特許第5692955号(P5692955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許5692955熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構
<>
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000002
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000003
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000004
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000005
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000006
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000007
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000008
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000009
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000010
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000011
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000012
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000013
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000014
  • 特許5692955-熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5692955
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20150312BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B01J19/00 301D
   B01J19/00ZAB
   G01N27/04 Q
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2007-543373(P2007-543373)
(86)(22)【出願日】2005年11月17日
(65)【公表番号】特表2008-520435(P2008-520435A)
(43)【公表日】2008年6月19日
(86)【国際出願番号】US2005042201
(87)【国際公開番号】WO2006083356
(87)【国際公開日】20060810
【審査請求日】2008年11月14日
(31)【優先権主張番号】10/991,740
(32)【優先日】2004年11月18日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】チウ ホーマン ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】クラーク ダニエル オー
(72)【発明者】
【氏名】クロフォード ショーン ダブリュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジェ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロルドジェ ユセフ エー
(72)【発明者】
【氏名】ベルムイレン ロバート
【審査官】 近野 光知
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03276506(US,A)
【文献】 特開平02−068414(JP,A)
【文献】 特開平10−318540(JP,A)
【文献】 特開昭59−035197(JP,A)
【文献】 特開2004−138373(JP,A)
【文献】 米国特許第03185846(US,A)
【文献】 特表2001−527632(JP,A)
【文献】 米国特許第04087229(US,A)
【文献】 米国特許第05419358(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 10/00〜12/02
B01J 14/00〜19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱除害システムであって、
コントローラと、
廃ガスストリーム入口を含み、前記コントローラにより制御されるように用いられる熱反応チャンバと、
前記熱反応チャンバに、又は前記熱反応チャンバ内に配置された少なくとも1つのバーナージェットと、
前記熱反応チャンバへ通じる管を含む火炎センサと、
前記熱反応チャンバ内の前記管の第1の端部に配置されたパイロット火炎デバイスを備え、
前記火炎センサは、前記熱反応チャンバ外の前記管の第2の端部に配置され、前記コントローラに結合され、前記コントローラに前記パイロット火炎デバイス発火したかどうかを情報伝達するように用いられ、
前記火炎センサは前記管の開閉のために操作可能なアクチュエータを含み、前記アクチュエータが、前記管を閉じたときに、前記火炎センサに熱反応チャンバからの放射線が達するのを防ぐこと、前記管の開放状態と閉鎖状態をサイクルさせること、又はそれらの両方のうち少なくとも1つに用いられる熱除害システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記火炎センサからの前記情報に基づいて前記熱反応チャンバを操作するように用いられる請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記アクチュエータが前記管の開放状態と閉鎖状態をサイクルさせるように用いられ、前記コントローラが、前記管の実際の状態を、前記火炎センサからの前記情報と比較することによって前記火炎センサを試験するように用いられる請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバーナージェットは、燃料を前記熱反応チャンバに提供し、前記パイロット火炎デバイスにより発火されるように用いられ、
前記火炎センサが、前記少なくとも1つのバーナージェットが発火されるかどうか前記コントローラに情報伝達するように更に用いられ、前記コントローラが、前記少なくとも1つのバーナージェットが発火されるかどうかに基づいて、前記熱反応チャンバをシャットダウンするように用いられる請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記火炎センサは紫外光センサである請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータは前記管の開放状態と閉鎖状態をサイクルさせるように用いられ、前記アクチュエータは30秒間開き、3〜5秒間閉じる請求項3記載のシステム。
【請求項7】
前記熱除害システムは、前記熱反応チャンバの外部に位置する排気筐体内に位置する可燃性ガスセンサを含む請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記熱除害システムは、
少なくとも2つの本質安全バリアを有し、前記熱反応チャンバの外部に位置する排気筐体内に位置する可燃性ガスセンサを含み、前記2つの本質安全バリアの一方がツェナーダイオードを含み、前記2つの本質安全バリアの他方がポテンショメータアイソレータを含む請求項1記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は、引用によりその全内容が本明細書に一体化される2004年11月18日出願の米国特許出願第10/991,740号、「熱除害反応器の安全、モニタリング及び制御機構(Safety,Monitoring and Control Features for Thermal Abatement Reactor)」に基づく優先権を主張する。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、工業廃物流体、例えば、半導体及び液晶表示装置の製造プロセスで生成される廃ガスを処理するのに用いる熱反応器装置に関する。具体的には、本発明は、該熱反応器装置の改善された安全、信頼性、モニタリング及び制御機構並びにコンポーネントに関する。
【発明の背景】
【0003】
半導体材料、デバイス、製品及びメモリ物品の製造からのガス状廃物には、プロセス設備で使用及び生成された様々な化学化合物が含まれている。これらの化合物は、無機及び有機化合物、酸化物、フォトレジスト及びその他試薬の分解生成物、プロセス設備から大気中へ放出される前に、廃物ストリームから除去されなければならない様々なその他のガス及び浮遊粒子を含む。
【0004】
半導体製造プロセスは、様々な化学薬品を利用し、その多くは、人体許容レベルが非常に低い。かかる材料としては、これらに限られるものではないが、アンチモン、砒素、ホウ素、ゲルマニウム、窒素、リン、ケイ素及びセレンのガス状水素化物、シラン、シラン混合物、水素、オルガノシラン、ハロシラン、ハロゲン、酸ガス、有機金属、O、NF及びCIF等の酸化剤、並びにアルコール等のその他の有機化合物が挙げられる。
【0005】
半導体産業の深刻な問題は、これらの材料の廃物ストリームからの一貫した効率的な除去である。実質的に全ての米国半導体製造設備では、廃物ストリームの処置のために、スクラバー又は同様の手段を利用しているものの、これらの設備で用いている技術には、不具合や効率の悪さがあるため、毒性のある、又はその他許容できない不純物が除去されていない。
【0006】
採水口除害システムは、廃物が自社スクラバーシステムで希釈される前に、廃物ストリームから汚染物質を除去することにより、あるレベルの冗長性、信頼性及び能力を与える。自社システムで廃物ストリームを混ぜ合わせ、希釈するのは、これらに限られるものではないが、処理すべき希釈容積が大きいために、除害効率が減少する、不要な副反応、粒子形成及び自社スクラバーダクトシステムの腐食のリスクが増大する等、いくつかの理由のために不都合がある。更に、自社スクラビング技術の不具合は、従業員、設備及び環境に大きな安全上の問題を呈す。このように、自社スクラビングシステムと組み合わせた採水口除害システムは、半導体製造産業の重要な安全基準プラクティスに一致したあるレベルの冗長性及び信頼性を与える。
【0007】
廃物ストリームを処理して、毒性材料を分解し、それらを毒性の少ない形態へと変換するのに、熱反応器が普及してきている。例えば、ホーマンロドニーチウら(Ho−Man
Rodney Chiu et al.)により2004年11月12日に出願された同時係属中の米国特許出願第10/987,921号、「除害プロセス中の粒子付着を減じるための反応器ー設計(Reactor Design to Reduce Particle Deposition During Process Abatement」に開示された改善された熱反応ユニットは、これらに限られるものではないが、CF、C、SF、C、C、CO、SiF、BF、BH、B、B、NH、PH、SiH、SeH、F、Cl、HCl、HF、HBr、WF、H、Al(CH、アルコール、O、NF及びClF等の酸化剤、第1級及び第2級アミン、酸ガス、オルガノシラン、有機金属及びハロシランをはじめとする少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%の廃物成分を除害する。重要なのは、改善された熱反応ユニットの分解除去効率(DRE)が99%を超え、熱反応ユニット内での酸化ケイ素等の不要の反応生成物の付着を減じるように設計されていることである。
【0008】
熱除害技術の開発につれて、該熱反応器の安全、信頼性、モニタリング及び制御機構を開発する必要がある。熱反応器における廃物ストリームの除害は、燃料、例えば、メタン、天然ガス及び/又は水素の燃焼及び酸化のための熱反応器への導入により促進されるため、安全機構は特に重要である。該燃料の燃焼により生じる高温は、中にある廃物ストリームの毒性材料を分解するのを補助する。明らかに、反応器又は反応器筐体内での、燃料漏れによる発火及び爆燃のリスクを最小にし、且つ、反応器が廃物ストリームを効率的に除害するのを確実にするためには、モニタリング及び制御コンポーネントが必要である。
従って、従業員の安全を確保し、除害プロセスの効率を改善するために、熱反応器用の改善された安全なモニタリング及び制御機構が提供されると有利である。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、熱反応器及びその他除害プロセスのための改善された安全、モニタリング及び制御機構に関する。
一態様において、本発明は、(a)熱反応チャンバを有する熱反応器と、(b)燃料ガスを中に導入するための熱反応チャンバと流体連通している少なくとも1つの燃料入口と、(c)熱反応チャンバに、又は熱反応チャンバ内に配置されたパイロット火炎デバイスと、(d)熱反応チャンバに、又は熱反応チャンバ内に配置された少なくとも1つのバーナージェットであって、少なくとも1つの燃料入口が少なくとも1つのバーナージェットと流体連通しているバーナージェットと、(e)廃液を導入するための熱反応チャンバと流体連通している少なくとも1つの廃液入口と、(f)コントローラと、(g)火炎センサ、火炎ガスセンサ及び燃料ブースタからなる群より選択される少なくとも1つの追加のコンポーネントとを含む廃液から汚染物質を除去するための装置に関する。
【0010】
他の態様において、本発明は、(a)少なくとも1つのアラーム手段の操作性を確認する工程と、(b)熱反応チャンバの下流に位置する水循環タンクの再循環水の、最小容積と最大容積の間にある容積をチェックする工程と、(c)水循環タンクのヘッドスペースのスタートアップ前の閾値温度より低くなければならない温度を測定する工程と、(d)中に存在するであろう可燃性種を実質的に除去するのに十分な時間にわたって、不活性ガスで熱反応チャンバをパージする工程と、(e)熱反応チャンバに、又は熱反応チャンバ内に配置されたパイロット火炎デバイスを発火する工程と、(f)燃料を熱反応チャンバに流す工程と、(g)熱反応チャンバに流れる燃料を発火する工程と、(h)熱反応チャンバへ流れた燃料をパイロット発火デバイスが発火したことを確認する工程と、(i)中で少なくとも部分的に分解するために廃物を熱反応チャンバへ流す工程とを含み、熱反応器が安全且つ効率的に汚染物質を廃物から除去する熱反応チャンバを有する熱反応器のスタートアップを連続的に操作する方法に関する。
本発明のその他の態様及び利点は、以下の開示内容及び特許請求の範囲からより完全に明白となる。
【詳細な説明】
【0011】
本発明は、概して、廃物ストリームに含まれる汚染物質を効率的、且つ、制御可能に分解するのに用いる熱反応器装置に関する。具体的には、本発明は、従業員の安全を確保し、除害プロセスの効率を改善するための該熱反応器用の改善された、安全、モニタリング及び制御機構に関する。
【0012】
2004年11月12日出願の米国特許出願第10/987,921号、ホーマンロドニーチウ(Ho−Man Rodney Chiu)、ダニエルO.クラーク(Daniel O.Clark)、ショーンW.クロフォード(Shaun W.Crawford)、ジェイ、J.ジョン(Jay J.Jung)、レオナルドB.トッド(Leonard B.Todd)及びロバートバーミューレン(Robbert Vermeulen)、「プロセス除害中に粒子の付着を減じるための反応器設計(Reactor Design to Reduce Particle Deposition During Process Abatement)」は、引用によりその全内容が本明細書に一体化される。
【0013】
除害される廃物ストリームは、半導体プロセスにより生成された種及び/又は化学変換なしに半導体プロセスへ分配され、そこから放出された種を含んでいてもよい。本明細書において用いる「半導体プロセス」とは、半導体製品及び/又はLCD製品の製造における全ての処理及びユニット操作、半導体及び/又はLCD製造設備で用いる、又はそこで生成される材料の処置又は処理を含む全ての操作、能動的製造を含まない半導体及び/又はLCD製造設備に関連して実施される全ての操作(例えば、プロセス装置の調整、操作の準備における化学的分配ラインのパージ、プロセスツールチャンバのエッチクリーニング、半導体及び/又はLCD製造設備により生成される排出物からの毒性又は有害ガスの除害等が挙げられる)における全ての処理及びユニット操作を含むものと広く解釈される。本明細書において用いる「廃物ストリーム」及び「廃棄物ストリーム」は同義語である。
【0014】
熱反応ユニット30と下部冷却チャンバ100とを有する一般的な熱反応器を図1に示す。熱反応ユニット30は、熱反応チャンバ32を画定する熱反応器壁34と、上板18、少なくとも1つの廃物ストリーム入口14、少なくとも1つの燃料入口20、バーナージェット22、パイロット16及び任意で少なくとも1つの酸化剤入口12を含む入口アダプタ10とを有する。入口アダプタは、燃料及び酸化物ガス入口を含み、廃物ストリームに含まれる汚染物質の分解のために、燃料リッチなガス混合物をシステムに提供する。好ましい実施形態において、熱反応器壁34は、イットリアドープアルミナ等の網目セラミック材料から構築される。用いる燃料は天然ガスを含むのが好ましい。
【0015】
実際には、廃物ストリームは、入口アダプタ10に提供されている少なくとも1つの廃物ストリームから熱反応チャンバ32に入り、燃料/酸化物混合物は、少なくとも1つのバーナージェット22から熱反応チャンバ32に入る。パイロット16は、入口アダプタのバーナージェット22を発火するのに用いて、約500℃〜約2000℃の範囲の熱反応ユニット温度をもたらすパイロット火炎を含む。高温により、熱反応チャンバ32に入る廃物ストリームに含まれる汚染物質の分解が促される。
【0016】
分解/燃焼後、廃ガスは下部チャンバ100へ移動し、そこで水カーテン104を用いて、下部チャンバの壁を冷却し、微粒子物質の付着を阻止する。水カーテンの更に下流で、水スプレー手段102を下部チャンバ100に配置して、ガスストリームを冷却し、微粒子物質及び水溶性又は反応性ガスを除去してもよい。下部チャンバを通過するガスは、大気中へ放出されたり、或いは、これらに限られるものではないが、液体/液体スクラビング、物理及び/又は化学吸着、石炭トラップ、静電集塵器及びサイクロンをはじめとする追加の処置ユニットに誘導してもよい。
【0017】
燃焼スタートアップ中、低フローの、例えば、5〜8slmのレートで流れる燃料がパイロット16で発火される。パイロットの発火が成功したら、燃料フローを、約30〜90slmのフローでバーナージェット22へと開いて、CF等の種を分解するのに必要な高温を生成する。残念なことに、もしパイロットがスタートアップ中に発火せず、この不具合に気付かない場合には、バーナージェットへの燃料フローの増加によって、これに付随して、熱反応器における爆燃のリスクが増大する。
【0018】
本発明の一実施形態において、発火及び燃焼プロセスは、火炎センサを用いてモニターされる。これは入口アダプタに組み込んでもよい。図2及び3を参照すると、放射線管50が配置されて、上板18を通過して、放射線管50の下端が熱反応チャンバ内に配置されて、パイロット16の火炎に対向する。放射線管50は、熱反応チャンバと流体連通するのが好ましく、例えば、パージガス入口52で導入されるようなパージガスは放射線管50を下に流れ続けて、管の下端内及び/又はその下端での微粒子の目詰まり及び逆拡散を減じることができる。パージガスは、クリーンドライエア(CDA)、空気、窒素又はアルゴンを含んでいてよい。当業者であれば、本明細書に記載した火炎センサ装置の構造及び構成を、火炎をセンシングする必要のある任意のシステムで用いるために容易に修正してよいことが分かる。
【0019】
放射線センサ56は、放射線管50を介して熱反応チャンバと放射線連通するように配置される。本明細書で定義する「放射線連通」とは、熱反応チャンバからの放射線が放射線センサにより検出できることを意味する。放射線センサは、密閉されていて、機械的弾性があり、水晶又はサファイヤレンズ、ランプ電源を備えたランプ、及び検出器アセンブリを備えた放射線セルを含んでいる。レンズは、検出器を熱い反応器雰囲気から分離する。放射線センサのスペクトル範囲は、紫外線範囲に対応しているのが好ましく、約10nm〜約400nm、好ましくは約190nm〜約320nmの範囲である。当業者であれば、放射線センサは、熱反応器に用いる燃料に応じて、異なるスペクトル範囲を用いることが分かる。例えば、燃料が天然ガスのときは、当該の放出はOH放出であり、λ=309nmに対応している(ティンマーマン(Timmerman)B.H.、ブライヤントンクロス(Bryanston−Cross)、P.J.,ダンクリー(Dunkley)、P.,カスケード及びターボ機での遷音速及び超音速フローにおける測定技術、第16回シンポジウム(The 16th Symposium on Measuring Techniques in Transonic and Supersonic Flow in Cascades and Turbomachines)、英国、ケンブリッジ(Cambridge,UK)、2002年9月、1〜7頁を参照)。好適な放射線センサの一例は、クロムシュレーダー社(Kromschroder,Inc.)(オハイオ州、ハドソン(Hudson、Ohio))製のUVS6である。
【0020】
放射線センサは、コントローラに情報伝達できるように接続されていて、放射線センサからの入力をモニターし、それに応じて、様々なコンポーネントに出力を生成する(詳細については後述する)。
【0021】
放射線センサ56が誤った読取り値を確実に検出しないようにするために、アクチュエータ54を火炎センサ装置に組み込んでもよい。アクチュエータは、放射線センサ56が正しく操作されているかどうか自己診断を行う。操作中、アクチュエータ54が閉じると(図4A参照)、熱反応チャンバからの放射線が、放射線センサ56への通過からブロックされ、火炎信号が失われたことを検出する。その後、アクチュエータが再度開くと(図4B参照)、熱反応チャンバからの放射線が、放射線センサ56へと通過し、火炎信号が再びオンであることを検出する。アクチュエータの開閉サイクルのタイミングは、当業者であれば容易に判断できる。アクチュエータは、約30秒間開き、約3〜約5秒間閉じるのが好ましく、該サイクルは、熱反応器のスタートアップ及び操作中連続的に生じる。
【0022】
スタートアップ中、火炎センサはオンラインで熱反応チャンバ内の放射線生成火炎の存在をセンシングする。該火炎は、パイロットが発火に成功していることを確認するものである。火炎が検出される場合には、バーナージェットへの燃料フローがスタートする。放射線生成火炎がスタートアップ中に検出される場合には、コントローラはアラームを作動して、燃料フローを中断して、反応器内での爆燃のリスクを最小にしなければならない。
【0023】
スタートアップでの火炎のセンシングの重要性に加え、火炎センサは、除害プロセス全体にわたって操作されて、火炎が誤って消えないようにしなければならない。スタートアップと同様に、火炎センサが、火炎が失われたことを検出する場合には(作動自己診断中以外のときに)、コントローラはアラームを作動して、燃料フローを中断して、反応器内での爆燃のリスクを最小にしなければならない。
【0024】
本発明の他の実施形態において、本質安全可燃性ガスセンサを、熱反応器の外部近傍、及び主筐体排気口に近接させて操作する。図1を参照すると、熱反応器及び可燃性ガスセンサは、主筐体120内に好ましくは配置され、可燃性ガスセンサ150は、熱反応器の外部近傍に、そして主筐体排気口148に近接配置される。
【0025】
通常、主筐体120は、電気的筐体125と排気筐体122とを含む。電気的筐体は、排気筐体から分離されており、Nで連続的にパージされて、可燃性ガスに実質的に不浸透となっている。これとは対照的に、熱反応器、燃料パネル及びその他デバイスが据え付けられた排気筐体は、可燃性ガスが容易に検出され、燃料漏れの場合には読取り可能である主筐体内の場所に対応している。本明細書で定義する「実質的に不浸透」とは、0.1%未満、好ましくは0.05%未満の利用可能な可燃性ガス分子が特定の領域において検出可能であることを意味している。
【0026】
排気筐体122内には、数多くの成分があり、操作のために電気的エネルギーを用いる。該成分のエネルギーは、存在するであろうガス状構成成分を発火するのに必要な最低量のエネルギーを超えている。このように、可燃性ガスセンサは廃棄筐体内に配置されて、燃料漏れを検出し、漏れが検出されたら発火の可能性源(電気エネルギー)を全て除去することが必須である。
【0027】
残念なことに、先行技術の可燃性ガスセンサは、大量の電気エネルギーを用いており、ガス漏れが生じた場合、発火源となる。更に、危険な環境で用いるために設計された現在市販のセンサは大きく高価である。従って、小型化され、手頃で、低エネルギーの本質安全センサである改善された可燃性ガスセンサが提供されれば、この業界に大きな進展がもたらされる。
【0028】
本明細書で定義する「低エネルギーセンサ」は、本質安全バリアにより提供し得るエネルギー入力を利用し、用いる燃料の発火エネルギーより低く維持できるセンシングデバイスに結びついている。本明細書で定義する「本質安全」は、爆発性又は可燃性環境で用いるエレクトロニクスについての極限電力格付けに結びついている。「本質安全方法」とは、排気筐体内で利用可能なエネルギー又はその等価物がその中の燃料を発火するのに必要なものより低いことを意味する。
【0029】
本発明の可燃性ガスセンサは、排気筐体122に配置された2つの要素を有する。加熱要素とセンシング要素である。加熱要素は、センシングに最適な温度でセンシング要素を維持するのに用いる。センシング要素は、センシングされる可燃性ガスに高感度である。電気筐体125(図5参照)に好ましくは配置される2つの本質安全バリアを用いて、可燃性ガスセンサの要素を分離する。例えば、本質安全バリア1、例えば、ツェナーダイオードを用いて、加熱要素にエネルギーを与え、一方、本質安全バリア2、例えば、ポテンショメータアイソレータを用いてセンシング要素の抵抗をモニターしてもよい。センシング要素は、検出された可燃性ガスの濃度に比例するアナログ信号を生成する。
【0030】
本発明の可燃性ガスセンサの電子的な概略の実施形態を図5に示す。加熱要素とセンシング要素とを含む可燃性ガスセンサ150は、排気口近傍の排気筐体122内に配置されている。本質安全バリア1、例えば、ツェナーダイオードは、低量のエネルギーを加熱要素に与える。本質安全バリア2、例えば、ポテンショメータアイソレータは、センシング要素の抵抗をモニターし、測定された抵抗は、可燃性ガスの濃度に比例している。本質安全バリア2は、アナログ信号を電圧比較器に送る。
【0031】
検出された可燃性ガスの濃度が非常に高いと判断された場合には、非常停止(EMO)が作動する。非常停止(EMO)はモダリティであり、発火源、燃料フロー、酸化剤フロー、廃物ストリームフローおよび水流をはじめとする排気筐体内側に配置された電気コンポーネントは全て即時にシャットダウンされる。重要なのは、EMO作動の閾値が、燃料ガスを発火するのに必要な濃度に対応しているが、閾値は、該発火濃度の4分の1未満、好ましくは20分の1未満である。例えば、メタンガス検出及びアラームの閾値は、1000ppmに設定する。これは、メタンが空気中で直ちに発火する濃度の50分の1の濃度に対応する。重要なのは、選択した閾値が、同時に、バックグラウンド影響を最小にするのに十分でなければならないことである。
【0032】
火炎センサと同様に、可燃性ガスセンサの第2の出力(故障状態)が、コントローラに情報伝達できるように接続されていて、故障、例えば、ケーブル切断がセンシングされた場合には、アラームが鳴って、燃料フローが中断されて、遅延シャットダウンが開始される。可燃性ガスセンサは連続的にオンラインであるのが好ましい。
【0033】
少なくとも2つの本質安全バリアを含む新規な可燃性ガスセンサは、先行技術の燃料センシングデバイスによりも手頃でコンパクトなものに改善されている。可燃性ガスセンサ及び関連のコンポーネントは、発火源とならないため、据え付けると、排気筐体は燃料漏れについて安全にモニターされる。当業者であれば、2つの本質安全バリアを有する本発明の本質安全可燃性ガスセンサを、可燃性燃料の濃度が安全にモニターされなければならない装置又は方法に利用できることが分かるはずである。
【0034】
本発明の更に他の実施形態において、燃料火炎の安定性が制御されて、熱反応器内での安定した燃焼を維持する。実際に、燃料はバーナージェット22で熱反応チャンバに入る(例えば、図1参照)。燃料がバーナージェットから出ると、発火して、大量の熱が放出される。高温が、熱反応チャンバ32に入る廃物ストリームに含まれる汚染物質の分解を促す。先行技術の熱反応器に関連した深刻な問題は、これらのバーナージェットからの安定した燃焼火炎の維持であった。該火炎は、製造設備における燃料分配の欠如や、熱反応チャンバ内の静圧の変化に直ぐ影響される。例えば、燃料ラインは、通常、設備内の他の製造場所を供給し、燃料の熱反応器への分配は経時で変動する。火炎の品質の変化は、熱反応チャンバ内で得られる温度に影響し、これに付随して、中にある廃物ストリームの分解効率に影響する。先行技術の火炎安定剤が利用可能であるが、それらは非常に高価である。従って、燃料供給圧力及び火炎の安定性を制御することにより、熱反応器の性能を経済的に維持し制御されると、この業界に大きな進展がもたらされる。
【0035】
更に、好ましい燃料回路200の実施形態は、燃料源と熱反応器の入口アダプタ10の間の燃料回路内に配置された燃料ブースターポンプ202を含んでおり、燃料ブースターポンプ202が燃料の圧力をブーストする(図6参照)。操作中、ポンプ202は、燃料源から燃料を引く(例えば、燃料ライン圧力が低いとき)、又は燃料を下流に駆動する。ポンプ202を通る通路に続いて、燃料はメーター206に入る。メーター206は質量流量計(MFM)であり、単位時間当たりに流れるガスの質量又はモル量を測定し、質量流量に比例した電圧出力を与える。メーター206の下流は調整器204であり、パイロット及び燃料ライン(各燃料ラインが燃料を少なくとも1つのバーナージェットへ分配する)への通過のために圧力を落とし、安定した下流圧力を維持する。ここで意図されるブースターポンプとしては、遠心分離、再生式又はダイヤフラムポンピング手段を有する空気圧、電気的又は水圧を動力とするポンプが挙げられる。
【0036】
一般的に、ブースターポンプなしだと、燃料は1psi未満でバーナージェットに導入され、連続的に変動する恐れがある。燃料ブースターポンプを燃料回路に組み込むと、燃料圧力が約1psi〜約3psiの範囲でブーストされてから、バーナージェットを通過する前に、調整器で1psi未満に下がる。重要なのは、後者の実施形態においては、安定した一定の燃料圧力が、バーナージェットから流れ、熱反応チャンバ内の排気引き及び/又は静圧における変化が、火炎の安定性に直ぐ影響しないことである。
【0037】
リアルタイムで火炎安定性を維持することに加えて、燃料ブースターポンプ、MFM及び調整器は、コントローラに情報伝達できるように接続されているため、燃料の圧力、すなわちフローが制御されて、バーナージェットに対する燃料の一定したフローが維持される。例えば、燃料ブースターポンプの上流の燃料ライン圧力が低い場合には、ポンプのrpmを増大して、燃料ラインから燃料を引く。同様に、燃料ブースターポンプの上流の燃料ライン圧力が高い場合には、ポンプのrpmを減少して、燃料を下流に駆動する。重要なのは、ブースターポンプのrpmを制御して、調整器の上流の圧力を、調整器の下流の圧力より常に大きくしなければならないことである。
【0038】
この代わりに、燃料ラインの圧力が高い、例えば、15psiを超えるときは、質量フローコントローラ(MFC)又はニードルバルブをブースターポンプ202及びMFM206の代わりに用いてもよい。
【0039】
当業者であれば容易に判断できる通り、例えば、圧力制御バルブ、チェックバルブ、シャットオフバルブ、分離バルブ、過圧安全弁、質量流量コントロールバルブ、フラッシュバックアレスタ等、一連のバルブ及びその他コントローラを燃料源とバーナージェットの間に置くことに注意する。
【0040】
本発明の更なる実施形態において、熱除害反応器装置について、安全冗長性のために少なくとも2つのコントローラを用いた連続モードの操作が開示されている。改善された連続モードの操作は、熱除害反応器に限定されるものでなく、他の除害ツールに用いるために適宜変更してよいことは当業者であれば分かるはずである。
【0041】
従来技術の熱反応器コントローラは、全てのセーフティインターロックについて、ハードウェア、例えば、中継ボード等に頼っていた。しかしながら、ハードウェアインターロックは、複雑な電気配線を必要とし、容易に修正したり、他の用途に適用できない。
【0042】
少なくとも2つのコントローラを含むコントロールプラットフォームを利用して、熱反応器装置内のコンポーネントの全ての重要な操作及びプロセスをモニター及び制御することにより、本発明は従来技術のハードウェアインターロックの欠陥を克服するものである。コントローラは、操作のシーケンスに系統的に従うようにプログラムされて、シーケンスの次のステップに進む前に、特定のコンポーネントがそれぞれ適切に作動しているか確認する。コントロールプラットフォームは、熱反応器のスタートアップを連続的にモニターして、除害中、反応器のモニターを続けて、マイナスの状態が確実に生じていないようにする。
【0043】
コンポーネントがスタートアップ中に適切に操作されていないと判断された場合には、アラーム及び警告が有効となって、マイナスの状態がクリアされるまでスタートアップを中断する。コントロールプラットフォームが、除害中コンポーネントが適切に操作されていないと判断した場合には、アラーム及び警告が有効となって、熱反応器がセーフ状態、例えば、燃料フロー、点火源、廃物等のシャットオフとなる。
【0044】
意外にも、本明細書に開示されたコントロールプラットフォームは、反応器装置下流にダメージを生じる残渣熱流速なしで、熱反応器の即時のホットシャットダウンを可能とする。すなわち、ホットシャットダウン及び装置のシャットダウンを誘発した問題の調整直後に、熱反応器を即時に再スタートしてもよい。この設計は、下流の機器への熱起因の損傷のために、ホットシャットダウン(例えば、意図しない停電や非常電源切断)後の操作が危険又は利用できなくなることの多い熱除害反応器の前の世代に勝る大幅な改善である。本明細書に記載した熱反応器の即時の再スタートは部分的に可能である。熱反応器が、低熱質量を有し、流体、例えば、CDAを壁の孔を通して通過することにより除害中に連続的に冷却される網目セラミック壁34を有するからである。さらに、この改善された熱反応器設計は、冷却期間が最小であるため、予防保守時間(及びコスト)を減じる。
【0045】
前の段落で取り上げた通り、コントロールプラットフォームは、少なくとも2つのコントローラ、好ましくはプログラム可能なコントローラを含み、熱反応器装置内のコンポーネントの全ての重要な操作及びプロセスをモニター及び制御する。本明細書で定義する「コントローラ」は、少なくとも1つの自動化システム及び/又はプロセスを制御する。専売特許ソフトウェアプログラムを用いて、コントローラを自動化システムとインタフェースさせ、且つ/又はトランジスタ、スイッチ、リレー及びその他回路を用いて処理してもよい。コントローラチャネル仕様には、入出力の合計数が含まれる。コントローラの意図される入力としては、これらに限られるものではないが、DC、AC、アナログ、熱電対、抵抗性熱デバイス(RTD)、周波数又はパルス、トランジスタ及びインタラプトが挙げられる。コントローラの意図される出力としては、これらに限られるものではないが、DC、AC、リレー、アナログ、周波数又はパルス、トランジスタ及びトライアックが挙げられる。一般的に用いられるソフトウェアプログラミング言語としては、これらに限られるものではないが、IEC61131−3、シーケンシャルファンクションチャート(SFC)、ファンクションブロックダイアグラム(FBD)、ラダーダイアグラム(LD)、構造化テキスト(ST)、インストラクションリスト(IL)、リレーラダーロジック(RLL)、フローチャート(Flow Chart,C)、C及びベーシック(BASIC)が挙げられる。
【0046】
2つのコントローラは、互いに独立して操作されるように構成されていて、熱反応器装置の適切な操作を確実なものにするのが好ましい。コントローラ1(以降「CTRL1」)は、装置のスタートアップ及び操作をモニターし、制御することが意図されており、コントローラ2(以降「CTRL2」)は、装置のスタートアップ及び操作中に、水流、パイロット火炎操作、燃料フロー及び循環ポンプをはじめとする重要項目を有効にするように設計されている。CTRL1がコンポーネント又は操作上の不具合を登録する場合には、コントロールプラットフォームは、コンポーネント及び操作段階に応じて、特定の待機状態又はフルシャットダウンへ導かれる。CTRL2がコンポーネント又は操作上の不具合を登録する場合には、コントロールプラットフォームはコンポーネントの操作を有効とせず、コントロールプラットフォームは遅延シャットダウンにより、クリティカルアラームへ抜ける。重要項目については、コンポーネントが非稼動であることをCTRL1が確認しなければならないものとする。しかしながら、CTRL1が、かかる非稼動性を確認するのに失敗した場合は、CTRL2がバックアップチェックを行って、スタートアップ又は連続操作を中断する。
【0047】
図7A〜7Fにはコントロールプラットフォームのベストモードが開示されている。図7Aを参照すると、スタートアップシーケンスは、EMO(緊急マシンオフ)が適切に作動していて、クリティカルアラームが適切に機能していることの確認を含んでいる。循環タンク(例えば、図1の参照番号140)の水のレベルをチェックして、最大許可レベルを超えないことを確認する。水レベルが最大を超えたら、水レベルを適切に調整する。重要なのは、図7Aに開示されたシーケンスは全て、CTRL1によりモニター及び制御されることである。
【0048】
図7Bを参照すると、CTRL2は、循環タンクの水のレベルが最低必要な量より上か判断して、そうでない場合には、水を流す。水レベルが最低必要な量より上の場合には、その必要がないため、CTRL2は水を流さないことに留意する。CTRL1は、循環タンクの水のレベルが最低必要な量より上か判断する。そうでない場合には、循環タンクは最低レベルより上まで充填される。重要なのは、CTRL2が前のステップで水を流さなかった場合には、水は循環タンクへ流せないことである。
【0049】
循環タンクの水のレベルが適切であれば、水の循環がなされ、水流スイッチがチェックされる。循環タンク(例えば、図1参照)のヘッドスペース145の温度を再チェックする。ヘッドスペース145温度が所定の閾値、例えば、約50℃〜約80℃、好ましくは約65℃より高い場合には、CTRL1は次のステップへ進まない。CTRL2がヘッドスペース145の温度を再チェックする。その後、パイロット発火がスタートする。発火前、反応器は、窒素等の不活性ガスを用いてパージして、反応器の最後のシャットダウン後に残る残渣ガスを大幅に除去しなければならない。反応器がEMOを用いてシャットダウンされた場合には、これは特に重要であり、スタートアップまたは操作中に検出されたマイナスの状態のために、燃料フロー、廃物ストリームフロー及び発火等の重要項目は即時に停止される。本明細書で定義する「実質的に除去」とは、少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%の残渣ガスがパージ中に除去されることを意味する。反応器は、約50標準リットル〜約200標準リットルの不活性ガス、例えば、窒素、好ましくは約100標準リットルのガスでパージされる。反応器は、適切な量のパージガスで、反応器内のガスの少なくとも3回の回転率、好ましくは少なくとも5回の回転率を確保するのに適切な長さの時間にわたってパージされるのが好ましい。
【0050】
図7Cを参照すると、CDA(クリーンドライエア)フローのチェック後、CTRL2は、パイロット発火装置が点灯の準備が整って、パイロットの発火を有効にすることを確認する。発火のための構成は、CTRL1により制御される通り、熱反応器装置が燃焼プロセスで酸素富化空気(OEA)を用いる必要があるかどうかに応じて異なる。発火は、CTRL2が前のステップでパイロット発火装置を有効にすることなく、進まないことに留意する。その後、火炎をチェックして、例えば、上述の火炎センサを用いて、パイロットの発火を確認しなければならない。パイロットが発火に成功してはじめて、CTRL2は燃料および廃物ストリームフローを有効にする。重要なのは、CTRL2が、燃料のフロー及び廃物ストリームを適切な入口まで能動的にオンせず、CTRL1が適宜フローをオンにする。
【0051】
図7Dを参照すると、CTRL1は、装置の下流スクラビング手段と関連した水分抑制をチェックする。その後、第2の段階および入口CDA(またはOEA)がチェックされる。重要なのは、シーケンスのこの段階で、廃物ストリームはまだその中での除害のために熱反応器に入っていないことである。廃物導入の前に、ライン端部から出る排気の圧力を、熱反応器に入る圧力と比較して、例えば、入口でのSiO2蓄積等、システムの内部が詰まっているかどうか確かめなければならない。内側圧力は外側圧力と略等しいのが好ましく、これは、大幅な目詰まりが存在しないことを示す。例えば、圧力変化は、好ましくは水の2インチ未満、好ましくは約0.25インチ〜約0.50インチの範囲である。
【0052】
図7Eを参照すると、バーナージェットは、例えば、火炎センサを用いて、発火してチェックされ、パイロット火炎がバーナージェットを適切に発火するのを確認している。パイロットが、バーナージェットから流れる燃料を発火するのに失敗し、且つ/又はバーナージェットの火炎がその後消えた場合には、熱反応器内に潜在的に危険な状況が存在している。このチェックは、バーナージェットを発火し、パイロット火炎をオフにすることによって火炎センサを用いてなされ、火炎、例えば、バーナージェット火炎が検出されることを確認する。この段階で、前の全てのステップが確実に確認されたと仮定して、パイロットが再発火され、バーナージェットは消され、システムは廃物を処理する準備が整う。
【0053】
図7Fを参照すると、上流ツールが除害を要求し、バーナージェットは再発火され、該ツールからの廃物ストリームがその中での処理のために熱反応器に入れられる。重要なのは、廃物ストリームフローが、CTRL2によるシーケンスで予め有効にされたことである(例えば、図7C参照)。残りのシーケンスは、除害と、要求時のシャットダウンを含む。当業者であれば、本明細書に記載した熱除害反応器は、多数のウェハプロセスツール又はバックアップ代替採水口除害ツールから放出された廃物ストリームを除害することが分かるはずである。
【0054】
多くのその他のチェック/確認が、これらに限られるものではないが、所定の最大最低レベル間に循環タンクの水レベルを維持する論理、火炎センサの操作性をモニターする論理、及び熱反応器の全コンポーネントの使用法をモニターして、特定のコンポーネントの予防保守が必要なときはそれを示す論理をはじめとするプロセス制御シーケンスへ組み込まれてもよいことに注意する。
【0055】
図7A〜7Fに挙げたステップのシーケンスは、熱反応器が効率的且つ安全に操作されることを保障するものである。安全冗長性は、2つの独立したコントローラの利用により得られる。一方は、熱反応器のスタートアップ及び操作を制御し、他方は重要項目のみの操作を有効にする。
更に他の実施形態において、熱除害反応器は高性能除害のために修正される。一般的に言って、本実施形態は、ある期間にわたって熱反応器に入る廃物の量を定量する。本発明以前は、リアルタイムで、どのくらいの廃物が熱反応器により処理されたか判断することはできなかった。熱反応器の重要項目を応答可能に調整して、除害性能を最良にし、且つ操作コストを下げるため、リアルタイム情報は極めて有利なものである。
【0056】
高性能除害実施形態の必須のコンポーネントとしては、引用によりその全内容が本明細書に一体化される2003年9月9日発行の米国特許第6,617,175号(ホセアルノー(Jose Arno))に開示された検出器システム、例えば、赤外熱電対列(TPIR)が挙げられる。当業者であれば、検出器システムがTPIRに限定されるものではなく、必要な分析に利用できる任意のタイプの電磁放射線検出器であってよいことが分かるはずである。
【0057】
TPIR出力には、方形波変化が含まれ(図8参照)、記録された各方形波は1つのウェハが処理されたことを示す。このように、方形波の合計数は処理されたウェハの数に等しい。どのくらいの廃物がウェハ1枚当たりで生成されたか、そして処理されたウェハの合計数が分かると、経時で上流プロセスツールにより生成される廃物の合計量を計算することができる。処理されたウェハの数は、生成され処理された廃物の量に直接比例している。
【0058】
検出器システムは、コントローラに情報伝達できるように接続されている。実際、TPIR又はその他分析装置により生成された分析信号は、コントローラにより捉えられ、これが、熱反応器の操作を調整する。例えば、燃料フロー及び/又は酸化剤フローは、生成された廃物の容積に応じて変更し、予防保守サイクルは、処理したウェハの数に基づいてスケジュールしてよい。
【0059】
具体的には、方形波を「数える」適切な論理を用いて、ウェハを「数える」ようにコントローラをプログラミングしてよい。例えば、TPIR電圧出力が、特定の時間、例えば、1分間にわたって、ある値、例えば、約0.25Vを超えてから、所定の基礎値に下がったら、その「カウント」変数を1つ増やすようにコントローラをプログラミングしてよい。
【0060】
このように、TPIRの情報伝達またはその等価物によって、コントローラが高性能の除害を可能として、熱反応器がリアルタイムで調整されて、効率的且つ安全に廃物を除害する。
【0061】
発明を例示の実施形態及び構成を参照して様々にここに記載してきたが、上述した実施形態及び構成は本発明を限定するためではなく、本明細書の開示内容に基づいて、当業者であれば、その他の変形、修正及び実施形態を容易に示唆できるものと考えられる。従って、本発明は、規定された請求項に一致して広く解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明による熱反応ユニット、入口アダプタ及び下部チャンバの断面図である。
図2】本発明による入口アダプタ及び火炎センサの三次元図である。
図3】本発明による入口アダプタ及び火炎センサの断面図である。
図4A】アクチュエータが閉じた、本発明による火炎センサのアクチュエータの断面図である。
図4B】アクチュエータが開いた、本発明による火炎センサのアクチュエータの断面図である。
図5】本発明による本質安全可燃性ガスセンサのコンポーネントの概略図である。
図6】本発明による燃料ブースター回路のコンポーネントの概略図である。
図7A】〜
図7F】本発明による制御プラットフォームの実施形態を示すフローチャートである。
図8】赤外熱電対列(TPIR)検出システムの出力を示す図である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8