特許第5697842号(P5697842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5697842半導体装置の製造方法及びこれに用いるSOQ基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5697842
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及びこれに用いるSOQ基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/12 20060101AFI20150319BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20150319BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20150319BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   H01L27/12 T
   H01L29/78 624
   H01L29/78 626C
   H01L21/66 J
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2008-294921(P2008-294921)
(22)【出願日】2008年11月18日
(65)【公開番号】特開2010-123697(P2010-123697A)
(43)【公開日】2010年6月3日
【審査請求日】2011年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】永田 敏雄
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−147227(JP,A)
【文献】 特開2001−358189(JP,A)
【文献】 特開平04−199651(JP,A)
【文献】 特開2007−277338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/12
H01L 21/336
H01L 21/66
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英基板の上に半導体層を形成してなるSOQ基板を準備する工程と;
前記SOQ基板上に、半導体装置形成領域と前記半導体装置形成領域内に形成されるゲートよりも面積の大きな大面積ゲート及び当該大面積ゲートの近傍に形成されたコンタクトを有するクラック検査用のパターンとを形成する工程と;
前記パターンを観察し、当該パターンにクラックが発生しているか否かを検査する第1の検査工程と;
前記第1の検査工程の結果、前記パターンにクラックが発生している場合には、前記半導体装置形成領域内のクラックを検査する第2の検査工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
石英基板の上に半導体層を形成してなるSOQ基板を準備する工程と;
前記SOQ基板上に、半導体装置形成領域と、前記半導体装置形成領域内に形成されるゲートよりも面積の大きな大面積ゲートと当該大面積ゲートの近傍に形成されたコンタクトと前記コンタクトの延長線上にクラックの広がりを阻止するガード領域を有するクラック検査用のパターンとを形成する工程と;
前記パターンを観察し、当該パターンにクラックが発生しているか否かを検査する第1の検査工程と;
前記第1の検査工程の結果、前記パターンにクラックが発生している場合には、前記半導体装置形成領域内のクラックを検査する第2の検査工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
石英基板の上に半導体層を形成してなるSOQ基板において、
前記SOQ基板は、半導体装置形成領域とクラック検査用のパターンとを有し、
前記パターンは、前記半導体装置形成領域内に形成されるゲートよりも面積の大きな大面積ゲート及び当該大面積ゲートの近傍に形成されたコンタクトを有することを特徴とする半導体装置製造用SOQ基板。
【請求項4】
石英基板の上に半導体層を形成してなるSOQ基板において、
前記SOQ基板は、半導体装置形成領域とクラック検査用のパターンとを有し、
前記パターンは、
前記半導体装置形成領域内に形成されるゲートよりも面積の大きな大面積ゲートと、
前記大面積ゲートの近傍に形成されたコンタクトと、
前記コンタクトの延長線上に、クラックの広がりを阻止するガード領域と、を
備えることを特徴とする半導体装置製造用SOQ基板。
【請求項5】
前記パターンは、前記半導体装置形成領域とは異なる領域に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置製造用SOQ基板。
【請求項6】
前記パターンは、前記半導体装置形成領域内に形成されることを特徴とする請求項に記載の半導体装置製造用SOQ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英(クオーツ)基板上に半導体層を形成してなるSOQ基板を用いた半導体装置の製造方法及び、これに用いるSOQ基板に関する。特に、透過型プロジェクターに適応可能な半導体装置の製造方法及び、これに用いるSOQ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
石英(絶縁基板)上にシリコンを形成したSOQ(Silicon On Quartz)基板を用いて完全空乏型トランジスタを作ることにより、低S値、低基板浮遊効果が得られる。このように製造されたデバイスは、接合容量が小さく、高速・低消費電力化が可能となる。その他、耐放射線性においても極めて高い事が知られている。
【0003】
特開2008−147227号公報には、石英基板に単結晶シリコン基板を形成してなるSOQ基板にTFTを形成する構造が開示されている。
【特許文献1】特開2008−147227号公報
【0004】
ところで、石英はシリコンに比べて軟らかく、熱膨張率が小さいため、熱膨張率の差により、石英が伸び縮みし易くなる。特に、引張りストレスの強い膜を石英上に形成した場合、石英がその引張りストレスに耐えられなくなり、最終的に石英基板上のコンタクト領域にクラックが発生するという問題が発生する。
【0005】
この様なクラックは、細く・浅い領域で発生するため、肉眼で検出するのが困難である。一方で、デバイスの品質管理・保障を行うためには、クラックを精度良く検出しなければならず、これらは重要な技術課題であり、早期に検討・確立しなければならない。
【0006】
従来は、デバイス上のクラックの有無についてウエハ全体を観察して確認していた。しかし、上述したように、どこにクラックが発生しているか検出するのは困難であり、全てのウエハについて検査を行うと膨大な時間とコストが掛かってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、SOQ基板上のクラックを容易に検出可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、クラックの発生を容易に検出可能なSOQ基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る半導体装置の製造方法は、石英基板の上に半導体層を形成してなるSOQ基板を準備する工程と;前記SOQ基板上に、半導体装置形成領域と前記半導体装置形成領域内に形成されるゲートよりも面積の大きな大面積ゲート及び当該大面積ゲートの近傍に形成されたコンタクトを有するクラック検査用のパターンとを形成する工程と;前記パターンを観察し、当該パターンにクラックが発生しているか否かを検査する第1の検査工程と;前記第1の検査工程の結果、前記パターンにクラックが発生している場合には、前記半導体装置形成領域内のクラックを検査する第2の検査工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の態様に係るSOQ基板は、半導体装置形成領域とクラック検査用のパターンとを有し、前記パターンは、前記半導体装置形成領域内に形成されるゲートよりも面積の大きな大面積ゲート及び当該大面積ゲートの近傍に形成されたコンタクトを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のような構成の本発明においては、SOQ基板上に形成された検査用のパターンを観察し、その結果当該パターン内にクラックが発生している場合には、半導体装置形成領域内にクラックが発生している可能性があると判断する。そして、半導体形成領域内のクラックを詳細に検査する。一方、検査パターン内にクラックが発生していない場合には、半導体形成領域内にクラックが発生している可能性が極めて低く、詳細な検査を省略することができる。このような2段階の検査工程を採用することにより、検査の作業効率が大幅に向上することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施例に係るSOQ基板10の概略構造を示す平面図である。SOQ基板10は、複数の半導体装置を形成するための半導体装置形成領域12と、クラック検査用のパターン110を有する。本実施例においては、検査用パターン110を半導体装置形成領域12の外側のウエハの4隅に配置している。検査用パターン110を半導体装置形成領域12の外側に配置することにより、検査用パターン110内で発生したクラックが半導体装置形成領域12に達してしまうことを回避できる。また、検査用パターン110をウエハの4隅に配置することにより、ウエハ全面に渡って、より正確にクラックの発生を検出することが可能となる。例えば、4カ所の検査用パターン110の1つにクラックが発生している場合には、そのパターン110に近い半導体装置から順にクラックの発生を検査することにより、クラック検出の作業効率が向上する。なお、検査用パターン110の数及び位置は適宜変更することが出来る。
【0013】
図2は、本発明の第1実施例に係る検査用パターンの構成を示す平面図である。本実施例においては、検査用パターン110は、半導体装置形成領域12内よりもクラックが発生しやすい構造としている。具体的には、検査用パターン110は、半導体装置形成領域内に形成されるゲート(図示せず)よりも面積の大きな大面積ゲート112a,112b及び当該大面積ゲート112a,112bの近傍に並列的に複数形成されたコンタクト114を有する構成となっている。
【0014】
本実施例においては、2つの大面積ゲート112a,112bによって一列のコンタクト114を挟む格好となっている。また、大面積ゲート112a,112bの周囲をコンタクト114によって囲むような格好となっている。ここで、大面積ゲート112a,112bの面積を各々、例えば、0.5mm2とし、コンタクト114の直径Dを約0.7umとし、隣接するコンタクト114同士の間隔d0を0.5〜0.7umとし、大面積ゲート112a,112bとコンタクト114との間隔d1を1.0um以下とする。ここで、大面積ゲート112a,112bとコンタクト114との間隔d1、隣接するコンタクト114同士の間隔d0は、半導体装置形成領域12に形成される回路素子よりも小さくする。
【0015】
石英基板上に発生するクラックは、パターンに依存し、特に複数のコンタクト114が並列している部分において発生しやすくなる。また、これらの複数コンタクト114は、大面積ゲート112a,112bに挟まれる事によって、更にマージンが低下し、クラックが発生しやすくなる。
【0016】
図3(A)〜(E)は、図2に示す検査用パターンの製造工程の一部を示す断面図であり、図2のA−A’方向の断面に相当する。まず、図3(A)に示すように、石英基板120上にポリシリコン層122を形成する。次に、ポリシリコン層122に対するフォトリソグラフィ及びエッチングにより、図3(B)に示すように、を大面積ゲート112a,112bを成形する。
【0017】
次に、図3(C)に示すように、基板全体に中間絶縁膜124を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術及びエッチングにより、図3(D)に示すように、中間絶縁膜124にコンタクトホール125を形成する。続いて、コンタクトホール125の内部にバリアメタル126及び埋込タングステン128を積層し、図3(E)に示すようなコンタクト114を形成する。
【0018】
上記のような構成の本実施例においては、SOQ基板10上に形成された検査用のパターン110を観察し、その結果、当該パターン110内にクラックが発生している場合には、半導体装置形成領域12内にクラックが発生している可能性があると判断する。そして、半導体形成領域12内のクラックを詳細に検査する。一方、検査パターン110内にクラックが発生していない場合には、半導体形成領域12内にクラックが発生している可能性が極めて低く、詳細な検査を省略することができる。このような2段階の検査工程を採用することにより、検査の作業効率が大幅に向上することになる。
【0019】
図4は、本発明の第2実施例に係る検査用パターン210の構成を示す平面図である。本実施例においては、検査用パターン210は、半導体装置形成領域12内よりもクラックが発生しやすい構造としている。具体的には、検査用パターン210は、半導体装置形成領域12内に形成されるゲート(図示せず)よりも面積の大きな大面積ゲート212a,212b及び当該大面積ゲート212a,212bの近傍に並列的に複数形成されたコンタクト214を有する構成となっている。
【0020】
本実施例においては、2つの大面積ゲート212a,212bによって一列のコンタクト214を挟む格好となっている。また、大面積ゲート212a,212bの周囲をコンタクト214によって囲むような格好となっている。ここで、大面積ゲート212a,212bの面積を各々、例えば、0.5mm2とし、コンタクト214の直径Dを約0.7umとし、隣接するコンタクト214同士の間隔d0を0.5〜0.7umとし、大面積ゲート212a,212bとコンタクト214との間隔d1を1.0um以下とする。
【0021】
石英基板上に発生するクラックは、パターンに依存し、特に複数のコンタクト214が並列している部分において発生しやすくなる。また、これらの複数コンタクト214は、大面積ゲート212a,212bに挟まれる事によって、更にマージンが低下し、クラックが発生しやすくなる。本実施例においては、コンタクト214の延長線上に、クラックの広がりを阻止する4本のガード領域215を形成している。
【0022】
図5(A)〜(E)は、図4に示す検査用パターンの製造工程の一部を示す断面図であり、図4のB−B’方向の断面に相当する。まず、図5(A)に示すように、石英基板220上にポリシリコン層222を形成する。次に、ポリシリコン層222に対するフォトリソグラフィ及びエッチングにより、図5(B)に示すように、を大面積ゲート112a及びガード領域215を成形する。
【0023】
次に、図5(C)に示すように、基板全体に中間絶縁膜224を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術及びエッチングにより、図5(D)に示すように、中間絶縁膜224にコンタクトホール225を形成する。続いて、コンタクトホール225の内部にバリアメタル226及び埋込タングステン228を積層し、図5(E)に示すようなコンタクト214を形成する。
【0024】
上記のような構成の本実施例においては、SOQ基板10上に形成された検査用のパターン210を観察し、その結果、当該パターン210内にクラックが発生している場合には、半導体装置形成領域12内にクラックが発生している可能性があると判断する。そして、半導体形成領域12内のクラックを詳細に検査する。一方、検査パターン210内にクラックが発生していない場合には、半導体形成領域12内にクラックが発生している可能性が極めて低く、詳細な検査を省略することができる。このような2段階の検査工程を採用することにより、検査の作業効率が大幅に向上することになる。
【0025】
石英基板220上に発生するクラックは、一度発生すると、横方向(ウェハのXY方向)に長く成長するが、ガード領域215によってその成長を抑制(阻止)することができる。これによって、実製品(半導体装置形成領域12)へ、クラックが進入するのを防ぐことができる。また、ガード領域214によってクラックの横方向への広がりを抑制できるため、本実施例に係る検査用パターン210を製品有効チップ(半導体装置形成領域12)内に配置する事が可能になる。
【0026】
本発明においては、図6に示すように、大面積ゲートとコンタクトとの間隔を1um以下にすることにより、SOQ基板に発生する応力が大きくなり、クラックが発生し易くなる。このような現象は、コンタクト内のバリアメタルとしてTi,TiN何れの場合でも同様の傾向がある。
【0027】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施例に係るSOQ基板10の概略構造を示す平面図である。
図2図2は、本発明の第1実施例に係る検査用パターンの構成を示す平面図である。
図3図3(A)〜(E)は、図2に示す検査用パターンの製造工程の一部を示す断面図であり、図2のA−A’方向の断面に相当する。
図4図4は、本発明の第2実施例に係る検査用パターンの構成を示す平面図である。
図5図5(A)〜(E)は、図4に示す検査用パターンの製造工程の一部を示す断面図であり、図5のB−B’方向の断面に相当する。
図6図6は、本発明の効果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0029】
10:SOQ基板
12:半導体装置形成領域
110、210:検査用パターン
112a,112b,212a,212b:大面積ゲート
114,214:コンタクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6