特許第5693265号(P5693265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693265太陽電池及びその電極形成用導電性ペースト
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  • 特許5693265-太陽電池及びその電極形成用導電性ペースト 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693265
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】太陽電池及びその電極形成用導電性ペースト
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   H01L31/04 264
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-17782(P2011-17782)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-33856(P2012-33856A)
(43)【公開日】2012年2月16日
【審査請求日】2014年1月8日
(31)【優先権主張番号】特願2010-155001(P2010-155001)
(32)【優先日】2010年7月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(72)【発明者】
【氏名】田辺 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】村松 和郎
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−083748(JP,A)
【文献】 特開平05−151818(JP,A)
【文献】 特開2009−200276(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/149438(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶系シリコン太陽電池の、反射防止膜が形成された表面の電極形成用導電性ペーストであって、銀を含む導電性粒子、ガラスフリット、所定の添加粒子、有機バインダ及び溶剤を含み、所定の添加粒子がアルミノケイ酸塩粒子及びケイ酸アルミニウム粒子から選択される1つ以上である、導電性ペースト。
【請求項2】
アルミノケイ酸塩粒子がリチウムを含む、請求項1記載の導電性ペースト。
【請求項3】
アルミノケイ酸塩粒子が、β−ユークリプタイト粒子である、請求項1又は2記載の導電性ペースト。
【請求項4】
アルミノケイ酸塩粒子の含有量が、導電性粒子100重量部に対して0.1〜5重量部である、請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性ペースト。
【請求項5】
ガラスフリットがPbOを含む、請求項1〜4いずれか1項記載の導電性ペースト。
【請求項6】
PbOの含有量が、ガラスフリット100重量%に対して50〜90重量%である、請求項5記載の導電性ペースト。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の導電性ペーストを、結晶系シリコン基板のn型シリコン層上の反射防止膜上に印刷し、乾燥し、及び焼成することによって電極を形成する工程を含む、太陽電池の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の製造方法によって製造される太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の電極形成用導電性ペースト、特に単結晶シリコン又は多結晶シリコン等の結晶系シリコンを基板として用いた結晶系シリコン太陽電池の表面又は裏面電極形成用導電性ペースト、その電極形成用導電性ペーストを用いる太陽電池の製造方法及びその製造方法によって製造される太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶シリコンあるいは多結晶シリコンを平板状に加工した結晶系シリコンを基板に用いた結晶系シリコン太陽電池は、近年、その生産量が大幅に増加している。これらの太陽電池は、発電した電力を取り出すための電極を有する。
【0003】
一例として、結晶系シリコン太陽電池の断面模式図を図1に示す。結晶系シリコン太陽電池では、一般に、p型結晶系シリコン基板4の光入射側である表面にn型拡散層(n型シリコン層)3を形成する。n型拡散層3の上には、反射防止膜2を形成する。さらに、スクリーン印刷法などによって導電性ペーストを用いて光入射側電極1(表面電極)のパターンを反射防止膜2上に印刷し、導電性ペーストを乾燥及び焼成することによって光入射側電極1が形成される。この焼成の際、導電性ペーストが反射防止膜2をファイアースルーすることによって、光入射側電極1は、n型拡散層3に接触するように形成することができる。なお、ファイアースルーとは、絶縁膜である反射防止膜を導電性ペーストに含まれるガラスフリット等でエッチングし、光入射側電極1とn型拡散層3とを導通させることである。p型シリコン基板4の裏面側からは光を入射させなくてもよいため、一般に、ほぼ全面に裏面電極5を形成する。p型シリコン基板4とn型拡散層3の界面にはpn接合が形成されている。太陽光等の光は、反射防止膜2及びn型拡散層3を透過して、p型シリコン基板4に入射し、この過程で吸収され、電子−正孔対が発生する。これらの電子−正孔対は、pn接合による電界によって、電子は光入射側電極1へ、正孔は裏面電極5へと分離される。電子及び正孔は、これらの電極を介して、電流として外部に取り出される。
【0004】
従来の太陽電池、特に結晶系シリコン太陽電池の電極形成には、導電性粒子、ガラスフリット、有機バインダ、溶剤及びその他の添加物を含む導電性ペーストが用いられている。導電性粒子としては、主に銀粒子が用いられている。
【0005】
太陽電池の電極を形成するための導電性組成物(導電性ペースト)の例として、引用文献1には、銀粉末とPbOを含有するガラス粉末と有機物からなるビヒクルとを含み、窒化ケイ素層を貫通して前記窒化ケイ素層の下に形成されたn型半導体層と導通する電極を形成するための導電性組成物が記載されている。引用文献1には、さらに、この導電性組成物が、前記銀粉末の前記組成物中の比率が70質量%以上95質量%以下であり、前記ガラス粉末が前記銀粉末100質量部に対して1質量部以上10質量部以下含まれ、前記ガラス粉末の塩基度が0.6以上0.8以下であってガラスの転移点が300℃〜450℃であることを特徴とすることが記載されている。
【0006】
引用文献2には、銀粉末とPbOを含有しないガラス粉末と有機物からなるビヒクルとを含み、窒化ケイ素層を貫通して前記窒化ケイ素層の下に形成されたn型半導体層と導通する電極を形成するための導電性組成物が記載されている。引用文献2には、さらに、この導電性組成物が、前記銀粉末の前記組成物中の比率が70質量%以上95質量%以下であり、前記ガラス粉末が前記銀粉末100質量部に対して1質量部以上10質量部以下含まれ、前記ガラス粉末の塩基度が0.16以上0.44以下であってガラスの転移点が300℃〜450℃であることを特徴とすることが記載されている。
【0007】
引用文献3には、一導電型を呈する半導体基板の一主面側に他の導電型を呈する領域を形成すると共に、この半導体基板の一主面側に反射防止膜を形成し、この反射防止膜上と前記半導体基板の他の主面側に銀粉末、有機ビヒクル、及びガラスフリットから成る電極材料を焼き付ける太陽電池素子の形成方法が記載されている。引用文献3には、さらに、前記反射防止膜上に焼き付ける電極材料が、Ti、Bi、Co、Zn、Zr、Fe、Cr成分のうちのいずれか一種又は複数種を含有することを特徴とすることが記載されている。
【0008】
引用文献4には、窒化ケイ素膜を有する結晶系シリコン太陽電池の、窒化ケイ素膜上に印刷するための太陽電池電極形成用導電性ペーストが記載されている。引用文献4には、さらに、この導電性ペーストが、銀を含む導電性粒子、ガラスフリット、有機バインダ及び溶剤を含み、ガラスフリットが、酸化亜鉛及び酸化ホウ素を含み、酸化亜鉛及び酸化ホウ素の合計重量が、ガラスフリット全体の重量に対し90重量%以上であり、酸化亜鉛の含有率が、酸化亜鉛及び酸化ホウ素の合計重量に対し50重量%〜80重量%であることが記載されている。
【0009】
引用文献5には、銀を含む導電性粒子、ガラスフリット、有機バインダ及び溶剤を含む、結晶系シリコン太陽電池のn型シリコン層への電極形成用導電性ペーストであって、ガラスフリット及び/又はさらに導電性ペーストに含まれる添加物が、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも一つの2族系添加元素を含み、導電性ペースト中のPb含有量が、0.1重量%以下である、導電性ペーストが記載されている。
【0010】
また、セラミック基板上に電極を形成するための導体ペーストとして、引用文献6には、銀とパラジウムを含む複合粉末、ガラス粉末及び酸化ビスマス粉末がビヒクル中に分散されている導体ペーストにおいて、ペースト固形分中にガラス粉末を2〜9重量%含有しかつβ−ユークリプタイト(LiO・Al・2SiO)粉末を、ガラス粉末100重量部当り4〜35重量部含有することを特徴とする導体ペーストが記載されている。また、引用文献6には、β−ユークリプタイトの熱膨張係数は小さいことが記載されている。引用文献6には、さらに、導体ペーストがβ−ユークリプタイトを含むことにより、ガラスと混合溶融することにより焼成後の無機結合剤層の熱応力が緩和され、導体層の体積膨張があっても破壊されにくくなるものと推測されることが記載されている。すなわち、引用文献6には、導体ペーストに対するβ−ユークリプタイトの添加が、機械的な性質である熱応力の緩和に対して寄与するとの推測が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−231826号公報
【特許文献2】特表2009−231827号公報
【特許文献3】特開2001−313400号公報
【特許文献4】特開2009−194121号公報
【特許文献5】特開2009−194141号公報
【特許文献6】特開平5−151818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
結晶系シリコン太陽電池において、変換効率等の太陽電池特性に及ぼす電極の影響は大きく、特に光入射側電極の影響は非常に大きい。この光入射側電極は、n型拡散層との接触抵抗が十分に低く、オーミックに電気的接触することが必要である。また、電極自体の電気抵抗も十分に低いことが必要であり、したがって、電極材料自体の抵抗(導体抵抗)が低いことも重要となる。また、生産性の向上及び長寿命化のためには、電極にはんだ付けされるインターコネクト用の金属リボンの接着強度が高いことがさらに重要である。
【0013】
そこで、本発明は、結晶系シリコン太陽電池において、結晶系シリコン基板との接触抵抗が低い電極を形成することのできる太陽電池電極形成用導電性ペーストを得ることを目的とする。特に、本発明は、結晶系シリコン基板のn型拡散層との接触抵抗が低い電極を形成することのできる太陽電池電極形成用導電性ペーストを得ることを目的とする。また、本発明は、高いフィルファクター及び高い変換効率を有する高性能の結晶系シリコン太陽電池を得ること及びその製造方法を得ることを目的とする。また、本発明は、電極にはんだ付けされるインターコネクト用の金属リボンの接着強度が高い結晶系シリコン太陽電池を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の発明者らは、導電性ペーストにβ−ユークリプタイト粒子等のアルミノケイ酸塩粒子を添加した場合には、予期せぬことに、電気的な特性である結晶系シリコン基板と電極との間の接触抵抗が低くなることを見出した。さらに、本願発明者らは、結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストにβ−ユークリプタイト粒子等のアルミノケイ酸塩粒子を添加した場合には、高いフィルファクター及び高い変換効率を有する高性能の結晶系シリコン太陽電池を得ることができることを見出し、本願発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明は、結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストであって、銀を含む導電性粒子、ガラスフリット、所定の添加粒子、有機バインダ及び溶剤を含み、所定の添加粒子がアルミノケイ酸塩粒子及びケイ酸アルミニウム粒子から選択される1つ以上である、導電性ペーストである。導電性ペーストが前記材料を含むことにより、結晶系シリコン基板との接触抵抗が低い電極を形成することができる。
【0016】
本発明の導電性ペーストの好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)アルミノケイ酸塩粒子がリチウムを含む。例えば、β−ユークリプタイト粒子のように、リチウムを含むアルミノケイ酸塩粒子を用いるならば、結晶系シリコン基板との接触抵抗が低い電極を形成することを確実にできる。
(2)アルミノケイ酸塩粒子が、β−ユークリプタイト粒子である。そのため、結晶系シリコン基板との接触抵抗が低い電極を形成することをさらに確実にできる。特に、結晶系シリコン基板のn型拡散層との接触抵抗が低い電極を形成することができる。そのため、高性能の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。
(3)アルミノケイ酸塩粒子の含有量が、導電性粒子100重量部に対して0.1〜5重量部である。アルミノケイ酸塩粒子の含有量が、導電性粒子100重量部に対して0.1重量部以上であることにより、結晶系シリコン基板との接触抵抗が低い電極を形成することを確実にできる。また、アルミノケイ酸塩粒子の含有量が、導電性粒子100重量部に対して5重量部であることにより、電極にはんだ付けされるインターコネクト用の金属リボンの接着強度が高い結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。
(4)ガラスフリットがPbOを含む。アルミノケイ酸塩粒子等の所定の添加粒子と、PbOを含むガラスフリットとを含む導電性ペーストを用いる場合には、高い太陽電池性能の太陽電池を得ることができる。
(5)PbOの含有量が、ガラスフリット100重量%に対して50〜90重量%である。アルミノケイ酸塩粒子等の所定の添加粒子と、所定含有量のPbOを含むガラスフリットとを含む導電性ペーストを用いる場合には、高いインターコネクト用の金属リボンの接着強度を得ることができると共に、高い太陽電池性能の太陽電池を得ることができる。
【0017】
また、本発明は、上述の本発明の導電性ペーストを、結晶系シリコン基板のn型シリコン層上又はn型シリコン層上の反射防止膜上に印刷し、乾燥し、及び焼成することによって電極を形成する工程を含む、太陽電池の製造方法である。本発明の導電性ペーストを用いて電極を形成することにより、高いフィルファクター及び高い変換効率を有する高性能の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。
【0018】
また、本発明は、上述の本発明の製造方法によって製造される太陽電池である。本発明の太陽電池は、高いフィルファクター及び高い変換効率を有する高性能の結晶系シリコン太陽電池である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、結晶系シリコン太陽電池において、結晶系シリコン基板との接触抵抗が低い電極を形成することのできる太陽電池電極形成用導電性ペーストを得ることができる。特に、本発明により、結晶系シリコン基板のn型拡散層との接触抵抗が低い電極を形成することのできる太陽電池電極形成用導電性ペーストを得ることができる。また、本発明の太陽電池電極形成用導電性ペーストを用いて電極を形成することにより、高いフィルファクター及び高い変換効率を有する高性能の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。また、本発明の太陽電池電極形成用導電性ペーストを用いて電極を形成することにより、電極にはんだ付けされるインターコネクト用の金属リボンの接着強度が高い結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】結晶系シリコン太陽電池の表面電極付近の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、「結晶系シリコン」は単結晶及び多結晶シリコンを包含する。また、「結晶系シリコン基板」は、電気素子又は電子素子の形成のために、結晶系シリコンを平板状など、素子形成に適した形状に成形した材料のことをいう。結晶系シリコンの製造方法は、どのような方法を用いても良い。例えば、単結晶シリコンの場合にはチョクラルスキー法、多結晶シリコンの場合にはキャスティング法を用いることができる。また、その他の製造方法、例えばリボン引き上げ法により作製された多結晶シリコンリボン、ガラス等の異種基板上に形成された多結晶シリコンなども結晶系シリコン基板として用いることができる。また、「結晶系シリコン太陽電池」とは、結晶系シリコン基板を用いて作製された太陽電池のことをいう。また、太陽電池特性を表す指標として、光照射下での電流−電圧特性の測定から得られる曲線因子(フィルファクター、以下、「FF」ともいい、フィルファクターの値を「FF値」という)を用いる。
【0022】
本発明は、電極とn型拡散層との接触抵抗が低く、高いフィルファクター有し、高効率の結晶系シリコン太陽電池を製造するための、太陽電池電極形成用の導電性ペーストを得ることを目的とする。本発明の発明者らは、所定の導電性ペーストにβ−ユークリプタイト粒子等のアルミノケイ酸塩粒子を添加した場合には、予期せぬことに、電気的な特性である結晶系シリコン基板と電極と間の接触抵抗が低くなることを見出した。また、アルミノケイ酸塩粒子の代わりに、ケイ酸アルミニウムを添加した場合にも優れた電気的特性を得ることができることを見出した。さらに、本願発明者らは、結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストにβ−ユークリプタイト粒子等のアルミノケイ酸塩粒子又はケイ酸アルミニウムを添加した場合には、高いフィルファクター及び高い変換効率を有する高性能の結晶系シリコン太陽電池を得ることができることを見出し、本願発明に至った。以下、本発明の電極形成用導電性ペーストについて、詳しく説明する。
【0023】
本発明の電極形成用導電性ペーストは、結晶系シリコン太陽電池の電極形成用導電性ペーストであって、銀を含む導電性粒子、ガラスフリット、所定の添加粒子、有機バインダ及び溶剤を含む。所定の添加粒子とは、アルミノケイ酸塩粒子及びケイ酸アルミニウム粒子から選択される1つ以上である。本発明の電極形成用導電性ペーストは、特に、n型シリコン層へ電極を形成する場合に好ましく用いることができる。本発明の電極形成用導電性ペーストは、アルミノケイ酸塩粒子及び/又はケイ酸アルミニウム粒子を含むことを特徴とする。アルミノケイ酸塩としては、どのようなものであっても用いることができるが、リチウムを含むアルミノケイ酸塩粒子、例えばβ−ユークリプタイト粒子を用いることが好ましい。本発明の電極形成用導電性ペーストが、リチウムを含むアルミノケイ酸塩粒子、例えばβ−ユークリプタイト粒子を含むことにより、結晶系シリコン基板との接触抵抗が低い電極を形成することを確実にできる。本発明の電極形成用導電性ペーストは、導電性粒子、ガラスフリット、所定の添加粒子(アルミノケイ酸塩粒子及び/又はケイ酸アルミニウム粒子)、有機バインダ及び溶剤を含み、その他の添加剤及び/又は添加物を必要に応じてさらに含むことができる。
【0024】
本発明の電極形成用導電性ペーストに含まれる導電性粒子の主要成分は、銀である。本発明の電極形成用導電性ペーストには、太陽電池電極の性能が損なわれない範囲で、銀以外の他の金属を含むことができる。しかし、低い電気抵抗及び高い信頼性を得る点から、導電性粒子は銀からなることが好ましい。
【0025】
導電性粒子の粒子形状及び粒子寸法は、特に限定されない。粒子形状としては、例えば、球状及びリン片状等のものを用いることができる。粒子寸法は、一粒子の最長の長さ部分の寸法をいう。導電性粒子の粒子寸法は、作業性の点等から、0.05〜20μmであることが好ましく、0.1〜5μmであることがさらに好ましい。
【0026】
一般的に、微小粒子の寸法は一定の分布を有するので、全ての粒子が上記の粒子寸法である必要はなく、全粒子の積算値50%の粒子寸法(D50)が上記の粒子寸法の範囲であることが好ましい。また、粒子寸法の平均値(平均粒子寸法)が、上記範囲にあってもよい。本明細書に記載されている導電性粒子以外の粒子の寸法についても同様である。
【0027】
また、導電性粒子の大きさを、BET値(BET比表面積)として表すことができる。導電性粒子のBET値は、好ましくは0.1〜5m/g、より好ましくは0.2〜2m/gである。
【0028】
本発明の電極形成用導電性ペーストに含まれるアルミノケイ酸塩粒子としては、例えばユークリプタイト(LiAlSiO)、スポジュメン(LiO・AlSiO)及びコージェライト(2MgO・Al・5SiO)など、どのような種類のものでも用いることができる。結晶系シリコン基板と電極と間の接触抵抗をより低くするためには、リチウムを含むアルミノケイ酸塩粒子を用いることが好ましい。リチウムを含むアルミノケイ酸塩粒子としては、ユークリプタイト粒子を用いることが好ましい。ユークリプタイト(理論化学組成式:LiAlSiO)とは、LiO、Al及びSiOを主成分とする化合物である。本発明の電極形成用導電性ペーストに含まれるユークリプタイト粒子としては、具体的には、β−ユークリプタイト(LiO・Al・2SiO)粒子を用いることが、結晶系シリコン基板と電極と間の接触抵抗を確実により低くすることができる点から好ましい。
【0029】
本発明の電極形成用導電性ペーストに含まれるアルミノケイ酸塩粒子としては、化学組成式:LiAlSi(xが1〜3の範囲、yが4〜8の範囲)のものを用いることができる。x及びyは、整数であることができ、また小数であることができる。アルミノケイ酸塩粒子は、結晶構造であってもよく、アモルファス状態の構造でもよい。一般に、x及びyが、整数である場合には所定の結晶構造となり、x及びyが、整数ではない場合にはアモルファス状態の構造となる。アルミノケイ酸塩粒子としては、1種類のアルミノケイ酸塩粒子を用いることができる。また、アルミノケイ酸塩粒子としては、異なる種類のケイ酸アルミニウム粒子を1種類以上用いることができる。
【0030】
本発明の電極形成用導電性ペーストでは、上述のアルミノケイ酸塩粒子の代わりに、所定の添加粒子として、ケイ酸アルミニウム粒子(AlSiO)を用いることができる。ケイ酸アルミニウム粒子(AlSiO)を添加した場合にも、得られる電極の電気的特性を向上することができる。しかしながら、より高い電気的特性を得るためには、所定の添加粒子がアルミノケイ酸塩粒子であることが好ましく、所定の添加粒子がβ−ユークリプタイトであることがより好ましい。
【0031】
本発明の電極形成用導電性ペーストを用いると、結晶系シリコン基板と電極と間の接触抵抗を確実により低くすることができるメカニズムとして、本発明者らは、次のように推測する。すなわち、アルミノケイ酸塩、例えばβ−ユークリプタイト粒子を、ガラスフリットとは別の粒子として添加することにより、電極形成のための導電性ペーストの焼成の際に、溶融するガラスフリットの流動状態を制御することができると考えられる。そのため、導電性粒子と、結晶系シリコン基板とが接触する部分の面積を比較的大きくすることができるので、導電性ペーストの焼成により形成される電極と、結晶系シリコン基板との間の接触抵抗を低くすることができると考えられる。また、各種アルミノケイ酸塩粒子は、焼成の際に同様な性質を有することから、β−ユークリプタイト粒子の添加のみならず、各種アルミノケイ酸塩粒子の導電性ペーストに対する添加によって、低い接触抵抗の電極を形成することができると考えられる。しかしながら、本発明は、これらの推測に拘束されるものではない。
【0032】
ケイ酸アルミニウム粒子(AlSiO)を添加した場合にも、上述のアルミノケイ酸塩の場合と同様の推測により、低い接触抵抗の電極を形成することができると考えられる。しかしながら、本発明は、これらの推測に拘束されるものではない。
【0033】
本発明の電極形成用導電性ペーストにおいて所定の添加粒子(アルミノケイ酸塩粒子及び/又はケイ酸アルミニウム粒子)の添加量は、導電性粒子100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましく、0.5〜2重量部であることがより好ましく、0.5〜1.5重量部であることがさらに好ましい。所定の添加粒子の添加量が、導電性粒子100重量部に対して0.1重量部未満である場合には、太陽電池の特性、特にフィルファクター(FF)が低下する傾向となる。また、所定の添加粒子の添加量が、導電性粒子100重量部に対して5重量部を超える場合も、太陽電池の特性、特にフィルファクター(FF)が低下する傾向となる。なお、所定の添加粒子の添加量(導電性粒子100重量部に対する重量部)が2重量部を超える導電性ペーストの場合には、電極形成後の金属リボンのはんだ付けがやや難しくなり、5重量部を超える導電性ペーストの場合には、電極形成後の金属リボンのはんだ付けが困難になる場合がある。
【0034】
所定の添加粒子の添加の効果を確実にするために、所定の添加粒子の平均粒径は0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。平均粒径は、マイクロトラック法(レーザー回折散乱法)にて粒度分布測定を行い、粒度分布測定の結果からD50値を得ることにより求めることができる。
【0035】
本発明の電極形成用導電性ペーストに含まれるガラスフリットとしては、Pbを含むガラスフリットを用いることができ、また、Pbを含まないPbフリー系ガラスフリットを用いることもできる。本発明の電極形成用導電性ペーストでは、ガラスフリットの種類に関係なく、ガラスフリットとは別の粒子として、所定の添加粒子(アルミノケイ酸塩粒子及び/又はケイ酸アルミニウム粒子)を添加することにより、高い変換効率の結晶系シリコン太陽電池を得ることができる。
【0036】
本発明の導電性ペーストを用いることにより、より高い変換効率の結晶系シリコン太陽電池を得るためには、PbOを含むガラスフリットを用いることが好ましい。より高い変換効率の結晶系シリコン太陽電池を確実に得るために、PbOの含有量は、ガラスフリット100重量%に対して50〜90重量%であることが好ましく、60〜85重量%であることがより好ましい。
【0037】
本発明の電極形成用導電性ペーストに含まれることができるPbを含むガラスフリットは、PbO−SiO−B系及びBi−PbO−SiO−B系等を例示することができるが、それらに限定されるものではない。
【0038】
また、本発明の電極形成用導電性ペーストに含まれることができるガラスフリットとして、Pbフリー系ガラスフリット(例えばBi−B−SiO系及びSiO−B−RO系等、ただしRはリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)等のアルカリ金属を表す)を用いることができるが、それらに限定されるものではない。
【0039】
ガラスフリットの粒子の形状は特に限定されず、例えば球状、不定形等のものを用いることができる。また、粒子寸法も特に限定されないが、作業性の点等から、粒子寸法の平均値(D50)は0.1〜10μmの範囲が好ましく、0.5〜5μmの範囲がさらに好ましい。本発明の電極形成用導電性ペーストへのガラスフリットの添加量は、導電性粒子100重量部に対し、通常1〜10重量部であり、好ましくは2〜8重量部である。
【0040】
本発明の電極形成用導電性ペーストに対する所定の添加粒子(アルミノケイ酸塩粒子及び/又はケイ酸アルミニウム粒子)の添加の効果をより確実にするために、ガラスフリットの軟化点は、300〜700℃であることが好ましく、400〜600℃であることがより好ましい。
【0041】
本発明の電極形成用導電性ペーストは、有機バインダ及び溶剤を含むことができる。有機バインダ及び溶剤は、導電性ペーストの粘度調整等の役割を担うものであり、いずれも特に限定されない。有機バインダを溶剤に溶解させて使用することもできる。
【0042】
有機バインダとしては、セルロース系樹脂(例えばエチルセルロース、ニトロセルロース等)、(メタ)アクリル系樹脂(例えばポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等)から選択して用いることができる。有機バインダの添加量は、導電性粒子100重量部に対し、通常0.2〜30重量部であり、好ましくは0.4〜5重量部である。
【0043】
溶剤としては、アルコール類(例えばターピネオール、α−ターピネオール、β−ターピネオール等)、エステル類(例えばヒドロキシ基含有エステル類、2,2,4―トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、ブチルカルビトールアセテート等)から1種又は2種以上を選択して使用することができる。溶剤の添加量は、導電性粒子100重量部に対し、通常0.5〜30重量部であり、好ましくは5〜25重量部である。
【0044】
さらに、本発明の電極形成用導電性ペーストには、添加剤として、可塑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、安定剤及び密着促進剤などから選択したものを、必要に応じて配合することができる。これらのうち、可塑剤としては、フタル酸エステル類、グリコール酸エステル類、リン酸エステル類、セバチン酸エステル類、アジピン酸エステル類及びクエン酸エステル類などから選択したものを用いることができる。
【0045】
さらに、本発明の電極形成用導電性ペーストは、添加物として、金属酸化物粒子、例えば、酸化バナジウム、酸化マンガン粒子及び/又は酸化亜鉛等から選択した金属酸化物粒子を、得られる太陽電池電極の性能を損なわない範囲で含むことができる。
【0046】
次に、本発明の電極形成用導電性ペーストの製造方法について説明する。本発明の電極形成用導電性ペーストは、有機バインダ及び溶剤に対して、導電性粒子、所定の添加粒子(アルミノケイ酸塩粒子及び/又はケイ酸アルミニウム粒子)及びガラスフリットを添加し、混合し、分散することにより製造することができる。
【0047】
混合は、例えばプラネタリーミキサーで行うことができる。また、分散は、三本ロールミルによって行うことができる。混合及び分散は、これらの方法に限定されるものではなく、公知の様々な方法を使用することができる。
【0048】
次に、本発明の電極形成用導電性ペーストを用いた結晶系シリコン太陽電池の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、上述の本発明の電極形成用導電性ペーストを、結晶系シリコン基板のn型シリコン層上又はn型シリコン層上の反射防止膜上に印刷し、乾燥し、及び焼成することによって電極を形成する工程を含む。以下、本発明の製造方法について、図1を参照して、さらに詳しく説明する。
【0049】
図1は、表面電極1付近の結晶系シリコン太陽電池の断面模式図を示す。図1に示す結晶系シリコン太陽電池は、光入射側に形成された表面電極1、反射防止膜2、n型拡散層(n型シリコン層)3、p型シリコン基板4及び裏面電極5を有する。
【0050】
本発明の太陽電池の製造方法では、上述の本発明の電極形成用導電性ペーストを、太陽電池用基板の表面電極及び/又は裏面電極を形成するため用いることができる。具体的には、本発明の太陽電池の製造方法は、上述の本発明の電極形成用導電性ペーストを、結晶系シリコン基板(例えば、p型シリコン基板4)のn型シリコン層3上又はn型シリコン層3上の反射防止膜2上に印刷する工程を含む。
【0051】
本発明の電極形成用導電性ペーストは、p型シリコン層の表面に電極を形成する場合にも用いることができる。基板と電極との間のより低い接触抵抗を得ることによって、より高い性能の結晶系シリコン太陽電池を得るためには、本発明の電極形成用導電性ペーストは、n型シリコン層3の表面の電極を形成する場合に用いることが好ましい。
【0052】
図1には、本発明の電極形成用導電性ペーストを、表面電極1の形成のために用いる例を示している。しかしながら、本発明の電極形成用導電性ペーストは、表面電極1及び裏面電極5のどちらを形成する場合においても用いることができる。すなわち、本発明の電極形成用導電性ペーストは、n型シリコン基板を用いた場合の裏面のn型シリコン表面の電極形成用に用いることができる。
【0053】
本発明の電極形成用導電性ペーストを、単結晶シリコン又は多結晶シリコンの太陽電池用基板の表面電極1を形成するために用いる場合には、シリコン基板のn型シリコン層上に直接印刷してもよいし、n型拡散層(n型シリコン層)3上の反射防止膜2上に印刷することもできる。本発明の電極形成用導電性ペーストを、反射防止膜2上に印刷する場合には、後の焼成の際に導電性ペーストが反射防止膜2をファイアースルーし、n型拡散層3上に表面電極1が形成される。
【0054】
なお、高い変換効率を得るという観点から、結晶系シリコン基板の光入射側の表面には、ピラミッド状のテクスチャ構造を有することが好ましい。
【0055】
図1に示す構造の太陽電池を製造する場合には、本発明の電極形成用導電性ペーストを、スクリーン印刷法等の方法を用いて、表面にn型拡散層3を有する結晶系シリコン基板上、又はn型拡散層3上に形成された反射防止膜2上に電極パターンを印刷することができる。
【0056】
本発明の太陽電池の製造方法では、上述のように印刷した電極形成用導電性ペーストを乾燥し、焼成する工程を含む。すなわち、まず、印刷した電極パターンを、100〜150℃程度の温度で数分間(例えば0.5〜5分間)乾燥する。同様に、裏面に対しても本発明の電極形成用導電性ペースト又はその他の導電性ペースト(例えば、アルミニウムを主成分とした導電性ペースト)をほぼ全面に印刷し、乾燥する。
【0057】
その後、導電性ペーストを乾燥したものを、管状炉などの焼成炉を用いて大気中で、500〜850℃程度の温度で0.4〜3分間焼成して、光入射側の表面電極1及び裏面電極5を形成する。具体的には、焼成炉のイン−アウト0.5分の焼成時間とすることができる。反射防止膜2上に本発明の電極形成用導電性ペーストを印刷した場合には、焼成中に高温のペースト材料が反射防止膜2をファイアースルーするために、表面電極1とシリコン基板上のn型拡散層3を電気的に接続することができる。この結果、図1に示すような構造の太陽電池を得ることができる。なお、焼成条件は、上記に限定されず、適宜選択できる。
【0058】
全裏面電極型(いわゆるバックコンタクト構造)や、光入射側電極を基板に設けた貫通孔を通じて裏面に導通させる構造の太陽電池においても、n型シリコン層への電極形成用として、本発明の電極形成用導電性ペーストを用いることができる。
【0059】
以上、p型シリコン基板を用いた太陽電池の例について説明したが、n型シリコン基板を用いた結晶系シリコン太陽電池の場合でも、拡散層を形成する不純物をリンなどのn型不純物からホウ素などのp型不純物へ変更し、n型拡散層の代わりにp型拡散層を形成することが異なるだけで、同様のプロセスによって本発明の電極形成用導電性ペーストを用いた太陽電池を製造することができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
<導電性ペーストの材料及び調製割合>
実施例及び比較例の太陽電池製造に用いた導電性ペーストの組成は、下記のとおりである。
・導電性粒子 :Ag(100重量部)。球状、BET値が0.6m/g、平均粒径D50が1.4μmのものを用いた。
・有機バインダ :エチルセルロース(1重量部)。エトキシ含有量48〜49.5重量%のものを用いた。
・溶剤 :ブチルカルビトールアセテート(11重量部)。
・ガラスフリット:Pb系ガラスフリット(PbO−B−SiO)(5重量部)、(平均粒径D50は2μm)、軟化点480℃。
・実施例1〜4のアルミノケイ酸塩粒子:実施例1〜4には、所定の添加粒子としてβ−ユークリプタイト粒子(LiAlSiO、平均粒径D50は1μm)を添加した。実施例1〜4のβ−ユークリプタイト粒子の導電性ペーストへの添加量は、後述するように実験条件によって変化させて添加した。
・実施例5及び6のアルミノケイ酸塩粒子:実施例5及び6には、所定の添加粒子であるアルミノケイ酸塩粒子として、それぞれLiAlSi粒子及びLiAlSi粒子(平均粒径D50は1μm)を添加した。アルミノケイ酸塩粒子の導電性ペーストへの添加量は、導電性粒子100重量部に対して1重量部とした。
・実施例7のケイ酸アルミニウム粒子:実施例7には、アルミノケイ酸塩粒子の代わりに、ケイ酸アルミニウム粒子(AlSiO)(平均粒径D50は1μm)を添加した。ケイ酸アルミニウム粒子の導電性ペーストへの添加量は、導電性粒子100重量部に対して1重量部とした。
【0062】
ケイ酸アルミニウム粒子(AlSiO)については、試薬を購入した。
【0063】
実施例1〜6に用いたアルミノケイ酸塩粒子(LiAlSiO粒子、LiAlSi粒子及びLiAlSi粒子)は次のように合成した。すなわち、出発原料としてLiCO(ナカライテスク製)、Al(昭和電工製A−50−K)及びSiO(アドマテックス製SO−E2)を用いた。これらの出発原料を、目的のモル比となるように下記のようなモル比となるように秤量し、ボールミルによりイオン交換水を用いて16時間湿式混合した。
LiAlSiOの原料として、LiCO:Al:SiO=1:1:2(モル比)を用いた。
LiAlSiの原料として、LiCO:Al:SiO=1:1:4(モル比)を用いた。
LiAlSiの原料として、LiCO:Al:SiO=1:1:6(モル比)を用いた。
【0064】
これらの出発原料を攪拌しながら加熱し、スラリーを濃縮したのち、150℃の乾燥炉内に12時間静置し、乾燥させた。乾燥粉末を乳鉢にて粉砕し、混合粉末とした。
【0065】
次に、この混合粉末を金型に充填し、単軸加圧により成型体を作製し、これを400K/時間の昇温速度で1100℃まで加熱し4時間保持したのち、炉内にて自然冷却させ、目的物質を得た。
【0066】
上述のようにして得た目的物質の合成の可否は、X線回折法(XRD法)により判定した。XRD法測定には、株式会社リガク(Rigaku)製Ultima IVを用い、合成物質の相の同定には株式会社リガク製PDXLを用いた。合成した物質は乳鉢により十分粉砕し、XRD法測定用粉末を作製した。XRD法によって、実施例に用いた目的物質は所定の結晶構造を有することを確認した。
【0067】
合成したアルミノケイ酸塩は、乳鉢により粗粉砕した後イオン交換水を用いた湿式ボールミルにより粉砕し、微粉化した。
【0068】
次に、上述の所定の調製割合の材料を、プラネタリーミキサーで混合し、さらに三本ロールミルで分散し、ペースト化することによって導電性ペーストを調製した。
【0069】
<太陽電池基板の試作>
本発明の電極形成用導電性ペーストの評価は、調製した導電性ペーストを用いて太陽電池を試作し、その特性を測定することによって行った。太陽電池の試作方法は次のとおりである。
【0070】
基板は、B(ボロン)ドープのP型Si多結晶基板(基板厚み200μm)を用いた。
【0071】
まず、上記基板に酸化ケイ素層約20μmをドライ酸化で形成後、フッ化水素、純水及びフッ化アンモニウムを混合した溶液でエッチングし、基板表面のダメージを除去した。さらに、塩酸と過酸化水素を含む水溶液で重金属洗浄を行った。
【0072】
次に、この基板表面にウェットエッチングによってテクスチャ(凸凹形状)を形成した。具体的にはウェットエッチング法(水酸化ナトリウム水溶液)によってピラミッド状のテクスチャ構造を片面(光入射側の表面)に形成した。その後、塩酸及び過酸化水素を含む水溶液で洗浄した。
【0073】
次に、上記基板のテクスチャ構造を有する表面に、オキシ塩化リン(POCl)を用い、拡散法によって、リンを温度950℃で30分間拡散させ、n型拡散層を約0.5μmの深さにn型拡散層を形成した。n型拡散層のシート抵抗は、50Ω/□だった。
【0074】
次に、n型拡散層を形成した基板の表面に、プラズマCVD法によってシランガス及びアンモニアガスを用いて窒化ケイ素薄膜を約60nmの厚みに形成した。具体的には、NH/SiH=0.5の混合ガス1Torr(133Pa)をグロー放電分解することにより、プラズマCVD法によって膜厚約60nmの窒化ケイ素薄膜(反射防止膜)を形成した。
【0075】
このようにして得られた太陽電池基板を、15mm×15mmの正方形に切断して使用した。
【0076】
光入射側(表面)電極用の導電性ペーストの印刷は、スクリーン印刷法によって行った。上述の基板の反射防止膜上に、膜厚が約20μmになるように2mm角バス電極部と100μm幅フィンガー電極部からなるパターンで印刷し、その後、150℃で約1分間乾燥した。
【0077】
次に裏面電極用の導電性ペーストの印刷を、スクリーン印刷法によって行った。上述の基板の裏面に、アルミニウム粒子、ガラスフリット、エチルセルロース及び溶剤を主成分とする導電性ペーストを12mm角で印刷し、150℃で1分間乾燥した。乾燥後の裏面電極用の導電性ペーストの膜厚は約20μmであった。
【0078】
上述のように導電性ペーストを表面及び裏面に印刷した基板を、ハロゲンランプを加熱源とする近赤外焼成炉(日本ガイシ社製 太陽電池用高速焼成試験炉)を用いて、大気中で所定の条件により焼成した。焼成条件は、750℃又は775℃のピーク温度とし、大気中、焼成炉のイン−アウト30秒で両面同時焼成した。以上のようにして、太陽電池を試作した。
【0079】
<太陽電池特性の測定>
太陽電池セルの電気的特性の測定は、次のように行った。すなわち、試作した太陽電池の電流−電圧特性を、ソーラーシミュレータ光(AM1.5、エネルギー密度100mW/cm)の照射下で測定し、測定結果から曲線因子(FF)、変換効率(%)及び直列抵抗Rs(Ω)を算出した。なお、試料は同じ条件のものを2個作製し、測定値は2個の平均値として求めた。
【0080】
<接着強度の測定>
はんだ付けをした金属リボンの接着強度測定用の試料は以下のように作製し測定した。まず基板として、太陽電池特性測定用と同じ、反射防止膜付き15mm角太陽電池基板を用いた。この基板表面のほぼ中央に、幅3mm、長さ12mmのはんだ付けパッドを所定の導電性ペーストを用いて印刷し、乾燥し、焼成して形成した。次に、インターコネクト用の金属リボンである銅リボン(幅1.5mm×全厚み0.16mm、共晶はんだ[スズ:鉛=64:36の重量比]を約40μmの膜厚で被覆)を、フラックスを用いてはんだ付けパッド上に250℃の温度で3秒間はんだ付けした。その後、リボンの一端に設けたリング状部をデジタル引張りゲージ(エイアンドディー社製、デジタルフォースゲージAD−4932−50N)によって基板表面に対して90度方向に引っ張り、接着の破壊強度を測定することによって接着強度の測定を行った。なお、試料は10個作製し、測定値は10個の平均値として求めた。
【0081】
<実施例1〜4並びに比較例1及び2>
表1に示すように、実施例1〜4では、導電性ペーストへのβ−ユークリプタイト粒子の添加量を、導電性粒子100重量部に対し、0.0〜1.0重量部まで変化させた導電性ペーストを太陽電池の表面電極形成用に用いて太陽電池を試作した。なお、太陽電池作製の際の焼成のピーク温度は、比較例1、実施例1及び2の場合には750℃とし、比較例2、実施例3及び4の場合には775℃とした。表1に、得られた太陽電池の太陽電池特性の測定結果を示す。なお、基板と電極との間の接触抵抗が直列抵抗に与える影響は大きい。そのため、直列抵抗の値は、接触抵抗の大きさを示す指標であるといえる。直列抵抗の値が低い場合には、高い性能の太陽電池を得ることができるといえる。
【0082】
<実施例5〜7>
表1に示すように、実施例5〜7では、導電性ペーストへの所定の添加粒子(LiAlSi粒子、LiAlSi粒子又はケイ酸アルミニウム粒子(AlSiO))の添加量を、導電性粒子100重量部に対し、1.0重量部とした導電性ペーストを太陽電池の表面電極形成用に用いて太陽電池を試作した。なお、太陽電池作製の際の焼成のピーク温度は、実施例5〜7の場合には775℃とした。表1に、得られた太陽電池の太陽電池特性の測定結果を示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示す測定結果から明らかなように、焼成ピーク温度が750℃の場合には、比較例1と比べて、実施例1及び2の曲線因子(FF)及び変換効率は高く、直列抵抗の値は低かった。同様に、焼成ピーク温度が775℃の場合には、実施例3及び4の場合には、比較例2と比べてより優れた性能の太陽電池を得ることができることが明らかとなった。以上のことから、β-ユークリプタイト粒子が含まれている導電性ペーストを用いた場合には、より優れた性能の太陽電池を得ることができることが明らかとなった。
【0085】
表1に示す測定結果から明らかなように、比較例1及び2と比べて、実施例5及び6の曲線因子(FF)及び変換効率は高く、直列抵抗の値は低かった。したがって、所定の添加粒子として、β-ユークリプタイト粒子以外のユークリプタイト粒子(LiAlSi粒子又はLiAlSi粒子)を用いた場合には、比較例1及び2と比べてより優れた性能の太陽電池を得ることができることが明らかとなった。ただし、β-ユークリプタイト粒子を用いた実施例3及び4の太陽電池の性能は、β-ユークリプタイト粒子以外のユークリプタイト粒子(LiAlSi粒子又はLiAlSi粒子)を用いた実施例5及び6の場合より高かった。
【0086】
表1に示す測定結果から明らかなように、比較例1及び2と比べて、実施例7の曲線因子(FF)及び変換効率は高く、直列抵抗の値は低かった。したがって、所定の添加粒子として、ケイ酸アルミニウム粒子(AlSiO)を用いた場合には、比較例1及び2と比べてより優れた性能の太陽電池を得ることができることが明らかとなった。ただし、ユークリプタイト粒子を用いた実施例3〜6の太陽電池の性能は、実施例7のケイ酸アルミニウム粒子(AlSiO)を用いた場合より高かった。
【0087】
なお、β-ユークリプタイト粒子添加量(導電性粒子100重量部に対する重量部)が2重量部を超える導電性ペーストの場合には、電極形成後の金属リボンのはんだ付けがやや難しくなり、5重量部を超える導電性ペーストを用いた場合には、電極形成後の金属リボンのはんだ付けが困難になることを確認した。
【符号の説明】
【0088】
1 光入射側電極(表面電極)
2 反射防止膜
3 n型拡散層(n型シリコン層)
4 p型シリコン基板
5 裏面電極
図1