特許第5695764号(P5695764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695764
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】磁気検出装置及び磁気検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/07 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   G01R33/06 H
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-548693(P2013-548693)
(86)(22)【出願日】2013年4月8日
(86)【国際出願番号】JP2013002404
(87)【国際公開番号】WO2013168353
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2013年10月22日
(31)【優先権主張番号】特願2012-109728(P2012-109728)
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛生
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−283503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気を検出するホールセンサと、該ホールセンサを駆動するバイアス生成部とを備えた磁気検出装置において、
前記ホールセンサに接続され、第1期間において、前記ホールセンサのホール起電力の極性は第1の極性で、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換え、第2期間において、前記ホールセンサのホール起電力の極性が前記第1の極性とは逆の極性の第2の極性で、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して前記バイアス生成部からの電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるスイッチ部と、
前記スイッチ部による切り換えにより取り出された電圧を増幅する増幅部と、
前記スイッチ部による電流及び電圧の切り換えのうち、前記第1期間と前記第2期間の切り換えに同期して、前記増幅部からの電圧の極性を反転させる反転部と、
を備えていることを特徴とする磁気検出装置。
【請求項2】
前記スイッチ部は、
前記第1期間において、
前記ホールセンサの第1の端子から該第1の端子に対向する第2の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第1及び第2の端子とを接続し、かつ、前記ホールセンサの第3の端子及び該第3の端子に対向する第4の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第1の切り換えと、
前記第3の端子から前記第4の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第3及び第4の端子とを接続し、かつ、前記第2及び第1の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第2の切り換えと、
前記第2の端子から前記第1の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第2及び第1の端子とを接続し、かつ、前記第4及び第3の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第3の切り換えと、
前記第4の端子から前記第3の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第4及び第3の端子とを接続し、かつ、前記第1及び第2の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第4の切り換えと、
前記第2期間において、
前記第1の端子から前記第2の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第1及び第2の端子とを接続し、かつ、前記第4及び第3の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第5の切り換えと、
前記第3の端子から前記第4の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第3及び第4の端子とを接続し、かつ、前記第1及び第2の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第6の切り換えと、
前記第2の端子から前記第1の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第2及び第1の端子とを接続し、かつ、前記第3及び第4の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第7の切り換えと、
前記第4の端子から前記第3の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第4及び第3の端子とを接続し、かつ、前記第2及び第1の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第8の切り換えと
を行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気検出装置。
【請求項3】
前記スイッチ部は、前記第1期間のおける切り換えをn回(nは2以上の整数)繰り返し行い、前記第2期間における切り換えをn回繰り返し行い、
前記反転部は、前記増幅部からの電圧の極性を、前記第1期間と前記第2期間の切り換えに同期して反転させることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気検出装置。
【請求項4】
磁気を検出するホールセンサと、
該ホールセンサを駆動するバイアス生成部と、
前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して前記バイアス生成部からの電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるスイッチ部と、
該スイッチ部による切り換えにより取り出された電圧を増幅する増幅部と、
該増幅部からの電圧の極性を反転させる反転部とを備え、
前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性を交番するときの動作周波数が、前記ホールセンサのホール起電力の極性を交番するときの動作周波数よりも2n倍(nは1以上の整数)であることを特徴とする磁気検出装置。
【請求項5】
磁気を検出するホールセンサと、該ホールセンサを駆動するバイアス生成部とを備えた磁気検出装置における磁気検出方法において、
前記ホールセンサに接続されたスイッチ部により、第1期間において、ホールセンサのホール起電力の極性は第1の極性で、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるステップと、
前記ホールセンサに接続されたスイッチ部により、第2期間において、前記ホールセンサのホール起電力の極性が前記第1の極性とは逆の極性の第2の極性で、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるステップと、
前記スイッチ部による切り換えにより取り出された電圧を増幅部により増幅するステップと、
前記スイッチ部による前記電流及び電圧の切り換えのうち、前記第1期間と前記第2期間の切り換えに同期して、前記増幅された電圧の極性を反転部により反転させるステップと
を有することを特徴とする磁気検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気検出装置及び磁気検出方法に関し、より詳細には、ホールセンサのオフセット電圧のチョッパー変調周波数を速くすることで、積分部におけるホールセンサのオフセット電圧の積分部の増幅度を抑制し、積分部における動作電圧範囲を大幅に抑制することができるようにした磁気検出装置及び磁気検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホール素子を使った磁気センサには、磁石の位置情報の検出を行うセンサとして近接センサ、リニア位置センサ、回転角度センサなどに用いられているだけでなく、電流導体を流れる電流によって誘起される磁界を検出することによって、電流導体を流れる電流量を非接触で測定する電流センサとしても広く利用されている。
また、ホール素子は、入力された磁界の強度に応じたホール起電力信号を発生する磁電変換機能を有するため、磁気センサとして広く用いられている。しかしながら、ホール素子には、磁場が零である状態、すなわち、無磁場の状態でも、零でない有限の電圧が出力されてしまうというオフセット電圧(不平衡電圧)が存在する。
【0003】
そこで、ホール素子を利用した磁気センサにおいては、ホール素子が持つオフセット電圧をキャンセルする目的で、スピニングカレント(Spinning current)法又はConnection commutation法といった名称で一般的に知られているホール素子の駆動方法が存在する。この方法とは、ホール素子に駆動電流を流すための端子対の位置と、ホール起電力信号を検出するための端子対の位置との間で、チョッパークロックと呼ばれるクロックにしたがって周期的に入れ替える操作を行うものである。
【0004】
このオフセット電圧のキャンセルを目的としたSpinning current法は、CMOS半導体回路においてもスイッチ回路を用いて構成できるものであるため、高精度な磁気センサを実現するためのホール起電力検出回路は、一般的に、Spinning current法を実現するためのスイッチ回路を備えたものとなる。
ホールセンサを採用した磁気検出装置においては、ホール素子がオフセット電圧を有することから、このオフセット電圧を除去することが行われており、その一例としては、非特許文献1に記載のspinning current principleが知られている。
【0005】
しかしながら、この磁気検出装置においては、スイッチの切り換えにより差動増幅器の入力電圧の極性が異なったときの差動増幅器のセトリング時間が有限であって、入力電圧の立ち上がり時におけるセトリング時間と、立ち下がり時におけるセトリング時間が異なっており、これにより、差動増幅器の出力電圧とスイッチの出力電圧の電圧波形にその影響が現れることになる。このようにスイッチの出力電圧の電圧波形が異なるので、スイッチの出力電圧を積分器により積分しても、ホール素子のオフセット電圧と、差動増幅器の固有のオフセット電圧とを除去することができないという問題があった。
【0006】
そこで、この種の問題点を解決するために、例えば、特許文献1には、ホール素子のオフセット電圧と、ホール素子の出力を増幅する増幅器に固有のオフセット電圧とを除去することができる磁気検出装置が提供されている。この特許文献1に記載のものは、切換制御部によりスイッチを制御して、4端子ホール素子に固有のホールオフセット電圧の極性が1サイクルに4回交番するように、4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、差動増幅器により、この電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子から電圧を増幅し、スイッチによる電流の向きの切り換えのうち、直前の電流の向きに対して逆の向きになる切り換えがあったとき、これに同期して、切換制御部によりスイッチを制御して、差動増幅器からの電圧の極性を反転させ、かつこの直後の電流の向きの切り換えに同期して、切換制御部によりスイッチを制御して、差動増幅器からの電圧の極性を反転させるものである。
【0007】
また、例えば、特許文献2に記載のものは、ホール素子やそこからの信号を受けて増幅する増幅器などが受ける外乱ノイズを排除しながらも、高速応答性を有することが可能な磁気検出装置に関するものである。
さらに、例えば、特許文献3に記載のものは、磁気検出センサのオフセット電圧とアナログ回路のアナログ素子のオフセット電圧とを高精度に除去し、磁気検出センサの磁気を高精度に検出することのできる磁気検出装置に関するものである。
【0008】
図1は、従来の磁気検出装置を説明するための回路構成図である。図中符号1はホールセンサ、2はバイアス電流生成回路、3は第1のスイッチ回路、4は第2のスイッチ回路、5は差動増幅器、6は第3のスイッチ回路、7は積分器、8はスイッチ制御回路を示している。
【0009】
図1に示す従来の磁気検出装置は、磁気を検出するホールセンサ1と、ホールセンサ1を駆動するバイアス電流生成回路2と、ホールセンサ1に与えるバイアス電流の向きを切り替える第1のスイッチ回路3と、ホールセンサ1で検出された磁気に対応する差動電圧の向きを切り替える第2のスイッチ回路4と、この第2のスイッチ回路4の出力差動電圧Vを増幅する差動増幅器5と、この差動増幅器5の出力差動電圧の極性を切り替える第3のスイッチ回路6と、この第3のスイッチ回路6の出力差動電圧Vを積分増幅する積分器7と、第1乃至第3のスイッチ回路の切り替えタイミングを制御するスイッチ制御回路8とから構成されている。
第1のスイッチ回路3と第2のスイッチ回路4とを制御することで、ホールセンサ1の4端子のうち対向する2端子の間にバイアス電流を供給し、4端子のうち残りの対向する2端子を差動増幅器5に接続する。
【0010】
図2(a)乃至(d)は、図1に示したスイッチ回路による各チョッパー位相におけるホールセンサの接続状態を示す図である。図2(a)乃至(d)に示すように、0°→90°→180°→270°の4つの位相順に周期的に切り替えて接続する。これによってバイアス電流と検出磁場の向き及び強度に対応したホール起電力V1Hと、ホールセンサ1の固有のオフセット電圧V1Oが加算されたホールセンサ1の出力差動電圧Vは、式(1)乃至(4)で表される。
ここで、ホールセンサ1の出力差動電圧Vは、Vhp−Vhnで定義されるものとする。
【0011】
【数1】
【0012】
差動増幅器5において、一定の倍率Aで、第2のスイッチ回路4の出力差動電圧Vと差動増幅器5の固有のオフセット電圧V2Oを増幅する。第3のスイッチ回路6を制御することで差動増幅器5の出力差動電圧極性を周期的に切り替えて積分器7に供給する。第3のスイッチ回路6の出力差動電圧Vは、式(5)乃至(8)で表される。
【0013】
【数2】
【0014】
図3は、図1に示したスイッチ回路による各チョッパー位相における出力電圧極性を示す図である。ホール起電力V1H、ホールセンサ1のオフセット電圧V1O、差動増幅器5のオフセット電圧V2O及び第3のスイッチ回路6で復調されたホール起電力V1H’、ホールセンサ1のオフセット電圧V1O’、差動増幅器5のオフセット電圧V2O’の極性は、図3のようになる。0°〜270°のチョッパー動作をn回繰り返す間、積分器7にて第3のスイッチ回路6の出力差動電圧Vを積分増幅する。
図4は、図1における積分器の出力波形を示す図である。積分器7の出力Vは、式(9)で表され、図4に示すような電圧波形となる。
【0015】
【数3】
【0016】
ここで、V1H_INTは、積分器7の出力VにおけるV1H成分の積分増幅波形、V1O_INTは、積分器7の出力VにおけるV1O成分の積分増幅波形、V2O_INTは、積分器7の出力VにおけるV2O成分の積分増幅波形である。
第1のスイッチ回路3乃至第3のスイッチ回路6によりチョッパー変調することで、0°〜270°のチョッパー動作1回ごとにホールセンサ1のオフセット電圧V1O及び差動増幅器5のオフセット電圧V2Oをキャンセルアウトし、ホール起電力V1Hのみを積分増幅することが可能となる。
【0017】
図5は、ホールセンサのノイズに対するチョッパー変調伝達関数の周波数特性を示す図である。第1のスイッチ回路3乃至第3のスイッチ回路6によりチョッパー変調することで、ホールセンサ1及び差動増幅器5の素子ノイズをチョッパー変調周波数FCHP(=1/T)の奇数倍の周波数帯近傍に高域変調することができ、後段の積分器7の特性によりノイズを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−283503号公報
【特許文献2】特開2008−286695号公報
【特許文献3】特開2011−137716号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】A.Bakker, A.A.Bellekom, S.Middelhoekand, J.H.Huijsing “Low - Offset Low - Noise 3.5mW CMOS Spinning - Current Hall Effect Sensor With Integrated Chopper Amplifier” The 13th European Conference on Solid - State Transducers September 12 - 15, 1999, The Hague, The Netherlands, pp.1045 - 1048
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、積分器7の増幅度は、積分器7の出力電圧Vが0°〜270°のチョッパー動作中に動作可能電圧範囲を超えないように設定される。ここで、ホールセンサ1のオフセット電圧V1Oが、ホール起電力V1Hよりも十分に大きい場合、積分器7の増幅度は、ホールセンサ1のオフセット電圧V1Oにより制限され、ホール起電力V1Hを十分に増幅できない。ここで、チョッパー変調周波数を2FCHP(=2/T)とし、チョッパー動作を2n回とする。これによりチョッパー1位相あたりのホールセンサ1のオフセット電圧V1Oの積分器7の増幅度が半分となるため、積分器7の増幅度と積分時間を維持したまま、積分器7における動作電圧範囲を大幅に抑制することができる。
【0021】
しかしながら、ホールセンサ1及び差動増幅器5のノイズ抑制や、積分器7にスイッチトキャパシタフィルタなどのサンプル・ホールド回路を用いていた場合に対するサンプリング周波数の折り返しノイズ防止を目的として、差動増幅器5の出力帯域を低域に制限した場合、チョッパー変調周波数を2FCHPとしたことでホール起電力V1Hのチョッパー変調周波数も2倍となるため、差動増幅器5において帯域不足によるセトリングエラーが生じる。これにより、第3のスイッチ回路6での復調時にホール起電力V1Hの信号損失が大きくなり、系全体のホール起電力信号V1Hの増幅度が低下するためS/N劣化を招くという問題がある。また、差動増幅器5の出力帯域が温度に強く依存する場合、結果的に積分器7の出力電圧Vの温度変動度も増大するという問題がある。
【0022】
また、上述した特許文献1に記載の磁気検出装置は、差動増幅器のセトリング時間が有限であって、入力電圧の立ち上がり時におけるセトリング時間と、立ち下がり時におけるセトリング時間が異なる場合に対して、各チョッパー位相の遷移する順序を0°→90°→270°→180°などと工夫することで、ホールセンサのオフセット電圧と、差動増幅器のオフセット電圧を高精度に除去しているものの、本発明のように、チョッパー1周期内に0°、90°、180°、270°の位相状態と、バイアス電流方向が同じで出力端子が反転した0°’、90°’、180°’、270°’の位相状態を周期的に組み合わせたものではなく、オフセット電圧のチョッパー変調周波数を高速化してもホール起電力の信号損失を招くことなく、積分部における動作電圧範囲を大幅に抑制するという効果は得られないものである。
【0023】
また、上述した特許文献2に記載の磁気検出装置は、チョッパー位相(0°、270°)などの2状態の遷移する順序をランダムに変化させ、増幅器などが受ける外乱ノイズをスペクトル拡散させることで、効果的にノイズを除去しながら、高速応答性を有することを実現しているものの、本発明のように、チョッパー1周期内に0°、90°、180°、270°の位相状態と、バイアス電流方向が同じで出力端子が反転した0°’、90°’、180°’、270°’の位相状態を周期的に組み合わせたものではなく、オフセット電圧のチョッパー変調周波数を高速化してもホール起電力の信号損失を招くことなく、積分部における動作電圧範囲を大幅に抑制するという効果は得られないものである。
【0024】
さらに、上述した特許文献3に記載の磁気検出装置は、0°→90°→270°→180°の順に遷移してチョッパー変調されるホールセンサ出力に同期して、リファレンス電圧Vrefを加算または減算する回路を有した積分型A/Dコンバータを使用することで、ホールセンサ及びアナログ素子のオフセット電圧を高精度に除去し、ホール起電力を高精度に検出することができるものの、本発明のように、チョッパー1周期内に0°、90°、180°、270°の位相状態と、バイアス電流方向が同じで出力端子が反転した0°’、90°’、180°’、270°’の位相状態を周期的に組み合わせたものではなく、オフセット電圧のチョッパー変調周波数を高速化してもホール起電力の信号損失を招くことなく、積分部における動作電圧範囲を大幅に抑制するという効果は得られないものである。
【0025】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ホールセンサのオフセット電圧のチョッパー変調周波数を速くすることで、積分部におけるホールセンサのオフセット電圧の積分部の増幅度を抑制し、積分部における動作電圧範囲を大幅に抑制することができるようにした磁気検出装置及び磁気検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、磁気を検出するホールセンサと、該ホールセンサを駆動するバイアス生成部とを備えた磁気検出装置において、前記ホールセンサに接続され、第1期間において、前記ホールセンサのホール起電力の極性は第1の極性で、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換え、第2期間において、前記ホールセンサのホール起電力の極性が前記第1の極性とは逆の極性の第2の極性で、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して前記バイアス生成部からの電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるスイッチ部と、前記スイッチ部による切り換えにより取り出された電圧を増幅する増幅部と、前記スイッチ部による電流及び電圧の切り換えのうち、前記第1期間と前記第2期間の切り換えに同期して、前記増幅部からの電圧の極性を反転させる反転部とを備えていることを特徴とする。
【0027】
また、前記スイッチ部は、前記第1期間において、前記ホールセンサの第1の端子から該第1の端子に対向する第2の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第1及び第2の端子とを接続し、かつ、前記ホールセンサの第3の端子及び該第3の端子に対向する第4の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第1の切り換えと、前記第3の端子から前記第4の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第3及び第4の端子とを接続し、かつ、前記第2及び第1の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第2の切り換えと、前記第2の端子から前記第1の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第2及び第1の端子とを接続し、かつ、前記第4及び第3の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第3の切り換えと、前記第4の端子から前記第3の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第4及び第3の端子とを接続し、かつ、前記第1及び第2の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第4の切り換えと、前記第2期間において、前記第1の端子から前記第2の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第1及び第2の端子とを接続し、かつ、前記第4及び第3の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第5の切り換えと、前記第3の端子から前記第4の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第3及び第4の端子とを接続し、かつ、前記第1及び第2の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第6の切り換えと、前記第2の端子から前記第1の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第2及び第1の端子とを接続し、かつ、前記第3及び第4の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第7の切り換えと、前記第4の端子から前記第3の端子に向かって電流が流れるように、前記バイアス生成部と前記第4及び第3の端子とを接続し、かつ、前記第2及び第1の端子を前記増幅部の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第8の切り換えとを行うことを特徴とする。
【0028】
また、前記スイッチ部は、前記第1期間のおける切り換えをn回(nは2以上の整数)繰り返し行い、前記第2期間における切り換えをn回繰り返し行い、前記反転部は、前記増幅部からの電圧の極性を、前記第1期間と前記第2期間の切り換えに同期して反転させることを特徴とする。
【0029】
また、磁気を検出するホールセンサと、該ホールセンサを駆動するバイアス生成部と、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して前記バイアス生成部からの電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるスイッチ部と、該スイッチ部による切り換えにより取り出された電圧を増幅する増幅部と、該増幅部からの電圧の極性を反転させる反転部とを備え、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性を交番するときの動作周波数が、前記ホールセンサのホール起電力の極性を交番するときの動作周波数よりも2n倍(nは1以上の整数)であることを特徴とする。
【0030】
また、磁気を検出するホールセンサと、該ホールセンサを駆動するバイアス生成部とを備えた磁気検出装置における磁気検出方法において、前記ホールセンサに接続されたスイッチ部により、第1期間において、ホールセンサのホール起電力の極性は第1の極性で、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるステップと、前記ホールセンサに接続されたスイッチ部により、第2期間において、前記ホールセンサのホール起電力の極性が前記第1の極性とは逆の極性の第2の極性で、前記ホールセンサのホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、前記ホールセンサの4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、かつ、該電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるステップと、前記スイッチ部による切り換えにより取り出された電圧を増幅部により増幅するステップと、前記スイッチ部による前記電流及び電圧の切り換えのうち、前記第1期間と前記第2期間の切り換えに同期して、前記増幅された電圧の極性を反転部により反転させるステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ホールセンサのオフセット電圧のチョッパー変調周波数を速くすることで、積分部におけるホールセンサのオフセット電圧の積分部の増幅度を抑制し、積分部における動作電圧範囲を大幅に抑制することができるような磁気検出装置及び磁気検出方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、従来の磁気検出装置を説明するための回路構成図である。
図2図2(a)乃至(d)は、図1に示したスイッチ回路による各チョッパー位相におけるホールセンサの接続状態を示す図である。
図3図3は、図1に示したスイッチ回路による各チョッパー位相における出力電圧極性を示す図である。
図4図4は、図1における積分器の出力波形を示す図である。
図5図5は、ホールセンサのノイズに対するチョッパー変調伝達関数の周波数特性を示す図である。
図6図6は、本発明に係る磁気検出装置の実施例を説明するための回路構成図である。
図7図7は、(a)乃至(h)は、図6に示した本発明に係る磁気検出装置のスイッチ部による各チョッパー位相におけるホールセンサの接続状態を示す図である。
図8図8は、図6に示した本発明に係る磁気検出装置のスイッチ部による各ブロックの入出力電圧極性を示す図である。
図9図9は、図6に示した本発明に係る磁気検出装置における積分器の出力波形を示す図である。
図10図10は、本発明におけるホールセンサのノイズに対するチョッパー変調伝達関数の周波数特性を示す図である。
図11図11は、本発明に係る磁気検出方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る磁気検出装置を説明するための回路構成図で、図中符号11はホールセンサ、12はバイアス生成部、13は第1のスイッチ部、14は第2のスイッチ部、15は差動増幅部、16は反転部(第3のスイッチ部)、17は積分部、18はスイッチ制御部を示している。
【0034】
図6に示した本実施形態の磁気検出装置は、磁気を検出するホールセンサ11と、このホールセンサ11を駆動するバイアス生成部12とを備えている。また、第1及び第2のスイッチ部13,14は、第1期間において、ホールセンサ11のホール起電力の極性は第1の極性で、ホールセンサ11のホールオフセット電圧の極性が4回交番し、第2期間において、ホールセンサ11のホール起電力の極性が第1の極性とは逆の極性の第2の極性で、ホールセンサ11のホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、ホールセンサ11の4つの端子のうちの対向する2つの端子に対してバイアス生成部12からの電流の向きを切り換え、かつ、この電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換えるものである。
【0035】
また、差動増幅部15は、スイッチ部13,14による切り換えにより取り出された電圧を増幅するものである。また、反転部16は、スイッチ部13,14による電流及び電圧の切り換えのうち、第1期間と第2期間の切り換えに同期して、増幅部15からの電圧の極性を反転させるものである。また、積分部17は、反転部16による極性の反転により取り出された電圧を積分するものである。
【0036】
図7(a)乃至(h)は、図6に示した本実施形態に係る磁気検出装置のスイッチ部による各チョッパー位相におけるホールセンサの接続状態を示す図である。
第1及び第2のスイッチ部13,14は、第1期間において、ホールセンサ11の第1の端子からこの第1の端子に対向する第2の端子に向かって電流が流れるように、バイアス生成部12と第1及び第2の端子とを接続し、かつ、ホールセンサ11の第3の端子及びこの第3の端子に対向する第4の端子を差動増幅部15の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第1の切り換え(図7(a))と、第3の端子から第4の端子に向かって電流が流れるように、バイアス生成部12と第3及び第4の端子とを接続し、かつ、第2及び第1の端子を差動増幅部15の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第2の切り換え(図7(b))と、第2の端子から第1の端子に向かって電流が流れるように、バイアス生成部12と第2及び第1の端子とを接続し、かつ、第4及び第3の端子を差動増幅部15の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第3の切り換え(図7(c))と、第4の端子から第3の端子に向かって電流が流れるように、バイアス生成部12と第4及び第3の端子とを接続し、かつ、第1及び第2の端子を差動増幅部15の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第4の切り換え(図7(d))とを行うように構成されている。
【0037】
また、第1及び第2のスイッチ部13,14は、第2期間において、第1の端子から第2の端子に向かって電流が流れるように、バイアス生成部12と第1及び第2の端子とを接続し、かつ、第4及び第3の端子を差動増幅部15の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第5の切り換え(図7(e))と、第3の端子から第4の端子に向かって電流が流れるように、バイアス生成部12と第3及び第4の端子とを接続し、かつ、第1及び第2の端子を差動増幅部15の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第6の切り換え(図7(f))と、第2の端子から第1の端子に向かって電流が流れるように、バイアス生成部12と第2及び第1の端子とを接続し、かつ、第3及び第4の端子を差動増幅部15の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第7の切り換え(図7(g))と、第4の端子から第3の端子に向かって電流が流れるように、バイアス生成部12と第4及び第3の端子とを接続し、かつ、第2及び第1の端子を差動増幅部15の正入力端子及び負入力端子にそれぞれ接続する第8の切り換え(図7(h))とを行うように構成されている。
【0038】
このように、第1のスイッチ部13と第2のスイッチ部14の制御を変更することで、ホールセンサ11の端子1乃至4を図7(a)乃至(h)に示すように、0°→90°→180°’→270°’→0°’→90°’→180°→270°の8位相に周期的に切り替えて接続する。
これにより、ホール起電力V1H及びホールセンサ11のオフセット電圧V1Oの加算である第2のスイッチ部14の出力差動電圧Vは、式(10)乃至(17)で表される。0°’、90°’、180°’、270°’は、それぞれ0°、90°、180°、270°とバイアス電流方向が同じで、出力端子を反転させた接続状態に等しい。
【0039】
【数4】
【0040】
差動増幅部15において、一定の倍率Aで第2のスイッチ部14の出力差動電圧Vと差動増幅部15の固有のオフセット電圧V2Oを増幅する。反転部(第3のスイッチ部)16を制御することで、差動増幅部15の出力差動電圧を復調して積分部17に供給する。反転部(第3のスイッチ部)16の出力差動電圧Vは、式(18)乃至(25)で表される。
【0041】
【数5】
【0042】
図8は、図6に示した本実施形態に係る磁気検出装置のスイッチ部による各ブロックの入出力電圧極性を示す図である。ホール起電力V1H、ホールオフセットV1O、差動増幅部15のオフセットV2O及び第3のスイッチ部16で復調されたホール起電力V1H’、ホールオフセットV1O’、差動増幅部15のオフセットV2O’の極性は、図8のようになる。
【0043】
図8よりホール起電力V1Hのチョッパー変調周波数FCHPを維持したまま、ホールセンサ11のオフセット電圧V1Oのチョッパー変調周波数が2倍速くなっていることがわかる。
図9は、図6に示した本実施形態に係る磁気検出装置における積分器の出力波形を示す図である。積分部17にてチョッパー動作をn回繰り返す間、第3のスイッチ部16の出力差動電圧を積分増幅する。積分部17の出力電圧Vは、式(26)で表され、図9のような電圧波形となる。
【0044】
【数6】
【0045】
つまり、第1及び第2のスイッチ部13,14は、第1の期間のおける切り換えをn回(nは2以上の整数)繰り返し行い、第2の期間における切り換えをn回繰り返し行い、反転部16は、差動増幅部15からの電圧の極性を、第1期間と第2期間の切り換えに同期して反転させる。
【0046】
本発明の他の実施形態に係る磁気検出装置は、磁気を検出するホールセンサ11と、このホールセンサ11を駆動するバイアス生成部12と、ホールセンサ11の4つの端子のうちの対向する2つの端子に対してバイアス生成部12からの電流の向きを切り換え、かつ、この電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換える第1及び第2のスイッチ部13,14と、この第1及び第2のスイッチ部13,14による切り換えにより取り出された電圧を増幅する差動増幅部15と、この差動増幅部15からの電圧の極性を反転させる反転部16と、この反転部16による極性の反転により取り出された電圧を積分する積分部17とを備え、ホールセンサ11のホールオフセット電圧の極性を交番するときの動作周波数が、ホールセンサ11のホール起電力の極性を交番するときの動作周波数よりも2n倍(nは1以上の整数)となるように構成されている。
【0047】
以上のように、図4図9のV1O_INT波形で比較できるように、ホールセンサ11のオフセット電圧V1Oのチョッパー変調周波数FCHPを2倍に速くすることで、積分部17におけるホールセンサ11のオフセット電圧V1Oの積分部17の増幅度を半分に抑制できる。これにより、積分部17の出力動作電圧範囲が抑制されるため、この抑制された分だけ積分部17の増幅度を大きくすることが可能となる。かつ、ホール起電力V1Hのチョッパー変調周波数をFCHPnに維持しているため、ホール起電力V1Hの差動増幅部15におけるセトリングエラーというデメリットを解消できる。したがって、S/N劣化や、積分部17の出力電圧Vの温度変動度の増大を招かないという効果を奏する。
【0048】
図10は、本発明におけるホールセンサのノイズに対するチョッパー変調伝達関数の周波数特性を示す図である。ホールセンサ11のチョッパー変調周波数を速くすることで、ホールセンサのノイズに対するチョッパー変調伝達関数の周波数特性は、図10に示すように、より高域に変調される。したがって、後段の積分部ローパスフィルタ特性などによるノイズ抑制効果を高めることが可能となる。また、ホールセンサ11の素子ノイズが系全体のノイズに対して支配的であった場合、本発明により系全体のノイズをより小さく抑制することができる。
【0049】
上述した以外の組み合わせでも、0°、90°、180°、270°の位相状態と、バイアス電流方向が同じで出力端子が反転した0°’、90°’、180°’、270°’の位相状態を第3のスイッチ回路16における復調1周期中に組み合わせることで同様の効果を得られる。例えば、0°→270°’→90°→180°’→0°’→270°→180°→90°’などの組み合わせが考えられる。
【0050】
また、0°→90°→180°’→270°’動作をa回繰り返した後、0°’→90°’→180°→270°動作をa回繰り返すことで、ホール起電力V1Hのチョッパー変調周波数FCHPに対してホールセンサ固有のオフセット電圧V1Oのチョッパー変調周波数を2a倍まで速くすることができ、上述した効果をより高めることが可能となる。
このように、ホールセンサのオフセット電圧のチョッパー変調周波数を速くすることで、積分部におけるホールセンサのオフセット電圧の積分部の増幅度を抑制し、積分部における動作電圧範囲を大幅に抑制することができるような磁気検出装置を実現することができる。
【0051】
なお、上述した本発明の実施形態では、積分部17は反転部16による極性の反転により取り出された電圧を積分するものであるが、これに限るものではなく、積分部17による増幅部15からの電圧の積分後、反転部16により電圧の極性を反転させてもよい。
また、上述した本発明の実施形態では、バイアス生成部12によりホールセンサ11を電流駆動するものであるが、これに限るものではなく、バイアス電圧生成部によりホールセンサ11を電圧駆動するものでもよい。
【0052】
図11は、本実施形態に係る磁気検出方法を説明するためのフローチャートを示す図である。本発明の磁気検出方法は、まず、第1期間において、ホールセンサ11のホール起電力の極性は第1の極性で、ホールセンサ11のホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、ホールセンサ11の4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、かつ、この電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換える(ステップS1)。
【0053】
次に、第2期間において、ホールセンサ11のホール起電力の極性が第1の極性とは逆の極性の第2の極性で、ホールセンサ11のホールオフセット電圧の極性が4回交番するように、ホールセンサ11の4つの端子のうちの対向する2つの端子に対して電流の向きを切り換え、かつ、この電流の向きに直交する方向にあって対向する2つの端子に対して取り出す電圧の向きを切り換える(ステップS2)。
【0054】
次に、切り換えにより取り出された電圧を増幅する(ステップS3)。次に、電流及び電圧の切り換えのうち、第1期間と第2期間の切り換えに同期して、増幅された電圧の極性を反転させる(ステップS4)。次に、反転により取り出された電圧を積分する(ステップS5)。
このように、ホールセンサのオフセット電圧のチョッパー変調周波数を速くすることで、積分部におけるホールセンサのオフセット電圧の積分部の増幅度を抑制し、積分部における動作電圧範囲を大幅に抑制することができるような磁気検出方法を実現することができる。
【符号の説明】
【0055】
1,11 ホールセンサ
2 バイアス電流生成回路
3 第1のスイッチ回路
4 第2のスイッチ回路
5 差動増幅器
6 第3のスイッチ回路
7 積分器
8 スイッチ制御回路
12 バイアス生成部
13 第1のスイッチ部
14 第2のスイッチ部
15 差動増幅部
16 反転部(第3のスイッチ部)
17 積分部
18 スイッチ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11