特許第5692169号(P5692169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5692169固形硫化物からのレニウムと砒素の回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692169
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】固形硫化物からのレニウムと砒素の回収方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 61/00 20060101AFI20150312BHJP
   C22B 30/04 20060101ALI20150312BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   C22B61/00ZAB
   C22B30/04
   B09B3/00 304J
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-130441(P2012-130441)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2013-253299(P2013-253299A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2014年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083910
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 正緒
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(72)【発明者】
【氏名】武田 和典
(72)【発明者】
【氏名】窪田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】浅野 聡
(72)【発明者】
【氏名】高野 雅俊
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−58016(JP,A)
【文献】 特開2006−130387(JP,A)
【文献】 特開2010−77470(JP,A)
【文献】 特開平7−286221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00−61/00
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レニウムと砒素を含有する固形硫化物に硫酸水溶液を加えて空気を吹き込みながら浸出し、浸出液から分離した浸出残渣に水及び/又は水酸化ナトリウム水溶液を添加して洗浄することにより、浸出残渣中のレニウムと砒素を洗浄液中に回収することを特徴とするレニウムと砒素の回収方法。
【請求項2】
前記浸出残渣を水で洗浄し、次に水酸化ナトリウム水溶液を用いて洗浄することを特徴とする、請求項1に記載のレニウムと砒素の回収方法。
【請求項3】
前記洗浄に用いる水の温度が50℃以上80℃以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレニウムと砒素の回収方法。
【請求項4】
前記洗浄に用いる水酸化ナトリウム水溶液の濃度が0.4重量%以上30重量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレニウムと砒素の回収方法。
【請求項5】
前記浸出に用いる硫酸水溶液の濃度が100g/l以上300g/l以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のレニウムと砒素の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レニウムと砒素を含有する固形硫化物からレニウムと砒素を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レニウム(Re)は、天然には輝水鉛鉱(Molybdenite,MoS)の中に含有されて存在することが知られている。モリブデン製錬では、この輝水鉛鉱を酸化焙焼してモリブデンを可溶化する処理が行なわれるが、その際に輝水鉛鉱中に含有されているレニウムは酸化物Reの形態となって揮発するので、排ガス洗浄工程においてスクラバーで回収し、精製して製品とされる。
【0003】
また、輝水鉛鉱は黄銅鉱(Chalcopyrite,CuFeS)などの硫化銅鉱物と共存することも知られているが、黄銅鉱と輝水鉛鉱を浮遊選鉱などの工業的な物理分離方法を用いて分離することは困難である。そのため、黄銅鉱を原料とする銅の乾式製錬においても、共存する輝水鉛鉱からレニウムが酸化物となって揮発するので、排ガス洗浄工程においてスクラバーで回収される。
【0004】
上記したモリブデンや銅の乾式製錬からの排ガスには原料鉱石中に共存する砒素、銅、亜鉛、カドミウムなどが酸化物の形態で含まれるため、これら金属の酸化物は洗浄工程での洗浄液中に、レニウムの酸化物、例えば過レニウム酸と共に、不純物として含有された状態となる。これら多種多様な不純物を含有する洗浄液からレニウムを効率良く回収する方法として、従来から陰イオン交換樹脂を用いてレニウムを吸着分離する方法が行われてきた。
【0005】
例えば、特許文献1には、非鉄金属製製錬工程から発生する亜硫酸ガス洗浄液の硫酸濃度を70g/l以上に保持し、該亜硫酸ガス洗浄液に硫化水素ガスを吹き込むか又は可溶性の硫化物を添加して酸化還元電位120〜150mV(対銀−塩化銀電極)の条件下でレニウムを含む硫化物沈澱を生成させ、次に該硫化物沈澱を酸性水溶液中で硫酸銅と混合することによりレニウムを含む水溶液とし、得られた含レニウム水溶液を第4級アンモニウム塩陰イオン交換物質に接触させてレニウムを選択的に吸着、回収するレニウムの回収方法が記載されている。
【0006】
上記特許文献1に記載の方法を、例えば硫化銅鉱石の製錬工程で発生する排ガス処理に適用すれば、硫化銅鉱石中のレニウムを高純度で回収することができる。しかし、前述のように鉱石中に砒素が存在した場合、硫化物沈澱を酸性水溶液中で硫酸銅と反応させた際に硫化砒素から亜砒酸への酸化反応が進行して、得られる硫化物澱物中に多くの亜ヒ酸が共存してしまうため、その取り扱いや処理に際して環境面や健康面への影響が懸念されるという課題があった。
【0007】
また、上記特許文献1に記載のような方法により硫化銅鉱石の製錬工程で発生する排ガス処理で硫化物澱物を生成させた場合、この硫化物澱物から硫酸酸性溶液中に再度浸出した際にレニウムの一部が浸出されず残渣中に残ってしまい、ロスが大きくなることも課題となっていた。このように、銅製錬の排ガスからレニウムを安全且つ効率よく回収することは容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−286221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来の事情に鑑みてなされたものであり、レニウムと砒素を含有する固形硫化物、例えば非鉄金属製製錬工程で発生する排ガスから得られる硫化物沈澱などから、レニウムと砒素を安全に且つ効率よく回収することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明が提供するレニウムと砒素の回収方法は、レニウムと砒素を含有する固形硫化物に硫酸水溶液を加えて空気を吹き込みながら浸出し、浸出液から分離した浸出残渣に水及び/又は水酸化ナトリウム水溶液を添加して洗浄することにより、浸出残渣中のレニウムと砒素を洗浄液中に回収することを特徴とする。
【0011】
上記本発明のレニウムと砒素の回収方法においては、浸出残渣を水で洗浄し、次に水酸化ナトリウム水溶液を用いて洗浄することが望ましい。また上記本発明のレニウムと砒素の回収方法では、洗浄に用いる水の温度は50℃以上80℃以下であることが好ましく、また、洗浄に用いる水酸化ナトリウム水溶液の濃度は0.4重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、固形硫化物からレニウムと砒素を回収する過程において、固形硫化物やその浸出残渣中における亜砒酸の生成を抑制できるため、作業環境が改善すると共に環境への影響なしに固形硫化物及び浸出残渣を処理することができる。また、レニウムのロスを大幅に減少させて、レニウムと砒素を水溶液中に効率よく回収することができる。従って、本発明により得られるレニウムと砒素を含む水溶液は、陰イオン交換樹脂によるレニウムの選択的な吸着分離に供する元液として好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】水又は水酸化ナトリウム水溶液での洗浄工程を具えた本発明によるレニウムと砒素の回収方法を示す工程図である。
図2】水での洗浄工程の後に水酸化ナトリウム水溶液での洗浄工程を具えた本発明によるレニウムと砒素の回収方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によるレニウムと砒素の回収方法は、レニウムと砒素を含有する固形硫化物に硫酸水溶液を加えて空気を吹き込みながら浸出する浸出工程と、得られた浸出液から分離した浸出残渣に水及び/又は水酸化ナトリウム水溶液を添加して洗浄する洗浄工程とを具えている。尚、上記レニウムと砒素を含有する固形硫化物としては、非鉄金属製製錬工程で発生する排ガスをスクラバーで洗浄し、その洗浄液から生成させた硫化物沈澱などがある。
【0015】
上記浸出工程においては、レニウムと砒素を含有する固形硫化物に硫酸水溶液を加えて、硫酸酸性条件下で空気を吹き込みながら浸出する。浸出に用いる硫酸水溶液の濃度は、硫酸濃度が低すぎると有効に浸出することができないため、100g/l以上とすることが好ましい。ただし、硫酸濃度は高すぎても浸出率の向上にはあまり影響せず、むしろ次の洗浄工程でアルカリ洗浄する際のアルカリロスが増加するなどの問題があるため、300g/l以下にとどめることが好ましい。
【0016】
尚、浸出時間は固形硫化物の量によっても異なるが、通常は10時間以上継続することが好ましい。浸出が終了した後、得られたスラリー状態の反応液を濾過装置により固液分離して浸出残渣(澱物)のみを取り出す。この浸出工程によって固形硫化物中のレニウムと砒素は効率よく浸出され、浸出残渣中での亜砒酸の生成を抑制することができる。
【0017】
次の洗浄工程では、上記浸出工程で回収した浸出残渣に水及び/又は水酸化ナトリウム水溶液を添加して洗浄する。即ち、浸出残渣に水を加えて洗浄する水洗浄(図1参照)か、又は浸出残渣に水酸化ナトリウム水溶液を加えて洗浄するアルカリ洗浄(図1参照)、若しくは、浸出残渣に水を加えて洗浄し、次に水酸化ナトリウム水溶液を加えて洗浄する水−アルカリ2段洗浄(図2参照)のいずれかの方法により洗浄する。尚、浸出工程で回収した浸出残渣は、湿潤状態のまま洗浄工程に供することができるが、必要に応じて乾燥しても良い。
【0018】
上記の水洗浄あるいは水−アルカリ2段洗浄の場合において、水で洗浄する際には50℃以上80℃以下の温度の水を用いることが好ましい。水の温度が低すぎると洗浄効果が得られないので、最低でも30℃以上は必要であるが、洗浄に要する時間や水の量が増加してしまうため、工業的な操業を考えると50℃以上が好ましい。一方、水の温度が80℃を超えても洗浄効果の更なる向上は得られず、むしろ加熱コストが増加したり取り扱いの危険性が増したりするため好ましくない。
【0019】
上記のアルカリ洗浄あるいは水−アルカリ2段洗浄の場合において、アルカリで洗浄する際にはアルカリとして水酸化ナトリウム水溶液を使用する。尚、同じアルカリであっても、水酸化カリウムはレニウムと反応して難溶性の酸化物KReOを生成するので使用することはできない。また、水酸化ナトリウム水溶液の温度は、特に加熱する必要はなく、20〜30℃程度の室温領域でも充分な洗浄効果を得ることができる。
【0020】
洗浄に用いる水酸化ナトリウム水溶液については、濃度が薄すぎると洗浄の効果が小さいため、水酸化ナトリウム濃度はpH13に相当する0.4重量%を下限とする。一方、水酸化ナトリウム濃度が30重量%を超えるような高濃度溶液では、もはや洗浄効果は向上しないばかりか、粘性が増加して取り扱い難くなる。従って、水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、0.4重量%以上30重量%以下とすることが好ましい。
【0021】
上記の水洗浄あるいはアルカリ洗浄によって、浸出残渣からレニウムと砒素を洗い出し若しくは浸出して、洗浄液中に回収することができる。尚、水洗浄によれば砒素を極めて効率よく回収することができ、アルカリ洗浄によればレニウムを効率よく回収することができる。洗浄後の浸出残渣には、砒素が亜砒酸として含まれることはない。また、上記アルカリ洗浄の後、残留した水酸化ナトリウムを除去するため浸出残渣を更に水で洗浄してもよい。
【0022】
本発明において、浸出残渣中の砒素の低減とレニウムの浸出率向上とを実現する方法として、初めに水で洗浄し、次に水酸化ナトリウムで洗浄する水−アルカリ2段洗浄が特に好ましい。この水−アルカリ2段洗浄による方法によれば、浸出残渣に付着した砒素を水で洗浄して除去し、次に浸出残渣中に硫酸で浸出されない形態で残留しているレニウムを水酸化ナトリウムで水溶性のNaReOの形態に改質して浸出することで、砒素とレニウムの分離の向上と同時に砒素とレニウムの浸出率の向上を達成することができる。
【0023】
上記の水−アルカリ2段洗浄による方法では、水での洗浄後に吸引濾過等により固液分離し、分離した残渣に改めて水酸化ナトリウム水溶液を添加混合することが望ましいが、水での洗浄後に固液分離した残渣を乾燥させる必要はない。また、固液分離の方法として、デカンテーションのように大まかに水分を分離する方法を用いてもかまわない。尚、上記水−アルカリ2段洗浄の後、残留した水酸化ナトリウムを除去するため水で再度洗浄することもできる。
【0024】
上記した洗浄工程の終了後、濾過装置などを用いて固液分離を行い、洗浄後の残渣と洗浄液とを分離する。固液分離により回収した洗浄液(浸出液)にはレニウムに砒素が混入しているが、イオン交換樹脂に通液するなどの方法によりレニウムと砒素を分離して、高純度なレニウムとして回収することができる。
【実施例】
【0025】
[実施例1]
砒素品位20%、レニウム品位5%の組成の固形硫化物500gを濃度200g/lの硫酸水溶液1リットルに加え、温度を60℃に維持しながら空気を1リットル/minの流量で吹き込みながら、撹拌機とペラを用いて10時間かけて撹拌した。得られたスラリーを5Cの濾紙を用いたヌッチェと濾瓶を使って吸引濾過することにより、乾燥重量で300gの浸出残渣と1リットルの浸出液を得た(浸出工程)。
【0026】
この浸出残渣をX線回折(XRD)で同定したところ亜ヒ酸が検出された。また、この浸出残渣をICPにより分析したところ砒素品位は6.1%であった。この結果から、浸出残渣中の砒素の全てが亜ヒ酸(As)の形態で存在するとみなすと浸出残渣の亜ヒ酸品位は約8%となり、浸出残渣からの砒素の除去率は82%となる。一方、浸出残渣のレニウム品位は5.7%であった。即ち、上記固形硫化物に含有されていたレニウムのうち、硫酸溶液に浸出されたものは32%であった。
【0027】
次に、上記浸出工程で得られた浸出残渣(乾燥重量300g)に80℃の温水1リットルに加え、温度を維持しながら30分間撹拌して洗浄した。その後、5Cの濾紙を用いて吸引濾過して固液分離することにより、乾燥重量で280gの浸出残渣と1リットルの洗浄液とを得た(洗浄工程/水洗浄)。
【0028】
洗浄後の浸出残渣をX線回折したところ、亜ヒ酸は同定できなかった。また、この浸出残渣をICPにより分析したところ砒素品位は0.8%であり、亜ヒ酸に換算した品位は約1%程度と洗浄前に比べて大幅に低減した。一方、この洗浄後の浸出残渣のレニウム品位は6.0%であり、洗浄液へのレニウムの浸出率は33%であった。
【0029】
[実施例2]
上記実施例1と同じ固形硫化物500gを採取し、これに上記実施例1と同様に硫酸水溶液を添加して空気を吹き込みながら撹拌してスラリーとした。得られたスラリーを5Cの濾紙を用いたヌッチェと濾瓶をつかって吸引濾過することにより、乾燥重量で300gの浸出残渣と1リットルの浸出液を得た(浸出工程)。
【0030】
上記浸出工程で得られた浸出残渣(乾燥重量300g)に濃度20重量%の水酸化ナトリウム溶液1リットルに加え、温度を15℃に維持しながら30分間撹拌して洗浄した。その後、5Cの濾紙を用い吸引濾過して固液分離することにより、乾燥重量で270gの浸出残渣と1リットルの洗浄液とを得た(洗浄工程/アルカリ洗浄)。
【0031】
洗浄後の浸出残渣をX線回折したところ、亜ヒ酸は同定できなかった。また、この浸出残渣をICPにより分析したところ砒素品位は1%であり、亜ヒ酸に換算した品位は約1.3%程度であった。一方、この洗浄後の浸出残渣のレニウム品位は2.0%であり、洗浄液へのレニウムの浸出率は78%と上記実施例1での水洗浄後に比べて大幅に向上した。
【0032】
[実施例3]
上記実施例1と同じ固形硫化物500gを採取し、これに上記実施例1と同様に硫酸水溶液を添加して空気を吹き込みながら撹拌してスラリーとした。得られたスラリーを5Cの濾紙を用いて吸引濾過することにより、乾燥重量で300gの浸出残渣と1リットルの浸出液を得た(浸出工程)。
【0033】
次に、上記浸出工程で得られた浸出残渣(乾燥重量300g)に80℃の温水1リットルに加え、温度を維持しながら30分間撹拌して洗浄した後、5Cの濾紙を用いた吸引濾過により固液分離した。分離した浸出残渣に温度15℃で濃度20重量%の水酸化ナトリウム溶液1リットルを添加し、更に30分かけて撹拌して洗浄した。その後、5Cの濾紙を用いて吸引濾過を行い、乾燥重量で260gの浸出残渣と洗浄液1リットルとに分離した(洗浄工程/水−アルカリ2段洗浄)。
【0034】
洗浄後の浸出残渣をX線回折したところ、亜ヒ酸は同定できなかった。また、この浸出残渣をICPにより分析したところ砒素品位は1%未満であり、亜ヒ酸に換算した品位は0.1%未満であった。一方、この洗浄後の浸出残渣のレニウム品位は0.1%であり、洗浄液へのレニウムの浸出率は98%以上であった。
【0035】
上記した実施例1〜3から分るように、本発明の浸出工程及び洗浄工程を備えた方法を用いることによって、浸出残渣中での亜ヒ酸の生成を抑制しながら、浸出残渣中のレニウムを効率よく洗浄液中に回収することができ、特に水酸化ナトリウム水溶液での洗浄を行えば浸出残渣中のレニウムを可溶化して高い効率で浸出することができる。
図1
図2