【実施例】
【0064】
(実施例1)
まず、原料粉末として、平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末を所定量秤量し、用意した。
【0065】
原料粉末の中から60質量%分取し、この粉末を純水、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩とともに、粉末濃度が60質量%となるように調合し、混合タンク内でスラリーを作製した。そして、該スラリーを、スプレードライヤ装置(大川原化工機株式会社製、ODL−20型)を用いて噴霧および乾燥させる第1段の造粒工程により造粒粉末を得た。装置チャンバの出口温度を90℃、排風量を15m
3/分としたところ、造粒粉末の粒径は300μm以下の造粒粉末を得た。
【0066】
この造粒粉末を、大気圧焼結炉にて、1000℃で20時間焼成し、焼成後粉砕することにより、粒径が300μm以下の仮焼粉末を得た。そして、該仮焼粉末と、最初に用意した未仮焼の原料粉末とを混合することにより、仮焼粉末と未仮焼粉末との混合粉末を得た。
【0067】
該混合粉末を、再度、純水、有機バインダとしてのポリビニルアルコール、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩とともに、粉末濃度が70質量%となるように調合し、混合タンク内でスラリーを作製した。そして、該スラリーを、同じスプレードライヤ装置を用いて、装置チャンバの出口温度を90℃、排風量を15m
3/分として噴霧および乾燥させる第2段の造粒工程により、粒径が300μm以下である造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は60%であった。
【0068】
次に、該焼結体材料粉末を、成形プレス機(三庄インダストリー株式会社製、ウエーブ成形プレス機)の金型中で、90MPa(0.92tonf/cm
2)の圧力で1軸加圧成形することにより、直径30mm、高さ40mmの円柱状の成形体を、200個得た。
【0069】
さらに、得られた200個の成形体を、それぞれ電気炉にて、常圧の大気中で焼結させることにより、200個の酸化亜鉛からなる常圧焼結体タブレットを得た。この際の焼結温度は1000℃、焼結時間は20時間とした。
【0070】
そして、得られた200個の常圧焼結体タブレットを、それぞれ黒鉛容器内に設置し、圧力1×10
-3Paの真空中にて、5℃/分の昇温速度で1000℃(最高到達温度)まで加熱し、この温度で3分保持する還元処理を施すことにより、200個の酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0071】
<検査・評価>
[相対密度]
この酸化亜鉛焼結体タブレットの理論密度は、酸化亜鉛の密度である5.78g/cm
3となる。一方、得られた200個の焼結体タブレットのすべてについて、直径、高さ、重量を測定して嵩密度を得て、前記理論密度に対する相対密度を算出した結果、その相対密度の平均値は60%であった。
【0072】
[比抵抗]
50個の試料について、四探針法抵抗率計ロレスタEP(株式会社三菱化学アナリテック製、MCP−T360型)を用いて、表面の比抵抗を測定したところ、比抵抗の平均値は8.5Ω・cmであった。
【0073】
[X線回折]
試料のうちの2個を試験片とし、X線回折装置(スペクトリス株式会社製、X‘Pert−PRO/MPD)を用いてCuKα線を使用したX線解析(XRD)測定を実施した。その結果、得られた(103)面、(110)面のそれぞれ積分強度をI
(103)、I
(110)としたとき、I
(103)/(I
(103)+I
(110))で表される1軸加圧面の配向度を算出したところ、0.513であった。
【0074】
なお、本実施例の酸化亜鉛焼結体タブレットから得られたX線回折ピークについては、前述の酸化亜鉛焼結体ターゲットに関する特許文献1〜3で言及されている回折に着目して、その結晶配向性との比較をおこなった。特許文献1に記載されている結晶配向性の特徴には該当しておらず、(002)結晶配向性が(101)結晶配向性より小さかった。また、特許文献2のI
(101)/(I
(100)+I
(002)+I
(101))で表される結晶配向性について調べてみると0.5と、その特徴である0.55以上には該当しておらず、さらに、特許文献3のI
(110)/(I
(110)+I
(002)+I
(101))で表される結晶配向性について調べてみると0.2と、その特徴である0.24以上には該当していなかった。このように、上述の特許文献1〜3で言及されている回折ピークに該当していなくとも、本発明の知見による(103)結晶配向性を高くしている場合には、成膜時にスプラッシュ現象などを発生させることのない、生産性の高い酸化亜鉛焼結体タブレットとなることを確認した。
【0075】
[蒸着試験]
50個の試料について、真空蒸着装置に連続的に供給しつつ、それぞれの試料について電子ビームを照射して蒸着をおこなった。その結果、すべての焼結体タブレットについて、成膜時のスプラッシュ現象は発生せず、放電は安定していた。
【0076】
実施例1の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0077】
(実施例2)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を80℃、排風量を15m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は72%であった。得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0078】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は60%、比抵抗の平均値は5.7Ω・cmであった。
【0079】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.578であった。
【0080】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0081】
実施例2の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0082】
(実施例3)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を90℃、排風量を5m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は68%であった。得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0083】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなった。相対密度の平均値は61%、比抵抗の平均値は6.2Ω・cmであった。
【0084】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.551であった。
【0085】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0086】
実施例3の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0087】
(実施例4)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を80℃、排風量を5m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は79%であった。得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0088】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は61%、比抵抗の平均値は5.5Ω・cmであった。
【0089】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.605であった。
【0090】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0091】
実施例4の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0092】
(実施例5)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を100℃、排風量を15m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は54%であった。得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0093】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は60%、比抵抗の平均値は6.1Ω・cmであった。
【0094】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.490であった。
【0095】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0096】
実施例5の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0097】
(実施例6)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を90℃、排風量を25m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は55%であった。得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0098】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は60%、比抵抗の平均値は6.5Ω・cmであった。
【0099】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.496であった。
【0100】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0101】
実施例6の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0102】
(実施例7)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を100℃、排風量を25m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は51%であった。得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0103】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は60%、比抵抗の平均値は6.2Ω・cmであった。
【0104】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.487であった。
【0105】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0106】
実施例7の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0107】
(実施例8)
焼結温度を800℃に変えた点以外は、実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0108】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は59%、比抵抗の平均値は1.2×10Ω・cmであった。
【0109】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.506であった。
【0110】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0111】
実施例8の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0112】
(実施例9)
焼結温度を1300℃に変えた点以外は、実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0113】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は62%、比抵抗の平均値は6.3Ω・cmであった。
【0114】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.516であった。
【0115】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0116】
実施例9の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0117】
(実施例10)
還元処理温度(最高到達温度)を800℃に変えた点以外は、実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0118】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は59%、比抵抗の平均値は.2.5×10Ω・cmであった。
【0119】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.505であった。
【0120】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0121】
実施例10の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0122】
(実施例11)
還元処理温度(最高到達温度)を1300℃に変えた点以外は、実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0123】
得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は61%、比抵抗の平均値は6.0Ω・cmであった。
【0124】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.511であった。
【0125】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0126】
実施例11の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0127】
(実施例12)
還元処理を実施しなかった点以外は、実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0128】
得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は60%、比抵抗の平均値は3.2×10
5Ω・cmであった。
【0129】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.510であった。
【0130】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0131】
実施例12の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0132】
(比較例1)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を110℃、排風量を15m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は25%であった。得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0133】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は61%、比抵抗の平均値は7.5Ω・cmであった。
【0134】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.462であった。
【0135】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、スプラッシュ現象が発生し、放電は不安定であった。
【0136】
比較例1の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0137】
(比較例2)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を70℃、排風量を15m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は53%であったが、十分に乾燥した焼結体材料粉末が得られず、その水分量が高いために成形工程で得られた成形体200個のうち84個にクラックが発生した。したがって、この条件では生産性が大きく悪化すると判断し、ここで作製を中止した。
【0138】
比較例2の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0139】
(比較例3)
第2段の造粒工程において、チャンバの出口温度を90℃、排風量を28m
3/分として造粒粉末を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は42%であった。得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0140】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は60%、比抵抗の平均値は7.4Ω・cmであった。
【0141】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.471であった。
【0142】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、スプラッシュ現象が発生し、放電は不安定であった。
【0143】
比較例3の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0144】
(比較例4)
最大粒子径が75μm以下で平均粒子径が10μmであり、約1400℃で3時間仮焼した酸化亜鉛粉末を65質量%と、最大粒子径が20μm以下で平均粒子径が約1μmの未仮焼の酸化亜鉛粉末を35質量%となるようそれぞれ秤量し、これらをボールミルによって乾式混合した。得られた混合粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は0%であった。この混合粉末からなる焼結体材料粉末を用いて、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0145】
得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は60%、比抵抗の平均値は9.1Ω・cmであった。
【0146】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.475であった。
【0147】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、スプラッシュ現象が発生し、放電は不安定であった。
【0148】
比較例4の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0149】
(比較例5)
最大粒子径が110μm以下で平均粒子径が5μmであり、約900℃で3時間仮焼した酸化亜鉛粉末を焼結体材料粉末として用い、成形以降の工程はすべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。このとき用いた焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は0%であった。また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査をおこなったところ、相対密度の平均値は60%、比抵抗の平均値は8.8Ω・cmであった。
【0150】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.472であった。
【0151】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、スプラッシュ現象が発生し、放電は不安定であった。
【0152】
比較例5の製造条件を表1に、その検査および試験の結果(評価)を表2にそれぞれ示す。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
(実施例13〜15)
原料粉末として、平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末と、平均粒径が2μm以下の酸化ガリウム粉末とを、それぞれ「亜鉛:ガリウム=97原子%:3.0原子%」(実施例13)、「亜鉛:ガリウム=90原子%:10原子%」(実施例14)、「亜鉛:ガリウム=50原子%:50原子%」(実施例15)の割合となるように、所定量秤量し、用意した。
【0156】
その中から、酸化亜鉛粉末と酸化ガリウム粉末のそれぞれについて60質量%ずつ分取し、実施例1の第1段の造粒工程と同様にして造粒粉末を得た。
【0157】
この造粒粉末を、大気圧焼結炉にて、1200℃で20時間焼成し、焼成後粉砕することにより、粒径が300μm以下の仮焼粉末を得た。
【0158】
そして、該仮焼粉末と、最初に用意した未仮焼の原料粉末とを混合することにより、仮焼粉末と未仮焼粉末との混合粉末を得た後、実施例1の第2段の造粒工程と同様にして、粒径が300μm以下である造粒粉末からなる焼結体材料粉末を得た。この焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率はそれぞれ60%(実施例13)、57%(実施例14)、52%(実施例15)であった。
【0159】
得られた焼結体材料を用い、成形以降の工程については、焼結温度および還元処理温度を1100℃としたこと以外は、すべて実施例1と同様の条件で、酸化亜鉛焼結体タブレットを製造した。
【0160】
ここで、酸化ガリウムを含む酸化亜鉛系焼結体タブレットにおける酸化ガリウム量は、それぞれ3.2質量%(実施例13)、10.7質量%(実施例14)、51.9質量%(実施例15)であるので、当該焼結体タブレットの理論密度は、酸化亜鉛および酸化ガリウムの密度がそれぞれ5.78g/cm
3、6.16g/cm
3であるから、それぞれ5.79g/cm
3(実施例13)、5.82g/cm
3(実施例14)、5.97g/cm
3(実施例15)となる。得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に検査を行ったところ、相対密度の平均値はいずれも60%、比抵抗の平均値は6.6×10
-4Ω・cm(実施例13)、8.9×10
-4Ω・cm(実施例14)、3.1×10
-3Ω・cm(実施例15)であった。
【0161】
また、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットについて、実施例1と同様に、1軸加圧面の配向度を算出したところ、0.498(実施例13)、0.495(実施例14)、0.492(実施例15)であった。
【0162】
さらに、得られた酸化亜鉛焼結体タブレットを用いて蒸着試験をおこなったところ、実施例13から15においては、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、放電は安定していた。
【0163】
実施例13〜15の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0164】
(実施例16)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化ホウ素粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は59%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は6.8×10
-3Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.508であった。
【0165】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0166】
実施例16の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0167】
(実施例17)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化アルミニウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は61%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は3.1×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.510であった。
【0168】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0169】
実施例17の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0170】
(実施例18)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化インジウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は58%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は4.1×10
-3Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.501であった。
【0171】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0172】
実施例18の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0173】
(実施例19)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化チタン粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は58%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は1.2×10
-3Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.508であった。
【0174】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0175】
実施例19の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0176】
(実施例20)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化ジルコニウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は57%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は59%であり、比抵抗の平均値は4.5×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.492であった。
【0177】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0178】
実施例20の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0179】
(実施例21)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化ハフニウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は59%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は59%であり、比抵抗の平均値は7.2×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.500であった。
【0180】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0181】
実施例21の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0182】
(実施例22)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化モリブデン粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は61%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は61%であり、比抵抗の平均値は2.2×10
-3Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.498であった。
【0183】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0184】
実施例22の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0185】
(実施例23)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化タングステン粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は60%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は9.4×10
-4Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.510であった。
【0186】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0187】
実施例23の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0188】
(実施例24)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化バナジウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は56%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は8.6×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.505であった。
【0189】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0190】
実施例24の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0191】
(実施例25)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化ニオブ粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は60%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は62%であり、比抵抗の平均値は8.1×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.511であった。
【0192】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0193】
実施例25の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0194】
(実施例26)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化タンタル粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は59%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は3.5×10
-3Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.504であった。
【0195】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0196】
実施例26の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0197】
(実施例27)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化セリウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は58%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は59%であり、比抵抗の平均値は6.9×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.497であった。
【0198】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0199】
実施例27の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0200】
(実施例28)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化プラセオジム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は59%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は1.0×10
-1Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.511であった。
【0201】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0202】
実施例28の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0203】
(実施例29)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化ガドリニウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は62%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は2.0×10
-1Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.502であった。
【0204】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0205】
実施例29の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0206】
(実施例30)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化イットリウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は59%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は58%であり、比抵抗の平均値は9.2×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.502であった。
【0207】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0208】
実施例30の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0209】
(実施例31)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化スズ粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は60%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は59%であり、比抵抗の平均値は2.1×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.508であった。
【0210】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0211】
実施例31の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0212】
(実施例32)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化ルテニウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は59%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は5.0×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.509であった。
【0213】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0214】
実施例32の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0215】
(実施例33)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化マグネシウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は63%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は62%であり、比抵抗の平均値は2.8×10
-3Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.501であった。
【0216】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0217】
実施例33の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0218】
(実施例34)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化イリジウム粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は60%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は60%であり、比抵抗の平均値は8.8×10
-2Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.510であった。
【0219】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0220】
実施例34の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0221】
(実施例35)
原料粉末として酸化ガリウムの代わりに酸化ビスマス粉末を使用したこと以外は、実施例13と同様の条件で、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造した。この際、焼結体材料粉末を構成する二次粒子のうち、ドーナツ状の二次粒子の個数比率は56%であり、得られた焼結体について、実施例13と同様に導出した理論密度と検査結果から算出した相対密度の平均値は58%であり、比抵抗の平均値は2.2×10
-1Ω・cmであった。また、得られた焼結体タブレットについて、実施例1と同様に配向度を算出したところ、0.503であった。
【0222】
この結果、得られた酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いて実施例1と同様に蒸着試験をおこなったところ、欠けやクラックの発生、スプラッシュ現象の発生はいずれもなく、安定成膜に対する良好な効果を示した。
【0223】
実施例35の製造条件を表3に、その検査および試験の結果(評価)を表4にそれぞれ示す。
【0224】
【表3】
【0225】
【表4】