはバイブレータ10が設けられている。このバイブレータ10は、コントローラ5によって制御される。湿度データ等の運転状況は通信回線によって中央制御室に送信される。
【0034】
第2図は、本発明方法が適用された焼却炉設備の排ガス処理フロー図である。
【0035】
焼却炉20からの燃焼排ガスが廃熱ボイラ21、ガス冷却塔22及び煙道23を介してバグフィルタ24に導入される。この煙道23に対し本発明の粉体配合品が噴霧添加される。バグフィルタ24で除塵されたガスは煙突へ送られる。バグフィルタ24で捕集された飛灰は、飛灰処理設備で処理され、処理灰とされる。
【0036】
本発明では、捕集した飛灰に対しリン酸化合物及び/又は有機キレートなどの重金属固定剤を添加することにより、重金属の溶出量をさらに低減することができる。なお、リン酸化合物を飛灰に添加すると、クロロピロモルファイトを形成し、重金属が鉱物の形態で長期固定化される。リン酸化合物としては、水溶性のリン酸もしくはリン酸塩が好適である。その形態は粉体でも、水溶液でも良い。リン酸としては、正リン酸(オルソリン酸)、ポリリン酸、メタリン酸、次リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、過リン酸が例示される。リン酸塩としては、第一リン酸ソーダ、第二リン酸ソーダ、第三リン酸ソーダ、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第一リン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、過燐酸石灰、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムなどが例示される。これらの中でも、特に正リン酸、第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩は良好な重金属固定効果を示す。なお、正リン酸等は、酸度が高く、配管への腐食の懸念があるため、リン酸塩の水溶液や水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を混合し、pHを3以上にして適用するようにしてもよい。
【0037】
有機キレート化合物としては、ピペラジンジチオカルバミン酸又はその塩、ジエチルジチオカルバミン酸又はその塩、ジメチルジチオカルバミン酸又はその塩、ジブチルジチオカルバミン酸又はその塩等が例示される。また、上記有機キレート化合物の塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。
【0038】
飛灰中のアルカリ残分が多い場合、安価な塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩酸、硫酸バンド等の中和剤を飛灰に添加しても良い。また、六価クロム、砒素、セレン、水銀等が溶出する場合には、これらの溶出を抑制するために、鉄系化合物の添加が有効である。鉄系化合物としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄、鉄粉などが例示され、塩化第一鉄が最も好ましい。
【0039】
飛灰の固化処理を行う際には、固化剤として焼き石膏、ポルトランドセメント、早強セメント、ジェットセメント、高炉セメント、アルミナセメント等のセメント類を添加しても良い。
【実施例】
【0040】
以下に試験例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
[試験例1,消石灰、重曹配合品のpH]
JIS特号消石灰(平均粒子径8μm、BET比表面積16m/g)と微粉重曹(平均粒子径9μm,栗田工業製ハイパーサーB−200)を表1に示す所定の割合で混合した後、前記配合品が10%となるよう純水を加え、pHを測定した。また、同様に高反応消石灰(平均粒子径8μm、BET比表面積37m/g)と前記微粉重曹を配合し、pHを測定した。結果を表1に示す。表1の通り、消石灰の配合率を30%以下に調整することにより、水と接触した場合でも取扱上安全な弱アルカリ性に保つことができる。
【0042】
【表1】
【0043】
[試験例2,水添加混合試験]
ビーカーにNo.1,2,7,10,13の前記試料100gをとり、水を5g添加した後、スパーテルで混合しながらサンプルの温度を1分〜10分の間、1分毎に測定した。その結果を表2に示す。消石灰、微粉重曹共に、水添加によって発熱しないのに対し、微粉重曹と消石灰(JIS特号、高反応)の30%配合品は、いずれも反応熱により発熱した。前述したようにこれらの酸性ガス処理剤は通常2〜20tと大量に貯留するため、本発熱量は実サイロでは大きなものとなる。
【0044】
【表2】
【0045】
[試験例3,保管試験]
No.1,2,4,7,8,10,13,14の前記試料50gを保管温度40℃で表3に示す湿度調整下において6日間静置し、各試料の状態変化を観察した。結果を表3に示す。重曹と消石灰が反応した場合(発熱)、性状はダマ、塊の状態となる。相対湿度32%以下に保った場合、どの試料も性状変化は見られなかった。相対湿度52%〜62%では、微粉重曹並びに消石灰50%配合品に性状変化が認められた。また、相対湿度71〜84%の時には、微粉重曹並びに重曹消石灰配合品に性状変化が認められた。本結果からサイロ内湿度としては40%以下、好ましくは30%以下に管理することが好ましい。
【0046】
【表3】
【0047】
[実施例1〜3,比較例1,2]
産業廃棄物焼却施設において前記No.1,No.11(比較例1,2)、No.13,14,15(実施例1,2,3)の配合の粉体を約40kg/hで噴霧した。この際のバグフィルター出口HCl濃度,SOx濃度の測定結果を表4に、採取飛灰の重金属溶出試験(環境庁告示13号試験)の結果を表5に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
表4,表5の通り、酸性ガス処理に関しては、消石灰単独は、SOxの処理が不十分である。これに対し、微粉重曹と消石灰配合品は、SOx処理も含め安定した酸性ガス処理効果が得られた。
【0051】
また、飛灰の重金属処理では、微粉重曹単独の場合、特にAsの溶出が多い。これに対し、微粉重曹と消石灰との配合品を噴霧した飛灰はすべての重金属の溶出を安定して防止することができた。
【符号の説明】
【0052】
1 ホッパ
2 切出装置
4 湿度センサ
5 コントローラ
7 冷凍式ドライヤ
8 膜式ドライヤ
10 バイブレータ
図1
図2