【実施例】
【0062】
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0063】
<Al排水>
(実施例1)
以下のようにして、
図1に示す高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。なお、高密度汚泥生成型水処理装置としては、沈殿槽4に分離汚泥11が存在していないもの、即ち沈殿槽4における汚泥体積割合が0%のものを用いた。
【0064】
まず、処理対象となる無機系イオン含有排水として、アルミニウムイオン濃度が1000mg/Lのアルミニウム排水(以下、「Al排水」と呼ぶ)を、導入ラインL1を経て第1不溶化処理槽1に導入した。
【0065】
このとき、第1不溶化処理槽1の槽内液中のpH値が6.5程度となるように硫酸を適宜供給してpH値を調整した。ただし第1不溶化処理槽1ではpHが大きく変動する。そして、第1不溶化処理槽1からの排出水は、中間ラインL2を経て第2不溶化処理槽2に導入した。第2不溶化処理槽2には、pH調整剤供給槽9からラインL9を経て、適宜pH調整剤である苛性ソーダ、硫酸を供給し、第2不溶化処理槽2の槽内液中のpH値が7.0となるように調整した。
【0066】
第2不溶化処理槽2からの排出水は、中間ラインL3を経て凝集処理槽3に導入した。凝集処理槽3には、凝集剤供給槽10からラインL10を経て、高分子凝集剤を供給した。
【0067】
凝集処理槽3からの排出水は、中間ラインL4を経て沈殿槽4に導入し、沈殿槽4にて処理水と分離汚泥とに沈降分離した。処理水は、処理水排出ラインL7を経て沈殿槽4から排出した。こうして沈殿槽4に汚泥を蓄積させた。
【0068】
そして、汚泥を蓄積させている間、沈殿槽4における汚泥体積割合を測定した。
【0069】
ここで、汚泥体積割合は以下のようにして判定した。即ち、まず沈殿槽4の槽内液領域R1の体積と、沈殿槽4の内壁面における槽内液の水面の位置との関係を予め確認しておき、槽内液中の分離汚泥領域R2の汚泥界面Sの位置、及び、槽内液の液面Lの位置を確認することで、上記汚泥体積割合を判定した。分離汚泥領域R2の汚泥界面Sの位置は、沈殿槽4に設置された汚泥界面計(図示せず)によって確認した。
【0070】
そして、本実施例ではまず汚泥を10vol%まで蓄積し、上記汚泥体積割合が10vol%に達したら、汚泥循環工程、即ち高密度汚泥生成工程を開始した。
【0071】
具体的にはまず沈殿槽4から分離汚泥の一部を、汚泥供給ポンプP2により、分離汚泥供給ラインL5を経て汚泥改質槽5に供給した。一方、汚泥改質槽5には、ラインL12を経て対イオン含有物質である水酸化カルシウムを導入した。そして、導入した水酸化カルシウムを分離汚泥11の表面に吸着させ、吸着汚泥を生成した。
【0072】
そして、吸着汚泥を、汚泥改質槽5から吸着汚泥供給ラインL11を経て第1不溶化処理槽1に供給し、第1不溶化処理槽1にて、Al排水と吸着汚泥とを接触させた。これにより、Al排水中のアルミニウムイオンを吸着汚泥の対イオンである水酸化物イオンと反応させて不溶化させた。このとき、pHは、pH調整剤供給槽8からラインL8を経てpH調整剤である硫酸を供給することによって調整した。
【0073】
第1不溶化処理槽1からの排出水は、中間ラインL2を経て第2不溶化処理槽2に導入した。第2不溶化処理槽2には、pH調整剤供給槽9からラインL9を経てpH調整剤である苛性ソーダ及び硫酸を供給した。
【0074】
第2不溶化処理槽2からの排出水は、中間ラインL3を経て凝集処理槽3に導入した。凝集処理槽3には、凝集剤供給槽10から高分子凝集剤を供給した。
【0075】
凝集処理槽3からの排出水は、中間ラインL4を経て沈殿槽4に導入し、沈殿槽4にて処理水と分離汚泥11とに沈降分離させた。処理水は、処理水排出ラインL7を経て沈殿槽4から排出した。
【0076】
上記の一連の工程を繰り返し行うことによって高密度汚泥を生成した。一方、汚泥体積割合が10vol%に達した後に、沈殿槽4にて排泥を行い、沈殿槽4における汚泥体積割合を3vol%まで減少させた。
【0077】
その後は、沈殿槽4において排泥を行い、上記汚泥体積割合が3vol%となるように制御しながら汚泥を高密度化させた。
【0078】
ここで、沈殿槽4内の上記汚泥体積割合は、以下のようにして判定した。即ち、沈殿槽4に導入した槽内液の体積と、沈殿槽4の内壁面における槽内液の水面の位置との関係を予め確認し、この関係に基づき、槽内液中の分離汚泥領域R2の汚泥界面Sの位置、及び、槽内液領域R1の液面Lの位置を確認することで、槽内液領域R1中の分離汚泥領域R2の体積の割合である汚泥体積割合を判定した。
【0079】
沈殿槽4内の上記汚泥体積割合の制御は、具体的には以下のようにして行った。即ち、排泥ポンプP1の出力を調整することによって排泥量を制限し、汚泥体積割合が制御目標値となるようにして行った。また、沈殿槽4に設置された汚泥界面計を用いて、汚泥界面Sの位置をモニタし、汚泥界面Sの位置が、上記汚泥体積割合が3vol%となる位置を大きく外れたことを確認した場合には、適宜人手で汚泥の排出量を調整するようにした。
【0080】
以上のようにして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0081】
(実施例2)
汚泥体積割合が4vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0082】
(実施例3)
汚泥体積割合が6vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0083】
(実施例4)
汚泥体積割合が10vol%に達した後に、沈殿槽4における汚泥体積割合が10vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0084】
(実施例5)
汚泥体積割合が10vol%に達した後も引き続き沈殿槽4にて汚泥の量を増やし、沈殿槽4における汚泥体積割合が15vol%に達した後、汚泥体積割合が15vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0085】
(実施例6)
汚泥体積割合が10vol%に達した後も引き続き沈殿槽4にて汚泥の量を増やし、汚泥体積割合が20vol%に達した後、沈殿槽4における汚泥体積割合が20vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0086】
(実施例7)
汚泥体積割合が10vol%に達した後も引き続き沈殿槽4にて汚泥の量を増やし、汚泥体積割合が25vol%に達した後、沈殿槽4における汚泥体積割合が25vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0087】
(実施例8)
汚泥体積割合が10vol%に達した後も引き続き沈殿槽4にて汚泥の量を増やし、汚泥体積割合が30vol%に達した後、沈殿槽4における汚泥体積割合が30vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0088】
(比較例1)
汚泥体積割合が10vol%に達した後も引き続き沈殿槽4において汚泥の量を増やし、汚泥体積割合が32vol%に達した後、沈殿槽4における汚泥体積割合が32vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0089】
(比較例2)
汚泥体積割合が10vol%に達した後も引き続き沈殿槽4において汚泥の量を増やし、汚泥体積割合が50vol%に達した後、沈殿槽4における汚泥体積割合が50vol%となるように制御したこと以外は実施例1と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0090】
実施例1〜8及び比較例1、2の立上げ方法のそれぞれについて、沈殿槽4中の分離汚泥11(汚泥濃度C1)を1日おきに取り出してメスシリンダに入れ、24時間静置した後の汚泥の濃縮割合Rをメスシリンダにおける汚泥領域の容量の比(24時間静置後の汚泥領域の容量/24時間静置前の汚泥領域の容量)として計測し、24時間静置後の汚泥濃度C2(=C1/R)を算出した。このとき、汚泥濃度C1は汚泥濃度計7で測定した。そして、実施例1〜8及び比較例1,2のそれぞれにおいて、汚泥濃度C2が300g/Lに到達するまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
【表1】
【0091】
また
図3は、実施例4及び比較例1について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフである。
【0092】
表1に示すように、実施例1〜8の立上げ方法は、比較例1〜2の立上げ方法に比べて、汚泥濃度が300g/Lまでに到達する時間が顕著に短縮されることが分かった。このことは、
図3を見ても明らかである。即ち、実施例4のプロットと、比較例1のプロットとを比較すると、測定開始から、経時的に実施例4のプロットと、比較例1のプロットとが大きく離間していくことが分かる。このことから、実施例4の方が、比較例1に比べて、汚泥濃度が短期間で300g/Lに達することが明らかである。また150g/L、200g/Lに達する期間についても上記と同様の傾向がみられた。ここで、汚泥濃度150g/Lは、高密度汚泥が十分に生成された目安となる汚泥濃度である。
【0093】
表1に示す結果より、特に、沈澱槽4の汚泥体積割合を5vol%〜25vol%とすることで、汚泥濃度が300g/Lまでに到達する時間がより顕著に短縮されることが分かった。
【0094】
従って、本発明によれば、Al排水を処理対象とする高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを短期間で行うことができることが確認された。
【0095】
<Fe排水>
(実施例9)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水から鉄イオン含有排水(鉄イオン(Fe
3+)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、鉄イオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表2に示す通りとし、沈殿槽4における汚泥体積割合が15vol%となるように制御したこと以外は実施例5と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0096】
(比較例3)
沈殿槽4における汚泥体積割合が35vol%となるように制御したこと以外は実施例9と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0097】
<Cr排水>
(実施例10)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水からクロムイオン含有排水(クロムイオン(Cr
2+)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、クロムイオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表2に示す通りとし、沈殿槽4における汚泥体積割合が13vol%となるように制御したこと以外は実施例5と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0098】
(比較例4)
沈殿槽4における汚泥体積割合が33vol%となるように制御したこと以外は実施例10と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0099】
<F排水>
(実施例11)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水からフッ素イオン含有排水(フッ素イオン(F
−)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、フッ素イオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表2に示す通りとし、沈殿槽4における汚泥体積割合が10vol%となるように制御したこと以外は実施例4と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0100】
(比較例5)
沈殿槽4における汚泥体積割合が32vol%となるように制御したこと以外は実施例11と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0101】
<PO4排水>
(実施例12)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水からリン酸イオン含有排水(リン酸イオン(PO
42−)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、リン酸イオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表2に示す通りとし、沈殿槽4における汚泥体積割合が10vol%となるように制御したこと以外は実施例4と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0102】
(比較例6)
沈殿槽4における汚泥体積割合が33vol%となるように制御したこと以外は実施例12と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0103】
<SO4排水>
(実施例13)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水から硫酸イオン含有排水(硫酸イオン(SO
42−)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、硫酸イオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表2に示す通りとし、沈殿槽4における汚泥体積割合が10vol%となるように制御したこと以外は実施例4と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0104】
(比較例7)
沈殿槽4における汚泥体積割合が33vol%となるように制御したこと以外は実施例13と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0105】
実施例9〜13及び比較例3〜7の立上げ方法のそれぞれについて、沈殿槽4中の分離汚泥11(汚泥濃度C1)を1日おきに取り出してメスシリンダに入れ、24時間静置した後の汚泥の濃縮割合Rをメスシリンダにおける汚泥領域の容量の比(24時間静置後の汚泥領域の容量/24時間静置前の汚泥領域の容量)として計測し、24時間静置後の汚泥濃度C2(=C1/R)を算出した。このとき、汚泥濃度C1は汚泥濃度計7で測定した。そして、実施例9〜13及び比較例3〜7のそれぞれにおいて、汚泥濃度C2が300g/Lに到達するまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
【表2】
【0106】
また
図4は、実施例9及び比較例3について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフ、
図5は、実施例10及び比較例4について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフ、
図6は、実施例11及び比較例5について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフ、
図7は、実施例12及び比較例6について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフ、
図8は、実施例13及び比較例7について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフである。
【0107】
表2に示すように、実施例9〜13の立上げ方法は、比較例3〜7の立上げ方法に比べて、汚泥濃度が300g/Lまでに到達する時間が顕著に短縮されることが分かった。このことは、
図4〜
図8を見ても明らかである。即ち、例えば実施例9のプロットと、比較例3のプロットとを比較すると、測定開始から、経時的に実施例9のプロットと、比較例3のプロットとが大きく離間していくことが分かる。このことから、実施例9の方が、比較例3に比べて、汚泥濃度が短期間で300g/Lに達することが明らかである。また150g/L、200g/Lに達する期間についても上記と同様の傾向がみられた。この結果は、実施例10〜13の立上げ方法でも同様であった。
【0108】
従って、本発明によれば、Fe排水、Cr排水、F排水、PO
4排水、SO
4排水を処理対象とする高密度汚泥生成型水処理装置の立上げについても短期間で行うことができることが確認された。
【0109】
<Cu排水>
(実施例14)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水から銅イオン含有排水(銅イオン(Cu
2+)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、銅イオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表3に示す通りとし、上記汚泥体積割合が12vol%となるように制御したこと以外は実施例5と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0110】
(比較例8)
汚泥体積割合が33vol%となるように制御したこと以外は実施例14と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0111】
<Mn排水>
(実施例15)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水からマンガンイオン含有排水(マンガンイオン(Mn
2+)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、マンガンイオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表3に示す通りとし、上記汚泥体積割合が12vol%となるように制御したこと以外は実施例5と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0112】
(比較例9)
汚泥体積割合が32vol%となるように制御したこと以外は実施例15と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0113】
<Ni排水>
(実施例16)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水からニッケルイオン含有排水(ニッケルイオン(Ni
2+)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、ニッケルイオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表3に示す通りとし、沈殿槽4における汚泥体積割合が12vol%となるように制御したこと以外は実施例5と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0114】
(比較例10)
沈殿槽4における汚泥体積割合が33vol%となるように制御したこと以外は実施例16と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0115】
<Zn排水>
(実施例17)
処理対象となる無機系イオン含有排水を、アルミニウム排水から亜鉛イオン含有排水(亜鉛イオン(Zn
2+)濃度:1000mg/L)に変更し、汚泥改質槽5に供給される対イオン含有物質、亜鉛イオンと不溶化物を形成する対イオン、第1不溶化処理槽1におけるpH及び第2不溶化処理槽2におけるpHを表3に示す通りとし、沈殿槽4における汚泥体積割合が12vol%となるように制御したこと以外は実施例5と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0116】
(比較例11)
沈殿槽4における汚泥体積割合が33vol%となるように制御したこと以外は実施例17と同様にして高密度汚泥生成型水処理装置の立上げを行った。
【0117】
実施例14〜17及び比較例8〜11の立上げ方法のそれぞれについて、沈殿槽4中の分離汚泥11(汚泥濃度C1)を1日おきに取り出してメスシリンダに入れ、24時間静置した後の汚泥の濃縮割合Rをメスシリンダにおける汚泥領域の容量の比(24時間静置後の領域の容量/24時間静置前の汚泥領域の容量)として計測し、24時間静置後の汚泥濃度C2(=C1/R)を算出した。このとき、汚泥濃度C1は汚泥濃度計7で測定したそして、実施例14〜17及び比較例8〜11のそれぞれにおいて、汚泥濃度C2が100g/Lに到達するまでの時間を測定した。結果を表3に示す。
【表3】
【0118】
また
図10は、実施例14及び比較例9について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフ、
図11は、実施例15及び比較例10について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフ、
図12は、実施例17及び比較例11について、沈殿槽4における汚泥濃度の経時変化の結果を示すグラフである。
【0119】
表3に示すように、実施例14〜17の立上げ方法は、比較例8〜11の立上げ方法に比べて、汚泥濃度が100g/Lまでに到達する時間が顕著に短縮されることが分かった。このことは、
図9〜
図12を見ても明らかである。即ち、例えば実施例14のプロットと、比較例8のプロットとを比較すると、測定開始から、経時的に実施例14のプロットと、比較例8のプロットとが大きく離間していくことが分かる。このことから、実施例14の方が、比較例8に比べて、汚泥濃度が短期間で100g/Lに達することが明らかである。また50g/L、80g/Lに達する期間についても上記と同様の傾向がみられた。この結果は、実施例14〜17の立上げ方法でも同様であった。
【0120】
従って、本発明によれば、Cu排水、Mn排水、Ni排水及びZn排水を処理対象とする高密度汚泥生成型水処理装置の立上げについても短期間で行うことができることが確認された。