特許第5701409号(P5701409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5701409分数分周型周波数シンセサイザのループゲイン変化における位相跳躍に対する相殺システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701409
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】分数分周型周波数シンセサイザのループゲイン変化における位相跳躍に対する相殺システム
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/183 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   H03L7/18 B
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-556925(P2013-556925)
(86)(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公表番号】特表2014-517550(P2014-517550A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2012003625
(87)【国際公開番号】WO2012172745
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年12月16日
(31)【優先権主張番号】13/161,145
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セドリック モランド
(72)【発明者】
【氏名】デービッド カナード
【審査官】 鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0024152(US,A1)
【文献】 特開2004−266306(JP,A)
【文献】 特開2005−287022(JP,A)
【文献】 Scott E. Meninger and Michael H. Perrott,A Fractional-N Frequency Synthesizer ArchitectureUtilizing a Mismatch Compensated PFD/DACStructure for Reduced Quantization-InducedPhase Noise,IEEE TRANSACTIONS ON CIRCUITS AND SYSTEMS.II: ANALOG AND DIGITAL SIGNAL PROCESSING,米国,IEEE,2003年11月,VOL. 50, NO. 11,pp.839-849
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L 7/183
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザであって、
位相検出器と、
電流可変電荷ポンプと、
同調信号をもたらすためのループフィルタと、
VCO出力信号を供給するための、前記同調信号によって制御される電圧制御発振器(VCO)と、
分周された信号をもたらすための分周器と、
分数分周機能のために変調信号を生成するための変調器と
を備え、
前記位相検出器が、
基準周波数で振動する基準信号を受け取るための第1の入力と、
電圧制御発振器から前記分周された信号を受け取るための、分周器を通った後の第2の入力とを含み、
前記位相検出器および電流可変電荷ポンプが、前記第1の入力の位相と前記第2の入力の位相を比較して、電荷ポンプの電流をオン/オフするように構成され、位相不連続に対する前記相殺システムが、前記変調器の内部で実現され、前記変調器が、電流可変電荷ポンプの電流値によって定義される追加の入力を有することを特徴とする分数分周型周波数シンセサイザ。
【請求項2】
前記変調器が、前記変調信号を生成するための少なくとも1つのアキュムレータを備えることを特徴とする請求項1に記載の相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザ。
【請求項3】
電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザを実現する方法であって、
基準周波数で振動する第1の入力信号を受け取るステップと、
電圧制御発振器(VCO)からフィードバックされる、分周器を通った後の第2の入力信号を受け取るステップと、
位相検出器および電流可変電荷ポンプにおいて前記第1の入力信号の位相と前記第2の入力信号の位相を比較して、電荷ポンプの電流をオン/オフするステップであって、位相不連続に対する前記相殺システムが、前記変調器の内部で実現され、前記変調器が、前記電流可変電荷ポンプの電流値によって定義される追加の入力を有する、ステップと、
同調信号をもたらすためのループフィルタにおいて、前記電荷ポンプの電流を受け取るステップと、
VCO出力信号を供給するための前記電圧制御発振器において、前記同調信号を受け取るステップと、
分周された信号をもたらすための前記分周器において、前記VCOの出力信号を受け取るステップと、
変調信号を生成するための変調器において、前記分周された信号を受け取るステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記変調器が、前記変調信号を生成するための少なくとも1つのアキュムレータを備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器であって、
変調器向けの通常の入力として入力信号を受け取るための第1のアキュムレータと、
電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲイン変化による前記位相不連続を補償するように構成された補償信号および前記第1のアキュムレータからの第1の出力を受け取るための第2のアキュムレータと、
前記第2のアキュムレータから第2の出力を受け取るための第3のアキュムレータと、
前記電流可変の変更可能な電荷ポンプの電流値によって定義される補償値を受け取り、前記第2のアキュムレータに前記補償信号を出力するための相殺システムと
を備えることを特徴とする変調器。
【請求項6】
前記第1のアキュムレータ、前記第2のアキュムレータおよび前記第3のアキュムレータのそれぞれが、加算器およびレジスタをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器。
【請求項7】
前記相殺システムが、マルチプレクサ、信号スイッチ、加算器、およびレジスタをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器。
【請求項8】
前記補償値が、初期状態および最終状態において、2つの状態の電流可変電荷ポンプの電流値に依拠することを特徴とする請求項5に記載の相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器。
【請求項9】
前記補償信号が次式を満足し、
【数1】
ここで、ksは電荷ポンプ電流のサイクルのインデックスであり、Icp0は初期状態における電荷ポンプ電流値であり、Icp1は最終状態における電荷ポンプ電流値であり、B[ks−1]は(ks−1)番目のサイクルにおける前記第2のアキュムレータの出力信号であって、cC[ks]はks番目のサイクルにおける前記第3のアキュムレータの出力信号であることを特徴とする請求項5に記載の相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器。
【請求項10】
電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器を使用して実施される方法であって、
第1のアキュムレータにおいて、変調器向けの通常の入力として入力信号を受け取るステップと、
第2のアキュムレータにおいて、補償信号および前記第1のアキュムレータからの第1の出力を受け取るステップと、
第3のアキュムレータにおいて、前記第2のアキュムレータから第2の出力を受け取るステップと、
相殺システムにおいて、変更可能な電荷ポンプの電流値によって定義される補償値を受け取り、前記補償信号を前記第2のアキュムレータに出力するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1のアキュムレータ、前記第2のアキュムレータおよび前記第3のアキュムレータのそれぞれが、加算器およびレジスタをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記相殺システムが、マルチプレクサ、信号スイッチ、加算器、およびレジスタをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記補償値が、初期状態および最終状態において、2つの状態の可変電荷ポンプの電流値に依拠することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記補償信号が次式を満足し、
【数2】
ここで、ksは電荷ポンプ電流のサイクルのインデックスであり、Icp0は初期状態における電荷ポンプ電流値であり、Icp1は最終状態における電荷ポンプ電流値であり、B[ks−1]は(ks−1)番目のサイクルにおける前記第2のアキュムレータの出力信号であって、cC[ks]はks番目のサイクルにおける前記第3のアキュムレータの出力信号であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、位相ロックループに基づく周波数シンセサイザの分野に関し、詳細には、分数分周型周波数シンセサイザのループゲイン変化における位相跳躍に対する相殺システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の位相ロックループ(PLL)ベースの周波数シンセサイザは、基準周波数からプログラムすることができる周波数を用いて信号を生成するのに使用され得るフィードバックシステムである。このような周波数シンセサイザは、出力信号と入力基準周波数の間の何らかの位相差の割合を示す誤差信号を生成するための位相検出器および電荷ポンプを備える場合がある。さらに、現行の周波数シンセサイザは、生成される出力信号が周波数シンセサイザへの入力基準周波数と同期するように、誤差信号をローパスフィルタに供給して、次いで電圧制御発振器(VCO)に供給するための機能も含んでいる場合がある。現行の周波数シンセサイザは、誤差信号が生成され得るように、VCOからの出力を位相周波数検出器の入力に戻す負帰還ループの方法を利用することがあり、VCOからの出力信号を入力基準周波数に結合する。いくつかの現行の周波数シンセサイザでは、入力基準周波数の整数倍を生成するために、出力信号が周波数分周器回路に供給され得る。
【0003】
現行の周波数シンセサイザが生成することができるのは、入力基準周波数の整数倍の周波数だけである。このような制約を回避するために、周波数シンセサイザは、小数値を得るように、周波数サイクル当りの分割の値を調節するための変調器をさらに含んでもよい。このような周波数シンセサイザは、分数分周型周波数シンセサイザと称される。分数分周型周波数シンセサイザは、その周波数が次式の形となる信号を生成することができ、
【0004】
【数1】
【0005】
ここで、INT、FRAC、およびMODが整数であり、したがって、Fvcoは必ずしも基準周波数Freferenceの整数倍ではない。既存の変調は、位相周波数検出器の入力で時間差を連続的に生成することができ、これが、次に電荷ポンプによって電荷量に変換される。したがって、電荷ポンプの電流をスイッチングするとき、時間差の電荷量への変換係数の不連続性によって、位相擾乱および位相ロックの喪失が生じる可能性がある。いくつかの方法は、スイッチング時間における位相不連続を最小化するように、変調器の正確な状態を制御することに頼ることがある。しかし、このような方法は、変調器の状態の何らかの制約なしでは位相不連続を補償することができない。さらに、このような方法は、変調器に対する初期化値を有するルックアップ表をチャネル単位で含んでいる必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、ループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザを実現するためのシステムおよび方法を対象とし、これは、関連した技術の限界および短所による1つまたは複数の問題を実質的に回避するものである。
【0007】
一実施形態では、電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザが提供され、この分数分周型周波数シンセサイザは、位相検出器と、電流可変電荷ポンプと、同調信号をもたらすためのループフィルタと、VCO出力信号を供給するための、同調信号によって制御される電圧制御発振器(VCO)と、分周された信号をもたらすための分周器と、分数分周機能のために変調信号を生成するための変調器とを備え、位相検出器は、基準周波数で振動する基準信号を受け取るための第1の入力と、電圧制御発振器から、分周された信号を受け取るための、分周器を通った後の第2の入力とを含み、位相検出器および電流可変電荷ポンプは、第1の入力の位相と第2の入力の位相を比較して、電荷ポンプの電流をオン/オフするように構成され、位相不連続に対する相殺システムは、変調器の内部で実現され、変調器は、電流可変電荷ポンプの電流値によって定義される追加の入力を有する。
【0008】
さらなる実施形態では、電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザを実現する方法が提供され、この方法は、基準周波数で振動する第1の入力信号を受け取るステップと、電圧制御発振器(VCO)からフィードバックされる、分周器を通った後の第2の入力信号を受け取るステップと、位相検出器および電流可変電荷ポンプにおいて第1の入力信号の位相と第2の入力信号の位相を比較して、電荷ポンプの電流をオン/オフするステップであって、位相不連続に対する相殺システムが、変調器の内部で実現され、この変調器が、電流可変電荷ポンプの電流値によって定義される追加の入力を有する、ステップと、同調信号をもたらすためのループフィルタにおいて電荷ポンプの電流を受け取るステップと、VCO出力信号を供給するための電圧制御発振器において同調信号を受け取るステップと、分周された信号をもたらすための分周器においてVCOの出力信号を受け取るステップと、変調信号を生成するための変調器において、分周された信号を受け取るステップとを含む。
【0009】
さらに別の実施形態では、変調器は、変調信号を生成するための少なくとも1つのアキュムレータを備える。
【0010】
さらなる実施形態では、電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器が提供され、この変調器は、変調器向けの通常の入力として入力信号を受け取るための第1のアキュムレータと、電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲイン変化による位相不連続を補償するように構成された補償信号および第1のアキュムレータからの第1の出力を受け取るための第2のアキュムレータと、第2のアキュムレータから第2の出力を受け取るための第3のアキュムレータと、電流可変の電荷ポンプの電流値によって定義される補償値を受け取り、第2のアキュムレータに補償信号を出力するための相殺システムとを備える。
【0011】
さらに別の実施形態では、第1のアキュムレータ、第2のアキュムレータおよび第3のアキュムレータのそれぞれが、加算器およびレジスタをさらに備える。
【0012】
さらに別の実施形態では、相殺システムは、マルチプレクサ、信号スイッチ、加算器、およびレジスタをさらに備える。
【0013】
さらに別の実施形態では、補償値は、初期状態および最終状態において、2つの状態の電流可変電荷ポンプの電流値に依拠する。
【0014】
さらに別の実施形態では、補償信号は次式を満たすものであり、
【0015】
【数2】
【0016】
ここで、ksは電荷ポンプの電流のサイクルインデックスであり、Icp0は初期状態における電荷ポンプの電流値であり、Icp1は最終状態における電荷ポンプ電流値であり、B[ks−1]は(ks−1)番目のサイクルにおける第2のアキュムレータの出力信号であって、cC[ks]はks番目のサイクルにおける第3のアキュムレータの出力信号である。
【0017】
さらに別の実施形態では、本発明により、電荷ポンプの電流値の変化を伴うループゲインの変化による位相不連続に対する相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器を使用して実施される方法が提供され、この方法は、第1のアキュムレータにおいて、変調器向けの通常の入力として入力信号を受け取るステップと、第2のアキュムレータにおいて、補償信号および第1のアキュムレータからの第1の出力を受け取るステップと、第3のアキュムレータにおいて、第2のアキュムレータから第2の出力を受け取るステップと、相殺システムにおいて、変更可能な電荷ポンプの電流値によって定義される補償値を受け取り、補償信号を第2のアキュムレータに出力するステップとを含む。
【0018】
さらに別の実施形態では、第1のアキュムレータ、第2のアキュムレータおよび第3のアキュムレータのそれぞれが、加算器およびレジスタをさらに備える。
【0019】
さらに別の実施形態では、相殺システムは、マルチプレクサ、信号スイッチ、加算器、およびレジスタをさらに備える。
【0020】
さらに別の実施形態では、補償値は、初期状態および最終状態において、2つの状態の変更可能な電荷ポンプの電流値に依拠する。
【0021】
さらに別の実施形態では、補償信号は次式を満たすものであり、
【0022】
【数3】
【0023】
ここで、ksは電荷ポンプの電流のサイクルインデックスであり、Icp0は初期状態における電荷ポンプの電流値であり、Icp1は最終状態における電荷ポンプ電流値であり、B[ks−1]は(ks−1)番目のサイクルにおける第2のアキュムレータの出力信号であって、cC[ks]はks番目のサイクルにおける第3のアキュムレータの出力信号である。
【0024】
前述の概要および以下の詳細な説明は、どちらも例示の説明であり、特許請求される本発明のさらなる説明を提供するように意図されていることを理解されたい。
【0025】
添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部分を構成し、本発明の実施形態を示し、説明と一緒に、本発明の原理について説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの例示的実施形態を示す図である。
図2】本発明による分数分周型周波数シンセサイザの変調器の例示的実施形態を示す図である。
図3】電荷ポンプの電流の変化によって生じ得る平均位相の不連続を例示的に示すグラフである。
図4】本発明による相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器を例示的に示す図である。
図5】本発明による例示的分数分周型周波数シンセサイザの方法のステップを示す図である。
図6】本発明による例示的変調器の方法のステップを示す図である。
図7】本発明による分数分周変調と関連した信号図を例示的に示す図である。
図8】分数分周型周波数シンセサイザの高速ロック系列中の例示的位相軌跡を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、各実施形態が詳細に参照され、それらの実例が添付図面で示される。以下の詳細な説明では、本明細書に提示される主題の理解を支援するために、多数の限定的でない特定の詳細が説明される。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな代替形態が用いられてもよく、これらの特定の詳細なしで主題が実施され得ることが当業者には明らかであろう。例えば、本明細書に提示される主題は、任意のタイプの分数分周型周波数シンセサイザに対して実施され得ることが当業者には明らであろう。
【0028】
図1は、ループフィルタ104が位相検出器および電荷ポンプ102に対して直列の、本発明による分数分周型周波数シンセサイザの例示的実施形態100を示す。この例示的実施形態100では、基準クロック信号101が、分周器107からの分周されたVCO出力信号(output divided VCO signal)108とともに、位相検出器および電荷ポンプ102への入力になり得る。位相検出器および電荷ポンプ102は、基準クロック信号101と分周されたVCO出力信号108の間の位相差を検出して、誤差出力信号103に変換してもよい。位相検出器および電荷ポンプ102からの誤差出力信号103は、VCO105への同調電圧入力を生成するために、ループフィルタ104によって積分されてもよい。ループフィルタ104は、一般に受動回路である。ループフィルタ104は、電荷ポンプの102の電流のパルスをフィルタリングすることにより、VCO出力信号109のスペクトル純度を改善し得る。VCO105からの第1の出力信号109は、例えば、VCO105に接続されたデバイスに対する入力として用いられてもよい。VCO105からの第2の出力信号106は、分周器107を通る負帰還ループ回路を作るために、位相検出器および電荷ポンプ102への入力として用いられてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、分周器107の分周比は、変調器110からの出力信号によってサイクル毎に調節されてもよい。変調器110は、そのクロック入力信号として、分周されたVCO信号108を用いることが可能である。変調器110によって生成されたデジタル信号111が、所定の整数Nに付加されて、分周器107の分周比制御入力に供給され得る。結果として、分周器の平均の分周比は整数でなくてもよく、また、VCOの出力信号109の周波数は、必ずしも基準周波数101の整数倍でなくてもよい。
【0030】
図2は、分数分周型周波数シンセサイザの変調器の例示的実施形態200を示す。いくつかの実施形態では、変調器110は、変調信号を生成するための少なくとも1つのアキュムレータを備えてもよい。各アキュムレータは、少なくとも1つの加算器および1つのレジスタを備えてもよい。例えば、図2では、アキュムレータAは、加算器210およびレジスタ220を含んでいる。図2に示された変調器の構成から、変調器110の入力信号201の初期の整数値がFRACであると想定すると、k番目のサイクルにおける生成された変調信号207は次式で得ることができ、
ΔNdivider[k]=cA[k−2]+cB [k−1]−cB[k−2]+cC[k]−2×cC[k−1]+cC[k−2]
ここでΔNdivider[k]は、k番目のサイクルで生成される変調信号207であり、cA[k]、cB[k]、およびcC[k]は、それぞれ3つのアキュムレータA、B、およびCの204、205、および206のキャリー出力信号である。
【0031】
この周波数シンセサイザでは、k番目のサイクルにおける分周器107からの出力に分周されたVCO信号108の周期は次式で表現され得て、
【0032】
【数4】
【0033】
ここで、図1に示されるように、Tdivider[k]はk番目のサイクルにおける分周器107からの分周されたVCO信号108の周期であり、Nは分周器107への所定の整数入力であり、fvcoはVCOの出力信号109の周波数である。
【0034】
図1に示されるような位相検出器および電荷ポンプ102、ループフィルタ104および電圧制御発振器の構成から、fvcoは次式で導出され得て、
【0035】
【数5】
【0036】
ここで、freferenceは基準ロック周波数101である。
【0037】
次いで、k番目のサイクルでは、時間差ePFD[k]が、位相検出器および電荷ポンプ102の入力において次式のように生じ得る。
【0038】
【数6】
【0039】
分周器107によってカウントされる周期の絶対数は、現在の時刻までのすべての瞬時カウントの合計であるので、VCOが一定の周波数で動作すると想定すれば、時間差ePFD[k]は、次式のように、すべての過ぎたサイクルからの時間差の合計とすることができる。
【0040】
【数7】
【0041】
この合計は、次式のように整理し直すことができる。
【0042】
【数8】
【0043】
別々の項を考えると、
m≦0のときcB[m]=0であるため、
【0044】
【数9】
【0045】
であり、同様に、
【0046】
【数10】
【0047】
である。
【0048】
図2に示されるアキュムレータAの構成から次式が得られ、
A[m−1]+FRAC=A[m]+cA[m]×2
次いで、2倍の遅延(two times delay)の表現が次式のように書き直されてよく、
FRAC−cA[m−2]×2=A[m−2]−A[m−3]、ここでA[m]はk番目のサイクルにおける第1のアキュムレータAの出力信号211である。
【0049】
m≦0のときA[m]=0であるため、次式が得られる。
【0050】
【数11】
【0051】
すべての項を合計して、次式が得られる。
【0052】
【数12】
【0053】
位相検出器の入力における時間差ePFD[k]は、電荷ポンプによって電荷に変換されてもよい。位相検出器および電荷ポンプ120の出力信号103は、k番目のサイクルにおける瞬時位相誤差に比例し、ここでIcp[k]は、k番目のサイクルにおけるプログラムされた電荷ポンプの電流である。
【0054】
合成された位相の像を構築するために、k番目のサイクルにおける瞬時位相誤差をすべて合計して、次式を得る。
【0055】
【数13】
【0056】
ここで、Λは積分定数である。
【0057】
位相ロックループがロックされるとき、合計Φ[k]は定義された値とすることができる。したがって、ΔΦ[k]の平均はゼロであり、Φ[k]は、有限の平均値
【0058】
【数14】
【0059】
のまわりで斬進的に変化し(is evolving)、この式は変調からの絶対平均位相(absolute mean phase)を表す。
【0060】
電圧制御発振器に擾乱が生じないように、平均値
【0061】
【数15】
【0062】
は電荷ポンプのスイッチングの前後で一定のままでなければならない。しかし、変調器出力の将来の系列(future sequence)は、スイッチング時点(switching point)では未知であり得て、将来の平均位相値であり得る。この問題を回避するために、系列のスペクトルの特性に頼ることができる。例えば、系列のパワーが主として高周波に存在することが分かれば、電荷ポンプの電流が一定のとき、より大きな系列の切捨て部分(truncated parts)が同一の平均位相をもたらし得ると推測することができる。したがって、いくつかの実施形態では、電荷ポンプのスイッチングの前後で全体の系列についての連続性を求めるのでなく、初期のIcp(→Icp0)における既知の過去の系列と最終のIcp(→Icp1)における同一の系列との比較に基づいて補償値を計算することができる。
【0063】
図3は、電荷ポンプの電流の変化によって生じ得る平均位相の不連続の例示的なグラフを示す。一番上のグラフ301は、初期の電荷ポンプ設定におけるシグマデルタ変調による位相の軌跡(実線)と、変化がない場合に考えられる軌跡(点線)とを示す。この位相は、その平均値(水平線)のまわりで漸進的に変化する。中央のグラフ302は、最終的な電荷ポンプ設定を用いた変化の前に存在していたと考えられる位相軌跡(点線)と、変化後の位相軌跡(実線)とを示す。ここでも、平均位相は水平線で示されている。一番下の図303は、変化のあたりの実際の位相軌跡を説明している。位相は、スイッチング時点で連続であり、したがって、電荷ポンプの初期設定の実線と最終設定の実線がつながっている。しかし、このことが平均位相の不連続を引き起こす。
【0064】
cp[k]=Icp0である初期の系列が一定であると考え、図3に示された初期の位相軌跡は次式で得られる。
【0065】
【数16】
【0066】
cp[k]=Icp1である同一の系列が一定であると考え、図3に示された最終の位相軌跡は次式で得られる。
【0067】
【数17】
【0068】
電荷ポンプのスイッチングの前後で、位相がΦ[ks]=(I)=Φ[ks](ここで、ksはIcp0からIcp1へのスイッチングに対応する)と連続であれば、
【0069】
【数18】
【0070】
が得られる。
【0071】
次にそれぞれの平均位相を計算して、
【0072】
【数19】
【0073】
および、
【0074】
【数20】
【0075】
を得る。
【0076】
本発明の一実施形態では、電荷ポンプのスイッチングの後に補償されることになる平均位相の不連続は、図3に示されるように
【0077】
【数21】
【0078】
となる。
【0079】
PFD[k]の計算から、
【0080】
【数22】
【0081】
に対する閉形式(closed-form)の表現は、
【0082】
【数23】
【0083】
となる。
【0084】
第2のアキュムレータBの構成から、B[k]+A[k]=B[k+1]+cB[k+1]×2、次いでA[k−2]=B[k−1]−B[k−2]+cB[k−1]×2が得られ、ここで、B[m]は、図2に示されたk番目のサイクルにおける第2のアキュムレータBの出力信号212である。
【0085】
【数24】
【0086】
の閉形式の表現の計算から、
【0087】
【数25】
【0088】
が得られ、ここで、B[0]=cB[0]=0は、それぞれの新規の再ロック位相における変調器の初期化条件とすることができる。
【0089】
【数26】
【0090】
の閉形式の表現は、最終的には次式で表され得る。
【0091】
【数27】
【0092】
したがって、平均位相の不連続の表現は次式となる。
【0093】
【数28】
【0094】
電荷ポンプのスイッチの後の位相は次式となる。
【0095】
【数29】
【0096】
平均位相間の不連続を補償するために、電荷ポンプのスイッチの後にΦ[k]にオフセットを付加することが可能である。いくつかの実施形態では、これは、第2のアキュムレータBに対してオフセットBcompを付加することによって達成することができ、
【0097】
【数30】
【0098】
となり、ここで
【0099】
【数31】
【0100】
である。
【0101】
【数32】
【0102】
と、2つの項を同一視することにより、次式が得られる。
【0103】
【数33】
【0104】
上記の表現は、次ように書き直すことができる。
【0105】
【数34】
【0106】
第3のアキュムレータCの構成から、C[k]+B[k]=C[k+1]+cC[k+1]×2、次いで、−B[k−1]+cC[k]×2=C[k−1]−C[k]が得られ、ここで、C[m]は、図2のk番目のサイクルにおける第1のアキュムレータCの出力信号213である。したがって
【0107】
【数35】
【0108】
となる。
【0109】
最終的に、第2のアキュムレータBに加えられる補償信号Bcompは次式で表現され、
【0110】
【数36】
【0111】
ここで、ksは、電荷ポンプの電流がIcp0からIcp1にスイッチングするサイクルのインデックスである。
【0112】
図4は、本発明による相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器の例示的実施形態400を示す。いくつかの実施形態では、相殺システムを有する分数分周型周波数シンセサイザの変調器は、入力信号401を受け取るための第1のアキュムレータAと、第1のアキュムレータから補償信号413および第1の出力信号402を受け取るための第2のアキュムレータBと、第2のアキュムレータから第2の出力信号403を受け取るための第3のアキュムレータCと、補償値409を受け取り、補償信号413を第2のアキュムレータBに出力するための相殺システムDであって、ループゲインの変化による位相不連続を補償するように構成されている相殺システムDとを備える。いくつかの実施形態では、第1のアキュムレータA、第2のアキュムレータBおよび第3のアキュムレータCそれぞれが、少なくとも1つの加算器および1つのレジスタを備え、例えば、図4のアキュムレータAは、加算器410およびレジスタ420を含んでいる。いくつかの実施形態では、相殺システムDは、マルチプレクサ430、信号スイッチ431、少なくとも1つの加算器および少なくとも1つのレジスタをさらに備える。相殺システムDに入力される補償値は、初期状態および最終状態における電荷ポンプの信号に依拠する。いくつかの実施形態では、補償値409は次式のように構成され、
【0113】
【数37】
【0114】
ここで、ksは、電荷ポンプの電流がIcp0からIcp1にスイッチングするサイクルのインデックスである。
【0115】
図5は本発明による例示の分数分周型周波数シンセサイザの方法のステップを示す。分数分周型周波数シンセサイザの方法のステップは、基準周波数で振動する第1の入力信号を受け取るステップ501と、電圧制御発振器(VCO)から、分周器を通った後の第2の入力信号を受け取るステップ502と、位相検出器および電流可変電荷ポンプにおいて第1の入力信号の位相と第2の入力信号の位相を比較して、電荷ポンプの電流をオン/オフするステップ503であって、位相不連続に対する相殺システムが変調器の内部で実現され、変調器が、電流可変電荷ポンプの電流値によって定義される追加の入力を有する、ステップ503と、同調信号をもたらすためのループフィルタにおいて、電荷ポンプの信号を受け取るステップ504と、VCO出力信号をもたらすためのVCOにおいて、同調信号を受け取るステップ505と、分周されたVCO信号をもたらすための分周器において、VCO出力信号を受け取るステップ506と、変調信号を生成するための変調器において、分周されたVCO信号を受け取るステップ507とを含む。
【0116】
図6は、本発明による例示の変調器の方法のステップを示す。この変調器の方法のステップは、第1のアキュムレータにおいて、変調器用の通常の入力として入力信号を受け取るステップ601と、第2のアキュムレータにおいて、補償信号および第1のアキュムレータから出力された第1の入力を受け取るステップ602と、第3のアキュムレータにおいて、第2のアキュムレータからの第2の出力を受け取るステップ603と、相殺システムにおいて、変更可能な電荷ポンプの電流値によって定義された補償値を受け取り、第2のアキュムレータに補償信号を出力するステップ604とを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、平均位相の不連続の相殺は、変調器で、分数分周変調に対して電荷ポンプの電流の変化によって生成された位相不連続が、変調器の状態に対するいかなる制約もなく、完全にデジタル的に補償され得るように実施される。さらに、本発明の実施形態では、ルックアップ表は不要である。
【0118】
いくつかの実施形態では、電荷ポンプの電流をIcp0からIcp1にスイッチングする間、ロック状態を維持しなければならない(平均位相の連続性)分数分周型周波数シンセサイザでは、3次のMASH1−1−1変調器が使用される。しかし、分数分周型周波数シンセサイザでは2次のMASH1−1変調器が使用されてもよい。2次のMASH1−1変調器の場合には、位相不連続に対する補償値が次式のように構成され、
【0119】
【数38】
【0120】
ここで、第2のアキュムレータの平均
【0121】
【数39】
【0122】
は、デジタルローパスフィルタを使用して好都合に推定することができる。
【0123】
図7は、本発明による分数分周変調と関連した信号図の例示的な図700を示す。例示的な図700には、分周器の値の信号701と、先行の(advance)分周されたVCO信号を示す702と、分数の値を表す遅延703と、基準クロック信号704と、同調電圧信号705との間の関係が示されている。先行702および遅延704の表現を有する分周されたVCO信号の値は、分数分周変調された信号を得るための次式を用いて得ることができる。
【0124】
【数40】
【0125】
図8は、分数分周型周波数シンセサイザの高速ロック系列の位相軌跡の例示的なグラフ800を示す。例示的なグラフ800では、電荷ポンプの電流をスイッチングするとき、位相跳躍の振幅は変調器の状態に依拠し、電荷注入の系列801における不連続により、位相ロックの喪失が生じ得る。図8には2つのグラフがあり、それらは補償のないPLLに関するものである。電荷ポンプの電流が変化するとき、次いでもたらされる位相誤差が最小限の誤差要件を満たすか満たさないかといったことは、変調器の状態次第である。
【0126】
本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明のさまざまな変更形態および変形形態が作製され得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、本発明の変更形態および変形形態が、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲に入る場合には、それらを対象として含むように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8