【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために検討した結果、本発明者等は、特定の有機顔料が目的の遮光性組成物の着色材として適しており、この有機顔料を所定量含有させた遮光性組成物がブラックマトリクスの形成に好適であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、着色材を固形分中
45重量%以上含有する遮光性組成物において、着色材の必須成分としてピグメント・バイオレット23及びピグメント・イエロー139をそれぞれ固形分中
35重量%以上及び10重量%以上含有し、これら以外の着色材を固形分中5重量%以下で含有することを特徴とする遮光性組成物である。
【0011】
また、本発明は、上記遮光性組成物において感光性樹脂及び光重合開始剤をそれぞれ固形分中5〜50重量%及び1〜10重量%含有した、フォトリソグラフィーによって画像形成が可能なカラーフィルター用遮光性組成物である。
【0012】
ここで、カラーフィルター用遮光性組成物を硬化させた硬化膜の体積抵抗率は10
14Ω・cm以上であることが好ましく、また比誘電率は4以下であることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、上記のカラーフィルター用遮光性組成物の硬化膜を有するカラーフィルターである。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の遮光性組成物は、ピグメント・バイオレット23及びピグメント・イエロー139を必須成分とする着色材を固形分中40重量%以上含有してなる。ここで、着色材とは顔料、染料等をいう。また、固形分とは遮光性組成物中の溶剤以外の成分をいい、遮光性組成物の硬化膜の形成に寄与する成分を意味する。本発明の遮光性組成物は、着色材を固形分中40重量%以上含有することが必要であるが、遮光性を高める点で50重量%以上含有することが好ましく、60重量%以上含有することがより好ましい。なお、本発明の遮光性組成物は必要に応じて着色材や溶剤以外の成分を含むことができ、例えば樹脂類や分散剤等を配合することができる。
【0015】
本発明の遮光性組成物の遮光性は、硬化膜の光学濃度測定によって評価することができる。光学濃度は、一般に透過率の逆数の常用対数で定義される数値であるが、市販の光学濃度計(グレタグマクベス社製「D200−II」等)によって容易に測定値を得ることもできる。本発明の遮光性組成物は、その硬化膜の光学濃度が膜厚1μmにおいて1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、2.0以上であることが最も好ましい。また、硬化膜の膜厚を高めることでより高い光学濃度を得ることもでき、本発明の遮光性組成物においては1.5μmの膜厚で光学濃度2.2以上を、2.0μmの膜厚で光学濃度2.8以上を実現することが可能である。
【0016】
本発明で使用するピグメント・バイオレット23は着色力の強い鮮明な紫色の顔料であり、遮光性組成物の固形分中25重量%以上含まれることが必要である。遮光性を高めるため、ピグメント・バイオレット23は固形分中30重量%以上含まれることが好ましく、35重量%以上含まれることがより好ましい。ピグメント・バイオレット23の市販品の例としては、クラリアント社製「Hostaperm Violet RL−NF」がある。また、同様に本発明で使用するピグメント・イエロー139は着色力の強い鮮明な黄色の顔料であり、遮光性組成物の固形分中10重量%以上含まれることが必要である。遮光性を高めるため、ピグメント・イエロー139は固形分中12重量%以上含まれることが好ましく、15重量%以上含まれることがより好ましい。ピグメント・イエロー139の市販品の例としては、BASF社製「Paliotol Yellow D 1819」がある。
【0017】
着色材の必須成分であるピグメント・バイオレット23及びピグメント・イエロー139の重量比は、80/20〜50/50の範囲にあることが好ましく、70/30〜60/40の範囲にあることがより好ましい。これら2種類の顔料をかかる適切な重量比で使用することで、遮光性、絶縁性、分散安定性及びフォトリソグラフィー性をともに満たす遮光性組成物を得ることが可能となる。
【0018】
本発明の遮光性組成物には、ピグメント・バイオレット23及びピグメント・イエロー139以外の着色材(以下「その他の着色材」という)を固形分中5重量%以下の範囲で配合することができる。その他の着色材としては、公知の顔料、染料等を特に制限なく用いることができるが、例えばアゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾメチン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、カルバゾールジオキサジン顔料、スレン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料等に代表される絶縁性の有機顔料が好ましい。なお、その他の着色材を配合する場合、その目的を実質的に果たすための下限は着色材中1重量%である。
【0019】
また、その他の着色材としてはカーボンブラックやチタンブラックを用いることもできるが、カーボンブラックを含有させた場合はその量に応じて絶縁性の維持が難しくなり、チタンブラックを含有させた場合は同様に分散安定性の維持が問題となる。さらに、カーボンブラックやチタンブラックは、有機顔料と比較して誘電率の点でも不利となる。
【0020】
本発明で使用する顔料は、整粒化処理により粒径が整えられたものであることが有利である。整粒化処理としては公知の方法を特に制限なく利用でき、例えばソルトミリング法、ソルベントソルトミリング法、アシッドペースティング法、アシッドスラリー法等を挙げることができる。こうして整粒化された顔料の平均粒径は10〜500nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。ここで、顔料の平均粒径が小さすぎる場合は隠蔽力が低下するために十分な遮光性を得ることが困難となり、逆に大きすぎる場合は顔料粒子が障害となって表面が平滑な硬化膜を得ることが困難となる。また、顔料の平均粒径を示す指標として比表面積が知られているが、本発明で使用する顔料の比表面積は10〜150m
2/gであることが好ましく、30〜100m
2/gであることがより好ましい。なお、本発明で使用する顔料とは、ピグメント・バイオレット23やピグメント・イエロー139のほか、その他の着色材を配合する場合にはそれに用いる顔料も含めて考えるものとする。
【0021】
本発明で使用する顔料は、分散安定性を向上させるため表面処理がなされたものであることが好ましい。表面処理としては公知の方法を特に制限なく利用でき、例えばロジン処理、顔料誘導体処理、酸・塩基処理、プラズマ処理、カプセル化処理等を挙げることができる。
【0022】
本発明の遮光性組成物には、硬化膜の形成を容易にさせるため樹脂類を配合することができる。使用できる樹脂類は、公知の高分子化合物や高粘度化合物であれば特に制限されるものではなく、例えばビニル樹脂(アクリル酸(共)重合体、メタクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体、スチレン(共)重合体等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができるが、構造中にカルボキシ基やフェノール性水酸基等のアルカリ溶解性官能基を有してアルカリ現像性を持つものや、グリシジル基やイソシアネート基等の反応性官能基を有して熱硬化性を持つものが好ましい。これら樹脂類の配合量は特に制限されるものではないが、固形分中5〜50重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。なお、ここでいう樹脂類には、後述する感光性樹脂も含まれる。
【0023】
本発明の遮光性組成物には、上記顔料等の着色材を安定して分散させるため分散剤を配合することができる。使用できる分散剤は、公知の分散剤や分散促進剤等であれば特に制限されるものではなく、例えばカチオン性高分子系分散剤、アニオン性高分子系分散剤、ノニオン性高分子系分散剤、顔料誘導体型分散剤(分散助剤)等を挙げることができる。特に、顔料への吸着点としてイミダゾリル基、ピロリル基、ピリジル基、一級、二級又は三級のアミノ基等のカチオン性の官能基を有し、アミン価が1〜100mgKOH/g、平均分子量が1千〜10万の範囲にあるカチオン性高分子系分散剤は好適である。このようなカチオン性高分子系分散剤の例は、特開平9−169821号公報に開示されている。これら分散剤の配合量は特に制限されるものではないが、固形分中1〜25重量%であることが好ましく、2〜15重量%であることがより好ましい。なお、樹脂類のような高粘度物質は一般に分散を安定させる作用をも有するが、分散促進能を有しないものは分散剤とは扱わない。しかし、分散を安定させる目的で使用することを制限するものではない。また、上記顔料誘導体型分散剤が顔料骨格に由来する着色を有する場合は、該顔料誘導体型分散剤は着色材の一部としても機能する。
【0024】
本発明の遮光性組成物には、着色材の分散安定性や遮光性組成物の塗布性を向上させるため溶剤を配合することができる。溶剤としては、公知の溶剤を特に制限なく用いることができ、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールジアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、モノグライム、ジグライム、トリグライム、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエーテルエステル類、グリコール酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のアルコールエステル類、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族系溶剤、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素系溶剤等を挙げることができる。これら溶剤の配合量は特に制限されるものではないが、固形分に対して100〜1900重量%(遮光性組成物中50〜95重量%)であることが好ましく、150〜900重量%(遮光性組成物中60〜90重量%)であることがより好ましい。
【0025】
また、本発明の遮光性組成物は必要に応じてさらに任意の成分を含むことができ、例えばフィラーや添加剤等を配合することもできる。なお、添加剤としては、硬化剤、架橋剤、界面活性剤、シランカップリング剤、粘度調整剤、湿潤剤、消泡剤、酸化防止剤等が挙げられるが、特に制限されない。
【0026】
本発明の遮光性組成物の製法は特に制限されるものではないが、例えば顔料等の着色材を(好ましくは分散剤を用いて)樹脂類や溶剤等に分散させることにより作製する方法を挙げることができる。着色材を分散させる方法としては公知の方法を特に制限なく利用でき、例えばニーダー、アトライター、ロールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、ディスパーザー等による分散加工処理を挙げることができる。
【0027】
本発明のカラーフィルター用遮光性組成物は、感光性樹脂を固形分中5〜50重量%含有すると共に、光重合開始剤を固形分中1〜10重量%含有することでフォトリソグラフィーによって画像形成が可能であることを特徴とする。ここで、フォトリソグラフィーとは、遮光性組成物を塗布、乾燥して得た塗布膜にフォトマスク等を介して選択的に光照射(画像露光)を行い、光照射部を光エネルギーによって硬化せしめた後、現像によって光照射されない部分を除去することにより画像を得る方法をいい、特にネガ型のフォトリソグラフィーと呼ばれる方法を指す。
【0028】
本発明で使用するピグメント・バイオレット23及びピグメント・イエロー139は、380nm未満の紫外光波長領域に透過性を有する。そのため、本発明のカラーフィルター用遮光性組成物は紫外光照射によるフォトリソグラフィーに非常に適している。カーボンブラックを着色材とするカラーフィルター用遮光性組成物は広く用いられているが、カーボンブラックは紫外光をほとんど透過しないため紫外光照射によるフォトリソグラフィーは本質的に困難である。とりわけ1.5μm以上といった比較的高い膜厚での画像形成は、カーボンブラックを着色材とする場合には塗布膜の深部を光硬化させることができないために大きな障害となる。ところが、本発明のカラーフィルター用遮光性組成物はそのような高い膜厚においても塗布膜の深部まで十分に光硬化するために画像形成はきわめて容易であり、厚膜のブラックマトリクスの形成にも適して用いることができる。このような厚膜のブラックマトリクスの例としては、インクジェット法によるカラーフィルターの形成において画素の隔壁の機能を持たせるために必要とされるものがある。
【0029】
本発明で使用する感光性樹脂は、光重合性樹脂、光重合性モノマー又は光重合性オリゴマーのうちの少なくとも1種から選ばれるものであればよいが、硬化した状態で樹脂となるものであればよく、未硬化の状態ではモノマーやオリゴマーのような樹脂化していない成分のみを含むものであってもよい。感光性樹脂としては、公知の光重合性樹脂、光重合性モノマー及び光重合性オリゴマーをいずれも好ましく用いることができるが、特にアクリル酸及びメタクリル酸(以下、両者をあわせて「(メタ)アクリル酸」等という)の誘導体が好ましく、例えばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシポリ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシポリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシエステル類等を挙げることができる。また、上記の(メタ)アクリル酸化合物類と、構造中に(好ましくは複数の)イソシアネート基や酸無水物基等を有する化合物との反応生成物等も好適である。さらに、公知の樹脂類であるビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂等の主鎖又は側鎖に、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合等により(メタ)アクリロイル基を導入した樹脂類等も例示することができる。なお、(メタ)アクリル酸誘導体以外では、マレイン酸誘導体、マレイミド誘導体、クロトン酸誘導体、イタコン酸誘導体、ケイヒ酸誘導体、ビニルアルコール誘導体等も用いることができる。これらの感光性樹脂はカラーフィルター用遮光性組成物の露光感度等に応じて適宜選定されればよく、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、構造中にカルボキシ基やフェノール性水酸基等のアルカリ溶解性官能基を有してアルカリ現像性を持つものであることが好ましい。これら感光性樹脂の配合量は固形分中5〜50重量%であることが必要であるが、7〜40重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。ここで、感光性樹脂の配合量が少なすぎる場合は、遮光性組成物の感光性が低くフォトリソグラフィーによって画像を得ることが困難となる。一方、感光性樹脂の配合量が多すぎる場合は、相対的に着色材の配合量が少なくなって遮光性が不十分となる。
【0030】
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤をいずれも好ましく用いることができ、例えばアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4′−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−tert−ブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、2−メチル−1−[4−(メチルスルファニル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(N,N−ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等のα−アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[3,4−(メチレンジオキシ)フェニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン類、3,3′,4,4′−テトラキス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等の硫黄化合物類、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド等のリン化合物類、1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)エタノン−1−O−アセチルオキシム等のオキシムエステル類、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール等のビイミダゾール類等を挙げることができるが、高い感光性が得られる点でトリアジン類やオキシムエステル類が特に好ましい。これらの光重合開始剤はカラーフィルター用遮光性組成物の露光感度等に応じて適宜選ばれればよく、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これら光重合開始剤の配合量は固形分中1〜10重量%であることが必要であるが、2〜8重量%であることが好ましく、3〜6重量%であることがより好ましい。ここで、光重合開始剤の配合量が少なすぎる場合は、遮光性組成物の感光性が低くフォトリソグラフィーによって画像を得ることが困難となる。一方、光重合開始剤の配合量が多すぎる場合は、相対的に着色材の配合量が少なくなって遮光性が不十分となる。
【0031】
本発明のカラーフィルター用遮光性組成物の製法は特に制限されるものではないが、顔料等の着色材を(好ましくは分散剤を用いて)溶剤等に分散させた分散液をあらかじめ調製し、これに感光性樹脂や光重合開始剤を配合してカラーフィルター用遮光性組成物を作製する方法が有利である。また、感光性樹脂等を溶剤に溶解させた感光性樹脂組成物中に着色材を分散させてカラーフィルター用遮光性組成物を作製する方法もあるが、得られるカラーフィルター用遮光性組成物の安定性の点で前者の方法が好ましい。
【0032】
本発明のカラーフィルター用遮光性組成物は、基板等に塗布し、紫外光照射、加熱焼成等で硬化させることによって硬化膜を得ることができる。カラーフィルター用遮光性組成物を塗布する方法としては公知の方法が利用でき、例えばスピンコーター、バーコーター、スリットコーター等による塗布を挙げることができる。また、塗布後は、ホットプレートや減圧乾燥機等を用いてカラーフィルター用遮光性組成物の乾燥を行うことが好ましい。但し、塗布及び乾燥の方法は特に制限されない。
【0033】
紫外光照射による硬化の方法も公知の方法が利用でき、例えばキセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯等を光源とする紫外光照射を挙げることができる。かかる紫外光照射を行う際、フォトマスク等を用いて画像露光を行い、さらに現像液で処理することにより基板上に画像を形成することができる。現像液としては、未露光部分を溶解し露光部分を溶解しない現像液であれば特に制限はないが、種々の添加剤を含むアルカリ水溶液であることが好ましい。ここで、現像液のアルカリ成分としては、例えばアルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物、四級アンモニウムの水酸化物等を、添加剤としては、例えば有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、防カビ剤等を挙げることができる。現像方法についても公知の方法が利用でき、例えば浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等を挙げることができる。紫外光照射及び現像の方法も特に制限されるものではない。
【0034】
さらに、硬化膜の強度を高めるため、紫外光照射後に加熱焼成を行うことが好ましい。加熱焼成の方法も公知の方法が利用でき、例えばホットプレート、熱風オーブン等による処理を挙げることができるが、特に制限されない。
【0035】
カラーフィルター用遮光性組成物の硬化条件については特に制限されないが、光硬化については10〜1000mJ/cm
2の紫外光照射、熱硬化については200〜250℃で20〜60分の加熱焼成を行うことが好ましい。
【0036】
本発明のカラーフィルター用遮光性組成物の硬化膜は、体積抵抗率が10
14Ω・cm以上であることが好ましい。体積抵抗率は絶縁性の指標であり、体積抵抗率が高いほど絶縁性は高いといえる。体積抵抗率の測定は公知の方法により行えばよいが、硬化膜を導電性の金属蒸着膜で挟み、各金属蒸着膜に電極をそれぞれ接続し、微少電流計(アドバンテスト社製「R8340A」等)によって測定を行う方法が好ましい。なお、着色材にカーボンブラックを用いてカラーフィルター用遮光性組成物を構成した場合は一般に絶縁性が低下し、硬化膜の体積抵抗率は10
14Ω・cmに達しない。
【0037】
本発明のカラーフィルター用遮光性組成物の硬化膜は、比誘電率が4以下であることが好ましい。比誘電率の測定は公知の方法により行えばよいが、硬化膜を導電性の金属蒸着膜で挟み、各金属蒸着膜に電極をそれぞれ接続し、LCRメーター(アジレント・テクノロジー社製「4284A」等)によって静電容量測定を行う方法が好ましい。なお、着色材にカーボンブラックやチタンブラックを用いてカラーフィルター用遮光性組成物を構成した場合は一般に誘電体としてふるまうようになり、硬化膜の比誘電率は4を超える値となる。
【0038】
なお、上記のカラーフィルター用遮光性組成物の硬化膜を用いてカラーフィルターを作製する方法としては、公知の方法を利用できる。