【実施例】
【0062】
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において、適宜調製することができる。また、以下の実施例では、野菜の一例としてニンジンを、果実の一例としてパイナップルを取り上げるが、他の野菜や果実についても本発明の作用効果を奏する。
【0063】
[実施例A1]
市販のニンジンを96℃の湯に10分間浸漬(ブランチング処理)し、市販のおろし金ですりおろし、1.5mm目開きのブラウン型パルパーフィニッシャー((株)精研社製)を通し均質化し、加熱殺菌して本発明に係る加工飲食品として実施例A1を作製した。
【0064】
[実施例A2]
市販のニンジンを96℃の湯に7分間浸漬(ブランチング処理)し、ハンマークラッシャー(YARIYA MACHINE WORKS LTD製、タイプ1)で粗破砕し、次いでディスインテグレーター((株)精研社製)でさらに破砕し、1.2mm目開きのブラウン型パルパーフィニッシャー((株)精研社製)を通し、加熱殺菌して本発明に係る加工飲食品として実施例A2を作製した。
【0065】
[実施例A3]
市販のニンジンを2.0mm目開きのスクリーンを装着したヒートクラッシャー(キッコーマン社製)で、品温95〜100℃の範囲で加熱と同時に破砕せん断し、殺菌して本発明に係る加工飲食品として実施例A3を作製した。
【0066】
[実施例B1]
飲料用として一般的に使用されるCBトマトペースト、ニンジン濃縮汁、リンゴ濃縮汁、オレンジ濃縮汁、レモン濃縮汁、ピーマン濃縮汁、セロリピューレ、かぼちゃペースト、キャベツ汁、ブロッコリーピューレ、パセリ汁、レタスピューレ、ピーマン濃縮汁、ホウレンソウ汁、ニンニクピューレを定法に従ってそれぞれ調製した。
【0067】
実施例A1の加工飲食品150g、ニンジン濃縮汁180g、トマトペースト100g、レモン濃縮汁10gとセロリピューレ、ピーマン濃縮汁、キャベツ汁の混合物10gを混合し、加水して1kgとした後、加熱殺菌して容器詰め飲料である実施例B1を作製した。
【0068】
[実施例B2]
実施例A1の加工飲食品300g、ニンジン濃縮汁100g、トマトペースト40g、リンゴ濃縮汁60g、オレンジ濃縮汁30g、レモン濃縮汁10gを混合し、加水して1kgとした後、加熱殺菌して容器詰め飲料である実施例B2を作製した。
【0069】
[実施例B3]
完熟した生の加工用トマトを公知の方法で搾汁し、ストレートトマトジュースを調製した(特許文献:特開2003−000179号公報)。
【0070】
実施例A1の加工飲食品180g、ニンジン濃縮汁150g、トマトペースト40g、レモン濃縮汁10g、ストレートトマトジュース200gを混合し、加水して1kgとした後、加熱殺菌して容器詰め飲料である実施例B3を作製した。
【0071】
[実施例B4]
実施例A1の加工飲食品60g、ニンジン濃縮汁110g、トマトペースト110g、レモン濃縮汁5gを混合し、加水して1kgとした後、加熱殺菌して容器詰め飲料である実施例B4を作製した。
【0072】
[実施例B5]
実施例A1の加工飲食品300g、ニンジン濃縮汁80g、ブロッコリーピューレ60g、かぼちゃペースト50g、レモン濃縮汁10g、セロリピューレ、パセリ汁、レタスピューレ、ピーマン濃縮汁、キャベツ汁、ホウレンソウ汁、ニンニクピューレの混合物80gを混合し、加水して1kgとした後、加熱殺菌して容器詰め飲料である実施例B5を作製した。
【0073】
[実施例C1]
市販のパイナップルの冠芽を除去し洗浄後、剥皮脱芯し、96℃の湯に15分間浸漬(ブランチング処理)し、ハンマークラッシャー(YARIYA MACHINE WORKS LTD製、タイプ1)で粗破砕し、次いでディスインテグレーター((株)精研社製)でさらに破砕し、1.2mm目開きのブラウン型パルパーフィニッシャー((株)精研社製)を通し、加熱殺菌してパイナップルの加工飲食品を作製した。このパイナップル加工飲食品150g、Brix60°のパイナップル透明果汁150g、マンゴーピューレ300g、リンゴ果汁400gを混合し1kgとした後、加熱殺菌して容器詰め飲料である実施例C1を作成した。
【0074】
[実施例C2]
本発明の実施例A3を1kgに水4kgを加え、定法により殺菌し実施例C2に係る加工飲食品を得た。
【0075】
[実施例C3]
本発明の実施例A3を1kgに水4kgを加え、定法により殺菌したもの1kgに、Brix36のいわゆるコールドブレイクトマトペーストを水でBrix5.0に希釈したもの1kgに、前記実施例C2を1kgを混合し、定法により殺菌し実施例C3に係る加工飲食品を得た。
【0076】
[実施例C4]
日本デルモンテ株式会社で育種開発された高リコピン含有加工用トマトを原料に用いて公知の方法(特開2003−000179号)によりトマト搾汁液を得、これを8kgと本発明の実施例A1を2kgとを混合し、定法により殺菌し実施例C4に係る加工飲食品を得た。
【0077】
[実施例D1]
本発明の実施例C2にリコピン製剤(Lycomate,LycoRed社製)をリコピン濃度が50mg/100gとなるよう添加し、定法により殺菌し実施例D1に係る加工飲食品を得た。
【0078】
[実施例D2]
本発明の実施例B2に食品添加物の塩化カリウム、グルタミン酸をそれぞれ1000mg/100g、0.3%の濃度となるよう添加し、定法により殺菌し実施例D2に係る加工飲食品を得た。
【0079】
[実施例D3]
実施例C1で調製したパイナップル加工飲食品100g、生パイナップル搾汁液200g、食添用塩化カリウム15g、香料を適量加え、水を加え総量を1kgとし、定法により殺菌し実施例D3に係る加工飲食品を得た。
【0080】
[実施例D4]
実施例A3で調製したニンジン加工飲食品200g、ニンジン濃縮汁100g、グルタミン酸1g、食添用ニンジンカロテン、香料、水を加え総量を1kgとし、定法により殺菌し実施例D4に係る加工飲食品を得た。
【0081】
[比較例1]
市販の飲料を用意して比較例とした。市販のトマトジュースであるデルモンテ社製のトマトジュース(濃縮還元)を比較例1とした。
【0082】
[比較例2]
市販の野菜ミックス濃縮ジュースであるA社製の製品1を比較例2とした。
【0083】
[比較例3]
市販の野菜ミックス濃縮ジュースであるA社製の製品2を比較例3とした。
【0084】
[比較例4]
市販の濃縮トマト飲料であるB社製の製品3(濃縮トマト還元)を比較例4とした。
【0085】
[比較例5]
市販のトマトジュースであるB社製の製品4(濃縮トマト還元)を比較例5とした。
【0086】
[比較例6]
市販の野菜混合飲料であるB社製の製品5を比較例6とした。
【0087】
上述した実施例及び比較例について次のように試験例1〜7を実施した。結果を
図1に示す。
【0088】
[試験例1]
各実施例及び比較例について、不溶性固形分の割合を測定した。具体的には、上から順番に6.5メッシュ、10メッシュ、16メッシュ、20メッシュ、35メッシュの各篩を直列に設置し、実施例及び比較例各100gと水200gとを混和したものをこれらの篩にかけ、10分間静置後に(1)6.5メッシュの篩を通過し10メッシュの篩を通過しないもの、(2)10メッシュの篩を通過し16メッシュの篩を通過しないもの、(3)16メッシュの篩を通過し20メッシュの篩を通過しないもの、(4)20メッシュの篩を通過し35メッシュの篩を通過しないものをそれぞれ計量した。そして、試験に用いた実施例及び比較例の総量(ここでは100g)に対する各(1)〜(4)の割合を不溶性固形分の割合とした。例えば、実施例A1では、(1)の不溶性固形分の割合が75重量%、同(2)が8重量%、同(3)が4重量%、同(4)が8重量%であった。
【0089】
[試験例2]
被検サンプルをアルカリによるけん化、次いでヘキサンと酢酸エチルからなる有機溶剤を用いて試料からベータカロテンを抽出し、栄養表示基準で一般の食品に用いるベータカロテンの分析方法により、試料100gあたりの重量(μg)で求めた。
【0090】
[試験例3]
栄養表示基準で一般の食品中の食物繊維の分析に用いる方法であるプロスキー法または酵素−HPLC法で行い、試料100gあたりの重量(g)で求めた。
【0091】
[試験例4]
ヘキサンとアセトンからなる有機溶剤を用いて試料からリコピンを抽出し、吸光度法により測定した(非特許文献1、2)。
非特許文献1:トマト加工品・ソース類・食酢関係PART1、分析便覧、8−10頁、昭和56年、財団法人全国トマト加工品・調味料検査協会発行
非特許文献2:新・食品分析法、643−647頁、平成8年、日本食品科学工学会発行
[試験例5]
原子吸光分析の原理により、原子吸光光度計(島津製作所製、AA−6200型)を用いてカリウム濃度を測定した。測定データは試料100gあたりの重量(mg)で求めた。
【0092】
[試験例6]
HPLC−ポストカラム−ニンヒドリン発色の原理により定法によりグルタミン酸濃度を測定した。日立社製のアミノ酸自動分析計L−8900型を使用し、試料中の重量%濃度にて算出した。
【0093】
[試験例7]
本発明の飲食品の官能評価試験は、4人のパネラーに委託して行い、各項目を以下に示す基準で評価したものである。ここで、表中の数値は、4人のパネラーの評価の平均値である。
<粗ごし感>
5:強く感じる
4:感じる
3:わずかに感じる
2:ほとんど感じられない
1:感じられない
<野菜または果実感(「野菜果実感」とも称する。)>
5:十分に感じる
4:感じる
3:わずかに感じる
2:あまり感じられない
1:全く感じられない
<飲み易さ>
5:とても飲みやすい
4:飲みやすい
3:やや飲みやすい
2:やや飲みづらい
1:飲みづらい
<総合評価>
各評価項目を総合的に勘案して、商品としての適性を評価した。
◎:商品としての適性に非常に優れている。具体的には、粗ごし感及び野菜果実感が4以上であり、かつ、飲み易さが5である。
○:商品としての適性に優れている。具体的には、粗ごし感及び野菜果実感が5であり、かつ、飲み易さが3以上であるか、又は粗ごし感及び野菜果実感が3以上であり、かつ、飲み易さが4以上である。
◇:商品としての適性はやや優れている。具体的には、粗ごし感又は野菜果実感の何れか一方が3以上5未満であり、かつ、飲み易さが3以上4未満である。
△:商品としての適性に劣っている。具体的には、粗ごし感及び野菜果実感の何れもが2未満であり、かつ、飲み易さが5であるか、又は粗ごし感及び野菜果実感の何れもが2以下であり、かつ飲みやすさが4である。
×:商品としての適性に明らかに劣っている。具体的には、粗ごし感及び野菜果実感の何れもが2未満である。
【0094】
試験例1によれば、比較例1〜比較例6は、第1不溶性固形分の割合が何れも6重量%以下であった。これに対し、実施例A1〜実施例A3、実施例B1〜B5、実施例C1〜C4、実施例D1〜D4は、第1不溶性固形分の割合が少なくとも10重量%以上であった。そして、試験例7によれば、比較例1〜比較例6は何れも粗ごし感及び野菜果実感が得られないのに対し、全ての実施例は粗ごし感及び野菜果実感が3以上であり、総合評価が◇、○、◎の何れかであり、商品としての適性に優れる加工飲食品であった。
【0095】
これにより、第1不溶性固形分の割合が少なくとも10重量%以上であれば、粗ごし感及び野菜果実感を強く得られる加工飲食品が提供されることが分かった。
【0096】
また、全実施例のうち、実施例A1〜実施例A3、実施例B1〜B3、実施例C1、C4、実施例D2は、6.5メッシュの篩を通過し、10メッシュの篩を通過しない不溶性固形分の割合が10重量%以上であった。そして、それらの実施例の何れもが、粗ごし感及び野菜果実感が4以上であった。換言すると、それらの実施例以外、すなわち、実施例B4、C2、C3、D1、D3、D4は、粗ごし感又は野菜果実感の少なくとも一方が4未満となっている。
【0097】
これにより、不溶性固形分のうち、6.5メッシュの篩を通過し、10メッシュの篩を通過しない不溶性固形分の割合が10重量%以上であれば、より確実に粗ごし感及び野菜果実感のある加工飲食品を得られることが分かった。
【0098】
また、実施例C3、C4は、第2不溶性固形分の割合が25重量%より多かった。これに対し、実施例A1〜実施例A3、実施例B1〜B5、実施例C1〜C2は、第2不溶性固形分の割合が25重量%以下であった。そして、試験例7によれば、実施例C3、C4は、総合評価としては◇であるのに対し、実施例A1〜A3、実施例B1〜B5、実施例C1〜C2は、総合評価が◎又は○である加工飲食品を得られることが分かった。
【0099】
これにより、第2不溶性固形分の割合が少なくとも25重量%以下であれば、総合評価の高い、すなわち、商品適性に優れた加工飲食品を得られることが分かった。
【0100】
なお、実施例D1〜D4については、第2不溶性固形分の割合が25重量%以下でありながらも総合評価は◇となっている。これは、後述するように、ベータカロテン、リコピン、カリウム、グルタミン酸の添加量を実証するために敢えてそれらを多めに添加したものであるため、総合評価が◇となってしまったものである。したがって、ベータカロテン、リコピン、カリウム、グルタミン酸を添加しない、又は適正な添加量であれば、上述したように、第2不溶性固形分の割合が少なくとも25重量%以下とすることで、総合評価の高い加工飲食品を得られる。
【0101】
また、試験例2の結果、実施例A1〜実施例A3、実施例B1〜B5、実施例C1〜C4、実施例D1〜D2に含有されるベータカロテンの含有量は、100グラムあたり100マイクログラム以上20000マイクログラム以下であった。これらの実施例は、試験例7に示すように、粗ごし感及び野菜果実感が得られ、総合評価が◇、○、◎である加工飲食品であった。
【0102】
一方、実施例D3は、総合評価が◇であり、ベータカロテンの含有量が100グラムあたり70マイクログラムであり、100マイクログラム未満である。この実施例D3は、総合評価が◇である実施例C3、C4と比較すると野菜果実感が相対的に弱く(3)なることが分った。
【0103】
また、実施例D4は、総合評価が◇であり、ベータカロテンの含有量が100グラムあたり22000マイクログラムであり、20000マイクログラムを超えている。この実施例D4は、総合評価が◇である実施例C3、C4と比較すると、カロテン特有の香味が官能で感じられた結果、配合したニンジン量が多いにもかかわらず野菜果実感の評価が比較的低いことが分かった(3.5)。
【0104】
上述した試験例1、試験例2及び試験例7の結果によれば、第1不溶性固形分が10重量%以上であり、ベータカロテンの含有量が100グラムあたり100〜20000マイクログラムという条件であれば、粗ごし感を有し、また、野菜や果実の濃厚感(すなわち、野菜果実感である。)及び飲食品としての嗜好性(すなわち、官能検査の総合評価に優れる)もより明確に有し、さらには、商品としての適性(すなわち、総合評価が○、◎である。)がより好ましい加工飲食品を得られることが分かった(実施例A1〜A3、B1〜B5、C1、C2)。
【0105】
または、前記条件であれば、商品としての適性がやや優れていると評価される場合(総合評価が◇である。)であっても、野菜果実感が4以上(実施例C3、C4)の優れた加工飲食品を得られることが分かった。
【0106】
なお、実施例D1〜D2は、後述するように、リコピン、食物繊維、カリウム、グルタミン酸の含有量を実証するために、敢えてそれらを極端に多く、又は極端に少なくしたものである。このようなリコピン、食物繊維、カリウム、グルタミン酸の調整により総合評価が◇となっているため、ベータカロテンの含有量に関する考察対象から外した。
【0107】
図2は
図1の一部を抜粋したものであり、ベータカロテンの含有量で並び替えてある。ベータカロテンは、野菜果実感と飲み易さに影響を与えるものであるところ、試験例2により得たベータカロテンの含有量については次のことが分かった。すなわち、野菜果実感と飲みやすさの和を評価点とすると、実施例A1〜A3、実施例B1〜B5、実施例C4のベータカロテンの含有量は100グラムあたり180マイクログラム以上11000マイクログラム以下であり、何れも評価点が8以上であることが分かった。
【0108】
よって、ベータカロテンの含有量が100グラムあたり180マイクログラム以上11000マイクログラム以下であれば、より一層、野菜果実感と飲みやすさに優れた加工飲食品が得られることが分かった。
【0109】
なお、実施例C2、C3、D1、D2はベータカロテンの含有量が100グラムあたり180マイクログラム以上11000マイクログラム以下でありながら、評価点が8未満である。これらの実施例は、以下に述べる理由により、上記数値範囲の根拠としていない。
【0110】
実施例C2は、リコピンが0.0mg/100g、食物繊維(0.5g/100g)とカリウム(101mg/100g)が下限のために野菜果実感が低下しため、評価点が7であった。
【0111】
実施例C3は、第1不溶性固形分の含有量の下限である10重量%に近いために野菜果実感が低下し、第2不溶性固形分の含有量が25%を超えるために飲み易さが低下したため、評価点が7.5であった。
【0112】
実施例D1は、リコピンが過剰(51.7mg/100g)で野菜果実感と飲み易さが低下し、かつ、カリウムが少なく飲み易さが低下したため、評価点が6.5であった。
【0113】
実施例D2は、カリウム及びグルタミン酸が過剰で野菜果実感と飲み易さが低下したため、評価点が7であった。
【0114】
このように、実施例C2、C3、D1、D2は、ベータカロテン以外の成分の含有量が野菜果実感や飲みやすさを低下させてしまっているため、ベータカロテンの数値範囲の根拠としなかった。
【0115】
また、試験例3の結果、実施例A1〜実施例A3、実施例B1〜B5、実施例C1〜C4、実施例D2〜D4に含有される食物繊維の含有量が100グラムあたり0.5グラム以上であった。これらの実施例は、試験例7に示すように、総合評価が◎又は○である。または、総合評価が◇であり、粗ごし感及び野菜果実感の少なくとも一方が4以上である。または、総合評価が◇であり飲みやすさが3を超えている。
【0116】
一方、試験例3の結果、実施例D1に含有される食物繊維の含有量は、100グラムあたり0.4グラムであり、0.5グラム未満であった。実施例D1は、試験例7に示すように、粗ごし感及び野菜果実感の何れもが4未満であり、飲みやすさも3以下であり、総合評価が◇である加工飲食品であった。
【0117】
上述した試験例1、試験例3及び試験例7の結果によれば、第1不溶性固形分が10重量%以上であり、食物繊維の含有量が100グラムあたり0.5グラム以上という条件であれば、より一層、粗ごし感、野菜果実感及び飲みやすさに優れ、飲食品としての嗜好性を有し、さらには、栄養価に優れ、商品としての適性(すなわち、総合評価が○、◎である。)が好ましい加工飲食品を得られることが分かった(実施例A1〜A3、B1〜B5、C1〜C2)。
【0118】
または、前記条件であれば、商品としての適性がやや優れていると評価される場合(総合評価が◇である。)であっても、粗ごし感及び野菜果実感の少なくとも一方が4以上(実施例C3、C4、D2)、又は飲みやすさが3(実施例D3、D4)を超えて優れた加工飲食品を得られることが分かった。
【0119】
特に、第1不溶性固形分が10重量%以上であり、食物繊維の含有量が100グラムあたり2.4グラム以上3.0グラム以下という条件であれば、より一層、粗ごし感及び野菜果実感に優れた加工飲食品を得られることが分かった(実施例A1〜A3)。
【0120】
図3は
図1の一部を抜粋したものであり、リコピンの含有量で並び替えてある。リコピンは、野菜果実感と飲み易さに影響を与えるものであるところ、試験例4により得たリコピンの含有量については次のことが分かった。すなわち、実施例A1〜A3、実施例B1〜B5、実施例C1、C3〜C4のリコピンの含有量は100グラムあたり15.0ミリグラム以下であり、何れも評価点が7.5以上であることが分かった。
【0121】
よって、リコピンの含有量が100グラムあたり15ミリグラム以下であれば、より一層、野菜果実感と飲みやすさに優れた加工飲食品が得られることが分かった。
【0122】
なお、実施例C2、D2〜D4はリコピンの含有量が100グラムあたり15ミリグラム以下でありながら、評価点が7.5未満(
図1参照)である。これらの実施例は、以下に述べる理由により、上記数値範囲の根拠としていない。
【0123】
実施例C2は、リコピンがゼロ、食物繊維とカリウムが下限のために野菜果実感が低下しため、評価点が7であった。
【0124】
実施例D2は、カリウム及びグルタミン酸が過剰で野菜果実感と飲み易さが低下したため、評価点が7であった。
【0125】
実施例D3は、ベータカロテンが過小で野菜果実感と飲みやすさが低下し、かつカリウムがやや多く飲みやすさが低下したため、評価点が6.5であった。
【0126】
実施例D4は、ベータカロテンが過剰でグルタミン酸が多いために野菜果実感と飲み易さが低下したので、評価点が7であった。
【0127】
このように、実施例C2、D2〜D4は、リコピン以外の成分の含有量が野菜果実感や飲みやすさを低下させてしまっているため、リコピンの数値範囲の根拠としなかった。
【0128】
また、実施例B1〜B3によれば、リコピンの含有量が100グラムあたり3.8ミリグラム以上8.0ミリグラム以下とし、かつ、ベータカロテンの含有量を100グラムあたり2200マイクログラム以上4900マイクログラム以下とすることで、評価点が10であり、野菜果実感及び飲みやすさに最も優れた加工飲食品が得られることが分かった。
【0129】
図4は
図1の一部を抜粋したものであり、カリウムの含有量で並び替えてある。カリウムは、飲み易さに影響を与えるものであるところ、試験例5により得たカリウムの含有量については次のことが分かった。すなわち、実施例D2のカリウムの含有量は100グラムあたり1045ミリグラムであって1000ミリグラムを超えており、飲みやすさが3であった。実施例B1〜B3、B5、実施例C1、D3のカリウムの含有量は100グラムあたり100ミリグラム以上1000ミリグラム以下であり、何れも飲みやすさが3を超えていることが分かった。
【0130】
よって、カリウムの含有量が100グラムあたり100ミリグラム以上1000ミリグラム以下であれば、飲みやすさに優れた加工飲食品が得られることが分かった。さらに、カリウムの含有量が100グラムあたり100ミリグラム以上790ミリグラム以下であれば、飲みやすさが3.5以上となり、より一層、優れた加工飲食品が得られることが分かった。
【0131】
なお、実施例A1〜A3、B4、C2〜C4、D1、D4はカリウムの含有量が100グラムあたり100ミリグラム以上1000ミリグラム以下でありながら、飲みやすさが3〜4のものもある。これらの実施例は、以下に述べる理由により、上記数値範囲の根拠としていない。
【0132】
実施例A1〜実施例A3は、第1不溶性固形分が60重量%を超え、流動性が低下するために飲みやすさが低下したため、飲みやすさが3であった。
【0133】
実施例B4は、リコピンがやや多く、飲みやすさが4であった。
【0134】
実施例C2は、食物繊維が下限のために、飲みやすさが4であった。
【0135】
実施例C3及びC4は、第2不溶性固形分が25重量%以上であるため、どろどろしたので飲みやすさが3.5であった。
【0136】
実施例D1は、リコピンが過剰であり、特有臭がするので飲みやすさが3であった。
【0137】
実施例D4は、ベータカロテンが過剰で特有臭がするので飲みやすさが3.5であった。
【0138】
このように、実施例A1〜A3、B4、C2〜C4、D1、D4はカリウム以外の成分の含有量が飲みやすさを低下させてしまっているため、カリウムの数値範囲の根拠としなかった。
【0139】
また、実施例B1〜B3、C1によれば、カリウムの含有量が100グラムあたり240ミリグラム以上425ミリグラム以下とし、かつ、ベータカロテンの含有量を100グラムあたり180マイクログラム以上4900マイクログラム以下とすることで、飲みやすさが5であり、飲みやすさに最も優れた加工飲食品が得られることが分かった。
【0140】
図5は
図1の一部を抜粋したものであり、グルタミン酸の含有量で並び替えてある。グルタミン酸は、飲み易さに影響を与えるものであるところ、試験例6により得たグルタミン酸の含有量については次のことが分かった。すなわち、実施例D2のグルタミン酸の含有量は0.287重量%であって0.280重量%を超えており、飲みやすさが3であった。実施例B1〜B3、B5、C1、D4のグルタミン酸の含有量は0.280重量%以下であり、何れも飲みやすさが3を超えていることが分かった。
【0141】
よって、グルタミン酸の含有量が0.280重量%以下であれば、飲みやすさに優れた加工飲食品が得られることが分かった。さらに、グルタミン酸の含有量が0.236重量%以下であれば、飲みやすさが3.5以上であり、より一層、優れた加工飲食品が得られることが分かった。
【0142】
なお、実施例A1〜A3、B4、C2〜C4、D1、D3はグルタミン酸の含有量が0.280重量%以下でありながら、グルタミン酸以外の成分の含有量が飲みやすさを低下させてしまっているため、飲みやすさが3〜4に低下しているものもある。これらの実施例は、以下に述べる理由により、上記数値範囲の根拠としていない。
【0143】
実施例A1〜実施例A3は、第1不溶性固形分が60重量%を超え、流動性が低下するために飲みやすさが低下したため、飲みやすさが3であった。
【0144】
実施例B4は、リコピンがやや多く、飲みやすさが4であった。
【0145】
実施例C2は、食物繊維が下限で少ないために、飲みやすさが4であった。
【0146】
実施例C3及びC4は、第2不溶性固形分が25重量%以上であるため、どろどろしたので飲みやすさが3.5であった。
【0147】
実施例D1は、リコピンが過剰であり、特有臭がするので飲みやすさが3であった。
【0148】
実施例D3は、カリウムが多く、やや苦みを感じるので飲みやすさが3.5であった。
【0149】
このように、実施例A1〜A3、B4、C2〜C4、D1、D3はグルタミン酸以外の成分の含有量が飲みやすさを低下させてしまっているため、グルタミン酸の数値範囲の根拠としなかった。
【0150】
また、実施例B1〜B3、C1によれば、グルタミン酸の含有量が0.023重量%以上0.137重量%以下とし、かつ、ベータカロテンの含有量を100グラムあたり180マイクログラム以上4900マイクログラム以下とすることで、飲みやすさが5であり、飲みやすさに最も優れた加工飲食品が得られることが分かった。