【実施例】
【0077】
以下に本発明に係る実施例及び比較例を示し、
図1〜20を参照しながら本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
【0078】
なお、以下の実施例1〜14は「羽重なり無」のもの、実施例15および比較例1〜3が「羽重なり有」のものとなっている。
【0079】
[実施例1]
図1に示すように、窓際構造100は、室内外を仕切る窓6と、窓6の室内側に設けられたバーチカルブラインド1と、バーチカルブラインド1と室内の壁7や床8の間の隙間を埋めるように設けられた窓縁部材としての樹脂板5A〜5Cを有している。
【0080】
このバーチカルブラインド1は、窓6の上方の室内の壁7に設けられた中空箱形のレール4と、このレール4内を走行するランナー3,…(一部不図示)と、ランナー3の下部の把持部材によって把持されて吊り下げられたスラット22,…等とを有している。
【0081】
コ字状の樹脂板5Bは、その長さが窓6の幅より長く、スラット22,…の位置よりも室内側の手前の床8に、下端面が面接触し、且つ、凹部が室外側を向くように窓6の幅方向に沿って設けられている。この樹脂板5Bは板面5Ba,5Bbを有し、窓面に対して板面5Baが平行し、板面5Bbが直交している。
【0082】
また、樹脂板5Bの下端面に面接触している床8の部分には金物フック(不図示)が設けられており、樹脂板5Bの下端面には、このフックに係止する凹状の係止部が設けられている(不図示)。金物フックと係止部の係合により、この樹脂板5Bは床面に対し、取り付け取り外し可能に固定されている。この固定により、樹脂板5Bが風やぶつかり等では移動しないようになっている。さらに、樹脂板5Bには、スラット22が室外側から当接している。
【0083】
一方、樹脂板5Aは断面L字の樹脂板で、樹脂板5Bの上端面に連続して設けられ、箱形のレール4の右端部(
図1において)の下方まで延びている。また、この付近の窓際の壁面に金物フックが設けられており、樹脂板5Aの一方の側端面にはこの金物フックに係止する凹状の係止部が設けられている(不図示)。両者の係合により、この樹脂板5Aは窓際の壁面に取り付け取り外し可能に固定されている。樹脂板5Aは板面5Aa,5Abを有し、窓面に対して板面5Aaが平行し、板面5Abが直交している。この樹脂板5Aと窓際の壁7の面とでスラット22,…を収納するための小さな戸袋様の収納スペースを形成している。
【0084】
さらに、樹脂板5Cは、断面L字の樹脂板で樹脂板5Bの上端面に連続して設けられ、レール4の左端部(
図1において)の下方まで延びている。また、この付近の窓際の壁面にも金物フックが設けられており、樹脂板5Cの他方の側端面にはこの金物フックに係止する凹状の係止部が設けられている(不図示)。両者の係合により、この樹脂板5Cは窓際の壁面に取り付け取り外し可能に固定されている。樹脂板5Cは板面5Ca,5Cbを有し、窓面に対して板面5Caが平行し、板面5Cbが直交している。
<スラット>
図2(A)は、
図1の矢印Aの方向でバーチカルブラインドの正面からみた模式図を示す。
図2(B)は、(A)のB−B線(横方向に断面)の矢視方向に見た断面図である。
【0085】
スラット22は、
図2に示すように、羽体2と、この羽体を収納したレース袋9(隙間埋部材)を有し、レース袋9は羽体2を収納した状態で、羽体2の軸線まわりに回転可能にランナー3の把持部材に吊り下げられており、吊り下げた羽体2,2間には隙間G1が空いている。
【0086】
この羽体2は、特願2010-045563号記載の透光性遮熱シートを用いて形成された断面が矩形の長尺板状に形成されている。羽体2は、一端(
図2(A)おいて上端)のみ開口した長尺袋に整形したレース袋9に収納されている。
<透光性袋>
このレース袋9は、
図2(A),(B)に示すように、隣接する羽体2,2間の隙間G1を埋めるように羽体2の幅より拡幅された長尺の透光性の袋である。また、一のスラット22のレース袋9の側縁部(隙間埋部)は、これに隣接する別の一のスラット22のレース袋9の側縁部と重なっている。
【0087】
以下、実施例1のバーチカルブラインドと窓際構造の作用・効果を説明する。
(バーチカルブラインド)
レース袋9の幅が上述したように羽体2の幅より拡幅されているため、羽体2,2間の隙間G1が埋まり、窓面からの冷気や熱気がこの隙間G1を介して室内側へ移動しにくいものとなる。この結果、冬季におけるコールドドラフトや、夏季の窓面からの熱気の移動による室内の蒸し暑さが軽減される。
【0088】
レース袋9は、羽体2,2間の隙間G1や透光性の羽体2を透過する又は透過した光を殆ど遮ることがないため、室内の採光性が低減しにくいものとなる。また、レース袋9は、その内部に羽体2を収納するとともにエアーの袋となるものであるため、羽体2の断熱性と相俟ってスラット22の断熱性をより高めることができる。
(窓際構造)
さらに、
図1に示すバーチカルブラインド1と樹脂板5A〜5Cにより、窓6の窓面を大きな戸袋のように覆って略閉塞し、窓面から室内側への冷気や熱気の移動を抑止して、その戸袋内の空間とそれ以外の室内空間との断熱性を高めることができる。
【0089】
また、樹脂板5A〜5Cは、取り付け取り外しが可能であるため、春季や秋季など上記断熱が不要である季節には、樹脂板5A〜5Cを容易に取り外すことができる。
[実施例2]
図3(A)に、実施例2のバーチカルブラインド(一部図示省略)1Aを示す。
図3(B)および(C)に、(A)のC−C線の矢視方向に見たスラット22Aの断面の模式図を示すとともに、この羽体2Aをレース袋9Aに収納する過程を示す。
【0090】
この実施例2のものは、スラット22Aを有し、それ以外は実施例1のバーチカルブラインド1と同じ構成を有している。このスラット22Aは実施例1のものとは異なる透光性のレース袋(隙間埋部材)9Aと羽体2Aを有している。
【0091】
レース袋9Aの左側端(
図3(A)において)は、縦方向に線状に切断されており、この切断部分の近傍のレース袋9Aの裏面には、面ファスナー10aが縫い込まれている(
図3(B)参照)。
【0092】
一方、羽体2Aの左側縁部(
図3(B)において)には、面ファスナー10bが接着されている(
図3(B)参照)。
【0093】
この実施例2のバーチカルブラインド1Aによれば、
図3(B)と(C)に示すように、この羽体2Aをレース袋9Aに収納して、レース袋9Aの左側端面を突き合わせると、面ファスナー10a,10bにより、レース袋9Aの左側縁部の裏面が羽体2Aの左側縁部に沿って密着(被着)する。これによって、レース袋9Aの保形性が非常に高まる。レース袋9Aの保形性が高まり、スラット22A,22A間に隙間が生じにくい。
[実施例3]
図4に、実施例3のバーチカルブラインド(一部図示省略)1Bを示す。
【0094】
この実施例3のバーチカルブラインド1Bは、実施例1のものとは異なるスラット22A、22Bを有し、それ以外は実施例1のものと同じ構成を有している。このスラット22Bは実施例1のものとは異なる、レースカバー(隙間埋部材)9Bと羽体2Aaを有している。
【0095】
このレースカバー9Bの左側縁部の裏面(
図4において)には、面ファスナー10a,10aが設けられている。また、羽体2Aaの表面と裏面には、面ファスナー10b,10bが設けられている。この面ファスナー10a,10bの貼着により、左側縁部以外の羽体2Aaの部分がレースカバー9Bにより被覆される。
【0096】
この実施例3のバーチカルブラインド1Bによれば、面ファスナー10a,10bが羽体2Aaを被覆する割合を減らして、レースカバー9Bが羽体2Aaの表面を被覆する割合を増やすことができる。
【0097】
一方、羽体2Aaの露出した一方の側縁部は、隣接するスラット22Bの他方の側のレース袋9の外表面により被覆されることとなる。連なるスラットの上記一方の側の端に位置するスラットは、上記実施例2のスラット22Aとなっている。
[実施例4]
図5(A)に、実施例4のバーチカルブラインド(一部図示省略)1Cを示す。
【0098】
この実施例4のバーチカルブラインド1Cは、実施例1のものとは異なるスラット22Cを有し、それ以外は実施例1のバーチカルブラインド1と同じ構成を有している。このスラット22Cは実施例1のものとは異なる、レース袋(隙間埋部材)9Cと羽体2Aを有している。
【0099】
長尺のレース袋9Cは、その横断方向の内周の長さが羽体2Aの外周より長く形成されており、羽体2Aを覆った場合に余剰となるレース袋9Cの両縁部の裏面には、面ファスナー10a,10aがそれぞれ縫いこまれている。
【0100】
羽体2Aの一方の側縁部には、
図5(B)に示すように、面ファスナー10a,10aの幅合計より幅広の面ファスナー10bが設けられている。
【0101】
この実施例4のバーチカルブラインド1Cによれば、この面ファスナー10a,10a,10bを、
図5(B)に示すように貼着したり、逆手順で剥がすことで、羽体2Aをレース袋9Cに収納したり取り出したりすることが簡単となる。
【0102】
羽体2Aを収納する際に、面ファスナー10a,10bの貼着位置をずらすことで、レース袋9Cの幅を微調整することができるため、微調整したレース袋9Cにより羽体2A,2A間の隙間Gをより好適に埋めることができる。
[実施例5]
図6に、実施例5のバーチカルブラインド(一部図示省略)1Dを示す。
【0103】
この実施例5のバーチカルブラインド1Dは、実施例1のものとは異なるスラット22Dを有し、それ以外は実施例1のバーチカルブラインド1と同じ構成を有している。スラット22Dは、羽体2と、実施例1のものとは異なるレース袋(隙間埋部材)9Dを有している。
【0104】
このレース袋9Dの側縁部には、レース袋9Dの長尺方向に沿って透明で透光性の樹脂棒(芯材)13が設けられている。
【0105】
実施例5のバーチカルブラインド1Dによれば、樹脂棒13によって、透光性を損ねずにレース袋9Dの保形性が高まり、羽体2,2間の隙間G1(
図2参照)を埋めたレース袋9Dが変形しにくく、実施例1のコールドドラフトや熱気移動の軽減効果がより確実となる。
[実施例6]
図7は、実施例6のバーチカルブラインド(一部図示省略)1Mを示す。
【0106】
この実施例6のバーチカルブラインド1Mは、実施例1のものとは異なるスラット22Мを有し、それ以外は実施例1のバーチカルブラインドと同じ構成を有している。スラット22Мは、羽体2と、レース布(隙間埋部材)9Мを有している。
【0107】
このレース布9Мは、羽体2の一方の面に貼剥可能な粘着剤により被着されており、その両側縁部(隙間埋部)9Ma,9Maは羽体2から両側へ延出している。また、この側縁部9Maは、隣接するスラット22Мのレース布(隙間埋部材)9Мの側縁部9Maと重なっている(不図示)。
【0108】
実施例6のバーチカルブラインド1Mによれば、レース布9Мが羽体2に被着されているので保形性が高まり、また、延出した側縁部9Maにより羽体2,2間の隙間が埋められ、コールドドラフトや熱気移動の軽減効果が得られる。また、必要に応じて性能の異なる別のレース布を貼着してスラットの性能を変えることもできる。
[実施例7]
図8は、実施例7のバーチカルブラインド(一部図示省略)1Nを示す。
【0109】
この実施例7のバーチカルブラインド1Nは、実施例1のものとは異なるスラット22Nを有し、それ以外は実施例1のバーチカルブラインド1と同じ構成を有している。
【0110】
スラット22Nは、羽体2と、実施例1のものとは異なるレース袋(隙間埋部材)9Nを有している。
【0111】
このレース袋9Nは、羽体2よりも長尺に形成されており、このレース袋9Nの上縁部9Naには凹部9Ndが形成されている。このレース袋9Nは、羽体2を収納した状態で羽体2に取り付けられ、レース袋9Nの凹部9Ndがランナー3の把持部材に把持されて吊り下げられている。
【0112】
この状態で、レース袋9Nの凹部9Nd両側の上縁部9Na,9Na(隙間埋部)は、羽体2の上端から上方へ上記延出部として延出している。一方、レース袋9Nの下縁部(隙間埋部)9Nbは、羽体2の下端近傍から下方へ上記延出部として延出している。また、その両側縁部(隙間埋部)9Ncは羽体2の側縁部近傍から両側へ延出している。
【0113】
実施例7のバーチカルブラインド1Nによれば、レース袋9Nの上縁部9Na,9Naが羽体2の上端から上方へ延出しているので、羽体2の上端と箱形レール4の下面との隙間を埋めて、窓面から室内側への冷気や熱気の移動を阻止することができる。
【0114】
レース袋9Nの下縁部9Nbが羽体2の下端から下方へ延出しているので、羽体2の下端と床8との隙間を埋めて、窓面から室内側への冷気や熱気の移動を阻止することができる。
【0115】
さらに、レース袋9Nは羽体2を収納しているので、上述したようにエアーの袋となってスラット22Nの断熱性を高めることができる。
[実施例8]
図9に実施例8のバーチカルブラインド(一部図示省略)1Eを示す。この実施例8のバーチカルブラインド1Eは、実施例1のものとは異なるスラット22Eを有し、それ以外は実施例1のバーチカルブラインド1と同じ構成を有している。
【0116】
スラット22Eは、実施例1の羽体2を3つに切断・加工して得た羽体2B,2B,2Bと、この羽体2B,2B,2Bを収納したレース袋9E(隙間埋部材)を有している。
【0117】
レース袋9Eの下縁部には錘入れ12が設けられている。この錘入れ12の中にはレース袋9Eの幅と略同じ長さを有する長尺状の錘11が幅方向に沿って設けられている。
【0118】
また、レース袋9Eは区画部14,14により略同じ大きさの区画X1〜X3に分けられており、レース袋9Eの中部と下部(
図9において)の区画X2,X3については、入口15がそれぞれ形成されている。
【0119】
この入口15を介して中部と下部の区画X2,X3にそれぞれ羽体2B,2Bが収納されている。また上部の区画X1には、レース袋9Eの上端部の開口(不図示)を介して羽体2Bが収納されている。また、一のスラット22Eのレース袋9Eの側縁部(隙間埋部)は、これ隣接する別の一のスラット22Eのレース袋9Eの側縁部と重なっている。
【0120】
実施例8のバーチカルブラインド1Eによれば、錘11により、レース袋9Eの保形性が向上し、羽体2B,2B間の隙間G1(
図2参照)を埋めたレース袋9Eが変形しにくいものとなる。区画部14,14を設けることにより、レース袋9Eの保形性が向上し、羽体2B,2B間の隙間G1(
図2参照)を埋めたレース袋9Eが変形しにくいものとなる。このようにレース袋9Eが変形しにくいので、スラット22E,22E間に隙間が生じにくく、窓面から室内側へのコールドドラフトや熱気の移動の軽減効果がより確実となる。
[実施例9]
図10(A)に実施例9のバーチカルブラインド1Fを示す。
図10(B)に(A)のD−D線の矢視方向に見たスラットの断面の模式図を示す。
【0121】
この実施例9のバーチカルブラインド1Fは、スラット22Fを有し、それ以外は実施例8のバーチカルブラインド1Eと同じ構成を有している。このスラット22Fは、実施例2のものとは異なるレース袋(隙間埋部材)9Fと羽体2Bを有している。
【0122】
図10(A),(B)に示すように、レース袋9Fの左側端(
図10(A)において)は、縦方向に線状に切断されており、この切断箇所近傍のレース袋9Fの裏面には、この切断部分を開閉可能とする面ファスナー10A(10a,10b)が縫い込まれて延設されている。これにより、面ファスナー10Aを開閉して切断部分から各区画X1〜X3に羽体2Bを収納したり、取出したりすることができるようになっている。
【0123】
また、レース袋9Fの右側縁部(
図10において)には、レース袋9Fの一部を積層状に折り返して縫った硬い折返部(隙間埋部)16が形成されている。
【0124】
この実施例9のバーチカルブラインド1Fによれば、レース袋9Fの面ファスナー10Aと折返部16とにより、レース袋9Fの保形性が高まり、実施例1のコールドドラフトや熱気移動の軽減効果がより確実となる。また、面ファスナー10Aにより羽体2Bの出し入れが簡単となる。
[実施例10]
図11(A)に実施例10のバーチカルブラインド1Gを示す。
図11(B)に(A)のE−E線の矢視方向に見たスラットの断面の模式図を示す。
【0125】
この実施例10のバーチカルブラインド1Gは、スラット22Gを有し、それ以外は実施例8のバーチカルブラインド1Eと同じ構成を有している。
【0126】
このスラット22Gは、実施例8のバーチカルブラインド1Eとは異なるレース袋(隙間埋部材)9Gと、羽体2Bを有している。
【0127】
この長尺のレース袋9Gは、その横断方向の内周が羽体2Bの外周より長く形成され、羽体2Bをその幅の方向で端から簀巻きにしたときに余剰となる縁部の裏面には、レース袋9Gの長尺方向に沿って面ファスナー10aが縫いこまれている。さらに、この縁部の裏面に接するレース袋9Gの表面の部分にも同様に面ファスナー10bが縫いこまれている。
【0128】
また、レース袋9Gの側縁部が開閉可能となっており(
図11(B)参照)、この部分から羽体2Bを各区画X1〜X3に収納したり取出したりすることができるようになっている。
【0129】
この実施例10のバーチカルブラインド1Gによれば、面ファスナー10a,10bの貼着位置をずらすことでレース袋9Gの幅を調節することができる。具体的には、羽体2B,2B間の隙間に応じて、羽体2Bの両側に延出したレース袋9Gの側縁部の幅を調節できる。
【0130】
また、レース袋9Gの面ファスナー10a,10bにより、レース袋9Gの保形性が高まり、羽体2Bの出し入れも簡単となる。
[実施例11]
図12(A)〜(C)に実施例11のバーチカルブラインド1Hを示す。
【0131】
実施例11のバーチカルブラインド1Hは、スラット22Hを有し、それ以外は実施例8のバーチカルブラインドと同じ構成を有している。
【0132】
スラット22Hは、実施例1の羽体2を2つに切断・加工して得た羽体2C,2Cと、この羽体2C,2Cを収納したレース袋9H(隙間埋部材)を有している。
【0133】
図12(A)に示すように、レース袋9Hはその一方の側縁部(隙間埋部)のみが繋がっており、
図12(B)に示すように開くことができるようになっている。レース袋9Hの他方の側縁部(隙間埋部)のそれぞれの裏側には、面ファスナー10a,10bが縫いこまれている。これにより、レース袋9Hを閉じたときに両者を互いに貼着するようになっている。
【0134】
また、レース袋9Hの一方の裏面の中央には、レース袋9Hの横断方向に区画部としてのリブ18が設けられており、レース袋9Hを閉じたときにその内部空間を区画するようになっている。
【0135】
この各区画X4,X5には羽体2C,2Cがそれぞれ配置されている。また、
図12(A)および(C)に示すように、レース袋9Hの外表面には、ストライプ様にリブ17,17が併設されている。
【0136】
実施例11のバーチカルブラインド1Hによれば、ストライプ様に設けられたリブ17,17により、横方向に隣接する羽体2C,2C間の隙間Gを埋めたレース袋9Hが変形しにくく、実施例1のコールドドラフトや熱気移動の軽減効果がより確実となる。
【0137】
また、中央に設けた区画部としてのリブ18は、レース袋9Hの裏面に設けられたリブとして上記同様にレース袋9Hの保形性を高めるため、これによってもレース袋9Hが変形しにくいものとなる。
【0138】
また、面ファスナー10a,10bがレース袋9Hの側縁部に沿って設けられているため、レース袋9Hの保形性が高まる。
[実施例12]
図13に実施例12の窓際構造101を示す。
【0139】
図13に示すように、この窓際構造101は、室内外を仕切る窓6と、窓6の室内側に設けられたバーチカルブラインド1Jと、バーチカルブラインド1Jと室内の壁7又は床8の少なくとも一方との間の隙間を埋めるように設けられた窓縁部材としてのモヘア製の布5D〜5Fを有している。
【0140】
このバーチカルブラインド1Jは、窓6の上方の室内壁面に設けられた中空箱形のレール4と、このレール4内を走行するランナー3,…(一部不図示)と、ランナー3の下部にある把持部材に把持され吊り下げられたスラット22I等とを有している。
【0141】
窓6の左右両側の壁7の部分には略L字のカーテンレール19,19が設けられ、このカーテンレール19,19には複数のランナー(不図示)がスライド可能に設けられている。そして、この複数のランナーにより、モヘア製の布5D,5Fは、カーテンのように開閉可能に支持されている。
【0142】
モヘア製の布5Dは、箱状のレール4の右端部(
図13において)のやや下方から床8まで垂下されている。そして、このモヘア製の布5Dと窓際の壁7の面とで羽体2,…を収納するための小さな戸袋風の収納スペースを形成している。
【0143】
一方、モヘア製の布5Fは、レール4の左端部(
図13において)のやや下方から床8まで垂下されている。
<羽体>
一方、スラット22Iは、レース袋(隙間埋部材)9Iと、これに収納された羽体2Dを有している。
【0144】
このスラット22Iの下縁部とモヘア製の布5Eの双方には、面ファスナー10a,10bが設けられており(不図示)、これにより羽体2の下端面にモヘア製の布5Eが貼剥可能に貼着され、モヘア製の布5Eがレース袋9Iの下縁部から床8まで垂下されている。
【0145】
以下、実施例12の窓際構造の作用と効果を説明する。
【0146】
図1に示すモヘア製の布5D〜5Fにより、バーチカルブラインド1Jと窓6との隙間空間を戸袋のように略閉塞し、窓面から室内側への冷気や熱気の移動を抑止して、戸袋内の空間とそれ以外の室内空間との断熱性を高めることができる。さらに、モヘア製の布5D〜5Fは、室内への採光性を損ねにくく、窓際の意匠性も損ねにくい。
【0147】
また、モヘア製の布5D〜5Fやカーテンレール19,19は、春季や秋季など室内外の断熱が不要である季節には容易に取り外すことができる。
[実施例13]
図14に実施例13の窓際構造102(一部図示省略)を示す。
【0148】
この実施例13の窓際構造102は、バーチカルブラインド1Kと、窓縁部材としてのモヘア製の布5D〜5F等とを有している(一部図示省略)。
図14に示すように、このバーチカルブラインド1Kは、スラット22J,22Kを有し、その他は実施例12と同じ構成を有している。
【0149】
スラット22Jは、レース袋(隙間埋部材)9Jと、このレース袋9Jに収納された羽体2Eを有している。
【0150】
一方、より小さなスラット22Kは、この羽体2Eと同じ羽体を切断加工して小片とした別の羽体2Fと、この羽体2Fを収納した小さなレース袋(隙間埋部材)9K等とを有している。
【0151】
小さなスラット22Kの下部とモヘア製の布(窓縁部材)5Eには、面ファスナー10a,10bが設けられており(不図示)、実施例4のスラット22Iと同様に小さなスラット22Kの下部にモヘア製の布5Eが取り付けられている。
【0152】
図14において、吊り下げられたスラット22Jの室内側の面と、これに対向する小さなスラット22Kの室外側の面には、面ファスナー10a,10bがそれぞれ設けられており、スラット22J,22Kは互いに貼剥可能となっている。
【0153】
この実施例13のものによれば、小さなスラット22Kをスラット22Jに取り付ける高さ位置を変えることができ(
図14の矢印参照)、季節や天候に応じて、戸袋様に略閉塞した上記空間の閉塞の度合い調節することができる。
【0154】
これによりコールドドラフトや熱気の移動を抑制するだけでなく、例えば、日射しの差し込む位置(スラットに日射しが当たっている部分)に応じてスラット22Kの高さ位置を変えることができ、室内暖房や冷房し過ぎたときに逆にコールドドラフトや熱気の移動を生じさせて室内を冷却や加温することもできる。
[実施例14]
図15に実施例14のバーチカルブラインド1Lと窓際構造103(各一部図示省略)を示す。
【0155】
この実施例14の窓際構造103は、バーチカルブラインド1Lと、床8の面に固定された鉄板(窓縁部材、着脱手段)21等とを有している。
【0156】
バーチカルブラインド1Lは、スラット22Lを有し、それ以外は実施例12のものと同じ構成を有している。
【0157】
このスラット22Lは、実施例1の羽体2より長尺の羽体2Gと、これを収納したレース袋(隙間埋部材)9Lを有し、スラット22Lの下縁部は床8の面の近傍に配置されている。
【0158】
このスラット22Lの室内側の面の下部には、レース袋9Lの幅方向に沿って板磁石(錘、着脱手段)20が設けられ、その一部がスラット22Lの下端から突出している。
【0159】
また、長尺の鉄板21は、スラット22Lの下方の床8の面にスラット22L,…の連なる方向(
図15の奥行き方向)に沿って、各羽体2Gの板磁石20を吸着可能に設けられている。
【0160】
この実施例14の窓際構造103によれば、下方へ突出したスラット22Lの板磁石20の裏面を鉄板21の室内側の面に吸着固定させて各スラット22Lを床8に固定することで、例えば室内の人の移動やドアの開閉等により生じた負圧(風)によりスラット22Lが室内外の前後方向に揺れることがない。このため、上述したコールドドラフトや熱気の移動をより確実に抑制できる。また、鉄板21によってもコールドドラフトを抑止することができる。
<照射試験>
[実施例15]
実施例12の窓際構造101においてモヘア製の布5E(
図13参照)を取り外し、後述のバーチカルブラインド1Pとした別の窓際構造104をユニットタイプの試験部屋に設け、この試験部屋を巨大な恒温槽内に設けた。
【0161】
さらに、この試験部屋の室内外を仕切る窓6のガラス窓を1.8m×1.8mのシングルサッシとした。この試験部屋にはエアコン、サーモカメラ、室温計等が設けられている。上述のように、モヘア製の布5Eが設けられていないため、バーチカルブラインド1Pと床8との間は開いた状態(床塞無)となっている。
【0162】
図18に、バーチカルブラインド1P(一部不図示)を示す。
【0163】
窓際構造104は、バーチカルブラインド1Pと、窓縁部材5D、5Fを有している。
【0164】
バーチカルブラインド1Pは、レール4と、
図18に示すように、スラット22Pを有している。このスラット22Pは、羽体2Pと、レースの袋(隙間埋部材)9Pとを有している。
【0165】
羽体2Pは、特願2010-045563号記載の透光性遮熱シートを用いて、厚さ5mm、幅9.0cmに形成した。この羽体2Pを収納する透光性のレース袋(隙間埋部材)9Pの幅は約9.0cmとした。
【0166】
このバーチカルブラインド1Pは、一般的なブラインドのように、ブラインドを閉じた状態(
図18の実線部分)で、その羽体2Pの縁部が隣接する別の羽体2Pの縁部と重なるように構成されており、この重なり幅Wは約2cmとなっている。また、羽体2P,2P間の隙間G2は、レース袋9P,9Pの一部分により埋められている。
(夏季照射試験)
夏季照射試験では、試験部屋を設置した後にその内部を略密閉として、恒温槽内の空気(試験部屋の外気)の温度(外気温度)を30℃に維持する空調設定とした。その後、外気温度が30℃となってから、夏至の西日相当のランプ600W/mを用いて、室外側から窓6を介して試験部屋内を1時間照射した。
【0167】
照射開始から4分後、30分後、1時間後にバーチカルブラインド1Pの室内側の面をサーモカメラにて撮影するとともに該面の温度を計測した。また、室内中央(上下方向でも中央)温度を温度計で計測した。なお、試験部屋の換気は0.5回/時間(h)で行った。その結果を
図16(A),(B)に示す。
(冬季照射試験)
冬季照射試験では、上記恒温槽内の温度(外気温度)を4.6℃に設定し、試験部屋の室内温度を21℃に設定した。外気温度が約4.6℃、室内温度が約21℃となった時点から1時間後に室内側から窓際構造104をサーモカメラにて撮影した。また、室内中央(上下方向でも中央)温度を温度計で計測した。その結果を
図17(A),(B)に示す。
[比較例1]
図19に示すように、実施例15の窓際構造104のレース袋9Pを取り除き、羽体2P,2Pの重なった縁部間の隙間G2が空いているバーチカルブラインド1Pa、窓際構造(幅9.0cm・レース無)105とした。羽体2P,2Pの縁部同士の重なり幅Wは同様に約2cmとなっている。また、モヘア製の布5Eが設けられていないため、バーチカルブラインドと床8との間は開いた状態(床塞無)となっている。
【0168】
それ以外は実施例15と同様にして照射試験を行った。その結果を
図16および
図17に示す。
[比較例2]
図19に示すように、実施例15の窓際構造104のレース袋9Pを取り除き、羽体2P,2Pの重なった縁部間の隙間G2が空いているバーチカルブラインド1Pa(幅9.0cm・レース無)とした。羽体2P,2Pの縁部同士の重なり幅Wは同様に約2cmとなっている。さらに、樹脂板5Bによりバーチカルブラインドと床8の間を埋めた状態(床塞有)の窓際構造106とした。
【0169】
それ以外は実施例15と同様にして照射試験を行った。その結果を
図16および
図17に示す。
[比較例3]
図20に示すように、実施例15の窓際構造104のレース袋9Pを取り除くとともに、羽体2Pから幅7.5cmの別の羽体2Qを形成し(幅7.5cm・レース無)、これを用いたバーチカルブラインド1Qとした。さらに、樹脂板(窓縁部材)5Bによりバーチカルブラインドと床8の間を埋めた状態(床塞有)の窓際構造107とした。羽体2Qの縁部同士の重なり幅Wは1cm(
図20参照)となっている。
【0170】
それ以外は実施例15と同様にして照射試験を行った。その結果を
図16および
図17に示す。
(レース袋の有効性)
レース袋有りの幅9cmの羽体2Pのスラットとした場合(実施例15、
図18参照)では、
図16(A)に示すように、バーチカルブラインド1Pの室内側の面温度(照射開始からの時間)は、約34℃(4分後)〜約47℃(1時間後)と上昇した。
【0171】
これに対して、レース袋無しの幅9cmの羽体2Pのスラットとした場合(比較例1、
図19参照)のバーチカルブラインド1Paでは、約38℃(4分後)〜約50℃(1時間後)とやや高めの温度で推移した。
【0172】
従って、羽体をレース袋に収納したスラットとした方がバーチカルブラインドの室内側の面温度が約3〜4℃低かった。なお、実施例15と比較例1の双方で床塞ぎしていない同条件となっている。
【0173】
この結果から、レース袋9Pを取り付ける方が、重なった羽体間の隙間G2(
図18参照)が埋められて、窓面を覆う戸袋様の空間の内外(室内に限る)での断熱性が高まる。
(夏季での床塞の有効性)
幅9cmの幅広の羽体2P(
図19参照)のスラットとし、バーチカルブラインド1Pと床8との間の隙間を埋める床塞ぎした場合(比較例2)と、床塞ぎしない場合(比較例1)(いずれも不図示、
図13参考)で、バーチカルブラインド1Pの室内側の面の温度は、
図16(A)に示すように、双方ともに照射開始から4分〜1時間の温度は約38℃(4分後)〜約50℃(1時間後)となり、略同じとなった(
図16(A)参照)。
【0174】
しかし、室内中央温度では、
図16(B)に示すように、照射開始から4分〜1時間経過すると床塞ぎした場合(比較例2)では約30℃(4分後)〜約37℃(1時間後)と上昇する一方で、床塞ぎしない場合(比較例1)では約32℃(4分後)〜約39℃(1時間後)とやや高めの温度で推移した。
【0175】
床塞ぎをした場合の方(比較例2)が約2℃程度低温となり(
図16(B)参照)、夏季においても床塞ぎをすることが有利である。
(冬季での床塞の有効性)
冬季照射試験で、バーチカルブラインドと床8との間の隙間を埋める床塞ぎが無い場合(比較例1)では、バーチカルブラインドと床8との間の隙間に低温の帯(
図17(A)の矢印参照)が生じ、コールドドラフトが生じていることが分かる。
【0176】
これに対して、樹脂板5Bによる床塞ぎがある場合(比較例2)では、樹脂板5Bにより上記コールドドラフトが抑制されていることが分かる(
図17(B)の矢印参照)。
(重なり幅による断熱性の違い)
羽体2P,2Pの縁部同士の重なり幅W(
図18〜20参照)が大きい程、その縁部間の隙間G2を取って冷気や熱気が通りにくくなり断熱性が高まる。この場合、その隙間G2がレース等で埋められていれば、それによって埋められる部分が多くなることに繋がるため、さらに断熱性が高まることとなる。
【0177】
レース無しの羽体の幅7.5cmの場合(比較例2、
図20参照)、レース無しの羽体の幅9.0cmの場合(比較例2、
図19参照)、レース有りの羽体の幅9.0cmの場合(実施例15、
図18参照)とでは、それぞれバーチカルブラインドの室内側の面温度および室内中央温度に差がある。
【0178】
バーチカルブラインドの室内側の面温度についてみると、
図16(A)に示すように、レース無しの羽体2Qの幅7.5cm(重なり幅W=1cm)の場合(比較例3、
図20参照)では40℃(4分後)〜53℃(1時間後)に上昇した。
【0179】
これに対して、重なり幅Wがより大きいレース無しの羽体2Pのみ(重なり幅W=2cm)の場合(比較例2、
図19参照)では、やや低温で推移し、約38℃(4分後)〜約50℃(1時間後)に上昇した。
【0180】
さらに、レース袋9Pを取り付けてレース有りの羽体の幅9.0cm(重なり幅W=2cm)の場合(実施例15、
図18参照)では、床塞が無いのにもかかわらず、さらに低温度で推移し、約34℃(4分後)〜約47℃(1時間後)と上昇した。
【0181】
一方、室内中央温度についてみると、
図16(B)に示すように、レース無しの羽体の幅7.5cm(重なり幅1cm)の場合(比較例3、
図20参照)では30℃(4分後)〜38℃(1時間後)に上昇した。
【0182】
これに対して、重なり幅がより大きいレース無し羽体の幅9.0cm(重なり幅2cm)の場合(比較例2、
図19参照)では、僅かながら低温で推移し、約30℃(4分後)〜約37℃(1時間後)に上昇した。
【0183】
さらに、レースを取り付けたレース有りの羽体の幅9.0cm(重なり幅2cm)の場合(実施例15、
図18参照)では、床塞が無いのにもかかわらず、低温度で推移し、約29℃(4分後)〜約37℃(1時間後)と上昇した。
【0184】
したがって、羽体の縁部同士の重なり幅Wを調節するとともに、この少なくともこの縁部間の隙間をレース等で埋めることで断熱性を高めることができる。
【0185】
以上、本発明について実施の形態および実施例を説明してきたが、本発明は上記実施の形態や実施例に限定されるものではない。
【0186】
例えば、実施例1でレース袋9の上端開口からランナー3が羽体2の上端部を直接把持するようにし、冬季にスラット22のレース袋9を上下にずらすことで羽体2の下端と床面との隙間を調節する構成としてもよい。
【0187】
この場合、レース袋9が羽体2をその上下に渉って被覆しているが、レース袋9を下方へずらしたときに、ズレ量に応じて室内上方の羽体2,2間に隙間Gが生じる。しかし、この付近の室内上方の空気は暖かいので、この隙間はコールドドラフトの原因として殆ど問題とならない。
【0188】
実施例11のレース袋9H(
図12参照)の側縁部にフランジのようにモヘア状の布を設けてもよい。このようにすることで、モヘア状の布でも羽体間の隙間を好適に埋めることが出来るとともに、スラットの意匠性を高めることが出来る。
【0189】
実施例12で用いたモヘア製の布5E〜5F(
図13参照)の代わりビニールシートやセラミック繊維の布を用いてもよい。このようにすることで、より窓縁部材の断熱性を高めることができる。
【0190】
また、実施例13の磁石20を実施例2や実施例8の錘11として、鉄板21に吸着させる構成としても良い。このようにすることで、上述した着脱の効果に加えて部品点数を減らすことが出来る。
【0191】
さらに、実施例14で使用した板磁石20と鉄板21にモヘア状の布を取り付けてもよい。このようにすることで、意匠性が高まる。また、板磁石20と鉄板21の代わりにモヘア状の布としてもよい。
【0192】
羽体の重なり幅W(
図18参照)については、実施例15で設定した2cmに限定されず、スラットの断熱性能等を考慮して変更してもよい。また、羽体の側端面からさらに側方へ延出させたレース袋等の側縁部により、重なり部分を増やしてもよい。