特許第5702624号(P5702624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5702624
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】電流電圧変換回路、発振回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 4/50 20060101AFI20150326BHJP
   H03K 3/353 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   H03K4/50 B
   H03K3/353 F
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-32280(P2011-32280)
(22)【出願日】2011年2月17日
(65)【公開番号】特開2012-175168(P2012-175168A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2013年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】瀧 幸之助
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−022076(JP,A)
【文献】 特開2010−085384(JP,A)
【文献】 特開2003−115729(JP,A)
【文献】 特開平09−246878(JP,A)
【文献】 特開2008−131457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 4/50
H03K 3/353
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の電源電圧間に設けられた第1及び第2の電流発生部と、
前記第1及び第2の電流発生部に流れる電流の差分の電流を電圧に変換し、その電圧を出力端子より出力する電流電圧変換部と、
前記出力端子からの出力信号を反転した信号を出力するバッファ部と、
前記出力端子に直流バイアスを与えるように、前記バッファ部からの出力信号を前記電流電圧変換部の前記出力端子にフィードバックするフィードバック部と、
を備えることを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項2】
前記フィードバック部は、B級プッシュプル増幅器を有することを特徴とする請求項1に記載の電流電圧変換回路。
【請求項3】
前記フィードバック部は、高出力インピーダンスの増幅器を有することを特徴とする請求項1に記載の電流電圧変換回路。
【請求項4】
前記フィードバック部は、抵抗器を有することを特徴とする請求項1に記載の電流電圧変換回路。
【請求項5】
発振信号を供給する発振部と、
前記発信信号に従って生じる電流を電圧に変換する電流電圧変換回路を含み、その電圧を出力端子から出力する出力部と、
を備え、
前記電流電圧変換回路は、
第1及び第2の電源電圧間に第1及び第2の電流発生部を有し、前記発振信号に従って前記第1及び第2の電流発生部にそれぞれ流れる前記電流の差分の電流を前記電圧に変換し、その電圧を前記出力端子より出力する電流電圧変換部と、
前記出力端子からの出力信号を反転した信号を出力するバッファ部と、
前記出力端子にDCバイアスを与えるように、前記バッファ部からの出力信号を前記電流電圧変換部の前記出力端子にフィードバックするフィードバック部と、
を備えることを特徴とする発振回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を電圧に変換する電流電圧変換回路、それを備えた発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電流電圧変換回路を備えた、従来の発振回路として、特許文献1に記載されているものがある。この従来の発振回路について、図4を参照して説明する。
図4において、発振回路は、発振信号を供給する発振部10、発振信号の振幅を参照電圧Vrefに制限するバイアス電圧発生部20、振幅制限によって生じる電流を電源電圧VCから接地電圧GNDまで変換して差動出力し、フルスイング動作を行う差動出力部40から構成される。差動出力部40は、電流電圧変換回路41および42により構成されている。なお、本例の差動出力部40の差動出力の一方にはインバータ回路43等が接続されることで、最終的にバッファされている。
この発振回路は、比較的簡易な回路構成を用いることにより、低消費電力でフルスイング動作をすることができるものである。
【0003】
さらに、図4の発振回路の構成を詳細に説明する。
この発振回路には、電源ラインを介して電源電圧VCが供給され、接地ラインを介して接地電圧GNDが供給される。
発振部10は、PMOSトランジスタM1、M2を備えている。トランジスタM1のソース端子は、定電流源CS1を介して電源ラインに接続されており、ドレイン端子は、定電流源CS2を介して接地ラインに接続されている。トランジスタM2のソース端子は、定電流源CS3を介して電源ラインに接続されており、ドレイン端子は、定電流源CS4を介して接地ラインに接続されている。
【0004】
また、トランジスタM1のゲート端子は、トランジスタM2のドレイン端子に接続されており、トランジスタM2のゲート端子は、トランジスタM1のドレイン端子に接続されている。さらに、トランジスタM1、M2のソース端子間には、容量Cが設けられている。
また、トランジスタM1、M2のドレイン端子は、それぞれ差動出力部40に接続されている。そして、トランジスタM1、M2は発振信号を出力する。
【0005】
バイアス電圧発生部20は、PMOSトランジスタM3と、NMOSトランジスタM4とを備えている。さらに、バイアス電圧発生部20は、参照電圧Vrefを生成する参照電圧発生回路30を備えている。
トランジスタM3のドレイン端子は定電流源CS5を介して電源ラインに接続されており、トランジスタM3のドレイン端子とゲート端子とは接続されている。トランジスタM3のソース端子は、トランジスタM4のソース端子に接続されている。トランジスタM4のドレイン端子は、ゲート端子に接続されると共に接地されている。トランジスタM3、M4により、トランジスタM3のゲート端子において、接地電圧GNDに対して所定のバイアス電圧が生成される。
【0006】
差動出力部40は、PMOSトランジスタM5、M7、M9、M11と、NMOSトランジスタM4、M6、M8、M12を備えている。そして、差動出力部40は、トランジスタM5、M6、M9、M10、定電流源CS6、CS7、及び、インバータ回路43を有する電流電圧変換回路41と、トランジスタM7、M8、M11、M12、定電流源CS8、CS9を有する電流電圧変換回路42と、から構成されている。
【0007】
トランジスタM5、M7のゲート端子は、トランジスタM3のゲート端子に接続されている。トランジスタM5、M7のソース端子は、それぞれトランジスタM6、M8のソース端子に接続されている。このトランジスタM5とトランジスタM6との間の接続ノードには、発振部10のトランジスタM2のドレイン端子が接続されている。一方、トランジスタM7とトランジスタM8との間の接続ノードには、発振部10のトランジスタM1のドレイン端子が接続されている。
【0008】
トランジスタM6、M8のゲート端子には、参照電圧Vrefが入力される。参照電圧Vrefにより、発振信号の振幅を決めることができる。
更に、トランジスタM9、M11のソース端子は定電流源CS6、CS8を介して電源ラインに接続されており、電源電圧VCが供給される。更に、トランジスタM9、M11のソース端子は、それぞれトランジスタM5、M7のドレイン端子に接続されている。トランジスタM9、M11のゲート端子には電圧VPが入力される。この電圧VPとして、定電流源CS6、CS8が動作可能な範囲で、電源電圧VCよりトランジスタの閾値電圧以上に低い電圧を設定してもよく、または、トランジスタM3のゲート端子からの電圧を入力して設定してもよい。
【0009】
トランジスタM9、M11のドレイン端子は、トランジスタM10、M12のドレイン端子にそれぞれ接続されている。トランジスタM10、M12のゲート端子には電圧VNが入力される。この電圧VNとしては、定電流源CS7、CS9が動作可能な範囲で、接地電圧GNDよりトランジスタ閾値電圧以上に高い電圧を設定してもよく、または、参照電圧Vrefを入力して設定してもよい。トランジスタM10、M12のソース端子は、定電流源CS7、CS9を介して接地される。更に、トランジスタM10、M12のソース端子は、それぞれトランジスタM6、M8のドレイン端子に接続されている。
【0010】
そして、トランジスタM9とトランジスタM10との間の接続ノード、トランジスタM11とトランジスタM12との間の接続ノードが、それぞれ出力端子N1、出力端子N2となる。
さらに、本例の出力端子N1はインバータ回路43に接続されている。インバータ回路43は出力端子N1の信号をバッファし、インバータ回路43の出力が出力端子OUTから出力される。
【0011】
この例では、トランジスタM11、M12を用いることにより、相補的な2つの信号を出力し、1個のインバータ回路43を用いることで出力端子OUTから最終的に単一の発振信号を出力している。なお、出力端子N2に別のインバータ回路を接続し、その出力および上記インバータ回路43の出力により、最終的に相補的な2つの信号が出力されるようにしてもよい。
【0012】
次に、図4の発振回路の動作について説明する。
ここで、定電流源CS1〜CS9は、それぞれ電流I1〜I9を供給するものとして、その電流値はすべて一定(Iref)とする。
発振部10のトランジスタM1がオンして、トランジスタM2がオフした場合、トランジスタM1のドレイン端子には定電流源CS1及び定電流源CS3からの電流I1+I3が流れ込む。この電流の一部は定電流源CS2を介して引き抜かれるため、差動出力部40には電流I1+I3−I2が供給される。この電流I1+I3−I2はトランジスタM8に供給され、トランジスタM8がオンする。
【0013】
一方、トランジスタM2はオフしているため、トランジスタM5がオンして定電流源CS4には電流I4が供給される。これにより、容量CのトランジスタM1側の電圧Vc1は以下のようになる。
Vc1=Vd2+Vt1=Vt4+Vt3−Vt5+Vt1
ここで、電圧Vd2は、トランジスタM2のドレイン端子と定電流源CS4との間の接続ノードの電圧である。なお、電圧Vti(iは自然数)は、それぞれのトランジスタMi(iは自然数)がオンしている場合のゲート・ソース間の電圧を示す。以下の説明でも同様である。
【0014】
また、容量CのトランジスタM2側の電圧Vc2は、電圧Vc2が電圧Vt2+Vref+Vt8になるまでの時間をtとして以下のように表わされる。
Vc2=Vc1+I3/C×t
一方、発振部のトランジスタM2がオンして、トランジスタM1がオフした場合、トランジスタM2のドレイン端子には定電流源CS1及び定電流源CS3からの電流I1+I3が流れ込む。この電流の一部は定電流源CS4を介して引き抜かれるため、差動出力部40には電流I1+I3−I4が供給される。この電流I1+I3−I4はトランジスタM6に供給され、トランジスタM6がオンする。
【0015】
一方、トランジスタM1はオフしているため、トランジスタM7がオンして定電流源CS2には電流I2が供給される。これにより、容量CのトランジスタM2側の電圧Vc2は以下のようになる。
Vc2=Vd1+Vt2=Vt4+Vt3−Vt7+Vt2
ここで、電圧Vd1は、それぞれトランジスタM1のドレイン端子と定電流源CS2との間の接続ノードの電圧である。
【0016】
また、容量CのトランジスタM1側の電圧Vc1は、電圧Vc1がVt1+Vref+Vt6になるまでの時間をtとして以下のように表わされる。
Vc1=Vc2+I1/C×t
ここで、各トランジスタM1〜M8におけるゲート・ソース間の電圧Vt=Vt1=…=Vt8、電流Iref =I1=…=I8とした場合、電圧Vc1と電圧Vc2とは、相互に電圧〔2×Vt+Vref〕〜〔2×Vt−Vref〕間でスイングし、その発振振幅は参照電圧Vrefと同じ電圧となる。すなわち、発振部10のスイングの大小にかかわらず、参照電圧Vrefの振幅で発振することができる。
【0017】
ここで、各電圧Vc1、Vc2の立ち上がりの傾きはIref/Cとなる。そして、発振の周期T、周波数Fは、それぞれ以下のように表わされる。
Iref×T/2=C×Vref×2
T=4C×Vref/Iref
F=1/T=Iref/(4C×Vref)
そして、トランジスタM2のドレイン端子と定電流源CS4との間の接続ノード(電圧Vd2)から電流Irefが供給され、トランジスタM1のドレイン端子と定電流源CS2との間の接続ノード(電圧Vd1)に電流Irefが供給される場合、トランジスタM5はオフするとともに、トランジスタM6には電流Irefが流れる。また、この場合、トランジスタM8はオフするとともに、トランジスタM7には電流Irefが流れる。
【0018】
従って、トランジスタM9には電流I6が流れ込み、トランジスタM10には電流I7−Irefが流れる。もし、電流I6と電流I7とが同じ値であれば、トランジスタM9に流れる電流はトランジスタM10に流れる電流より大きくなり、この差分電流(具体的には、電流Iref)が出力端子N1に供給される。この電流により、出力端子N1の電圧は電源電圧VCまで上昇する。
一方、電流I8と電流I9とが同じ値であれば、トランジスタM12に流れる電流はトランジスタM11に流れる電流より大きくなり、この差分電流が出力端子N2から引き抜かれる。この電流により、出力端子N2の電圧は接地電圧GNDまで下降する。
【0019】
一旦、出力端子N1の電圧が電源電圧VCCまで上昇すると、出力端子N1には電流が流れなくなるので、トランジスタM9に流れる電流と、トランジスタM10に流れる電流とは同じ値になり、電流I7−Irefとなる。出力端子N2の電圧が接地電圧GNDに達すると同様に、トランジスタM12に流れる電流と、トランジスタM11に流れる電流とは同じ値になり、電流I8−Irefとなる。もし、電流I6〜電流I9が電流Irefに一致する場合、この差動出力部40における電流消費はなくなる。
また、発振信号が反転した場合には、出力端子N1の電圧が接地電圧GNDまで下降し、出力端子N2の電圧が電源電圧VCまで上昇する。これにより、フルスイング動作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2008−22076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述したように、電流電圧変換回路41におけるトランジスタM9のドレイン端子とトランジスタM10のドレイン端子との間の接続ノード(出力端子N1)、及び、電流電圧変換回路42におけるトランジスタM11のドレイン端子とトランジスタM12のドレイン端子との間の接続ノード(出力端子N2)は、電流の押し引きでそれらの電圧がHighまたはLowに決まることから、ハイ・インピーダンス(以下、Hi−Zと呼ぶ)なノードということができる。
【0022】
つまり、電流電圧変換回路41は、出力端子N1のHi−Zなノードを上下にある定電流源CS6、CS7によって、電流の押し引きすることで発振部の電流振幅を電圧振幅に変換している。
このHi−Zなノードは、電流の押し引きのみでその自身の電位が決まっているので、上下の電流のバランスが崩れるような状態、例えばトランジスタのリーク電流や配線間の寄生容量の影響によりトランジスタM9のドレイン端子とトランジスタM10のドレイン端子との間を流れる電流が減るなどした時、出力端子N1の振幅は電源電圧VCまたは接地電圧GNDに偏って安定する場合がある。
【0023】
そして、その出力端子N1の振幅が後段のインバータ回路の入力動作電圧の範囲外までずれると動作不良となる。
本発明は、電流電圧変換回路においてプロセス起因やレイアウト起因により電流がアンバランス状態となり動作しないという課題を解決するものであり、その目的は電流がアンバランス状態でも正常に動作するような電流電圧変換回路、それを備えた発振回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上述した課題を解決するため、本発明による電流電圧変換回路は、第1及び第2の電源電圧間に設けられた第1及び第2の電流発生部と、前記第1及び第2の電流発生部に流れる電流の差分の電流を電圧に変換し、その電圧を出力端子より出力する電流電圧変換部と、前記出力端子からの出力信号を反転した信号を出力するバッファ部と、前記出力端子に直流バイアスを与えるように、前記バッファ部からの出力信号を前記電流電圧変換部の前記出力端子にフィードバックするフィードバック部と、を備えることを特徴とする。電流電圧変換部のHi−Zなノードに、フィードバックによるDCバイアスを与えることにより、電流がアンバランス状態でも正常な動作を実現できる。
【0025】
前記フィードバック部は、B級プッシュプル増幅器、高出力インピーダンスの増幅器、または、抵抗器によって構成できる。このように構成されたフィードバック部を用いれば、Hi−Zなノードに、フィードバックによるDCバイアスを与える、電流がアンバランス状態でも正常な動作を実現ができる。
【0026】
上述した課題を解決するため、本発明による発振回路は、発振信号を供給する発振部と、前記発信信号に従って生じる電流を電圧に変換する電流電圧変換回路を含み、その電圧を出力端子から出力する出力部と、を備え、
前記電流電圧変換回路は、第1及び第2の電源電圧間に第1及び第2の電流発生部を有し、前記発振信号に従って前記第1及び第2の電流発生部にそれぞれ流れる前記電流の差分の電流を前記電圧に変換し、その電圧を前記出力端子より出力する電流電圧変換部と、前記出力端子からの出力信号を反転した信号を出力するバッファ部と、前記出力端子にDCバイアスを与えるように、前記バッファ部からの出力信号を前記電流電圧変換部の前記出力端子にフィードバックするフィードバック部と、を備えることを特徴とする。電流電圧変換部のHi−Zなノードに、フィードバックによるDCバイアスを与えることにより、電流がアンバランス状態でも正常な動作を実現できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電流電圧変換部のHi−Zなノードに、フィードバックによるDCバイアスを与えることにより、電流がアンバランス状態でも正常な動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態による電流電圧変換回路を備えた発振回路を示す図である。
図2】本発明の他の実施形態による電流電圧変換回路を備えた発振回路を示す図である。
図3】本発明の他の実施形態による電流電圧変換回路を備えた発振回路を示す図である。
図4】従来の電流電圧変換回路を備えた発振回路の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されており、同等部分に関する説明を適宜省略する。
(回路構成例)
図1は、本発明の実施形態による電流電圧変換回路を備えた発振回路を示す図である。
発振回路は、発振信号を供給する発振部、発振信号の振幅を参照電圧Vrefに制限するバイアス電圧発生部、振幅制限によって生じる電流を電源電圧VCから接地電圧GNDまで変換して差動出力し、フルスイング動作を行う差動出力部から構成される。差動出力部は、電流電圧変換回路により構成されるとともに、差動出力にはインバータ回路等が接続されることで、最終的にバッファされている。
【0030】
そして、特に、電流電圧変換回路41は、インバータ回路43のほかに、さらにフィードバック回路44を備えている。フィードバック回路44は、インバータ回路43の出力信号にオフセットを持たせて出力端子N1にフィードバックすることで、出力端子N1に直流バイアス(以下、DCバイアス)を与えるものである。
【0031】
図1を用いて、本発明の電流電圧変換回路を備えた発振回路の構成を詳細に説明する。
なお、発振部10、バイアス電圧発生部20は、前述した図4の構成と同じであるのでその説明を省略し、差動増幅部の一部も、前述した図4の構成と同じ構成の部分は、その説明を省略する。
差動出力部は、PMOSトランジスタM5、M7、M9、M11と、NMOSトランジスタM4、M6、M8、M12を備えている。そして、差動出力部は、トランジスタM5、M6、M9、M10、定電流源CS6、CS7、インバータ回路43、及びフィードバック回路を有する電流電圧変換回路41と、トランジスタM7、M8、M11、M12、定電流源CS8、CS9を有する電流電圧変換回路42と、から構成されている。
【0032】
電流電圧変換回路41において、トランジスタM9のソース端子は定電流源CS6を介して電源ラインに接続されており、電源電圧VCが供給される。更に、トランジスタM9のソース端子は、トランジスタM5のドレイン端子に接続されている。トランジスタM9のゲート端子には電圧VPが入力される。トランジスタM9のドレイン端子は、トランジスタM10のドレイン端子にそれぞれ接続されている。トランジスタM10のゲート端子には電圧VNが入力される。トランジスタM10のソース端子は、定電流源CS7を介して接地される。更に、トランジスタM10のソース端子は、それぞれトランジスタM6のドレイン端子に接続されている。そして、トランジスタM9とトランジスタM10との間の接続ノードが、出力端子N1となる。
【0033】
出力端子N1はインバータ回路43に接続され、インバータ回路43は出力端子N1の信号をバッファして出力端子OUTから出力する。
フィードバック回路44は、NMOSトランジスタM13と、PMOSトランジスタM14とを含むB級プッシュプル増幅器を備えている。
フィードバック回路44において、トランジスタM13のドレイン端子は電源ラインに接続されており、電源電圧VCが供給される。トランジスタM13のソース端子は、トランジスタM14のソース端子に接続されている。トランジスタM13、M14のゲート端子は互いに接続されるとともに、出力端子N1に接続されている。トランジスタM13、M14のソース端子は互いに接続されるとともに、トランジスタM9、M10のドレイン端子に接続されている。トランジスタM14のドレイン端子は、接地される。
【0034】
次に、電流電圧変換回路の動作を説明する。
なお、発振部10等を含む発振回路の動作は、前述した図4の動作と同じであるのでその説明を省略する。
電圧電流変換回路41において、インバータ回路43の出力がフィードバック回路44のB級プッシュプル増幅器でバッファされ、その出力が出力端子N1に接続されている。このようにフィードバック回路44でフィードバックするのは、出力端子N1にDCバイアスを与えるためである。
【0035】
はじめに、発振部10が反転すると、出力端子N1の電圧は、接地電圧GND側に電流が引かれることで、Highの状態からLowの状態となる。そして、インバータ回路43の入力信号が反転すると、B級プッシュプル増幅器により出力端子N1の電位を引き上げる作用が働く。この時、インバータ回路43の出力端子OUTからB級プッシュプル増幅器のNMOSトランジスタM13のVtを引いた電圧がN1にフィードバックされる。出力端子N1の電位が、インバータ回路43が反転した電位を上回るとインバータ回路43はドライブを止め、出力端子OUTの端子は上昇が止まる。
【0036】
しかし、出力端子N1は、接地電圧GND側の定電流源CS7により、引き続きGND側に引かれ続けているので、出力端子N1の電位はインバータ回路43が反転した電位近辺でつり合う。
次に、発振部10がさらに反転すると、電源電圧VC側に出力端子N1が引き上げられると同時に、インバータ回路43が反転し、B級プッシュプル増幅器により出力端子N1の電位を引き下げる作用が働く。この時、インバータ回路43の出力端子OUTからB級プッシュプルのPMOSトランジスタM14のVtを加えた電圧がN1にフィードバックされる。出力端子N1の電位が、インバータ回路43が反転した電位を下回ると、インバータ回路43はドライブを止め、出力端子OUTの端子は下降が止まる。
【0037】
そして、同様に、出力端子N1の電位はインバータ回路43が反転した電位近辺でつり合うことになり、以後、発振器の反転によりこの一連の動作が繰り返される。ここで、Hi−Zなノードである出力端子N1は、インバータ回路43の入力電圧のセンター付近で動作するので、インバータ回路43の不感帯に移動することはない。
【0038】
このように、プロセス起因やレイアウト起因により電流がアンバランス状態となっても、B級プッシュプル増幅器等を含むフィードバック回路44により、電流電圧変換回路の出力端子N1にDCバイアスを与えることで、インバータ回路の入力動作電圧の範囲内で出力端子N1が振幅することができ、動作不良を解消することができる。
上述した実施形態では、フィードバック回路44はB級プッシュプル増幅器で構成した。B級プッシュプル増幅器は、寄生容量も小さく発振周波数に与える影響を抑えてバイアスを与えることができる。
【0039】
(変形例)
ここで、フィードバック回路は、インバータ回路の出力信号を抵抗性で出力端子N1にフィードバックすることで、出力端子N1にDCバイアスを与えるものであればよい。このため、フィードバック回路の他の実施形態として、B級プッシュプル増幅器のほかに、出力インピーダンスの高い増幅器や、抵抗器、が挙げることができる。例えば、図2のように、Hi−Zなノードである出力端子N1とインバータ回路の出力とを、例えば2MEGΩ以上の抵抗器Rで接続する。こうすることにより、Hi−Zなノードである出力端子N1にDCバイアスをかけることができる。
【0040】
また、図3のように、Hi−Zなノードである出力端子N1とインバータ回路の出力との間に、バッファ回路45を設けてもよい。バッファ回路45は、ソース端子が定電流源CS10を介して電源ラインに接続され、かつ、ドレイン端子が抵抗器R1を介して接地電圧GNDに接続されたPMOSトランジスタM15と、ゲート端子がPMOSトランジスタM15のソース端子に接続され、かつ、ドレイン端子が抵抗器R2を介して電源ラインに接続され、さらに、ソース端子が定電流源CS11を介して接地電圧GNDに接続されたNMOSトランジスタM16とから構成されている。抵抗器R1およびR2は、例えば2MEGΩなどの高抵抗とする。このようなソースフォロワ構成によるバッファ回路45をフィードバック回路として用いることにより、Hi−Zなノードである出力端子N1にDCバイアスをかけることができる。
【0041】
上述した実施形態では、バッファリングする回路としてインバータ回路を用いているが、これに限定されることはなく、出力信号をバッファリングすることができればバッファ回路を用いてもよい。
また、上述した実施形態では、電流電圧変換回路41のみが、インバータ回路とフィードバック回路を備えているが、逆相側の電流電圧変換回路42にも同様に、別のインバータ回路とフィードバック回路を備えていてもよい。
【0042】
(シミュレーション結果)
発明者は、以下のように、図1の発振回路および図4の発振回路についてシミュレーションを行った。
まず、図4の発振回路について、出力端子N1から接地電圧GNDへ向けて200nAの電流がリークしているモデルを用い、温度を変化させた。設定した温度は、25℃、50℃、75℃、100℃、125℃、150℃である。
その結果、25℃の常温では辛うじて発振動作したが、50℃やそれ以上の高温時には発振動作しなかった。この電流リークモデルの出力端子N1の電圧変化の振幅が高温時に小さくなり、接地電圧GND側へ寄っていくことでインバータ回路の入力動作範囲外になり動作不良に陥る結果を得た。
【0043】
この理由は、以下の通りである。すなわち、発振動作時に電流電圧変換回路41のHi−Zなノードである出力端子N1において、図4中の上下に位置している電流源CS6およびCS7により電流の押し引きすることで発振部10の電流振幅を電圧振幅に変換している。この出力端子N1のノードは、電流の押し引きのみで電位が決まっているので、その上下に位置している電流源CS6およびCS7の電流がアンバランスになるような状態、例えば上述したリーク電流の影響や配線の寄生容量が大きく出力端子N1のノードを流れる電流が減るなどの状態では、出力端子N1の電位は電源電圧VCまたは接地電圧GND側に寄っていく。このような理由から、高温時に動作不良に陥ると考えられる。
【0044】
一方、B級プッシュプル増幅器によるフィードバック回路を設けてDCバイアスを与える図1の発振回路について、上記と同様に、出力端子N1から接地電圧GNDへ向けて200nAの電流がリークしているモデルを用い、温度を変化させた。設定した温度は、上記と同様に、25℃、50℃、75℃、100℃、125℃、150℃である。その結果、図4の発振回路の場合とは異なり、温度に関わらず正常動作することを確認できた。すなわち、フィードバック回路の作用により、Hi−Zなノードである出力端子N1の電圧変化は、インバータ回路の入力電圧のセンター付近で動作するのでインバータ回路の入力動作範囲外に移動することはない。このような理由から、温度に関わらず正常な動作を実現できる。
【0045】
(まとめ)
本実施形態の電流電圧変換回路では、出力端子N1のノードにバイアスを与える目的でインバータ回路の出力をB級プッシュプル増幅器でバッファし、この出力が出力端子N1のノードに接続されている。動作は発振部が反転し出力端子N1のノードがHighの状態から接地電圧GND側に電流が引かれてLowとなりインバータ回路の入力が反転するとB級プッシュプル増幅器により出力端子N1のノードを引き上げる作用が働く。
【0046】
しかし、出力端子N1のノードは接地電圧GND側の電流源により引き続き接地電圧GND側に引かれ続けているので、出力端子N1のノードの電位はインバータが反転した電位でつり合う。次に発振部10が反転すると電源側に出力端子N1のノードの電位が引き上げられ、同時にインバータ回路の入力が反転し、B級プッシュプル増幅器により出力端子N1のノードの電位を引き下げる作用が働く。したがって、インバータ回路の入力が反転した電位で出力端子N1のノードの電位はつり合うことになり、この動作が繰り返される。これによりインバータ回路の入力動作電圧範囲内で出力端子N1のノードが振幅するので動作不良は解消される。
【符号の説明】
【0047】
20 バイアス電圧発生部
30 参照電圧発生回路
40 差動出力部
41、42 電流電圧変換回路
43 インバータ回路
44 フィードバック回路
45 バッファ回路
C 容量
CS1−CS11 定電流源
GND 接地電圧
M1−M14 トランジスタ
N1、N2、OUT 出力端子
R、R1、R2 抵抗器
図1
図2
図3
図4