(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリアルキレンオキシド変性物において、ジイソシアネート化合物の含有量は、ジイソシネート化合物中のイソシアネート基のモル数に対するポリアルキレンオキシドおよびジオール化合物中の水酸基の合計モル数の比が0.7〜1.2の範囲にあるように、決定される請求項1記載の潤滑性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、水溶性ポリエチレンオキシドとポリアルキレンオキシド変性物と熱可塑性樹脂を混合して得られる。
【0011】
水溶性ポリエチレンオキシドはエチレンオキシドを重合してなる水溶性樹脂であって、一般に市販されている(例えば、住友精化株式会社「PEO
R」)。
ポリエチレンオキシドの粘度平均分子量は、好ましくは100万〜600万、より好ましくは200万〜500万の範囲である。
粘度平均分子量が100万未満の場合、初期の潤滑性が劣るために好ましくない。粘度平均分子量が600万を超えると、溶融粘度が高くなり、熱可塑性樹脂との相溶性が悪くなり、繰り返し使用時の潤滑性を維持しにくいために好ましくない。
【0012】
本発明で用いられるポリアルキレンオキシド変性物は、ポリアルキレンオキシドとジオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させて得られ、熱可塑性を有する。そのため、ポリエチレンオキシドおよび熱可塑性樹脂の双方に対する相溶性も良好である。
【0013】
また、ポリアルキレンオキシド変性物はその吸水能が15〜40[g/g]と低く、樹脂組成物を水に浸漬させた時もゲル自体の膨潤割合も小さくてその脱離もない。
また、ポリエチレンオキシドと同様にイオン性を有さないため、水以外の塩や種々の薬剤を含有するような水溶液に対しても、水に対する吸水能と同程度の吸水能を示す。
ポリアルキレンオキシド変性物の吸水能が15[g/g]未満の場合、樹脂組成物とした際に湿潤性が低くなるために好ましくない。40[g/g]を超えた場合、水溶性成分の比率が増えてヌメリ感が多くなるために好ましくない。
【0014】
また、同時に本発明で用いるポリアルキレンオキシド変性物は、10%以上の水溶性成分も含んでおり、この水溶性成分によってもその潤滑性が向上する。
【0015】
一般的なポリアクリル酸系やデンプン系の吸水性樹脂は、熱可塑性を有さないために熱可塑性樹脂と溶融混合させても相溶せず、樹脂組成物を水に浸漬させた時にその吸水ゲルが脱離する、塩や種々の薬剤によりその吸水能が低下する等の問題がある。また、水溶性成分の比率が低く、樹脂組成物とした際の潤滑性向上への寄与がないために好ましくない。
【0016】
ポリアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド基を90重量%以上有するポリアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド基を95重量%以上有するポリアルキレンオキシドがさらに好ましい。
エチレンオキシド基が90重量%未満の場合、水溶性ポリエチレンオキシドとの相溶性が悪くなり、繰り返し使用時の潤滑性の低下が大きくなるため好ましくない。
【0017】
ポリアルキレンオキシドとしては、数平均分子量5,000〜50,000のポリアルキレンオキシドが好ましく、数平均分子量10,000〜30,000のポリアルキレンオキシドがさらに好ましい。
数平均分子量が5,000未満のポリアルキレンオキシドを使用した場合、水溶性成分が増えすぎて繰り返し使用時の潤滑性の低下が大きくなるため好ましくない。数平均分子量が50,000を超えると、溶融粘度が高くなりすぎて水溶性ポリエチレンオキシドとの相溶性が悪くなり、繰り返し使用時の潤滑性が低下し、感触も悪くなるため好ましくない。
【0018】
特に、ポリアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド基を90重量%以上有する数平均分子量5,000〜50,000のポリアルキレンオキシドが好ましい。
【0019】
本発明に用いられるジオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,9−ノナンジオール等を挙げることができる。なかでも、得られるポリアルキレンオキシド変性物の吸水能、水溶性成分の溶出の制御、安定性に優れる点より、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種が最適に用いられる。
ジオール化合物の含有量は、前記ポリアルキレンオキシド1モルに対して0.8〜2.5倍モル、好ましくは1〜2倍モルが好ましい。ジオール化合物の含有量が0.8倍モル未満の場合、水溶性成分が増えて潤滑性は向上するものの、潤滑性の維持が十分ではないため、好ましくない。2.5倍モルを超えると、水溶性成分が少なくなり、潤滑性に寄与しないため、好ましくない。
【0020】
本発明に用いられるジイソシアネート化合物としては、同一分子内にイソシアネート基(−NCO)を2個有する、例えば、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネ−ト(HMDI)、3−イソシアナ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(IPDI)、1,8−ジメチルベンゾール−2,4−ジイソシアネートおよび2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等を挙げることができる。なかでも、水溶性ポリエチレンオキシドや熱可塑性樹脂との相溶性、水溶性成分の溶出の制御、安定性に優れる点より、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネ−ト(HMDI)および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群より選ばれた少なくとも1種が最適に用いられる。
【0021】
ジイソシアネート化合物の含有量は、ジイソシネート化合物中のイソシアネート基のモル数に対するポリアルキレンオキシドおよびジオール化合物中の水酸基の合計モル数の比[R値=(−NCOモル数)/(−OHモル数)]が0.7〜1.2、好ましくは0.8〜1.05の範囲にあるように、決定される。
R値が0.7未満の場合、得られるポリアルキレンオキシド変性物の初期潤滑性が悪くなるために好ましくない。一方、R値が1.2を超える場合、得られるポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度が高く熱可塑性樹脂との相溶性が悪くなるため好ましくない。
【0022】
ポリアルキレンオキシドとジオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させる方法としては、例えば、溶媒に溶解させて反応させる方法、溶媒に分散させて反応させる方法、粉末状または固体状で両者を均一に混合した後に所定の温度に加熱して反応させる方法等を挙げることができる。工業的見地からは各原料を溶融状態で連続的に供給し多軸押出機中で混合、反応させる方法が好ましい。
【0023】
なお、この反応系にトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、トリエチレンジアミンなどを少量添加することにより、反応を促進させることもできる。
【0024】
熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンが好ましく用いられる。
【0025】
水溶性ポリエチレンオキシド(A)、ポリアルキレンオキシド変性物(B)および熱可塑性樹脂(C)は、例えば所定量の水溶性ポリエチレンオキシド、ポリアルキレンオキシド変性物および熱可塑性樹脂を、ヘンシェルミキサーやブレンダー等の混合機を用いて混合した後、もしくはそれぞれの所定量を定量フィダー等でニーダー、ロール、押出機等に供給して溶融混合し、所定の形状、例えばペレット状に成型して樹脂組成物とされる。
溶融混合する機器としては、樹脂の混合性に優れる2軸押出機が好ましく用いられる。また、溶融混合した後に射出成型や押出成形により、シートや棒状、繊維状等の所望の形状に成型することも可能である。
溶融混合する際に、樹脂の分解を防ぐ目的で安定剤、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤、着色する目的で顔料を添加することもできる。
【0026】
本発明において、熱可塑性樹脂100重量部(C)に対して、水溶性アルキレンオキシド(A)を50〜200重量部、ポリアルキレンオキシド変性物(B)を50〜200重量部を混合することが好ましい。熱可塑性樹脂100重量部(C)に対して、水溶性アルキレンオキシド(A)を80〜180重量部、ポリアルキレンオキシド変性物(B)を80〜180重量部を混合することが好ましい。
【0027】
熱可塑性樹脂100重量部に対して、水溶性アルキレンオキシドの割合が50重量部未満の場合、初期の潤滑性が低くなるために好ましくなく、水溶性アルキレンオキシドの割合が200重量部を超えた場合、繰り返し使用時の潤滑性が悪くなるために好ましくない。
熱可塑性樹脂100重量部に対して、ポリアルキレンオキシド変性物の割合が50重量部未満の場合、繰り返し使用時の潤滑性が悪くなるために好ましくなく、ポリアルキレンオキシド変性物の割合が200重量部を超えた場合、水浸漬時における樹脂組成物の膨潤割合が大きくなり、組成物の寸法安定性が悪くなるために好ましくない。
【0028】
[実施例]
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
評価方法
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を以下の方法に従って評価した。
【0030】
1.水溶性ポリエチレンオキシドの粘度平均分子量
水溶性ポリエチレンオキシドの粘度平均分子量は、以下の粘度式を用いて決定する。
【0032】
上記式中、[η]は極限粘度、Kおよびaは溶媒と高分子の種類によって決定される係数、Mは粘度平均分子量を示す。
ここで、オストワルド粘度計を用いて、純水中種々の高分子濃度c(g/dl)の水溶液の比粘度η
spを35℃にて測定し、比粘度を高分子濃度で割って得られた還元粘度(η
sp/c)と高分子濃度cとの関係に基づき高分子濃度cを0に補外することによって、極限粘度[η]を算出した。次に、純水中のポリエチレンオキシドのKおよびaの値として、それぞれ、6.4×10
−5(dl/g)および0.82を適用して、水溶性ポリエチレンオキシドの粘度平均分子量を決定した。
【0033】
2.ポリアルキレンオキシド変性物の吸水能および水溶性成分比率
(1)吸水能
ポリアルキレンオキシド変性物の吸水能については、以下の方法により求められる。約1[g]のポリアルキレンオキシド変性物を精秤(A[g])した後、100[ml]のイオン交換水に室温下(22℃)、24時間浸漬させる。その後、200mesh(孔径:75μm)の金網にてゲルをろ過しその重量(B[g])を測り、吸水能(B/A[g/g])を求める。
吸水能が15[g/g]未満の場合、樹脂組成物とした際に湿潤性が低くなるために好ましくない。40[g/g]を超えた場合、水溶性成分の比率が増えて後述するヌメリ感が多くなるために好ましくない。
【0034】
(2)水溶性成分比率
ポリアルキレンオキシド変性物中の水溶性成分の比率については、以下の方法により求められる。得られたゲルを105℃に設定した熱風乾燥機にて恒量(C[g])になるまで乾燥し、水溶性成分比率((A−C)/A×100[%])を求める。
【0035】
3.樹脂組成物の物理特性
水溶性ポリエチレンオキシド、ポリアルキレンオキシド変性物および熱可塑性樹脂を、240℃に設定した2軸押出機(28φ、L/D=40)に供給し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、240℃に設定したホットプレスにて1mm厚みのシートとし、2cm×5cm大に切断した切片を物理特性の評価に供した。
【0036】
(1)ヌメリ感
樹脂組成物の切片を水100ml中に浸漬させた後に、ペーパータオルにて表面の水を拭い、その表面を手でこすり、以下の評価基準に従って評価した。
評価基準
○:ヌメリ感なし
△:糸は曳かないがヌメリ感あり
×:ヌメリ感があり、糸を曳く
【0037】
(2)平均摩擦係数(MIU)とMIUの変動幅(MMD)
樹脂組成物の切片に0.2mlのイオン交換水を滴下した30秒後に、摩擦感テスター(カトーテック製 KES−SE)を用いて、以下の試験条件下、摩擦係数μをモニターした。
センサー:シリコーン
荷重 :50[g]
速度 :5[mm/秒]
【0038】
1回目のモニター後、ペーパータオルにて表面の水を拭き取り、樹脂組成物の切片を50℃のオーブンに1時間入れて乾燥した後、上記と同様の条件にて、2回目のモニターを行った。同様にして6回目まで繰り返し、摩擦係数μをモニターした。
【0039】
(i)平均摩擦係数(MIU)
表面をこする時に感じるすべりやすさ、すべりにくさと相関性がある。この値が大きくなるほどすべりにくくなる。
摩擦係数μのモニター結果から平均摩擦係数(MIU)を求める概略図を
図1に示す。
図1に示すように、樹脂組成物の切片をスキャンして、摩擦係数μをモニターする。次に、20mmのモニター幅において、摩擦係数μについて積分する(
図1の斜線部分)。積分値をモニター幅(20mm)で除することによって、平均摩擦係数(MIU)を求める。
MIUの値が0.3以下のとき、滑り性が良好といえる。
【0040】
(ii)平均摩擦係数の変動幅(MMD)
表面をこする時に感じるなめらかさ、ざらつき感と相関性がある。この値が大きいほど表面がざらざらしている。
摩擦係数のモニター結果から平均摩擦係数の変動(MMD)を求める概略図を
図2に示す。
図2に示すように、20mmのモニター幅において、平均摩擦係数(MIU)と摩擦係数μとの差異の絶対値について積分する(
図2の斜線部分)。積分値をモニター幅(20mm)で除することによって、平均摩擦係数の変動(MMD)を求める。
MMDの値が0.009〜0.015のとき、表面のなめらかさが良好といえる。
【0041】
(iii)ソフト感
MIUをMMDで除した値(MIU/MMD)をソフト感のパラメータとした。この値が高いほど、高摩擦で表面がなめらかになりソフトな感触となる。
この値が20以上のとき、ソフト感が良好であるといえる。
【0042】
(iv)ソフト感の保持率
さらに、1回目の測定値と6回目の測定値の変化より、(MIU/MMD)値の減少率を算出し、ソフト感の保持率とした。
ソフト感保持率[%]=[(MIU/MMD)
6/(MIU/MMD)
1]×100
(MIU/MMD)
6 :6回目の(MIU/MMD)値
(MIU/MMD)
1 :1回目の(MIU/MMD)値
保持率が90%以上あれば、初期のソフト感が維持できているといえる。
【0043】
製造例1 ポリアルキレンオキシド変性物の製造方法
80℃に保温された攪拌機のついた貯蔵タンクAに、十分に脱水した数平均分子量20,000のポリエチレンオキシド100重量部、1,4−ブタンジオール0.9重量部およびジオクチルスズジラウレート0.1重量部の割合で投入し窒素ガス雰囲気下で攪拌して均一な混合物とした。
これとは別に、30℃に保温された貯蔵タンクBにジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネートを投入し、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。
定量ポンプを用いて、貯蔵タンクAの混合物を500[g/分]の速度、貯蔵タンクBのジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネートを19.4[g/分]の速度にて110〜140℃に設定した2軸押出機に連続的に供給し、押出機中で混合、反応を行い、押出機出口からストランドを出し、ペレタイザーによりペレット化して、ポリアルキレンオキシド変性物を得た。得られたポリアルキレンオキシド変性物の吸水能は25[g/g]、水溶性成分比率は15.5[%]であった。
【0044】
製造例2 ポリアルキレンオキシド変性物の製造方法
数平均分子量15,000のエチレンオキシド/プロピレンオキシド(=90/10)共重合体を250[g/分]の速度、40℃に加熱したエチレングリコールを2.1[g/分]の速度で、それぞれ40φ単軸押出機(L/D=40、設定温度:90℃)に供給して両者を溶融混合した。吐出口から得られる混合物(均一な溶融状態で吐出しており、LCにて分析して仕込み比で混合していることを確認した)を、30φ2軸押出機(L/D=41.5)のホッパー口(80℃に設定)へ連続的に供給した。同時に2軸押出機のホッパー口にはジオクチルスズジラウレートを0.5[g/分]の速度にて供給した。
これとは別に、30℃に調整したジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネートを前記2軸押出機のホッパー口の次に位置するスクリューバレル部に12.4[g/分]の速度にて供給し窒素雰囲気下で連続的に反応させた(設定温度:180℃)。
2軸押出機出口から得られるストランドを冷却後、ペレタイザーによりペレット化してポリアルキレンオキシド変性物を得た。得られたポリアルキレンオキシド変性物の吸水能は20[g/g]、水溶性成分比率は11.3[%]であった。
【0045】
製造例3 ポリアルキレンオキシド変性物の製造方法
数平均分子量20,000のポリエチレンオキシドを250[g/分]の速度、40℃に加熱した1,4−ブタンジオールを1.1[g/分]の速度で、それぞれ40φ単軸押出機(L/D=40、設定温度:90℃)に供給して両者を溶融混合した。吐出口から得られる混合物(均一な溶融状態で吐出しており、LCにて分析して仕込み比で混合していることを確認した)を、30φ2軸押出機(L/D=41.5)のホッパー口(80℃に設定)へ連続的に供給した。同時に2軸押出機のホッパー口にはジオクチルスズジラウレートを0.5[g/分]の速度にて供給した。
これとは別に、30℃に調整したジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネートを前記2軸押出機のホッパー口の次に位置するスクリューバレル部に6.5[g/分]の速度にて供給し窒素雰囲気下で連続的に反応させた(設定温度:180℃)。
2軸押出機出口から得られるストランドを冷却後、ペレタイザーによりペレット化してポリアルキレンオキシド変性物を得た。得られたポリアルキレンオキシド変性物の吸水能は35[g/g]、水溶性成分比率は19.7[%]であった。
【0046】
製造例1〜3で得られたポリアルキレンオキシド変性物について、ジオール/ポリアルキレンオキシドのモル比、R値[(−NCOモル数)/(−OHモル数)]、吸水能および水溶性成分比率を表1に示す。
【0048】
製造例4 ポリアクリル酸塩架橋物の製造方法
攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた1L容の四つ口円筒型丸底フラスコにn−ヘプタン550mLを加えた。これにHLBが13.1のヘキサグリセリルモノベヘレート(界面活性剤;日本油脂株式会社製のノニオンGV−106)を1.38g添加して分散させ、50℃まで昇温して界面活性剤を溶解した後30℃まで冷却した。
一方、500mL容の三角フラスコを別に用意し、これに80重量%のアクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から冷却しつつ20.1重量%の水酸化ナトリウム水溶液152.6gを滴下して75モル%の中和を行い、その後、過硫酸カリウム0.11gと架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.019gとをさらに加えて溶解させた。これによりアクリル酸部分中和物水溶液が得られた。
次に、前記アクリル酸部分中和物水溶液の全量を前記四つ口円筒型丸底フラスコに加えて分散させ、系内を窒素で置換した後に昇温し、浴温を70℃に保持して3時間かけて重合反応を行った。
重合反応終了後、得られたポリアクリル酸塩架橋物を含むスラリーを、120℃で2時間乾燥してポリアクリル酸塩架橋物191.2gを得た。得られたポリアクリル酸塩架橋物の吸水能は550[g/g]、水溶性成分比率は0.06[%]であった。
【0049】
実施例1
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO8Z」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 200万)を6[kg/hr]、製造例1で得たポリアルキレンオキシド変性物を6[kg/hr]、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)としてBASF社製 476Lを5[kg/hr]の割合にて、240℃に設定した2軸押出機(28φ、L/D=40)に供給し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
得られた樹脂組成物を、240℃に設定したホットプレスにて1mm厚みのシートとし、評価に供した。ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0050】
実施例2
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO18Z」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 450万)を4[kg/hr]、製造例2で得たポリアルキレンオキシド変性物を8.5[kg/hr]、ポリスチレン(PS)として東洋スチレン社製 トーヨースチロールGP HRM40を5[kg/hr]の割合にて、240℃に設定した2軸押出機(28φ、L/D=40)に供給し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
得られた樹脂組成物を、240℃に設定したホットプレスにて1mm厚みのシートとし、評価に供した。ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0051】
実施例3
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO15Z」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 330万)を6[kg/hr]、製造例1で得たポリアルキレンオキシド変性物を4[kg/hr]、ポリプロピレン(PP)としてプライムポリマー社製、J3021GRを5[kg/hr]の割合にて、200℃に設定した2軸押出機(28φ、L/D=40)に供給し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
得られた樹脂組成物を、200℃に設定したホットプレスにて1mm厚みのシートとし、評価に供した。ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0052】
実施例4
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO18Z」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 450万)を8[kg/hr]、製造例2で得たポリアルキレンオキシド変性物を8[kg/hr]、ポリエチレンとして住友化学製 スミカセンG801を10[kg/hr]の割合にて180℃に設定した2軸押出機(28φ、L/D=40)に供給し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
得られた樹脂組成物を、180℃に設定したホットプレスにて1mm厚みのシートとし、評価に供した。ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0053】
実施例5
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO18Z」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 450万)を8[kg/hr]、製造例3で得たポリアルキレンオキシド変性物を10[kg/hr]、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)としてBASF社製 476Lを10[kg/hr]の割合にて、240℃に設定した2軸押出機(28φ、L/D=40)に供給し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
得られた樹脂組成物を、240℃に設定したホットプレスにて1mm厚みのシートとし、評価に供した。ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0054】
比較例1
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO27」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 700万)を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得て、評価に供した。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0055】
比較例2
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO1Z」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 20万)を使用した以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を得て、評価に供した。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0056】
比較例3
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO27」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 700万)を使用した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物を得て、評価に供した。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0057】
比較例4
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO3Z」(住友精化株式会社製 粘度平均分子量 60万)を使用した以外は実施例4と同様にして樹脂組成物を得て、評価に供した。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0058】
比較例5
水溶性ポリエチレンオキシドとして「PEO8Z」(住友精化株式会社 粘度平均分子量 200万)を12[kg/hr]、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)としてBASF社製 476Lを6[kg/hr]の割合にて、240℃に設定した2軸押出機(28φ、L/D=40)に供給し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、240℃に設定したホットプレスにて1mm厚みのシートとし、評価に供した。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。
【0059】
比較例6
実施例1にて製造例1のポリアルキレンオキシド変性物の代わりに製造例4のポリアクリル酸塩架橋物を使用した以外はすべて同じにして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の成分を表2に示す。
ヌメリ感、MIU、MMD、ソフト感およびソフト感保持率を表3に示す。