(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700080
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】カチオン界面活性剤含有排水の処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20150326BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20150326BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20150326BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20150326BHJP
B01D 71/56 20060101ALI20150326BHJP
B01D 71/38 20060101ALI20150326BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
C02F1/44 F
B01D61/02 500
B01D61/04
B01D61/58
B01D71/56
B01D71/38
C02F1/44 C
C02F1/28 D
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-138915(P2013-138915)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-9230(P2015-9230A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年7月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】育野 望
(72)【発明者】
【氏名】前田 雄史
【審査官】
神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−247576(JP,A)
【文献】
特開平06−328070(JP,A)
【文献】
特開平11−244853(JP,A)
【文献】
特開2000−015257(JP,A)
【文献】
特開昭61−004591(JP,A)
【文献】
特開2009−260249(JP,A)
【文献】
特開2004−285354(JP,A)
【文献】
特開昭62−042787(JP,A)
【文献】
特開平06−063549(JP,A)
【文献】
特開2003−071252(JP,A)
【文献】
特開平11−010146(JP,A)
【文献】
特開2001−205267(JP,A)
【文献】
特開2005−246158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B01D53/22,61/00−71/82,
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン界面活性剤含有排水をpH3〜5にpH調整した後逆浸透膜分離処理する第1の逆浸透膜分離工程と、該第1の逆浸透膜分離工程で得られる逆浸透膜透過水をpH6.5〜10.5にpH調整した後逆浸透膜分離処理する第2の逆浸透膜分離工程とを備えるカチオン界面活性剤含有排水の処理方法であって、
前記カチオン界面活性剤含有排水が電子産業プロセス排水であり、前記第1の逆浸透膜分離工程における逆浸透膜がポリアミド膜又はポリビニルアルコール膜で、水回収率が60〜90%であり、前記第2の逆浸透膜分離工程における逆浸透膜がポリアミド膜で、水回収率が80〜90%であり、該第2の逆浸透膜分離工程の逆浸透膜透過水を回収することを特徴とするカチオン界面活性剤含有排水の処理方法。
【請求項2】
請求項1において、前記カチオン界面活性剤含有排水を活性炭処理した後、前記第1の逆浸透膜分離工程で処理することを特徴とするカチオン界面活性剤含有排水の処理方法。
【請求項3】
カチオン界面活性剤含有排水をpH3〜5にpH調整した後逆浸透膜分離処理する第1の逆浸透膜分離手段と、該第1の逆浸透膜分離手段で得られる逆浸透膜透過水をpH6.5〜10.5にpH調整した後逆浸透膜分離処理する第2の逆浸透膜分離手段とを備えるカチオン界面活性剤含有排水の処理装置であって、
前記カチオン界面活性剤含有排水が電子産業プロセス排水であり、前記第1の逆浸透膜分離手段における逆浸透膜がポリアミド膜又はポリビニルアルコール膜で、水回収率が60〜90%であり、前記第2の逆浸透膜分離手段における逆浸透膜がポリアミド膜で、水回収率が80〜90%であり、該第2の逆浸透膜分離手段の逆浸透膜透過水を回収することを特徴とするカチオン界面活性剤含有排水の処理装置。
【請求項4】
請求項3において、前記第1の逆浸透膜分離手段の前段において、前記カチオン界面活性剤含有排水を処理する活性炭塔を有することを特徴とするカチオン界面活性剤含有排水の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子産業プロセスなどから排出されるカチオン界面活性剤を含有する排水を効率的に処理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、LCD等の電子産業プロセスにおいては、近年、環境負荷の低減、用排水コストの削減を目的として、電子産業プロセス排水を回収して再利用することが行われている。電子産業プロセスから排出される排水を回収、再利用するための処理方法としては、次の(1)又は(2)の方法が一般的に採用されている。
(1) 排水を活性汚泥法又は担体方式で生物処理した後、凝集浮上濾過、凝集沈殿濾過、或いは限外濾過(UF)膜又は精密濾過(MF)膜による膜分離処理により生物処理水中の菌体やSSを分離除去し、次いで逆浸透(RO)膜分離により脱塩処理し、RO膜透過水を回収する。
(2) 上記(1)の方法において、生物処理を省略して、凝集浮上濾過、凝集沈殿濾過、或いはUF膜又はMF膜による膜分離処理により排水中のSSを分離除去した後、RO膜分離により脱塩処理し、RO膜透過水を回収する。
【0003】
なお、上記(1),(2)の方法において、RO膜分離処理に先立ち、RO膜給水中の残留塩素や過酸化水素といった酸化性物質を除去するために活性炭処理を行う。
【0004】
電子産業プロセスにおいては、ウェハやガラス基板などの洗浄剤としてカチオン界面活性剤が使用される場合がある。電子産業プロセス排水中のカチオン界面活性剤は、上記(1),(2)の処理方法における生物処理やSS分離、活性炭処理では除去し難く、RO膜分離で除去されるが、カチオン界面活性剤はRO膜の閉塞物質であるため、カチオン界面活性剤がRO膜分離装置に流入するとRO膜を閉塞させて経時により透過水量を低下させるという問題がある。カチオン界面活性剤がRO膜を閉塞させる理由は、カチオン界面活性剤はプラスに荷電しているのに対して、RO膜はpH中性条件下ではマイナスに荷電しているため、静電引力によりカチオン界面活性剤がRO膜面に付着することによる。
【0005】
RO膜は、pH酸性条件ではゼータ電位がプラスとなり、反発力でカチオン界面活性剤の膜面付着を防止することができることから、RO給水のpH値を下げることにより、カチオン界面活性剤による膜閉塞を抑制することができる。
【0006】
この原理を利用して、食品容器洗浄排水等のカチオン界面活性剤含有排水をpH6以下に調整した後RO膜処理する方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の方法では、コンベア潤滑剤として用いられたカチオン界面活性剤を含むペットボトルの殺菌洗浄排水を、殺菌剤分解装置で処理した後、pH6以下、好ましくはpH5〜6にpH調整し、その後RO膜処理装置で処理して洗浄水として再利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−247576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、RO膜分離処理において、RO給水のpHを下げると脱塩率が低下するために得られる水の純度が低下することから、電子産業プロセスにおける水回収には不適当である。
【0009】
本発明は、電子産業プロセス排水等のカチオン界面活性剤含有排水をRO膜分離処理して水回収するに当たり、カチオン界面活性剤によるRO膜の閉塞を防止した上で、高水質の処理水を長期に亘り安定に得る方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、カチオン界面活性剤含有排水を低pH条件でRO膜分離処理した後、pHを上げてRO膜分離処理することにより、カチオン界面活性剤によるRO膜の閉塞を防止した上で、高純度の処理水を得ることができることを見出した。
【0011】
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0012】
[1] カチオン界面活性剤含有排水をpH3〜5にpH調整した後逆浸透膜分離処理する第1の逆浸透膜分離工程と、該第1の逆浸透膜分離工程で得られる逆浸透膜透過水をpH6.5〜10.5にpH調整した後逆浸透膜分離処理する第2の逆浸透膜分離工程とを備える
カチオン界面活性剤含有排水の処理方法であって、前記カチオン界面活性剤含有排水が電子産業プロセス排水であり、前記第1の逆浸透膜分離工程における逆浸透膜がポリアミド膜又はポリビニルアルコール膜で、水回収率が60〜90%であり、前記第2の逆浸透膜分離工程における逆浸透膜がポリアミド膜で、水回収率が80〜90%であり、該第2の逆浸透膜分離工程の逆浸透膜透過水を回収することを特徴とするカチオン界面活性剤含有排水の処理方法。
【0013】
[2] [1]において、前記カチオン界面活性剤含有排水を活性炭処理した後、前記第1の逆浸透膜分離工程で処理することを特徴とするカチオン界面活性剤含有排水の処理方法。
【0015】
[
3] カチオン界面活性剤含有排水をpH3〜5にpH調整した後逆浸透膜分離処理する第1の逆浸透膜分離手段と、該第1の逆浸透膜分離手段で得られる逆浸透膜透過水をpH6.5〜10.5にpH調整した後逆浸透膜分離処理する第2の逆浸透膜分離手段とを備える
カチオン界面活性剤含有排水の処理装置であって、前記カチオン界面活性剤含有排水が電子産業プロセス排水であり、前記第1の逆浸透膜分離手段における逆浸透膜がポリアミド膜又はポリビニルアルコール膜で、水回収率が60〜90%であり、前記第2の逆浸透膜分離手段における逆浸透膜がポリアミド膜で、水回収率が80〜90%であり、該第2の逆浸透膜分離手段の逆浸透膜透過水を回収することを特徴とするカチオン界面活性剤含有排水の処理装置。
【0016】
[
4] [
3]において、前記第1の逆浸透膜分離手段の前段において、前記カチオン界面活性剤含有排水を処理する活性炭塔を有することを特徴とするカチオン界面活性剤含有排水の処理装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、pH3〜5の酸性条件で行う第1のRO膜分離処理により、カチオン界面活性剤含有排水中のカチオン界面活性剤による膜閉塞を防止した上でカチオン界面活性剤を分離除去し、次いで、pH6.5〜10.5の中性〜アルカリ性の条件で行う第2のRO膜分離処理により、排水中の塩類を高度に除去することができる。この第2のRO膜分離処理では、排水中のカチオン界面活性剤が第1のRO膜分離処理で除去されているため、カチオン界面活性剤による膜閉塞の問題はなく、第1及び第2のRO膜のいずれにおいても、長期に亘り透過水量を高く維持して、安定かつ効率的な処理を行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のカチオン界面活性剤含有排水の処理方法及び処理装置の実施の形態を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、本発明のカチオン界面活性剤含有排水の処理方法及び処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明のカチオン界面活性剤含有排水の処理方法及び処理装置の実施の形態を示す系統図である。
【0022】
図1においては、半導体、LCD等の各種の電子産業プロセスから排出されるカチオン界面活性剤含有排水中のSSを除去するために、まず凝集浮上濾過、凝集沈殿濾過、或いはUF膜又はMF膜による膜分離処理等のSS除去処理手段1で処理し、SS除去処理水を活性炭塔2に通水して活性炭処理し、活性炭塔2の処理水に塩酸、硫酸等の酸を添加してpH3〜5にpH調整した後、第1のRO膜分離装置3でRO膜分離処理し、第1のRO膜分離装置3で得られた透過水に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを添加してpH6.5〜10.5にpH調整した後、第2のRO膜分離装置4でRO膜分離処理し、第2のRO膜分離装置4の透過水を回収水として回収、再利用する。
【0023】
電子産業プロセス排水は、一般に、カチオン界面活性剤の他、IPA、エタノール、メタノール、酢酸や酢酸塩、アセトン、TMAH(水酸化トリメチルアンモニウム)、MEA(モノエタノールアミン)、DMSO(ジメチルスルホキシド)等の低分子量有機物含有すると共に、通常、例えばコロイダルシリカなどのSSを5〜100mg/L程度含有するため、まず、SS除去処理手段1でSSを除去する。
【0024】
SS除去処理手段1における凝集処理には、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等のアルミニウム系凝集剤や、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄等の鉄系凝集剤といった無機凝集剤の1種又は2種以上が用いられる。これらの無機凝集剤の添加量は、通常電子産業プロセス排水に対して50〜500mg/L程度である。
【0025】
SS除去処理手段1からのSS除去処理水は、活性炭塔2で残留塩素や過酸化水素といった酸化性物質が除去される。この活性炭塔2の処理条件については特に制限はない。
【0026】
活性炭塔2の処理水は通常pH5〜8の中性の水であり、酸が添加され、pH3〜5の条件で第1のRO膜分離装置3でRO膜分離処理され、含有されるカチオン界面活性剤が除去される。この第1のRO膜分離装置3におけるpH条件が5を超えると、RO膜がマイナス荷電となってカチオン界面活性剤が吸着することで膜閉塞の問題が起こる。ただし、RO膜をプラス荷電とするためには、pH3〜5であれば十分であり、pHを過度に低くすると、酸使用量が増えると共に、次のアルカリ添加によるpH調整におけるアルカリ使用量が増え、薬剤コストが嵩むため好ましくない。また、RO膜の耐酸性の面でもpHは3〜5、特に3.5〜4.5とすることが好ましい。
【0027】
この第1のRO膜分離装置3のRO膜としては、ポリアミド膜、ポリビニルアルコール膜等が好ましく用いられる。また、第1のRO膜分離装置3の水回収率は60〜90%程度とすることが好ましい。
【0028】
第1のRO膜分離装置3の透過水は、次いでアルカリの添加でpH6.5〜10.5に調整された後、第2のRO膜分離装置4で脱塩処理される。第2のRO膜分離装置4におけるpH条件が低過ぎると十分な脱塩率が得られない。ただし、第2のRO膜分離装置4におけるpH条件が高過ぎると、透過水の回収、再利用に不適当であり、また、膜劣化防止の観点から、第2のRO膜分離装置4におけるpH条件は特に7〜9とすることが好ましい。
【0029】
この第2のRO膜分離装置4のRO膜としてはポリアミド膜が好ましく用いられる。また、第2のRO膜分離装置4の水回収率は80〜90%程度とすることが好ましい。
【0030】
本発明においては、このような2段RO膜分離処理により、TOC濃度50μg/L以下、例えば20〜30μg/Lで、導電率10mS/m以下、例えば2mS/m程度の処理水を得ることができ、この水を回収水として各使用場所に送給して再利用することができる。
【0031】
なお、
図1は本発明の実施形態の一例を示すものであって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示のものに限定されるものではない。例えば、SS除去処理手段1の前段に生物処理手段を設けてもよく、また、活性炭塔2を省略してもよい
。2段RO膜分離処理を行うことによる脱塩率の向上効果から、本発明は特に電子産業プロセス排水の回収、再利用に有効である。
【実施例】
【0032】
以下に、実験例、実施例、及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0033】
[実験例1]
モノアルキルアンモニウムクロライド系のカチオン界面活性剤(ライオン社製「アーカードT」)を2mg/L含む排水を原水として
図1に示す装置で処理するに当たり、第1のRO膜分離装置3に導入するRO給水のpHを変え、RO給水と、第1のRO膜分離装置3のRO膜の透過流束の経時変化との関係を調べる実験を行った。
【0034】
まず、SS除去処理手段1にて、原水に塩化第二鉄200mg/Lを添加して凝集浮上濾過し、濾過水を活性炭塔2で処理した後、必要に応じて、酸(塩酸)又はアルカリ(水酸化ナトリウム)を添加することによりpH4,5,7又は9に調整し、RO膜分離装置3でRO膜分離処理した。RO膜分離装置3としては日東電工社製芳香族ポリアミドRO膜「ES−20」(NaCl除去率99.5%)を装填したものを用い、水回収率75%で運転した。
各pHのRO給水におけるRO膜の透過流束の経時変化を
図2に示す。
図2より、RO給水のpHが7又は9の場合には透過流束が経時により大きく低下するのに対して、RO給水のpHが4又は5であると、30日後でも透過流束の低下の度合いは小さく、カチオン界面活性剤による膜閉塞が防止されていることが分かる。
【0035】
[実施例1]
モノアルキルアンモニウムクロライド系のカチオン界面活性剤(ライオン社製「アーカードT」)を2mg/L含む排水を原水として
図1に示す装置で処理した。
【0036】
まず、SS除去処理手段1にて、原水に塩化第二鉄200mg/Lを添加して凝集浮上濾過し、濾過水を活性炭塔2で処理した後、酸(塩酸)を添加することによりpH4に調整し、第1のRO膜分離装置3でRO膜分離処理した。第1のRO膜分離装置3としては日東電工社製芳香族ポリアミドRO膜「ES−20」(NaCl除去率99.5%)を装填したものを用い、水回収率75%で運転した。
次いで、第1のRO膜分離装置3の透過水にアルカリ(水酸化ナトリウム)を添加してpH7に調整し、第2のRO膜分離装置4でRO膜分離処理した。第2のRO膜分離装置4としては日東電工社製芳香族ポリアミドRO膜「ES−20」(NaCl除去率99.5%)を装填したものを用い、水回収率90%で運転した。
【0037】
第1のRO膜分離装置3の透過水及び第2のRO膜分離装置4の透過水の水質を調べ、結果を表1に示した。また、処理開始から30日間通水運転した後の第2のRO膜分離装置4における透過流束の低下率を調べ、結果を表1に示した。
【0038】
[比較例1]
実施例1において、第1のRO膜分離装置3の透過水(pH4.2)をpH調整せずに、そのまま第2のRO膜分離装置4でRO膜分離処理したこと以外は同様にして処理を行い、第1のRO膜分離装置3の透過水及び第2のRO膜分離装置4の透過水の水質を調べ、結果を表1に示した。また、処理開始から30日間通水運転した後の第2のRO膜分離装置4における透過流束の低下率を調べ、結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例1の第1のRO膜分離装置の透過水の水質から、1段のRO膜分離処理では、回収水として、有効利用できる良好な水質の処理水を得ることができないことが分かる。
また、比較例1における第2のRO膜分離装置の透過水の水質から、2段RO膜分離処理を行っても、第1のRO膜分離装置の透過水のpH調整を行わないと、良好な水質の処理水を得ることができないことが分かる。
【0041】
これに対して、pH3〜5の第1のRO膜分離処理とpH6.5〜10.5の第2のRO膜分離処理を行う本発明によれば、膜閉塞を引き起こすことなく、良好な水質の処理水を長期に亘り安定に得ることができることが分かる。
【符号の説明】
【0042】
1 SS除去処理手段
2 活性炭塔
3 第1のRO膜分離装置
4 第2のRO膜分離装置