特許第5694811号(P5694811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリエンタル酵母工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5694811-炊飯米の老化防止及び食感改善剤 図000005
  • 特許5694811-炊飯米の老化防止及び食感改善剤 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5694811
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】炊飯米の老化防止及び食感改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 1/10 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   A23L1/10 B
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-40707(P2011-40707)
(22)【出願日】2011年2月25日
(65)【公開番号】特開2012-175932(P2012-175932A)
(43)【公開日】2012年9月13日
【審査請求日】2014年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103840
【氏名又は名称】オリエンタル酵母工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097825
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 久紀
(74)【代理人】
【識別番号】100137925
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 紀一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(72)【発明者】
【氏名】湯川 真衣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 脩平
(72)【発明者】
【氏名】石井 麻美
(72)【発明者】
【氏名】友部 真里
【審査官】 田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/047846(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/051096(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/151042(WO,A1)
【文献】 特開2008−043227(JP,A)
【文献】 特開2009−100710(JP,A)
【文献】 特開2007−228834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキス、2〜3糖類のオリゴ糖、β−アミラーゼの3成分を有効成分として含有してなることを特徴とする、炊飯米の老化防止及び食感改善剤。
【請求項2】
海藻粉末又は海藻エキスが、アルギン酸を10%(w/w)以上含有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
2〜3糖類のオリゴ糖が、マルトース、マルトトリオース、トレハロースから選ばれる少なくとも1又は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
海藻粉末又は海藻エキスを対生米0.01〜0.1%(w/w)、オリゴ糖を対生米1.0〜10.0%(w/w)、β−アミラーゼを対生米0.1〜1.0%(w/w)の割合で添加させるための組成比としてなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
【請求項5】
老化防止が炊飯米の冷蔵保存による老化の防止であり、食感改善が炊飯米の冷蔵保存におけるしっとり感及び粒感の維持であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
【請求項6】
アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキスを対生米0.01〜0.1%(w/w)、2〜3糖類のオリゴ糖を対生米1.0〜10.0%(w/w)、β−アミラーゼを対生米0.1〜1.0%(w/w)の割合で添加させ、且つ、炊飯時の加水量を対生米5〜30%(w/w)増量させることを特徴とする、炊飯米の老化防止及び食感改善方法。
【請求項7】
海藻粉末又は海藻エキスが、アルギン酸を10%(w/w)以上含有するものであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
2〜3糖類のオリゴ糖が、マルトース、マルトトリオース、トレハロースから選ばれる少なくとも1又は2種以上であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
老化防止が炊飯米の冷蔵保存による老化の防止であり、食感改善が炊飯米の冷蔵保存におけるしっとり感及び粒感の維持であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯米の老化防止・食感改良剤等に関する。詳細には、炊飯米の特に冷蔵保存による老化の防止や食感の改善をするための剤、及び、炊飯米の老化防止・食感改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本人は、古来より米飯類を主食としており、近年においても米飯類は日本人の最も重要なカロリー源のひとつである。そして、米飯類は炊飯後から短時間の間に食されるのが通常であるが、コンビニエンスストアーで販売される弁当類に代表されるように、一定期間(例えば炊飯から1〜4日)冷蔵保存され、その後加温されて食される米飯類なども増加している。
【0003】
しかし、米飯類の一定期間の保存(特に冷蔵保存)は、炊飯米が老化し食感が悪くなるという問題点を抱えている。この老化による食感不良は、保存後に米飯類を加温したとしても充分に改善されないことが多い。
【0004】
ここで「老化(β化)」とは、生米を加水して加熱(炊飯)することで、そこに含まれる澱粉が膨潤して分子構造が崩れ糊化(α化)した状態となるが、これが冷却され時間がたつと、膨潤している澱粉が徐々に水分子を遊離し、澱粉分子がある程度もとの構造にもどる現象をいう。冷蔵(例えば2〜10℃)の温度帯での保存により最も老化しやすいことが知られているが、常温域(例えば10〜30℃)でも老化する場合が多く、老化によって炊飯米は硬くパサパサした食感となる。
【0005】
なお、冷蔵保存での老化を防ぐため、炊飯時の加水量を10〜30%増加させたり逆に10〜20%減少させたりすることが試みられているが、単に加水量を増加するだけでは老化による炊飯米の硬化、パサツキは防げても、べちゃついた粒感のない炊飯米しか得ることができず、単に加水量を減少するだけでは老化とは異なるが標準加水量の炊飯米より硬い食感となってしまう。つまり、これらの方法では、冷蔵等の保存後に加温しても品質の保たれた米飯類を得ることは実質的にはできない。
【0006】
最近、米にポルフィラン又はポルフィランを含む海苔処理物(特許文献1)や水溶性大豆多糖類と糖アルコールとアミラーゼ(特許文献2)を添加する方法により冷蔵保存などによる米飯類の老化を防止すること等が開示されているが、これらの方法では未だ充分とはいえず、より簡便且つ効果的な炊飯米の老化防止技術、食感改善技術の開発が当業界において強く求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−043227号公報
【特許文献2】国際公開第2005/051096号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、炊飯米の老化(特に冷蔵保存による老化)を防止し、同時に食感を改善するための組成物、及び、当該組成物を用いた老化防止及び食感改善方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行い、アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキス、2〜3糖類のオリゴ糖、β−アミラーゼの3成分を有効成分として含有してなる組成物(剤)を炊飯時に添加することで簡便且つ効果的に炊飯米の老化防止及び食感改善ができることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキス、2〜3糖類のオリゴ糖、β−アミラーゼの3成分を有効成分として含有してなることを特徴とする、炊飯米の老化防止及び食感改善剤。
(2)海藻粉末又は海藻エキスが、アルギン酸を10%(w/w)以上(好ましくは30%(w/w)以上)含有するものであることを特徴とする、(1)に記載の剤。
(3)2〜3糖類のオリゴ糖が、マルトース、マルトトリオース、トレハロースから選ばれる少なくとも1又は2種以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の剤。
(4)海藻粉末又は海藻エキスを対生米0.01〜0.1%(w/w)、オリゴ糖を対生米1.0〜10.0%(w/w)、β−アミラーゼを対生米0.1〜1.0%(w/w)の割合で添加させるための組成比としてなることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の剤。
(5)老化防止が炊飯米の冷蔵保存による老化の防止であり、食感改善が炊飯米の冷蔵保存におけるしっとり感及び粒感の維持であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の剤。
(6)アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキスを対生米0.01〜0.1%(w/w)、2〜3糖類のオリゴ糖を対生米1.0〜10.0%(w/w)、β−アミラーゼを対生米0.1〜1.0%(w/w)の割合で添加させ、且つ、炊飯時の加水量を対生米5〜30%(w/w)増量させることを特徴とする、炊飯米の老化防止及び食感改善方法。
(7)海藻粉末又は海藻エキスが、アルギン酸を10%(w/w)以上(好ましくは30%(w/w)以上)含有するものであることを特徴とする、(6)に記載の方法。
(8)2〜3糖類のオリゴ糖が、マルトース、マルトトリオース、トレハロースから選ばれる少なくとも1又は2種以上であることを特徴とする、(6)又は(7)に記載の方法。
(9)老化防止が炊飯米の冷蔵保存による老化の防止であり、食感改善が炊飯米の冷蔵保存におけるしっとり感及び粒感の維持であることを特徴とする、(6)〜(8)のいずれか1つに記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、炊飯米の老化、特に1〜4日程度の冷蔵保存による老化を簡便且つ効果的に防止し、同時に炊飯米の食感改善(特にしっとり感及び粒感の維持)をすることができる。よって、本発明によれば、米飯類を(冷蔵)保存した後に加温して食する場合でも、炊飯直後とほぼ同等の食味であるため、コンビニエンスストアーで販売される弁当類に代表されるような流通米飯類の品質向上を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】各種炊飯米(うるち米)の4℃1日保存及び4℃4日保存後の米の硬さ測定結果を示す。菱形がコントロール1(加水量標準)、四角がコントロール2(加水量20%増)、×印(改良剤A)及び米印(改良剤B)が本発明品を示し、縦軸は歪率60%における荷重(数値が高くなる程硬いことを示す)を、横軸は4℃保存期間(日)を表す。
図2】各種炊飯米(もち米)の4℃1日保存及び4℃4日保存後の米の硬さ官能評価結果を示す。菱形がコントロール1(加水量標準)、四角がコントロール2(加水量20%増)、三角(マルトトリオース)及び×印(マルトース)が本発明品、米印(グルコース)及び丸印(オリゴ糖混合物)が比較品を示し、縦軸は官能評価点(数値が高くなる程やわらかい評価であることを示す)を、横軸は4℃保存期間(日)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明においては、アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキス、2〜3糖類のオリゴ糖、β−アミラーゼの3成分を併用したものを炊飯米の老化防止及び食感改善剤の有効成分とする。
【0014】
アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキスは、海藻多糖類としてアルギン酸を主成分とする海藻を乾燥、粉砕等により粉末化した海藻粉末あるいは各種溶媒(水、有機溶媒など)で抽出した海藻エキス(液状、粉末状など)であれば特に限定されないが、大型褐藻類レッソニア(Lessonia)属由来の海藻粉末又は海藻エキスなどが例示される。アルギン酸含有量は、1.0%(w/w)以上が必要であり、10.0%(w/w)以上あるいは30.0%(w/w)以上が好ましく、50.0〜60.0%(w/w)又はそれ以上が特に好ましい。なお、上述の特許文献1に記載のポルフィランを含有する必要はなく、したがって、場合によってはほぼ100%(例えば95〜99%又はそれ以上)アルギン酸の海藻エキス精製品であってもよい。
【0015】
2〜3糖類のオリゴ糖としては、2糖類又は3糖類であればよく、単糖類や4糖類以上のオリゴ糖のみでは効果や着色などの点で好ましくない。甘味が少ない等の好ましい態様としては、マルトース、マルトトリオース、トレハロースなどが例示される。また、これらの混合物であっても良い。さらには、2〜3糖類のオリゴ糖が主成分(少なくとも60〜70%又はそれ以上の割合)となっていれば、単糖類や4糖類以上のオリゴ糖が若干含まれていてもよい。
【0016】
β−アミラーゼとしては、特に制限はされず、一定の精製が行われた精製酵素だけでなく粗精製品も使用することができる。また、市販品の使用も可能である。なお、α−アミラーゼやグルコアミラーゼ等の他のアミラーゼを用いるのは、本発明の目的とする効果が充分でないため好ましくない。
【0017】
そして、本発明では、上記3成分(海藻粉末又は海藻エキス、2〜3糖類のオリゴ糖、β−アミラーゼ)を所定の範囲の配合比で併用することが、3成分の相乗効果をより効果的に発揮する上で好ましい。具体的には、海藻粉末又は海藻エキスを対生米0.01〜0.1(好ましくは0.05〜0.1)%(w/w)、オリゴ糖を対生米1.0〜10.0(好ましくは1.0〜2.0)%(w/w)、β−アミラーゼを対生米0.1〜1.0(0.1〜0.5)%(w/w)の割合で添加するのが好適である。さらに、上記成分の添加に加えて、炊飯時の加水量を対生米5〜30%(w/w)増量させることがより効果的である。例えば、うるち米の場合対生米135〜160%(w/w)、もち米の場合対生米115〜140%(w/w)の加水量とするのが好適である。
【0018】
本発明では、上記3成分(海藻粉末又は海藻エキス、2〜3糖類のオリゴ糖、β−アミラーゼ)を併用し製剤化するのが好ましいが、製剤化に際しては、これら3成分のみで製剤としても良いし、3成分以外に有効成分ではない材料として助剤を使用しても良い。製剤化の助剤としては特に限定はされないが、ショ糖脂肪酸エステルやヒドロキシプロピルセルロース等が好ましいものとして例示される。
【0019】
本発明の剤(組成物)及び方法では、うるち米、もち米、ジャポニカ米、インディカ米などの炊飯によって得られる各種米飯類に添加することができる。例えば、白米、赤飯、おこわ、炒飯、ピラフ、混ぜ飯、炊き込み飯、おにぎり、寿し飯などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
このように本発明は、上述の各種米飯類の保存による老化、特に1〜4日程度の冷蔵保存による老化を防止し、同時に炊飯米の食感改善をすることができる。よって、例えばコンビニエンスストアーで販売される弁当類に代表されるような、冷蔵保存、レンジアップ等による加温を経て食される米飯類の品質を簡便且つ効率的に向上させることが可能となる。
【0021】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
(うるち米での品質確認試験)
本発明の改良剤が炊飯米(うるち米)の冷蔵保存後の品質に与える影響を確認するため、以下の試験を行った。
【0023】
まず、うるち米を洗米後、対生米130%(w/w)加水し炊飯したもの(コントロール1)、加水量を20%増量し炊飯したもの(コントロール2)、加水量を20%増量し且つ改良剤Aを添加して炊飯したもの(改良剤A)、加水量を20%増量し且つ改良剤Bを添加して炊飯したもの(改良剤B)の4種類の炊飯米を用意し、4℃で1日保存後及び4日保存後の食感や硬さ、歩留などを確認した。
【0024】
なお、改良剤A及び改良剤Bは、β−アミラーゼを対生米0.1〜0.5%(w/w)、海藻エキス(レッソニア属の海藻より抽出、粉末化した抽出エキス粉末(アルギン酸60%以上含有))を対生米0.05〜0.1%(w/w)の範囲となるようにし、且つ、オリゴ糖を改良剤Aについてはマルトトリオース、改良剤Bについてはマルトースをいずれも対生米1.0〜2.0%(w/w)の範囲となるようにして調製した。
【0025】
また、炊飯米の食感確認は、各試料を冷蔵保存後にレンジアップしたものを4人の訓練されたパネラーによって官能評価し、硬さは同様にレンジアップしたものの歪率60%における荷重(gf)をYAMADEN RHEONER RE−3305(プランジャー30mm、くさび型、速度0.5mm/sec)で測定した。
【0026】
官能評価結果を表1に、硬さ測定結果を図1に示した。標準加水量で炊飯した米(コントロール1)は、4℃1日保存後で食感はパサつき非常に硬くなってしまう。そして、加水量を20%増加させるだけでは、歩留まりは向上するが、4℃1日保存後ではべちゃついた粒感のない食感となり、4℃4日保存後にはパサつき非常に硬くなってしまう(コントロール2)。これに対し、加水量を20%増加して改良剤を添加すると、歩留まりは向上し、且つ、しっとり感及び粒感が維持され硬さもほとんど変化しない(改良剤A、B)。以上より、炊飯時に海藻エキス、マルトトリオース又はマルトース、β−アミラーゼの3成分を併用した剤を添加することにより、炊飯米の4℃1〜4日保存による老化の防止及び食感の改善をできることが示された。
【0027】
【表1】
【実施例2】
【0028】
(うるち米での効果比較試験)
炊飯米(うるち米)の冷蔵保存後の品質に与える各種成分添加の影響を確認するため、以下の試験を行った。
【0029】
まず、うるち米を洗米後、対生米130%(w/w)加水し炊飯したもの(1)、加水量を20%増量し炊飯したもの(2)、加水量を20%増量し且つβ−アミラーゼと海藻粉末を添加して炊飯したもの(3)、加水量を40%増量し且つβ−アミラーゼと海藻粉末((3)のほぼ倍量となるように調製)を添加して炊飯したもの(4)、加水量を20%増量し且つβ−アミラーゼと海藻粉末とマルトトリオースを添加して炊飯したもの(5)の5種類の炊飯米を用意し、4℃で1日保存後及び4日保存後の食感及び硬さを確認した。なお、海藻粉末はレッソニア属の海藻を乾燥し粉末化したもの(アルギン酸60%以上含有)を使用し、(4)の海藻粉末以外の各成分添加量は実施例1と同様とした(海藻粉末は海藻エキスと同じとした)。また、食感及び硬さの確認は冷蔵保存後にレンジアップして3又は4人の訓練されたパネラーによって官能評価した。硬さの官能評価は、(1)の4℃1日後(D+1)の硬さを0としたときの相対的評価を平均値で示した。
【0030】
結果を表2に示した。標準加水量で炊飯した米(1)は、4℃1日保存後で食感はパサつき非常に硬くなってしまう。そして、加水量を20%増加させただけではべちゃついた粒感のない食感となり、4℃4日保存後には非常に硬くなってしまう(2)。そして、β−アミラーゼと海藻粉末を添加した場合でも、米の硬化はやや防げるが粒感の弱い食感となり(3)、海藻粉末及び加水量を増加させてもその傾向は同様であった(4)。これに対し、β−アミラーゼと海藻粉末とマルトトリオースの3成分を添加した場合、4℃4日保存後でもしっとり感及び粒感が維持され硬さもほとんど変化しない(つまり老化が防止されている)ことが明らかとなった。
【0031】
【表2】
【実施例3】
【0032】
(もち米での品質確認及び比較試験)
炊飯米(もち米)の冷蔵保存後の品質に与える各種成分添加の影響を確認するため、以下の試験を行った。
【0033】
まず、もち米を洗米後、対生米110%(w/w)加水し炊飯したもの(1)、加水量を20%増量し炊飯したもの(2)、加水量を20%増量し且つβ−アミラーゼ、海藻粉末、マルトトリオースを添加して炊飯したもの(3)、加水量を20%増量し且つβ−アミラーゼ、海藻粉末、マルトースを添加して炊飯したもの(4)、加水量を20%増量し且つβ−アミラーゼ、海藻粉末、グルコースを添加して炊飯したもの(5)、加水量を20%増量し且つβ−アミラーゼ、海藻粉末、1〜3糖のオリゴ糖(オリゴ糖混合物)を添加して炊飯したもの(6)の6種類の炊飯米を用意し、炊飯後の着色度合い、4℃で1日保存後及び4日保存後の食感及び硬さを確認した。
【0034】
なお、海藻粉末は実施例2と同じものを使用し、1〜3糖のオリゴ糖混合物はグルコース、マルトース、マルトトリオースの混合物を使用した。各成分の添加量は、実施例2とほぼ同様とした。また、食感及び硬さの確認は、冷蔵保存後にレンジアップして4人の訓練されたパネラーによって官能評価した。硬さの官能評価は、(1)の4℃1日後(D+1)の硬さを0としたときの相対的評価を平均値で示した。着色度合いも、同様に(1)の着色を0としたときの相対的評価を平均値で示した。
【0035】
結果を表3及び図2に示した。標準加水量で炊飯した米(1)は、4℃保存によって老化してしまう。そして、加水量を20%増加させてもべちゃついた粒感のない食感となってしまう(2)。これに対し、β−アミラーゼと海藻粉末とマルトトリオース又はマルトースを添加した場合、4℃4日保存後でもしっとり感及び粒感が維持され硬さもほとんど変化しないことが明らかとなった(3、4)。特に、(3)のマルトトリオース添加区の品質が非常に良好であった。なお、マルトトリオース又はマルトースの代わりにグルコースやオリゴ糖混合物を添加した場合、米の硬化はやや防げるが粒感の弱い食感となり、炊飯時の着色も強くなってしまい好ましくなかった。
【0036】
【表3】
【0037】
以上より、アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキス、2〜3糖類のオリゴ糖(特に、マルトトリオース)、β−アミラーゼの3成分を有効成分として含有してなる組成物(剤)を炊飯時に添加することで、強い着色もなく、炊飯米の老化、特に1〜4日程度冷蔵保存による老化を防止し、同時に炊飯米の食感改善(特にしっとり感及び粒感の維持)をすることができることが明らかとなった。
【0038】
本発明を要約すれば、以下の通りである。
【0039】
本発明は、炊飯米の老化(特に冷蔵保存による老化)を防止し、同時に食感を改善するための組成物、及び、当該組成物を用いた老化防止及び食感改善方法を提供することを目的とする。
【0040】
そして、アルギン酸を1.0%(w/w)以上含有する海藻粉末又は海藻エキス、2〜3糖類のオリゴ糖、β−アミラーゼの3成分を有効成分として含有してなる組成物(剤)を炊飯時に添加することで、炊飯米の老化(特に冷蔵保存による老化)を防止し且つその食感改善(例えば、しっとり感や粒感の維持など)をする。
図1
図2