特許第5693840号(P5693840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5693840基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5693840
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20150312BHJP
   G01D 5/38 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   G01D5/347 110B
   G01D5/347 110V
   G01D5/38 A
【請求項の数】16
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2009-265460(P2009-265460)
(22)【出願日】2009年11月20日
(65)【公開番号】特開2010-122224(P2010-122224A)
(43)【公開日】2010年6月3日
【審査請求日】2012年10月2日
(31)【優先権主張番号】12/275,170
(32)【優先日】2008年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】アブロン エム ツヴィリング
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ディ トバイアソン
(72)【発明者】
【氏名】スコット ハーシラ
(72)【発明者】
【氏名】カール ジー マレリエ
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−031279(JP,A)
【文献】 特開2005−283357(JP,A)
【文献】 特開平10−332431(JP,A)
【文献】 特開2004−333470(JP,A)
【文献】 特開昭56−014112(JP,A)
【文献】 特開平09−021654(JP,A)
【文献】 特開2005−106827(JP,A)
【文献】 特開2007−232681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26−5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定軸方向に沿って互いに動く2つの部材間の基準位置の指示を与えるのに使用可能な光ファイバ基準信号発生構造を有する光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置を備え
前記光ファイバ基準信号発生構造が、
位置分解能と繰返し再現性の第1のレベルを持つ単一の基準マーク一次信号を与える基準マーク一次信号発生部と、
前記基準マーク一次信号に比べて、改良されたレベルの位置分解能と繰返し再現性を持つ基準マーク二次信号を与える基準マーク二次信号発生部と、
を備えた、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダであって、
前記基準マーク一次信号発生部が、
第1の拡散光源光を放射する光源、及び、各基準マーク信号を与えるように構成された、少なくとも第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルを備えた少なくとも第1の光ファイバ読取ヘッドの部分と、
スケール部材上の測定軸方向に沿って伸び、前記第1の拡散光源光を反射して、スケール光を第1の光ファイバ読取ヘッドに与えるように配置された少なくとも第1のスケールトラックの部分と、
該第1のスケールトラックの部分に配置された少なくとも1つの基準マーク部とを備え、
前記第1の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、第1の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び第1の基準マーク信号受光チャンネル開口を備え、前記第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、第2の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び第2の基準マーク信号受光チャンネル開口を備え、該第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作するように配置された時に、前記第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル開口が、互いに最も近いそれらの境界が、測定軸方向に寸法APR12SEPだけ離され、互いに最も遠いそれらの境界が、測定軸方向に合計開口スパン寸法APR12SPANにわたるように構成され、
前記少なくとも1つの基準マーク部が、2つの基準マーク部の境界が、測定軸方向に沿ってエッジ間寸法LETOEだけ離れると共に、該エッジ間寸法LETOEだけ離された外側境界を持つ単一の基準マーク位置でなる単一の基準マーク構造、及び、前記少なくとも1つの基準マーク部が、第1及び第2の下位基準マークの最も近い境界が、エッジ間寸法LETOEだけ離される構成A、及び、第1及び第2の下位基準マークの最も遠い境界が、エッジ間寸法LETOEだけ離される構成Bの一方に従って構成された第1及び第2の下位基準マークを有する2つの下位基準マーク構造の一方に従って構成され、
前記少なくとも1つの基準マーク部及び第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、APR12SEP<(2*LETOE)<APR12SPANとなるように構成され、
第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作するように配置された時に、前記少なくとも第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、それらの開口を通してスケール光の部分を入力し、入力光を伝達して、それらの各基準マーク信号を与え、これが前記少なくとも1つの基準マーク部に近い信号クロス領域内の基準位置の第1の指示を与えるようにされ、
前記基準マーク二次信号発生部が、各基準マーク信号を与えるように構成された、少なくとも第3及び第4の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルを備え、
前記第3の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、第3の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び第1の空間位相を有する第1の空間フィルタマスクによってマスクされた第3の基準マーク信号受光チャンネル開口を備え、
前記第4の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、第4の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び第2の空間位相を有する第2の空間フィルタマスクによってマスクされた第4の基準マーク信号受光チャンネル開口を備え、
前記単一の基準マーク構造において、第3及び第4の基準マーク信号受光チャンネル開口が、互いに最も近いそれらの境界が、測定軸方向に沿って、(2*LETOE)以上の寸法ASR12SEPだけ離れるように構成され、
前記2つの下位基準マーク構造において、第3及び第4の基準マーク信号受光チャンネル開口が、互いに最も遠いそれらの境界が、測定軸方向に沿って(2*LETOE)以下の寸法ASR12SPANだけ離れるように構成され、
前記少なくとも第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルは、基準マーク一次信号受光チャンネルであり、各基準マーク信号は、それぞれ、少なくとも1つの基準マーク部に近い信号クロス領域内で分解能の第1のレベルで一次基準位置の指示を与える基準マーク一次信号であり、
前記少なくとも第3及び第4の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルは、基準マーク二次信号受光チャンネルであり、各基準マーク信号は、それぞれ、基準マーク二次信号であり、第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作するように配置されたときに、少なくとも第3及び第4の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルは、干渉縞を含むスケール光の部分をそれらの開口を通して入射し、入射光を伝達して、少なくとも1つの基準マーク部分に近い信号クロス領域内で、分解能の第1のレベルよりも微細な分解能の第2のレベルで2次基準位置の指示を与える基準マーク二次信号を与える、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項2】
請求項において、
前記単一の基準マーク構造において、寸法ASR12SEPは[(2*LETOE)+(2*PSCLR)]に等しく、
前記2つの下位基準マーク構造において、寸法ASR12SPANは[(2*LETOE)−(2*PSCLR)]に等しい、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項3】
請求項において、
第2の空間位相が、第1の空間位相の位相から名目上180°位相が外れ、
前記光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置が、第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作し、少なくとも1つの基準マーク部を横断するように配置された時に、
第1の各基準マーク一次信号が横断に際して減少し、第2の各基準マーク一次信号が横断に際して増加し、それらが信号クロス領域内で1次信号クロス点に近い同じ信号値を与えるようにされ、
第3の各基準マーク二次信号が横断に際して周期的に増減し、第2の各基準マーク二次信号が横断に際して周期的に増減するようにされ、それらが信号クロス領域内で複数の二次信号クロス点に近い同じ信号値を与えるようにされ、
二次基準位置が、信号クロス領域内の一次信号クロス点に近い二次信号クロス点の近くの位置を指示するようにされている、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項4】
請求項において、
前記第1の拡散光源光が、空間的にコヒーレントで単色性であり、前記トラック部分の第1のタイプが、第1の拡散光源光のゼロ次の反射を抑制して、スケール光の少なくとも一部中に干渉縞を与えるように構成された位相格子部分であり、前記少なくとも1つの基準マーク部分がゼロ次の反射部分である、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項5】
請求項において、ゼロ次反射部分がミラー部分である、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項6】
請求項において、更に、
測定軸方向に沿って伸びる反射性周期スケール格子を備え、第1のスケールトラックの近くのスケール部材上に配置された第2のスケールトラックと、
第1の光ファイバ読取ヘッドの近くに配置された第2の光ファイバ読取ヘッドを備え、
この第2の光ファイバ読取ヘッドが、
前記第2のスケールトラックが第2の拡散光源光を反射して空間的に周期的な強度パターンを含むスケール光を第2の光ファイバ読取ヘッドに与えるよう、空間的にコヒーレントな単色光を備えた第2の拡散光源光を放射するように構成された第2の光源と、
それぞれ空間的に周期的なインクリメンタル測定信号を与えるように構成された複数の各光ファイバインクリメンタル測定信号受光チャンネルであって、各光ファイバインクリメンタル測定信号受光チャンネルが、各インクリメンタル測定信号受光チャンネル光ファイバ及び光ファイバの端部近くに配置された各インクリメンタル測定信号受光チャンネル空間位相マスク部分を備え、各インクリメンタル測定信号受光チャンネル空間位相マスク部分が、各空間位相と、第2のスケールトラックから反射されたスケール光中に含まれる空間的に周期的な強度パターンを空間的に濾波するように動作するピッチで配置された光遮蔽要素を有するものを備え、
前記光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置が、第1及び第2の光ファイバ読取ヘッドが互いに固定され、分解能の第2のレベルを持つ二次基準位置の指示が、空間的に周期的なインクリメンタル測定信号の1周期の+/−半分より小さな位置再現性を有する、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項7】
請求項において、
第2のスケールトラックの反射性周期スケール格子は、第2の拡散光源光のゼロ次反射を抑制するように構成された位相格子であり、
第2のスケールトラックの反射性周期スケール格子及び第1のスケールトラック中のトラック部分の第1のタイプである位相格子部分は、それぞれ、格子要素間で名目上同じ凹部高さを持つ、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項8】
請求項において、
前記光源が光源光ファイバの端部を備え、
前記少なくとも第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び前記少なくとも第3及び第4の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバが、光源光ファイバの近くで平行に配置され、
光源光ファイバ、少なくとも第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ、及び、少なくとも第3及び第4の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバを含む、第1の光ファイバ読取ヘッド内に配置された全ての光ファイバが円筒体積内に位置されている、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項9】
請求項において、
量[ASR12SEP+(0.25*(ASR12SPAN−ASR12SEP))]が(2*LETOE)よりも小さく、
量[ASR12SEP+(0.75*(ASR12SPAN−ASR12SEP))]が(2*LETOE)よりも大きい、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項10】
請求項において、
量[ASR12SEP+(0.4*(ASR12SPAN−ASR12SEP))]が(2*LETOE)よりも小さく、
量[ASR12SEP+(0.6*(ASR12SPAN−ASR12SEP))]が(2*LETOE)よりも大きい、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項11】
請求項において、前記第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル開口は、それぞれ、少なくとも(a)各基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ端部での光伝送コア断面積、及び、(b)光伝送コア領域の部分をカバーする各基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ端部近くに位置される各開口マスクの1つによって規定され、各開口マスクは、測定軸方向に沿って空間的に周期的な構造を含まない、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項12】
測定軸方向に沿って互いに動く2つの部材間の基準位置の指示を与えるのに使用可能な光ファイバ基準信号発生構造を有する光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置を備え
前記光ファイバ基準信号発生構造が、
第1の拡散光源光を放射する光源、及び、各基準マーク信号を与えるように構成された、少なくとも第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルを備えた少なくとも第1の光ファイバ読取ヘッドの部分と、
スケール部材上の測定軸方向に沿って伸び、前記第1の拡散光源光を反射して、スケール光を第1の光ファイバ読取ヘッドに与えるように配置された少なくとも第1のスケールトラックの部分とを備え、
該少なくとも第1のスケールトラックの一部が、
前記第1の拡散光源光によって照明された時にゼロ次反射の第1の量を与えるトラック部分の第1のタイプと、
前記第1の拡散光源光によって照明された時に、ゼロ次反射の前記第1の量とは異なるゼロ次反射の第2の量を与える、前記トラック部分の第1のタイプ内に配置された少なくとも1つの基準マーク部とを備え、
前記第1の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、第1の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び第1の基準マーク信号受光チャンネル開口を備え、前記第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、第2の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び第2の基準マーク信号受光チャンネル開口を備え、該第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作するように配置された時に、前記第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル開口が、互いに最も近いそれらの境界が、測定軸方向に寸法APR12SEPだけ離され、互いに最も遠いそれらの境界が、測定軸方向に合計開口スパン寸法APR12SPANにわたるように構成され、
前記少なくとも1つの基準マーク部が、2つの基準マーク部の境界が、測定軸方向に沿ってエッジ間寸法LETOEだけ離れるように構成され、
前記少なくとも1つの基準マーク部及び第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、APR12SEP<(2*LETOE)<APR12SPANとなるように構成され、
第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作するように配置された時に、前記少なくとも第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、それらの開口を通してスケール光の部分を入力し、入力光を伝達して、それらの各基準マーク信号を与え、これが前記少なくとも1つの基準マーク部に近い信号クロス領域内の基準位置の第1の指示を与える、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダにおいて、
前記第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル開口は、それぞれ開口マスクを有し、少なくとも(a)各基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ端部での光伝送コア断面積、及び、(b)光伝送コア領域の部分をカバーする各基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ端部近くに位置される各開口マスクの1つによって規定され、各開口マスクは、測定軸方向に沿って空間的に周期的な構造を含まず、
前記トラック部分の第1のタイプ及び前記少なくとも1つの基準マーク部の1つが、スケール光の少なくとも一つの部分に干渉縞を与え、
少なくとも1つの各開口マスクが、測定軸を横断する方向に伸び、測定軸に対して垂直でない少なくとも一部を含む、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項13】
請求項12において、測定軸に垂直でない部分を含む少なくとも1つの横断エッジは、近接する開口境界から測定軸方向に沿って反対側の横断開口エッジに向かって伸びる開口エッジ遷移寸法PEATにわたり、寸法PEATは、第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作するように配置された時に、開口マスク面で少なくとも1つの干渉縞ピッチにわたる、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項14】
測定軸方向に沿って互いに動く2つの部材間の基準位置の指示を与えるのに使用可能な光ファイバ基準信号発生構造を有する光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置を備え
前記光ファイバ基準信号発生構造が、
第1の拡散光源光を放射する光源、及び、各基準マーク信号を与えるように構成された、少なくとも第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルを備えた少なくとも第1の光ファイバ読取ヘッドの部分と、
スケール部材上の測定軸方向に沿って伸び、前記第1の拡散光源光を反射して、スケール光を第1の光ファイバ読取ヘッドに与えるように配置された少なくとも第1のスケールトラックの部分とを備え、
該少なくとも第1のスケールトラックの一部が、
前記第1の拡散光源光によって照明された時にゼロ次反射の第1の量を与えるトラック部分の第1のタイプと、
前記第1の拡散光源光によって照明された時に、ゼロ次反射の前記第1の量とは異なるゼロ次反射の第2の量を与える、前記トラック部分の第1のタイプ内に配置された少なくとも1つの基準マーク部とを備え、
前記第1の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、第1の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び第1の基準マーク信号受光チャンネル開口を備え、前記第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、第2の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ及び第2の基準マーク信号受光チャンネル開口を備え、該第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作するように配置された時に、前記第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル開口が、互いに最も近いそれらの境界が、測定軸方向に寸法APR12SEPだけ離され、互いに最も遠いそれらの境界が、測定軸方向に合計開口スパン寸法APR12SPANにわたるように構成され、
前記少なくとも1つの基準マーク部が、2つの基準マーク部の境界が、測定軸方向に沿ってエッジ間寸法LETOEだけ離れるように構成され、
前記少なくとも1つの基準マーク部及び第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、APR12SEP<(2*LETOE)<APR12SPANとなるように構成され、
第1の光ファイバ読取ヘッドが第1のスケールトラックに対して動作するように配置された時に、前記少なくとも第1及び第2の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、それらの開口を通してスケール光の部分を入力し、入力光を伝達して、それらの各基準マーク信号を与え、これが前記少なくとも1つの基準マーク部に近い信号クロス領域内の基準位置の第1の指示を与える、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダにおいて、
前記少なくとも1つの基準マーク位置が、測定軸を横断する方向に伸び、第1の横断エッジの異なる各部分が、測定軸の横断方向に沿う位置の関数として変化する測定軸方向に沿う各位置を有するように構成された、少なくとも第1の基準マーク位置横断エッジを含み、
測定軸方向に沿う各位置が、各位置が測定軸方向に沿う対応する基準マークエッジ遷移ゾーンにわたり、測定軸を横断する方向に沿って前後に繰返して変化し、
LETOEを規定する目的で、この第1の横断エッジの境界が、測定軸方向に沿う対応する基準マークエッジ遷移ゾーンの中央に位置するように規定されている、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項15】
請求項14において、
前記少なくとも1つの基準マーク位置が、測定軸を横断する方向に沿って伸び、第2の横断エッジの異なる各部分が、測定軸と横断する方向に沿う位置の関数として変化する測定軸方向に沿う各位置を有する第2の横断エッジの異なる各部分を有するように構成された第2の基準マーク位置横断エッジを含み、
第2の基準マーク位置横断エッジが、測定軸方向に垂直な方向に沿う対称軸に関して、第1の基準マーク位置横断エッジの鏡像であるように構成されている、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【請求項16】
請求項において、
前記光源が、光源光ファイバの端部を備え、
前記少なくとも第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバが、光源光ファイバの近くで平行に配置され、
光源光ファイバ及び少なくとも第1及び第2の基準マーク信号受光チャンネル光ファイバを含む、第1の光ファイバ読取ヘッド内の全ての光ファイバが円筒体積内に配置されている、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概ね変位検知光学式エンコーダに係り、特に、光ファイバを受光要素として利用する小型光ファイバエンコーダ用の基準信号を与える構造を含む、基準信号を検出可能な光ファイバ干渉型格子エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
ここで、引用して、それらの全体を取り込む、特許文献1〜3に開示された物を含む、光ファイバ受光チャンネルを用いた様々な小型の光ファイバ格子エンコーダが知られている。そのような小型のエンコーダは、極小サイズ、超高精度、耐電気雑音性、及び、超高速動作を含む、望ましい様相の組合せを提供する。
【0003】
多くの動作制御及び/又は位置測定システム等は、格子スケール内の特定周期を識別するために用いられる基準信号を入力するための手段を含んでいる。通常、格子スケールに対して固定された様相に対応する基準信号は、そうでなければ、長い範囲の測定のための基礎として信号周期を計数するインクリメント型変位測定システムで生じる位置の曖昧さを取り除くための基準点を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6906315号明細書
【特許文献2】米国特許第7053362号明細書
【特許文献3】米国特許第7126696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記先行文献中に含まれるような小型の光ファイバ格子エンコーダで容易且つ経済的に使用可能で、同様の望ましい様相を与える基準信号発生構造は知られていなかった。そのような基準信号発生構造が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この要約は、以下で更に詳細に説明する、単純化された形の概念の選択を導入するために与えられる。この要約は、クレームされた主題の鍵となる様相を特定することを意図しておらず、クレームされた主題の範囲を決定する助けとして使用されるのを意図していない。
【0007】
簡単に説明すると、本発明は、基準位置指示を与えるのに用いられる小型光ファイバ基準信号発生構造も含む、変位測定用の小型の光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置を与えるためのものである。様々な実施形態において、スケールは、ゼロ次反射の第1のレベルを与えるトラック部分の第1のタイプ(例えば位相格子)と、ゼロ次反射の第2のレベルを与える基準マーク(例えばミラー)を備えたスケールトラックを含む。各光ファイバ基準信号受光チャンネルは、基準マークに対する近さ及び/又は重なりに依存するゼロ次反射光の異なる量を検出して受光する各開口を含み、光基準マーク信号間の関係は基準位置を示す。本発明による基準マークは、結果として生じる各基準マーク信号間の望ましい関係を確立する、読取ヘッド中のある光ファイバ基準信号受光チャンネル開口寸法(例えばサイズ及び間隔)に基づいて決定される、測定軸方向に沿う長さ又は境界間隔寸法を持つ。
【0008】
いくつかの構成において、基準位置の指示を与える光ファイバ読取ヘッド及びスケールトラックは、光ファイバ読取ヘッド、及び、周期的なインクリメンタル測定信号を与えるスケールトラックから分離されている。いくつかの構成において、一体化された光ファイバ読取ヘッド及び一体化されたスケールトラックは、基準位置指示と周期インクリメンタル測定信号の両者を与える。
【0009】
いくつかの構成において、各開口を含む各光ファイバ基準信号受光チャンネルは、より高い分解能の基準マーク二次信号を発生するのに使用され、先に述べた光基準マーク信号は、より低い分解能の基準マーク一次信号として使用される。特に、一次信号受光チャン
ネルの受光領域の外側で受光される干渉縞に対応する2つの空間的に周期的な二次信号を与えるように、二次信号受光チャンネル開口のための空間的フィルタマスクを構成するために、(例えばサイズ及び間隔に対する)幾何学的な設計ルールが使用される。基準マーク二次信号の変化の空間周波数及び/又は変化速度は、基準マーク一次信号の有効空間周波数及び/又は変化速度よりも数倍高い。いくつかの実施形態において、高レベルの値から低レベルの値への基準マーク一次信号の遷移は100μmのオーダーの距離にわたる。いくつかの実施形態において、二次基準マーク信号の空間周波数は2−4μmのオーダーにあり、それらは互いに180°位相がずれている。基準マーク二次信号の「二次」クロス点は、(一次基準マーク位置である)基準マーク一次信号の「一次」クロス点に空間的に近接して特定される。いくつかの実施形態において、一次クロス点は、一次基準マーク位置を0.2μmのオーダーの分解能及び繰返し再現性で特定するのに用いられる。二次クロス点は、基準マーク二次信号の、より高い空間周波数及び/又はより高い信号変化速度のため、(10倍に改良された)20nmのオーダーの分解能及び繰返し再現性を持つ二次基準マーク位置を特定するのに用いられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による光ファイバ基準信号発生構造が、(例えば特許文献3に開示されたような)インクリメンタル測定を与える公知の小型光ファイバ格子エンコーダと同様の望ましい様相を提供することが重要である。例えば、本発明による光ファイバ基準信号発生構造は、特許文献3中に開示された干渉型光ファイバエンコーダと同様又は同一の動作ギャップで用いることができることが重要である。更に、それは、同様の超小型サイズ、高精度、耐電気雑音性及び非常に高速な動作を提供する。従って、本発明による小型の光ファイバ基準信号発生構造は、望ましい高精度の小型光ファイバインクリメンタル測定エンコーダに容易に且つ経済的に使用できる。
【0011】
従って、本願発明は、先行技術の光学変位検知装置の欠点を克服し、超小型、高精度、経済的及び高速な構造を備えて、新しい適用分野の可能性を与える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1準信号発生構造を含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置の第1参考形態の斜視図
図2準信号発生構造を含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置の第2参考形態の斜視図
図3準信号発生構造を含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置の第3参考形態の斜視図
図4準信号発生構造を含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置の第4参考形態の斜視図
図5子及び基準マーク構造の1つの参考例を示す斜視図
図6A準信号発生構造の第1参考形態の様々な側面を模式的に示す斜視図
図6B準信号発生構造の第1参考形態の様々な側面を模式的に示す斜視図
図7準信号発生構造の第2参考形態の一部を模式的に示す斜視図
図8図6A図6B及び図7の基準信号発生構造により発生された基準信号を示す図
図9準信号発生構造の第3参考形態を含む、第1の一体型基準信号及びインクリメンタル信号発生構造の動作の様々な側面を模式的に示す斜視図
図10】追加の詳細を含む、図9に示される一体型基準信号及びインクリメンタル信号発生構造の一部を示す斜視図
図11準信号発生構造の第4参考形態を含む、第2の一体型基準信号及びインクリメンタル信号発生構造の一部を示す斜視図
図12図10及び図11の一体型基準信号及びインクリメンタル信号発生構造によって発生された基準信号を模式的に示す図
図13】本発明による基準信号発生構造の第実施形態の一部を示す斜視図
図14図13の基準信号発生構造によって発生された基準信号を示す図
図15】本発明による基準信号発生構造の第実施形態の一部を示す斜視図
図16】本発明による基準信号発生構造の第実施形態の一部を示す斜視図
図17A図16中に示された開口マスク構造の部分の代わりに使用可能な他の開口マスク構造を示す図
図17B図16中に示された開口マスク構造の部分の代わりに使用可能な他の開口マスク構造を示す図
図18】本発明による基準信号発生構造の第実施形態の一部を示す斜視図
図19】本発明による一次及び二次基準信号と関係付けられる様々な信号の関係を示す図
図20A図5中に示される基準マーク構造の代わりに使用可能な他の基準マーク構造を示す図
図20B図5中に示される基準マーク構造の代わりに使用可能な他の基準マーク構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1、基準信号発生構造を含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置1000の第1参考形態の斜視図である。図1に示されるように、この小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置1000は、スケール格子80を含むスケール部材81と、インクリメンタル読取ヘッド100と、基準マーク読取ヘッド200とを含む。この読取ヘッド100及び200は、通常、互いに固定して取付けられるか、又は、単一のユニットとして形成され、それらの変位が同期するようにされる。
【0014】
直交XYZ座標系が、Y軸がスケール格子80の格子縞と平行で、Z軸がスケール格子80の表面に垂直で、X軸がY−Z面に直交するように規定される。測定軸82は、X軸に平行である。動作に際して、スケール部材81は、スケール格子80を含むインクリメンタル測定スケールトラック86に沿って変位し、読取ヘッド200は、基準スケールトラック88に沿って変位するように、スケール部材81は測定軸82に沿って変位する。図1において、インクリメンタル測定スケールトラック86と基準スケールトラック88間の大体の境界が、破線10で示されている。図1に示される参考形態において、基準スケールトラック88は、通常、スケール格子80を含む。しかしながら、以下で詳細に説明するように、基準スケールトラック88が、1以上の基準マークゾーン251を含むことが重要である。
【0015】
インクリメンタル読取ヘッド100は、光ファイバケーブル195中に含まれる複数の光ファイバ130の端部を収容して位置決めするフェルール101を備えた先行技術の小
型光ファイバ読取ヘッドであることができる。様々な形態において、インクリメンタル読取ヘッド100は、先に取り込んだ先行技術文献中に記載された任意のタイプのインクリメンタル読取ヘッドを備えることができる。図1に示される参考形態において、インクリメンタル読取ヘッド100は、特許文献3中に詳細に記載された、干渉型読取ヘッドを備える。簡単に説明すると、動作に際して、読取ヘッド100は、光ファイバ130の中央の一つから拡散するコヒーレント光源光150を放射し、これが照明スポット153でスケール格子80を照明し、ここで反射され回折されて、スケール光155を与える。様々な形態において、スケール格子80は、ゼロ次反射を抑制するように構成された位相格子である。従って、スケール光155は、読取ヘッド100に向けて反射される第1の一次+/−一次回折光を含む。この+/−一次回折光は、位相マスク要素161の受光面160の近くに干渉縞の場を形成する。位相マスク要素161は、特許文献3に記載されたように、複数の光ファイバ・インクリメンタル測定信号受光チャンネルを与えるため、外側光ファイバ130の端部にわたる異なる空間位相を持つ複数の空間フィルタを受光面160に与える。この空間濾波の結果、光ファイバ・インクリメンタル測定信号受光チャンネルは、スケール格子80が読取ヘッド100に対して変位した時に、異なる空間位相を持つ周期的な光信号(例えば直角位相信号)を出力することができる。
【0016】
基準マーク読取ヘッド200は、光ファイバ・ケーブル295中に含まれる複数の光ファイバ230の端部を収容して位置決めするフェルール201を備えることができる。様々な形態において、基準マーク読取ヘッド200は、以下で詳細に説明するように、様々な基準信号発生構造を備えることができる。簡単に説明すると、動作に際して、読取ヘッド200は、光ファイバ230の中央の1つから拡散する光源光250を放射し、これが照明スポット253で、スケール格子80及び/又は基準マークゾーン251を照明する。様々な形態において、拡散する光源光250は、単色で空間的にコヒーレントであることが有利であり、いくつかの形態においては一時的にコヒーレントであっても良い。一般的に、スケール格子80は、読取ヘッド100を参照して上記で説明したのと同じ方法で、干渉縞の場を生成する反射され回折されたスケール光を与える。しかしながら、様々な形態において、基準マーク読取ヘッド200は、位相マスク要素を含まない。その結果、複数の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルを与える、外側光ファイバ230の端部は、変位に拘わらず、単に干渉縞の場からの光のほぼ一定の「平均」量を受光する。
【0017】
既に示したように、様々な形態において、スケール格子80は、ゼロ次反射を抑制するように構成された位相格子である。従って、基準マークは、基準マークゾーン251中の少なくとも1つのミラー状基準マーク部を用いることによって、スケール格子80の構造及び/又は動作を中断するように形成される。そのような場合、基準マークゾーン251が照明スポット253中に位置していると、ミラー状基準マーク部は、図1に示されるように、拡散するスケール光254を与えるゼロ次反射を生成する。その結果、読取ヘッド200が基準マークゾーン251にわたって変位すると、基準信号として(光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルとして使用される外側光ファイバ240の端部の任意の1つにより)受光され伝達される「平均」縞光の量及びゼロ次反射光の量は、照明スポット253と基準マーク位置基準マークゾーン251の重なり量の関数として変調される。複数の各光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルが、そのように変調された光基準信号を受光し伝達して、以下で詳細に説明するように、基準位置が正確に決定されるように使用される。
【0018】
基準マークゾーン251中の基準マーク位置は、Y軸方向に幅WYを持ち、以下で詳細に説明するように、測定軸82の方向に沿って離れた境界の配置を与える。幅WYは、通常、基準マークスケールトラック88の幅内で読取ヘッド200の望まれるアライメント公差を許容するのに十分であると仮定して、基準マークゾーン251、あるいは、ここに
記載した他の任意の基準マークゾーンに対して臨界的でない。様々な形態において、測定軸82の方向に沿う基準マークゾーン251に含まれる基準マーク位置の境界の適切な間隔は、信頼性があり且つロバストな基準信号を与えるのに臨界的であり、通常、以下で詳細に説明するように、読取ヘッド200中に与えられるファイバの構造及び/又は光ファイバ基準マーク信号受光チャンネル開口のある寸法に依存する。
【0019】
図2、基準信号発生構造を含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置2000の第2参考形態の斜視図である。小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置2000の動作は、いくつかの面において、図1の小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置1000と同様であり、同様に符号付けされた部品は、以下で示す以外は、形状及び動作において類似又は同一である。図2に示したように、小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置2000は、スケール格子80を含むスケール部材81と、インクリメンタル読取ヘッド100と、基準マーク読取ヘッド200を含む。小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置2000と小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置1000の間の一番の違いは、基準スケールトラック88´の構成が、基準スケールトラック88の構成と異なる点である。特に、少なくとも基準マークゾーン251´を囲む基準スケールトラック88´の部分は、拡散する光源光によって照明された時にゼロ次反射のかなりの量を与えるトラック部分(例えばミラー状トラック部分)を備えている。この基準マークゾーン251´はトラック部分内に位置している。このような形態において、基準マークゾーン251´は、周囲のトラック部分(例えばゼロ次反射を抑制するように設計された格子部分)よりもかなり少ない量のゼロ次反射を与えるような少なくとも1つの基準マーク部を含む。いくつかの形態において、基準マークゾーン251´に含まれる格子基準マーク部は、インクリメンタル・スケールトラック86に沿って伸びるスケール格子80の構造と同一であることができる。一つの形態において、ミラー状トラック部は、基準スケールトラック88´のほぼ全長にわたって伸びることができる。
【0020】
簡単に説明すると、動作に際して、読取ヘッド100は、この読取ヘッド100がインクリメンタル測定スケールトラック86に沿って変位し、読取ヘッド200が基準スケールトラック88´に沿って移動するように、(例えば、各読取ヘッドを同じ取付ブラケットに取付けることによって)読取ヘッド200に対して固定され、スケール部材81は測定軸82に沿って変位する。一般的に、照明スポット253が基準マークゾーン251´の近傍ではあるが、これを含まないようにする位置(例えば、破線15によって示されるのに対応する位置)で、基準スケールトラック88´に沿って位置され、基準スケールトラック88´は強いゼロ次反射を発生する。その結果、複数の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルを与える外側光ファイバ230の端部は、変位の範囲にわたって、ゼロ次反射から、ほぼ一定で「大きな」量の光を受光する。
【0021】
基準マークは、基準マークゾーン251´内でミラー状トラック部分の構造及び/又は動作を中断することによって形成されることができる。例えば、ゼロ次反射を抑制するように構成された格子型基準マークは、基準マークゾーン251内に位置されることができる。そのような場合、基準マークゾーン251´が照明スポット253内に位置されると、格子部分基準マークは、ゼロ次反射を抑制し、上記で示したように、図2中の基準マークゾーン251´に、拡散スケール光255中の拡散する破線によって示される+/−一次の反射を生成する。その結果、読取ヘッド200が基準マークゾーン251´にわたって変位すると、ゼロ次反射光の量がかなり減少する。特に、ゼロ次の反射が抑制され、反射光のかなりの部分が、+/−一次及び三次回折光として、読取ヘッド200から逸らされる。その結果、光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルとして使用される外側光ファイバ230の端部の任意の1つにより受光され、基準信号として伝達された光は、基準マークゾーン251´中の照明スポット253と基準マーク部の重なり量の関数として変調される。複数の各光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルは、そのように変調された光基準信号を受光し伝達して、以下に詳細に説明するように、基準位置が正確に決定されるように使用される。
【0022】
既に示したように、測定軸82の方向に沿う基準マークゾーン251´中に含まれる基準マーク部の境界の適切な間隔は、信頼性がありロバストな基準信号を与えるのに臨界的であり、通常、以下で詳細に説明するように、読取ヘッド200中に与えられるファイバ構造及び/又は光ファイバ基準マーク信号受光チャンネル開口のある寸法に依存する。
【0023】
図3、基準信号発生構造を含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置3000の第3参考形態の斜視図である。小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置3000の動作は、いくつかの点において、図1の小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置1000と同様であり、以下で示す点を除き、同様の符号が付けられた部品は、形状及び動作において同様か又は同一である。図3に示したように、小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置3000は、スケール格子80と基準マークゾーン351を含む単一のスケールトラックを有するスケール部材81と、単に一体型読取ヘッド300とも称する、一体化されたインクリメンタル及び基準マーク読取ヘッド300を含む。スケール格子80は、ゼロ次反射を抑制するように構成された位相格子であることができる。基準マークゾーン351は、図1の基準マークゾーン251を参照して先に説明したように、少なくとも1つのミラー状基準マーク部を含むことができる。一体型読取ヘッド300は、光ファイバケーブル395中に含まれる、複数の光ファイバ330の端部を収容して位置決めするフェルール301を備えている。様々な形態において、一体型読取ヘッド300は、図10、11及び12等を参照して以下で説明する一体型読取ヘッド構造の任意のタイプを備えることができる。
【0024】
簡単に説明すると、動作に際して、一体型読取ヘッド300は、光ファイバ330の中央の1つから拡散光源光350を放射し、これが照明スポット353でスケール格子80を照明する。様々な形態において、光源光350は、単色で空間的にコヒーレントであることが有利であり、いくつかの形態において、一時的にコヒーレントであっても良い。光源光350は、通常、反射され、回折されてスケール光355を与える。スケール光355は、先に述べた原理に従って、複数の光ファイバ・インクリメンタル測定信号受光チャンネルを与えるために、外側光ファイバ330のある1つの端部にわたる異なる空間位相を持つ位相マスク部分を用いて、干渉縞を空間的に濾波する位相マスク要素361の受光面360の近くに干渉縞の場を形成するため、読取ヘッド300に向けて反射される+/−一次回折光を有する。空間濾波の結果、一体型読取ヘッド300のある光ファイバ受光チャンネルは、スケール格子80が読取ヘッド300に対して変位した時に、異なる空間位相を持つ周期的な光信号(例えば直角位相信号)を出力するインクリメンタル測定信号受光チャンネルを与える。
【0025】
図3に示される参考形態において、一体型読取ヘッド300の位相マスク要素361は、基準マークゾーン351内のミラー状基準マーク部から生じる基準信号を与えるために用いられる複数の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルを与えるために、外側光ファイバ330のある1つの端部にわたる空間濾波を与えない領域も含む。様々な形態において、基準マークゾーン351が照明スポット353内に位置すると、ミラー状基準マーク部分は、図3に示されるように、拡散スケール光354を与えるゼロ次反射を生成する。その結果、読取ヘッド300が基準マークゾーン351上を変位すると、空間フィルタを持たず、複数の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルを与えるある外側光ファイバ330の端部によって受光信号として受光され伝達された「平均」縞光の量及びゼロ次反射光の量は、照明スポット353と基準マークゾーン351の重なりの量を関数として変調される。複数の各光ファイバ基準マーク信号受光チャンネルは、以下で詳細に示すように、そのように変調された光基準信号を受光し伝達するために用いられ、基準位置が正確に決定される。
【0026】
一体型読取ヘッド300は、その照明スポット353が基準マークゾーン351と重なった時に、基準マーク光信号を出力すると同時に、インクリメンタル変位測定に用いられる異なる空間位相を持つ周期的な光信号(例えばインクリメンタル測定直角位相信号)を出力し続けることが望ましいことを理解されたい。従って、様々な形態において、以下で詳細に説明するように、基準マークゾーン351に含まれるミラー状基準マーク位置の領域を、他の基準マーク設計条件を満足しつつ、可能な限り小さくすることが有利である。
【0027】
図4、基準信号発生構造を含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置3000´の第4参考形態の斜視図である。小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置3000´の動作は、多くの点で、図3の小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置3000と同様であり、以下で示す点を除き、同様に符号付けされた部品は、形状及び動作において同様又は同一である。概ね、小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置3000´と3000の動作の大きな相違のみを以下で説明する。
【0028】
図4に示されるように、小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置3000´は、一体型読取ヘッド300と、スケール格子80及び基準マークゾーン451及び端部領域89中に位置する基準マーク境界ゾーン451´を含む単一のスケールトラックを有するスケール部材81を含む。基準マーク境界ゾーン451´は、基準マークゾーン451の第1の境界を与えるための(例えば様々な形態において、スケール格子80と同一の)格子部分であるトラック部分を含むことができる。スケール格子80は、ゼロ次反射を抑制し、基準マークゾーン451の第2の境界を与えるように構成された位相格子であることができる。基準マークゾーン451とスケール格子80間の境界は、読取ヘッド及びスケール配置3000´によって与えられるインクリメンタル変位測定範囲のほぼ端部に対応することができる。ゾーン451と451´の外側で、端部領域89は通常、ミラー状領域を備える。
【0029】
基準マークゾーン451は、ミラー状基準マーク部を含むことができ、測定軸方向に沿って、スケール格子80及び基準マーク境界ゾーン451´の格子部分によって拘束されているので、読取ヘッド及びスケール配置3000を参照して既に説明した基準マークゾーン351と構成及び動作が実質的に同様である。読取ヘッド及びスケール配置3000に対する読取ヘッド及びスケール配置3000´の1つの利点は、通常のインクリメンタル変位測定の精度をある程度妨げる可能性がある基準マークゾーン451が、通常のインクリメンタル変位測定範囲内に位置しないことである。
【0030】
1つの参考形態において、基準マークゾーン451のミラー部分及び端部89のミラー領域によって拘束される基準マーク境界ゾーン451´は、読取ヘッド及びスケール配置2000を参照して既に説明した基準マークゾーン251´と、構成が実質的に類似又は同一であることができる。そのような参考形態において、基準マーク境界ゾーン451´は、二次基準マーク信号を与えるのに用いられる。特に、一体型読取ヘッド300は、通常、基準マークゾーン451内のミラー状端部領域89及び基準マーク部からのゼロ次反射光のかなりの量を受光する。しかしながら、照明スポット353が基準マーク境界ゾーン451´の格子部分と重なっていると、ゼロ次の反射が抑制され、既に説明した原理に従って、反射光のかなりの部分が、+/−一次及び三次回折光として一体型読取ヘッド300から逸らされる。その結果、空間フィルタを持たないある外側光ファイバ330の端部により基準信号として受光され伝達される光の量は、照明スポット353と基準マーク境界ゾーン451´の重なりの量の関数として変調される。望ましければ、基準マーク境界ゾーン451´中の格子部分が、以下で更に説明する原理によって決定される動作長LETOEを持つ時、二次基準マーク位置が正確に決定される。
【0031】
様々な形態において、基準マークゾーン451からの信号は、スケール部材81に沿う基準マーク位置を決定し、読取ヘッド及びスケール配置3000´のインクリメンタル変位測定範囲の端部を合図するのに使われる。いくつかの形態において、基準マーク境界ゾーン451´からの信号は、読取ヘッド及びスケール配置3000´の相対変位の「リミットスイッチ」として作用し、及び/又は、相対変位の適切な方向が与えられた時に、基準マークゾーン451により示された基準マークの位置を検出する回路を準備するルーチン又は回路を開始するのに用いられる。
【0032】
図5、格子及び基準マーク構造500の参考形態を示す斜視図である。図1図4中で示される部品と同様に符号付けされた部品は、類似又は同一であることができる。この格子及び基準マーク構造500は、スケール格子80と、スケール部材81上に位置するミラー部基準マーク50−Mを備えている。このミラー部基準マーク50−Mは、一般的な例として示されている。図5に示されるように、スケール格子80は、Y軸方向に伸び、凹部要素Gによって分離された格子要素Eを含む。格子要素Eは、測定軸82に沿って、格子ピッチPにより周期的に配置されている。各格子要素Eは、測定軸82の方向に沿って幅Wを有し、各凹部要素Gは、幅Wを有する。格子要素Eは、Z軸方向に沿って凹部高さHも有する。図5中に示されるスケール格子80の特定の形態は、ゼロ次及び全ての偶数次の反射光を抑制するように設計されている。これを達成するための方法は、ここに取り込まれた特許文献3又は他の公知技術に記載されている。簡単に説明すると、1つの形態において、スケール格子80は、矩形格子要素E及び凹部要素Gの両方の上の反射性クロムコーティング、及び、ゼロ次反射光の破壊的な干渉を生じる格子要素間凹部高さH、例えば、格子及び基準マーク構造500と共に使用される光源光の波長の1/4の高さ、を有する反射性位相格子として形成される。WがWにほぼ等しい50%のデューティ比は、ゼロ次反射光の最高の抑制、及び、残りの偶数次回折の抑制に寄与する。
【0033】
X軸方向に沿う長さLETOEを有するミラー部基準マーク50−Mは、スケール格子80内に位置される。勿論、スケール格子80は、ミラー部基準マーク50−Mの両側で位相が合っていなければならない。様々な形態において、ミラー部基準マーク50−Mは、その境界が格子要素Eの同様な境界と位相が合うようなサイズ及び位置とされる。いくつかの形態において、長さLETOEは、Nを整数として、スケール格子80の(N+1/2)周期と一致することができる。いくつかの形態において、Nはスケール格子80の10〜30周期の範囲内で選ばれる。しかしながら、この範囲は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。望ましい長さLETOEを選択するのに関係する考慮を、以下に詳細に説明する。ミラー部基準マーク50−Mが、格子要素Eの面に対応して形成されたように示されているが、代わりに、格子要素Gの面に対応して形成されることもできる。様々な形態において、ミラー部基準マーク50−Mは、スケール格子80を製造するのに使用されたのと同じステップの下位セットを用いて製造される。従って、図5に示される基準マーク50−Mの参考形態は、位相型スケール格子80及び干渉型小型光ファイバ読取ヘッドを含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置中で使用される基準マークを与える特に経済的な方法を与える。図5中に示されるように、格子及び基準マーク構造500は、ミラー部基準マーク50−Mが、基準マークゾーン251内に位置する、図1中に示される読取ヘッド及びスケール配置1000のスケールトラック88や、ミラー部基準マーク50−Mが、それぞれ基準マークゾーン351及び451内に位置する図3及び4に示される読取ヘッド及びスケール配置3000及び3000´で使用されるのに特に好適である。
【0034】
図5で示され上記で説明した格子及びミラー様相の役割を逆にして、X軸方向に伸びるミラースールトラック部分及び/又は図4に示される端部領域89内に含まれるようなミラー領域に埋め込まれた、長さLETOEを持つ格子部基準マークを与えることができる。そのような格子部基準マーク及び関係するミラースケールトラック部分又はミラー領域は、スケール部材81上にインクリメンタル測定スケールトラックに沿って、インクリメンタル測定スケール格子を製造するのに用いられると同じ手順を用いて製造され、従って、位相型インクリメンタル測定スケール格子及び干渉型小型光ファイバ読取ヘッドを含む小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置中で使用される格子型基準マーク部を与える特に経済的な方法を与える。格子型基準マーク部を含む、そのような構造は、図2に示される読取ヘッド及びスケール配置2000のスケールトラック88´中で使用するのに特に適しており、ここで、格子型基準マーク部は、基準マークゾーン251´、及び、格子型基準マーク部が基準マークゾーン451内に位置する、図4に示される読取ヘッド及びスケール配置3000´内に位置されるであろう。
【0035】
図6A及び図6Bは、図示された寸法の関係に関連して、基準信号発生構造6000の第1参考形態の様々な側面を示す模式的な斜視図である。図6A中に示されるように、基準信号発生構造6000は、一般的な基準マーク50Aに対して動作するように位置された基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600を備えおり、基準マーク50Aは、特定の読取ヘッド及びスケール配置において、既に説明したように、どちらが適切であるかによって、(例えば図示しないスケール部材81上等に)ミラー基準マーク部又は格子基準マーク部を備えることができる。この基準マーク50Aは、X軸又は測定軸方向の寸法LETOE、Y軸方向の寸法WY、X軸方向の中心線RMCを有する。簡単に説明すると、動作に際して、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600は、例示された光源光線650−1、650−2及び650−3のように、基準マーク50Aを照明する拡散光源光650を中央ファイバから放射する。様々な形態において、光源光650は、単色で空間的にコヒーレントであることが好ましく、いくつかの形態において、一時的にコヒーレントであることができる。基準マーク50Aが、格子トラック部分及び/又はスケールトラックによって囲まれたミラー基準マーク部であれば、それは、光源光線650−1、650−2及び650−3にそれぞれ対応する例示スケール光線654−1、654−2及び654−3によって示されたように、強く反射されたゼロ次光を基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600に戻す。そのような場合、ミラー基準マーク部に対応する基準マーク信号効果領域50A−SEは、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600によって与えられる任意の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネル開口と重なる範囲で、「信号増加」領域である。
【0036】
図6Aに示されるように、反射されたゼロ次スケール光は、光ファイバ配置600の端部に与えられた光信号受光開口の近くに基準マーク信号効果領域50A−SEを発生する。この基準マーク信号効果領域50A−SEは、反射されたスケール光の拡散のため、基準マーク50Aの寸法の2倍に「拡大された」寸法を有する。通常、拡散光源光の使用のため、ここで説明する全ての基準マーク信号効果領域は、対応する基準マークの寸法の2倍の寸法を有する。基準マーク信号効果領域50A−SEは、X軸方向の中心線RMC−SEを有する。基準マーク50Aと基準マーク信号効果領域50A−SE間の大きさの違いに拘わらず、それらの中心線RMC及びRMC−SEは、測定軸82に沿ってアラインされ、同じ速度で変位するであろう。
【0037】
これまでの動作説明は、(例えば図1及び3に示されるように)基準マーク50Aがミラー基準マーク部であると仮定していた。もし、基準マーク50Aが(例えば図2に示されるように)ミラー領域又はトラック部によって囲まれた格子基準マーク部であると、例示した光源光線650−1、650−2及び650−3、及び、対応する反射された例示スケール光線654−1、654−2及び654−3は、周囲のミラー領域又はトラック部分(例えばスケールトラック88´のミラー部分)によって通常与えられるが、格子部基準マーク50Aのゼロ次反射抑制及びより高次の回折特性によって妨げられる。そのような場合、対応する基準マーク信号効果領域50A−SEは、それが、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600によって与えられる任意の光ファイバ基準マーク信号受光チャンネル開口と重なる範囲で、「信号減少」領域であろう。格子部基準マークが、スケール格子80と同じにアラインされ間隔を空けられた格子棒を持つものに限定されないことを理解されたい。より一般的には、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600から、光源光のかなりの量を逸らすか、及び/又は、ゼロ次反射をかなり抑制する任意の格子部基準マーク(例えば二次元格子等)を用いることができる。
【0038】
図6Bは、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600及び基準マーク信号効果領域50A−SEを含む、図6Aに示された基準信号発生構造6000の一部6000´を示す。図6Bに示すように、この基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600は、図示されるように、光基準マーク信号REF1、REF1´、REF2及びREF2´を受光して与える基準マーク信号受光チャンネル開口を与える端部を持つ、受光ファイバ690R1、690R1´、690R2、及び690R2´を備えている。他の2つのファイバ690X及び690X´は、望ましければ、密集組立技術で製造する際に用いられる、任意のダミーファイバである。あるいは、いくつかの形態において、それらは、光信号の出力変動、汚染効果、又は、他の異常を監視するために有用な光信号を受光したり、あるいは、追加の光源を与えるのに用いられる受光開口を与える。いくつかの形態において、受光ファイバ690R1、690R1´、690R2及び690R2´は、外径DRFを持ち、基準マーク信号受光チャンネル開口と一致するか、及び/又は、これを与える直径DRAを有するマルチモードファイバであることができる。いくつかの形態において、中央の光源ファイバ670は、通常、拡散光源光を放射し、光源ファイバ670のシングルモードコアの端部によって与えられる光源680を与える。
【0039】
様々な形態において、光ファイバ読取ヘッド内に位置する全ての光ファイバが、最大で1.5mm、又は1.0mm、又はそれ以下の直径を持つ円筒体積内に位置するように読取光ファイバ配置を構成することが有利である。基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600の1つの形態において、光伝送コア直径DRAは、ほぼ200μmで、基準マーク信号受光チャンネル開口直径でもあり、外径DRFは、ほぼ250μmであり、中央ファイバ670は、同じ外径DRFと、ほぼ4−10μmのシングルモードコアを持つことができる。従って、そのような形態において、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600は、全外径を750μmのオーダーで有する。しかしながら、他の形態において、より大きな又は小さなファイバ及び/又は他のファイバ間隔を用いることができることを理解されたい。
【0040】
図6Bにおいて、破線AR1L、AR1R及びCAR1は、X軸方向に沿う信号REF1及びREF1´に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口の左右の境界及び中央の位置をそれぞれ示す。破線AR2L、AR2R及びCAR2は、X軸方向に沿う信号REF2及びREF2´に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口の、左右の境界及び中央の位置をそれぞれ示す。寸法LCAR1CAR2は、信号REF1及びREF1´に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口の有効中心間、及び、信号REF2及びREF2´に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口の中心間のX軸方向に沿う距離を示す。寸法AR12SEPは、境界AR1R及びAR2L間の分離距離を示す。より一般的には、ここで用いられ、図10及び11を参照して、寸法AR12SEPは、光ファイバ配置中に含まれる2つの基準マーク信号受光チャンネル開口の内側境界間、即ち、測定軸方向に沿う互いに最も近い境界間の測定軸方向に沿う距離を示す。寸法AR12SPANは、境界AR1L及びAR2R間にわたる合計距離を表わす。より一般的には、ここで用いられ、図10及び11を参照して、寸法AR12SPANは、光ファイバ配置間に含まれる2つの基準マーク信号受光チャンネル開口の外側境界間、即ち、測定軸方向に沿う互いに最も遠い境界間の測定軸方向に沿ってわたる距離を示す。
【0041】
基準信号発生構造6000に対して、最も一般的なガイドラインは、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600と基準マーク50Aが、次の関係を満足するように構成されなければならない点である。
【0042】
AR12SEP<(2*LETOE)<AR12SPAN …(1)
そして、結果として生じる基準マーク信号が、以下で詳細に説明するように、基準マーク50Aに近い信号クロス領域内で所望の精度及び/又は繰返し再現性で基準位置を規定するのに用いられる。様々な形態において、この構造は、更に次の関係
(2*LETOE)
>[AR12SEP+(0.25*(AR12SPAN−AR12SEP))]…(2)
(2*LETOE)
<[AR12SEP+(0.75*(AR12SPAN−AR12SEP))]…(3)を満足することが有利である(例えば、よりロバストな性質を与え、及び/又は、基準マーク信号間の信頼性のある関係を与える)。様々な他の形態において、更に次の関係
(2*LETOE)
>[AR12SEP+(0.4*(AR12SPAN−AR12SEP))]…(4)
(2*LETOE)
<[AR12SEP+(0.6*(AR12SPAN−AR12SEP))]…(5)
を満足する構成が、より有利である。いくつかの形態において、寸法2*LETOEが、[AR12SEP+(0.5*(AR12SPAN−AR12SEP))]にほぼ等しいか、又は、信号REF1及びREF2に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口間の中心間距離LCAR1CAR2とほぼ等しく、以下で図8及び図12を参照して以下で説明するような基準マーク信号をほぼ与えることが最も有利である。
【0043】
図7、基準信号発生構造の第2参考形態の一部分7000´の斜視図である。部分7000´の設計及び動作は、多くの点で、図6Bの部分6000´と同様であり、以下で示した点を除き、一連の符号6XX及び7XXで同様に符号付けた要素(例えば要素690R2及び790R2)は、形状及び動作において類似又は同一である。一般的に、部分7000´の設計及び動作は、部分6000´及び基準信号発生構造6000のこれまでの説明に基づいて理解される。従って、部分6000´と7000´の動作間の意味のある違いについてのみ、以下で説明する。
【0044】
基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置700及び600の間の第一の違いは、光ファイバ配置700が、XY面内で異なる回転方位を有し、X軸方向に沿って互いに近接するファイバの端部が、(それぞれファイバ790R1、790R1´、790R2及び790R2´に対応する)光信号REF1、REF1´、REF2及びREF2´を受光して与える基準マーク信号受光チャンネル開口を与えるのを許容することである。部分7000´に対応する基準信号発生構造は、概ね、式(1)−式(5)を参照して上記で説明した寸法の考察及び信号の考察に従って構成される。いくつかの形態において、寸法2*LETOEが、[AR12SEP+(0.5*(AR12SPAN−AR12SEP))]とほぼ等しいか、又は、図8を参照して以下で説明するように、基準マーク信号をほぼ与えるため、信号REF1及びREF2に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口間の有効中心間寸法LCAR1CAR2にほぼ等しいことが最も有利である。寸法LCAR1CAR2が光ファイバ配置600に対してよりも光ファイバ配置700に対しての方が小さいので、基準マーク信号効果領域50B−SEの寸法2*LETOE及び基準マーク(ここでは基準マーク50B、図示せず)の対応する寸法LETOEが、部分7000´に対応する基準信号発生構造に対してよりも小さく選択される。
【0045】
図6A図6B及び図7に示すように、基準信号発生構造6000、又は、部分7000´に対応する基準信号発生構造のいずれかは、ミラー部基準マークが基準マークゾーン251内に配置される、図1に示される読取ヘッド及びスケール配置1000の読取ヘッド200及びスケールトラック88の中で使用するのに好適である。どちらの構造も、格子部基準マークが基準マークゾーン251´内に位置される、図2に示される読取ヘッド及びスケール配置2000の読取ヘッド200及びスケールトラック88´中で用いるのにも好適である。
【0046】
図8は、図6A及び図6Bの基準信号発生構造6000、及び、図7に示される部分7000´に対応する基準信号発生構造にそれぞれ対応する2つの模式的な信号チャート60及び70の図である。図6A及び図6Bの基準信号発生構造6000に対応する信号チャート60は、2つの基準信号、組合せ信号(REF1+REF1´)及び組合せ信号(REF2+REF2´)を、基準マーク信号効果領域50A−SE(又は基準マーク50A)及び基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置600間の測定軸82に沿う相対位置の関数として示している。特に、基準マーク50Aの中心線RMCの位置に対応する点61は、図6Bに示されるように、位置AR1Lの左側に長さLETOEだけ変位した位置と一致する。従って、基準マーク信号効果領域50A−SEは、どの基準マーク信号受光チャンネル開口とも重ならず、点61で意味のある信号は何も発生されない。基準マーク50Aが右側に変位すると、基準マーク信号受光チャンネル開口直径(例えば光伝送コア直径DRA)と等しい変位の後、点62で最大値に到達するまで、REF1及びREF1´と基準マーク信号受光チャンネル開口の重なりが増加する。基準マーク50Aが右に変位し続けると、(REF1+REF1´)信号及び(REF2+REF2´)信号が共通の値に集束(又は発散)する、信号クロス領域の左の限界をマークする点63及び63´になるまで、更なる信号変化は観測されない。信号クロス領域において、基準マーク50Aの中心線RMCが位置(AR1L+LETOE)の右側に変位すると、信号(REF1及びREF1´)は、基準マーク信号効果領域50A−SE及びREF1、REF1´基準マーク信号受光チャンネル開口間の重なりが減少するに連れて減少し始める。基準マーク信号受光チャンネル開口は類似の寸法を有し、基準マーク50Aの長さLETOEは、図6Bに示される基準マーク信号効果領域50A−SEの寸法2*LETOEが寸法LCAR1CAR2とほぼ等価であるように選択されているので、信号(REF2+REF2´)は、基準マーク信号効果領域50A−SE及びREF2及びREF2´基準マーク信号受光チャンネル開口間の重なりが増加するに連れて、(信号REF2+REF2´)は、点63´で同時に増加し始める。点64で、基準マーク50Aの中心線RMCは、(図6Bに示される位置で)REF1/REF1´基準マーク信号受光チャンネル開口及びREF2/REF2´基準マーク信号受光チャンネル開口及び信号(REF1及びREF1´)及び(REF2+REF2´)は従って名目上等しくなる。残りの点65、65´、66及び67での信号(REF1+REF1´)及び(REF2+REF2´)の動きは、これまでの説明の類推で理解できる。点65及び65´は、点63及び63´と同様に、信号クロス領域の右の限界を記す。
【0047】
図7に示される部分7000´を含み、対応する基準信号発生構造に対応する信号チャート70は、上記で説明した信号チャート60と同様である。即ち、点71は点61と同様である等。従って、点71−77における信号(REF1+REF1´)及び(REF2+REF2´)の動きは、図7の説明との組合せで、これまでの説明と同様に理解される。特に、信号クロス領域において、基準マーク50Bの中心線RMCが位置(AR1L+LETOE)の右側に変位すると、点73で信号(REF1+REF1´)は、基準マーク信号効果領域50B−SEとREF1及びREF1´基準マーク信号受光チャンネル開口間の重なりが減少するに連れて、減少し始める。基準マーク信号受光チャンネル開口は、類似の寸法を有し、基準マーク50Bの長さLETOEは、基準マーク信号効果領域50B−SEの寸法2*LETOEが、図7に示される寸法LCAR1CAR2とほぼ等価であるように選択されているので、基準マーク信号効果領域50B−SE及びREF2及びREF2´基準マーク信号受光チャンネル開口間の重なりが増えるに連れて、信号(REF2+REF2´)は点73´で同時に増加し始める。点74において、基準マーク50Bの中心線RMCが、(図7中に示される位置で)REF1/REF1´基準マーク信号受光チャンネル開口及びRFEF2/REF2´基準マーク信号受光チャンネル開口間で対称に位置されるので、信号(REF1+REF1´)及び(REF2+REF2´)は名目上等しくなる。基準マーク寸法LETOEが信号チャート70に対応する基準信号発生構造中より短く、REF1/REF1´基準マーク信号受光チャンネル開口及びREF2/REF2´基準マーク信号受光チャンネル開口間の中心間間隔もより少ないので、信号チャート70の信号(REF1+REF1´)及び(REF2+REF2´)の様相は、信号チャート60の様相よりも、測定軸方向に、より近く離れている。
【0048】
様々な形態において、測定軸82に沿う基準位置をロバストな方法で与えるために、基準位置検出回路は、各信号(REF1+REF1´)及び(REF2+REF2´)がクロスし等しい位置を基準位置として特定することができる。格子位置又はミラー位置を基準マークとして用いる様々な形態において、図1図5に関連して上記で説明した寸法の考察及び信号の考察によるエッジ間寸法LETOEの選択は、概ね、基準マーク近くの信号クロス領域内の(例えば2つの各基準信号が同じ値を持つ)基準位置を規定するのに十分な基準マーク信号を与える基準信号発生構造を与える。式(2)と(3)又は(4)と(5)の関係を満足すれば、信号クロス領域における基準マーク信号間の、特に信頼できる及び/又はロバストな関係を与える。信号チャート60及び70に対応する基準信号発生構造は、それぞれ、これらの関係を満足し、従って、図8に示されるように、それらの最大値及び最小値間のほぼ中間の信号値で名目上クロスする信号を含むロバストな信号クロス領域を保証する。図8に示される信号の極性は、概ね格子領域によって囲まれたミラー部基準マークによって生ずるものに対応することを理解されたい。ミラー領域によって囲まれた格子部基準マークに対しては、全ての信号が逆となるであろう。実際上、全ての信号は、図8中に示されていない共通モードのDCオフセットを含む。いずれの場合も、上記で開示し、式(1)−式(5)を参照して上記で説明した寸法の考察及び信号の考察に従って設計された基準信号発生構造は、基準マークの近くの信号クロス領域内で望ましい空間的に周期的なインクリメンタル測定信号の周期の半分より小さい繰返し再現性の基準位置を規定する複数の各基準マーク信号を与えることができ、その結果、基準マークは、インクリメンタル測定信号の特定の周期又はサイクル、及び、スケールに沿う関係する特別な波長を信頼性を持って指示することができる。例えば、4又は2μmよりも小さな繰返し再現性が容易に達成され、特に式(2)と(3)又は(4)と(5)の関係が満足された時、μm以下の繰返し再現性が達成される。
【0049】
図9及び図10、基準信号発生構造の第3参考形態を含む、一体型基準信号及びインクリメンタル信号発生構造8000(一体型信号発生構造8000とも称する)の動作の様々な側面を模式的に示す斜視図である。図9に示される図は、動作の他の側面をより明瞭に示すため、一体型信号発生構造8000の本質的な要素である位相マスク要素861を示していない。位相マスク要素861を、以下で図10を参照して説明する。
【0050】
図9は、(例えばスケール部材81、図示せず、上で)スケール格子80によって囲まれた一般的なミラー部基準マーク50Cに対して動作するように位置された一体型読取ヘッド光ファイバ配置800(図10中に示される位相マスク要素861を除く)を含む一体型信号発生構造8000のある要素を示す。基準マーク50Cは、図示されるX軸方向に沿う寸法LETOE、及び、中心線RMCを有する。簡単に説明すると、動作に際して、一体型読取ヘッド光ファイバ配置800は、中心ファイバによって与えられる光源880から拡散光源光850を放射し、これは照明スポット853で基準マーク50C及び周囲のスケール格子80を照明する。様々な形態において、光源光850は単色で空間的にコヒーレントであることが有利であり、いくつかの形態において一時的にコヒーレントであることができる。スケール格子80は、図9中の中心光線によって表わされる、反射で回折された+/−一次スケール光855A及び855Bを与える。+/−一次のスケール光855A及び855Bは、それぞれ、干渉ゾーン856で重なり、一体型読取ヘッド光ファイバ配置800の受光面860の近くに干渉縞866を形成する領域855A´と855B´を照明する。干渉縞は、既に説明した原理に従って、以下で図10を参照して詳細に説明するように、光直角位相信号A、A−、B及びB−を受光する光ファイバの端部上の位相マスク要素861(図10中に示される)によって空間的に濾波される。
【0051】
上記で説明した直角位相信号発生動作と同時に、ミラー部基準マーク50Cが照明スポット853内に入ると、それは拡散コヒーレント光850を反射し、図6Aを参照して既に説明した原理に従って、ミラー部基準マーク50Cと中心線RMCとアラインされた中心線RMC−SEの寸法の2倍の寸法を有する基準マーク信号効果領域50C−SEを与える。一体型基準信号及びインクリメンタル信号発生構造8000の動作に関する追加の詳細を、図10を参照して以下に説明する。
【0052】
図10は、一体型読取ヘッド光ファイバ配置800、基準マーク信号効果領域50C−SE及び位相マスク要素861を含む、図9に示される一体型信号発生構造8000の一部分8000´を示す。位相マスク要素861をより明瞭に示すため、図10は干渉ゾーン856中の干渉縞866を示していないが、既に説明したように、動作中はそのような縞が存在することを理解されたい。図10に示すように、一体型読取ヘッド光ファイバ配置800は、図示されるように、いくつかの形態において、光源ファイバ870のシングルモードコアの端部によって与えられる光源880を与える中央光源ファイバ870と、光信号A−A、−A、B、−B、REF1及びREF2をそれぞれ受光する受光チャンネルを与える、受光ファイバ890A、890A´、890B、890B´、890R1及び890R2を備えている。一体型読取ヘッド光ファイバ配置800は、位相マスク820A、820B、820A´、820B´、遮蔽マスク820BR1及び820BR2、及び、開放開口マスク820R1及び820R2を備えた位相マスク要素861も含む。破線AR1L、AR1R及びCAR1は、信号REF1に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口の左右の境界及び有効中心の位置をそれぞれ示し、破線AR2L、AR2R及びCAR2は、信号REF2に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口の左右の境界及び有効中心の位置をそれぞれ示す。寸法LCAR1CAR2は、信号REF1及びREF2に対応する基準マーク信号受光チャンネル開口の有効中心間のX軸に沿う距離を表わす。寸法AR12SPANは、境界AR1L及びAR2R間にわたる合計距離を表わす。図6Bを参照して既に説明したように、寸法AR12SEPは、概ね、光ファイバ配置中に含まれる2つの基準マーク信号受光チャンネル開口の内側境界間、即ち、X軸方向に沿う互いに最も近い境界間のX軸方向に沿う距離を表わす。部分8000´に対して、寸法AR12SEPは、境界AR1R及びAR2L間にあり、ゼロであるので、混乱を避けるために、図10において符号が付けられていない。上記の説明に基づいて、格子部又はミラー部のいずれかを基準マークとして用いる一体型信号発生構造8000の様々な形態において、式(1)−式(5)に関して上記で説明した寸法の考察及び信号の考察に従ってエッジ間寸法LETOEを選択すると、通常、特に式(2)と(3)又は(4)と(5)の関係が満足された時に、ロバストな基準信号発生構造を与える。
【0053】
これまでに説明した基準マーク信号受光チャンネル開口の受光領域は、各基準マーク信号受光チャンネル光ファイバ端部の光伝送コア領域のみによって規定されていたが、一体型読取ヘッド光ファイバ配置800において、基準マーク信号受光チャンネル開口890R1及び890R2の受光領域は、各受光チャンネル光ファイバ端部の光伝送コア領域の境界により部分的に規定され、又、各遮蔽/開放開口マスク820BR1/820R1及び820BR2/820R2によって部分的に規定される。勿論、様々な他の形態において、所望であれば、同様な開口マスクが基準マーク信号受光チャンネル開口の受光領域を完全に定めて規定することができる。各遮蔽/開放開口マスク820BR1/820R1及び820BR2/820R2は、測定軸方向に沿う空間的に周期的な構造を含まないので、基準マーク信号受光チャンネル開口890R1及び890R2によって受光された任意の干渉縞光は、所望の基準マーク信号を妨害する意味のある空間的に周期的な信号成分を発生しない。
【0054】
簡単に説明すると、動作に際して、位相マスク820A、820B、820A´及び820B´は、受光面860に位置され、干渉ゾーン856内の干渉縞を空間的に濾波して、直角位相の周期的なインクリメンタル測定信号A、A´、B、B´をそれぞれ与える。1つの形態において、位相マスク820A、820B、820A´及び820B´は、それぞれ0、90、180及び270°の相対的な空間位相を持つ。測定信号A、A´、B及びB´の相対位置は、図示のためだけであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。一般的に、位相マスクは、測定信号A、A´、B及びB´の任意の所望の配置を与えるように構成される。位相マスク要素861、及び、他の空間位相配置に関する様々な動作及び設計原理が、取り込まれた特許文献中に記載されている。
【0055】
遮蔽マスク820BR1及び820BR2及び開放開口マスク820R1及び820R2は、ファイバ890R1及び890R2の端部をマスクして、基準信号REF1及びREF2を与えるように受光面860に位置される。遮蔽マスク820BR1及び820BR2が無いと、測定軸82の方向に沿って並置される受光ファイバ890R1及び890R2の端部は、同じ信号の基準マーク信号効果領域50C−SEの様々な位置に応答することを理解されたい。これに対して、マスク820BR1、820BR2、820R1及び820R2の配置は、以下に図12を参照して詳細に説明するように、測定軸82の方向に沿ってオフセットされた基準マーク信号受光チャンネル開口を与え、望ましい信号クロス領域を提示する基準信号REF1及びREF2を与える。
【0056】
既に示した信号A、A´、B及びB´に関して、スケール格子80から生じる縞は、既に説明したように、これらの直角位相信号を常に発生するために、一体型信号発生構造8000の動作の間常に存在する。一般的に、縞は、ミラー部基準マーク50Cが照明スポット853内に存在する時に弱められ、回折された+/−一次スケール光855A及び855Bの量を減らす。更に、位相マスク820A、820B、820A´及び820B´は、それらの位置が重なった時に、基準マーク信号効果領域50C−SEに含まれるゼロ次反射光の部分を許容する。その結果、直角位相信号A、A´、B、B´の振幅及びオフセットは、概ね、基準マーク50Cによって影響され、結果として生じるインクリメンタル変位測定の精度を減じる。従って、いくつかの形態において、信号処理(例えば適応振幅「ゲイン制御」及び/又はDCオフセット補償及び/又は位相補償等)が直角位相信号A、A´、B及びB´に適用され、少なくとも部分的にそのような効果を無効とするか、及び/又は、基準マーク50Cの長さLETOE及び/又は面積が、その妨害効果を制限するように制限される。
【0057】
基準信号REF1及びREF2に関して既に示したように、スケール格子80から生じる縞は、一体型信号発生構造8000の動作中常に存在する。しかしながら、開放開口マスク820R1及び820R2は、受光ファイバ890R1及び890R2の端部上に空間フィルタを与えず、複数の縞からの光は、相対的に一定な平均の光量を、変位と独立して基準信号REF1及びREF2に与える。これに対して、基準マーク信号効果領域50C−SEが開放開口マスク820R1及び820R2の位置に重なると、そのゼロ次反射光は、重なり量の関数として、基準信号REF1及びREF2をかなり増加させる。
【0058】
様々な形態において、読取ヘッド光ファイバ配置を、光ファイバ読取ヘッド内に位置する全ての光ファイバが、最大で1.5mm、又は1.0mm、又はそれ以下の直径を持つ円筒体積内に位置するよう読取ヘッド光ファイバ配置を構成することが有利である。ある特定の形態において、ファイバ890は、ほぼ200μmの直径DRAを持つ光伝送コア領域を有し、ほぼ250μmの外径DRFを有し、中心ファイバ870は、同じ外径DRFと、ほぼ4−10μmのシングルモードコア直径、又は、モード場直径を持つことができる。従って、そのような形態において、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置800は、750μmのオーダーの全体直径を持つことができる。しかしながら、他の形態において、より大きな又は小さなファイバ及び/又は他のファイバ間隔を用いることができる。
【0059】
スケール格子80は、ほぼ4μmの格子ピッチPを有し、縞866は同様なピッチを有することができる。基準マーク信号受光ファイバ端部及び遮蔽/開放開口マスク820BR1/820R1及び820BR2/820R2によって規定される基準マーク信号受光チャンネル開口は、測定軸82方向に沿って100μmのオーダーの寸法を持つことができる。基準マーク50Cは、1つの形態において、ほぼ38μmの寸法LETOEを有利に持つことができ、これは、十分な基準マーク信号強度と、インクリメンタル測定信号への最小の妨害の間の望ましいトレードオフを与える。しかしながら、LETOEに対する上記で説明した寸法の関係は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。様々な適用分野において、追加の設計上の考察は、LETOEのより小さな又は大きな寸法を好ましい物とする。
【0060】
図11、基準信号発生構造の第4参考形態を含む、2番目の一体型信号発生構造の一部分9000´を示す斜視図である。部分9000´の設計及び動作は、多くの観点において、図10の部分8000´のそれと類似しており、一連の番号8XX及び9XX(例えば要素820R2及び920R2)が同様に付された要素は、以下で示した点を除き、形状及び動作において類似又は同一である。概ね、部分9000´の設計及び動作は、部分8000´及び一体型信号発生構造8000の先行する説明に基づいて理解される。従って、部分8000´及び9000´の動作の間の意味のある違いについて以下に説明する。
【0061】
図11は、一体型読取ヘッド光ファイバ配置900、基準マーク信号効果領域50D−SE、及び、位相マスク要素961を含む部分9000´を示す。部分8000´と9000´の間の第1の違いは、光ファイバ配置800と900が、XY面内で異なる回転方位を持つということである。光ファイバ配置900において、X方向に分離された受光ファイバ990R1及び990R2は、基準信号REF1及びREF2を与える。更に、基準マーク信号効果領域50D−SEは、各寸法2LSEGを有する2つの信号効果下位領域50D1−S1SE及び50D2−S2SEを含み、内側エッジ間距離2*LETOEを与える。各寸法LSEGを持ち、内側エッジ間寸法LETOEを与える、50D1及び50D2で示される2つのミラー下位部又は基準マーク部を含む、ここで50Dとする(図示せず)対応するミラー部基準マークは、既に説明した原理に従って、2つの分離した信号効果下位領域、又は、基準マーク部50D1−SE及び50D2−SEを与える。図11に示される特定の参考形態において、寸法2*LETOEが、2つの信号効果下位領域50D1−SE及び50D2−SEの内側境界間の距離に対応しているが、他の形態において、下位領域50D2−SEと50D2−SE間の関係は、(それらの内側境界というよりもむしろ)外側境界間の距離が同じ寸法2*LETOEに対応することを理解されたい。いずれの場合も、分離された2つの基準マーク下位部を含むように基準マークを構成することによって、同様な全長の単一部分の基準マークに比べて、基準マークの全領域が制限され、従って、周期的なインクリメンタル測定信号に対するその妨害効果も有利に制限される。いくつかの形態において、十分な基準マーク信号強度とインクリメンタル測定信号に対する最小の妨害の間の望ましいトレードオフを与えるために、2つの基準マーク部のそれぞれが、0.25*(AR12SPAN−AR12SEP)以上で、0.75*(AR12SPAN−AR12SEP)以下の測定軸方向に沿う寸法を持つことができる。様々な他の形態において、2つの基準マーク部分のそれぞれが、0.4*(AR12SPAN−AR12SEP)以上、0.6*(AR12SPAN−AR12SEP)以下の測定軸方向寸法を持つことができる。
【0062】
これらの参考形態のいずれにおいても、式(1)−(5)に関係して上記で説明した寸法の考察及び信号の考察に従ってエッジ間寸法LETOEを選択することにより、特に式(2)と(3)、(4)と(5)の関係が満足された時に、概ねロバストな基準信号発生構造を与える。部分9000´に対応する一体型信号発生構造によって与えられた準信号REF1及びREF2は、図12を参照して以下で更に説明するように、信号クロス領域の望ましい信号の関係を呈する。
【0063】
図9図10及び図11で示したように、基準信号発生構造8000、又は、部分9000´に対応する基準信号発生構造は、いずれも、図3及び4に示した読取ヘッド及びスケール配置3000及び3000´の読取ヘッド300で用いるのに好適である。
【0064】
図12は、図9及び図10に示した一体型信号発生構造8000、及び、図11中に示される部分9000´に対応する一体型信号発生構造にそれぞれ対応する2つの模式的な信号チャート810及び910を示す図である。信号チャート810及び910は、同じ縦軸及び横軸の縮尺を持たず、実際、全ての信号は、図12中に示されていない、共通モードのDCオフセットを含む。
【0065】
図9及び10の基準信号発生構造8000に対応する信号チャート810は、基準マーク信号効果領域50C−SE(又は基準マーク50C)と基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置800間の測定軸方向に沿う相対位置の関数としての2つの基準信号、信号REF1及び信号REF2を示している。特に、点811は、基準マーク50Cの中心線RMC−SEが、図10に示される基準マーク50Cの長さLETOEだけ位置AR1Lの左側に変位した位置に一致する位置に対応する。従って、基準マーク信号効果領域50C−SEは、REF1基準マーク信号受光チャンネル開口と重ならず、点811において意味のある信号は発生されない。基準マーク50Cが右側に変位すると、基準マーク信号効果領域50C−SEとREF1基準マーク信号受光チャンネル開口の重なりは増加し、図10に示される中心線RMC−SEが、位置AR1Rの左側に距離LETOEだけの位置812に到達した時に最大となる。信号クロス領域において、基準マーク50Cが点812から右側に変位し続けると、基準マーク信号効果領域50C−SEとREF1基準マーク信号受光チャンネル開口の重なりが減少するので、信号REF1は減少し始める。基準マーク信号効果領域50C−SEとREF2基準マーク信号受光チャンネル開口の重なりが増加するので、信号REF2は点812´で同時に増え始める。点813で、基準マーク50Cの中心線RMC−SEがREF1基準マーク信号受光チャンネル開口及びREF2基準マーク信号受光チャンネル開口に沿って対称に位置し(図10に示される位置)、信号REF1及びREF2は従って名目上等しくなる。基準マーク信号受光チャンネル開口は、同様の寸法を持ち、基準マーク50Cの長さLETOEは、図10に示されるように、基準マーク信号効果領域50C−SEの寸法2*LETOEがほぼ寸法LCAR1CAR2とほぼ等しいように選択されているので、信号REF1とREF2は、信号クロス領域でのそれらの最大値及び最小値間のほぼ中央での値でクロスし、これにより、様々な場合に生じる各信号変動に対するロバストなマージンを残す。残る点814、814´及び815における信号REF1及びREF2の動きは、これまでの説明と同様に理解される。
【0066】
信号チャート910は、図11に示される部分9000´を含み、これに対応する基準信号発生構造に対応する。信号チャート810は、基準マーク信号効果下位領域50D2−SEの中心線RMC−SE−50D2と光ファイバ配置900間の測定軸に沿う相対位置の関数としての2つの基準信号、信号REF1及び信号REF2を示す。中心線RMC−SE−50D2は、ここで2部基準マーク50Dの下位部分50D2とする、対応する基準マーク下位部の中心線と一致し、これは、50D1とした下位部も含む。点911は、中心線RMC−SE−50D2が、図11に示される位置AR2Lの左側に長さLSEGだけ変位した位置と一致する位置に対応する。従って、基準マーク信号効果領域50D2−SEは、REF2基準マーク信号受光チャンネル開口と重ならず、点811では意味のある信号は生成されない。基準マーク50Dが右側に移動すると、基準マーク信号効果領域50D2−SEとREF2基準マーク信号受光チャンネル開口の重なりは、中心線RMC−SE−50D2が、図11中に示される位置AR2Rの左側に距離LSEGだけである点912に到達して最大となるまで増加する。信号クロス領域では、基準マーク50Dが点912から右側に変位し続けるので、基準マーク信号効果領域50D2−SEとREF2基準マーク信号受光チャンネル開口の重なりが減少するに連れて信号REF2が減少し始め、同時に基準マーク信号効果領域50D1−SEとREF1基準マーク信号受光チャンネル開口の重なりが増加するに連れて、信号REF1は点912´で増加し始める。点913で、基準マーク50DはREF1及びREF2基準マーク信号受光チャンネル開口間で(図11中に示される位置で)対称に位置し、従って、信号REF1及びREF2は名目上等しくなる。基準マーク信号受光チャンネル開口は、同様の寸法を有し、基準マーク50Dの長さLETOEは、基準マーク信号効果領域50D−SEの寸法2*LETOEが、図11中に示される寸法LCAR1CAR2とほぼ等価となるように選択されているので、信号REF1とREF2は信号クロス領域の最大値と最小値のほぼ中央の値でクロスし、これにより、様々な原因で生じる各信号変動に対するロバストなマージンを残す。残りの点914、914´及び915での信号REF1及びREF2の動きは、これまでの説明と同様に理解される。
【0067】
点916−918は、基準マーク50Dが右に変位し続けた時に、REF2受光器と重なる下位領域50D1−SEによって与えられる二次REF2信号を示す。しかしながら、これらの点に対応するREF1基準マーク信号受光チャンネル開口によって与えられる相補的な「クロス信号」は無いことを理解されたい。示された信号領域の左側の変位に対して生じる同様なREF1信号は示されていない。信号クロス領域において、REF1及びREF2信号が等しくなる基準位置が確立されているので、点916−918に対応する二次REF信号は、変位方向によって、これらを基準位置が近付いている指示計、又は、基準位置が検出されるべきであることの確認として用いるか、又は、遠のいている指示計として用いるのでなければ、同様な二次REF1信号と同様に不適切である。
【0068】
より高分解能の基準マーク信号発生構造
これまで説明した基準マーク信号発生構造は、概ね、分解能と繰返し再現性の第1のレベルを持つ単一の基準マーク信号を与える。様々な形態において、分解能と繰返し再現性の第1のレベルは、0.2μmのオーダーである。以後、上記のようにして発生された基準マーク信号を引用するのに「基準マーク一次信号」という文言を用いる。
【0069】
いくつかの適用分野において、上記で説明した基準マーク一次信号に比べて、改良されたレベルの基準マーク位置分解能及び繰返し再現性を提供する基準マーク信号を与えることが望ましい。以後、分解能と繰返し再現性の改良されたレベルを提供する、そのような基準マーク信号を引用するために「基準マーク二次信号」という文言を使用する。以下で説明する基準信号発生構造は、そのような基準マーク二次信号を与える。簡単に説明すると、以下で図13図18を参照して説明する本発明の実施形態は、概ね、式(1)(及び/又は式(2)、(3)、(4)又は(5))に従って設計され、図1図12を参照して上記で説明した原理を用いて基準マーク一次信号を発生するのに加えて、以下で説明する追加の様相との組合せで、基準マーク二次信号を発生する。基準マーク二次信号は、基準マーク一次信号よりも高い分解能及び繰返し再現性(例えば、ほぼ10倍優れた、20nmのオーダーの分解能及び/又は繰返し再現性)で基準マーク位置を指示する。しかしながら、基準マーク二次信号は周期的である。従って、基準マーク一次信号から導き出された一次基準マーク位置又は一次信号クロス点が、以下で詳細に説明するように、その周期性に関連する二次基準マーク位置の曖昧さを取り除くのに用いられる。
【0070】
基準マーク一次信号のみを発生するこれまでの参考形態において、基準マークは、格子を含むスケールトラック上に位置するミラー状基準マーク部(例えば図1の基準スケールトラック88参照)、又は、ミラー状基準スケールトラック上に位置する格子型基準マーク部(例えば図2の基準スケールトラック88´参照)を備えることができる。しかしながら、以下で説明する基準マーク二次信号も発生する本発明の実施形態においては、基準マークは、以下で説明する理由により、ミラー状トラック部で囲まれる格子型基準マーク部であることはできない。
【0071】
以下の説明において、いくつかの図面は、上記の図面中で説明した対応する又は同様の要素に関連する参照符号付け手法を用いることによって、追加の説明無しに同様に理解されるようにしている。この符号付け手法によれば、同様の添え字及び/又は形式を持つ参照符号は、類似であり、同様の設計及び動作原理を有する(例えば1680は880と同様であり、50G−SEは50C−SEと同様である等)。これは、図1図12中でしばしば用いられた符号手法でも同様である。しかしながら、以下で説明する図面中の基準マーク一次信号を発生するのに関係する要素に対しては、添え字中に「P」が挿入されている。従って、例えば、1620BPR2という符号が付けられた要素は、「一次」に対する「P」を含むように変形された同様の数字の添え字「20BR2」に基づいて、820BR2と符号付けされた要素に対応する。同様に、1390PR1と符号付けされた要素は、790R1と符号付けされた要素と同様である等。更に、以下の図面中で基準マーク二次信号を発生するのに関係する要素に対しては、同様な要素に対して用いられる添え字中に「S」が挿入されている。例えば、基準マーク二次信号を与えるのに用いられているという事実を除くと、1590SR1と符号付けされた受光ファイバは、同様な数字の添え字「90R1」が、「二次」のための「S」を含むように変えられている点に基づいて、890R1と符号付けされた受光ファイバと同様である。
【0072】
図13は、本発明による基準信号発生構造13000の第実施形態の一部の動作の様々な側面を模式的に示す斜視図である。この基準信号発生構造13000は、図7を参照して既に説明した原理に従って、基準マーク一次信号を発生し、図13図7の中で同様な符号を有するよう符号付けされた要素は、以下で示す点を除き、形状及び動作が類似か同一である。図13は、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置1300、基準マーク一次信号効果領域50E−SE及びマスク要素1361を含む基準信号発生構造13000の様々な要素を示している。図13に示されるように、基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置1300は、基準マーク一次信号PREF1、PREF1´、PREF2、PREF2´を受光して与える受光ファイバ1390PR1、1390PR1´、1390PR2、1390PR2´、及び、以下で更に説明する基準マーク二次信号SREF1及びSREF2を受光して与える受光ファイバ1390SR1及び1390SR2を備えることができる。
【0073】
基準マーク一次信号効果領域50E−SEは、図7中に示される基準マーク信号効果領域50B−SEと類似又は同一であることができる。更に、受光ファイバ1390PR1、1390PR1´、1390PR2、1390PR2´は、図7中に示される受光ファイバ790PR1、790PR1´、790PR2及び790PR2´と類似又は同一であることができる。従って、これらの要素の動作及び結果として生じる信号は、既に説明した原理に従って理解される。
【0074】
基準マーク二次信号SREF1及びSREF2を持つ受光ファイバ1390SR1及び1390SR2を備えた基準マーク二次信号受光チャンネルの動作について、以下説明する。既に(例えば図9を参照して)説明したように、ミラー状基準マーク部が格子トラック部によって囲まれていると、格子トラック部は反射性の+/−一次回折スケール光を与え、これは重なってマスク要素1361の受光面に近い干渉ゾーンに干渉縞を形成する領域を照明する。これまでの図面との類推により、図13は、基準マーク二次信号効果領域1356−SSEとも称する、そのような干渉ゾーン1356−SSEを示す。既に説明した原理に従って基準マーク一次信号PREF1、PREF1´、PREF2、PREF2´を与えるため、干渉縞は基準マーク一次信号効果領域50E−SEの近くで局所的に中断されるか、ゼロ次反射光が優勢とされる。
【0075】
マスク要素1361の受光面の空間フィルタマスク1320SR1及び1320SR2は、受光ファイバ1390SR1及び1390SR2の端部によって与えられる受光チャンネル開口をマスクし、基準マーク二次信号効果領域1356−SSEの干渉縞を空間的に濾波して、空間的に周期的な信号SREF1及びSREF2をそれぞれ与える。様々な実施形態において、空間フィルタマスク1320SR1及び1320SR2は、干渉縞と同じピッチで配列され、互いに名目上180°の空間位相差で配置された光遮蔽要素を有し、図14を参照して以下で詳細に説明するように、信号SREF1及びSREF2を与える。図13及び以下の図に示す光遮蔽要素ピッチは、必ずしも縮尺通りではなく、図示の目的で強調されている。
【0076】
信頼できる基準マーク一次信号(例えばPREF1、PREF1´、PREF2、PREF2´)を与えるために、図6図11を参照して既に説明したと同様の設計上の考察(例えばAPR12SEPとAPR12SPANをAR12SEPとAR12SPANと同様に扱う等)が適用される。信頼できる基準マーク二次信号(例えばSREF1、SREF2)を与えるために、基準マーク一次信号効果領域(例えば領域50E−SE)の寸法及び/又は位置と、基準マーク二次信号受光チャンネル開口(例えば受光ファイバ1390SR1と1390SR2の端部によって与えられる)間で追加の設計上の関係が望ましい。これらの関係を説明する助けとして、図6図11を参照して既に説明したのと同様の寸法に加えて、図13は、受光ファイバ1390SR1及び1390SR2によって与えられる基準マーク二次信号受光チャンネル開口の例のX軸方向に沿う左右の境界をマークする破線ASR1L及びASR1R、ASR2L及びASR2Rも示す。
【0077】
ASR1R及びASR2L間の分離距離ASR12SEPも示されている。本発明による様々な実施形態において、基準信号発生構造(例えば基準信号発生構造13000)を、次のように配置するのが有利である。
ASR12SEP≧2*LETOE …(6)
【0078】
この関係は、一次信号効果領域50E−SEのゼロ次反射光によって大きく影響されることなく、干渉縞光から望ましい信号を導き出せるように、基準マーク一次信号効果領域50E−SEが、受光ファイバ1390SR1及び1390SE2によって与えられる受光チャンネル開口の間に位置される構造に対応する。同時に、基準マーク一次信号効果領域50E−SEは、図13中にほぼ全て示され、図14を参照して以下で詳細に説明するように、望ましい一次信号クロス領域中で、望ましい基準マーク一次信号(例えばPREF1、PREF1´、PREF2、PREF2´)を発生するために、受光ファイバ1390PR1、1390PR1´、1390PR2及び1390PR2´によって与えられる受光チャンネル開口に対して、基準マーク一次信号効果領域50E−SEが中心とされることができる。そのような望ましい信号をより良く保証するために、図13中に示されるようなクリアランス寸法PSCLRが与えられる。PSCLRは、基準マーク一次信号効果領域50E−SEの端から基準マーク一次信号効果領域50E−SEが測定軸82に沿うこれらの境界の名目上中央に位置した時に、基準マーク信号二次受光チャンネル開口の境界に対するクリアランスである。従って、様々な実施形態において、
ASR12SEP=(2*ETOE)+(2*PSCLR) …(7)
である。
【0079】
様々な実施形態において、PSCLRは、ゼロより大きく、望ましくは10μm以上であり、いくつかの実施形態では25μm以上であり、他の実施形態においては、50μm以上であることが望ましい。
【0080】
図14は、全て本発明により生成された、基準マーク一次信号を模式的に示す信号チャート70´と、基準マーク二次信号を模式的に示す信号チャート60´を含む図である。様々な実施形態において、信号振幅、空間周期等は、例示に過ぎず、図14中に示されるものから変化することができ、本発明を限定するものではない。説明の目的で、信号は、図13の基準信号発生構造13000に対応して説明されている。特に、図14は、組合せ基準マーク一次信号(PREF1+PREF1´)及び(PREF2+PRED2´)を示した信号チャート70´を示している。信号チャート70´は、図8の信号チャート70と類似しており、図13の説明に対応する同様な寸法名称が適用されている。従って、信号チャート70´は既に説明した原理に従って理解でき、信号交差点74´により示される一次基準位置が、基準位置の一次又は第1の指示計としてのみ見做されるという違いがある。信号交差点74´から信号チャート60´に伸びる破線によって示されているように、信号交差点74´及び/又は一次基準点は、信号チャート60´中に示される基準マーク二次信号SREF1及びSREF2に対して特定の固定された空間的な関係を有する。
【0081】
信号チャート60´中に示され、既に説明したように、本発明による基準マーク読取ヘッド光ファイバ配置が、測定軸82に沿ってスケール上の基準マークに対して動いた時、基準マーク二次信号SREF1及びSREF2は、空間フィルタマスク1320SR1及び1320SR2の配置により、縞ピッチに対応する周期で空間的に周期的であり、互いに180°位相がずれている。信号チャート60´は、基準マーク一次信号効果領域50E−SEが、基準マーク二次信号に対応する受光チャンネル開口とクロスした時、受光チャンネル開口に対応する空間的に周期的な信号成分に加えられるDC信号成分(例えばDC信号成分SREF1DC又はSREF2DC)にも概ね寄与することを示している。しかしながら、図14に示し既に説明したように、式(6)及び/又は(7)の関係が満足され、基準マーク一次信号が一次信号クロス領域にあると、基準マーク二次信号SREF1及びSREF2は、意味のあるDC信号成分を含む必要が無く、これは、高分解能の二次基準位置を信頼性を持って決定するために有利である。
【0082】
図14に模式的に示したように、一般的に、基準マーク二次信号SREF1及びSREF2の特定の二次信号クロス領域は、一次信号クロス領域よりもかなり狭い。図14の信号関係は、説明を解り易くするため、模式的に示したものであることに注意されたい。実際は、様々な実施形態において、二次信号クロス領域は、一次信号クロス領域よりも10倍のオーダーで狭い。従って、実際には、二次信号SREF1及びSREF2の特定の信号交差点64´の位置、及び対応する二次基準位置は、一次信号交差点74´及び/又は一次基準位置よりも良い(例えば約10倍良い)空間的な分解能及び/又は精度で決定される。
【0083】
特定の信号交差点64´は、通常、その近傍に発生する他の周期的な信号交差点から区別できないことに注意されたい。しかしながら、一次信号交差点74´は、信号チャート60´中に示される特定の固定された空間的な関係を基準マーク二次信号SREF1及びSREF2に対して有し、二次信号SREF1及びSREF2の周期の+/−半分よりも良い分解能及び精度を有する。従って、一次信号交差点74´は、特定の二次信号交差点64´を信頼性を持って指示し又は識別するために用いられる。従って、高分解能の二次基準位置は、特定の二次信号交差点64´に基づいて、本発明により繰返し、信頼性を持って決定される。高分解能の二次基準位置を決定するための信号処理方法の一例を、図15を参照して以下に説明する。
【0084】
図15は、本発明による基準信号発生構造15000の第実施形態の一部の動作の様々な側面を模式的に示す斜視図である。この基準信号発生構造15000は、図13を参照して既に説明した原理により基準マーク信号を発生し、先の説明と同様に理解される。従って、重要な違いのみが以下に説明される。図15及び図13中で同様な符号が付された要素は、以下で示した点を除き、形状及び動作が類似又は同一である。図13に示される基準信号発生構造13000と比べて、基準信号発生構造15000の第1の違いは、基準マーク一次信号効果領域50F−SEの寸法2*LETOEが、図13に示される一次信号効果領域50E−SEよりもかなり狭く、基準マーク一次信号PREF1、PREF1´、PREF2、及びPREF2´と関係する受光チャンネル開口が、マスク要素1561によって規定されている点である。特に、マスク要素1561は、受光ファイバ1590PR1、1590PR1´、1590PR2及び1590PR2´にそれぞれわたるように位置された、遮蔽マスク部1520BRP1、1520BRP1´、1520BRR2、及び1520BPR2´、及び、開放開口マスク部1520PR1、1520PR1´、1520PR2及び1520PR2´を含む。この配置は、既に説明した原理に従って、基準マーク一次信号効果領域50F−SEの望ましい寸法2*LETOEを補うように設計された寸法及び位置を有する円形(又は様々な実施形態において他の形状)の受光チャンネル開口を与える。基準信号発生構造13000に比べて、基準信号発生構造15000は、より大きなクリアランス寸法PSCLRを与え、これは、既に説明した理由によって有利である。いくつかの実施形態において、開放開口マスク部1520PR1、1520PR1´、1520PR2及び1520PR2´は、より狭い一次信号交差領域で、より鋭い基準マーク一次信号変化を与えるため、測定軸82に沿う比較的小さな寸法で構成されることができる。いくつかの実施形態において、これは一次信号交差点74´の分解能及び/又は精度を向上し、これは、特定の二次信号交差領域及び/又は信号交差点を信頼性を持って識別するのに役立つ。これは、基準マーク二次信号の空間周期が小さい(例えば4μmのオーダー)の場合に特に有用である。そうでなければ、基準信号発生構造15000の設計及び動作は、図13を参照して既に説明した同様な設計及び動作、及び、この中の他の部分に基づいて理解される。
【0085】
図16は、本発明による基準信号発生構造16000の第実施形態の一部の動作の様々な側面を模式的に示す斜視図である。図13及び図15に示した実施形態に比べて、図16に示される光ファイバ配置1600は、XY面内で異なる回転方位を持つ。これは、基準マーク一次信号効果領域50F−SEが、2本というよりも4本のファイバの端部間に位置されるのを許容し、(ファイバ1690SR1、1690SR1´、1690SR2及び1690SR2´にそれぞれ対応する)4つの二次信号SREF1、SREF1´、SREF2及びSREF2´を受光し、与える。他方、二次信号SREF1、SREF1´、SREF2及びSREF2´に対応する受光チャンネルのそれぞれの設計原理及び動作は、図13を参照して既に説明したものと同様である。図16及び図13で同様の番号が振られた要素は、同様の設計原理及び動作を有し、以下に示さなければ、同様に理解される。図16の実施形態において、空間周波数マスク1620SR1及び1620SR1´が、基準マーク二次信号効果領域1356−SSEの干渉縞に対して同じ空間位相を持つように配置される。従って、二次信号SREF1及びSREF1´は、同じ空間位相を持ち、信号処理に際して組合せ(例えば加え)られる。空間フィルタマスク1620SR1及び1620SR1´は、更に、空間フィルタマスク1620SR1及び1620SR1´とほぼ180°位相がずれた同じ空間位相を持つように配置される。従って、二次信号SREF2及びSREF2´は、同じ空間位相を持ち、信号処理に際して組み合わせることができる。組み合わせられた二次信号は、信号チャート60´中に示される各二次信号と同様であり、同様に処理される。
【0086】
信号処理構造16000は、図10を参照して既に説明したと類似又は同一の光ファイバ及びマスク配置を用いて、同様の信号REF1及びREF2を発生するために、基準マーク一次信号PREF1及びPREF2を発生する。図16及び図10で類似の番号が付された要素は、類似又は同一の設計原理及び動作を持つ。基準マーク一次信号PREF1及びPREF2を発生するのに使用した要素の設計及び動作は、従って、既に説明した原理に従って理解される。各一次信号PREF1及びPREF2は、図14の信号チャート70´中の組合せ一次信号と同様であり、同様に処理される。
【0087】
図17A及び図17Bは、図16に示されるマスク要素1661の開口マスク構造の部分の代わりに使用可能な、他の開口マスク構造をそれぞれ示す図形17000A及び図形17000Bである。特に、図17A及び図17Bは、一次開口構造とも称する、基準マーク一次信号PREF1及びPREF2を発生するために関係するマスク要素の部分に対する、他の開口マスク構造を示す。図17A図17B及び図16中の類似の番号を持つ要素は、以下で違って示されなければ、同様の設計原理及び動作を有し、同様に理解される。図17A及び図17B中に明示されていないマスク要素部分は、図16中のマスク要素1661のために示されたものと類似又は同一である。
【0088】
図16に示される遮蔽マスク1620BPR1、開放開口マスク1620PR1、遮蔽マスク1620BPR2及び開放開口マスク1620PR2の構造と比較して、図17Aの一番の違いは、遮蔽マスク1620BPR1´、開放開口マスク1620PR1´、遮蔽マスク1620BPR2´及び開放開口マスク1620PR2´が、測定軸方向に対して横断して伸びる左右の開口エッジを与え、これらの横断開口エッジが、各横断開口エッジが近接開口境界(例えば破線APR2Rで示される境界)から測定軸82の方向に沿って開口の反対側エッジに向かって伸びる一次開口エッジ遷移寸法PAETにわたるように、Y軸に対して角度が付けられたジグザグ部分を含むことである。代表的な寸法PAETが、開放開口マスク1620PR2´の右端に対してのみ示されているが、同様な寸法PAETが、図17Aの左及び/又は右開口エッジに存在することに注意されたい。寸法PAETは、様々な実施形態において、各開口エッジに対して同じであることもできるが、同じである必要は無い。各開口エッジを各寸法PAETにわたるように傾けることにより、開放開口マスク1620PR1´及び/又は1620PR2´を通過する任意の干渉縞が、基準マーク一次信号に対するそれらの妨害周期光信号寄与の振幅が、特に図14を参照して先に説明した一次信号クロス領域の近傍で、少なくとも部分的に抑制されるように空間的に濾波される。各寸法PAETが、マスク要素の受光面のところで少なくとも1縞ピッチFPであれば、様々な実施形態において有利である。いくつかの実施形態において、各寸法PAETは、少なくともFPの3倍以上である。いくつかの実施形態において、そうである必要はないが、各寸法PAETがマスク要素の受光面で縞ピッチFPの整数倍に名目上等しいことが有利である。図17A及び図17Bに示される縞ピッチFPは、縮尺どおりである必要はなく、説明の目的で強調されていることに注意されたい。
【0089】
いくつかの実施形態において、図17Aに示される構造の分かれた側面は、必要ではないが、一次開口幅寸法PAWが、マスク要素の受光面で縞ピッチFPの整数倍と名目上等しく、Y軸方向に沿う開口エッジの長さの多くに少なくとも沿うことが有利である。そのような場合、開放開口マスク1620PR1´又は1620PR2´と交差する任意の縞の妨害的な光信号への寄与は、特に、一次信号交差領域の近傍で、より一定であり、これは、縞からの変化する信号の寄与よりも、基準マーク一次信号交差位置に対して、より妨害を与えない。一次開口幅寸法PAWは、Y軸方向に沿って変化したり、又は一定であることができる。いずれの場合も、測定軸82に沿う方向の開放開口寸法として、Y軸に沿う各位置で規定される。この設計様相は、図17Aに示すように、ゼロでない一次開口エッジ遷移寸法PAETとの組合せで用いることができ、あるいは、Y軸方向に沿ってアラインされた真直ぐな開口エッジとの組合せも有利である。
【0090】
図17Bは、図17Aの先の説明と同様に理解される構造を示す。特に、遮蔽マスク1620BPR1″、開放開口マスク1620PR1″、遮蔽マスク1620BPE2″及び開放開口マスク1620PR2″は、測定軸方向に対して横断する方向に伸びる左右の開口エッジを与え、これらの開口エッジはY軸方向に対して角度がつけられて、各横断開口エッジが、近接する開口境界(例えば破線APR2Rで示された境界)から測定軸82の方向に開口の反対側エッジに向かって伸びる一次開口エッジ遷移寸法PAETにわたるようにされる。図17Aの構造と比べて、一番の違いは、図17Bに示される開口が、ジグザグエッジというよりも、むしろ「回転された矩形」の性質を有することである。それにも拘わらず、図17Bに示される開口は、図17Aを参照して既に説明した設計原理を満足する同様な寸法PAET及びPAWを有する。図17A及び図17Bの先行例に基づいて、開口エッジが、一次開口エッジ遷移寸法PAETにわたって、(真直ぐ又は傾いているというよりもむしろ)曲がったり、何か他の方法でうねったセグメントを持つことができ、そのような設計は、図17Aを参照して既に説明した設計原理を満足する。従って、これまでの例は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。図17A及び図17Bを参照して説明した原理により設計された開口は、概ね、本発明の様々な他の形態中で(例えば図10又は11中に示される基準信号開口等の代わりに)使用できることに注意されたい。
【0091】
図18は、本発明による基準信号発生構造18000の第実施形態の一部を示す斜視図である。この基準信号発生構造18000の設計及び動作は、概ね、図11と関係する基準マーク信号発生の教えに基づく2チャンネル基準マーク一次信号発生構造と、図16を参照して既に説明したと同様の4チャンネル基準マーク二次信号発生構造の組合せと考えることができる。従って、基準信号発生構造18000の設計及び動作は、概ね、先の説明に基づいて理解される。18XXシリーズの数が付けられた要素は、以下で示す点を除き、16XXシリーズの番号で同様に番号が付された要素と、設計原理、動作及びいくつかの場合は形状も同様又は類似である。従って、基準信号発生構造18000と16000間の意味のある違いのみを以下に説明する。
【0092】
前記基準信号発生構造18000は、一体型読取ヘッド光ファイバ配置1800、基準マーク信号効果領域50H−SE及び位相マスク要素1861を含む。基準マーク信号効果領域50H−SEは、2つの部分50H1−SE及び50H2−SEを含むことに注意されたい。概して、基準マーク信号効果領域50H−SEは、図11に示した2部基準マーク信号効果領域50D−SEと類似しており、同様に理解される。基準マーク信号効果領域50H−SEに関する追加の設計上の考察を以下に説明する。図16に示される実施形態と比較して、図18に示される光ファイバ配置1800は、XY面内で異なる回転方位を有し、X軸方向に沿って互いに最も離れた2本のファイバ1890PR1及び1890PR2によって与えられる基準マーク一次信号PREF1及びPREF2、及び、X軸方向に沿って互いに最も近い4本のファイバ1890SR1、1890SR1´、1890SR2及び1890SR2´によって与えられる4つの基準マーク二次信号SREF1、SREF1´、SREF2及びSREF2´を備えている。そうでなければ、二次信号SREF1、SREF1´、SREF2及びSREF2´に対応する各受光チャンネルの設計原理及び動作は、図16を参照して既に説明したものと同様である。特に、空間フィルタマスク1820SR1及び1820SR1´は、基準マーク二次信号効果領域1856−SSEの干渉縞に対して同じ空間位相を持つように配置される。従って、二次信号SREF1及びSREF1´は、同じ空間位相を持ち、信号処理に際して組合せ(例えば加え)ることができる。空間フィルタマスク1820SR1及び1820SR1´は、又、空間フィルタマスク1820SR1及び1820SR1´とほぼ180°位相がずれた同じ空間位相を持つように配置される。従って、二次信号SREF2及びSREF2´は、同じ空間位相を持ち、信号処理に際して同様に組み合わせることができる。組合された二次信号は、信号チャート60´に示される各二次信号と同様であり、同様に処理される。
【0093】
基準信号発生構造18000は、図17Aを参照して先に説明した設計原理により構成された、遮蔽マスク1820BPR1、開放開口マスク1820PR1、遮蔽マスク1820BPR2及び開放開口マスク1820PR2を含む開口マスク構造を用いて、基準マーク一次信号PREF1及びPREF2を発生する。この開口マスク構造は、各寸法2LSEG及び内側エッジ間寸法2*LETOEを有する信号効果下位領域50H1−SE及び50H2−SEと共同して働く。信号効果下位領域は、ここで50H(図示せず)とされ、対応するミラー部反射マーク、各寸法LSEGを有し、内側エッジ間寸法LETOEを与える、50H1及び50H2とされる2つのミラー下位部又は基準マーク部を含むことに注意されたい。図18に示される特定の実施形態において、寸法2*LETOEは、2つの信号効果下位領域50H1−SE及び50H2−SEの内側境界間の距離に対応しているが、他の実施形態において、下位領域50H1−SEと50H2−SEの間の関係は、同じ寸法2*LETOEに対応する(それらの内側境界というよりもむしろ)それらの外側境界間の距離であるようにすることができることに注意されたい。いずれの場合も、式(1)−(5)に関連して上記で説明した寸法の考察及び信号の考察に従ってエッジ間長さLETOEを選択することにより、特に式(2)と(3)又は(4)と(5)の関係が満足された時に、ロバストな基準マーク一次信号発生構造が与えられることに注意されたい。一体型信号発生構造18000によって与えられる基準マーク一次信号PREF1及びPREF2は、図14及び図12を参照して既に説明したように、信号クロス領域で、望ましい基準マーク一次信号の関係を呈する。
【0094】
基準信号発生構造16000と比較して、基準信号発生構造18000では、基準マーク二次信号受光チャンネル開口が、X軸方向に沿って、基準マーク一次信号受光チャンネル開口の間に位置される。そのような場合、信頼できる基準マーク二次信号(例えばSREF1、SREF1´、SREF2及びSREF2´)を与えるため、(例えば空間フィルタマスク1820SR1、1820SR1´、1820SR2及び1820SR2´と関連して、ファイバ1890SR1、1890SR1´、1890SR2、1890SR2´の端部として与えられる)基準マーク一次信号効果下位領域50H1−SE及び50H2−SE、基準マーク二次信号受光チャンネル開口の寸法及び/又は位置の間の追加の設計上の関係が望ましい。特に、この場合、式(6)及び(7)は適用されない。代わりに、この場合、基準信号発生構造(例えば基準信号発生構造18000)を次のように配置することが有利である。
ASR12SPAN≦2*LETOE …(8)
【0095】
この関係は、一次信号効果下位領域50H1−SE及び50H2−SEのゼロ次反射光によって大きく影響されることなく、干渉縞光から望ましい信号が導き出されるように、基準マーク一次信号効果下位領域50H1−SE及び50H2−SEが基準マーク二次信号受光チャンネル開口の外側に位置される構造に対応する。同時に、基準マーク一次信号効果下位領域50H1−SE及び50H2−SEのエッジは、望ましい基準マーク一次信号(例えばPREF1及びPREF2´)を、既に説明した原理に従って、望ましい一次信号クロス領域に発生するために、(例えば図18中に示されるように)開放開口マスク1820PR1及び1820PR2によって与えられる受光チャンネル開口に対して中心とされる。そのような望ましい信号をより良く保証するために、クリアランス寸法PSCLRが図18に示されるように与えられる。先の説明と同様に、PSCLRは、基準マーク一次信号効果領域(例えば領域50H−SE)が、測定軸82に沿って、近接する基準マーク二次信号受光チャンネル開口の境界に対して名目上の中心となった時の、近接する基準マーク二次信号受光チャンネル開口の境界に対する基準マーク一次信号効果領域(又は下位領域)のエッジからのクリアランスである。従って、図18に示されるものと類似する様々な実施形態において、
ASR12SPAN=(2*LETOE)−(2*PSCLR) …(9)
である。
【0096】
図18に示されるものと類似する様々な実施形態において、PSCLRがゼロより大きく、より望ましくは10μm以上であり、いくつかの実施形態においては25μm以上であり、他の実施形態においては50μm以上であることが望ましい。
【0097】
図19は、本発明による一次及び二次基準信号と関係する様々な信号の関係、及び、関係する信号処理の1つの方法のある側面を模式的に示す図である。特に、図19の特に下の部分及び上の部分は、それぞれ信号チャート60´及び70´の信号チャート部分1430及び1440を再生するものであり、先の説明に基づいて理解される。図19は、更に、以下で詳細に説明する、導き出された信号チャート1940及び1930、及び、模式的に表わした論理信号1945及び1935も示す。
【0098】
信号チャート1940は、チャート1440の信号から導き出された、組合せ基準マーク一次信号(PREF1+PREF1´)及び(PREF2+PREF2´)間の違いと等価な信号処理差信号PDIFFを示す。信号チャート1940は、更に、一次信号差PDIFFと比較して、上方及び下方基準信号レベルを規定するPDIFF上方閾値PUTR及びPDIFF下方閾値PLTRも示す。信号処理方法の一例において、PUTRおよびPLTRは、信号交差点74´に対応する、PDIFFゼロ信号レベル1921に対して同じ間隔とされ、一次基準位置とされる。信号処理方法の1つの例において、PDIFFの値がPLTRとPUTRの間にあると、一次基準位置指示計信号1945が高レベルの状態1945´に切換えられ、これは本発明による読取ヘッドが、PLTRとPUTR間の範囲にほぼ対応する第1の不確実範囲及び/又は第1の分解能レベル内の本発明による基準マークに近い一次基準位置に位置することを示す。
【0099】
信号チャート1930は、チャート1430の信号から導き出された、基準マーク二次信号SREF1とSREF2間の差に等価な信号処理差信号STIFFを示す。信号チャート1930は、又、二次信号差SDIFFと比較される上方及び下方基準信号レベルを規定するSDIFF上方閾値SUTR及びSDIFF下方閾値SLTRも示す。信号処理方法の1つの例において、SUTR及びSLTRは信号交差点64に対応するSDIFFゼロ信号レベル1920に対して同じ間隔とされ、二次基準位置とされる。信号処理方法の1つの例において、SDIFFの値がSLTRとSUTRの間にあると、二次基準位置指示計信号1935は高レベル状態1935´に切換えられる。本発明による読取ヘッド及び基準マークスケールは、一次基準位置指示計信号の高レベル状態1935´の単一の例1936に曖昧なく対応するように、十分な分解能及び繰返し再現性を持って、一次基準位置指示計信号高レベル状態1945´を与えるように構成される。高レベル状態1935´のそのような単一の例は、本発明による読取ヘッドが、本発明によりPLTRとPUTR間の範囲にほぼ対応する第2の不確実範囲及び/又は第2の分解能レベルで、基準マークの近くの二次基準位置に位置することを示す。この第2の不確実範囲及び/又は第2の分解能レベルは、先に説明した原理に従って、第1の不確実範囲及び/又は第1の分解能レベルよりもかなり良い。様々な実施形態において、高レベル状態1935´の単一の例1936の特定は、公知の技術を用いて、信号1945と1935の状態に基づく論理演算によって確立される。1つの実施形態において、この対応は、図19中に示したように、両方の信号が同時に高レベル状態にあることによって単純に示される。しかしながら、他の実施形態において、この対応は、(例えば信号1945と1935の立上り及び立下りエッジ間の関係に基づく処理等を含む)より複雑な処理に基づいて確立することもできる。従って、図19中に示される方法及び信号は、例示にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0100】
1つの実施形態において、一次基準位置は、信号1945のみに基づいて、0.2μmのオーダーの分解能及び精度で確立される。二次基準位置は、上記で説明したように、それから、信号1945と関連して信号1935を使用して、20nmのオーダーの分解能及び精度で確立される。
【0101】
図20A及び図20Bは、他の基準マーク50−M´及び50−M″をそれぞれ含む図形20000A及び図形20000Bをそれぞれ示す。基準マーク構造50−M´及び50−M″は、様々な実施形態において、図5に示される基準マーク50−Mの代わりに用いることができ、概ね同様に理解される。しかしながら、基準マーク50−Mに対して、測定軸方向を横断して伸びる基準マーク50−M´及び50−M″の横断エッジは、横断エッジが真直ぐでないように、Y軸方向に対して角度が付けられた部分を含む。言い換えると、各基準マーク50−M´及び50−M″の横断エッジは、横断エッジの異なる各部分が、測定軸方向を横断する方向の位置の関数として変化する測定軸方向に沿う各位置を有するように構成されている。特に、測定軸方向を横断する方向に沿う位置の関数として変化する、測定軸方向に沿う各位置は、測定軸方向に沿う基準マークエッジ遷移ゾーンRMETに対応してわたっている。様々な実施形態において、測定軸方向に沿う各位置が、測定軸を横断する方向に沿って繰返し前後するように変化すると有利である。動作に際して、そのようなエッジ構造は、そうでなければ真直エッジと関連して生じるエッジ回折効果を抑制するのに役に立つ。そのようなエッジ回折効果は、基準マーク一次信号及び/又は基準マーク二次信号に望ましくない不規則性を加える。そのようなエッジ構造が用いられた時、寸法LETOEを第1の基準マークエッジ遷移ゾーンREMETの中央から、動作時に対応する(例えば図20A及び図20B中で寸法LETOE´及びLETOE″によってほぼ示される)第2の基準マークエッジ遷移ゾーンRMETの中央までの距離として寸法LETOEを規定するのが便利である。そのように規定した寸法LETOEにより、基準マークは、式(1)−(9)を参照して上記で説明した望ましい条件を満足するように設計される。様々な実施形態において、そのような第1及び第2の基準マークエッジ遷移ゾーン内の横断エッジを、測定軸方向と垂直な方向に沿う対称軸に関して第1の基準マーク位置横断エッジの鏡像として構成し、信号クロス領域でクロスする結果として生じる基準マーク一次信号が、比較的ロバストな鏡像対称性を持つようにすることが有利である。
【0102】
上記の実施形態に関して本発明が説明されてきたが、上記で説明した実施形態及び設計要因は、当業者にとって自明である追加の他の実施形態、変形及び変化を示唆することは明らかである。第1の例として、これまでの検討は、平面鏡を含むミラー型基準マーク部分を含む実施形態を述べているが、より一般的には、「十分なゼロ次反射」の基準マーク部をミラー基準マーク部の代わりに用いることができる。そのような「十分なゼロ次反射」部分は、対応する基準マーク信号レベルが、近接する「ゼロ次反射抑制」部分(例えば、インクリメンタル測定スケール格子の部分又は格子トラック部分)から生じる信号レベルから消滅することができるように、十分な量のゼロ次反射光、及び/又は、+/−一次回折光の十分な量を妨害する表面の任意の配置を備えることができる。例えば、様々な形態において、「十分なゼロ次反射」部分は、80−20デューティ比(例えば図5に示される位相格子と同様に、W=8*P及びW=2*P)、又は70−30デューティ比等の位相格子を備えることができる。様々な他の形態において、ゼロ次反射部分は、50−50デューティ比位相格子であるが、ゼロ次反射を抑制しない格子縞高さ(例えば図5中に示される位相格子でH=5*照明波長又はH=1*照明波長等)を備えることができる。他の実施形態において、ゼロ次反射部分の1以上の格子要素は、スケールの他の部分と異なる反射率を持つように製造することができる。
【0103】
第2の例として、図6A図6B及び図7中に示されるような参考形態において、各基準信号REF1及びREF1´は冗長であり、各基準信号REF2及びREF2´は冗長であることに注意されたい。そのような冗長性から、信号強度及び/又はアライメント感度に関して、一定の利益が得られるが、一般的に、ここに開示された冗長信号(冗長な基準マーク一次又は二次信号を用いるものを含む)を用いた任意の実施形態において、冗長信号を取り除いて、関係する光ファイバ配置が、ここに示したものよりもより少ない光ファイバ及び/又は基準マーク信号受光チャンネルでなるようにすることができる。
【0104】
本発明の様々な実施形態が真直なスケールトラックを用いて示されていたが、第3の例として、曲線又は円形のスケールトラックを備えた同一又は類似の実施形態を用いることができる。従って、様々な実施形態において、スケールトラック及び測定軸方向という文言は、例えば、円形又は曲線トラック又は測定軸と解釈でき、関係する図面も、そのような円形又は曲線トラック又は測定軸の接線部分を示すものとして解釈できる。
【0105】
更に、開口及び/又は基準マーク用の角度が付けられた横断エッジのような様々な様相が、基準マーク一次信号及び基準マーク二次信号の両方を与える構造状況で説明されてきた。しかしながら、そのような様相は、基準マーク一次信号のみを与える状況(例えば図6A図12を参照して説明した様々な構造)で用いられた時にも利益を与える。従って、以上で述べた発明の実施形態は、説明のためであり、本発明を限定するものではない。本発明の精神及び範囲から離れることなく、様々な変化を与えることができる。
【符号の説明】
【0106】
50−M…ミラー部基準マーク
50A−SE…基準マーク信号効果領域
80…スケール格子
81…スケール部材
82…測定軸
88、88´…基準マークスケールトラック
89…端部領域
100…インクリメンタル読取ヘッド
130、230…光ファイバ
153、253…照明スポット
155、255…拡散スケール光
160、360…受光面
161、861…位相マスク要素
200…基準マーク読取ヘッド
251、251´、451…基準マークゾーン
300…一体型読取ヘッド
350…拡散光源光
355…スケール光
451´…基準マーク境界ゾーン
500…格子及び基準マーク構造
690R1、690R1´、690R2、690R2´、890A、890A´、890B、890B´、890R1、890R2、1390SR1、1390SR2…受光ファイバ
690X、690X´…ファイバ
820A、820B、820A´、820B´…位相マスク
820BR1、820BR2…遮蔽マスク
820R1、820R2…開放開口マスク
870…中央光源ファイバ
880…光源
1000、2000、3000、3000´…小型光ファイバ読取ヘッド及びスケール配置
1320SR1、1320SR2…空間フィルタマスク
1356−SSE…干渉ゾーン(基準マーク二次信号効果領域)
1361…マスク要素
8000…一体型基準信号及びインクリメンタル信号発生構造
E…格子要素
G…凹部要素
REF1、REF1´、REF2、REF2´…基準マーク信号
SREF1、SREF2…基準マーク二次信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B