特許第5695195号(P5695195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695195
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】電流センサ用基板及び電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20150312BHJP
【FI】
   G01R15/20 A
【請求項の数】21
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-523832(P2013-523832)
(86)(22)【出願日】2012年7月11日
(86)【国際出願番号】JP2012004488
(87)【国際公開番号】WO2013008462
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2013年11月1日
(31)【優先権主張番号】特願2011-154658(P2011-154658)
(32)【優先日】2011年7月13日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-114392(P2012-114392)
(32)【優先日】2012年5月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健治
(72)【発明者】
【氏名】今庄 秀人
(72)【発明者】
【氏名】高木 大吾
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−210481(JP,A)
【文献】 特開2001−174486(JP,A)
【文献】 特開2003−329749(JP,A)
【文献】 特表2007−503584(JP,A)
【文献】 特開2001−165963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字形の電流経路を有する一次導体と、
磁電変換素子を支持するための支持部と、
前記支持部と接続するリード端子と、
を備え、
前記U字形の電流経路は、平面視において前記支持部と重複せず、且つ、
側面視において前記支持部と高さが異なるように形成されていることを特徴とする電流センサ用基板。
【請求項2】
前記リード端子は、前記支持部と段差を介して接続していることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ用基板。
【請求項3】
前記支持部は、切欠部を有し、
前記U字形の電流経路は、平面視において前記切欠部に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電流センサ用基板。
【請求項4】
前記一次導体は、前記U字形の電流経路に接続する段差部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電流センサ用基板。
【請求項5】
平面視において前記U字形の電流経路と重なるように配置される磁性体材料を更に有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電流センサ用基板。
【請求項6】
前記U字形の電流経路を挟むように配置される磁性体材料を更に有することを特徴とする請求項5に記載の電流センサ用基板。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の電流センサ用基板と、
前記電流センサ用基板の前記支持部に配置された、前記電流センサ用基板の前記U字形の電流経路を流れる電流から生じる磁束を検出する磁電変換素子を有するICチップと
を備え、
前記磁電変換素子は、平面視において前記U字形の電流経路の前記U字形の内側に配置されていることを特徴とする電流センサ。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の電流センサ用基板と、
前記電流センサ用基板の前記支持部に配置された、前記電流センサ用基板の前記電流経路を流れる電流から生じる磁束を検出する磁電変換素子を有するICチップと
を備え、
前記磁電変換素子は、平面視において前記U字形の電流経路の前記U字形の内側に配置されていることを特徴とする電流センサ。
【請求項9】
前記磁性材料は前記ICチップの前記U字形の電流経路が配置されている側の面とは反対の面側に、前記磁電変換素子の一部もしくは全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項に記載の電流センサ。
【請求項10】
前記磁性材料は、前記一次導体から離れて前記支持部上に形成されていることを特徴とする請求項又はに記載の電流センサ。
【請求項11】
前記磁性材料は、磁性体メッキまたは磁性体チップで構成されていることを特徴とする請求項から10のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項12】
前記ICチップは、側面視において前記支持部から突出していることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項13】
前記ICチップは、平面視において前記電流経路と重複しており、前記磁電変換素子は、平面視において前記U字形の電流経路の前記U字形の内側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の電流センサ。
【請求項14】
前記ICチップは、側面視において前記U字形の電流経路と所定の間隔をもって配置されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の電流センサ。
【請求項15】
前記一次導体は前記ICチップを支持していないことを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項16】
前記電流センサ用基板の前記支持部は、切欠部を有し、
前記電流センサ用基板の前記U字形の電流経路は、平面視において前記切欠部に配置されており、かつ、前記ICチップと重複することを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項17】
前記磁電変換素子は、ホール素子であることを特徴とする請求項7から16のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項18】
前記ICチップは、前記電流経路のU字形の外側であって前記電流経路に近接する位置に配置された第2の磁電変換素子をさらに備えることを特徴とする請求項7から17のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項19】
前記磁電変換素子は、信号処理回路を含むホールICまたは磁気抵抗ICであることを特徴とする請求項7から18のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項20】
前記電流センサ用基板の一次導体と前記ICチップとの間に形成される絶縁部材をさらに有することを特徴とする請求項7から19のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項21】
前記絶縁部材は、絶縁テープであることを特徴とする請求項20に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサ用基板及び電流センサに関し、より詳細には、U字形の電流経路を有する一次導体を備えた電流センサ用基板及び電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導体に流れる電流を測定する電流センサとして、測定電流が流れることにより周囲に生じる磁束を検出する方法が知られている。例えば、測定電流が流れる一次導体近傍に磁電変換素子を配置する方法がある。
【0003】
図1(特許文献1の図7に対応)に、従来の電流センサの一例を示す。導電性クリップ204にU字形の電流導体部204aを形成し、ホール素子208を当該U字形の内側に配置している。U字形内側の中心付近は磁束密度が高くなるので測定感度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/130393号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図1記載の電流センサは、導電性クリップ204を別個に設けてリード端子202a〜202dに結合することを要する等、製造上の手間がかかり、コストの増加を招く。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、U字形の電流経路を有する一次導体を備えた電流センサにおいて、製造コストを低減することにある。また、第2の目的は、当該電流センサ用の基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、U字形の電流経路を有する一次導体と、磁電変換素子を支持するための支持部と、前記支持部と接続するリード端子を有する信号端子側部材と、を備え、前記電流経路は、平面視において前記支持部と重複せず、且つ、側面視において前記支持部と高さが異なることを特徴とする電流センサ用基板である。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記リード端子は、前記支持部と段差を介して接続するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記支持部が切欠部を有し、前記電流経路は、平面視において前記切欠部に配置されているようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3の態様において、前記一次導体が前記電流経路に接続する段差部を有するようにしてもよい。
【0011】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様において、平面視において前記U字形の電流経路と重なるように配置される磁性体材料を更に有するようにしてもよい。
【0012】
本発明の第6の態様は、第1から第5のいずれかの態様において、前記U字形の電流経路を挟むように配置される磁性体材料を更に有するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の第7の態様は、第1から第4の態様のいずれかの電流センサ用基板と、前記電流センサ用基板の前記支持部に配置された、前記電流センサ用基板の前記電流経路を流れる電流から生じる磁束を検出する磁電変換素子を有するICチップとを備え、前記磁電変換素子は、平面視において前記U字形の電流経路の前記U字形の内側に配置される電流センサとしてもよい。
【0015】
本発明の第の態様は、第5又は6の態様の電流センサ用基板と、前記電流センサ用基板の前記支持部に配置された、前記電流センサ用基板の前記電流経路を流れる電流から生じる磁束を検出する磁電変換素子を有するICチップとを備え、前記磁電変換素子は、平面視において前記U字形の電流経路の前記U字形の内側に配置されていることを特徴とする電流センサとしてもよい。
【0016】
本発明の第の態様は、第の態様において、前記磁性材料は前記ICチップの前記U字形の電流経路が配置されている側の面とは反対の面側に、前記磁電変換素子の一部もしくは全体を覆うように形成されているようにしてもよい。
【0017】
本発明の第10の態様は、第又はの態様において、前記磁性材料は、前記一次導体から離れて前記支持部上に形成されているようにしてもよい。
【0018】
本発明の第11の態様は、第から10のいずれかの態様において、前記磁性材料は、磁性体メッキまたは磁性体チップで構成されているようにしてもよい。
【0019】
本発明の第12の態様は、第7から11のいずれかの態様において、前記ICチップは、側面視において前記支持部から突出しているようにしてもよい。
【0020】
本発明の第13の態様は、第12の態様において、前記ICチップは、平面視において前記電流経路と重複しており、前記磁電変換素子は、平面視において前記U字形の電流経路の前記U字形の内側に配置されているようにしてもよい。
【0021】
本発明の第14の態様は、第12又は13の態様において、前記ICチップは、側面視において前記U字形の電流経路と所定の間隔をもって配置されているようにしてもよい。
【0022】
本発明の第15の態様は、第12から14のいずれかの態様において、前記一次導体は前記ICチップを支持していないようにしてもよい。
【0023】
本発明の第16の態様は、第7から11のいずれかの態様において、前記電流センサ用基板の前記支持部は、切欠部を有し、前記電流センサ用基板の前記U字形の電流経路は、平面視において前記切欠部に配置されており、かつ、前記ICチップと重複するようにしてもよい。
【0024】
本発明の第17の態様は、第7から16のいずれかの態様において、前記磁電変換素子は、ホール素子であるようにしてもよい。
【0025】
本発明の第18の態様は、第7から17のいずれかの態様において、前記ICチップは、前記電流経路のU字形の外側であって前記電流経路に近接する位置に配置された第2の磁電変換素子をさらに備えるようにしてもよい。
【0026】
本発明の第19の態様は、第7から18のいずれかの態様において、前記磁電変換素子は、信号処理回路を含むホールICまたは磁気抵抗ICであるようにしてもよい。
【0027】
本発明の第20の態様は、第7から19のいずれかの態様において、前記電流センサ用基板の一次導体と前記ICチップとの間に形成される絶縁部材をさらに有するようにしてもよい。
【0028】
本発明の第21の態様は、第20の態様において、前記絶縁部材は、絶縁テープであるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、U字形の電流経路を有する一次導体と、磁電変換素子を支持するための支持部と、支持部と接続するリード端子を有する信号端子側部材とを備え、U字形の電流経路を、平面視において支持部と重複せず、且つ、側面視において支持部と高さが異なるように設計することにより、電流センサ用基板及び電流センサの構成を、部品点数を抑えた簡便なものとし、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の電流センサを示す図である。
図2】第1の実施形態に係る電流センサを示す図である。
図3A図2の電流センサの側面図である。
図3B図2のIIIB-IIIB線に沿った断面図である。
図4A】実施形態1に係る電流センサの製造方法を説明するための図である。
図4B】実施形態1に係る電流センサの製造方法を説明するための図である。
図4C】実施形態1に係る電流センサの製造方法を説明するための図である。
図5A】実施形態1に係る電流センサの製造方法を説明するための図である。
図5B】実施形態1に係る電流センサの製造方法を説明するための図である。
図5C】実施形態1に係る電流センサの製造方法を説明するための図である。
図6A】実施形態1に係る電流センサの変形形態を示す図である。
図6B】実施形態1に係る電流センサの変形形態を示す図である。
図7図6AのVII-VII線に沿った断面図を示す図である。
図8】第2の実施形態に係る電流センサを示す図である。
図9A図8の電流センサの側面図である。
図9B図8の電流センサの断面図である。
図10】第3の実施形態に係る電流センサを示す図である。
図11A図10の電流センサの側面図である。
図11B図10の電流センサの断面図である。
図12】第4の実施形態に係る電流センサの一例を示す図である。
図13図12の電流センサの側面図である。
図14】第5の実施形態に係る電流センサの一例を示す図である。
図15図14の電流センサの側面図である。
図16】第5の実施形態に係る電流センサの一例を示す図である。
図17図16の電流センサの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
図2に、第1の実施形態に係る電流センサを示す。電流センサ200は、U字形の電流経路210Aを有する一次導体210と、ホール素子等の磁電変換素子230Aを支持するための支持部220A、及びリード端子220B_1,220B_2を有する信号端子側部材220(以下、単に「部材220」と略記する。)と、支持部220Aに配置された、電流経路210Aを流れる電流から生じる磁束を検出する磁電変換素子230Aを有するICチップ230とを備える。一次導体210、部材220、及びICチップ230を樹脂240でモールドして、電流センサ200が形成される。ICチップ230及び樹脂240を除いた部分が電流センサ用基板である。
【0033】
リード端子220B_1は支持部220Aに接続されているリード端子を表し、リード端子220B_2は支持部220Aに接続されていないリード端子を表してある。なお、リード端子220B_1,220B_2に共通の説明では各リード端子が単にリード端子220Bとして参照される。
【0034】
電流経路210Aは、平面視において支持部220Aと重複しないように、支持部220Aに近接して配置されている。また、図3Aの側面図及び図3Bの断面図から分かるように、側面視において支持部220AのICチップ230を載せる側の面の平坦部分と、電流経路210AのICチップ230に近い側の面の平坦部分との高さが異なるように支持部220Aと電流経路210Aが配置されている。
【0035】
支持部220Aとリード端子220B_1とは、別個の部材ではなく、金属材で一体形成されている。すなわち、支持部220Aとリード端子220B_1とは物理的に一体となっており、物理的にも電気的にも接続されている。
【0036】
上述したように、U字形内側の中心付近は磁束密度が高くなり電流検出感度が向上するため、磁電変換素子230Aは、平面視において、電流経路210AのU字形の内側に配置されている。また、ICチップ230は、側面視において支持部220Aから突出しており、平面視において電流経路210Aと重複する。
【0037】
本実施形態に係る電流センサ200においては、部材220が、支持部220Aとリード端子220Bとの間に段差部220Cを有する。例えば部材220のフォーミングにより、20〜100μm程度の段差部220Cを設けることができ、これにより、電流経路210AとICチップ230との間にクリアランスが得られる。当該クリアランスは、一次導体210とICチップ230との間の高い絶縁耐圧を保証し、パッケージ内部における高い絶縁耐圧の維持を可能にする。段差部220Cが存在しないと、一次導体210の導電経路210AとICチップ230が接触することになり、ICチップ230の裏面に予め絶縁シートを貼ったとしても絶縁耐圧が低く、絶縁破壊し易くなってしまう。また、予め一次導体210に絶縁シートを貼ることも考えられるが、工程の複雑化を招き、製造コストの抑制が求められる状況において実現性が低い。
【0038】
ここで、図4A〜4C及び図5A〜5Cを参照して、実施形態1に係る電流センサ200の製造方法を説明する。まず、一枚の金属板から、所望のパターンが形成されたリードフレームを作製する。図4Aは、一個の電流センサに対応する一部分を示している。次いで、プレス加工等でフォーミングを施すことにより、部材220に段差部220Cを設ける(図4B)。そして、支持部220BにICチップ230をダイボンディングした後、リード端子220AとICチップ230をワイヤボンディングする(図4C)。最後に、一次導体210、部材220、及びICチップ230を樹脂240でモールドし、リードカットを行い、フォーミングにより一次導体端子210B及びリード端子(信号端子)220Bを形成する。図5Aは平面図、図5Bは正面図、図5Cは右側面図である。
【0039】
このように、第1の実施形態に係る電流センサ200は、従来よりも部品点数が抑えられ、製造コストが低減することに加えて、一次導体210とICチップ230との間の高い絶縁耐圧を保証することができる。
【0040】
図6Aに、第1の実施形態に係る電流センサ200の変形形態を示す。電流センサ600は、ICチップ630を除いて電流センサ200と同一である。ICチップ630は、支持部220Aに配置した際に、第1の磁電変換素子630Aが、平面視において、電流経路210AのU字形の内側に配置されるとともに、第2の磁電変換素子630Bが、電流経路210AのU字形の外側であって、電流経路210Aに近接する位置に配置されるように設計されている。図7に、図6AのVII-VII線に沿った断面図を示す。1次導体210に電流が流れることにより発生する第1の磁電変換素子630Aの位置の磁束密度をB1s、第2の磁電変換素子630Bの位置の磁束密度をB2sとする。外来磁気ノイズにより発生する磁束密度をそれぞれB1n、B2nとすると、第1の磁電変換素子630A、第2の磁電変換素子630Bの出力Vo1、Vo2は、
Vo1=k1×(B1s+B1n)+Vu1
Vo2=k2×(-B2s+B2n)+Vu2
となる。但し、k1、k2は各々の感度係数、Vu1、Vu2は各々のオフセット値である。
【0041】
ここで、双方の磁電変換素子の特性にばらつきが極めて小さく、k1=k2=k、Vu1=Vu2が成り立つとし、双方の磁電変換素子の距離が近いのでB1n=B2nと近似すると、
Vo=Vo1-Vo2=k×(B1s+B2s)
となり、外来磁場によるノイズが消えるとともに、U字形内側の第1の磁電変換素子630Aのみの場合よりも大きな信号が得られるので、感度向上につながる。
【0042】
また、図6Bに第1の実施形態に係る電流センサ200のもう一つの変形形態として磁電変換素子を3つ用いた例を示す。電流センサ700は、ICチップ730を除いて電流センサ200と同一である。ICチップ730は、支持部220Aに配置された際に、第1の磁電変換素子730Aが平面視において、電流経路210AのU字形の内側に配置されるとともに、第2の磁電変換素子730B及び第3の磁電変換素子730Cが、電流経路210AのU字形の両端の外側であって、電流経路210Aに近接する位置に配置されるように設計されている。1次導体210に電流が流れることにより発生する第3の磁電変換素子730Cの位置の磁束密度をB3sとし、外来磁気ノイズにより第3の磁電変換素子730Cの位置で発生する磁束密度をB3nとすると、
Vo=Vo1-(Vo2+Vo3)/2=k×(B1s+(B2s+B3s)/2)
となり、2つの場合と同様に外来磁場によるノイズが消え感度も向上するとともに、1次導体210とICチップ730の位置関係が3つの磁電変換素子の配置方向にズレが生じた場合でも、出力Voの変動レベルを極力抑えることができるようになる。
【0043】
また、電流経路210AにはU字形電流経路の一形態として、例えば、C字形、V字形、またはこれらに類似する形状の電流経路を使用しても良い。
【0044】
(第2の実施形態)
図8に、第2の実施形態に係る電流センサを示す。電流センサ800が第1の実施形態の電流センサ200と異なるのは、ICチップ230が側面視において支持部220Aから突出する代わりに、部材220の支持部820Aが、切欠部820A’を有し、電流経路210Aが、平面視において切欠部820A’に配置されている点である。したがって、ICチップ230は突出しないものの、平面視において、ICチップ230と電流経路210Aは重複する。図9Aに側面図、図9Bに断面図を示す。第1の実施形態と比較して側面視において高さの異なる電流経路210Aが、平面視において切欠部820A’に配置されているためにリードフレームのスタンピング金型の加工が若干複雑になるが、ICチップ内の磁電変換素子の配置に自由度が生まれ、ICチップのより内側に配置できるようになるため、応力起因によるオフセットへの影響を低減することができる。また支持部とICチップとの接着面積が増えるためICチップをより安定に支持することが可能となる。
【0045】
なお、第1の実施形態と同様に、ICチップ230を、磁電変換素子を2つ有するICチップ630や磁電変換素子を3つ有するICチップ730とすることもできる。
【0046】
(第3の実施形態)
図10に、第3の実施形態に係る電流センサを示す。電流センサ1000が第1の実施形態の電流センサ200と異なるのは、部材220ではなく、一次導体210が段差部210Cを電流経路210Aに隣接する位置に有する点である。ICチップ230は、側面視において支持部220Aから突出しており、平面視において電流経路210Aと重複する。図11Aに側面図、図11Bに断面図を示す。
【0047】
なお、第1の実施形態と同様に、ICチップ230を、磁電変換素子を2つ有するICチップ630や磁電変換素子を3つ有するICチップ730としてもよい。
【0048】
(第4の実施形態)
次に、電流センサの一実施形態として、電流検出感度を向上させつつ、外部磁場の侵入の抑制をも可能とするようにした電流センサについて図12および図13を参照して説明する。本実施形態の電流センサは、全体の構成は図2に示した第1の実施形態のものとほぼ同様であるが、磁性材料を有する構成が第1の実施形態のものと異なる。
【0049】
以下では、本実施形態における電流センサの構成について、第1の実施形態のものとの差異を中心に説明する。
【0050】
図12に、第4の実施形態に係る電流センサの構成例を示す。図12に示すように、この電流センサ500Aでは、図2に示したものと同様に、例えばU字形の電流経路210Aおよび導体端子210Bを有する一次導体210と、磁電変換素子230Aを支持するための支持部520A及びリード端子220Bを有する部材220と、磁電変換素子230Aを有するICチップ230とを備える。一次導体210、部材220、及びICチップ230は、樹脂240Aでモールドされている。
【0051】
一方、図2に示したものと異なり、この実施形態では、ICチップ230の上には、磁性材料からなる磁性材チップ540が形成されている。また、図2に示したものと異なり、支持部520Aはさらに、フェライトなどの磁性材料からなる磁性材チップ550を支持するように構成されている。この実施形態では、支持部520Aは、例えば2つの段差部521A,521Bを有する。段差部521A,521Bの形状は、後述する図13で説明する。
【0052】
磁性材チップ540,550は、一次導体210の電流経路210Aを流れる電流により生じる磁束が、磁電変換素子230Aの感磁部に収束されるように配置される。
【0053】
なお、電流センサ500Aの上記各構成要素から、ICチップ230及び樹脂240Aを除くことで、電流センサ500Aが、電流センサ用基板になる。
【0054】
図13は、図12の電流センサ500Aの側面図である。この電流センサ500Aでは、支持部520Aの段差部521Aは、支持部520Aの中央部が上方に突出するように形成され、段差部521Bは、支持部520Aの先端部が一次導体210よりも下方に突出するように形成されている。
【0055】
そして、この支持部520Aの下部において、磁性材チップ550が形成されている。換言すれば、磁性材チップ550は、一次導体210から離れて支持部520Aに形成されている。
【0056】
上記電流センサ500Aの構成によって、一次導体210の電流経路に電流が流れると、磁性材チップ540,550が形成されているため、電流によって生じる磁束が磁電変換素子230Aの感磁部に収束されやすくなる。したがって、電流センサ500Aの電流検出感度が向上する。
【0057】
また、磁性材チップ540,550の形成によって、電流センサ500Aに対して外部磁場の侵入を抑制することになる。
【0058】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について図14および図15を参照して説明する。
【0059】
図12および図13に示した第4の実施形態では、2つの磁性材チップ540,550が形成されている。本実施形態は、1つの磁性体チップ540のみを形成することにより、電流検出感度を向上させつつ、外部磁場の侵入の抑制をも可能とするようにした電流センサである。
【0060】
図14に、第5の実施形態に係る電流センサの構成例を示す。図12に示したものと同様に、本実施形態の電流センサ500Bは、例えばU字形の電流経路210Aを有する一次導体210と、磁電変換素子230Aを支持するための支持部520B及びリード端子220Bを有する部材220と、磁電変換素子230Aを有するICチップ230とを備える。また、図12に示したものと同様に、ICチップ230の上には、磁性材料からなる磁性材チップ540が形成されている。一次導体210、部材220、及びICチップ230は、樹脂240Aでモールドされている。
【0061】
一方、図12に示したものと異なり、本実施形態の支持部520Bは、例えば1つの段差部521Aのみを有する。
【0062】
なお、電流センサ500Bの上記各構成要素から、ICチップ230及び樹脂240Aを除くことで、電流センサ500Bが、電流センサ用基板になる。
【0063】
図15は、図14の電流センサ500Bの側面図である。図13に示したものと同様に、この電流センサ500Bでは、支持部520Bの段差部521Aは、支持部520Bの中央部が上方に突出するように形成されている。また、図13に示したものと同様に、磁性材チップ540は、一次導体210の電流経路210Aを流れる電流により生じる磁束が、磁電変換素子230Aの感磁部に収束されるように、ICチップ230上に配置されている。
【0064】
上記電流センサ500Bの構成によって、一次導体210の電流経路に電流が流れると、磁性材チップ540が形成されているため、電流によって生じる磁束が磁電変換素子230Aの感磁部に収束されやすくなる。したがって、電流センサ500Bの電流検出感度が向上する。
【0065】
また、磁性材チップ540の形成によって、電流センサ500Bに対してパッケージ上面からの外部磁場の侵入を抑制することになる。
【0066】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について図16および図17を参照して説明する。
【0067】
図12および図13に示した第4の実施形態では、2つの磁性材チップ540,550が形成されている。本実施形態は、1つの磁性体チップ550のみを形成することにより、電流検出感度を向上させつつ、外部磁場の侵入の抑制をも可能とするようにした電流センサである。
【0068】
図16に、第6の実施形態に係る電流センサの構成例を示す。図12に示したものと同様に、本実施形態の電流センサ500Cは、例えばU字形の電流経路210Aを有する一次導体210と、磁電変換素子230Aを支持するための支持部520A及びリード端子220Bを有する部材220と、磁電変換素子230Aを有するICチップ230とを備える。また、図12に示したものと同様に、支持部520Aの下部には、磁性材料からなる磁性材チップ540が形成されている。一次導体210、部材220、及びICチップ230は、樹脂240Aでモールドされている。
【0069】
なお、電流センサ500Cの上記各構成要素から、ICチップ230及び樹脂240Aを除くことで、電流センサ500Cが、電流センサ用基板になる。
【0070】
図17は、図16の電流センサ500Cの側面図である。図13に示したものと同様に、この電流センサ500Cでは、支持部520Aの段差部521Aは、支持部520Aの中央部が上方に突出するように形成され、段差部521Bは、支持部520Aの先端部が一次導体210よりも下方に突出するように形成されている。また、図13に示したものと同様に、磁性材チップ550は、一次導体210の電流経路210Aを流れる電流により生じる磁束が、磁電変換素子230Aの感磁部に収束されるように、支持部520Aの下部に配置されている。
【0071】
上記電流センサ500Cの構成によって、一次導体210の電流経路に電流が流れると、磁性材チップ550が形成されているため磁気抵抗が下がり、1次導体電流によって生じる磁束が増える。そのため、電流センサ500Cの電流検出感度が向上する。
【0072】
また、磁性材チップ550の形成によって、電流センサ500Cに対して、パッケージ裏面からの外部磁場の侵入を抑制することになる。
【0073】
(変形例)
上述した各実施形態にかかる電流センサは例示に過ぎず、以下に示すような変更を行うことが可能である。
【0074】
各実施形態の電流センサ500A,500B,500Cでは、例えばU字形の電流経路210Aを有する一次導体210を例にとって説明したが、電流経路210Aの他の形状の例として、電流センサの機能を実現可能であればよく、例えば、他の形状などを有するようにしてもよい。
【0075】
各実施形態の電流センサ500A,500B,500Cでは、1つの磁電変換素子を有するICチップ230を適用した場合について説明したが、ICチップの例として、例えば2つ以上の磁電変換素子を有するようにしてもよい。この場合には、各磁電変換素子の感磁部に磁束が収束されるように、磁性材料を配置することが好ましい。
【0076】
各実施形態の電流センサ500A,500B,500Cでは、磁性材料からなる磁性体チップ540,550を適用した場合について説明したが、磁性材料の構成例として、例えばIC表面等に形成する磁性体メッキなどでもよい。
【0077】
各実施形態の電流センサ500A,500B,500Cでは、一次導体210とICチップ230との間に、一次導体210を覆うように絶縁部材を形成することが好ましい。例えば絶縁部材は、耐圧に優れたシート材からなる絶縁テープであり、その絶縁テープの片面には接着剤が塗布されているものが好ましい。
【0078】
各実施形態の電流センサ500A,500B,500Cの各支持部520A,520Bは、段差部を有するが、段差部の形状は、支持部の高さを変えることが可能であればよく、変更可能である。また、段差部の個数は、電流センサの機能を実現可能であればよく、3つ以上でもよい。
【0079】
各実施形態の磁電変換素子は、信号処理回路を含むホールICまたは磁気抵抗ICであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
200 電流センサ
210 一次導体
210A 電流経路
210B 一次導体端子
210C 段差部
220 信号端子側部材
220A 支持部
220B,220B_1,220B_2 リード端子
220C 段差部
230 ICチップ
230A 磁電変換素子
500A,500B,500C 電流センサ
520A,520B 段差部
630 ICチップ
630A 第1の磁電変換素子
630B 第2の磁電変換素子
800 電流センサ
820A 支持部
820A’ 切欠部
1000 電流センサ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17