【実施例】
【0022】
図1は、本発明の第1の実施例である温度調整装置の要部説明図である。なお、以下に示す例は、複数のフローセルの温度調節を行うセルホルダを用いる例である。
【0023】
図1の(A)は、本発明の実施例と比較を行うための比較例であり、
図1の(B)、(C)に示した例が本発明の第1の実施例である。
【0024】
図1の(B)、(C)において、被検体を反応させる2つのフローセル101を保持する保持機構102等を有するセルホルダは、XYステージ108上に固定される。2つのヒートブロック(フローセル支持部材)104のそれぞれは、フローセル101を保持する機構102を有する。本発明の第1の実施例では、一つのヒートブロック104に、ペルチェ素子105が2枚接触して取り付けられている。また、ペルチェ素子105は放熱を行うためのフィン106に接触している。
【0025】
ヒートブロック104、ペルチェ素子105、フィン106は熱伝導性の高いグリースで互いに接着されている。また、ペルチェ素子105は加熱のみならず冷却の熱源となるため、結露を防止する必要がある。したがって、ヒートブロック104およびフィン106によってペルチェ素子105を挟んだ空間はシリコンラバー、断熱材で密封された構造となっている。
【0026】
フローセル101を冷却するためにはペルチェ素子105の上面を冷却する必要が生じる。その際、ペルチェ素子105の下面は高温状態となる。ペルチェ素子105の下面で発せられた熱はグリースを介してフィン106に伝達される。フィン106に伝達された熱は、フィン106に対応して配置された一つのファン107(ファン共振防止手段)により強制空冷される。
【0027】
ファン107は回転してフィン106に送風する。このため、ファン107の回転により発生する振動を直接フィン106に伝わることを防止するため、フィン106およびファン107は支持体109で独立にそれぞれ保持されている。また、フィン106とファン107は直接接していない。また、支持体109はファン107が効率的に空気を吸気あるいは排気するために、ファン107とXYステージ108の間に空間を保持するという働きも持つ。
【0028】
フローセル圧着部102はフローセル101をヒートブロック104に固定する働きを持つ。光センサ103はフローセル101がヒートブロック104上に固定されたかどうかを検知するためにフローセル圧着部102に配置されている。温度ヒューズ110はフローセル101の温度が異常に高熱になってしまった場合、電源を落とし、加熱や発火といった事故を防止するための素子である。
【0029】
フローセル101がヒートブロック104上に固定されていない場合、光センサ103は異常信号を後述する装置制御部726に伝えるため、フローセル101がない状態では計測は開始しない。
【0030】
また、測温抵抗体111はヒートブロック104の温度を計測し、サーミスタ112はフィン106の温度を計測する。計測された温度はペルチェ素子105の出力をフィードバック制御するために用いられる。またペルチェ素子105の制御はPID制御のためにパラメータが設定されている。
【0031】
ペルチェ素子105は上面と下面の間の温度差(ΔT)が0°Cであるとき加熱・冷却効率が最大となる。したがって、フィン106に伝達された熱を効率よく空気中に放出すればするほどペルチェ素子105を効率よく駆動させることが可能となる。
【0032】
また、逆にフローセル101の上面加熱時にはペルチェ素子105下面は冷却状態となる。この場合、フィン106は室温よりも冷えた状態となる。このフィン106に対してファン107が室温の風を吹きつけるため、結果としてペルチェ素子105下面は室温に近づく。それにより、ペルチェ素子105の上面と下面の温度差は減少し、この場合においてもペルチェ素子105の機能はファン107による強制空冷により向上する。
【0033】
図1の(B)、(C)に対して、
図1の(A)に示した比較例は、2つのセルホルダがXYステージ108上にそれぞれ独立に存在している。
図1の(B)、(C)に示した例と同様の、支持体109とファン107は、それぞれのセルホルダに必要となるため、フローセルシステムを構成するために必要となる部品点数が増す。
【0034】
また、
図1の(A)に示す例においては、同一周波数を持つ2つのファン107が極めて近い距離に配置されるため、2つのファン107の回転動作により共振を起こす。これはそれぞれのセルホルダの振動を引き起こし、フローセル101上に固定されたミクロンオーダーレベルの反応場の計測を困難にする。
【0035】
したがって、
図1の(A)に示した例は、実現困難である。
【0036】
これに対して、
図1の(B)、(C)に示した本発明の実施例で採用する2フローセルシステムにおいては、1つのファン107により2つのフィン106を冷却あるいは加熱する方式を採用する。
【0037】
これにより、
図1の(A)に示した例で発生する共振問題を解決することができる。
【0038】
また、本発明の実施例によれば、共振が発生しないので、フローセル101直下のセルホルダ内にファン107を直接設置できるため、ペルチェ素子105の性能を最大限引き出すことができる。また、
図1の(A)に示した例と比較して
図1の(B)に示した例においては2つのフィン106を1つのファン107で冷却することが可能なため、セルホルダをコンパクトにすることができる。これは、XYステージ108、更には核酸配列解析装置全体の大きさをコンパクトできるという効果をもたらす。この結果として装置コストの低減が可能となる。上述した効果が1つのファンを用いて2つのセルホルダの排熱を行う構成を採用することにより可能となる。
【0039】
また、
図1の(B)に示した例では、ファン107は、下向きに空気を排気する構成を取る。これはフィン106の両側から空気を吸引し、XYステージ108に向かって排気する方式である。この方法の利点は、例えばセルホルダ周囲に対物レンズおよびCCDカメラを保持する光学台がセルホルダに接近した状態で存在する場合においてもその光学台を加熱あるいは冷却することなく計測を行うことができるという利点を有する。
【0040】
一方、
図1の(C)に示した例では、上向きに排気する構成が取られるため、XYステージ108に対する排気によりXYステージ108の加熱を防止することが可能となる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
【0042】
図2は、本発明の第2の実施例である温度調整装置の要部説明図である。
図2に示した例は、ファン107とXYステージ108との間に振動吸収部材121を配置する例である。振動吸収部材121(ファン共振防止手段)は、ゴム、プラスチック等の弾性体である。その他の構成は、
図1に示した例と同等となっている。
【0043】
図2の(A)に示す例は、2つのフローセルのそれぞれが、別個のファン107で、冷却される例であり、2つのファン107の振動がXYステージ108を介して互いに伝達されることが振動吸収部材121により防止され、2つのファン107の共振を防止している。
【0044】
図2の(B)、(C)に示す例は、
図1の(B)、(C)に示した例に対応し、振動吸収部材121により、ファン107の振動がXYステージ108を介してセルホルダに伝達されることを防止している。
【0045】
本発明の第2の実施例によれば、第1の実施例の効果を有する。また、ファン107による振動のセルホルダへの伝達を、さらに抑制する効果を有する。
【0046】
次に、本発明の第3の実施例として、1つのファン211による複数のフローセルの温度調節を行うセルホルダについて、
図3を参照して説明する。その他の構成は
図1の例と同等となっている。
【0047】
ある核酸配列解析装置における最大スループットは、フローセルを撮像する素子であるCCDの転送速度によってその上限値が決定される。したがって、スループット向上の鍵はCCDを常時駆動状態に保持することである。
【0048】
塩基伸長反応をフローセル上で行う化学反応は一般的に光学計測よりも数倍長く時間を要する。
【0049】
図3の(A)のケース1に示すように、化学反応とCCDによる撮像スキャンに要する時間の比が1:1の場合は、2枚のフローセルの並列処理が可能である。つまり、2つのフローセルを用いる場合であっても、対物レンズやCCDカメラは1つであるため、撮像スキャニングは並列化できないが、化学反応については溶液をフローセルに満たすだけなので、2つのフローセルにおいて並列化できる。
【0050】
このため、一つのフローセルの反応が終了後、CCDによりスキャンを開始すると同時に、他のフローセルの反応を開始し、一つのフローセルのスキャン終了時に、他のフローセルの反応が終了し、CCDにより他のフローセルのスキャンを開始することができ、CCDは連続して撮像動作を行うことができる。
【0051】
図3の(A)のケース2に示すように、反応とスキャンに要する時間の比が2:1の場合は、CCDは連続して撮像動作を行い、3枚のフローセルの並列処理が可能である。
【0052】
同様に、反応とスキャンに要する時間の比が3:1の場合は4枚のフローセルの並列処理が可能である。これを一般化して反応とスキャンに要する時間の比がn:1の場合はn+1枚のフローセルの並列処理が可能である。
【0053】
図3の(B)には、4枚のフローセル201、202、203、204を並列処理可能な例を示している。この場合、1個のファン211を用いてフローセル201、202、203、204の4枚を同時に強制空冷する構成を取る。これは第1の実施例で述べたように、2つのファンによる共振を防止するためである。
【0054】
また、支持体209によりフィン221、222、223、224はファン211と直接接触しないように保持されている。これにより、ファン211の振動がフローセル201、202、203、204に直接伝導することを防止するように構成されている。
【0055】
図3の(C)に示すように、フローセ204で伸長反応が進行している間にフローセル201、202、203のスキャンを順次連続して実行し、完了する。続いて、フローセル203の伸長反応が開始される。この伸長反応の間にフローセル204、201、202のスキャンを順次連続して行う。
【0056】
以上の手続きを繰り返すことで複数のフローセルの並列処理が可能となり、スループットをこの場合においては4倍向上させることが可能となる。
【0057】
なお、205は対物レンズ、206はレンズ支持部材、207は対物レンズ移動用モータである。
【0058】
本実施例では、最大でn=3の場合について述べたが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0059】
図4は、本発明の第4の実施例の説明図である。この第4の実施例は、
図4の(B)に示すように、複数のフローセルについて、複数のファン211〜211−nにより冷却する例であって、各ファン211〜211−nの回転数を制御し、ファン211〜211−nが、互いに同一回転数とならないように、回転数を制御する例である。
【0060】
このファン211〜211−nの回転数制御(ファン共振防止手段)は、後述するパーソナルコンピュータ(制御部)726により実行される。
【0061】
図4の(A)のケース1は、2つのフローセルのそれぞれに、ファンを配置する例である。この場合、ファンの回転数は、高低の2種類が切り換え制御される。一つのフローセルが反応中には、そのフローセルのファンは、高回転数で回転され、そのフローセルの反応終了後、撮像スキャン中は、ファンは低回転で回転される。
【0062】
一つのフローセルの撮像スキャン中は、他のフローセルが反応中であり、このフローセルのファンは、高回転数で回転される。この間、一つのフローセルのファンは低回転で回転しているため、2つのファンの回転数は互いに異なり、共振することが防止される。
【0063】
つまり、2つのファンの回転数は、一方が高回転数の場合、他方は低回転数となるように制御され、互いに回転が異なるように制御される。
【0064】
図4の(A)のケース2は、3つのフローセルのそれぞれに、ファンを配置する例である。この場合、ファンの回転数は、高中低の3種類が切り換え制御される。
【0065】
つまり、一つのフローセルの反応期間は、撮像期間の2倍の期間であり、一つのフローセルの反応開始から、反応期間の半分の時点までは、そのフローセルのファンは、高回転数で回転され、反応期間の半分の時点から終了時点までは、中回転数で回転される。そして、そのフローセルの反応終了後、撮像スキャン中は、そのフローセルのファンは低回転で回転される。
【0066】
そして、他のフローセルの反応期間の開始時点が、反応期間の半分の期間づつ遅延して開始される。
【0067】
これにより、3つのフローセルのそれぞれのファン(第1のファン、第2のファン、第3のファン)は、高中低の回転数を順次繰り返し、互いに異なる回転数で回転するように制御される。
【0068】
図4の(A)のケース3は、4つのフローセルのそれぞれに、ファンを配置する例である。この場合、ファンの回転数は、高、中高、中低、低の4種類が切り換え制御される。
【0069】
つまり、一つのフローセルの反応期間は、撮像期間の3倍の期間であり、一つのフローセルの反応開始から、反応期間の3分の1の時点までは、そのフローセルのファンは、高回転数で回転され、反応期間の3分の1の時点から3分の2の時点までは、中高回転数で回転され、反応期間の3分の2の時点から終了時点までは、中低回転数で回転される。そして、そのフローセルの反応終了後、撮像スキャン中は、そのフローセルのファンは低回転で回転される。
【0070】
そして、他のフローセルの反応期間の開始時点が、反応期間の3分の1の期間づつ遅延して開始される。
【0071】
これにより、4つのフローセルのそれぞれのファン(第1のファン、第2のファン、第3のファン、第4のファン)は、高、中高、中低、低の回転数を順次繰り返し、互いに異なる回転数で回転するように制御される。
【0072】
図4の(B)には、フローセルが4つ(201〜204)の例を示している。
【0073】
図4に示した実施例によれば、並列配置された複数のフローセルのそれぞれに専用のファンを配置する場合であっても、複数のファンの送風能力を均一に維持しながら、回転数が同時に同一となることが回避されるため、複数のファンの回転による共振現象を回避することが可能である。
【0074】
図5は、本発明の第5の実施例の説明図である。この第5の実施例は、
図5の(B)に示すように、複数のフローセルについて、複数のファン211〜211−nにより冷却する例であって、各ファン211〜211−nの回転数が互いに同一回転数とならないように、周波数が互いに異なる例である。
【0075】
ただし、複数のファンの駆動周波数の互いの相違は、ペルチェ素子等の温度調節素子の機能を向上させる範囲内で、相違させるものとする。
【0076】
複数のフローセルの反応、撮像スキャンについては、第4の実施例と同様なタイミングで行われるが、一つのファンについては、同一の周波数で回転される。複数のファンの回転周波数を互いに異なるように制御すること(ファン共振防止手段)により、複数のファンの回転数が同時に同一となることが回避されるため、複数のファンの回転による共振現象を回避することが可能である。
【0077】
次に、本発明の第6の実施例として、1つのファンによる複数のフローセルの温度調節における排気方向を制御する方法について
図6を用いて説明する。
【0078】
本発明の第6の実施例は、
図6の(A)に既に説明した第1の実施例におけるフィン106の片側に断熱材315を貼り付けるというものである。これにより排気の方向を一方向に制御することができる。
【0079】
他の構成は、第1の実施例〜第5の実施例と同様である。
【0080】
第6の実施例により、加熱したくない部品近傍を排気により加熱する心配がなくなるため、核酸配列解析装置内にセルホルダを任意に配置することができる。また、ファン107は上方に向かって排気を行うため、フィン106を通過した空気は一方向性に揃った状態で排気される。これにより、設計した方向に装置内で効率的に排気を行うことが可能となる。更に、XYステージには直接排気は当たらないため、XYステージの熱膨張も防ぐことが可能となる。
【0081】
図7は、本発明が適用される核酸配列解析装置を説明するための全体概略構成図である。
【0082】
図7において、キセノンランプ光源742から発せられた白色光はコールドミラー743を経て集光レンズ722に導入される。ここでコールドミラー743は赤外光のみを透過させるため、計測に必要となる可視光領域のみを反射し、集光レンズ722に導入することが可能となる。
【0083】
集光レンズ722で集光された光はリキッドライトガイド721に導入される。リキッドライトガイド721は柔軟性に富み、狭い装置庫内でのフレキシブルな光学配置を可能にするという特徴を持つ。リキッドライトガイド721から射出された光は集光レンズ723で平行光に変換され、バンドパスフィルタ741を経ることにより計測に必要な波長帯域が選択される。
【0084】
更に、光はダイクロイックミラー714により下方に反射される。ダイクロイックミラー714で反射された光は、対物レンズ712によりフローセル101上の反応場に集光され、蛍光物質を励起する。発せられた蛍光は再び対物レンズ712により集光され、ダイクロイックミラー714を経てエミッションフィルタ717により励起光の迷光および散乱光を除去し、計測したい蛍光のみを通過させ、集光レンズ715を介してCCDカメラ718の受光面に集光されて像を結ぶ。そして、CCDカメラ718により撮像された画像がパーソナルコンピュータ(制御部)726に供給され、このパーソナルコンピュータ726により、被検体の核酸配列が分析される。
【0085】
なお、対物レンズ712を保持するZモータ727はフローセル上の反応場に焦点を合わせる機能を持つ。CCDカメラ718の画像取り込みタイミングおよびZモータ727によるフォーカシングはパーソナルコンピュータ(制御部)726により制御される。
【0086】
また、XYステージ702上の複数のファン211〜211−nは、制御部726からの指令信号により動作制御され、回転数の制御が行われる。なお、703は装置外壁である。
【0087】
次に、本発明の第7の実施例として、1つのシロッコファン(ファン共振防止手段)による複数のフローセルの温度調節する方法について
図8を用いて説明する。
図8の(A)は、セルホルダの概略斜視図であり、
図8の(B)は、セルホルダの概略断面図である。
【0088】
上述した第1の実施例と第7の実施例との異なる点は、シロッコファン(多翼ファン)403を採用することである。その他の構成は第1の実施例と同等である。る第1の実施例で示したファンは軸流ファンであり、シロッコファン403と比較すると風量は大きいものの、静圧が低い。
【0089】
図8において、ヒートブロック402は上述したペルチェ素子により加熱あるいは冷却される。ペルチェ素子により発生した熱はフィン401に伝達され、その熱をシロッコファン403により強制空冷を行う。シロッコファン403は上方より空気を吸引し、
図8の右方向に排気を行う。シロッコファン403は静圧が大きいため、排気するダクトなどを設けなくても遠方、望ましくは装置外までに効率よく空気の流れを形成し、排気を行うことが可能となる。
【0090】
また、軸流ファンにおいては吸気と排気の方向が一致しているのに対して、シロッコファン403においては吸気と排気の方向が直交しているというメリットがある。これはペルチェ素子によって発生した熱を、
図1の(A)に示したように、送風により直接XYステージ108に移動させることで、XYステージ108の駆動精度劣化を防止することができる。
【0091】
次に、本発明の第8の実施例として、1つのシロッコファンによる複数のフローセルの温度調節を行い、かつ、ダクトを介して熱風を装置外に排気する方法について、
図9および
図10を用いて説明する。
【0092】
核酸配列分析装置内でペルチェ素子を用いてフローセルの温調を行う場合、装置庫内で排熱を行うことにより、目的とする計測を正常に行うことができない場合が発生する可能性がある。
【0093】
その一例として顕微鏡による蛍光測定が挙げられる。20倍の対物レンズを使用した光学測定において、その焦点深度は±1.65μm程度となる。しかしながらファンおよびフィンを保持する支持体の高さは少なく見積もっても40mm程度必要となる。
【0094】
一般に、支持体に使用される材質はアルミニウムであり、その熱膨張係数は2.3・10
−6[1/°C]であるため、焦点深度内にフォーカスを維持するためには装置庫内を+1.8〜−1.8[°C]以内に保つ必要がある。
【0095】
このためには対物レンズ直下で発生する熱風を積極的に装置庫外に排気する方式の採用が望ましい。
【0096】
図9の(A)は、セルホルダの概略斜視図であり、
図9の(B)はセルホルダの概略断面図である。
【0097】
図9において、シロッコファン403の排気口は伸縮可能なダクト405に接続されている。ダクト405は装置外壁404に設置されたファン406に接続される。ここで、ファン406の風量はシロッコファン403の風量よりも大きい。
【0098】
したがって、ダクト405内で排気は滞ることなく、円滑に排気が行われる。ダクト405はXYステージ108の駆動に伴い柔軟に伸縮が可能でありかつダクト405管内の熱を管外に伝達しないように断熱材で覆われている。
【0099】
また、ヒートブロック402への吸気はフィン401の両側から行われるためヒートブロック402上の温度均一性は極めて高く保たれる。
【0100】
図10は、第8の実施例が適用される核酸配列分析装置の全体概略構成図である。
図10に示した例において、
図7に示した例と同等の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
図10において、ファン403で排気された熱風は、ダクト405を介して装置外壁404に設置されたファン406に送られ、排気407となる。ファン403は、ファン211〜211−nより大きな風量を持ち、ダクト405は高い断熱性能を持つため、ペルチェ素子により発生した熱は効率的に排気され、温度による光学計測のフォーカスずれなどに影響を与えない。
【0102】
したがって、本実施例の構成を採用することにより温度調節を行いながら安定した光学計測を行うことができる。