【実施例】
【0034】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
分子生物学的手法は特に断らない限り、Molecular Cloning(Sambrook and Russell, 2001)に依った。
【0035】
以下、参考例1〜9は、キク(chrysanthemum)のフラバノン3-水酸化酵素(F3H)をコードする遺伝子の5'領域(CmF3Hpro)以外のプロモーターを用いた例であり、一方、実施例1〜10は、キク(chrysanthemum)のフラバノン3-水酸化酵素(F3H)をコードする遺伝子の5'領域(CmF3Hpro)に関する例である。
【0036】
参考例1:タバコEF1aプロモーターによるF3',5'H遺伝子の発現
特許文献6に記載されたpBIEF1αを、制限酵素HindIIIとBamHIで消化することにより、タバコEF1αのプロモーター配列を含む約1.2kbのDNA断片を得た。このDNA断片を、特許文献4に記載されたpSPB909のアイリスDFR cDNAの5'側に挿入することによりプラスミドpSFL339を得た。同様に、アイリスDFR cDNAの代わりにペチュニアDFR cDNA(国際公開公報WO 96/36716に記載)を挿入したプラスミドpSFL340も構築した。
【0037】
pSPB176(Plant Science 163, 253-263, 2002に記載)のBamHIとSalI部位に、特許文献4に記載されたpCGP1961からBamHIとXhoIの部分分解で切り出したパンジーF3'5'H 遺伝子BP40の断片を挿入したプラスミドをpSPB575とした。HindIIIとBamHIを用いて、このプラスミドのプロモーター部分を上述のタバコEF1αのプロモーターに入れ替え、pSFL338とした。このAscI部位に、AscIで消化したpSFL339の内、アイリスDFRcDNAを含む断片を挿入した。得られたプラスミドをpSFL346とした。このプラスミドpSFL346は、バンジーのF3'5'HとアイリスのDFR遺伝子をタバコEF1αのプロモーターの制御下で植物において発現させるようにデザインされている。
【0038】
ラベンダーのF3'5'HcDNAを含むプラスミドpLHF8は、国際公開公報WO 04/20637に記載されている。このプラスミドをBamHIとXhoIで消化して得られるDNA断片と、BamHIとSalIで消化して得られるpSPB176のDNA断片の内、分子量の大きなDNA断片とを連結することにより、プラスミドpSPB2772を得た。このプラスミド上において、ラベンダー由来のF3'5'H cDNAはEl2エンハンサーの付加されたCaMV35Sプロモーターに連結されている。このプロモーター部分をHindIIIとBamHIを用いて、上述のタバコEF1αのプロモーターに入れ替え、プラスミドpSPB2778を得た。このAscI部位に、AscIで消化したpSFL340のうちペチュニアDFRcDNAを含む断片を挿入した。得られたプラスミドをpSPB2780とした。このプラスミドpSPB2780は、ラベンダーのF3'5'HとペチュニアのDFR遺伝子をタバコEF1αのプロモーターの制御下で植物において発現させるようにデザインされている。
【0039】
Plant Biotechnol 23, 5-11 (2006)に記載されたプラスミドpSPB748(チョウマメ由来のF3'5'HcDNAがEl2エンハンサーの付加されたCaMV35Sプロモーターに連結されている)のプロモーター部分をHindIIIとBamHIを用いて、上述のタバコEF1αのプロモーターに入れ替え、プラスミドpSPB2777を得た。このAscI部位に、AscIで消化したpSFL340のうちペチュニアDFR cDNAを含む断片を挿入した。得られたプラスミドをpSPB2779とした。このプラスミドpSPB2779は、チョウマメのF3'5'HとペチュニアのDFR遺伝子をタバコEF1αのプロモーターの制御下で植物において発現させるようにデザインされている。
【0040】
上記各プラスミドpSFL346、pSPB2780、及びpSPB2779をアグロバクテリウムに導入し、この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765に導入した。形質転換キクの花弁のアントシアニジンを分析したがデルフィニジンは検出されなかった。
【0041】
参考例2:サイネリアF3',5'H遺伝子プロモーターを導入したキク
青いサイネリアセネッティー(サントリーフラワーズ社)の蕾の花弁から定法に基づいてRNAを抽出した。このRNAから調製したpoly-A + RNAを用いて、ZAP-cDNA(登録商標)Library Construction Kit(ストラタジーン社、製品番号200450)を用いて製造者の推奨する方法に従って、cDNAライブラリーを作製した。このcDNAライブラリーを、DIGシステム(Roche Applied Science社)で標識したチョウマメF3'5'H cDNA(Clitoria ternatea)(Plant Biotechnology 23, 5-11 (2006)参照)を用いて、同社が推奨する方法でスクリーニングを行った。得られた48個のシグナルを示すファージを純化した。これらのファージから製造者(ストラタジーン社)の推奨する方法でin vivo excisionによりプラスミドを得た。
【0042】
これらのプラスミドに含まれるcDNA部分の塩基配列を決定し、DNAデータベースに対してBlast検索を行ったところ、多くのチトクロームP450に相同性を示す遺伝子を得ることができ、これらは8種類に分類することができた。それらの内CYP75Bに分類されると推定されたCi5a18の全塩基配列(配列番号77参照)を決定した。この配列を含むpBluescriptSKII-のプラスミドをpSPB2774とした。
【0043】
同じサイネリアの葉から染色体DNAを抽出し、染色体ライブラリーをλBlueSTAR
TM Xho I Half-Site Arms Kit (Novagen, http://www.merckbiosciences.com/product/69242)を用いて作製した。得られた20万プラークを、DIGで標識したCi5a18 cDNA断片を用いてスクリーニングした。このcDNA断片は、プライマー(Ci5a18F1(配列番号81):5’-CATCTGTTTTCTGCCAAAGC-3’とCi5a18R1(配列番号82):5’-GGATTAGGAAACGACCAGG-3’)を用いてCi5a18を鋳型にして増幅した。得られた17プラークから最終的に4つのプラークを得、これらをin vivo excisionによりプラスミドに変換した。これらのDNA塩基配列を決定したところ、これらは同じ配列を含んでいた。このうちgCi01-pBluestarとしたクローンを以後の実験に供した。gCi01-pBluestarクローン塩基配列を配列番号79に示す。この配列は、サイネリアF3'5'Hのプロモーター活性を持つ配列を含む5'-非翻訳領域、翻訳領域、3'-非翻訳領域を含んでいることが期待された。
【0044】
gCi01-pBluestarからPvuIとEcoRVで切り出される約5.7kbのDNA断片(配列番号80)をDNA blunting kit (TAKARA)を用いて平滑末端化した。このDNA断片をpBinPLUSのSmaI部位にクローニングし、これをpSPB3130と命名した。このバイナリーベクターはT-DNA領域にカナマイシンによる選抜に使用できるnptII遺伝子を有していた。
【0045】
pSPB3130をアグロバクテリウム法によりキク品種94-765に導入した。形質転換キクの花弁のアントシアニジンを分析したが、デルフィニジンは検出されず、花の色も変化しなかった。
【0046】
参考例3:バラカルコン合成酵素遺伝子プロモーターを利用したデルフィニジンの生産
国際特許出願PCT/AU03/01111に記載されているバラ由来のカルコン合成酵素プロモーターにパンジー由来のF3'5'HBP#18遺伝子を連結したバイナリーベクターを構築し、pBRBP18とした。参考例1及び2に記載したように、このバイナリーベクターが含む遺伝子をキク品種キク品種94-765に導入した。形質転換キクの花弁のアントシアニジンを分析したところ、全アントシアニジンに対し最高5.4%のデルフィニジンが検出されたが、花の色に変化は見られなかった。
また、バラカルコン合成酵素遺伝子プロモーターを用いたデルフィニジン生産の例として、表1中、上から9番目に記載するpSPB3325(バラCHSpro::パンジー#18+バラCHSp::キクF3'H IR)が挙げられ、この例では、デルフィニジン生産は最高3.6%であった。
【0047】
参考例4:パンジーF3'5'H遺伝子プロモーターを利用したデルフィニジンの生産
(1)シソアントシアニン3−アシル基転移酵素染色体遺伝子のクローニング
シソにはアントシアニンを葉に蓄積する赤い変種と蓄積しない緑色の変種が知られている。前者の葉から、その染色体DNAを、報告されている方法(Plant Mol Biol. December 1997; 35(6):915-27参照)で調製した。この染色体DNAをSau3AI(TOYOBO社製)で部分分解し、ショ糖密度勾配法により10〜15kbのDNA断片を含む画分を回収した。この断片を、公知の方法を用いてラムダファージベクターの一種であるEMBL3(Promega社製)のBamHI部位に挿入することにより、染色体DNAライブラリーを作製した。得られたライブラリーをシソに由来するアントシアニン3−アシル基転移酵素のcDNAであるpSAT208(Plant Cell Physiol. April 2000; 41(4):495-502参照)をプローブとして用いてスクリーニングした。ライブラリーのスクリーニングは、既に報告されている方法(Plant Cell Physiol. July 1996; 37(5):711-6参照)に拠った。プローブとハイブリダイズしたプラークを純化後、培養し、得られたファージからDNAを調製した。
【0048】
(2)シソアントシアニン3−アシル基転移酵素染色体遺伝子の塩基配列決定
上記で得たDNA10μgをXbaIで消化し、0.7%アガロースゲルで分離した後、ハイボンドN(アマシャム社製)にブロットした。この膜を上記と同じようにハイブリダイズしたところ、約6.8kbのDNA断片がプローブとハイブリダイズすることがわかった。同じDNA20μgをXbaIで消化し、0.7%アガロースゲルで分離した後、約6.8kbのDNA断片を、ジーンクリーンを用いて精製し、XbaIで消化したpBluescriptSKII-と連結した。得られたプラスミドをpSPB513とした。このプラスミドに含まれるシソ由来のDNA配列をプライマーウォーキング法により決定した。その塩基配列を配列番号4に示す。この配列にはアントシアニン3−アシル基cDNAであるpSAT208と高い相同性を示す領域があり、この領域がコードする蛋白質のアミノ酸配列(配列番号6)はpSAT208のコードするアミノ酸配列と比べて19個のアミノ酸残基の置換と2個のアミノ酸の欠失が見られ、イントロンは観察されなかった。また、上記pSAT208と高い相同性を示す領域の配列は、その開始コドンと考えられるATGの上流に3438bpの配列と、その終止コドンと考えられるTAAの下流に2052bpの配列を含んでいた。上記3438bpの配列内には、アントシアニン3−アシル基転移酵素ではない別のオープンリーディングフレーム(ORF、配列番号5)が存在した。この部分を除く、シソアントシアニン3−アシル基転移酵素遺伝子の転写調節領域を増幅するために、以下の実験を行った。
【0049】
(3)シソアントシアニン3−アシル基転移酵素遺伝子の転写調節領域の増幅
1ngのpSPB513を鋳型として2種のプライマー(5’-
AAGCTTAACTATTATGATCCCACAGAG-3’(配列番号7、下線部はHindIIIの認識配列)、5’-
GGATCCGGCGGTGTTGAACGTAGC-3’(配列番号8、下線部はBamHIの認識配列)を用いて、PCR(95℃1分間保持後、52℃1分間、72℃2分間、95℃1分間からなる反応を25サイクル)を行なった。増幅された約1.1kbのDNA断片をHindIIIとBamHIで消化した。
【0050】
特許文献4に記載されたプラスミドpSPB567(El2エンハンサーが付加されたカリフラワーモザイク35Sプロモーターの3'側にパンジー由来のフラボノイド3',5'-水酸化酵素遺伝子が連結され、さらにその3'側にノパリンシンターゼのターミネーターが連結されている)をPacIで消化し、パンジー由来のフラボノイド3',5'-水酸化酵素遺伝子を含むDNA断片をpBin+のPacI部位にクローニングした。得られたプラスミドの内、El2エンハンサーが付加されたカリフラワーモザイク35SプロモーターがpBin+のAscI部位近くに存在するところのプラスミドをpSPB575とした。このプラスミドをHindIIIとBamHIで消化し、これに、前記したシソアントシアニン3−アシル基転移酵素の転写調節領域を含む約1.1kbのDNA断片をHindIIIとBamHIで消化したDNA断片を、挿入した。得られたプラスミドをpSFL205とした。
【0051】
pSFL205をHindIIIとSacIで消化して、約100bpのDNA断片を回収した。このDNA断片と、pSPB513をSacIとXbaIで消化して得られる約4kbのDNA断片と、HindIIIとXbaIで消化したプラスミドpBin+(Transgenic Research 4, 288-290, 1995参照)とを連結して、プラスミドpSPB3311を得た。このプラスミドpSPB3311は、配列番号2に示す塩基配列を含むバイナリーベクターとなっていて、シソアントシアニン3−アシル基転移酵素遺伝子の転写調節領域と該遺伝子の翻訳領域とその3'側の非翻訳領域を含む。
【0052】
(4)pSPB3323の構築
パンジーのフラボノイド3',5'-水酸化酵素遺伝子BP#40(WO 04/020637参照)の転写調節領域をTaKaRa LA PCR
TM in vitro Cloning Kitを用いて、以下のように増幅した。
パンジーの葉からDNA easy plant kit (QIAGEN社)を用いて染色体DNAを調製した。3μgの染色体DNAを制限酵素HindIIIにより消化した。消化したDNAをHindIII末端DNA(TaKaRa LA PCR
TM in vitro Cloning Kitに含まれる)と、Ligation High (TaKaRa)を用いて、16℃で40分間反応させ、連結した。反応液4μlを10μlの水で薄め、連結したDNAを94℃10分間の処理により変性させた後、氷中で冷却した。5pmolのプライマーC1 (5’-GTACATATTGTCGTTAGAACGCGTAATACGACTCA-3’、配列番号9、HindIIIカセット配列の一部の配列でKitに含まれる)と5pmolのプライマーBP40-i5 (5’-AGGTGCATGATCGGACCATACTTC-3’、配列番号10、BP#40の翻訳領域の相補鎖に相当する)を加え、キットのプロトコールに従い、25μlの反応液で、98℃20秒間、68℃で15分間の反応を30回繰り返した。反応液を水で10倍に希釈した。このうち、0.5μlを鋳型として、5pmolのプライマーC2(5’-CGTTAGAACGCGTAATACGACTCACTATAGGGAGA-3’、配列番号11、HindIIIカセット配列の一部の配列でKitに含まれる)と5pmolのプライマー BP40-i7 (5’-GACCATACTTCTTAGCGAGTTTGGC-3’、配列番号12)を含む25μlの反応液で、98℃で5分間反応後、98℃で20秒間、68℃で15分間の反応を30回繰り返した。
【0053】
得られたDNA断片をプラスミドpCR2.1 (Invitrogen社)に導入した。挿入されたDNAの塩基配列を決定したところ、その配列はBP#40のcDNA塩基配列と一致しない箇所が見られた。これはPCRの際にエラーが起こったためと考えられる。エラーのない配列を増幅するために以下の操作を行なった。
約2kbのBP#40の5'-非翻訳領域と200bpの翻訳領域を増幅するために、200ngのパンジーの染色体DNAを鋳型として、50pmolのプライマー BP40-i7 (配列番号12)と50pmolのプライマーBP40 pro-F (5’-ACTCAAACAAGCATCTCGCCATAGG-3’、配列番号13、BP#40遺伝子の5'-非翻訳領域にある配列)を用いて25μlの反応液でPCRを行なった。98℃5分間処理した後、98℃20秒間と68℃15分間からなる反応を30回繰り返した。増幅されたDNA断片をpCR2.1に挿入した。このDNA断片には約2.1kbの5’-非翻訳領域と200bpの翻訳領域が含まれていた。このプラスミドをpSFL614とした。プラスミドpSFL614配列の塩基配列を配列番号14に示す。
【0054】
pSFL614に含まれる約2.1kbの5'-非翻訳領域(BP40pro,配列番号15)をBP#40遺伝子を転写させるために用いた。この際にBamHI部位をNheIに変更した。1ngのpSFL614プラスミドを鋳型とし、50pmolのプライマーBP40pro-HindIII-F (5’-AAG CTT GTG ATC GAC ATC TCT CTC C-3’、配列番号16)と50pmolのプライマーBP40pro-NheI-R (5’-CGA GGC TAG CTA AAC ACT TAT-3’、配列番号17)、Ex-TaqDNAポリメラーゼを加え、25μlの反応液で98℃5分間保持した後、98℃20秒間、68℃15分間の反応を25回繰り返した。増幅したDNA断片をpCR2.1にクローニングした。この配列にPCRによるエラーがないことを、塩基配列を確認することにより決定した。このプラスミドをHindIIIとNheIで消化し、470bpのDNA断片を得た。このDNA断片を断片Aとした。
【0055】
1ngのpSFL614プラスミドを鋳型とし、50pmolのプライマーBP40pro-NheI-F (5’-TTT AGC TAG CCT CGA AGT TG-3’、配列番号18)と50pmolのプライマーBP40pro-BamHI-R (5’-GGA TCC CTA TGT TGA GAA AAA GGG ACT-3’、配列番号19)、Ex-TaqDNAポリメラーゼを加え、25μlの反応液で98℃5分間保持した後、98℃20秒間、68℃15分間の反応を25回繰り返した。増幅したDNA断片をpCR2.1にクローニングした。この配列にPCRによるエラーがないことを、塩基配列を確認することにより決定した。このプラスミドをHindIIIとNheIで消化し、630bpのDNA断片を得た。このDNA断片を断片Bとした。
【0056】
特許文献4に記載されたプラスミドpSPB567をBamHIとHindIIIで消化して生じるDNA断片のうち大きいほうの断片を回収し、上述の断片Aと断片Bとを連結し、pSFL620とした。
pSFL620をPacIで消化後、約3.2kbのDNA断片を回収した。このDNA断片をpBin+のPacI部位に挿入した。得られたプラスミドをpSPB3317とした。上述のpSPB3311をAscIとXbaIで消化して得られる断片を、pSPB3317のAscIとXbaI部位に導入し、得られたプラスミドをpSPB3323とした。
【0057】
(5)シソアントシアニン3−アシル基転移酵素染色体遺伝子とパンジーF3'5'H遺伝子のキクでの発現
上記(4)で調製したpSPB3323をアグロバクテリウムに導入し、このアグロバクテリウムを用いてキク品種94-765(精興園、未発売)を公知の方法により形質転換した。6系統の形質転換系統を取得した。
【0058】
以下の方法で抽出したアントシアニジンの分析を行った。舌状花弁を凍結後に粉砕し、粉砕した花弁50〜100mgを500μLの1%塩酸メタノールで抽出し、この抽出液に500μLの4N塩酸(HCl)を加えて混合し、100℃で1時間、加水分解を行った。分解後の溶液を冷却後、1mlの0.05M トリフルオロ酢酸(TFA)を添加して混合した。次に、この溶液をSep-Pak C18(ミリポア)に添加して加水分解産物を吸着させた。Sep-Pak C18は予め80%アセトニトリル(MeCN)で洗浄後、0.05M TFAで平衡化した。Sep-Pak C18に吸着した加水分解産物を0.05M TFAで洗浄後、さらに20%MeCN, 0.05M TFAで洗浄した後に、80%MeCN, 0.05M TFAで加水分解産物を溶出し、分析サンプルとした。
分析サンプルは、高速液体クロマトグラフィーを用いて以下の条件で分析した。カラムはInertsil ODS-2(粒径5μm, 4.6×250mm, ジーエルサイエンス)を用い、流速0.8ml/minで、移動相は1.5%リン酸を含む、5%酢酸、6.25%アセトニトリルから20%酢酸、25%アセトニトリルの直線濃度勾配20分間の後、1.5%リン酸および20%酢酸を含む25%アセトニトリルで5分間のイソクラティック溶出を行った。検出はAgilent 1100 シリーズ ダイオードアレイ検出器(ジーエルサイエンス)を用い、250nmから600nmの波長領域を検出し、530nmの吸光度の面積により各アントシアニジンの存在比を求めた。
分析の結果、形質転換体である分析系統1300-3、1300-4、1300-5、及び1300-6において、それぞれ、デルフィニジンが全アントシアニジンの0.9%、0.8%、1.4%、及び0.6%検出された。これは、パンジーのBP#40転写調節領域がBP#40の転写を司ったことを示唆するが、花色の変化にはいたらなかった。
【0059】
参考例5:ハマナスDFRプロモーターを利用したキクにおけるデルフィニジンの生産
ハマナスの染色体DNAライブラリーを、λBlueSTAR
TM Xho I Half-Site Arms Kit (Novagen, http://www.merckbiosciences.com/product/69242)を用いて、以下のように作製した。ハマナスの若い葉から、Nucleon Phytopure [Registered] (TEPNEL Life Sciences)を用いて染色体DNAを調製した。約100μgの染色体DNAを制限酵素Sau3AIで部分消化した。
このDNA断片をdGTP とdATPの存在下においてDNA polymerase I Klenow fragment (TOYOBO)で部分的にフィルインをし、ショ糖密度勾配遠心により分画した。約13kbの大きさにDNAを回収し、エタノール沈殿により濃縮した。約180ngのDNAを1μL の λBlueSTAR
TM Xho I Half-Site Arms Kitと4℃で15時間連結した後、in vitro packaging反応を行ない、染色体ライブラリーを得た。
【0060】
このライブラリーを栽培バラのDFRcDNA (Plant and Cell Physiology, 36, 1023-1031, 1995)を用いてスクリーニングし、シグナルを示すプラークを得た。このプラークから、製造者(Novagen)が推奨する方法を用いてin vivoの切り出しを行い、プラスミドpSFK710を得た。このプラスミドには前述の栽培バラのDFRcDNAとよく一致するDNA配列が含まれていた。
【0061】
このプラスミドからDFR翻訳配列の5'-非翻訳領域を得、異種の遺伝子と連結が容易にできるように、PCRを行うことにより、1つのEcoRI認識配列をNheI認識配列に変異させ、HindIIIとBamHI認識配列を付加した。まず、pSFL710を鋳型に、各25pmolのプライマーDFRproHindIIIF (5’-TAATAAGCTTACAGTGTAATTATC-3’、配列番号20)とDFRproNheIR (5’-TTATGCTAGCGTGTCAAGACCAC-3’、配列番号21)と酵素ExTaq DNA Polymerase (TOYOBO) を用いて50μLの反応液でPCRを行なった。PCRの反応条件は、94℃5分反応後、94℃30秒間、50℃30秒間、72℃30秒間を1サイクルとする反応を30回繰り返し、さらに72℃で7分間保持した。これにより、約350bpのDNA断片Aを得た。同様に、pSFL710を鋳型に、各25pmolのプライマーDFRproNheIF (5’-ACACGCTAGCATAAGTCTGTTG-3’、配列番号22)とDFRproBamHI-R (5’-GCTTGGGGATCCATCTTAGG-3’、配列番号23)、酵素ExTaq DNA Polymerase (TOYOBO) を用いて50μLの反応液でPCRを行なった。PCRの反応条件は、94℃5分間反応後、94℃30秒間、50℃30秒間、72℃30秒間を1サイクルとする反応を30回繰り返し、さらに72℃で7分間保持した。これにより600bpのDNA断片Bを得た。
【0062】
特許文献4に記載されたpSPB567(El2エンハンサーが付加されたCaMV35Sプロモーター、パンジーのF3'5'HBO#40、ノパリンシンターゼターミネーターを含むプラスミドpUC)をBamHIで消化し、HindIIIで部分消化することにより、El2エンハンサーが付加されたCaMV35Sプロモーターを除いた断片と、断片AをHindIIIとNheIで消化した断片と、断片BをNheIとBamHIで消化した断片とを連結し、プラスミドpSFL721 (R. rugosa DFR 5':BPF3'5'H#40: nos 3'の発現カセットを含む)を得た。このプラスミドをPacIで消化して得られる発現カセットを、pBinPLUSのPacI部位に導入することにより、pSFL724とした。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、品種94-765から組換えキクを得た。花弁でアントシアニジン全量のうち0.6%程度のデルフィジンを生産している系統があった。
また、ハマナスDFRプロモーターを用いた他の参考例は、表1中、上から2番目(pSPB3316(ハマナスDFRpro::パンジー#40+バラANSpro::トレニア5GT、デルフィニジン生産系統無し)と5番目(pSPB3325(ハマナスDFRpro::パンジー#40+リンドウ3'GTpro::トレニアMT、デルフィニジン最高0.9%)がある。いずれも花色の変化には至らなかった。
【0063】
参考例6:ハマナスF3Hプロモーターを利用したキクにおけるデルフィニジンの生産
参考例5で作製したハマナス染色体DNAライブラリーをトレニアのフラバノン3-水酸化酵素(F3H) cDNA (NCBI No. AB211958)によりスクリーニングし、シグナルを示すプラークを得た。そのうち1プラークについて参考例5と同様にプラスミドに変換した。これを制限酵素SpeIで消化し、2.6kbのDNA断片を回収し、pBluescript SKII- (STRATAGENE)のSpeI部位にサブクローングすることにより、プラスミドpSPB804を得た。このプラスミドはF3Hに相同性を示す塩基配列を有していた。
【0064】
F3Hの5'-非翻訳領域を増幅するために、1ngのpSPB804を鋳型に、プライマーRrF3H-F (5’-AAGCTTCTAGTTAGACAAAAAGCTA-3’、配列番号24)、プライマーRrF3H (5’-GGATCCTCTCTTGATATTTCCGTTC-3’、配列番号25)、及びEx-Taq DNA Polymerase (TOYOBA)を用いて50μLの反応液でPCRを行なった。PCRの反応条件は、94℃5分間反応後、94℃30秒間、50℃30秒間、72℃30秒間を1サイクルとする反応を30回繰り返し、さらに72℃で7分間保持した。得られたDNA断片をpCR-TOPO (INVITROGEN)に挿入し、プラスミドpSPB811を得た。このプラスミドからは、HindIIIとBamHIを用いて約1.2kbのF3Hの5'-非翻訳領域を回収できる。参考例5で述べたように、pSPB567のプロモーター部分をHindIIIとBamHIを用いて約1.2kbのF3Hの5'-非翻訳領域に置き換えて、プラスミドpSFL814 (R. rugosa F3H 5': BPF3'5'H#40: nos 3'を含む)を得た。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、品種94-765から組換えキクを3系統得たが、花弁でデルフィニジン生産が見られた系統はなかった(表1参照)。
【0065】
参考例7:pBINPLUS ハマナスF3Hpro::ADHNF-パンジーF3'5'H#40:: NOSterの作製
pSFL814(参考例6)を鋳型に、ADH-BP40-Fd(5'-CAAGAAAAATAAATGGCAATTCTAGTCACCGAC-3'、配列番号26)とNcoI-BP40-Rv(5'-CTCGAGCGTACGTGAGCATC-3'、配列番号27)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片、及びpBI221 ADH-221を鋳型にBamHI-ADH-Fd(5'-CGCGGATCCGTCTATTTAACTCAGTATTC-3'、配列番号28)とBP40-ADH-Rv(5'-TAGAATTGCCATTTATTTTTCTTGATTTCCTTCAC-3'、配列番号29)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片を混合して鋳型に用い、BamHI-ADH-Fd(5'-CGCGGATCCGTCTATTTAACTCAGTATTC-3'、配列番号30)とNcoI-BP40-Rv(5'-CTCGAGCGTACGTGAGCATC-3'、配列番号31)をプライマーに用いて、PCRにより、タバコADH-5'UTR 94bpがパンジーF3'5'H#40の開始コドンに直結したDNA断片を得た。
【0066】
このDNA断片をpCR2.1にTAクローニングした後に、BamHI及びNcoIで消化して得られる約600bpのDNA断片と、pSFL814をBamHI及びNcoIで消化して得られるバイナリーベクター断片とを連結させることにより、pBinPLUS ハマナスF3Hpro::ADHNF-パンジーF3'5'H#40:: NOSterを得た。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の得られた形質転換体4系統のうちでデルフィニジンが検出された個体はなかった(表1参照)。
【0067】
参考例8:pBIN19バラCHSpro::ADH-パンジーF3'5'H#18::NOSterの作製
pBI221 ADH221を鋳型に、ADH KpnI Forward (5'-CGGTACCGTCTATTTAACTCAGTATTC-3'、配列番号32)とGUS19R(5'-TTTCTACAGGACGTAACATAAGGGA-3'、配列番号33)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片を、KpnIとSmaIで消化して約110bpのタバコADH-5'UTR DNA断片を得た。このDNA断片と、pBRBP18(pBIN19上にバラCHSpro::パンジーF3'5'H#18::NOSterの発現カセットを入れたもの)をKpnIとSmaIで消化して得られるバイナリーベクターのDNA断片を連結して、pBIN19バラCHSpro::ADH-パンジーF3',5'H#18::NOSterを得た。このプラスミドでは、タバコADH-5'UTRとパンジーF3'5'H#18の間に38bのスペーサーが存在する。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキク30系統を得た。このうち5系統の花弁でデルフィニジンが検出され、デルフィニジン含有率は1.9%に達した。しかし、花色の変化は見られなかった。
【0068】
参考例9:pBI121-バラCHSpro::ADHNF-パンジーF3'5'H#40::NOSterの作製
pBRBP18(参考例3)を鋳型に、HAPS-RhCHSpro3k-Fd(5'-CCAAGCTTGGCGCGCCTTAATTAAATTTAAATCAGCAAGAGTTGAAGAAATAG-3'、配列番号85)とNS-RhCHSpro3k-Rv(5'-AAAGCTAGCACTAGTCATCTCGGAGAAGGGTCG-3'、配列番号86)をプライマーとして用い、Pyrobest Polymerase(Takara)を用いたPCRにより得られたDNA断片を、HindIIIとNheIで消化し、pBI121 ADHNFをHindIIIとXbaIで消化して得られるバイナリーベクターの断片と連結することにより得られたバイナリーベクターをpBI121-RhCHSp-GUS-NOStとした。
pBI121-RhCHSp-GUS-NOStをSpeIおよびEcoICRIで消化して得られるバイナリーベクターの断片に、実施例10で得られたpCR-ADHBP40-SpeSacをSpeI及びEcoICRIで消化して得られるADHNF-パンジーF3'5'H #40 DNA断片を、連結して、pBI121-バラCHSpro::ADHNF-パンジーF3'5'H#40::NOSterを得て、Agrobacterium tumefaciens EHA105株に形質転換した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキク19系統を得たが、デルフィニジンが検出された個体はなかった。
【0069】
実施例1:キクのフラバノン3-水酸化酵素遺伝子のプロモーター領域のクローン化
キクのフラバノン3-水酸化酵素遺伝子(F3H)cDNA断片を用いたゲノミックライブラリのスクリーニングにより得られた、F3Hのプロモーター領域を含むDNA断片をサブクローニングして得られたpBluescript SK
- gF3H9(菅野ら(2001)園学雑70(別2)193、配列番号35)を鋳型に、HANS-F3Hpro1k-Fd (5'-CCAAGCTTGGCGCGCCGCGGCCGCATTTAAAT
TTACAAAACCATGTGCAAGAATG-3'、配列番号36、下線部はF3Hのプロモーター領域を含むDNAとアニールする配列)と、SNM-F3Hpro-Rv(5'-ACTAGTGCTAGCACGCG
TTTTTTATTTTTTCTTCACACACTTG-3'、配列番号37、下線部はF3Hのプロモーター領域を含むDNAとアニールする配列)をプライマーに用いてPCRにより増幅したDNA断片をpCR2.1(Invitrogen)にクローニングして、pCR HANS-CmF3Hp1k-NSを得た。また、HANS-F3Hpro1k-Fdと、NSM-F3Hpro-Rv(5'-GCTAGCACTAGTACGCG
TTTTTTATTTTTTCTTCACACACTTG-3'、配列番号38、下線部はF3Hのプロモーター領域を含むDNAとアニールする配列)をプライマーに用いてPCRにより増幅したDNA断片をpCR2.1にクローニングして、pCR HANS-CmF3Hp1k-SNを得た。HANS-F3Hpro1k-FdとBclI-CmF3Hp-Rv(5'-TTTTGATCA
TTTTTTATTTTTTCTTCACACAGTG-3'、配列番号39、下線部はF3Hのプロモーター領域を含むDNAとアニールする配列)をプライマーに用いてPCRにより増幅したDNA断片をpCR2.1にクローニングしてpCR HANS-CmF3Hp1k-BclIを得た。さらに、pBI121 ADHNF(Satoh J. et al., (2004) J Biosci Bioengineer)をHindIII及びXbaIで消化して得られるバイナリーベクター断片とpCR HANS-CmF3Hp1k-SNをHindIII及びNheIで消化して得られる約1.1kbのキクF3HプロモーターDNA断片を連結することにより、pBI121 HANS-CmF3Hp1k-Sを得た。
【0070】
別の長さのプロモーター領域を次のように増幅した。
pBluescript SK- gF3H9を鋳型に、HANS-F3Hpro500-Fd(5'-CCAAGCTTGGCGCGCCGCGGCCGCATTTAAAT
TACTGTTCGAACCTACAAAGG-3'、配列番号83、下線部はF3Hのプロモーター領域を含むDNAとアニールする配列)と、MX-F3Hpro-Rv(5'-TTTCTAGAACGCGT
TTTTTATTTTTTCTTCACACACTTG-3'、配列番号84、下線部はF3Hのプロモーター領域を含むDNAとアニールする配列)をプライマーとして用いてPCRにより増幅したDNA断片をpCR2.1にクローニングして、pCR HANS-CmF3Hpro500-Xを得た。また、pBI121 ADHNFをHindIIIとXbaIで消化して得られるバイナリーベクターの断片と、pCR HANS-CmF3Hpro500-XをHindIII及びXbaIで消化して得られる約500bpのキクF3HプロモーターDNA断片を連結することにより、pBI121 HANS-CmF3Hp500-Xを得た。
【0071】
実施例2:pBI121 キクF3Hpro1k::ADHNF-カンパニュラF3'5'H::NOSterの作製
DNAデータベースGenBankに登録されているカンパニュラ(Campanula medium)のF3'5'HcDNA(アクセション番号D14590)の翻訳配列に基づいて2種のプライマーCamF1 (5’-GTGAAGCCACCATGTCTATAG-3’、配列番号49)とCamR1 (5’-GCATTTGCCTAGACAGTGTAAG-3'、配列番号50)を合成した。市販のカンパニュラの蕾の花弁からRNeasy Mini Plant Kit (QIAGEN社)を用いてRNAを抽出し、RT-PCRキットを用いて1st strand DNAを合成した。この1st strand DNAを鋳型に、プライマーを用いてPCRを実施した。得られたDNA断片をpCR-TOPO IIにクローニングした。この内、クローン#4(pSPB2561とした)の塩基配列を配列番号51と決定した。
【0072】
以下の様にタバコADH-5'UTR 94bpとF3'5'H遺伝子を連結したベクターを構築した(
図4)。なお、後述の実施例についても同様に行った。
pSPB2561を鋳型に、ADH-Campa-Fd(5'-CAAGAAAAATAAATGTCTATAGACATAACCATTC-3'、配列番号53)とHpaI-Campa-Rv(5'-GTTAACATCTCTGGCACCACC-3'、配列番号54)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片、並びにpBI221 ADH-221を鋳型に、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)とCampa-ADH-Rv(5'-GTCTATAGACATTTATTTTTCTTGATTTCCTTCAC-3'、配列番号55)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片の二種類を混合して鋳型に用い、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)とHpaI-Campa-Rv(5'-GTTAACATCTCTGGCACCACC-3'、配列番号56)をプライマーに用いてPCRにより、タバコADH-5'UTR 94bpがカンパニュラF3'5'Hの開始コドンに直結したDNA断片を得た。このDNA断片をpCR2.1にTAクローニングした後にXbaIとHpaIで消化して得られる約650bの断片と、pSPB2561をXbaIとHpaIで消化して得られるベクター断片とを連結してpCR ADHNF-Campanula F3'5'Hを得た。
【0073】
次に、pCR ADHNF-Campanula F3'5'HをKpnIで消化した後に、Blunting High (TOYOBO)で平滑末端化し、さらに、XbaIで消化して得られた約1.7kbのDNA断片と、pBI121 HANS-CmF3Hp1k-SをSpeI及びEcoICRIで消化して得られるバイナリーベクター断片とを連結することにより、pBI121キクF3Hpro1k::ADHNF-カンパニュラF3'5'H::NOSterを得た。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキク48系統を得た。このうち30系統の花弁でデルフィニジンが検出され、デルフィニジン含有率は80.5%に達した。
pBI121キクF3Hpro1k::ADHNF-カンパニュラF3'5'H::NOSterからpSPB3738を構築した。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens AGL0株に導入し、これを用いてキク品種Sei Taitan(精興園)を形質転換した。得られた26系統の組換えキクのうち6系統で花色の変化が見られ、薄層クロマトグラフィーにより、デルフィニジンを検出できた。
【0074】
実施例3:pIG121-Hm-キクF3Hpro1k::ADHNF-トルコギキョウF3'5'H:: NOSterの作製
pBluescript SK
-にクローニングしたトルコギキョウF3'5'H遺伝子(EgF3'5'H, GenBank AB078957)を、XhoIで消化した後に、Blunting High (TOYOBO)で平滑末端化し、さらに、XbaIで消化して得られた約1.9kbのEgF3'5'H DNA断片を、XbaI及びEcoICRIで消化して得られるpIG121-Hmバイナリーベクターの断片に連結することにより、pIG121-Hm 35S::EgF3'5'Hを得た。
次に、pBluescript SK
- EgF3'5'Hを鋳型に、ADH-EgF3'5'H-Fd(5'-CAAGAAAAATAAATGGCTGTTGGAAATGGCGTT-3'、配列番号40)とHpaI-EgF3'5'H-Rv(5'-GTTAACGCTGAGCCTAGTGCC-3'、配列番号41)をプライマーに用いてPCRにより増幅したDNA断片、並びにpBI221 ADH-221(Satoh J. et al., (2004) J Biosci Bioengineer)を鋳型に、XbaI-ADH-Fd(5'-ACGCGTTCTAGAGTCTATTTAACTCAGTATTC-3'、配列番号42)及びEgF3'5'H-ADH-Rv(5'-TCCAACAGCCATTTATTTTTCTTGATTTCCTTCAC-3'、配列番号43)をプライマーに用いてPCRにより増幅したDNA断片の二種類を混合して鋳型に用い、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)及びHpaI-EgF3'5'H-Rv(5'-GTTAACGCTGAGCCTAGTGCC-3'、配列番号44)をプライマーに用いてPCRにより、タバコADH-5'UTR 94bp(Satoh J. et al., (2004) J Biosci Bioengineer)がEgF3'5'Hの開始コドンに直結したDNA断片を得た。このDNA断片をpCR2.1にTAクローニングした後に、XbaI及びHpaIで消化して得られる約1.3kbのDNA断片と、pIG121-Hm 35S::EgF3'5'HをXbaI及びHpaIで消化して得られるバイナリーベクターの断片を連結することにより、pIG121-Hm 35S::ADHNF-EgF3'5'Hを得た。このpIG121-Hm 35S::ADHNF-EgF3'5'HをHindIII及びXbaIで消化して得られる約1.2kbのEgF3'5'HのDNA断片と約15kbのバイナリーベクターのDNA断片、さたにpCR HANS-CmF3Hp1k-MNSをHindIII及びSpeIで消化して得られるDNA断片を連結し、pIG121-Hm キクF3Hpro1k::ADHNF-トルコギキョウF3'5'H::NOSterを得た。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキク5系統を得た。このうち1系統の花弁でデルフィニジンが検出され、デルフィニジン含有率は4.4%であった。
【0075】
実施例4:pBI121 キクF3Hpro1k::ADHNF-ロベリアF3'5'H::NOSterの作製
pBluescript SK
-にクローニングしたロベリアの花弁由来のF3'5'H遺伝子(LeF3'5'H1, GenBank AB221077及びLeF3'5'H4, GenBank AB221078)をKpnIで消化した後に、Blunting High (TOYOBO)で平滑末端化し、さらに、XbaIで消化して得られた約1.9kbのEgF3'5'H DNA断片を、XbaI及びEcoICRIで消化して得られるpIG121-Hmバイナリーベクターの断片に連結することにより、pIG121-Hm 35S::LeF3'5'H1及びpIG121-Hm 35S::LeF3'5'H4を得た。
【0076】
次に、pBluescript SK
- LeF3'5'H1又はpBluescript SK
- LeF3'5'H 4を鋳型に、ADH-LeF3'5'H-Fd(5'-CAAGAAAAATAAATGGACGCGACAWACATTGC-3'、配列番号45)及びHpaI-LeF3'5'H-Rv(5'- GTTAACATCTCGGGCAGCACC-3'、配列番号46)をプライマーに用いてPCRにより増幅したDNA断片、並びにpBI221 ADH-221を鋳型に、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)とLeF3'5'H-ADH-Rv(5'-TGTCGCGTCCATTTATTTTTCTTGATTTCCTTCAC-3'、配列番号47)をプライマーにより増幅したDNA断片の二種類を混合して鋳型に用い、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)及びHpaI-LeF3'5'H-Rv(5'-GTTAACATCTCGGGCAGCACC-3'、配列番号48)をプライマーに用いてPCRにより、タバコADH-5'UTR 94bpがLeF3'5'H1又はLeF3'5'H4の開始コドンに直結したDNA断片をそれぞれ得た。
【0077】
これらのDNA断片をそれぞれpCR2.1にTAクローニングした後に、XbaI及びHpaIで消化して得られる約800bのDNA断片と、pIG121-Hm 35S::LeF3'5'H1又はpIG121-Hm 35S::LeF3'5'H4をXbaI及びHpaIで消化して得られるバイナリーベクターの断片とを、それぞれ連結することにより、pIG121-Hm 35S::ADHNF-LeF3'5'H1及びpIG121-Hm 35S::ADHNF-LeF3'5'H4を得た。これらのバイナリーベクターをXbaI及びEcoRVで消化して得られる約2.6kbのADHNF-LeF3'5'H1::NOSter DNA断片と、pBI121 HANS-CmF3Hp1k-SをSpeI及びEcoICRIで消化して得られるバイナリーベクター断片を連結することにより、pBI121キクF3Hpro1k pro::ADHNF-ロベリアF3'5'H1::NOSter及びpBI121キクF3Hpro1k pro::ADHNF-ロベリアF3'5'H4::NOSterを得た。
pBI121-キクF3Hpro1k::ADHNF-ロベリアF3'5'H1::NOSterを形質転換したアグロバクテリウムを用いて、キク品種'94-765'由来の組換えキク12系統を得たが、デルフィニジンを含有する個体は得られなかった。また、pBI121-キクF3Hpro1k::ADHNF-ロベリアF3'5'H4::NOSterを形質転換したアグロバクテリウムを用いて、キク品種'94-765'由来の組換えキク34系統を得たが、デルフィニジンを含有する個体は得られなかった。
【0078】
実施例5:pBINPLUSキクF3Hpro1k::ADHNF-パンジーF3'5'H#40::NOSterの作製
pCR HANS-CmF3Hp1k-BclIをAscI及びBclIで消化することにより得られる約1.1kbのキクF3HプロモーターDNA断片と、pBinPLUS ハマナスF3Hpro::ADHNF-パンジーF3'5'H#40::NOSTerをAscIとBamHIで消化することにより得られるバイナリーベクターの断片を連結することにより、pBinPLUSキクF3Hpro1k::ADHNF-パンジーF3'5'H#40::NOSterを得た。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキク6系統を得た。このうち4系統の花弁でデルフィニジンが検出され、デルフィニジン含有率は26.8%に達した。
【0079】
実施例6:pBI121 キクF3Hpro1k::ADHNF-シネラリアF3'5'H::NOSterの作製とキクへの導入
参考例2で得たシネラリアF3'5'H(pSPB2774)を鋳型に、ADH-ScF3'5'H-Fd(5'-CAAGAAAAATAAATGAGCATTCTAACCCTAATC-3'、配列番号57)とNdeI-ScF3'5'H-Rv(5'-CATATGTTTAGCTCCAGAATTTGG-3'、配列番号58)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片、並びにpBI221 ADH-221を鋳型にXbaI-ADH-Fd(配列番号42)とScF3'5'H-ADH-Rv(5'-TAGAATGCTCATTTATTTTTCTTGATTTCCTTCAC-3'、配列番号59)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片の二種類を混合して鋳型に用い、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)とNdeI-ScF3'5'H-Rv(5'-CATATGTTTAGCTCCAGAATTTGG-3'、配列番号60)をプライマーに用いてPCRにより、タバコADH-5'UTR 94bpがシネラリアF3'5'Hの開始コドンに直結したDNA断片を得た。このDNA断片をpCR2.1にTAクローニングした後に、XbaIとNdeIで消化して得られたDNA断片と、pSPB2774をXbaIとNdeIで消化して得られたベクター断片とを連結してpBluescript Sk
- ADHNF-シネラリアF3'5'Hを得た。
【0080】
次に、pBluescript Sk
- ADHNF-シネラリアF3'5'HをXbaIとXhoIで消化して得られる約1.7kbのDNA断片とpCR2.1をXbaIとXhoIで消化して得られるベクター断片とを連結して、pCR2.1 ADHNF-シネラリアF3'5'Hを得た。このpCR2.1 ADHNF-シネラリアF3'5'HをXbaIとEcoRVで消化して得られるDNA断片と、pBI121 HANS-CmF3Hp1k-SをSpeI及びEcoICRIで消化して得られるバイナリーベクター断片とを連結することにより、pBI121キクF3Hpro1k::ADHNF-シネラリアF3'5'H::NOSterを得た。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキ50系統を得た。このうち37系統の花弁でデルフィニジンが検出され、デルフィニジン含有率は36.2%に達した。
【0081】
実施例7:pBI121 キクF3Hpro1k::ADHNF-リンドウF3'5'H::NOSterの作製
pBluescript SK
-にクローニングされたリンドウF3'5'H(プラスミドpG48、WO2004/020637に記載)を鋳型にADH-Gentian-Fd(5'-CAAGAAAAATAAATGTCACCCATTTACACCACCC-3'、配列番号61)とSalI-GentianF3'5'H-Rv(5'-GTCGACGCTATTGCTAAGCC-3'、配列番号62)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片、並びにpBI221 ADH-221を鋳型にXbaI-ADH-Fd(配列番号42)とGentian-ADH-Rv(5'-AATGGGTGACATTTATTTTTCTTGATTTCCTTCAC-3'、配列番号63)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片の二種類を混合して鋳型に用い、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)とSalI-GentianF3'5'H-Rv(5'-GTCGACGCTATTGCTAAGCC-3'、配列番号64)をプライマーに用いたPCRにより、タバコADH-5'UTR 94bpがリンドウF3'5'Hの開始コドンに直結したDNA断片を得た。このDNA断片をpCR2.1にTAクローニングした後に、XbaIとSalIで消化して得られる約400bのDNA断片と、pG48をXbaIとSalIで消化して得られるベクター断片とを連結してpBluescript SK
- ADHNF-リンドウF3'5'Hを得た。
【0082】
次に、pBluescript SK
- ADHNF-リンドウF3'5'HをXbaIとXhoIで消化して得られる1.8kbのDNA断片と、pCR2.1をXbaIとXhoIで消化して得られるベクター断片とを連結して、pCR2.1 ADHNF-リンドウF3'5'Hを得た。このpCR2.1 ADHNF-リンドウF3'5'HをXbaIとEcoRVで消化して得られるDNA断片と、pBI121 HANS-CmF3Hp1k-SをSpeIとEcoICRIで消化して得られるバイナリーベクター断片とを連結することにより、pBI121キクF3Hpro1k::ADHNF-リンドウF3'5'H::NOSterを得た。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキク21系統を得たが、デルフィニジンを含有する個体は得られなかった。
【0083】
実施例8:pBI121 キクF3Hpro1k::ADHNF-バーベナF3'5'H::NOSterの作製
pBluescript SK
-にクローニングされたバーベナF3'5'H(pHVF7、Plant Biotechonology 23, 5-11, 2006, DNAデータベースアクセッション番号ABA234898)を鋳型に、ADH-Verbena-Fd(5'-CAAGAAAAATAAATGACGTTTTCAGAGCTTATAAAC-3'、配列番号65)とNcoI-VerbenaF3'5'H-Rv(5'-CCATGGAGTAAATCAGCATCTC-3'、配列番号66)をプライマーとして用いてPCRで増幅したDNA断片、並びにpBI221 ADH-221を鋳型にXbaI-ADH-Fd(配列番号42)とVerbena-ADH-Rv(5'-TGAAAACGTCATTTATTTTTCTTGATTTCCTTCAC-3'、配列番号67)をプライマーとして用いてPCRで増幅したDNA断片の二種類を混合して鋳型に用い、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)とNcoI-VerbenaF3'5'H-Rv(5'-CCATGGAGTAAATCAGCATCTC-3'、配列番号68)をプライマーとして用いたPCRにより、タバコADH-5'UTR 94bpがバーベナF3'5'Hの開始コドンに直結したDNA断片を得た。このDNA断片をpCR2.1にTAクローニングした後に、XbaIとNcoIで消化して得られる約700bのDNA断片と、pHVF7をXbaIとNcoIで消化して得られるベクター断片を連結してpBluescript SK
- ADHNF-バーベナF3'5'Hを得た。
【0084】
次に、pBluescript SK
- ADHNF-バーベナF3'5'HをXbaIとXhoIで消化して得られる1.8kbのDNA断片と、pCR2.1をXbaIとXhoIで消化して得られるベクター断片を連結して、pCR2.1 ADHNF-バーベナF3'5'Hを得た。このpCR2.1 ADHNF-バーベナF3'5'HをXbaIとEcoRVで消化して得られるDNA断片と、pBI121 HANS-CmF3Hp1k-SをSpeIとEcoICRIで消化して得られるバイナリーベクター断片とを連結することにより、pBI121キクF3Hpro1k::ADHNF-バーベナF3'5'H::NOSterを得た。このプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキク17系統を得た。このうち11系統の花弁でデルフィニジンが検出され、デルフィニジン含有率は最高28.4%であった。
【0085】
実施例9:pBI121 キクF3Hpro1k::ADHNF-青キンギョソウF3'5'H::NOSterの作製
Uni-ZAP XR Vector kit (STRATAGENE社)を用いて製造者の推奨する方法により、キンギョソウの一種である(Antirrhinum kelloggii、青キンギョソウ)の蕾から得たmRNAを用いて、cDNAライブラリーを作製した。このライブラリーを参考例2に記載した方法でスクリーニングし、2種類のF3'5'HcDNA#1(配列番号69)とF3'5'HcDNA#12(配列番号71)をそれぞれ含むプラスミドpSPB3145とpSPB3146を得た。
【0086】
pSPB3145又はpSPB3146を鋳型に、ADH-AkF3'5'H-Fd(5'-CAAGAAAAATAAATGCAGATAATAATTCCGGTCC-3'、配列番号73)とNsiI-AkF3'5'H-Rv(5'-ATGCATGTCCTCTAACATGTATC-3'、配列番号74)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片、並びにpBI221 ADH-221を鋳型にXbaI-ADH-Fd(配列番号42)とAkF3'5'H-ADH-Rv(5'-TATTATCTGCATTTATTTTTCTTGATTTCCTTCAC-3'、配列番号75)をプライマーに用いてPCRで増幅したDNA断片の二種類を混合して鋳型に用い、XbaI-ADH-Fd(配列番号42)とNsiI-AkF3'5'H-Rv(5'-ATGCATGTCCTCTAACATGTATC-3'、配列番号76)をプライマーに用いたPCRにより、タバコADH-5'UTR 94bpが青キンギョソウ(Ak)F3'5'H#1又は#12の開始コドンに直結したDNA断片をそれぞれ得た。このDNA断片をpCR2.1にTAクローニングした後に、XbaIとNsiIで消化して得られる約700bのDNA断片と、pSPB3145(pBluescript SK
- AkF3'5'H#1)とpSPB3146(pBluescript SK
- AkF3'5'H#12)をXbaIとNsiIで消化して得られるベクター断片とをそれぞれ連結してpBluescript SK
- ADHNF- AkF3'5'H#1及び#12を得た。
【0087】
次に、pBluescript SK
- ADHNF-AkF3'5'H#1及び#12をXbaIとXhoIで消化して得られる約700bのDNA断片と、pCR2.1をXbaI及びXhoIで消化して得られるベクター断片とを連結してpCR2.1 ADHNF-AkF3'5'H#1及び#12を得た。このpCR2.1 ADHNF-Ak F3'5'H#1及び#12をXbaI及びEcoRVで消化して得られるDNA断片それぞれと、pBI121 HANS-CmF3Hp1k-SをSpeI及びEcoICRIで消化して得られるバイナリーベクター断片とを連結することにより、pBI121キクF3Hpro1k::ADHNF-AkF3'5'H#1::NOSter及びpBI121キクF3Hpro1k::ADHNF-AkF3'5'H#12::NOSterを得た。これらのプラスミドをAgrobacterium tumefaciens EHA105株に導入した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種94-765由来の組換えキク1系統を得た。この系統の花弁でデルフィニジンが検出され、デルフィニジン含有率は2.9%に達した。
【0088】
実施例10:pBI121-キクF3Hpro500::ADHNF-シネラリアF3'5'H::NOSterの作製
実施例1で得られたpBI121 HANS-CmF3Hp500-XをXbaIとEcoICRIで消化し得られるバイナリーベクターのDNA断片と、実施例6で得られたpCR2.1 ADHNF-シネラリアF3'5'HをXbaIとEcoRVで消化して得られる、ADHNF-シネラリアF3'5'HのDNA断とを連結してpBI121-キクF3Hpro500::ADHNF-シネラリアF3'5'H::NOSterを得て、Agrobacterium tumefaciens EHA105株に形質転換した。
この形質転換アグロバクテリウムを用いて、キク品種大平由来の組換えキク7系統を得た。このうち5系統でデルフィニジンが検出され、デルフィニジン含有率は25.5%に達した。