(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695943
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】真空処理装置用の端子ユニット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20150319BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20150319BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20150319BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
H02G3/22 D
F16J15/06 C
F16J15/06 P
H01L21/302 101G
H01L21/205
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-54466(P2011-54466)
(22)【出願日】2011年3月11日
(65)【公開番号】特開2012-191799(P2012-191799A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健二
(72)【発明者】
【氏名】竹永 勝成
【審査官】
梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−245036(JP,A)
【文献】
特開平08−082371(JP,A)
【文献】
特開2004−308761(JP,A)
【文献】
実公昭39−029491(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
F16J 15/06
H01L 21/205
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透孔を有する真空隔壁と、
前記真空隔壁の片面に接合され、前記透孔に連通する開口を有する絶縁体と、
前記絶縁体表面に接合され、前記透孔に連通する他の開口を有する導体と、
前記導体またはこの導体表面に更に接合される、前記透孔に連通する開口を有する絶縁体のいずれか一方の表面に接合され、絶縁体と導体との両開口から透孔に至る空間を閉鎖する蓋体とを備え、
前記導体は、その内周縁部に内方に向かって突設した第1の舌片と、その外周縁部に外方に向かって突設した第2の舌片とを備えることを特徴とする真空処理装置用の端子ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の真空処理装置用の端子ユニットであって、前記絶縁体と前記導体とが交互に複数枚積み重ねて接合されたものにおいて、一の導体に形成された第1の舌片及び第2の舌片と、他の導体に形成された第1の舌片及び第2の舌片とを周方向で相互にずらしたことを特徴する真空処理装置用の端子ユニット。
【請求項3】
前記真空隔壁は、真空チャンバに設けられた接続ポートに着脱自在に装着される真空フランジであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空処理装置用の端子ユニット。
【請求項4】
真空処理装置の端子ユニットの製造方法であって、
透孔を有する真空隔壁の片面に、透孔に通じる開口を有する環状の絶縁体を接合する工程と、
前記絶縁体表面に前記透孔に通じる他の開口を有し、その内周縁部と外周縁部とに夫々突設した舌片を備えた環状の導体を接合する工程と、
導体表面に、絶縁体と導体との両開口から透孔に至る空間を閉鎖する蓋体と接合する工程と、を含むことを特徴とする真空処理装置用の端子ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空チャンバの壁面や真空フランジ等の真空隔壁に設けられる真空処理装置用の端子ユニット
及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、真空成膜装置やエッチング装置等の真空処理装置では、真空チャンバ内の気密性を保持しつつ、真空チャンバ内に設けられるモータ、ヒータやカソードユニット等の部品に対して給電し、または、センサ(例えば、熱電対)等の部品との間で電気信号を送受信するため、接続用の端子が真空チャンバ壁面に設けられている。そして、真空チャンバ壁面の内外に突出する端子の両端に、大気側の部品からの配線と、真空中の部品からの配線とを夫々接続することで、大気側の部品と真空中の部品との間での給電や信号の送受信等を可能にしている。
【0003】
従来、このような接続用の端子として、真空チャンバ壁面に透孔を開設し、この透孔に、絶縁破壊の発生を防止する絶縁座金を、当該絶縁座金と壁面との間にOリングやゴム製のガスケット等の真空シール部品を介在させて真空シールさせて設け、絶縁座金で金属製の棒材等からなる1本の接続端子(電極)を気密保持するものが知られている。また、上記透孔に、金属製の棒材からなる接続端子をガラスで封止してなる所謂ハーメチックシールを溶接したものも知られている(例えば、非特許文献1参照)。なお、真空チャンバ壁面等の真空隔壁に複数の接続端子を備える端子ユニットに係る特許文献は不知である。
【0004】
然しながら、真空チャンバ壁面に透孔を開設し、この透孔に、端子を保持した絶縁座金を挿設していくものでは、給電や信号の送受信に必要となる端子の数だけ透孔を開設したり、絶縁座金や真空シール部品が必要となり、その取付作業が面倒であるばかりか、部品点数が増加してコスト高を招く。その上、真空シールする箇所が増加して気密性が問われる真空チャンバの信頼性が低下する。他方で、ハーメチックシール自体は高価であり、その上、給電や信号の送受信に必要となる端子の数に応じて複数の接続端子を相互に絶縁しつつガラスで封止してハーメチックシールとして構成するのでは、更に専用の冶具や設備等が必要となり、製造コストが多大となる。しかも、真空チャンバへの装着時、ガラスの破損を防止しつつ溶接することが必要となり、その取付作業も面倒である。
【0005】
また、上記従来例のものはいずれも、真空チャンバに一旦装着すると、端子の数を変更したり、または、端子の真空チャンバへの装着位置を変更したりすることが実質的にできず、使い勝手が悪いという問題もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】新版 真空技術読本(オーム社) 81−82頁の記載参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、気密性が問われる真空チャンバの信頼性が高く、作業性よく真空隔壁に設けることができる低コストの真空処理装置用の端子ユニットを提供することをその第1の課題とするものである。また、本発明は、複数の端子を備えることができる低コストの真空処理装置用の端子ユニットを効率よく製作し得る真空処理装置用の端子ユニットの製造方法を提供することをその第2の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の端子ユニットは、透孔を有する真空隔壁と、前記真空隔壁の片面に接合され、前記透孔に連通する開口を有する絶縁体と、前記絶縁体表面に接合され、前記透孔に連通する他の開口を有する導体と、前記導体またはこの導体表面に更に接合される、前記透孔に連通する開口を有する絶縁体のいずれか一方の表面に接合され、絶縁体と導体との両開口から透孔に至る空間を閉鎖する蓋体とを備え、前記導体は、その内周縁部に内方に向かって突設した第1の舌片と、その外周縁部に外方に向かって突設した第2の舌片とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1の舌片に真空中の部品からの配線を接続し、第2の舌片に大気側の部品からの配線を接続すれば、大気側と真空中との部品間での給電や信号の送受信等が可能となる。この場合、第1及び第2の両舌片が部品からの配線が接続される端子の役割を果たし、また、真空隔壁に、各々が所定厚さで板状の絶縁体と導体とを例えばろう付けにより順次接合した構成を採用することで、接合面で真空シールされ、しかも、ハーメチックシールと比較して高い強度を有するようになる。このため、本発明の端子ユニットを真空チャンバに設ける場合でも、気密性が問われる真空チャンバの信頼性は高い。しかも、真空隔壁が真空処理装置のチャンバ壁面である場合、Oリング等の真空シール部品が不要になり、部品点数を減らして低コスト化を図ることができる。
【0010】
この場合、前記絶縁体と前記導体とが交互に複数枚積み重ねて接合されたものにおいて、一の導体に形成された第1の舌片及び第2の舌片と、他の導体に形成された第1の舌片及び第2の舌片とを周方向で相互にずらしておけば、少ない部品点数で相互に絶縁された複数の端子を備えた低コストの端子ユニットを実現でき、有利である。しかも、既に接続済みの配線に干渉することなく、作業性よく他の配線を端子たる両舌片に接続していくことができる。
【0011】
また、本発明においては、真空隔壁は、真空チャンバに設けられた接続ポートに着脱自在に装着される真空フランジとしてもよい。これによれば、簡単な作業で本発明の端子ユニットを真空チャンバに装着することができ、また、真空チャンバに一旦装着した後でも、端子の数の異なる端子ユニットに変更したり、または、真空チャンバへの装着位置を任意に変更したりすることができる。しかも、その取扱いは、通常の真空フランジの取り扱いが同じで容易であり、使い勝手が良い。
【0012】
更に、上記課題を解決するために、本発明は、真空処理装置の端子ユニットの製造方法であって、透孔を有する真空隔壁の片面に、透孔に通じる開口を有する環状の絶縁体を接合する工程と、前記絶縁体表面に前記透孔に通じる他の開口を有し、その内周縁部と外周縁部とに夫々突設した舌片を備えた環状の導体を接合する工程と、導体表面に、絶縁体と導体との両開口から透孔に至る空間を閉鎖する蓋体と接合する工程と、を含むことを特徴とする。これにより、複数の端子を備えることができる低コストの真空処理装置用の端子ユニットを効率よく製作し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の真空処理装置用の端子ユニットを、真空チャンバ壁面に設けた接続ポートに装着した状態で示す断面図。
【
図4】本発明の実施形態の端子ユニットの変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、真空隔壁を真空フランジとした場合を例に、本発明の実施形態の端子ユニットTuを説明する。
【0015】
図1〜
図3を参照して、端子ユニットTuは真空フランジ1に一体に形成されている。真空フランジ1は、真空処理装置の真空チャンバの壁面Cwに設けられたフランジ付きの接続ポートCpに装着自在なものである。真空フランジ1は、例えばステンレス製で、平面視円形で所定厚さの板状部材から構成され、その中央に円形開口(透孔)11を備える。真空フランジ1の片面には、その外周縁部にOリング2が嵌着される環状溝12が形成されている(
図1中、上側)。また、環状溝12の周囲には、周方向に所定間隔で複数の透孔13(本実施形態では6個)が形成されている。そして、この透孔13を介してボルトB及びナットNにより接続ポートCpに密着固定できる。なお、真空フランジ1は、図外のクランプ等で接続ポートCpに装着することもできる。また、以下においては、端子ユニットTuから接続ポートCpに向かう側を上とし、その逆側を下として説明する(
図1参照)。
【0016】
接続ポートCpに装着した場合、大気側に位置する真空フランジ1の他面(
図1中、下側)には、所定の板厚を有する環状の絶縁板3が接続されている。この場合、絶縁板3の中央開口(開口)31は、上記円形開口11と同一径を有し、円形開口11に連通するように中央開口31を円形開口11直下に位置させて接合される。絶縁体3としては、例えばアルミナ等のセラミックスやガラス製のものが用いられ、その板厚は、例えば、給電電圧等を考慮して適宜設定される。また、絶縁体3の真空フランジ1下面への接合方法としては、例えば、銀ろうを用いたろう付けや溶着等が用いられ、接合面がその全面に亘って真空フランジ1に密着し、真空気密に保持されるように両者が接合される。
【0017】
絶縁体3の下面には、所定の板厚を有する環状の導体4が接合されている。導体4の中央開口(他の開口)41は、上記円形開口11と同一径を有し、上記同様、円形開口11に連通するように中央開口41を円形開口11直下に位置させて接合される。導体4としては、例えば、金、銅やアルミニウム製等の比較的伝導率が良い材質のものが用いられ、その板厚は、例えば、給電電圧等を考慮して適宜設定される。また、導体4の絶縁体3下面への接合方法としては、上記同様、銀ろうを用いたろう付けや溶着等が用いられ、接合面がその全面に亘って絶縁体3に密着し、真空気密が保持されるように両者が接合される。
【0018】
また、導体4の内周縁部には、その内方に向かって突設した第1の舌片42が一体に形成され、また、導体4の外周縁部には、その外方に向かって突設した第2の舌片43が一体に形成されている。これら両舌片42、43が、部品からの配線が接続される端子の役割を果たす。第1及び第2の両舌片42、43の長さは、同一であっても、相互に異なる長さであってもよい。また、本実施形態では、第1及び第2の両舌片42、43として平面視長方形のものを導体4と同一平面内に位置するように一体に形成したものを例に説明するが、両舌片42、43の形状はこれに限定されるものではない。例えば、両舌片42、43を別体として導体4の所定位置に取り付けるようにしてもよく、また、両舌片42、43は、その先端部を上方、下方または周方向に屈曲させたL字状のものやZ字状に成形したもの等、種々の形状のものが採用できる。更に、両舌片42、43を形成する方位にも特に制限がなく、例えば、第1及び第2の両舌片42、43を同方位に形成したり、または、180℃間隔で両舌片42、43を形成したりすることができる。他方、真空フランジ、絶縁体3や導体4に形成する開口の輪郭は円形に限られず、どのような形状でもよい。
【0019】
第1及び第2の両舌片42、43にはねじ孔42a、43aが夫々開設され、各ねじ孔42a、43aに、真空側及び大気側の各部品からの配線W1、W2の先端に設けた棒状や平板状の接続端子5a、5bがビス止めされるようになっている。配線W1、W2の接続方法はこれに限定されるものではなく、半田付け等でもよい。接続端子5a、5bとしては、金、銅やアルミニウム製等の比較的伝導率が良い材質のものから構成される。なお、接続端子5は、第1及び第2の両舌片42、43に銀ろうを用いたろう付けや溶着等で接合するようにしてもよい。そして、大気側の部品と真空中の部品との間での給電や信号の送受信等を行うものが複数ある場合には、
図1に示す如く、上記絶縁体3と上記導体4とが交互に複数枚積み重ねられて接合され(
図1に示す実施形態では、4枚の導体4を備える)、導体の数だけ、大気側の部品と真空中の部品との間での給電や信号の送受信が可能となる。
【0020】
また、上記のように、絶縁体3と導体4とを交互に複数枚積み重ねる場合、真空チャンバ内での処理により絶縁破壊を防止する等のため、導体4は、2枚の絶縁体3で挟着されるように構成することが好ましい。そして、最下部に位置する絶縁体3の下面には、両中央開口41、42から透孔たる円形開口11に至る内部空間6の閉鎖する蓋体7が接合される。蓋体7としては、所定の強度を有するステンレス等のブランク材が用いられ、上記同様、銀ろうを用いたろう付けや溶着等が用いられ、接合面がその全面に亘って絶縁体3に密着し、真空気密が保持されるように両者が接合され、上記内部空間6が気密保持できるようになっている。なお、蓋体7を絶縁性材料から構成すれば、最下部に位置する絶縁体3は省略することもできる。
【0021】
上記端子ユニットTuを使用するのに際しては、真空チャンバ壁面Cwの接続ポートCpのフランジ面に、Oリング2を密着させた状態でボルトB及びナットNにより真空フランジ1を装着する。そして、第1の舌片42に、真空チャンバに設けられた図示省略の部品からの配線W1の先端に設けた接続端子5aをビス止めして配線接続する。他方で、第2の舌片43に、図示省略の大気側の部品からの配線W2の先端に設けた接続端子5aをビス止めして配線接続する。これにより、大気側と真空中との部品間での給電や信号の送受信等が可能となる。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態によれば、真空フランジ1に、各々が所定厚さで板状の絶縁体3と導体4とを順次接合した構成を採用することで、接合面で真空シールされ、しかも、ハーメチックシールと比較して高い強度を有するようになる。このため、気密性が問われる真空チャンバの信頼性は高い。また、真空チャンバ壁面Cwの接続ポートCpに装着する際に真空シールを行うOリング2以外に、真空シール部品は必要とせず、少ない部品点数で相互に絶縁された複数の接続端子を備える構成にできるため、低コストを図ることができて有利である。
【0023】
また、真空隔壁を、接続ポートCpに着脱自在に装着される真空フランジ1としたため、簡単な作業で端子ユニットTuを真空チャンバ壁面Cwに装着することができ、しかも、真空チャンバ壁面Cwに一旦装着した後でも、導体の数の異なる端子ユニットTuに変更したり、または、真空チャンバ壁面Cwが複数の接続ポートCpを備える場合には、その装着位置を任意に変更したりすることができ、使い勝手が良い。その上、一の導体4に形成された第1の舌片42及び第2の舌片43と、他の導体に形成された第1の舌片42及び第2の舌片43とを周方向で相互にずらしておけば、既に接続済みの配線W1、W2に干渉することなく、作業性よく他の配線W1、W2を接続していくことができる。
【0024】
以下に、上記真空処理装置用の端子ユニットTuの製作工程の一例を説明する。真空フランジ1として、上面にOリング用の環状溝12が形成された規格品の中央開口付き真空フランジを用意する。次に、円形開口11と夫々同径の中央開口31、41を形成した環状の絶縁体3及び導体4を用意する。そして、円形開口11の直下に中央開口31が位置するように絶縁体3をその全面に亘って接合する。次に、絶縁体4の下面に、円形開口31の直下に中央開口41が位置するように導体4をその全面に亘って接合する。大気側の部品と真空中の部品との間での給電や信号の送受信等を行うものが複数ある場合には、上記手順で任意の枚数で上記絶縁体と上記導体とを交互に複数枚積み重ね、最下層の導体4の下面に絶縁体3を接合する。この場合、
図2に示す如く、例えば4枚の導体4を設ける場合には両舌片42、43が90度間隔で位置するように、一の導体に形成された第1の舌片42及び第2の舌片43と、他の導体に形成された第1の舌片42及び第2の舌片43とを周方向で相互にずらしておく。
【0025】
次に、最下部に位置する絶縁体3の下面に、両中央開口31、41から円形開口11に至る空間6を閉鎖する蓋体7が接合する。接合方法としては、真空フランジ1の片面にその全面に亘ってろう材を設置した後、絶縁体3を設置し、この絶縁体3の表面にろう材をその全面に亘って設置した後、導体4を設置し、最後に、導体の下面にろう材をその全面に亘って設置した後、蓋体を設置する。そして、真空フランジの片面に夫々ろう材を介して絶縁体3と導体4とを積み重ねた状態で公知の構造の真空加熱炉内に収納し、減圧下で所定温度に加熱し、真空フランジ1と絶縁体3とを、並びに、絶縁体3と導体4とを夫々真空ろう付けにより接合する。以上の工程により、規格品の真空フランジ1に一体の端子ユニットTuが製作される。これによれば、低コストかつ使い勝手のよい真空処理装置用の端子ユニットTuを効率よく製作できる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記実施形態では、真空フランジ1に一体に端子ユニットTuを設けたものを例に説明したが、真空チャンバ1の壁面に直接本発明の端子ユニットTuを製作することができる。この場合、真空チャンバの壁面が真空隔壁を構成する。これにより、上記同様、気密性が問われる真空チャンバの信頼性は高い。また、Oリング等の真空シール部品が不要になり、部品点数を減らして低コスト化も図ることができる。
【0027】
また、上記実施形態では、絶縁体3、導体4及び蓋体をろう付けするものを例に説明したが、導体3の数を任意に変更するように構成することもできる。即ち、
図4を参照して上記と同一の部材または要素には同一符号を用いて説明すると、変形例に係るものでは、導体30及び絶縁体40には上下方向に貫通する透孔301、401が、例えば周方向に180度ずらして夫々形成されると共に、導体30及び絶縁体40の上面には透孔301、401の径方向内側に位置させて環状溝302、402が形成されている。蓋体70にもまた、例えば周方向に180度ずらして透孔701が形成されると共に、その上面で透孔701の径方向外側に位置させて環状溝702が形成されている。
【0028】
そして、真空フランジ1の下面所定位置にねじ孔10を開設しておき、各環状溝302、402、702に夫々Oリング20を圧入した状態で、上記実施形態の如く、絶縁体30と導体40とを交互に複数枚積み重ね、最下部に位置する絶縁体30の下面に蓋体70を設置する。この場合、各透孔301、401、701がねじ孔10の直下に位置するようにしておく。そして、各透孔301、401、701内にボルトB1を挿設し、ねじ孔に螺着すると、縁体30、導体40及び蓋体70が相互に密着固定(接合)される。この場合、各透孔301、401を貫通する絶縁カラー80を挿設しておくことが好ましい。他方で、ボルトB1を取り外せば、簡単に分解でき、導体40の数を任意に変更できる。
【0029】
また、上記変形例の如く、導体の数を変更できるようにした場合、配線の接続作業を考慮して、舌片42、43の内周縁部及び外周縁部からの夫々の長さを相互に変化させるようにしてもよい。例えば、部品からの配線W1、W2が向かう方向で比較的に近いものから順次遠くなるのに従い、舌片42、43を長くしておけば、配線作業を効率的に行うことができてよい(
図4参照)。また、特に図示して説明しないが、舌片の先端に、舌片に対して直交する方向にのびる棒状の接続端子を立設し、配線作業を更に効率的に行い得るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
Tu…端子ユニット、1…真空フランジ(真空隔壁)、3…絶縁体、4…導体、31、41…中央開口(開口)、導体42…第1の舌片(端子)、43…第2の舌片(端子)、Cw…真空チャンバの壁面、Cp…接続ポート。