【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以下の層:
− 実質的にシリコンからなる単結晶基板ウェハ1
− 電気絶縁性材料を含み、かつ2nm〜100nmの厚さを有する第一非晶質中間層2
− 立方晶系Ia−3結晶構造と、(Me1
2O
3)
1-x(Me2
2O
3)
x(ここで、Me1及びMe2の各々は金属であり、0≦x≦1である)の組成と、基板ウェハの材料の格子定数と0%〜5%異なる格子定数とを有する単結晶第一酸化物層3
を、示される順序で含むことを特徴とする半導体ウェハに関する。
【0016】
本発明は、以下の工程:
a)基板ウェハ1を設ける工程
b)第一酸化物層3を基板ウェハ1の少なくとも1つの表面上にエピタキシャル堆積させる工程、及び
e)得られた層状のウェハを酸素含有雰囲気下で10
-6ミリバール〜1バールの部分圧で200〜1000℃の温度で10〜100分間熱処理し、それによって、第一非晶質中間層2を基板ウェハ1と第一酸化物層3との間の境界に形成させる工程
を、示される順序で含むことを特徴とする、上記の半導体ウェハを製造するための第一の方法にも関する。
【0017】
本発明は更に、以下の工程:
a)基板ウェハ1を設ける工程であって、その際、前記基板ウェハはSi(111)の結晶格子配向を有するものとする、
b)第一酸化物層31を基板ウェハ1の少なくとも1つの表面上にエピタキシャル堆積させる工程であって、その際、前記第一酸化物層31は、六方晶系結晶構造と、(Me1
2O
3)
1-x(Me2
2O
3)
x(ここで、Me1及びMe2の各々は金属であり、0≦x≦1である)の組成と、基板ウェハの材料の格子定数と0%〜5%異なる格子定数とを有するものとする、
e)得られた層状のウェハを酸素含有雰囲気下で10
-6ミリバール〜1バールの部分圧で200〜1000℃の温度で10〜100分間熱処理し、それによって、六方晶系結晶構造を有する第一酸化物層31を、立方晶系Ia−3結晶構造を有する第一酸化物層3に変換し、かつそれによって更に、第一非晶質中間層2を基板ウェハ1と第一酸化物層3との間の境界に形成させる工程
を、示される順序で含むことを特徴とする、上記の半導体ウェハを製造するための第二の方法にも関する。
【0018】
第一の工程a)(
図1及び2)において、実質的に単結晶シリコンからなる単結晶基板ウェハ1が設けられるが、この単結晶基板ウェハ1は有利にシリコン90%〜100%、更に有利にシリコン98%〜100%からなる。基板ウェハはシリコン技術分野において広く公知である通例のドーパント又は不純物を含んでよい。基板ウェハ1は有利にSi(001)、Si(111)又はSi(110)の結晶格子配向を有する。
【0019】
本発明によれば、単結晶第一酸化物層3は前記方法の工程b)において基板ウェハ1の少なくとも1つの表面上にエピタキシャル堆積される(
図1及び2)。第一酸化物層3は(Me1
2O
3)
1-x(Me2
2O
3)
x(ここで、Me1及びMe2の各々は金属である)の組成を有する。100%のミシビリティを保証するために、酸化物Me1
2O
3及びMe2
2O
3がIa−3対称性を有する金属Me1及びMe2を使用するのが好適である。有利に、Me1及びMe2の各々は希土類金属又は遷移金属であり、最も有利に、Me1はプラセオジムであり、Me2はイットリウムである。Siに対して、Pr
2O
3は約2%大きすぎ、Y
2O
3は約2%小さすぎる。従って、前記混合物は、50:50ベース、即ち(Pr
2O
3)
0.5(Y
2O
3)
0.5で、Siの格子寸法に合致し得る。更に前記混合物は、Pr
2O
3で終了し、かつ酸化の際に、以下で工程d)において記載されている"内部酸素リザーバー"を組み込むという利点を提供する。しかしながら、これは幾つかの可能性の単に一例に過ぎない。添え字xは不等式0≦x≦1、有利に不等式0<x<1を満たしており、かつ第一酸化物層3の格子定数が基板ウェハの材料の格子定数と0%〜5%、有利に0%〜2%異なるように適合される。Siの格子寸法に完全に合致する酸化物は存在しない。混合によってのみ完全に整合させることができる。
【0020】
有利に、第一酸化物層3は均一な組成を有しており、それゆえ、その全厚にわたって均一な格子定数を有する。しかしながら、直ちに組成勾配を伴って出発することも可能である。有利に、第一酸化物層3の厚さは少なくとも1nmである。
【0021】
第一酸化物層3は立方晶系Ia−3結晶構造を有する。大抵の場合、特に基板ウェハ1の表面が(001)又は(110)配向性の場合には、第一酸化物層3は工程b)において基板ウェハ1の表面のすぐ上にエピタキシャル成長することができる。しかしながら、基板ウェハ1が(111)配向表面を有する場合には、立方晶系Ia−3酸化物は常に直に成長し得るとは限らない。例えば、Pr
2O
3はSi(111)表面上で六方相として成長する。立方晶系酸化物の直接の成長が不可能である場合には、六方晶系結晶構造を有する第一酸化物層31が工程b)において基板ウェハ1の少なくとも1つの表面上に堆積される。前記層はその後、(熱力学的に安定な)立方晶系Ia−3結晶構造を有する第一酸化物層3に変換される。前記の相転移は、以下に記載する工程e)の熱処理の間に自動的に達成される。熱処理を相転移と界面最適化工程とに分割することも可能である。
【0022】
場合による工程c)(
図1及び2)において、単結晶第二酸化物層4を第一酸化物層3の表面上にエピタキシャル堆積させることができる。第二酸化物層4は更に、立方晶系Ia−3結晶構造と(Me3
2O
3)
1-y(Me4
2O
3)
y(ここで、Me3及びMe4の各々は金属である)の組成とを有する。100%のミシビリティを保証するために、酸化物Me3
2O
3及びMe4
2O
3がIa−3対称性を有する金属Me3及びMe4を使用するのが好適である。有利に、Me3及びMe4の各々は希土類金属又は遷移金属であり、最も有利に、Me4はプラセオジムであり、Me4はイットリウムである。添え字yは不等式0≦y≦1、有利に不等式0<y<1を満たす。第二酸化物層4は層の厚さに沿って変化する組成を有する。yは第一酸化物層3との境界で値y1で出発し、第二酸化物層4の厚さにわたって第二酸化物層4の材料の格子定数の変化が達成されるように第二酸化物層4の厚さにわたって変化する。yは第二酸化物層4の表面で値y2で終わる。制限された欠陥密度を伴う単結晶酸化物の成長を保証するために、値y1は、第二酸化物層4の格子定数が、第一酸化物層3に対する第二酸化物層4の境界で、第一酸化物層3の材料の格子定数と0%〜2%異なるように選択されている。有利に、値y2は、前記層間の格子整合を達成するために、第二酸化物層4の表面上に堆積すべき層の格子定数に応じて選択される。第二酸化物層4における欠陥密度を最小化するために、y1とy2との間の濃度勾配の変動による第二酸化物層4の格子定数の変化は、有利に、対象となる酸化物成分において、一方では歪み効果と、他方では欠陥核形成エネルギーとの間の相互作用に関して最適化される。
【0023】
工程c)は、第二酸化物層4の表面上に堆積させるべきいずれかの付加的な層(例えば単結晶半導体材料からなる表面層8又は第三酸化物層50)が第一酸化物層3とほぼ同じ格子定数を有する場合には省略することができる。そうでない場合には工程c)を実施するのが有利であり、この工程c)によって、値y1を隣接する第一酸化物層3の格子定数に適合させ、第二酸化物層の組成を第二酸化物層の厚さにわたって適当な様式に変化させ、かつ堆積すべき次の層の格子定数に適合する値y2で終わることができる。
【0024】
その他の場合による工程d)(
図2)において、立方晶系Ia−3結晶構造とMe5
2O
3の組成とを有する単結晶第三酸化物層50を第二酸化物層4の表面上にエピタキシャル堆積させる。Me5
2O
3は、更にMe5
2O
w(3<w≦4)の組成を有するより高級な酸化物へと酸化し得る金属酸化物である。有利に、Me5は希土類金属又は遷移金属である。典型例はwが3〜4の範囲で動く種々の酸化物相Me5
2O
wを示すプラセオジム(Pr)及びテルビウム(Tb)であるが、二酸化セリウム(CeO
2)及び二酸化ネオジム(NdO
2)(w=4)という特別な場合も挙げられる。工程d)は工程b)の後又は工程b)及びc)の後でかつ工程e)の前に実施される。前記工程を行う場合、Me5
2O
3からなる第三酸化物層50を更に酸化させ、そのようにして、後続の工程e)の間に、Me5
2O
w(3<w≦4)からなる第三酸化物層51へと変換する。第三酸化物層51は、以下で工程h)として記載される更なる熱処理の間に、第二非晶質中間層7の形成を促進する酸素リザーバーとして機能する。前記層の厚さは有利に1nm〜100nmの範囲内である。
【0025】
更なる工程e)(
図1及び2)において、得られた層状のウェハは酸素含有雰囲気下で10
-6ミリバール〜1バールの部分圧で200〜1000℃、有利に300〜600℃の温度で、10〜100分間熱処理される。酸素は分子酸素(O
2又はオゾン、O
3)の形か、又は酸素化合物、例えば一酸化二窒素(N
2O)の形か、又は原子酸素の形で供給されてよい。酸素含有プラズマを使用することも可能である。前記の熱処理により、第一非晶質中間層2が基板ウェハ1と第一酸化物層3との間の界面に形成される。第一非晶質中間層2は2nm〜100nm、有利に3nm〜10nmの厚さを有する。第一酸化物層3の材料に応じて、第一非晶質中間層2は二酸化シリコン又は金属ケイ酸塩又は双方を含む。第一中間非晶質層2の厚さは、熱処理の条件(温度、継続時間、酸素部分圧、供される酸素の形状)により決定される。従って、熱処理の条件は、所望の厚さ、従って所望の電気的特性を有する中間非晶質層2を達成するために選択される。第一非晶質中間層2の目的は二つあり、即ち、第一には、熱的な不整合の問題(欠陥発生、薄膜クラッキング等)を回避するための硬質Si基板ウェハ1からの第一酸化物層3及び場合により他の酸化物層の格子の切り離しであり、第二には、設計されたウェハ構造の電気的特性を最適化することである(典型的には、1Vで10
-8A/cm
2未満の漏れ電流;4〜16の有効な誘電率値を伴うキャパシタンス、10
12/cm
2未満の界面準位の密度、10MV/cm以下のbox酸化物の高い降伏電界等)。
【0026】
例えば、シリコン基板ウェハ1と第一酸化物層3との間の境界の後堆積酸化は、Si(111)上の単結晶立方晶系Y
2O
3酸化物層の場合には系を分子酸素1気圧で600℃で30分間加熱することにより行われ、その結果、ケイ酸イットリウムからなる6nm厚の非晶質中間層が生じる。ヘテロ構造の構造的及び電気的特性の改善に関する非晶質中間層2の有効性は、以下のように制御される。構造に関しては、硬質シリコン基板1からの酸化物薄膜の切り離しは、立方晶系Y
2O
3薄膜が処理後に完全に緩和されているという事実により制御される。特に、酸化物薄膜構造における基板に誘導された歪みが解放され、単結晶酸化物薄膜は非晶質界面層2上で浮き、そのようにして、相応する格子空間を有するそのバルク構造が採用される。この状況において、薄膜と基板との間の熱的な不整合の問題は回避されるため、Y
2O
3薄膜は堅固に結合されたY
2O
3/Si(111)ヘテロ構造の場合に対して改善された結晶品質を示す。電気的特性に関して、非晶質中間層は±1Vでの漏れ電流を10
-8A/cm
2未満の値に低減し、かつ8MV/cmの高さの絶縁破壊電界を達成する。更に、10
11/cm
2未満の界面準位密度を、付加的なガス処理(例えばフォーミングガス(forming gas)アニーリング等)の適用後に非晶質中間層の形成により実現することができる。
【0027】
上記の厚さの上記の第一非晶質中間層2の形成には、大気から、少なくとも第一酸化物層3を通過して、第一酸化物層3とシリコン基板ウェハ1との間の界面までの酸素の拡散が必要とされる。酸化物層のスタックは数十ナノメートルの厚さを有してよい。WO03/096385A2と比較して、この拡散は、本発明による第一酸化物層3及び場合により他の酸化物層に関して規定された材料によって非常に促進される。酸化物における酸素伝導性はイオン伝導の特別な場合である。組み込まれたイオン、この場合酸素アニオンのホッピングプロセスによって、特別な格子部位(間隙、欠陥等)への物質移動が生じるが、これにはいかなる場合にもホストマトリックスのある程度のフレキシビリティーが必要とされる。Ia−3結晶構造を有するMe
2O
3酸化物は、いわゆる規則酸素空格子結晶構造に属する。このIa−3結晶構造を有するMe
2O
3酸化物の固有の空格子構造によって、200℃の低さの温度であっても酸素の拡散が起こることが考慮される結晶格子の柔軟性がもたらされ、前記化合物は公知の最良の酸素伝導体の中に位置づけられる。本発明の発明者は、第一酸化物層3がIa−3対称性を有する(Me1
2O
3)
1-x(Me2
2O
3)
xからなる場合、工程e)の熱処理の間に比較的低温であっても、十分に厚い第一非晶質中間層2が生じうることを見出した。低温酸化アニールはエピタキシャル酸化物層の結晶化度を保持することができる。一般に、固体化学のタム(Tamm)の法則によれば、酸化物中のイオン移動度は、溶融温度のほぼ半分未満の温度に関して無視できるほどである。しかしながら、タムの法則は、金属カチオンには当てはまるが立方晶系Ia−3結晶構造の酸素副格子に関しては当てはまらないことが知られているということは、本発明にとって重要である。特に、立方晶系Ia−3結晶構造の溶融温度は典型的に2000℃を十分に上回るため、1000℃未満では実質的な金属カチオン物質移動は起こらないが、300℃の低さの温度であっても高い酸素移動度が検出される。このIa−3結晶構造を有するA
2O
3酸化物の特性は、酸化周囲において、一方では、所望の特性を有する酸化物層3、4、50を含むバッファ酸化物薄膜の下方に非晶質中間層2を作製するために、しかしまた一方ではSi基板ウェハ1中への不所望な金属カチオン拡散を回避するために、大きな温度ウィンドウを開放する。Si基板中の金属汚染物は厳密に回避されねばならず、なぜならば、この不純物は一般にはウェハ構造の電気的特性(担体の耐用年数、移動度等)にマイナスの影響を与えることが知られているためである。
【0028】
場合による工程d)が工程e)の前に実施された場合、工程e)の熱処理では、第一非晶質中間層2が形成されるだけではなく、更に、上記のように、第三酸化物層50のMe5
2O
3が酸化されてMe5
2O
w(3<w≦4)となり、このようにして第三酸化物層50が第三酸化物層51へと変換される(
図2)。Me5がプラセオジムである場合、酸化後にw=4であり、即ちP
rO
2が形成される。前記層は更なる工程h)において内部酸素リザーバーとしての役割を果たす。
【0029】
場合による工程f)(
図2)において、単結晶第四酸化物層6を第三酸化物層51の表面上にエピタキシャル堆積させることができる。第四酸化物層6は更に立方晶系Ia−3結晶構造と(Me6
2O
3)
1-z(Me7
2O
3)
z(ここで、Me6及びMe7の各々は金属である)の組成とを有する。100%のミシビリティを保証するために、酸化物Me6
2O
3及びMe7
2O
3がIa−3対称性を有する金属Me6及びMe7を使用するのが好適である。有利に、Me6及びMe7の各々は希土類金属、遷移金属、例えばスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)又はマンガン(Mn)又は典型金属、例えばインジウム(In)、タリウム(Tl)、アンチモン(Sb)又はビスマス(Bi)である。添え字zは不等式0≦z≦1、有利に不等式0<z<1を満たす。第二酸化物層4と同様に、第四酸化物層6は層の厚さにそって変化する組成を有する。zは第三酸化物層51との境界で値z1で出発し、第四酸化物層6の厚さにわたって第四酸化物層6の材料の格子定数の変化が達成されるように第四酸化物層6の厚さにわたって変化する。zは第四酸化物層6の表面で値z2で終わる。金属Me6及びMe7並びに値z1は、第四酸化物層6の格子定数が、第三酸化物層51に対する、第四酸化物層6の境界で、第三酸化物層51の格子定数と整合するように選択されてよい。また有利に、金属Me6及びMe7並びに値z2は、前記層間の格子の整合を達成するために、第四酸化物層6の表面上に堆積すべき層の格子定数に応じて選択される。
【0030】
工程f)は有利に工程d)及びe)と一緒にのみ、d)→e)→f)の順序で実施される。工程d)が省略される、即ちMe5
2O
3からなる第三酸化物層50(これは後に酸化されてMe5
2O
wとなり、ここで3<w≦4である)が堆積されない場合、第四酸化物層6は不要である。第四酸化物層6は第一に、第三酸化物層の値からの格子定数を、第四酸化物層6の表面上に堆積された更なる付加的な層、例えば半導体材料からなる表面層8の値からの格子定数に適合させる役割を果たす。
【0031】
Me5
2O
w(3<w≦4)からなる第三酸化物層51が存在する場合であっても、第四酸化物層6の表面上に堆積すべきいずれかの付加的な層(例えば単結晶半導体材料からなる表面層8)が第三酸化物層3とほぼ同じ格子定数を有するのであれば、工程f)を省略することができる。そうでない場合には工程f)を実施するのが有利であり、この工程f)によって、値z1を隣接する第三酸化物層51の格子定数に適合させ、第四酸化物層の組成を第四酸化物層の厚さにわたって適当な様式に変化させ、かつ堆積すべき次の層の格子定数に適合させた値z2で終わることができる。(格子定数の例を
図3及び4に示す。)
「格子定数に適合させた」という表現は、格子整合又は定義された様式での格子不整合を意味し得る。次の層が圧縮歪みのある層の場合、隣接した酸化物層は次の層よりも小さい格子定数を有していなければならない。次の層が引張歪みを示す場合には、隣接した酸化物層はより大きな格子定数を有していなければならない。この原則は、酸化物層と単結晶半導体材料からなる表面層8との間のいずれの界面に関しても当てはまる。例えば、純粋シリコンからなる表面層8の場合、比較的高い電荷担体移動度に基づくIC関連性能の向上を達成するためには、2%を上回る引張歪みのミスフィットが必要とされる。
【0032】
少なくとも、シリコン基板ウェハ1、第一非晶質中間層2及び第一酸化物層3を含む本発明による層状の半導体ウェハは、有利に、半導体材料からなる表面層8のエピタキシャル堆積のための基板として使用することができる。前記層は、更なる場合による工程g)において(
図1及び2)、第一酸化物層3の表面上に(即ち工程a)、b)及びe)の後に;
図1及び2)、第二酸化物層4の表面上に(即ち工程a)、b)、c)及びe)の後に;
図1)、第三酸化物層51の表面上に(即ち工程a)、b)、c)、d)及びe)の後に;
図2)、又は、第四酸化物層6の表面上に(即ち工程a)、b)、c)、d)、e)及びf)の後に;
図2)堆積されてよい。
【0033】
表面層8の半導体材料は、例えばIV族半導体、例えばシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン−ゲルマニウム(Si
1-aGe
a、0<a<1)、炭化シリコン(SiC);III−V族半導体、例えば第リン化ガリウム(GaP)、リン化アルミニウム(AlP)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、ヒ化インジウム(InAs)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、GaAs格子に完全に整合する半導体、例えばリン化ガリウムインジウム(Ga
0.51In
0.49P)又はリン化インジウムヒ素(In
0.51As
0.49P);II−VI半導体、例えば硫化亜鉛(ZnS)及び酸化亜鉛(ZnO)であってよい。全ての材料は単結晶である。
【0034】
酸化物層のスタックは、立方晶系Ia−3結晶構造を有し、かついかなる場合においても基板ウェハ1と同じ配向を有する(即ちSi(001)ウェハ上では(001)、Si(110)ウェハ上では(110)及びSi(111)ウェハ上では(111))。表面層8は以下の構造及び配向を有してよい:Si(001)ウェハが基板1として使用される場合、表面層8も立方晶系結晶構造及び(001)配向を有する。Si(110)ウェハが基板1として使用される場合、表面層8も立方晶系結晶構造及び(110)配向を有する。Si(111)ウェハが基板1として使用される場合、表面層8は立方晶系結晶構造及び(001)配向か、又は六方晶系結晶構造及び(0001)配向を有してよい。
【0035】
表面層8は緩和していても歪んでいてもよい。半導体材料の歪んだ層の堆積が意図される場合、この層の厚さは擬似格子整合成長に関してクリティカルな厚さを越えるべきではない。
【0036】
表面層8は目標となる適用に応じて有利に10nm〜50μmの厚さを有する。
更なる場合による工程h)において、得られた層状のウェハは200〜1000℃、有利に300〜600℃の温度で10〜100分間熱処理され、それによって、第四酸化物層6と表面層8との間の界面に、電気絶縁性材料を含む第二非晶質中間層7が形成される。この第二非晶質中間層7は有利に0.5nm〜100nm、更に有利に2nm〜100nm、極めて有利に3nm〜10nmの厚さを有する。隣接する酸化物層(一般には第四酸化物層6)の材料に応じて、第二非晶質中間層7は二酸化シリコン又は金属ケイ酸塩又は双方を含む。第二非晶質中間層7の重要性は適用に依る。例えば、完全空乏型CMOS技術の場合には、エピタキシャル酸化物層の高すぎるキャパシタンス及びリーク値に基づく不所望のバックチャネル及びクロストーク効果を回避する必要がある。
【0037】
第二中間非晶質層7の厚さは、熱処理の条件(即ち温度及び継続時間)により決定される。例えば、ヘテロ構造を保護窒素雰囲気中で600℃で30分間アニールした場合、ケイ酸プラセオジムからなる5nm厚の非晶質中間層7が、エピタキシャルシリコン層8と、組み込まれたPrO
2層51を伴うPr
2O
3ベースのバッファ酸化物層6との間に形成されることが見出された。第二非晶質中間層7は、第一非晶質中間層2と同じ目標、即ち、熱的な不整合の問題を回避し、かつ電気的特性を改善するために、半導体層8を硬質支持ヘテロ構造から切り離すという目標を果たす。典型的なパラメータを、非晶質中間層2の作製の説明の中で示す。
【0038】
場合による工程h)は、有利に、表面層8が工程g)で堆積された後にのみ、即ち工程g)と一緒にのみ適用される。
【0039】
工程h)は有利に、工程g)の直後に、2つの工程間に層状のウェハを冷却することなく実施される。これによって、酸化物と表面層8の半導体との異なる熱膨張係数による欠陥の発生を回避することができ、それと同時に、質の高い電気的特性(絶縁性、低い電荷トラッピング密度等)を保証することができる。
【0040】
上記の厚さの第一非晶質中間層2の形成には、大気から、少なくとも第一酸化物層3を通過して、第一酸化物層3とシリコン基板ウェハ1との間の界面までの酸素の拡散が必要とされる。第二非晶質中間層7の形成の際に、半導体ウェハの表面は半導体材料からなる表面層8により被覆されるため、酸素含有雰囲気から半導体ウェハへの酸素の拡散は実質的にブロックされる。従って、半導体材料からなる表面層8との間の界面を酸化するために酸素含有雰囲気を用いることはほぼ不可能である。しかしながらそれにもかかわらず、この酸化は第二非晶質中間層7の形成のためには必要であるため、内部酸素源を酸化物層のスタック内に組み込むのが有利である。この役割は、有利に、Me5
2O
w(3<w≦4)(これは前記の通り、工程d)におけるMe5
2O
3の層の堆積及び工程e)におけるこの層の酸化により作製されたもの)からなる上記の第三酸化物層51によって果たされ得る。
【0041】
工程h)における熱処理の間、Me5
2O
wは還元されて再度Me5
2O
3となり、それによって、第三酸化物層51が第三酸化物層52に変換される。余分な酸素は(存在する場合には)第四酸化物層6を通じて容易に拡散することができ、かつ、半導体材料からなる表面層8と、隣接する酸化物層(例えば第四酸化物層6)との間の界面で、半導体材料を酸化させることができる。例えば、PrO
2は標準状態下で安定な酸化物化合物である。しかしながら、半導体材料と接触して、界面での酸化反応はPrO
2における比較的ルーズに結合した格子酸素により促進される。結果的に、外部の酸素供給が絶たれた場合、PrO
2は300℃を超える温度でPr
2O
3に還元され、半導体薄膜の酸化物が界面に形成される。例えば、ケイ酸プラセオジムの形成が生じるSiO
2との混合の場合と同様に、接触する材料に応じて、Pr
2O
3をこの半導体酸化物と混合することができる。
【0042】
WO03/096385A2と比較して、本発明による半導体ウェハは以下の利点を有する:
まず第一に、本発明の発明者は、調節可能な格子パラメータを有する立方晶系Ia−3構造を有する混合金属酸化物を、エピタキシャル成長法を用いて、シリコン基板ウェハ上に容易に堆積させることができることを見出した。前記混合金属酸化物は、六方晶系(AlN:P63mc)又は三斜晶系(LaAlO
3:R−3mR)対称性を有するWO03/096385A2に記載されている調節可能な格子パラメータを有する材料よりも、シリコンの立方晶系結晶格子に適している。
【0043】
更に、本発明は、WO03/096385A2の場合のような通常は高度に特殊化された系となるヘテロ−エピタキシーアプローチの固有の融通性の欠如を克服した。本発明の混合バッファ酸化物アプローチは、立方晶系Ia−3A
2O
3結晶構造をベースとしており、前記構造は周期系にわたってほぼ共通であり、従って、表面層8のための数多くの有用な半導体材料に適合させることができる。
【0044】
一例として、
図3には、Me6
2O
3及びMe7
2O
3としてのみならず場合によってMe1
2O
3、Me2
2O
3、Me3
2O
3又はMe4
2O
3として用いることのできる多様な立方晶系金属酸化物の、半単位格子寸法(Å;1Å=0.1nm)を示す。全ての立方晶系Me
2O
3Ia−3結晶構造の単位格子寸法は、数パーセント以内で、最も一般的な立方晶系半導体構造の格子の2倍の大きさである。このようにして、立方晶系半導体上の前記酸化物のヘテロエピタキシーによって、極めて密な形態としての(2×2の)一致した格子が形成される。格子整合可能性のより容易な評価に関して、立方晶系半導体の単位格子寸法(
図4)を、立方晶系Me
2O
3Ia−3酸化物の格子寸法の半値と比較する(
図3)。
【0045】
図3及び4は、基板ウェハ1がSi(001)表面配向を有する場合に当てはまる。これら2つの二元金属酸化物を混合することにより、二元酸化物の格子定数間の全ての格子定数範囲が達成可能である。立方晶系Ia−3結晶構造を有する全ての二元金属酸化物は100%混合可能である。従って、一方ではシリコン基板ウェハ1に適合する適当な金属酸化物(Me1
2O
3、Me2
2O
3、Me3
2O
3、Me4
2O
3)、及び他方では表面層8の半導体材料に適合する適当な金属酸化物(Me6
2O
3及びMe7
2O
3)を容易に選択することができる。
図3において明らかである通り、約0.47nm〜約0.57nmの広範囲の半単位格子寸法が有効である。
図4に、表面層8のための材料として使用することができる幾つかの立方晶系半導体材料の単位格子寸法(Å)を示す。濃灰色領域は、Me
2O
3Ia−3酸化物(Meは希土類元素である)のみを混合することにより整合させることのできる格子パラメータの範囲を覆っている。灰色領域は、Me
2O
3Ia−3酸化物(Meは希土類元素、遷移金属又は典型金属元素である)を混合することにより整合させることのできる格子パラメータを含む。薄灰色領域は、Me
2O
3Ia−3酸化物(Meは希土類元素である)を混合することにより±4%以内で整合させることのできる格子パラメータを覆っている。
【0046】
図5及び6は、基板ウェハがSi(111)表面配向を有する場合の、相当するデータを示す。
図5は、
図3に示されたものと同じ立方晶系金属酸化物の(111)表面単位格子寸法(Å)を示す。
図6に、表面層8のための材料として使用することができる多様な六方晶系半導体材料の(0001)表面単位格子寸法(Å)を示す。全ての立方晶系(111)Me
2O
3Ia−3結晶表面の表面単位格子寸法は、数パーセント以内で、最も一般的な六方晶系半導体構造の(0001)底面の2倍の大きさである。このようにして、(111)配向を有する前記の立方晶系酸化物上への(0001)配向六方晶系半導体のヘテロエピタキシーによって、最も密な配置としての(2×2)の一致した格子が形成される。格子整合可能性のより容易な評価のために、六方晶系半導体の(0001)単位格子寸法(
図6)を、立方晶系(111)Me
2O
3Ia−3酸化物表面の格子寸法の半値と比較する(
図5)。
図6中の影つきの領域は、
図4中のものと同じ意味を有する。
【0047】
更に、全く同一の材料の表面層8を、しばしば、完全に緩和した、又は歪んだ様式で積層することができる。このアプローチの高い柔軟性は、このようにして、原則的に、今まで達成されてない構造品質(10
12/cm
2以下の欠陥密度等)でSi技術プラットフォーム上にエピタキシャル層系を作製するという利点、又は、今まで不可能であった新規の材料のための組み込みのアプローチへの道も開くという利点さえも提供する。
【0048】
更なる重要な利点は、Ia−3構造を有する金属酸化物が、その高い酸素伝導性で十分に公知であるという事実である。この特性に加えて、例えばPrO
2の形の内部酸素リザーバーを組み込むというオプションは、非晶質中間層2、7が、エピタキシャル酸化物層3〜6とSi基板ウェハ1との間、及び必要であればエピタキシャル酸化物層3〜6と表面層8との間に形成されるという利点をもたらす。前記の中間層は、格子を切り離し、それによって幾何学的な格子不整合並びに熱的不整合による欠陥の発生を回避するために重要である。確実に、エピタキシャル堆積表面層8の高い構造品質は、その電気的特性(電荷担体移動度、耐用年数、故障までの平均時間等)の優れた特性へと転換する。更に、非晶質中間層2、7は、ヘテロ構造の電気的特性(酸化物の絶縁、キャパシタンス、界面トラップ等)を調整する上で極めて重要な役割を果たす。
【0049】
更に、例えばY
2O
3のような幾つかのIa−3A
2O
3酸化物は、高い熱伝導性、大型化マイクロ電子デバイスの分野における多くの適用に関する利点を示す。
【0050】
本発明は、エピタキシャル堆積及び熱処理工程のみによって、高品質SOIウェハを作製することを可能にする。本発明は有利に、いかなるデバイス構造も有しないバージンシリコンウェハに適用される。本発明による層は、有利にシリコンウェハの少なくとも1つの完全に平坦な表面上に堆積される。
【0051】
層のエピタキシャル堆積法:
ビクスビアイト(bixbyite)混合酸化物成分及び半導体の双方共に、それぞれPVD及びCVDと略される物理蒸着法又は化学蒸着法によって堆積させることができる。PVDの場合、目標となる材料は、一般的な電子衝撃及び/又は熱蒸着技術により加熱される。CVDの場合、実績のある多くのCVD技術が適用される(高圧CVD、液体パルスCVD等)。堆積温度は200〜1200℃の範囲内であるが、400〜800℃の範囲内のサーマルバジェットでの成長条件が有利である。種々の目標物からの蒸着フラックスを、所望の組成の混合薄膜(例えば、化学量論的組成の傾斜を有する混合バッファ酸化物薄膜、化合物半導体薄膜、例えばSiGe等)を作製するために調節することができる。堆積フラックスは典型的には1〜100nm/秒の範囲内である。
【0052】
測定法:
構造:薄膜及び界面層の厚さ並びに表面及び界面の各々の粗度を、非破壊的に、界面技術(例えばX線反射光測定及び偏光解析)により試験する。更に、走査プローブ技術、例えばAFM及びSTMを、表面粗度パラメータの定量化のために適用することができる。層の結晶品質を、主にX線回折技術により特性決定する。面内及び面外X線回折測定を、Si基板ウェハに対する、酸化物バッファ及び半導体層のエピタキシャル関係の決定に用いる。X線回折は更に、薄膜の長距離秩序に関する高度に平均化された情報をもたらし、例えば欠陥密度及び歪み効果を定量化することができる。欠陥密度及び歪みに関するこれらの結果を、更に、TEM及びラマン研究により実証することができる。ヘテロ構造の化学量論は、非破壊的にRBSによって、又は破壊的にXPS及びTof−SIMSスパッタリング技術を用いて研究される。前記のTof−SIMSスパッタリング技術は、ヘテロ構造における高感度の不純物レベルでの測定にも適用される。
【0053】
電気的特性:リーケージの研究は、J−V測定(温度依存;過渡的等)により実施することができる。前記測定は、バッファ酸化物の誘電率並びに界面準位密度の挙動を研究するために、周波数依存のC−V測定により補足される。更に、DLTSを、酸化物/半導体境界での界面並びにトラップ準位の研究に適用することができる。ホール測定を、エピタキシャル半導体層内での電荷担体濃度並びに移動度の決定に用いる。