【文献】
Caro P et. al.,Interpretation of the optical absorption spectrum and of the paramagnetic susceptibility of neodymiu,Journal of Chemical Physics,1981年 3月 1日,Vol.74,No.5,2698-2704
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係る光学素子を用いて波長変換及び基本波の除去を行う様子を示す模式図である。
図1に示す光学素子100は、1次整合又は3次整合を用いた擬似位相整合により、入射した光を2倍の周波数となるように波長変換して出射する波長変換素子12と、波長変換素子12から出射される光の光路に配置された無機光学フィルター15とから構成されている。波長変換素子12は、入射光11をSHGにより第2高調波13へと変換するものである。波長変換素子12からの出射光には、入射光である基本波14と、SHGによる第2高調波13の少なくとも2種類の異なる波長の光が混在するが、無機光学フィルター15によって、基本波の混在が十分少ない第2高調波が得られる。
【0016】
波長変換素子12は、Ba
1−y(Mg
1−xZn
x)
1+yF
4(但し、0≦x≦1であり且つ−0.2≦y≦0.2である。)で表される強誘電体フッ化物単結晶からなるものである。また、強誘電体フッ化物は、周波数1Hz以下における抗電界の値が10kV/cm以下である強誘電特性を有するものであるとより好ましい。
【0017】
波長変換素子12を構成する強誘電体フッ化物単結晶として、BaMgF
4を用いる場合について説明する。
【0018】
図2は、BaMgF
4の結晶育成を行う結晶成長炉の構造を示す図である。
図2に示す気密化可能な結晶成長(育成)炉10はSUS製のチャンバー1により水冷2重構造となっている。SUS製のチャンバー1内に、結晶育成を行う容器6と、この容器6を挟んで対向するように設けられた一対のヒーター3とを備えている。容器6内には、BaMgF
4結晶の原料である種結晶5、及び、混合原料4が配置される。
【0019】
容器6は,チャンバー1の底部につながるシャフト7上に載置されることにより、チャンバー1内の所定の高さ位置に配置されている。ヒーター3は、チャンバー1の側壁に沿って形成されており、このヒーター3とチャンバー1の側壁との間には、ヒーター3の熱を遮断するための断熱材2がそれぞれ設けられている。また、チャンバー1の一方の側壁には、チャンバー1内の気体を排出するための排気口8が設けられている。なお、シャフト7は熱による変形を防ぐために水冷されている。
【0020】
結晶成長炉10内で容器6はシャフト7によって上下に、すなわち
図2に示される移動方向軸Dに沿って上下に移動可能である。容器6の外側にあるヒーター3を用いた加熱により、結晶成長炉10には移動方向軸Dに沿って温度勾配が生じる。この温度勾配により結晶成長炉10内は下部より上部の方が高温になる。かかる構造を有する結晶成長炉10を用いた、いわゆる垂直ブリッジマン法により強誘電体フッ化物単結晶を製造できる。
【0021】
容器6としては、垂直ブリッジマン法に用いられるカーボン製又は金属製のるつぼを用いることができる。
【0022】
このような結晶育成炉10を用いてBaMgF
4結晶の製造を行う場合、まず、BaMgF
4を形成するための純度99.9%以上の各原料を準備し、BaMgF
4の化学量論比が得られるようにスカベンジャーとともに混合して、混合原料4を得る。この混合原料4を容器6に入れた後、この容器6をシャフト7上に載せてチャンバー1内に配置する。なお、この際、容器6内には、BaMgF
4の種結晶5を混合原料4よりも底部に入れておく。
【0023】
ここで、チャンバー1は、SUSから構成される水冷二重構造を有していると好ましい。また、シャフト7も、水冷されていると好ましい。これにより、後述する加熱の際の熱によるチャンバー1やシャフト7の変形を防ぐことができる。また、シャフト7を水冷しておくことで、容器6内で凝固した材料から潜熱を効率よく奪うことができる。
【0024】
混合原料4が入った容器6をシャフト7上に配置した後、チャンバー1を閉じ、油回転ポンプや油拡散ポンプ等から構成される真空システムを用いてチャンバー1内を真空にする。次いで、ヒーター3を稼動させてチャンバー1内を昇温していく。結晶育成炉10では、ヒーター3は、低い位置から高い位置に向かって高い温度となるように設定されている。そして、加熱の際には、まず、容器6を低い位置に配置して比較的低い温度で加熱し始める。ここで所定の温度に達したら、容器6を上昇させ、より高い温度で加熱を行う。このようにして加熱温度を徐々に上昇させる。なお、容器6の移動は、シャフト7を上下させることにより行うことができる。
【0025】
容器6の上昇とともに温度が高くなるにつれて、容器6内の混合原料4は、上部から徐々に溶融し始める。さらに容器6を上昇させていき、やがて容器6内の混合原料4と種結晶5との界面が固液界面となる位置に達したら、容器6の上昇を止めて容器内の材料が均一となるまで数時間放置する。所定時間が経過した後、容器6を徐々に降下させることで、これに伴って固液界面が徐々に上方に移動しながら結晶が成長することとなる。
【0026】
このように種結晶を容器の底部に置いて結晶成長させることで、所望の方位の結晶を得ることができる。この際、高温域と低温域の間の温度勾配を維持し、容器の位置を、種結晶の最下部は溶融せずに最上部が溶融する位置にしておく。これにより、溶融せずに残った種結晶と同一の結晶軸方位で成長した単結晶を得ることができる。
【0027】
なお、上記とは別の方法として、容器6を一定の位置に固定し、容器6の周囲の温度を連続的に変化させることで種結晶5の位置から結晶育成を行うこともできる。
【0028】
結晶成長が完了したら徐冷し、室温に達したら、チャンバー1内に不活性ガスを導入する等により復圧し、容器を取り出して、これによりBaMgF
4単結晶を得る。得られた単結晶は、容器6から取り出し、切断成形等を行うことによって、例えばc面に配向した板とすることができる。
【0029】
また、本実施形態において、強誘電体フッ化物単結晶は、単結晶育成方向が結晶軸のa軸、b軸及びc軸のうちのいずれかの方向から±20°以下の範囲であり、単結晶育成方向と、単結晶を育成する領域内の温度勾配方向とが、一致する、若しくは両者のなす角が±20°以下の範囲である環境で育成されたものであることが好ましい。
【0030】
このような単結晶は、容器6の底部に配置されるBaMgF
4の種結晶5の混合原料4と接する側の断面を、種結晶のa面、b面及びc面のうちのいずれかの方位から±20°以下の範囲内とし、かかる断面の方位が単結晶育成方向と一致するように種結晶5を配置することにより、育成することができる。
【0031】
容器6に収容される混合原料4としては、フッ素系化合物としてBaF
2粉体とMgF
2粉体とを、BaMgF
4の化学量論比となるように、1:1のモル比で混合し、さらにスカベンジャーを混合した混合粉体を用いることができる。フッ素系化合物としては、市販のものを用いることができるが、十分な透過率を有する強誘電体フッ化物単結晶を得る観点から、純度99.9質量%以上のものを用いることが好ましい。なお、スカベンジャーとは、フッ素系化合物の粉体中に含まれる微量の酸化物をフッ素化するために加える添加物質である。スカベンジャーを原料に含有させることによって、フッ化物単結晶の着色や内部透過率悪化の要因となる酸化物を除去することができる。しかし、スカベンジャー自身が強誘電体フッ化物単結晶中に残留すると、強誘電体フッ化物単結晶の着色や内部透過率の悪化が生じる。このため、スカベンジャーは、フッ素系化合物に対して0.001〜10質量%の割合で配合することが好ましい。これによって、酸化物を十分に除去しつつ強誘電体フッ化物単結晶中のスカベンジャーの残留量を十分に低減することができる。
【0032】
スカベンジャーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、SnF
2、SbF
3、GaF
3、BiF
3、TiF
3、PbF
2、ZnF
2、ZrF
4及びHfF
4からなる群より選ばれる少なくとも1種のフッ化物を用いることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、結晶成長炉10内を真空としているが、真空に代えて、例えば、炉内の雰囲気をヘリウムガス、アルゴンガス、又は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、水素ガスなどの還元性ガス雰囲気、あるいはCF
4、C
2H
5Fなどのフッ素系ガス雰囲気としてもよい。
【0034】
波長変換素子12は、
図1に示すように、上記で得られるc面に配向した強誘電体フッ化物単結晶からなる板状結晶に対し、例えば周期が20〜80nmとなるように周期分極反転を行うことで形成される。そして、この波長変換素子12の一端から基本波11である光を入射すると、波長変換素子12内の強誘電ドメインが周期的に反転していることによって、この基本波11が擬似位相整合を受け、第2高調波13が発生して、波長変換素子12の他端から出射(出力)される。その結果、波長変換素子12によって、入射した光の周波数の2倍の周波数の光を発生させることができる。
【0035】
このような波長変換素子12は、用途等に応じて種々の波長の光を得る目的で用いることができる。例えば、波長変換素子12は、波長変換して出射される光のうち、少なくとも一つの光の波長が500nm以下であるもの、1500nm以上であるもの、テラヘルツ領域の周波数を有する光を発生するもの、として好適に用いることができる。
【0036】
無機光学フィルター15は、NdF
3単結晶からなるものである。このNdF
3単結晶も、上述したBaMgF
4と同様に、
図2に示す結晶成長炉10を用いて得ることができる。
【0037】
結晶育成炉10を用いてNdF
3単結晶の製造を行う場合、まず、NdF
3単結晶を形成するための純度99.9%以上の各原料を準備し、NdF
3の化学量論比が得られるようにスカベンジャーとともに混合して、混合原料4を得る。この混合原料4を容器6に入れた後、この容器6をシャフト7上に載せてチャンバー1内に配置する。なお、この際、容器6内には、NdF
3の種結晶5を混合原料4よりも底部に入れておく。
【0038】
混合原料4が入った容器6をシャフト7上に配置した後、チャンバー1を閉じ、油回転ポンプや油拡散ポンプ等から構成される真空システムを用いてチャンバー1内を真空にする。次いで、ヒーター3を稼動させてチャンバー1内を昇温していく。結晶育成炉10では、ヒーター3は、低い位置から高い位置に向かって高い温度となるように設定されている。そして、加熱の際には、まず、容器6を低い位置に配置して比較的低い温度で加熱し始める。ここで所定の温度に達したら、容器6を上昇させ、より高い温度で加熱を行う。このようにして加熱温度を徐々に上昇させる。なお、容器6の移動は、シャフト7を上下させることにより行うことができる。
【0039】
容器6の上昇とともに温度が高くなるにつれて、容器6内の混合原料4は、上部から徐々に溶融し始める。さらに容器6を上昇させていき、やがて容器6内の混合原料4と種結晶5との界面が固液界面となる位置に達したら、容器6の上昇を止めて容器内の材料が均一となるまで数時間放置する。所定時間が経過した後、容器6を徐々に降下させることで、これに伴って固液界面が徐々に上方に移動しながら結晶が成長することとなる。
【0040】
このように種結晶を容器の底部に置いて結晶成長させることで、所望の方位の結晶を得ることができる。この際、高温域と低温域の間の温度勾配を維持し、容器の位置を、種結晶の最下部は溶融せずに最上部が溶融する位置にしておく。これにより、溶融せずに残った種結晶と同一の結晶軸方位で成長した単結晶を得ることができる。
【0041】
なお、上記とは別の方法として、容器6を一定の位置に固定し、容器6の周囲の温度を連続的に変化させることで種結晶5の位置から結晶育成を行うこともできる。
【0042】
結晶成長が完了したら徐冷し、室温に達したら、チャンバー1内に不活性ガスを導入する等により復圧し、容器を取り出して、これによりNdF
3単結晶を得る。得られた単結晶は、容器6から取り出し、切断成形等を行うことによって、例えばc面に配向した板とすることができる。
【0043】
また、本実施形態において、NdF
3単結晶は、単結晶育成方向が結晶軸のa軸、b軸及びc軸のうちのいずれかの方向に一致する、又は、結晶軸のa軸、b軸及びc軸のうちのいずれかの方向から±30°以下の範囲であることが好ましい。また、NdF
3単結晶は、単結晶育成方向と、単結晶を育成する領域内の温度勾配方向とが、一致する、若しくは両者のなす角が±30°以下の範囲である環境で育成されたものであることが好ましい。
【0044】
このような単結晶は、容器6の底部に配置されるNdF
3の種結晶5の混合原料4と接する側の断面を、種結晶のa面、b面及びc面のうちのいずれかの方位から±30°以下の範囲内とし、かかる断面の方位が単結晶育成方向と一致するように種結晶5を配置することにより、育成することができる。
【0045】
容器6に収容される混合原料4としては、Ndを含むフッ素系化合物の1種以上からなる粉末、又は係る粉末を固化した単結晶体若しくは多結晶体を含むフッ化物原料と、スカベンジャーとを混合したものが挙げられる。Ndを含むフッ素系化合物としては、例えば、フッ化ネオジム(NdF
3)等が挙げられる。Ndを含むフッ素系化合物としては、市販のものを用いることができるが、十分な透過率を有する強誘電体フッ化物単結晶を得る観点から、純度99.9質量%以上のものを用いることが好ましい。
【0046】
スカベンジャーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、SnF
2、SbF
3、GaF
3、BiF
3、TiF
3、PbF
2、ZnF
2、ZrF
4及びHfF
4からなる群より選ばれる少なくとも1種のフッ化物を用いることが好ましい。スカベンジャーは、上記フッ素物原料に対して0.001〜10質量%の割合で配合することが好ましい。これによって、酸化物を十分に除去しつつNdF
3単結晶中のスカベンジャーの残留量を十分に低減することができる。
【0047】
本実施形態では、結晶成長炉10内を真空としているが、真空に代えて、例えば、炉内の雰囲気をヘリウムガス、アルゴンガス、又は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、水素ガスなどの還元性ガス雰囲気、あるいはCF
4、C
2H
5Fなどのフッ素系ガス雰囲気としてもよい。
【0048】
こうして得られるNdF
3単結晶からなる無機光学フィルター15は、
図1に示すように、波長変換素子12から出射される光の光路に配置される。そして、この無機光学フィルター15によって、波長変換素子12から出射される光に含まれる基本波14が除去され、第2高調波13を十分な出力で得ることができる。
【0049】
本発明に係るNdF
3単結晶からなる無機光学フィルターは、複数の波長の基本波に対して高い遮蔽性を有するとともに、それらの第2高調波に対しては高い透過性を有することができる。これに対して、従来の波長用光学フィルターは、目的の波長領域に対して一定領域のフィルター機能しか有していないため、ある意味で単機能であり、種々のレーザー光に対しては活用しにくいものであった。また、従来の可視域から近赤外域における波長用光学フィルターは、遮光能力が完全なもの、すなわち100%遮光できるものがなく、透過率で1%以下と表記された光学フィルターでも目視で光が確認できるほど、遮光能力が低い水準のものが少なくなかった。このため、従来の可視域から近赤外域における波長用光学フィルターで遮光能力を100%にするには同フィルター材料の厚さを増大させることが必要であった。しかし、このフィルター材料の厚さの増大は、透過率低下によってパスさせるべきSHG光の強度を著しく低下(減衰)させてしまう。
【0050】
本発明の光源は、上述した本実施形態の光学素子に、該光学素子の波長変換素子にレーザー光を入射する固体レーザーを組み合わせることにより、構成することができる。
【0051】
本実施形態において、上記レーザー光の波長が、無機光学フィルターの光透過スペクトルにおいて透過率が3%以下の波長域にあることが好ましい。
【0052】
このようなレーザー光を発する固体レーザーとしては、ルビーレーザー、YAGレーザー、チタンサファイアレーザー等が挙げられる。
【0053】
本実施形態の光源は、安価であり、比較的安定に第2高調波の真空紫外領域での発振が可能であるとの観点から、固体レーザーとしてチタンサファイアレーザーを備えることが好ましい。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0055】
<波長変換素子の作製>
(波長変換素子1)
図2で示した装置を用い、上述したような方法にしたがってBaMgF
4単結晶からなる光学材料を得た。具体的には、まずBaF
2粉末原料(純度99.9%以上)368.91g及びMgF
2粉末原料(純度99.9%以上)131.09gを秤量し(モル比1:1)、これらとスカベンジャーとして1.00gのBiF
3とを混合して混合粉末を得た。カーボン製の容器6に混合粉末を入れ、
図2に示す結晶成長炉10内の下方に容器6を配置した。結晶成長炉10内を10
−3Pa以下まで減圧した後、ヒーター3を1000℃まで加熱し、容器6を徐々に高温域(500℃以上)へ上昇させて混合粉末を融解した。その後、低温域(500℃未満)まで容器6を徐々に降下させることで結晶を成長させ、次いで結晶成長炉10内を徐冷してBaMgF
4単結晶からなる光学材料を得た。
【0056】
得られた光学材料からc面に配向した板状結晶からなる薄いサンプルを採取し、この板状結晶に対し、
図1に示すように周期が20〜80nmとなるように周期分極反転を行って、波長変換素子を形成した。
【0057】
この波長変換素子に対し、Nd:YAGレーザーを用いた波長1064nmの光を基本波11として一端から入射した。その結果、基本波が、波長変換素子内で強誘電ドメインが周期的に反転していることにより擬似位相整合を受けて、第2高調波を発生した。出力された光は、緑色をした波長532nmの光であった。このように、波長変換素子によれば、入射した光の周波数の2倍の周波数の光を発生することが確認された。
【0058】
また、基本波として、チタンサファイアレーザーを用い、同様に波長変換素子の一端から波長812nmの光を入射したところ、出力された光は紫色をした波長406nmの光であった。
【0059】
更に、基本波として、チタンサファイアレーザーを用い、同様に波長変換素子の一端から波長792nmの光を入射したところ、出力された光は緑色をした波長396nmの光であった。
【0060】
<無機光学フィルターの作製>
(フィルター1)
図2で示した装置を用い、上述したような方法にしたがってNdF
3単結晶からなる光学材料を得た。具体的には、まず純度99.99%のNdF
3粉末原料500gを、スカベンジャーとしてのBiF
3の粉末1.0gと混合して混合粉末を得た。カーボン製の容器6に混合粉末を入れ、
図2に示す結晶成長炉10内の下方に容器6を配置した。結晶成長炉10内を10
−3Pa以下まで減圧した後、ヒーター3により結晶成長炉内を昇温し、炉内の低い位置では低温(約500℃以下)に、高い位置では高温(約1500℃)になるように設定した。炉内の高い位置が約1500℃の温度に達したら、高温域へ容器を1.0mm/hの速度で徐々に上昇させていき、容器最上部の原料を溶融させた。更に、容器を上昇させ、容器内の種結晶が固液界面となる位置に達したら、容器の上昇を止めて容器内が均一になるまで12時間静置した。その後、約500℃以下の低温域へ容器を0.5mm/hの速度で降下させていき、固液界面が上へと移動することで結晶を成長させた。次いで、結晶成長炉10内を徐冷し、室温に達したら不活性ガスなどで炉内を復圧した。その後、容器を取出してNdF
3単結晶からなる光学材料を得た。
【0061】
得られた光学材料を切断成形して、c面に配向した厚み1mmの板状結晶からなるフィルターを作製した。
【0062】
図3に、上記で得られたNdF
3単結晶からなるフィルターの光透過スペクトルを示す。
図3の(a)は、200〜450nmにおける光透過スペクトルを示し、
図3の(b)は、400〜900nmにおける光透過スペクトルを示す。
図3の(b)に示す波長域400〜900nmにおける光透過スペクトルには、透過率が1%以下となるA、B、C、Dの4つの領域が存在し、透過率が70%以上の箇所が複数あることが確認された。比較のため、
図4にCaF
2単結晶及びMgF
2単結晶の光透過スペクトルを示す。
図4中、aがMgF
2単結晶のスペクトルを示し、bがCaF
2単結晶のスペクトルを示す。これらの光透過スペクトルには、200〜800nmにおいて透過率が1%以下となる領域が見られない。
【0063】
(フィルターC−1)
Thorlabs製、商品名「Dichronic Color Filters (AdditiveFilters:Red)」(厚み1mmの)を準備した。
【0064】
このフィルターの光透過スペクトルで透過率が1%以下となる領域は、380〜550nmの1領域のみであった。
【0065】
(フィルターC−2)
HOYA Glass製、商品名「Camera Lens Color Filters B−440」(厚み1mmの)を準備した。
【0066】
(実施例1)
図1に示すように波長変換素子1とフィルター1とを配置して、光学素子を作製した。この光学素子の波長変換素子1に対し、Nd:YAGレーザーを用いた波長1064nmの光を基本波として一端から入射し、波長変換素子1の他端からの出力光及びフィルター1を透過した出力光について、真空紫外分光光度計(分光計器社製 KV−201V)により透過率及び第2高調波透過率を測定した。フィルター1の基本波透過率及び第2高調波透過率は、真空紫外分光光度計によりそれぞれ算出した。結果を表1に示す。
【0067】
(実施例2)
レーザー光源としてチタンサファイアレーザーを用い、波長変換素子1の一端から波長812nmの光を入射したこと以外は実施例1と同様にして、基本波透過率及び第2高調波透過率を求めた。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例3)
レーザー光源としてチタンサファイアレーザーを用い、波長変換素子1の一端から波長792nmの光を入射したこと以外は実施例1と同様にして、基本波透過率及び第2高調波透過率を求めた。結果を表1に示す。
【0069】
(比較例1)
フィルター1に代えて、フィルターC−1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、基本波透過率及び第2高調波透過率を求めた。結果を表1に示す。
【0070】
(比較例2)
フィルター1に代えて、フィルターC−1を用いたこと以外は実施例2と同様にして、基本波透過率及び第2高調波透過率を求めた。結果を表1に示す。
【0071】
(比較例3)
フィルター1に代えて、フィルターC−1を用いたこと以外は実施例3と同様にして、基本波透過率及び第2高調波透過率を求めた。結果を表1に示す。
【0072】
(比較例4)
フィルター1に代えて、フィルターC−2を用いたこと以外は実施例2と同様にして、基本波透過率及び第2高調波透過率を求めた。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】