特許第5695304号(P5695304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5695304サポートプレート及びその製造方法、基板処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695304
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月1日
(54)【発明の名称】サポートプレート及びその製造方法、基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20150312BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20150312BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/304 622G
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2009-138296(P2009-138296)
(22)【出願日】2009年6月9日
(65)【公開番号】特開2010-287616(P2010-287616A)
(43)【公開日】2010年12月24日
【審査請求日】2012年3月27日
【審判番号】不服2014-995(P2014-995/J1)
【審判請求日】2014年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋文
(72)【発明者】
【氏名】田村 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】浅井 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 孝広
(72)【発明者】
【氏名】稲尾 吉浩
【合議体】
【審判長】 長屋 陽二郎
【審判官】 石川 好文
【審判官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−67167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/67-21/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を介して基板を支持するサポートプレートであり、
接着剤と接する面を有する板状部と、
接着剤と接する上記面上に設けられたスペーサーと、
を含み、
上記スペーサーとして、上記板状部の外周に沿って連続的に突起した突起部を含むことを特徴とするサポートプレート。
【請求項2】
上記スペーサーとして、さらに複数の柱状体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のサポートプレート。
【請求項3】
上記スペーサーとして、さらに、格子状に設けられた、複数の板状物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のサポートプレート。
【請求項4】
上記板状部はガラスからなることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のサポートプレート。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のサポートプレートを用いて基板を支持した後、当該基板を処理することを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
上記処理では、サポートプレートにより支持された上記基板を加熱処理することを特徴とする、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか1項に記載のサポートプレートの製造方法であり、
板状部上に、フォトレジスト材料を積層させ、パターニングすることにより、スペーサーを形成することを特徴とするサポートプレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポートプレート及びその製造方法、並びに当該サポートプレートを用いた基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等の高機能化にともない、搭載される半導体チップの小型化、薄型化及び高集積化への要求が高まっている。この要求を満たすためには、組み込まれる半導体チップについても薄型の半導体チップとしなければならない。このため、半導体チップの基になる半導体ウエハの厚さ(膜厚)は、現状では125〜150μm程度であるが、次世代のチップ用には25〜50μm程度にしなければならないと言われている。
【0003】
しかし、25〜50μm程度にまで研磨された半導体ウエハは、肉薄となるため、その強度は弱くなり、クラック及び反りが生じやすくなる。そのため、研磨される半導体ウエハに保護基板(以下、サポートプレートと称する)と呼ばれるガラス又は硬質プラスチック等を貼り合せることによって、半導体ウエハの強度を保持し、クラックの発生及び半導体ウエハに反りが生じることを防止する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記方法では、基板の回路形成面に接着剤液を塗布した後、当該接着剤液を予備乾燥せしめて接着剤層としての形状維持を可能とし、次いで、サポートプレートを前記接着剤層に押し付けて一体化し、この押し付けと同時に又は押し付けが終了した後に、前記接着剤層を乾燥させることにより、基板をサポートプレートに貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−191550号公報(平成17年7月14日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の上記方法では、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程が遅延する場合がある。
【0007】
具体的には、接着剤を介してサポートプレートに支持されたウエハは、接着剤の乾燥工程やウエハの処理中に、自重によりサポートプレート側に沈み込む場合がある。サポートプレートには、通常、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する際に、接着剤の溶解液を流すための貫通孔が設けられているため、この沈み込みにより、接着剤が当該孔に入り込み得る。その結果、ウエハをサポートプレートから剥離する際に、接着剤の溶解液の流量が制限され、剥離工程が遅延する場合がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させず安定に行うことができるサポートプレートを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るサポートプレートは、上記課題を解決するために、接着剤を介して基板を支持するサポートプレートであり、接着剤と接する面を有する板状部と、接着剤と接する上記面上に設けられたスペーサーと、を含むことを特徴としている
上記構成によれば、接着剤と接する上記面上にスペーサーを含むため、基板のサポートプレート側への沈み込みを抑制することができる。そして、サポートプレートには、通常、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する際に接着剤の溶解液を流すための貫通孔が設けられているため、この沈み込みにより接着剤が当該孔に入り込むことを抑制することができる。その結果、ウエハをサポートプレートから剥離する際に、接着剤の溶解液を安定して流すことができ、剥離工程を安定して行うことができる。従って、上記構成によれば、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させず安定して行うことができるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係るサポートプレートでは、上記スペーサーとして、上記板状部の外周に沿って連続的に突起した突起部を含むことが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、基板のサポートプレート側への沈み込みをより抑制することができるため、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させずより安定して行うことができる。
【0012】
本発明に係るサポートプレートでは、上記スペーサーとして、さらに複数の柱状体を含むことが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、基板のサポートプレート側への沈み込みをより抑制することができるため、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させずより安定して行うことができる。
【0014】
本発明に係るサポートプレートでは、上記スペーサーとして、さらに、格子状に設けられた、複数の板状物を含むことが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、基板のサポートプレート側への沈み込みをより抑制することができるため、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させずより安定して行うことができる。
【0016】
本発明に係るサポートプレートでは、上記板状部はガラスからなることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、例えば、板状部から光を照射する等の処理を行うことができる。
【0018】
本発明に係る基板処理方法は、上記課題を解決するために、本発明に係る上記サポートプレートを用いて基板を支持した後、当該基板を処理することを特徴としている。
【0019】
上記方法によれば、上記サポートプレートを用いて基板を支持した後に、当該基板を処理するため、基板のサポートプレート側への沈み込みを抑制して、基板を処理することができる。そして、サポートプレートには、通常、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する際に接着剤の溶解液を流すための貫通孔が設けられているため、この沈み込みにより接着剤が当該孔に入り込むことを抑制することができる。その結果、ウエハをサポートプレートから剥離する際に、接着剤の溶解液を安定して流すことができる。従って、上記方法によれば、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させず安定して行うことができるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る基板処理方法では、上記処理は、サポートプレートにより支持された上記基板を加熱処理することが好ましい。
【0021】
上記方法によれば、基板のサポートプレート側への沈み込みを抑制して、基板を加熱処理することができる。
【0022】
本発明に係るサポートプレートの製造方法は、上記課題を解決するために、本発明に係る上記サポートプレートの製造方法であり、板状部上に、フォトレジスト材料を積層させ、パターニングすることにより、スペーサーを形成することを特徴としている。
【0023】
上記方法によれば、簡便に本発明に係る上記スペーサーを形成することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るサポートプレートは、以上のように、接着剤を介して基板を支持するサポートプレートであり、接着剤と接する面を有する板状部と、接着剤と接する上記面上に設けられたスペーサーと、を含むことを特徴としている。
【0025】
このため、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させず安定して行うことができるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明に係る基板処理方法は、以上のように、本発明に係る上記サポートプレートを用いて基板を支持した後、当該基板を処理することを特徴としている。
【0027】
このため、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させず安定して行うことができるという効果を奏する。
【0028】
更には、本発明に係るサポートプレートの製造方法は、以上のように、本発明に係る上記サポートプレートの製造方法であり、板状部上に、フォトレジスト材料を積層させ、パターニングすることにより、スペーサーを形成することを特徴としている。
【0029】
このため、簡便に本発明に係る上記スペーサーを形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施の形態に係るサポートプレートの一例を模式的に示す斜視図である。
図2】本実施の形態に係るサポートプレートの一例を模式的に示す上面図である。
図3】本実施の形態に係るサポートプレートの別の一例を模式的に示す上面図である。
図4】本実施の形態に係るサポートプレートの更に別の一例を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。
【0032】
尚、本明細書では、範囲を示す「A〜B」は、A以上、B以下であることを意味する。
【0033】
(I)サポートプレート
図1は、本実施の形態に係るサポートプレート10を模式的に示す斜視図であり、図2は、本実施の形態に係るサポートプレートを模式的に示す上面図である。
【0034】
また、図3は、本実施の形態に係るサポートプレートの別の一例である、サポートプレート20を模式的に示す上面図であり、図4は、本実施の形態に係るサポートプレートの更に別の一例である、サポートプレート30を模式的に示す上面図である。
【0035】
尚、上記図1〜4は、飽くまで本実施の形態に係る各サポートプレートを模式的に示すものであり、本発明の範囲はこれら図面の縮尺には限定されない。
【0036】
本実施の形態に係るサポートプレート10は、接着剤を介して基板を支持するものである。そして、図1、2に示すように、上記サポートプレート10は、接着剤と接する面3を有する板状部1と、接着剤と接する上記面3上に設けられたスペーサー2とを含む。
【0037】
〔板状部〕
上記板状部1には、処理後のウエハをサポートプレート10から剥離する際に接着剤の溶解液を流すための複数の貫通孔(図示せず)が設けられている。これら貫通孔の内径は特に限定されないが、例えば、10〜1000μmの範囲で形成することができる。貫通孔の数は、サポートプレート中、貫通孔が占める割合が20〜50%、好ましくは30〜40%となるように形成することが好ましい。
【0038】
また、上記板状部1の形状は、板状であれば特に限定されず、その表面の形状が、固定する基板と同じ形状であることが好ましい。
【0039】
上記板状部1の厚さtは、従来公知のサポートプレートと同程度の厚さであれば特には限定されない。上記板状部1の材質は、加熱下において、接着剤と混合せず且つガス等を発生しないような、従来公知のサポートプレートに用いられている材質であれば特には限定されない。例えば、ガラス、樹脂、シリコン等が挙げられ、ガラスであることがより好ましい。
【0040】
〔スペーサー〕
本実施の形態に係るサポートプレート10では、上記スペーサー2として、上記板状部1の外周に沿って連続的に突起した突起部5を含む。
【0041】
上記突起部5の高さhは、特には限定されないが、5〜500μmの範囲内であることが好ましい。また、上記突起部5の幅wは、特には限定されないが、10〜5000μmの範囲内であることが好ましい。
【0042】
基板のサポートプレート側への沈み込みをより安定して抑制する観点から、上記スペーサー2として、図3に示すように、さらに、複数の柱状体12を設けてもよい。
【0043】
上記柱状体12の高さは、特には限定されないが、5〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記柱状体12の幅若しくは直径dについても特には限定されないが、10〜5000μmの範囲内であることが好ましい。また、接着剤と接する上記面3における、上記柱状体12と接する面の割合は、50〜95%の範囲内であることが好ましい。
【0044】
上記柱状体12の形状としては柱状であれば特には限定されず、例えば、三角柱、四角柱等の多角柱状、円柱状が挙げられる。
【0045】
また、基板のサポートプレート側への沈み込みをより安定して抑制する観点から、上記スペーサー2として、図4に示すように、上記突起部5に加えて、格子状に設けられた、複数の板状物22をさらに設けてもよい。
【0046】
上記板状物22の高さは、特には限定されないが、5〜500μmの範囲内であることが好ましい。上記板状物22の幅w’も、特には限定されないが、10〜5000μmの範囲内であることが好ましい。接着剤と接する上記面3における、上記板状物22と接する面の割合は、50〜95%の範囲内であることが好ましい。
【0047】
本実施の形態では、上記スペーサー2(突起部5、柱状体12、板状物22)の材質は、上記板状部1の材質と同様に、従来公知のサポートプレートに用いられている材質であれば特には限定されない。例えば、エポキシ樹脂等の樹脂、ガラス、シリコン等が挙げられ、ガラスであることがより好ましい。また、スペーサー2を複数備える場合には、各スペーサー2の材質は全て同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係るサポートプレート10、20及び30は、接着剤と接する上記面3上にスペーサー2を備えるため、基板のサポートプレート側への沈み込みを抑制することができる。そして、この沈み込みにより接着剤がサポートプレートに設けられた孔に入り込むことを抑制することができる。その結果、ウエハをサポートプレートから剥離する際に、接着剤の溶解液を安定して流すことができ、剥離工程を安定して行うことができる。
【0049】
尚、上述の説明では、上記スペーサー2として、上記板状部1の外周に沿って連続的に突起した突起部5を備えた場合、並びに、さらに柱状体12若しくは格子状に設けられた、複数の板状物22を備えた場合について説明したが、これらに限るものではない。
【0050】
スペーサー2として、柱状体12のみを設けたり、上記板状物22のみを設けたりしてもよいし、柱状体12と上記板状物22とを設けてもよいし、上記突起部5、柱状体12及び上記板状物22の全てを設けてもよい。基板のサポートプレート側への沈み込みを抑制することができれば、本実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0051】
(II)サポートプレートの製造方法
本実施の形態に係るサポートプレートの製造方法は、板状部上に、フォトレジスト材料をパターニングして積層させてスペーサーを形成することによりサポートプレートを製造する方法である。
【0052】
サポートプレートの上記製造方法は、例えば、板状部作製工程、フォトレジスト塗布工程、露光工程、及び現像工程を含む。尚、必要に応じて、上記露光工程後、現像工程前に露光後ベーク処理工程を行ってもよいし、上記現像工程後に現像後ベーク処理工程を行ってもよい。
【0053】
〔板状部作製工程〕
板状部作製工程とは、板状部を作製する工程である。上記板状部は、従来公知の板状のサポートプレートを用いることができ、従来公知のサポートプレートの製造方法により作製することができる。例えば、特開2008−258418号公報に記載の方法により作製することができる。
【0054】
〔フォトレジスト塗布工程〕
フォトレジスト塗布工程とは、上記板状部の表面にフォトレジストを塗布する工程である。
【0055】
フォトレジストの上記塗布としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、上記板状部を、フォトレジスト中に浸漬する方法(ディップコート法)、液状フォトレジストをスピンコート法により上記板状部上に塗布する方法、フィルム状のフォトレジスト(ドライフィルムレジスト)をラミネートする方法等が挙げられる。
【0056】
上記フォトレジスト材料としては、樹脂によりスペーサーを作製する場合には、例えば、エポキシ系フォトレジストを好適に用いることができ、ガラスによりスペーサーを作製する場合には、例えば、ガラス粉末を含有したフォトレジストを用いることができる。
【0057】
尚、ガラス粉末を含有した上記フォトレジストを用いる場合には、フォトレジストによるパターニング後に、高温で有機物成分を焼き飛ばすことによりガラスのスペーサーを形成できる。
【0058】
〔露光工程〕
露光工程とは、フォトレジストを塗布した上記板状部の表面に、露光することによりマスクパターンを転写する工程である。
【0059】
露光条件は、用いるレジスト材料に応じて適宜設定することができる。例えば、波長200〜600nmの光を用いることができる。露光量は特に限定されないが、350nmの波長であれば、例えば、50〜500mJ/cmの範囲で露光することができる。
【0060】
〔露光後ベーク処理工程〕
露光後ベーク処理工程とは、露光後の上記板状部をベーク処理する工程である。
【0061】
露光後ベーク処理工程の条件は、用いるレジスト材料に応じて適宜設定すればよく、例えば、50〜250℃の範囲内、1〜90分間の条件で行うことができる。
【0062】
〔現像工程〕
現像工程とは、熱処理後の上記板状部における不要な部分を現像液により溶解させ、除去する工程である。
【0063】
上記現像液としては、例えば、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等を用いることができる。
【0064】
〔現像後ベーク処理工程〕
現像後ベーク処理工程とは、現像後の上記板状部をベーク処理する工程である。
【0065】
現像後ベーク処理工程の条件は、用いるレジスト材料に応じて適宜設定すればよく、例えば、50〜250℃の範囲内、1〜90分間の条件で行うことができる。
【0066】
尚、上述の説明では、板状部上に、フォトレジスト材料をパターニングして積層させることにより、スペーサーを形成してサポートプレートを製造する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、板状部に対して機械的な加工を施すことにより、スペーサーを作製してもよい。但し、本実施の形態に係る上述の方法では、より簡便に、高い精度でサポートプレートを作製することができるため、より好ましい。
【0067】
(III)基板処理方法
本実施の形態に係る基板の処理方法は、上述した、本実施の形態に係るサポートプレートを用いて基板を支持した後、当該基板を処理する方法である。
【0068】
上記処理方法は、例えば、基板固定工程、基板処理工程、及び基板剥離工程を含む。
【0069】
〔基板固定工程〕
基板固定工程とは、処理する基板を、接着剤を介してサポートプレートに固定する工程である。
【0070】
例えば、基板に接着剤液を塗布した後、当該接着剤液を予備乾燥させ、接着剤層としての形状を維持させ、次いで、サポートプレートを上記接着剤層に押し付けて一体化し、この押し付けと同時に又は押し付けが終了した後に、前記接着剤層を乾燥させることにより、処理する基板を、接着剤を介してサポートプレートに固定することができる。
【0071】
上記接着剤液の塗布は、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法等により行うことができる。また、フィルム状レジストの場合は、ラミネート等により行うことができる。
【0072】
上記接着剤液としては、例えば、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン、ポリビニルエーテル、ポリ酢酸ビニル及びその変性物又はそれらの混合物を溶剤に溶解したもの等の、特開2005−191550号公報に挙げられている各種接着剤液を用いることができる。
【0073】
また、上記溶剤としては上記物質を溶解でき、均一にウエハに成膜できるものが望ましく、例えば、特開2005−191550号公報に挙げられている各種溶剤を用いることができる。また膜厚の均一性を向上させるためにこれらに界面活性剤を添加してもよい。
【0074】
上記接着剤であれば、例えば、上記予備乾燥の温度を200℃以下(40〜200℃)、乾燥工程の温度を300℃以下(40〜300℃)とすることができる。
【0075】
〔基板処理工程〕
上記基板処理工程とは、サポートプレートに固定された基板に対して各種処理を施す工程である。
【0076】
例えば、BG(バックグラインディング)処理等の薄板化処理、加熱処理工程、リソグラフィー工程等の基板に施す従来公知の処理が挙げられる。
【0077】
〔基板剥離工程〕
基板剥離工程とは、剥離液により接着剤を溶解させることにより、処理を施した上記基板をサポートプレートから剥離する工程である。
【0078】
上記剥離液としては、特開2005−191550号公報に挙げられる従来公知の溶剤を用いることができる。
【0079】
ここで、本実施の形態に係る基板の処理方法では、上述した、本実施の形態に係るサポートプレートを用いているため、上記基板剥離工程を遅延させることなく安定して行うことができる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0081】
〔実施例1〕
特開2008−258418号公報に記載の方法により、ガラスからなる板状物に孔をあける加工を施し、孔あき板状物(貫通孔の内径300μm、ピッチ500μm)を作製した。
【0082】
次に、上記孔あき板状物に、ドライフィルムフォトレジスト(商品名:「TMMF(登録商標)−2010」、東京応化工業社製)を、ラミネート装置(大成ラミネーター社製)により、70℃、速度0.5m/min、圧力2.0kg/cmの条件下でラミネートを行い、10μmのフォトレジスト層を形成した。
【0083】
そして、フォトレジスト層を形成した上記板状物に対して、平行光露光機で200mJ/cm(350nm)の光を露光し、ホットプレートで90℃、10分プリベーク処理した。続いて、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)で10分間現像を行い、200℃、60分間ベーク処理することにより、図1に示すような、板状部の外周に沿って連続的に突起した、高さ(h)10μm及び幅(w)1000μmであるスペーサーを有するサポートプレートを作製した。
【0084】
次に、基板に接着剤(商品名:「TZNR(登録商標)−A0006 PM」、東京応化工業社製)を塗布した後、当該接着剤を110℃、150℃、200℃各3分の条件で予備乾燥させ、厚さ30μmの接着剤層を形成した。次いで、作製した上記サポートプレートを上記接着剤層に押し付けて一体化させた。そして、(1)処理前、(2)150℃で1h処理後、(3)200℃で1h処理後について、それぞれサポートプレートと基板との距離及びその変化率を求めた。結果を表1に示す。
【0085】
〔実施例2〕
上記フォトジストの積層する厚さを10μmから30μmに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、図1に示すような、高さ(h)30μm及び幅(w)1000μmのスペーサーを有するサポートプレートを作製した。
【0086】
その後、実施例1と同様に、サポートプレートと基板との距離及びその変化率を求めた。結果を表1に示す。
【0087】
〔比較例1〕
スペーサーを設けないこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、スペーサーを有さないサポートプレートを作製した。
【0088】
その後、実施例1と同様に、サポートプレートと基板との距離及びその変化率を求めた。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1に示すように、実施例1,2のサポートプレートでは、スペーサーを有さない比較例1に記載のサポートプレートと比べて沈み込みが少なかった。特に、実施例1のサポートプレートでは、沈み込みは全く生じなかった。このため、実施例1,2のサポートプレートでは、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させないと考えられる。
【0091】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明のサポートプレートは、処理後のウエハをサポートプレートから剥離する工程を遅延させず安定して行うことができる。このため、例えば、サポートプレートを用いた、半導体ウエハの各種処理に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0093】
2 スペーサー
5 突起部
10 サポートプレート
12 柱状体
20 サポートプレート
22 板状物
30 サポートプレート
図1
図2
図3
図4