【実施例】
【0028】
次に、実施例について説明するが、この実施例は、あくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に含まれる他の態様または変形を、全て包含するものである。
【0029】
(実施例1)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末1wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を99wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は94%となった。
【0030】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0031】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、10個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0032】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度はスクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は13ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0033】
(スクラッチ試験の条件)
スクラッチ試験機:CSEM社製、Micro−Scratch−Tester
スクラッチ距離:20mm
スクラッチ荷重:0〜10ニュートン
荷重レート:10ニュートン/分
スクラッチ速度:20mm/分
ダイヤモンドコーン形状:先端200μmφ
下記の実施例及び比較例は、すべて上記の条件で測定を実施した。
【0034】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例1のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。以上の結果を、第1表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
(実施例2)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末50wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を50wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は98%となった。
【0037】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、3個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0038】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は19ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0039】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例2のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。この結果を、同様に表1に示す。
【0040】
(実施例3)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末2wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を98wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は94%となった。
【0041】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0042】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、9個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0043】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は15ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0044】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例3のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。この結果を、同様に表1に示す。
【0045】
(実施例4)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末40wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を60wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は98%となった。
【0046】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0047】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、4個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0048】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は19ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0049】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例4のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。この結果を、同様に表1に示す。
【0050】
(実施例5)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末5wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を95wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は95%となった。
【0051】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0052】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用しが。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、8個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0053】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は17ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0054】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例5のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。この結果を、同様に表1に示す。
【0055】
(実施例6)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末15wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を85wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は97%となった。
【0056】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0057】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、6個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0058】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は18ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0059】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例6のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。この結果を、同様に表1に示す。
【0060】
(比較例1)
純度99.9%、平均粒径90μmタンタル粉末を、焼結体の原料とした。この場合、チタンの添加は行っていないので、タンタル100wt%の原料であり、本願発明の条件から外れるものである。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は91%となり、実施例に比べ大きく低下した。
【0061】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0062】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、11個となった。このパーティクル数は、密度低下が原因で、パーティクル数の増加になったと考えられる。
【0063】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は7ミリニュートンで、密着性に劣った。
【0064】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、比較例1のタンタル膜のバリア性は良好であった。この結果を、同様に表1に示す。
この表1に示すように、比較例1では、密度が低下し、絶縁膜との密着性も低下しているが、例えば実施例1と比較すると、少量でもTiを添加する場合には、密度が高くなり、また絶縁膜との密着性が向上することが確認できる。
【0065】
(比較例2)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末60wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を40wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。この場合、チタンの含有量が60wt%と多く、本願発明のチタン含有量を逸脱するものである。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は98%となった。
【0066】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0067】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、5個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0068】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は20ミリニュートンで、密着性は良好であった。
【0069】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められ、比較例2のタンタル・チタン膜のバリア性は不良であった。このように、密度が向上し、耐剥離性も向上したが、過剰なチタンの添加は、本願発明の目的とするバリア性を低下させる原因となった。
この結果を、同様に表1に示す。
【0070】
(実施例7)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末15wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を85wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1350°C、保持時間2時間、加圧力400kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は95%となった。
【0071】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0072】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、9個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0073】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は18ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0074】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例7のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。この結果を、同様に表1に示す。
【0075】
(実施例8)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末15wt%と純度99.9%、平均粒径90μmタンタル粉末を85wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1600°C、保持時間2時間、加圧力200kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は98%となった。
【0076】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0077】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用し、その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定した。12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、4個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0078】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は18ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0079】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例8のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。この結果を、同様に表1に示す。
【0080】
(比較例3)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末15wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を85wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1200°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は80%となった。この例では、焼結温度が本願発明の条件よりも低い温度であるため、密度が十分に上がらないという結果となった。
【0081】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0082】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用した。その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定し、12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。この結果、パーティクル数は、20個となり、実施例に比べて大幅に増加した。これは密度低下が原因と考えられる。
【0083】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は15ミリニュートンで、良好であった。
【0084】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。この結果、銅へのシリコンの拡散は認められなかった。
この結果を、同様に表1に示す。
【0085】
(比較例4)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末15wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末を85wt%の条件で混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力100kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして1wt%Tiを含有し、残部がTaからなる焼結体を得た。この場合、前記加圧力は、本願発明の条件を満たしていない。焼結体の密度は80%と大きく低下した。
【0086】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0087】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用し、その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定した。12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、18個となり、本願発明の実施例に比べて増加した。この原因は、密度低下が原因と考えられる。
【0088】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は15ミリニュートンで、良好であった。
【0089】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。この結果、銅へのシリコンの拡散は認められなかった。
この結果を、同様に表1に示す。
【0090】
(実施例9)
純度99.9%、平均粒径150μmのチタン粉末14wt%と純度99.9%、平均粒径90μmのタンタル粉末83wt%、これに、無電解めっきに対する触媒能を持つ白金、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウムの金属元素を合計3wt%添加して混合し、焼結体の原料とした。
次に、この原料粉末を、ホットプレス用の容器に入れ、真空雰囲気中、温度1550°C、保持時間2時間、加圧力240kgf/cm
2の条件の下で、ホットプレスして焼結体を得た。焼結体の密度は95%となった。
【0091】
この焼結体を、旋盤で直径165.1mm、厚さ6.35mmの形状となるように、切削加工してターゲットを製作した。このターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ装置でスパッタリングを行った。スパッタ条件は、スパッタパワー1kW、Arガス圧0.5Paとし、2kWhrのプレスパッタを実施した後、3.5インチ径のSiO
2絶縁膜が形成された基板上へ、目標膜厚1000Åとなるようにスパッタした。
【0092】
スパッタリング終了後、各SiO
2絶縁膜が形成された基板上に形成されたタンタル・チタン膜中のパーティクル等の個数を測定した。斯かるパーティクル等の個数の測定には、レーザー式パーティクルカウンターを使用し、その際、パーティクル個数として外径0.3μm以上のパーティクル等の個数を測定した。12枚のSiO
2絶縁膜が形成された基板上のパーティクルの1枚当たりの平均個数をパーティクル数とした。
この結果、パーティクル数は、9個となった。このパーティクル数は、密度向上が原因で、パーティクル数の減少になったと考えられる。
【0093】
(スパッタリング膜の密着性)
次に、基板に付着した膜の密着性の評価を評価した。剥離強度は、実施例1と同様に、スクラッチ試験により測定した。具体的には、下記条件でのスクラッチ試験後の試料を、光学顕微鏡により観察し、下地のガラス(ウエハ)が露出した点を皮膜の剥離点とし、スクラッチ開始点からの距離を測長することにより、剥離荷重を算出した。この結果、剥離荷重は18ミリニュートンで、良好な結果となった。
【0094】
(バリア性の試験とその結果)
次に、上記スパッタリング焼結体ターゲットを用いて、SiO
2絶縁膜が形成された基板上へタンタル・チタン膜を作製し、その上に銅をスパッタで成膜し、400°C×30分間の真空アニール処理後のバリア性を、AESデプスプロファイル測定により確認した。
この結果、銅へのシリコンの拡散が認められず、実施例9のタンタル・チタン膜のバリア性が良好であることが確認できた。
【0095】
また、タンタル・チタン膜上に無電解めっき法による銅膜の形成を試みた。まず、基板上に、タンタル・チタン膜を形成するに際して、3インチRFスパッタ装置(ANELVA製SPF−332HS)を使用した。チャンバー内をクライオポンプで5×10
−5Paとした後、ある一定比率の窒素・アルゴン混合ガスを全圧0.8Paとなるまで導入し、50Wの出力でプラズマを発生させ、15分間のプレスパッタ後、本成膜を実施した。
次に、無電解めっきによる銅の成膜は、以下の組成のめっき液を用いて、pH12.5、60℃×3〜5分の条件で実施した。めっき時の銅膜とタンタル・チタン膜の、界面の酸化状態の確認をAESデプスプロファイル測定により確認した。
【0096】
(無電解めっき液とめっき条件)
硫酸銅:0.02mol/L
エチレンジアミン四酢酸塩:0.21mol/L
グリオキシル酸:0.1mol/L
2,2‘−ビピリジル:20mg/L
ポリエチレンイミン(Mw10,000):200mg/L
pH12.5(水酸化カリウム)
この結果、めっき膜界面の耐酸化性が良好であることが確認できた。この結果を、同様に表1に示す。なお、本実施例9では、無電解めっきに対する触媒能を持つ白金、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウムの金属元素を合計3wt%添加して混合し、焼結体の原料とする例を示したが、白金、金、銀、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウムから選択した1成分以上の金属元素を、1〜15wt%の範囲で添加した場合も、同様の結果が得られた。