特許第5693303号(P5693303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693303
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20150312BHJP
   B24B 7/00 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   B24B41/06 A
   B24B7/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-51994(P2011-51994)
(22)【出願日】2011年3月9日
(65)【公開番号】特開2012-187655(P2012-187655A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100125519
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 憲二
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】 橋本 卓行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−246058(JP,A)
【文献】 特開平04−336960(JP,A)
【文献】 特開平05−077147(JP,A)
【文献】 特開昭62−034761(JP,A)
【文献】 特開2011−161550(JP,A)
【文献】 米国特許第03471975(US,A)
【文献】 特開2003−225868(JP,A)
【文献】 実開昭62−156448(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 41/06
B24B 7/00−7/24
B24B 29/00−29/10
B24B 9/00−9/10
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削手段と、該チャックテーブルに被加工物を搬出入する搬出入位置と該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削位置とに該チャックテーブルを位置付ける位置付け手段と、を備えた研削装置であって、
ベースと、該ベースの一方の側部に沿って立設されたコラムと、を更に備え、
該研削手段は、該搬出入位置と該研削位置とを結ぶ直線上に配設され、該コラム上に上下動可能に取り付けられた第1の研削手段と第2の研削手段とを含み、
該第1の研削手段は該第2の研削手段より該搬出入位置側に配設され、該第1の研削手段には粗研削用の研削砥石が環状に配設された第1研削ホイールが回転可能に装着され、該第2の研削手段には仕上げ研削用の研削砥石が環状に配設された第2研削ホイールが該第1研削ホイールとは独立して回転可能に装着されており、
該チャックテーブルに対して該第1の研削手段を接近及び離反させる研削送り手段と、該チャックテーブルに対して該第2の研削手段を接近及び離反させる研削送り手段とは共通の研削送り手段で構成されて該コラムに装着されており、
該位置付け手段により被加工物を保持した該チャックテーブルを該第1の研削手段に対向する位置に位置付けて、該チャックテーブルを回転すると共に該第1研削ホイールを回転させて被加工物の粗研削を実施し、
該粗研削終了後に、該位置付け手段により該チャックテーブルを該第2の研削手段に対向する位置に位置付けて、該チャックテーブルを回転すると共に該第2研削ホイールを回転させて被加工物の仕上げ研削を実施することを特徴とする研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータがチャックテーブルにウエーハを着脱するマニュアルタイプの研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の数多くのデバイスが表面に形成され、且つ個々のデバイスが分割予定ライン(ストリート)によって区画された半導体ウエーハは、研削装置によって裏面が研削されて所定の厚みに加工された後、切削装置(ダイシング装置)によって分割予定ラインを切削して個々のデバイスに分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の各種電気機器に広く利用されている。
【0003】
研削装置は、ウエーハ等の被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削手段と、被加工物を搬出入する搬出入位置と被加工物を研削する研削位置とにチャックテーブルを位置付ける位置付け手段とを備えていて、被加工物を所望の厚みに研削することができる。
【0004】
研削装置は自動的にカセットからウエーハを搬出して研削し、その後研削後のウエーハを洗浄してカセットに収容するフルオートタイプの研削装置(例えば、特開2001−1261号公報参照)と、オペレータがチャックテーブルにウエーハを着脱するマニュアルタイプの研削装置(例えば、特開2005−246491号公報参照)とに大きく分かれており、設置面積の有効利用を図るユーザーにおいては、設置面積が小さいマニュアルタイプが選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−1261号公報
【特許文献2】特開2005−246491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、マニュアルタイプの研削装置を選択したユーザーにおいては、ウエーハを粗研削しその後仕上げ研削するためには、2台のマニュアルタイプの研削装置を用意しなければならず不経済であるとともに、チャックテーブルからチャックテーブルへのウエーハの乗せ換えを行わなければならず生産性が悪いという問題がある。また、2台のマニュアルタイプの研削装置を設置すると、設置面積の有効利用が図れないという問題がある。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウエーハの粗研削及び仕上げ研削が効率良くできるとともに設置面積が小さいマニュアルタイプの研削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、被加工物を保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削手段と、該チャックテーブルに被加工物を搬出入する搬出入位置と該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削位置とに該チャックテーブルを位置付ける位置付け手段と、を備えた研削装置であって、ベースと、該ベースの一方の側部に沿って立設されたコラムと、を更に備え、該研削手段は、該搬出入位置と該研削位置とを結ぶ直線上に配設され、該コラム上に上下動可能に取り付けられた第1の研削手段と第2の研削手段とを含み、該第1の研削手段は該第2の研削手段より該搬出入位置側に配設され、該第1の研削手段には粗研削用の研削砥石が環状に配設された第1研削ホイールが回転可能に装着され、該第2の研削手段には仕上げ研削用の研削砥石が環状に配設された第2研削ホイールが該第1研削ホイールとは独立して回転可能に装着されており、該チャックテーブルに対して該第1の研削手段を接近及び離反させる研削送り手段と、該チャックテーブルに対して該第2の研削手段を接近及び離反させる研削送り手段とは共通の研削送り手段で構成されて該コラムに装着されており、該位置付け手段により被加工物を保持した該チャックテーブルを該第1の研削手段に対向する位置に位置付けて、該チャックテーブルを回転すると共に該第1研削ホイールを回転させて被加工物の粗研削を実施し、該粗研削終了後に、該位置付け手段により該チャックテーブルを該第2の研削手段に対向する位置に位置付けて、該チャックテーブルを回転すると共に該第2研削ホイールを回転させて被加工物の仕上げ研削を実施することを特徴とする研削装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の研削装置は、被加工物をチャックテーブルに対して搬出入する搬出入位置と研削位置とを結ぶ直線上に配設された第1の研削手段と第2の研削手段とを含み、チャックテーブルに対して第1の研削手段を接近及び離反させる研削送り手段と、チャックテーブルに対して第2の研削手段を接近及び離反させる研削送り手段とが共通の研削送り手段で構成されているので、少ない設置面積で効率良く被加工物の粗研削及び仕上げ研削を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】半導体ウエーハの表面側斜視図である。
図2】表面に保護テープが貼着された半導体ウエーハの裏面側斜視図である。
図3】本発明実施形態に係る研削装置の斜視図である。
図4図4(A)は粗研削時の研削砥石とチャックテーブルに保持されたウエーハとの位置関係を示す斜視図、図4(B)は仕上げ研削時の研削砥石とチャックテーブルに保持されたウエーハとの位置関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は所定の厚さに加工される前の半導体ウエーハの斜視図である。図1に示す半導体ウエーハ11は、例えば厚さが700μmのシリコンウエーハからなっており、表面11aに複数のストリート13が格子状に形成されているとともに、該複数のストリート13によって区画された各領域にIC、LSI等のデバイス15が形成されている。
【0013】
このように構成された半導体ウエーハ11は、デバイス15が形成されているデバイス領域17と、デバイス領域17を囲繞する外周余剰領域19を備えている。また、半導体ウエーハ11の外周にはシリコンウエーハの結晶方位を示すマークとしてのノッチ21が形成されている。
【0014】
半導体ウエーハ11の裏面11bの研削を実施する前に、半導体ウエーハ11の表面11aにはデバイス15を保護するために保護テープ23が貼着される。よって、研削装置に供給される半導体ウエーハ11は、図2に示すように、表面11aが保護テープ23により保護され、裏面11bが露出した形態となる。
【0015】
次に、図3を参照して、本発明実施形態の研削装置2について詳細に説明する。4は研削装置2のベースであり、ベース4の一方の側部に沿ってコラム6が立設されている。コラム6には、上下方向に伸びる一対のガイドレール8が固定されている。この一対のガイドレール8に沿って粗研削ユニット(粗研削手段)10及び仕上げ研削ユニット(仕上げ研削手段)26が互いに隣接して上下方向に移動可能に装着されている。
【0016】
粗研削ユニット10は、ハウジング12と、ハウジング12中に回転可能に収容されたスピンドル14と、スピンドル14の先端に固定されたホイールマウント16と、ホイールマウント16に着脱可能にねじ締結された粗研削ホイール18と、スピンドル14を回転駆動するサーボモータ24とを含んでいる。粗研削ホイール18は、図4(A)に示すように、環状基台20と、環状基台20の下端部外周に環状に配設された複数の粗研削用の研削砥石22とから構成される。
【0017】
粗研削ユニット10に隣接して仕上げ研削ユニット26が配設されている。仕上げ研削ユニット26は、ハウジング27と、ハウジング27中に回転可能に収容されたスピンドル28と、スピンドル28の先端に固定されたホイールマウント30と、ホイールマウント30に着脱可能にねじ締結された仕上げ研削ホイール32と、スピンドル28を回転駆動するサーボモータ38とを含んでいる。仕上げ研削ホイール32は、図4(B)に示すように、環状基台34と、環状基台34の下端部外周に環状に配設された複数の仕上げ研削用の研削砥石36とから構成される。
【0018】
粗研削ユニット10及び仕上げ研削ユニット26はY軸方向に整列して保持部材40に取り付けられており、保持部材40は一対のガイドレール8に沿って上下方向に移動する移動基台42に取り付けられている。
【0019】
研削装置2は、粗研削ユニット10及び仕上げ研削ユニット26を一対のガイドレール8に沿って上下方向に移動するボールねじ44とパルスモータ46とから構成される研削ユニット送り機構48を備えている。
【0020】
この構成により、粗研削ユニット10及び仕上げ研削ユニット26は共通の研削送り機構48により研削送りされる。パルスモータ46をパルス駆動すると、ボールねじ44が回転し、移動基台42及び保持部材40が上下方向に移動される。
【0021】
ベース4の上面には凹部4aが形成されており、この凹部4a中にチャックテーブル機構50が配設されている。チャックテーブル機構50はチャックテーブル52を備えており、図示しない移動機構により図3に示されたウエーハ搬出入位置Aと、粗研削ユニット10に対向する粗研削位置Bと、仕上げ研削ユニット26に対向する仕上げ研削位置Cとの間でY軸方向に移動される。54は蛇腹である。ベース4の前方側には、研削装置2のオペレータが研削条件等を入力する操作パネル56が配設されている。
【0022】
このように構成された研削装置2の研削作業について以下に説明する。図3に示すウエーハ搬出入位置Aに位置付けられたチャックテーブル52上に、図2に示された保護テープ23が貼着されたウエーハ11を保護テープ23を下にしてオペレータが載置し、負圧吸引源を作動してウエーハ11を吸引保持する。次いで、チャックテーブル52をY軸方向に移動して、粗研削位置Bに位置付ける。
【0023】
このように位置付けられたウエーハ11に対して、図4(A)に示すように、チャックテーブル52を矢印a方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削ホイール18をチャックテーブル52と同一方向に、即ち矢印b方向に例えば6000rpmで回転させるとともに、研削ユニット送り機構48を作動して粗研削砥石22をウエーハ11の裏面11bに接触させる。
【0024】
そして、粗研削ホイール18を所定の研削送り速度(例えば3.0μm/秒)で下方に所定量研削送りして、ウエーハ11の粗研削を実施する。図示しない接触式又は非接触式の厚み測定ゲージによってウエーハ11の厚みを測定しながらウエーハを所望の厚み、例えば100μmに仕上げる。粗研削を実施すると、ウエーハ11の裏面(被研削面)11bには、多数の弧が放射状に描かれた模様を呈する研削条痕31が残留する。
【0025】
粗研削が終了すると、研削ユニット送り機構48を駆動して粗研削ホイール18を少し上昇させてから、チャックテーブル移動機構を駆動して、チャックテーブル52に保持されたウエーハ11をY軸方向に移動し、仕上げ研削位置Cに位置付ける。
【0026】
このように位置付けられたウエーハ11に対して、図4(B)に示すように、チャックテーブル52を矢印a方向に例えば300rpmで回転しつつ、仕上げ研削ホイール32をチャックテーブル52と同一方向に、即ち矢印b方向に例えば6000rpmで回転させるとともに、研削ユニット送り機構48を作動して仕上げ研削砥石36をウエーハ11の裏面11bに接触させる。
【0027】
そして、仕上げ研削ホイール32を所定の研削送り速度(例えば0.3μm/秒)で下方に所定量研削送りして、ウエーハ11の仕上げ研削を実施する。図示しない接触式又は非接触式の厚み測定ゲージによってウエーハ11の厚みを測定しながらウエーハを所望の厚み、例えば95μmに仕上げる。
【0028】
仕上げ研削を実施すると、粗研削時の研削条痕31が研削除去されて、ウエーハ11の裏面(被研削面)11bには、仕上げ研削砥石36による仕上げ研削時の研削条痕33が残留する。
【0029】
仕上げ研削の終了したウエーハ11は、チャックテーブル移動機構を駆動することによりウエーハ搬出入位置Aに戻され、オペレータが仕上げ研削の終了したウエーハ11をチャックテーブル52上から除去する。
【0030】
上述した実施形態の研削装置2は、粗研削ユニット10と仕上げ研削ユニット26がウエーハ搬出入位置Aと仕上げ研削位置Cとを結ぶ直線上に配設され、チャックテーブル52に対して粗研削ユニット10を接近及び離反させる研削送り機構と、チャックテーブル52に対して仕上げ研削ユニット26を接近及び離反させる研削送り機構とを共通の研削ユニット送り機構48により構成したので、少ない設置面積で効率良くウエーハ11の粗研削及び仕上げ研削を行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
2 研削装置
10 粗研削ユニット
11 半導体ウエーハ
18 粗研削ホイール
22 粗研削砥石
26 仕上げ研削ユニット
36 仕上げ研削砥石
48 研削ユニット送り機構
52 チャックテーブル
図1
図2
図3
図4