(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一例の真空蒸着装置の構造>
本発明の第一例の真空蒸着装置の構造を説明する。
図1は第一例の真空蒸着装置10
1の内部構成図である。
【0018】
第一例の真空蒸着装置10
1は、真空槽11と、真空槽11内を真空排気する真空排気装置12と、真空槽11内に露出する放出口21a、21bから蒸着材料の蒸気をそれぞれ放出する放出装置20a、20bと、放出口21a、21bと対面する位置に基板を保持する基板保持部15と、放出口21a、21bの上方に配置された膜厚センサ30a
1、30b
1とを有している。符号16は基板保持部15に保持された基板を示している。
本実施例では、第一例の真空蒸着装置10
1は放出装置20a、20bを二個有しているが、放出装置20a、20bの数は二個に限定されず、一個でもよいし三個以上でもよい。
【0019】
放出装置20a、20bは、内部に液体又は気体の蒸着材料が収容される材料容器22a、22bと、材料容器22a、22b内の蒸着材料を加熱する材料加熱装置23a、23bと、材料加熱装置23a、22bに電力を供給する材料加熱用電源25a、25bとをそれぞれ有している。
【0020】
蒸着材料は、振動子31a、31bの融点とホルダ32a、32bの融点の両方よりも蒸発温度が
低い物質が用いられ、本実施例では、有機物と、フッ化リチウム(LiF)と、三酸化モリブデン(MoO
3)のいずれか一種類の物質が用いられる。
【0021】
放出口21a、21bは材料容器22a、22bの一面にそれぞれ設けられており、材料容器22a、22bは放出口21a、21bが設けられた面を上方に向けた状態で、真空槽11内に配置されている。
【0022】
材料加熱装置23a、23bは、本実施例では線状の抵抗加熱ヒーターであり、材料容器22a、22bの外周に巻き回されて取り付けられ、材料容器22a、22bと接触している。材料加熱用電源25a、25bは材料加熱装置23a、23bに電気的に接続され、材料加熱用電源25a、25bから材料加熱装置23a、23bに電力を供給すると、材料加熱装置23a、23bは発熱し、熱伝導により材料容器22a、22bが加熱され、材料容器22a、22b内の蒸着材料が蒸発し、発生した蒸気は放出口21a、21bから放出されるようになっている。
【0023】
なお、材料加熱装置23a、23bは、材料容器22a、22b内の蒸着材料を加熱して蒸発できるならば抵抗加熱ヒーターに限定されず、インダクション加熱装置(誘導加熱コイル)等の他の加熱装置も本発明に含まれる。
【0024】
また、放出装置20a、20bは、放出口21a、21bから蒸着材料の蒸気を放出できるならば上記構成に限定されず、材料容器22a、22bは真空槽11の外側に配置され、真空槽11内には放出口21a、21bが設けられた放出容器が配置され、材料容器22a、22b内と放出容器内とは配管により接続され、材料容器22a、22b内で蒸発材料を蒸発させると、発生した蒸気を配管を介して放出容器内に導入され、放出口21a、21bから放出されるように構成してもよい。
【0025】
放出口21a、21bと対面する位置には、開閉可能なシャッター24a、24bが配置されている。シャッター24a、24bが開状態のときには、蒸着材料の蒸気は放出口21a、21bから真空槽11内に放出される。一方、シャッター24a、24bが閉状態のときには、蒸着材料の蒸気は遮蔽されて真空槽11内に放出されないようになっている。
【0026】
基板保持部15は、放出口21a、21bの上方に配置され、基板16の表面を下方に向けて露出させた状態で、基板16を水平に保持できるように構成されている。
基板保持部15には不図示のモーターが接続されており、モーターは動力を基板保持部15に伝達して、基板保持部15に保持された基板16を、鉛直な回転軸線を中心に回転できるようなっている。
【0027】
基板16を鉛直な回転軸線を中心に回転させながら、シャッター24a、24bを開いて、放出口21a、21bから真空槽11内に蒸気を放出させると、放出された蒸気は基板16の表面全体に均等に到達して付着し、基板16に均一な膜厚の薄膜が形成される。蒸着材料が、有機物と、フッ化リチウムと、三酸化モリブデンのいずれか一種類の物質の場合には、その物質の薄膜が形成される。
【0028】
膜厚センサ30a
1、30b
1は、真空槽11内に配置され、表面に付着した付着膜の膜厚を測定できる振動子31a、31bと、振動子31a、31bを振動子31a、31bの表面を露出させた状態で、振動子31a、31bと接触して保持するホルダ32a、32bとを有している。
【0029】
振動子31a、31bとホルダ32a、32bは、どちらも蒸着材料の蒸発温度より融点が高い物質で形成されている。本実施例では、振動子31a、31bの材質は水晶であり、ホルダ32a、32bの材質は銅合金である。ホルダ32a、32bの材質は熱伝導率のより高い物質が好ましい。
【0030】
振動子31a、31bは、表面が露出された状態でホルダ32a、32bに保持されており、振動子31a、31bの裏面と側面のいずれか一方又は両方はホルダ32a、32bと接触されている。振動子31a、31bとホルダ32a、32bとの接触面積は大きい方が高い熱伝導性が得られるため好ましい。
【0031】
ホルダ32a、32bは放出口21a、21bの上方であって、基板16に向かう蒸気を遮らない位置に配置され、ホルダ32a、32bに保持された振動子31a、31bの表面は、放出口21a、21bの位置する方向に向けられている。
【0032】
振動子31a、31bの表面に蒸気が到達すると付着して、蒸着材料の粒子から成る付着膜が形成される。蒸着材料が、有機物と、フッ化リチウムと、三酸化モリブデンのいずれか一種類の物質の場合には、その物質の薄膜が形成される。
【0033】
本実施例では、真空蒸着装置10
1は膜厚センサ30a
1、30b
1を二個有しており、二個の膜厚センサ30a
1、30b
1を第一、第二の膜厚センサと呼び、二個の放出口21a、21bを第一、第二の放出口と呼ぶと、第一の膜厚センサ30a
1は、第二の放出口21bよりも第一の放出口21aに近い位置に配置され、第二の膜厚センサ30b
1は、第一の放出口21aよりも第二の放出口21bに近い位置に配置されている。第一の膜厚センサ30a
1の振動子31aには第一の放出口21aから放出された蒸気が到達するが、第二の放出口21bから放出された蒸気はほとんど到達しないようになっており、第二の膜厚センサ30b
1の振動子31bには第二の放出口21bから放出された蒸気が到達するが、第一の放出口21bから放出された蒸気はほとんど到達しないようになっている。
【0034】
第一、第二の膜厚センサ30a
1、30b
1と第一、第二の放出口21a、21bとの間には、開閉可能な補助シャッター35a、35bがそれぞれ配置されている。補助シャッター35a、35bが開状態のときには、第一、第二の放出口21a、21bから放出された蒸気の一部は第一、第二の膜厚センサ30a
1、30b
1の振動子31a、31bの表面に到達して付着し、補助シャッター35a、35bが閉状態のときには、蒸気は遮蔽されて、第一、第二の膜厚センサ30a
1、30b
1の振動子31a、31bの表面に到達しないようになっている。
【0035】
振動子31a、31bに付着膜が形成されると、付着膜の厚みに比例して、振動子31a、31bの振動周波数が低減する。
振動子31a、31bには制御装置19が接続されている。制御装置19は、振動子31a、31bの振動周波数の低減量から、付着した付着膜の膜厚や付着膜の成膜レートを測定できるように構成されている。
【0036】
基板保持部15に保持された基板16上の薄膜の成膜レートと、振動子31a、31b上の付着膜の成膜レートとの関係を予め求めておくと、振動子31a、31bで測定された成膜レートから、基板16上の成膜レートが分かるようになっている。
【0037】
制御装置19は、材料加熱用電源25a、25bに接続されており、振動子31a、31b上の成膜レートから基板16上の薄膜の膜厚を求め、基板16上の薄膜の膜厚が所定の厚みになったら、材料加熱用電源25a、25bに制御信号を送って、電力の出力を停止させ、蒸着材料の加熱を終了するようになっている。
【0038】
膜厚センサ30a
1、30b
1は、ホルダ32a、32bの融点と振動子31a、31bの融点の両方より低い温度でかつ蒸着材料の蒸発温度以上の温度に、ホルダ32a、32bを加熱するホルダ加熱装置33a、33bを有している。
【0039】
本実施例では、ホルダ加熱装置33a、33bは、ホルダ32a、32bと接触された抵抗加熱ヒーターである。
ホルダ加熱装置33a、33bは線状に形成され、ホルダ32a、32bの外周側面に巻き回されて取り付けられ、ホルダ32a、32bと接触している。なお、ホルダ加熱装置33a、33bは、ホルダ32a、32bと接触しているならば、上記構成に限定されず、ブロック形状の抵抗加熱ヒーターを用いてもよい。ホルダ加熱装置33a、33bとホルダ32a、32bとの接触面積が大きい方が、高い熱伝導性が得られるため好ましい。
【0040】
ホルダ加熱装置33a、33bにはヒーター用電源34a、34bが電気的に接続されている。ヒーター用電源34a、34bからホルダ加熱装置33a、33bに電力を供給すると、ホルダ加熱装置33a、33bは発熱して、熱伝導によりホルダ32a、32bを加熱するようになっている。
【0041】
振動子31a、31bはホルダ32a、32bに接触して保持されており、ホルダ32a、32bが加熱されると熱伝導により振動子31a、31bも加熱され、振動子31a、31bの温度が蒸着材料の蒸発温度以上になると、付着膜は気化して除去される。振動子31a、31b全体が加熱されるので、振動子31a、31bの表面全体から付着膜が除去される。
【0042】
<第一例の真空蒸着装置の使用方法>
第一例の真空蒸着装置を用いた薄膜形成方法を説明する。
【0043】
(準備工程)
材料容器22a、22b内に固体又は液体の蒸着材料を収容する。本実施例では、一方の材料容器22a内にホストの有機蒸着材料を収容し、他方の材料容器22b内にドーパントの有機蒸着材料を収容するが、両方の材料容器22a、22b内に同じ種類の有機蒸着材料を配置してもよい。
【0044】
試験又はシミュレーションにより、基板保持部15に保持された基板16上の成膜レートと、振動子31a、31b上の成膜レートとの関係を予め求めておく。
また、例えば基板保持部15にダミー基板を保持させた状態で、振動子31a、31bの洗浄を行わずに連続して成膜し、ダミー基板上の膜厚を振動子31a、31b以外の他の機器(例えば、不図示の段差計)で測定しながら、振動子31a、31bの振動周波数を記録し、振動子31a、31bの測定精度が悪くなるときの振動周波数を求める。振動子31a、31bの洗浄を行うときの振動周波数を、ここで求めた振動周波数より大きい値に予め定めておく。
【0045】
なお、試験中に振動子31a、31bを使用した場合は、試験の後に、振動子31a、31bを新品に交換するか、後述するように加熱装置を用いて振動子31a、31bから付着膜を除去しておく。
【0046】
真空排気装置12により真空槽11内を真空排気し、真空雰囲気にする。以後真空排気を継続して、真空槽11内の真空雰囲気を維持する。
シャッター24a、24bと、補助シャッター35a、35bをどちらも閉状態にしておく。
【0047】
真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、真空槽11内に基板16を搬入し、成膜すべき表面を下方に向けて露出させた状態で、基板保持部15に保持させる。基板保持部15に保持された基板16の表面は放出口21a、21bと対面する。
材料加熱用電源25a、25bから材料加熱装置23a、23bに電力を供給して、材料容器22a、22b内の蒸着材料を加熱し、蒸気を発生させる。
【0048】
(成膜工程)
モーターを動作させて、基板保持部15に保持された基板16を鉛直な回転軸線の周りに回転させておく。
シャッター24a、24bと補助シャッター35a、35bを開状態にする。
【0049】
材料容器22a、22b内の蒸気は放出口21a、21bから真空槽11内に放出される。
放出口21a、21bから放出された蒸気の一部は、基板保持部15に保持された基板16の表面に到達して付着し、基板16の表面に、ホストの有機蒸着材料とドーパントの有機蒸着材料の混合物からなる有機薄膜が形成される。
【0050】
一方、放出口21a、21bから放出された蒸気の一部は、振動子31a、31bの表面に到達して付着し、有機物から成る付着膜が形成される。
制御装置19は、振動子31a、31bの振動周波数を監視しており、振動周波数の低減量から、付着した付着膜の膜厚や付着膜の成膜レートを測定する。
【0051】
また、制御装置19は、予め求めておいた振動子31a、31b上の成膜レートと基板16上の成膜レートとの関係を用いて、振動子31a、31b上の成膜レートから、基板16上の薄膜の厚みを求める。
基板16の表面に所定の厚みの薄膜を形成した後、シャッター24a、24bを閉じて、放出口21a、21bからの蒸気の放出を停止する。
【0052】
(基板交換工程)
モーターによる基板16の回転を停止する。
真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、成膜済みの基板16を真空槽11の外側に搬出し、次いで、別の未成膜の基板16を真空槽11内に搬入して、基板保持部15に保持させる。
【0053】
次いで、上述の成膜工程を行う。
基板交換工程と成膜工程とを繰り返し行って、複数枚の基板に蒸着材料の粒子から成る薄膜を形成する。
【0054】
(振動子洗浄工程)
複数の振動子31a、31bのうちいずれか一個の振動子の振動周波数が、予め定めておいた洗浄を行うときの振動周波数になったら、シャッター24a、24bを閉じて、放出口21a、21bからの蒸気の放出を停止する。真空槽11内に基板16が配置されている場合には、基板16を真空槽11の外側に搬出しておく。真空槽11内の真空雰囲気を維持する。
【0055】
制御装置19はヒーター用電源34a、34bに制御信号を送って、ホルダ加熱装置33a、33bに電力を供給させ、ホルダ32a、32bを加熱させる。
ホルダ32a、32bが加熱されると、熱伝導により振動子31a、31bも加熱され、振動子31a、31bの温度が蒸着材料の蒸発温度よりも高くなると、付着膜が気化して、振動子31a、31bの表面から除去される。振動子31a、31b全体が加熱されるので、振動子31a、31bの表面全体から付着膜が除去される。
【0056】
振動子31a、31b及びホルダ32a、32bと補助シャッター35a、35bは互いに離間しており、補助シャッター35a、35bが熱伝導により加熱されることはない。
付着膜の気化物の一部は補助シャッター35a、35b上に付着し、他の一部は真空排気装置12により真空槽11内から真空排気される。基板16は真空槽11の外側に搬出されており、付着膜の気化物が基板16に付着することはない。また、シャッター24a、24bを閉じてあるので、付着膜の気化物が材料容器22a、22b内の蒸着材料に混入することもない。
【0057】
振動子31a、31bの振動周波数が初期値に戻ったら、制御装置19はヒーター用電源34a、34bに制御信号を送って、電力の出力を停止させ、ホルダ32a、32bの加熱を終了する。
【0058】
真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、未成膜の基板16を真空槽11内に搬入し、基板保持部15に保持させる。
振動子31a、31bとホルダ32a、32bの温度を蒸着材料の蒸発温度より低い温度に下げた後、上述の成膜工程と基板交換工程を繰り返す。
【0059】
振動子洗浄工程では、真空槽11内を大気に開放せず、真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら行うため、振動子31a、31bの洗浄後、成膜工程を再開する前に、真空槽11内に真空雰囲気を形成する時間と手間を省略でき、生産性が上がる。
【0060】
上記実施例では蒸着材料として有機物を用いたが、振動子31a、31bの融点とホルダ32a、32bの融点の両方よりも蒸発温度が高い物質であれば、蒸着材料は有機物に限定されず、フッ化リチウム(LiF)と、三酸化モリブデン(MoO
3)のいずれか一方の物質を用ることもできる。
【0061】
<第二例の真空蒸着装置の構造>
第二例の真空蒸着装置の構造を説明する。
図2は、第二例の真空蒸着装置10
2の内部構成図を示している。第二例の真空蒸着装置10
2のうち、上述の第一例の真空蒸着装置10
1と構造が同じ部分には、同じ符号を付している。
【0062】
第一例の真空蒸着装置10
1と構造が同じ部分は、説明を省略する。
第二例の真空蒸着装置10
2は、第一例の真空蒸着装置10
1と比べて、膜厚センサの構造が異なっている。
【0063】
第二例の真空蒸着装置10
2の膜厚センサ30a
2、30b
2は、振動子31a、31bと、ホルダ32a、32bと、ホルダ加熱装置33a、33bと、筒状の指向性パイプ37a、37bとを有している。振動子31a、31bと、ホルダ32a、32bの構造は第一例の真空蒸着装置10
1の膜厚センサ30a
1、30b
1のものと同じであり、説明を省略する。
【0064】
指向性パイプ37a、37bは、融点が蒸着材料の蒸発温度より高い物質から成り、本実施例では銅合金である。指向性パイプ37a、37bの材質は熱伝導率のより高い物質が好ましい。
指向性パイプ37a、37bの内周の直径は、振動子31a、31bの表面の直径よりも大きく形成されている。
【0065】
指向性パイプ37a、37bは振動子31a、31bと補助シャッター35a、35bとの間に配置され、一端は第一、第二の振動子31a、31bの外周を取り囲んでホルダ32a、32bに密着して取り付けられ、他端は第一、第二の放出口21a、21bの位置する方向に向けられている。指向性パイプ37a、37bとホルダ32a、32bとの接触面積は大きい方が、高い熱伝導性を得られるため好ましい。
【0066】
補助シャッター35a、35bが開状態のとき、第一の放出口21aから放出された蒸気は、第一の膜厚センサ30a
2の指向性パイプ37aの内側を通って第一の膜厚センサ30a
2の振動子31aに到達するが、第二の膜厚センサ30b
2の振動子31bには第二の膜厚センサ30b
2の指向性パイプ37bの筒壁で遮蔽されて到達しないようになっている。また、第二の放出口21bから放出された蒸気は、第二の膜厚センサ30b
2の指向性パイプ37bの内側を通って第二の膜厚センサ30b
2の振動子31bに到達するが、第一の膜厚センサ30a
2の振動子31aには第一の膜厚センサ30a
2の指向性パイプ37aの筒壁で遮蔽されて到達しないようになっている。
【0067】
そのため、振動子31a、31b上の成膜レートと基板16上の成膜レートとの関係が、第一例の真空蒸着装置10
1より正確に求まるようになっている。
ホルダ加熱装置33a、33bは線状の抵抗加熱ヒーターであり、指向性パイプ37a、37bの外周側面に巻き回されて取り付けられ、指向性パイプ37a、37bと接触している。
【0068】
ホルダ加熱装置33a、33bにはヒーター用電源34a、34bが電気的に接続されている。ヒーター用電源34a、34bからホルダ加熱装置33a、33bに電力を供給すると、ホルダ加熱装置33a、33bは発熱して、熱伝導により指向性パイプ37a、37bを加熱し、指向性パイプ37a、37bからの熱伝導によりホルダ32a、32bを加熱するようになっている。
【0069】
振動子31a、31bはホルダ32a、32bに接触して保持されており、ホルダ32a、32bが加熱されると熱伝導により振動子31a、31bも加熱され、振動子31a、31bの温度が蒸着材料の蒸発温度以上になると、付着膜は気化して除去される。振動子31a、31b全体が加熱されるので、振動子31a、31bの表面全体から付着膜が除去される。
【0070】
第二例の真空蒸着装置10
2では、指向性パイプ37a、37bも加熱するためホルダ32a、32bの加熱効率は第一例の真空蒸着装置10
1より下がるが、指向性パイプ37a、37bの外周側面の表面積がホルダ32a、32bの外周側面の表面積より大きい場合には、ホルダ加熱装置
33a、33bの接触面積を第一例の真空蒸着装置10
1のホルダ加熱装置33a、33bの接触面積より大きく取ることができるという利点がある。
第二例の真空蒸着装置10
2の使用方法は、第一例の真空蒸着装置10
1の使用方法と同様であり説明を省略する。
【0071】
<第三例の真空蒸着装置の構造>
第三例の真空蒸着装置の構造を説明する。
図3は、第三例の真空蒸着装置10
3の内部構成図を示している。第三例の真空蒸着装置10
3のうち、上述の第一例の真空蒸着装置10
1と構造が同じ部分には、同じ符号を付している。
第一例の真空蒸着装置10
1と構造が同じ部分は、説明を省略する。
【0072】
第三例の真空蒸着装置10
3は、第一例の真空蒸着装置10
1と比べて、膜厚センサのホルダ加熱装置の構成が異なっている。すなわち、第三例の真空蒸着装置10
3の膜厚センサ30a
3、30b
3のホルダ加熱装置38a、38bは、ホルダ32a、32bと非接触の誘導加熱コイルである。
【0073】
本実施例では、ホルダ加熱装置38a、38bは、内周がホルダ32a、32bの外周より大きいリング状に形成され、ホルダ32a、32bの外側側面を取り囲んで配置されており、ホルダ32a、32bと非接触にされている。
【0074】
ホルダ加熱装置38a、38bにはコイル用電源39a、39bが電気的に接続されている。コイル用電源39a、39bからホルダ加熱装置38a、38bに交流電圧を印加すると、ホルダ加熱装置38a、38bの内側に生じる磁界により、ホルダ32a、32b内に渦電流が発生して、ホルダ32a、32bが加熱されるようになっている。
【0075】
振動子31a、31bはホルダ32a、32bに接触して保持されており、ホルダ32a、32bが加熱されると熱伝導により振動子31a、31bも加熱され、振動子31a、31bの温度が蒸着材料の蒸発温度以上になると、付着膜は気化して除去される。振動子31a、31b全体が加熱されるので、振動子31a、31bの表面全体から付着膜が除去される。
【0076】
第三例の真空蒸着装置10
3では、第一例の真空蒸着装置10
1に比べて、ホルダ32a、32bの加熱効率が高く、より短い時間で昇温できるという利点がある。また、ホルダ加熱装置38a、38bはホルダ32a、32bと非接触であり、ホルダ32a、32bはより短い時間で降温する。
【0077】
第三例の真空蒸着装置10
3の使用方法は、第一例の真空蒸着装置10
1の使用方法と同様であり説明を省略する。ホルダ32a、32bの昇温と降温を第一例の真空蒸着装置10
1より短時間で行うことができるため、振動子洗浄工程に費やす時間を短縮できる。
【0078】
<第四例の真空蒸着装置の構造>
第四例の真空蒸着装置の構造を説明する。
図4は、第四例の真空蒸着装置10
4の内部構成図を示している。第四例の真空蒸着装置10
4のうち、上述の第一例の真空蒸着装置10
1と構造が同じ部分には、同じ符号を付している。
【0079】
第一例の真空蒸着装置10
1と構造が同じ部分は、説明を省略する。
第四例の真空蒸着装置10
4は、第一例の真空蒸着装置10
1と比べて、膜厚センサのホルダ加熱装置の構成が異なっている。すなわち、第四例の真空蒸着装置10
4の膜厚センサ30a
4、30b
4のホルダ加熱装置51a、51bは、放射面から赤外線を放射する赤外線ランプである。
【0080】
本実施例では、ホルダ加熱装置51a、51bは、放射面を下方に向けた状態で、ホルダ32a、32bの上方に配置されている。
ホルダ加熱装置51a、51bにはランプ用電源52a、52bが電気的に接続されている。ランプ用電源52a、52bからホルダ加熱装置51a、51bに電力を供給すると、ホルダ加熱装置51a、51bはホルダ32a、32bに赤外線を照射して、ホルダ32a、32bが加熱されるようになっている。
【0081】
振動子31a、31bはホルダ32a、32bに接触して保持されており、ホルダ32a、32bが加熱されると熱伝導により振動子31a、31bも加熱され、振動子31a、31bの温度が蒸着材料の蒸発温度以上になると、付着膜は気化して除去される。振動子31a、31b全体が加熱されるので、振動子31a、31bの表面全体から付着膜が除去される。
【0082】
第四例の真空蒸着装置10
4では、第一例の真空蒸着装置10
1に比べて、ホルダ32a、32bの加熱効率が高く、より短い時間で昇温できるという利点がある。また、ホルダ加熱装置51a、51bはホルダ32a、32bと非接触であり、ホルダ32a、32bはより短い時間で降温する。
【0083】
第四例の真空蒸着装置10
4の使用方法は、第一例の真空蒸着装置10
1の使用方法と同様であり説明を省略する。ホルダ32a、32bの昇温と降温を第一例の真空蒸着装置10
1より短時間で行うことができるため、振動子洗浄工程に費やす時間を短縮できる。
【0084】
<第五例の真空蒸着装置の構造>
第五例の真空蒸着装置の構造を説明する。
図5は、第五例の真空蒸着装置10
5の内部構成図を示している。第五例の真空蒸着装置10
5のうち、上述の第一例の真空蒸着装置10
1と構造が同じ部分には、同じ符号を付している。
【0085】
第一例の真空蒸着装置10
1と構造が同じ部分は、説明を省略する。
第五例の真空蒸着装置10
5は、第一例の真空蒸着装置10
1の膜厚センサ30a
1、30b
1の代わりに、膜厚測定装置40a、40bを有している。各膜厚測定装置40a、40bの構造は互いに同様であり、符号40aの膜厚測定装置で代表して説明する。
【0086】
図6は、一の膜厚測定装置40aの正面図を示している。
膜厚測定装置40aは、膜厚センサ30a
41、30a
42と、膜厚センサ30a
41、30a
42を保持するセンサ保持部41aと、センサ保持部41aの表面を覆うように配置された遮蔽部42aとを有している。本実施例では、膜厚測定装置40aは二個の膜厚センサ30a
41、30a
42を有している。
【0087】
各膜厚センサ30a
41、30a
42の構造は、第一例の真空蒸着装置10
1の膜厚センサ30a
1の構造と同様であり、説明を省略する。
センサ保持部41aは、融点が蒸着材料の蒸発温度より高く、断熱性を有する材質からなり、ここでは円錐台形状に形成されている。各膜厚センサ30a
41、30a
42は、センサ保持部41aの外周に沿って並んで配置され、それぞれ振動子31a
1、31a
2の表面が露出した状態で、センサ保持部41aの外周側面に固定されている。
【0088】
遮蔽部42aはセンサ保持部41aの外周側面を覆うように各膜厚センサ30a
41、30a
42と非接触で配置されており、一の振動子31a
1、31a
2の表面と対面可能な位置には、直径が一の振動子31a
1、31a
2の表面の直径より大きい開口43aが設けられている。
複数の振動子31a
1、31a
2のうち、一の振動子31a
1の表面を開口43aから露出させると、他の振動子31a
2の表面は遮蔽部42aで遮蔽されるようになっている。
【0089】
図5を参照し、各膜厚測定装置40a、40bは、遮蔽部42a、42bの開口43a、43bが放出口21a、21bの位置する方向に向いた状態で、真空槽11内にそれぞれ配置されている。
以下では、真空槽11内において、各膜厚測定装置40a、40bの振動子31a
1、31a
2、31b
1、31b
2が開口43a、43bから露出する位置を第一の位置と呼び、遮蔽部42a、42bで遮蔽される位置を第二の位置と呼ぶ。
【0090】
センサ保持部41a、41bの上底と下底の円の中心を通る軸線を回転軸線と呼ぶと、センサ保持部41a、41bにはセンサ保持部41a、41bを回転軸線を中心に回転させる移動装置44a、44bがそれぞれ取り付けられている。
【0091】
移動装置44a、44bによりセンサ保持部41a、41bを回転軸線の周りにそれぞれ回転させると、各振動子31a
1、31a
2、31b
1、31b
2は、開口43aから露出する第一の位置と、遮蔽部42aで遮蔽される第二の位置との間を移動するようになっている。
【0092】
本実施例では、センサ保持部41a、41bにはそれぞれ複数個の膜厚センサ30a
41、30a
42又は30b
41、30b
42が固定されており、移動装置44a、44bによりセンサ保持部41a、41bを回転軸線の周りに回転させると、複数の膜厚センサ30a
41、30a
42又は30b
41、30b
42の振動子31a
1、31a
2又は31b
1、31b
2のうち、第一の位置に配置された一の振動子31a
1、31b
1が第二の位置に移動され、第二の位置に配置された他の一の振動子31a
2、31b
2が第一の位置に移動されるようになっている。
【0093】
補助シャッター35a、35bは開口43a、43bと放出口21a、21bとの間に配置されている。補助シャッター35a、35bが開状態のときには、放出口21a、21bから放出された蒸気の一部は第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1の表面に到達して付着し、補助シャッター35a、35bが閉状態のときには、蒸気は遮蔽されて、第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1の表面に到達しないようになっている。一方、補助シャッター35a、35bが開状態のときも閉状態のときも、蒸気は遮蔽部42a、42bで遮蔽されて、第二の位置に配置された振動子31a
2、31b
2の表面には到達しないようになっている。
【0094】
<第五例の真空蒸着装置の使用方法>
第五例の真空蒸着装置を用いた薄膜の形成方法を説明する。
(準備工程)
材料容器22a、22b内に固体又は液体の蒸着材料を収容する。本実施例では、一方の材料容器22a内にホストの有機蒸着材料を収容し、他方の材料容器22b内にドーパントの有機蒸着材料を収容するが、両方の材料容器22a、22b内に同じ種類の有機蒸着材料を配置してもよい。
【0095】
試験又はシミュレーションにより、基板保持部15に保持された基板16上の成膜レートと、第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1上の成膜レートとの関係を予め求めておく。
また、例えば基板保持部15にダミー基板を保持させた状態で、第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1の交換を行わずに連続して成膜し、ダミー基板上の膜厚を第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1以外の他の機器(例えば、不図示の段差計)で測定しながら、第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1の振動周波数を記録し、第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1の測定精度が悪くなるときの振動周波数を求める。第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1の交換を行うときの振動周波数を、ここで求めた振動周波数より大きい値に予め定めておく。
【0096】
なお、試験中に振動子31a
1、31b
1を使用した場合は、試験の後に、使用した振動子31a
1、31b
1を新品に交換するか、後述するように加熱装置33a
1、33b
1を用いて使用した振動子31a
1、31b
1から付着膜を除去しておく。
【0097】
真空排気装置12により真空槽11内を真空排気し、真空雰囲気にする。以後真空排気を継続して、真空槽11内の真空雰囲気を維持する。
シャッター24a、24bと、補助シャッター35a、35bをどちらも閉状態にしておく。
【0098】
真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、真空槽11内に基板16を搬入し、成膜すべき表面を下方に向けて露出させた状態で、基板保持部15に保持させる。基板保持部15に保持された基板16の表面は放出口21a、21bと対面する。
【0099】
材料加熱用電源25a、25bから材料加熱装置23a、23bに電力を供給して、放出容器22a、22b内の蒸着材料を加熱し、蒸気を発生させる。
(成膜工程)
モーターを動作させて、基板保持部15に保持された基板16を鉛直な回転軸線の周りに回転させておく。
【0100】
各膜厚測定装置40a、40bの複数の振動子31a
1、31a
2、31b
1、31b
2のうち、一の振動子31a
1、31b
1を第一の位置に配置し、他の振動子31a
2、31b
2を第二の位置に配置しておく。
【0101】
シャッター24a、24bと補助シャッター35a、35bを開状態にする。
材料容器22a、22b内の蒸気は放出口21a、21bから真空槽11内に放出される。
放出口21a、21bから放出された蒸気の一部は、基板保持部15に保持された基板16の表面に到達して付着し、基板16の表面に、ホストの有機蒸着材料とドーパントの有機蒸着材料の混合物からなる有機薄膜が形成される。
一方、放出口21a、21bから放出された蒸気の一部は、第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1の表面に到達して付着し、有機物から成る付着膜が形成される。
【0102】
制御装置19は、第一の位置に配置された振動子31a
1、31b
1の振動周波数を監視しており、振動周波数の低減量から、付着した付着膜の膜厚や付着膜の成膜レートを測定する。
また、制御装置19は、予め求めておいた振動子31a
1、31b
1上の成膜レートと基板16上の成膜レートとの関係を用いて、振動子31a
1、31b
1上の成膜レートから、基板16上の薄膜の厚みを求める。
【0103】
各膜厚測定装置40a、40bの振動子交換方法は互いに同様であり、符号40aの膜厚測定装置で代表して説明する。
第一の位置に配置された振動子31a
1の振動周波数が、予め定めておいた交換を行うときの振動周波数になると、制御装置19は移動装置44aに制御信号を送って、センサ保持部41aを回転させ、
図7を参照し、付着膜が付着した振動子31a
1をそのホルダ32a
1とホルダ加熱装置33a
1と一緒に第一の位置から第二の位置に移動させ、別の未成膜の振動子31a
2をそのホルダ32a
2とホルダ加熱装置33a
2と一緒に第一の位置に移動させ、第一の位置に配置された新しい振動子31a
2で成膜レートの測定を継続する。
【0104】
このようにして、放出口21a、21bからの蒸気の放出を継続し、基板16に薄膜を形成しながら、付着膜が付着した振動子31a
1を別の未成膜の振動子31a
2と交換でき、成膜レートの測定精度が低下することを防止できる。
【0105】
図7を参照し、付着膜が付着した振動子31a
1が第二の位置に配置されると、制御装置19はヒーター用電源34aに制御信号を送って、第二の位置に配置された振動子31a
1を有する膜厚センサ30a
41のホルダ加熱装置33a
1に電力を供給させ、この膜厚センサ30a
41のホルダ32a
1を加熱させる。
【0106】
この膜厚センサ30a
41のホルダ32a
1が加熱されると、熱伝導により第二の位置に配置された振動子31a
1も加熱され、この振動子31a
1の温度が蒸着材料の蒸発温度よりも高くなると、付着膜が気化して、この振動子31a
1の表面から除去される。振動子31a
1全体が加熱されるので、振動子31a
1の表面全体から付着膜が除去される。
【0107】
振動子31a
1をホルダ32a
1とホルダ加熱装置33a
1と一緒に移動させるので、振動子31a
1とホルダ32a
1の間、又はホルダ32a
1とホルダ加熱装置33a
1との間に接触不良は発生せず、それらの間の熱伝導が維持される。
【0108】
センサ保持部41aは断熱性を有しており、第二の位置に配置された振動子31a
1及びそのホルダ32a
1が加熱されても、第一の位置に配置された振動子31a
2及びそのホルダ32a
2が加熱されることはなく、第一の位置に配置された振動子31a
2で成膜レートの測定を継続できる。
【0109】
第二の位置に配置された振動子31a
1及びそのホルダ32a
1と遮蔽部42aとは互いに離間しており、その間に熱伝導はなく、第二の位置に配置された振動子31a
1及びそのホルダ32a
1が加熱されても、遮蔽部42aは熱伝導で加熱されない。
【0110】
付着膜の気化物は遮蔽部42aに付着して遮断される。従って、付着膜の気化物は、基板保持部15に保持された基板16には到達せず、基板16に形成される薄膜の品質は劣化しない。また、付着膜の気化物は、第一の位置に配置された振動子31a
2、31b
1の表面にも到達せず、第一の位置に配置された振動子31a
2、31b
1の測定精度は低下しない。
【0111】
第二の位置に配置された振動子31a
1の振動周波数が初期値に戻ったら、制御装置19はヒーター用電源34aに制御信号を送って、電力の出力を停止させ、振動子31a
1を保持するホルダ32a
1の加熱を終了する。
【0112】
基板16の表面に所定の厚みの薄膜が形成されるまで、各膜厚測定装置40a、40bでそれぞれ振動子31a
1、31a
2、31b
1、31b
2の交換を繰り返し、成膜レートの測定を継続する。
基板16の表面に所定の厚みの薄膜を形成した後、シャッター24a、24bと補助シャッター35a、35bを閉じて、放出口21a、21bからの蒸気の放出を停止する。
【0113】
(基板交換工程)
真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、成膜済みの基板16を真空槽11の外側に搬出し、次いで、別の未成膜の基板16を真空槽11内に搬入して、基板保持部15に保持させる。
【0114】
次いで、上述の成膜工程を行う。
基板交換工程と、成膜工程とを複数枚の基板で繰り返し行って、複数枚の基板に蒸着材料の薄膜を形成する。
【0115】
第五例の真空蒸着装置10
5では、第一例の真空蒸着装置10
1とは異なり、成膜工程を継続しながら振動子31a
1、31a
2、31b
1、31b
2の洗浄を行うことができるので、より生産性が向上する。
【0116】
なお、上述の第五例の真空蒸着装置10
5では、各膜厚測定装置40a、40bは、膜厚センサ30a
41、30a
42、30b
41、30b
42を二個ずつ有していたが、膜厚センサの数は一個又は二個以上であれば特に限定されない。膜厚センサが一個の場合には、第一例の真空蒸着装置10
1と同様に、膜厚センサの洗浄を行う際に成膜工程を停止する必要があるため、膜厚センサの数は二個以上が好ましい。
【0117】
上記実施例では、ホルダ加熱装置33a
1、33a
2、33b
1、33b
2は抵抗加熱ヒーターであったが、ホルダ32a
1、32a
2、32b
1、32b
2を、ホルダ32a
1、32a
2、32b
1、32b
2の融点と振動子31a
1、31a
2、31b
1、31b
2の融点の両方より低い温度でかつ付着膜の蒸発温度以上の温度に加熱できるならば上記構成に限定されず、第三例の真空蒸着装置10
3のホルダ加熱装置38a、38bと同様に誘導加熱コイルでもよいし、第四例の真空蒸着装置10
4のホルダ加熱装置51a、51bと同様に赤外線ランプでもよい。
【0118】
符号30a
1の膜厚センサで代表して説明すると、振動子31a
1をホルダ32a
1とホルダ加熱装置33a
1と一緒に互いの相対位置を維持しながら移動させる。そのため、振動子31a
1とホルダ32a
1の間で熱伝導が維持され、またホルダ32a
1とホルダ加熱装置33a
1との間に位置ずれが起こらずに一定の加熱効率が維持される。
【0119】
上記実施例では蒸着材料として有機物を用いたが、振動子31a
1、31a
2、31b
1、31b
2の融点とホルダ32a
1、32a
2、32b
1、32b
2の融点の両方よりも蒸発温度が高い物質であれば、蒸着材料は有機物に限定されず、フッ化リチウム(LiF)と、三酸化モリブデン(MoO
3)のいずれか一方の物質を用ることもできる。