(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、テレビジョンをテレビ、リモートコントロールをリモコンと略記することがある。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1実施形態であるテレビジョン視聴支援装置を適用したテレビ視聴システムの全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、テレビ視聴システム1は、テレビジョン受像機10と、操作部11と、テレビジョン視聴支援装置20とを備える。
【0015】
テレビジョン受像機10は、放送電波を受信する受信アンテナから供給される地上デジタル放送や衛星放送等の放送信号を取り込んで復調し、この復調された信号から、視聴者によって所望に選択された放送番組を抽出するチューナ部と、映像を表示する表示部と、音声を出力する音声出力部とを備えるテレビ装置である。テレビジョン受像機10は、電源の入切、選局(チャンネル切替え)、音量調節、入力信号の切替え等を、操作部11から供給される操作制御信号に基づいて行う。テレビジョン受像機10は、操作部11から供給される操作制御信号を取り込むためのインタフェースとして、赤外線受信部やネットワーク・インタフェースを備える。
テレビジョン受像機10は、例えば、チューナ部と表示部(例えば、液晶表示部)と音声出力部とを一体的に構成した液晶テレビ装置、チューナ部をセットトップボックスとして表示部から分離して構成したテレビシステム、チューナ部を備えたコンピュータ装置および表示装置等により実現される。
【0016】
操作部11は、操作部11の保持者(操作者)による操作にしたがって操作制御信号を発生し、この操作制御信号をテレビジョン受像機10とテレビジョン視聴支援装置20とに送信する遠隔操作機器である。操作部11は、パルス化した操作制御信号を赤外線Sにより送信する赤外線出射型の操作部であり、例えば、赤外線リモコン装置、赤外線通信機能を有する携帯電話機により実現される。
なお、本実施形態における携帯電話機は、この携帯電話機を赤外線リモコン装置として機能させるためのリモコン用アプリケーションプログラムを実行している状態のものである。
【0017】
テレビジョン視聴支援装置20は、テレビジョン受像機10でコンテンツを視聴している一または複数の視聴者の中から、テレビジョン受像機10を遠隔操作する操作部11と、操作部11を実際に操作している視聴者とを特定し、この特定結果に基づいて、視聴者ごとの操作部11の操作履歴情報を取得する装置である。
図1に示すように、テレビジョン視聴支援装置20は、光センサ部200と、操作履歴情報取得部300とを備える。
【0018】
光センサ部200は、テレビジョン受像機10でコンテンツを視聴する一または複数の視聴者の顔と、テレビジョン受像機10を遠隔操作する操作部11とを赤外線波長領域および可視光波長領域それぞれの波長領域で撮影し、これらの撮影により得た赤外線画像信号とカラー画像信号とを操作履歴情報取得部300に供給する。赤外線画像信号は、赤外線波長領域における撮像画像の信号である。また、カラー画像信号は、可視光波長領域における撮像画像の信号である。
【0019】
光センサ部200は、テレビジョン受像機10でコンテンツを視聴する視聴者の略正面(正面を含む)の顔と、操作部11の赤外線送信部とを撮影可能な位置に設置される。また、操作部11が送信する赤外線Sはテレビジョン受像機10の赤外線受信部でも受信される必要があるため、光センサ部200は、テレビジョン受像機10の赤外線受信部に比較的近い位置に設置される。光センサ部200の構成の詳細については後述する。
【0020】
操作履歴情報取得部300は、利用操作部の特定処理と操作履歴情報の取得処理とを実行する。利用操作部の特定処理は、テレビジョン受像機10を遠隔操作する操作部11と、操作部11を操作する視聴者とを特定する処理である。特定された操作部11を利用操作部とも呼ぶ。操作履歴情報の取得処理は、特定した視聴者の操作によって利用操作部から得られる視聴者ごとの操作履歴情報を取得する処理である。
【0021】
利用操作部の特定処理において、操作履歴情報取得部300は、光センサ部200から供給される赤外線画像信号とカラー画像信号とを取り込み、これら赤外線画像信号とカラー画像信号との画像処理を行うことによって、テレビジョン受像機10を遠隔操作する操作部11と、操作部11を操作する視聴者とを特定する。
【0022】
また、操作履歴情報の取得処理において、操作履歴情報取得部300は、光センサ部200から供給される赤外線画像信号を取り込み、この赤外線画像信号に基づいて操作部11が送信した操作制御情報を取得する。操作履歴情報取得部300は、その操作制御情報と、利用操作部の特定処理において特定した操作部11および操作部11を操作する視聴者とを対応付けた操作履歴情報を生成する。
操作履歴情報取得部300の構成の詳細については後述する。
【0023】
図2は、光センサ部200の概略構成を模式的に示す断面図である。同図に示すように、光センサ部200は、光束分離部210と、赤外線撮像部220と、カラー撮像部230とを備える。
光束分離部210は、到来する光束を赤外線と可視光とに分離する光学フィルタである。光束分離部210は、例えば、赤外線Sを透過させる一方、可視光を反射させるコールドミラーにより実現される。
赤外線撮像部220は、光束分離部210を透過して到来する赤外線Sを受光して撮像し赤外線画像信号を生成する。赤外線撮像部220は、例えば赤外線ビデオカメラ装置により実現される。
カラー撮像部230は、光束分離部210から反射して到来する可視光を受光して撮像しカラー画像信号を生成する。カラー撮像部230は、例えばカラービデオカメラ装置により実現される。
なお、光束分離部210は、例えば、可視光を透過させる一方、赤外線Sを反射させるホットミラーにより実現してもよい。
【0024】
赤外線撮像部220およびカラー撮像部230それぞれの被写体は、テレビジョン受像機10でコンテンツを視聴する一または複数の視聴者の顔と、テレビジョン受像機10を遠隔操作している操作部11(利用操作部)とである。赤外線撮像部220およびカラー撮像部230は、それぞれのフレームの画角が一致するか、または被写体が重なるように光学調整されて設置される。
【0025】
図3は、操作履歴情報取得部300が記憶する顔特徴情報のデータ構成を示す図である。顔特徴情報は、テレビジョン受像機10を視聴する視聴者ごとの顔の特徴を示すデータの集合である。同図に示すように、顔特徴情報は、個人識別情報と顔特徴データとの各項目を対応付けたデータテーブルである。個人識別情報は、視聴者個人を識別する情報である。顔特徴データは、あらかじめ撮像した視聴者の顔画像から得た顔の特徴データである。顔特徴データは、例えば、眉毛、目、鼻、唇等の大きさおよび相対位置、ならびに顔の輪郭等を示す特徴量である。同図に示す顔特徴情報は、4人分の顔特徴データを個人識別情報に対応付けて有している。
【0026】
図4は、操作履歴情報取得部300が記憶する色ヒストグラム情報のデータ構成を示す図である。色ヒストグラム情報は、テレビジョン受像機10を遠隔操作する操作部11ごとの、赤外線送信部の周囲の色ヒストグラムの集合である。同図に示すように、色ヒストグラム情報は、操作部識別情報と色ヒストグラムとの各項目を対応付けたデータテーブルである。操作部識別情報は、操作部11を識別する情報である。色ヒストグラムは、色成分を級数とし画素数を度数としたヒストグラムである。同図に示す色ヒストグラム情報は、5個分の操作部11の色ヒストグラムを操作部識別情報に対応付けて有している。
【0027】
図5は、操作履歴情報取得部300の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、操作履歴情報取得部300は、画像信号取得部301と、顔特徴情報記憶部302と、顔認識処理部303と、マスク画像生成部304と、操作部位置検出部305と、色ヒストグラム記憶部306と、操作部識別部307と、特定部308と、操作制御情報取得部309と、操作履歴情報生成部310とを備える。
【0028】
画像信号取得部301は、光センサ部200から供給される赤外線画像信号とカラー画像信号とを取り込む。
【0029】
具体的には、画像信号取得部301は、利用操作部の特定処理において、光センサ部200から供給される赤外線画像信号とカラー画像信号とをそれぞれ取り込み、毎フレーム、または複数フレームごとに、1フレーム画像分の赤外線画像データを顔認識処理部303とマスク画像生成部304と操作部位置検出部305とに供給する。また、画像信号取得部301は、毎フレーム、または複数フレームごとに、1フレーム画像分のカラー画像データを顔認識処理部303と操作部識別部307とに供給する。
また、画像信号取得部301は、操作履歴情報の取得処理において、光センサ部200から供給される赤外線画像信号を取り込み、毎フレーム、または複数フレームごとに、1フレーム画像分の赤外線画像データを操作制御情報取得部309に供給する。
【0030】
顔特徴情報記憶部302は、テレビジョン受像機10を利用する視聴者全員分の顔特徴情報をあらかじめ記憶する。
【0031】
顔認識処理部303は、画像信号取得部301から供給されるカラー画像データおよび赤外線画像データと、顔特徴情報記憶部302に記憶された顔特徴情報とに基づいて、テレビジョン受像機10でコンテンツを視聴している一または複数の視聴者個人を特定する。また、顔認識処理部303は、フレーム画像における、特定した視聴者の顔の基準位置を取得する。顔認識処理部303は、特定した視聴者の個人識別情報と顔の基準位置を示す位置情報とを対応付けて、特定部308に供給する。
【0032】
具体的には、顔認識処理部303は、画像信号取得部301から供給されるカラー画像データと赤外線画像データとを取り込む。顔認識処理部303は、カラー画像データの平均輝度値(カラー画像平均輝度値)を計算する。顔認識処理部303は、カラー画像平均輝度値があらかじめ記憶した閾値を超える場合に、カラー画像データを用いて顔画像検出処理を実行し、カラー画像平均輝度値がその閾値以下である場合に、赤外線画像データを用いて顔画像検出処理を実行し、一または複数の顔画像領域を検出する。
上記の閾値は、例えば、顔認識処理部303が、カラー画像平均輝度値が異なる複数のカラー画像データそれぞれについて顔画像検出処理を実行した場合の、検出可否の結果および検出誤差に応じて決定される。
【0033】
顔認識処理部303は、検出した一または複数の顔画像領域から顔特徴データを抽出する処理を実行する。顔認識処理部303は、顔画像領域ごとに、その抽出した顔特徴データと、顔特徴情報記憶部302に記憶された顔特徴情報に含まれる全ての顔特徴データとの類似度をそれぞれ計算し、類似度が最も高い顔特徴データのペアに対応する個人識別情報を顔特徴情報から抽出して、その個人識別情報と当該顔画像領域とを対応付ける。
顔認識処理部303は、フレーム画像における当該顔画像領域の顔基準位置を取得し、この顔基準位置と当該顔画像領域に対応付けられた個人識別情報とを対応付けて、特定部308に供給する。顔基準位置は、例えば、顔画像領域を少なくとも含む円の中心位置である。または、顔画像領域の重心位置を顔基準位置としてもよい。
【0034】
マスク画像生成部304は、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データに基づいて、操作部位置検出部305と連携動作することによりマスク画像データを生成する。マスク画像データは、赤外線画像データから赤外線Sが照射されている領域(赤外線照射領域)を精度よく取得するためのマスクデータである。
【0035】
具体的には、マスク画像生成部304は、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データを取り込み、内部の記憶部(図示省略)に記憶させる。詳細には、マスク画像生成部304は、現時点から所定時間分だけ過去の赤外線画像データを上記の記憶部に記憶させる。マスク画像生成部304は、上記の記憶部に記憶された所定時間分の赤外線画像データの画素ごとの平均輝度値を計算して1フレーム画像分の平均輝度画像データを生成し、この平均輝度画像データを操作部位置検出部305に供給する。以下、この平均輝度画像データを背景画像データと呼ぶ。
【0036】
背景画像データは、光センサ部200に到来する赤外線雑音による影響を抑制または除去するために用いられる画像データである。赤外線雑音は、例えば、カーテンやブラインドを開けたことにより室外から入来する赤外線、室内の照明を点灯したときに発生する赤外線等である。上記の所定時間は、光センサ部200の周囲環境に応じて任意に設定される。
【0037】
また、マスク画像生成部304は、背景画像データの全画素の平均輝度値(背景画像全画素平均輝度値)を計算し、この平均輝度値を前記の記憶部に記憶させる。
また、マスク画像生成部304は、背景画像データの輝度値ヒストグラムを生成し、例えば、最低輝度値である画素を先頭として1フレーム画像分の画素の80%までを順次計数したときの最高輝度値を操作部位置検出部305に供給する。
また、マスク画像生成部304は、操作部位置検出部305から供給されるクラスタ分析処理後の赤外線画像データを取り込み、このクラスタ分析処理後の赤外線画像データをマスク画像データとして前記の記憶部に記憶させる。
【0038】
操作部位置検出部305は、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データと、マスク画像生成部304から供給される背景画像データおよび最高輝度値とに基づいて、赤外線画像データから操作部11の赤外線送信部の位置を検出する。
【0039】
具体的には、操作部位置検出部305は、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データを取り込み、マスク画像生成部304から供給される背景画像データと最高輝度値とを取り込む。そして、操作部位置検出部305は、赤外線画像データと背景画像データとの画素ごとの差分を計算し、差分絶対値和(Sum of Absolute Difference;SAD)を計算する。
【0040】
操作部位置検出部305は、差分絶対値和があらかじめ記憶した閾値以下である場合、赤外線画像データに対して一定値である第1の閾値を用いた第1の閾値処理を実行する。差分絶対値和が閾値以下であるとは、操作部11による像が赤外線画像データ内で静止しているか、または殆ど静止した状態であることを示す。
操作部位置検出部305は、マスク画像生成部304の記憶部に記憶されたマスク画像データを読み込み、第1の閾値処理後の赤外線画像データをマスク画像データでマスクする。
【0041】
また、操作部位置検出部305は、差分絶対値和が上記の閾値を超える場合、赤外線画像データに対して最高輝度値を第2の閾値として用いた第2の閾値処理を実行する。差分絶対値和が閾値を超えるとは、操作部11による像が赤外線画像データ内で動いていることを示す。
【0042】
また、操作部位置検出部305は、マスクされた赤外線画像データまたは第2の閾値処理された赤外線画像データから閉領域を抽出してクラスタ分析処理(クラスタリング)を実行する。
操作部位置検出部305は、クラスタ分析処理後の赤外線画像データをマスク画像生成部304に供給する。
【0043】
また、操作部位置検出部305は、クラスタ分析処理後の赤外線画像データからクラスタである赤外線画像領域の操作部基準位置を計算し、この操作部基準位置を示す情報を操作部位置情報として操作部識別部307に供給する。操作部基準位置は、例えば赤外線画像領域の重心位置であり、操作部11の赤外線送信部またはその近傍を示す位置である。
【0044】
色ヒストグラム記憶部306は、テレビジョン受像機10を遠隔操作する一または複数の操作部11の色ヒストグラム情報をあらかじめ記憶する。
【0045】
操作部識別部307は、画像信号取得部301から供給されるカラー画像データと、操作部位置検出部305から供給される操作部位置情報と、色ヒストグラム記憶部306に記憶された色ヒストグラム情報とに基づいて、カラー画像データ内の操作部11を識別する。
【0046】
具体的には、操作部識別部307は、画像信号取得部301から供給されるカラー画像データを取り込み、操作部位置検出部305から供給される操作部位置情報を取り込む。操作部識別部307は、カラー画像データから操作部位置情報が示す操作部基準位置の周囲、例えば、その操作部基準位置を中心として所定距離を半径とした円領域の色情報である色ヒストグラムを生成する。所定距離は、想定される操作部11の大きさに応じて任意に決定される。
操作部識別部307は、生成した色ヒストグラムと色ヒストグラム記憶部306に記憶された色ヒストグラム情報に含まれる全ての色ヒストグラムそれぞれとのヒストグラムインターセクションを計算する。操作部識別部307は、そのヒストグラムインターセクションの計算結果について、類似度が最も高いペアに対応する操作部識別情報を色ヒストグラム情報から抽出し、その操作部識別情報と操作部位置情報とを対応付けて特定部308に供給する。この操作部識別情報に対応する操作部11が利用操作部である。
【0047】
特定部308は、顔認識処理部303から供給される一または複数の個人識別情報と顔画像領域の顔基準位置とのペアデータと、操作部識別部307から供給される操作部識別情報と操作部位置情報とのペアデータとに基づいて、利用操作部とこの利用操作部を操作する視聴者とを特定する。
【0048】
具体的には、特定部308は、顔認識処理部303から供給される一または複数の個人識別情報と顔画像領域の顔基準位置とのペアデータを取り込み、操作部識別部307から供給される操作部識別情報と操作部位置情報とのペアデータを取り込む。特定部308は、一または複数の個人識別情報と顔画像領域の顔基準位置とのペアデータと、操作部識別情報と操作部位置情報とのペアデータとの全ての組み合わせについて、顔画像領域の顔基準位置と操作部位置情報が示す赤外線画像領域の操作部基準位置との距離を計算し、距離が最も短い、または所定距離以下となる組み合わせにおける個人識別情報と操作部識別情報とを対応付けて内部の記憶部(図示省略)に記憶させる。
【0049】
操作制御情報取得部309は、操作履歴情報の取得処理において、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データと、マスク画像生成部304に記憶された背景画像全画素平均輝度値とに基づいて、利用操作部である操作部11が送信した赤外線Sから操作制御情報を取得する。
【0050】
具体的には、操作制御情報取得部309は、マスク画像生成部304に記憶された背景画像全画素平均輝度値を読み込み、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データを取り込む。背景画像全画素平均輝度値は、操作部11から赤外線Sが送信されていない状態を示す。
【0051】
操作制御情報取得部309は、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データを取り込むたびに、その赤外線画像データの平均輝度値(赤外線画像平均輝度値)を計算し、この赤外線画像平均輝度値と背景画像全画素平均輝度値とを比較する。操作制御情報取得部309は、赤外線画像平均輝度値が背景画像全画素平均輝度値よりも大きい場合、例えば、赤外線画像平均輝度値が背景画像全画素平均輝度値の1.2倍以上の輝度である場合にオン状態であると判定する。また、操作制御情報取得部309は、赤外線画像平均輝度値が背景画像全画素平均輝度値よりも小さい場合、例えば、赤外線画像平均輝度値が背景画像全画素平均輝度値の0.8倍以下の輝度である場合にオフ状態であると判定する。オン状態とは、操作部11が赤外光Sを送信している状態であり、オフ状態とは、操作部11が赤外光Sの送信を停止している状態である。
【0052】
操作制御情報取得部309は、時系列の赤外線画像データのオン状態またはオフ状態を判定することによって赤外線Sのパルス符号を取得し、このパルス符号を復号して操作制御情報を取得し、この操作制御情報を操作履歴情報生成部310に供給する。
【0053】
操作履歴情報生成部310は、特定部308の記憶部に記憶された個人識別情報と操作部識別情報とのペアを読み込み、操作制御情報取得部309から供給される操作制御情報を取り込む。操作履歴情報生成部310は、これら取り込んだ個人識別情報と操作部識別情報と操作制御情報とを関連付けた操作履歴情報を生成し、この操作履歴情報を外部の情報処理装置(図示省略)に出力したり、内部の記憶部(図示省略)に記憶させたりする。
【0054】
次に、第1実施形態であるテレビジョン視聴支援装置20の操作履歴情報取得部300の動作について説明する。
図6は、操作履歴情報取得部300が実行する利用操作部の特定処理全体のフローチャートである。
まず、初期の処理として、画像信号取得部301は、光センサ部200から供給される赤外線画像信号とカラー画像信号とをそれぞれ取り込み、これら赤外線画像信号とカラー画像信号とのフレーム同期をかける。
次に、ステップS1において、画像信号取得部301は、毎フレーム、または複数フレームごとに、1フレーム画像分の赤外線画像データおよびカラー画像データを取得する。
【0055】
ステップS2,S3,S4の各処理は、ステップS1の処理に続けて並列実行される。ステップS2は、顔認識処理部303が実行する顔認識処理である。ステップS3は、マスク画像生成部304と操作部位置検出部305とが連携して実行するマスク画像生成処理である。ステップS4は、操作部位置検出部305が実行する操作部位置情報取得処理である。ステップS5は、ステップS4の処理の次に、操作部識別部307と特定部308とが実行する操作部特定処理である。
【0056】
次に、ステップS2〜S5の各処理の詳細を説明する。
図7は、顔認識処理部303が実行する顔認識処理(S2)の手順を示すフローチャートである。顔認識処理部303は、画像信号取得部301から各1フレーム画像のカラー画像データと赤外線画像データとを取り込むと本フローチャートの処理を実行する。
ステップS201において、顔認識処理部303は、カラー画像データの平均輝度値であるカラー画像平均輝度値を計算する。
次に、ステップS202において、顔認識処理部303は、カラー画像平均輝度値があらかじめ記憶した閾値を超える場合(S202:YES)、ステップS203の処理に移し、カラー画像平均輝度値がその閾値以下である場合(S202:NO)、ステップS204の処理に移す。
【0057】
ステップS203において、顔認識処理部303は、取り込んだカラー画像データを用いて顔画像検出処理を実行し、ステップS205の処理に移す。
一方、ステップS204において、顔認識処理部303は、取り込んだ赤外線画像データを用いて顔画像検出処理を実行し、ステップS205の処理に移す。
顔認識処理部303が実行する顔画像検出処理として、公知の顔画像検出アルゴリズムを適用する。具体的には、顔認識処理部303は、例えば、AdaBoostアルゴリズムによりカラー画像データまたは赤外線画像データから一または複数の顔画像領域を検出する。
【0058】
ステップS205において、顔認識処理部303は、検出した一または複数の顔画像領域から顔特徴データを抽出する。
次に、顔認識処理部303は、顔画像領域ごとに、その抽出した顔特徴データと、顔特徴情報記憶部302に記憶された顔特徴情報に含まれる全ての顔特徴データとの類似度をそれぞれ計算し、類似度が最も高い顔特徴データのペアに対応する個人識別情報を顔特徴情報から抽出し、その個人識別情報と当該顔画像領域とを対応付ける。
【0059】
次に、ステップS206において、顔認識処理部303は、フレーム画像における当該顔画像領域の顔基準位置を取得し、この顔基準位置と当該顔画像領域に対応付けられた個人識別情報とを対応付けて特定部308に供給する。
【0060】
図8は、マスク画像生成部304と操作部位置検出部305とが連携して実行するマスク画像生成処理(S3)の手順を示すフローチャートである。マスク画像生成部304は、画像信号取得部301から1フレームの赤外線画像データを取り込むと本フローチャートの処理を実行する。
ステップS301において、マスク画像生成部304は、赤外線画像データを内部の記憶部(図示省略)に記憶させる。この時点で、マスク画像生成部304の上記の記憶部は、現時点から所定時間分だけ過去の赤外線画像データを記憶することとなる。
次に、ステップS302において、マスク画像生成部304は、上記の記憶部に記憶された所定時間分の赤外線画像データの画素ごとの平均輝度値を計算して1フレーム分の平均輝度画像データを生成し、この平均輝度画像データを背景画像データとして操作部位置検出部305に供給する。
【0061】
次に、ステップS303において、マスク画像生成部304は、背景画像データの全画素の平均輝度値である背景画像全画素平均輝度値を計算し、この背景画像全画素平均輝度値を前記の記憶部に記憶させる。
次に、マスク画像生成部304は、背景画像データの輝度値ヒストグラムを生成し、例えば、最低輝度値である画素を先頭として1フレーム画像分の画素の80%までを順次計数したときの最高輝度値を操作部位置検出部305に供給する。
次に、ステップS304において、マスク画像生成部304は、操作部位置検出部305から供給されるクラスタ分析処理後の赤外線画像データを取り込み、このクラスタ分析処理後の赤外線画像データをマスク画像データとして前記の記憶部に記憶させる。
【0062】
図9は、操作部位置検出部305が実行する操作部位置情報取得処理(S4)の手順を示すフローチャートである。操作部位置検出部305は、画像信号取得部301から1フレームの赤外線画像データを取り込むと本フローチャートの処理を実行する。
ステップS401において、操作部位置検出部305は、マスク画像生成部304から供給される背景画像データと最高輝度値とを取り込む。
次に、ステップS402において、操作部位置検出部305は、赤外線画像データと背景画像データとの画素ごとの差分を計算し、差分絶対値和を計算する。
【0063】
次に、ステップS403において、操作部位置検出部305は、差分絶対値和があらかじめ記憶した閾値以下である場合(S403:YES)は、ステップS404の処理に移す。一方、操作部位置検出部305は、差分絶対値和が上記の閾値を超える場合(ステップS403:NO)は、ステップS406の処理に移す。
【0064】
ステップS404において、操作部位置検出部305は、赤外線画像データに対して一定値である第1の閾値を用いた第1の閾値処理を実行する。
次に、ステップS405において、操作部位置検出部305は、マスク画像生成部304の記憶部に記憶されたマスク画像データを読み込み、第1の閾値処理が実行された赤外線画像データをマスク画像データでマスクする。次に、操作部位置検出部305は、ステップS407の処理に移す。
【0065】
一方、ステップS406において、操作部位置検出部305は、赤外線画像データに対して最高輝度値を第2の閾値として用いた第2の閾値処理を実行する。次に、操作部位置検出部305は、ステップS407の処理に移す。
【0066】
ステップS407において、操作部位置検出部305は、ステップS405の処理においてマスクされた赤外線画像データ、またはステップS406の処理において第2の閾値処理された赤外線画像データから閉領域を抽出する。
次に、ステップS408において、操作部位置検出部305は、抽出した閉領域に対するクラスタ分析処理を実行する。クラスタ分析処理としては、例えばK平均法を適用する。
次に、操作部位置検出部305は、クラスタ分析処理後の赤外線画像データをマスク画像生成部304に供給する。
【0067】
次に、ステップS409において、操作部位置検出部305は、クラスタ分析処理後の赤外線画像データから赤外線画像領域の操作部基準位置を計算し、この操作部基準位置を示す情報を操作部位置情報として操作部識別部307に供給する。
【0068】
図10は、操作部識別部307と特定部308とが実行する操作部特定処理(S5)の手順を示すフローチャートである。操作部識別部307は、画像信号取得部301から1フレームのカラー画像データを取り込むと本フローチャートの処理を実行する。
ステップS501において、操作部識別部307は、カラー画像データから操作部位置情報が示す操作部基準位置の周囲、例えば、その操作部基準位置を中心として所定距離を半径とした円領域の色ヒストグラムを生成する。
【0069】
次に、ステップS502において、操作部識別部307は、ステップS501の処理において生成した色ヒストグラムと、色ヒストグラム記憶部306に記憶された色ヒストグラム情報に含まれる全ての色ヒストグラムそれぞれとのヒストグラムインターセクションを計算する。
次に、操作部識別部307は、そのヒストグラムインターセクションの計算結果について、類似度が最も高いペアに対応する操作部識別情報を色ヒストグラム情報から抽出し、その操作部識別情報と操作部位置情報とを対応付けて特定部308に供給する。
【0070】
次に、ステップS503において、特定部308は、顔認識処理部303から供給される一または複数の個人識別情報と顔画像領域の顔基準位置とのペアデータを取り込み、操作部識別部307から供給される操作部識別情報と操作部位置情報とのペアデータを取り込む。
次に、特定部308は、一または複数の個人識別情報と顔画像領域の顔基準位置とのペアデータと、操作部識別情報と操作部位置情報とのペアデータとの全ての組み合わせについて、顔画像領域の顔基準位置と操作部位置情報が示す赤外線画像領域の操作部基準位置との距離を計算し、距離が最も短い、または所定距離以下となる組み合わせにおける個人識別情報と操作部識別情報とを対応付けて内部の記憶部に記憶させる。
【0071】
図11は、操作履歴情報取得部300が実行する操作履歴情報の取得処理の手順を示すフローチャートである。
ステップS601において、操作制御情報取得部309は、マスク画像生成部304に記憶された背景画像全画素平均輝度値を読み込み、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データを取り込む。
次に、ステップS602において、操作制御情報取得部309は、赤外線画像データの平均輝度値である赤外線画像平均輝度値を計算する。
【0072】
次に、ステップS603において、操作制御情報取得部309は、赤外線画像平均輝度値と背景画像全画素平均輝度値とを比較する。
次に、ステップS604において、操作制御情報取得部309は、ステップS603の処理における比較結果がオン状態であると判定する場合(S604:YES)はステップS605の処理に移し、比較結果がオフ状態であると判定する場合(S604:NO)はステップS606の処理に移す。
具体的には、例えば、操作制御情報取得部309は、赤外線画像平均輝度値が背景画像全画素平均輝度値よりも大きい場合、例えば、赤外線画像平均輝度値が背景画像全画素平均輝度値の1.2倍以上の輝度である場合にオン状態であると判定する。また、操作制御情報取得部309は、赤外線画像平均輝度値が背景画像全画素平均輝度値よりも小さい場合、例えば、赤外線画像平均輝度値が背景画像全画素平均輝度値の0.8倍以下の輝度である場合にオフ状態であると判定する。
【0073】
ステップS605において、操作制御情報取得部309は、オン状態を表すフラグデータ(例えば“1”)を図示しないメモリに記憶させて、ステップS607の処理に移す。
ステップS606において、操作制御情報取得部309は、オフ状態を表すフラグデータ(例えば“0(ゼロ)”)を上記のメモリに記憶させて、ステップS607の処理に移す。
【0074】
ステップS607において、操作制御情報取得部309は、上記のメモリに記憶された時系列のフラグデータ(フラグデータ列)がリモコンコードを表すパルス符号であるか否かを判定する。
操作制御情報取得部309は、フラグデータ列がリモコンコードを表すパルス符号であると判定した場合(ステップS607:YES)はステップS608の処理に移し、フラグデータ列がリモコンコードを表すパルス符号でないと判定した場合(ステップS607:NO)はステップS601の処理に戻す。
ステップS608において、操作制御情報取得部309は、リモコンコードを復号して操作制御情報を取得し、この操作制御情報を操作履歴情報生成部310に供給する。
【0075】
次に、ステップS609において、操作履歴情報生成部310は、特定部308の記憶部に記憶された個人識別情報と操作部識別情報とのペアを読み込み、操作制御情報取得部309から供給される操作制御情報を取り込む。
次に、操作履歴情報生成部310は、これら取り込んだ個人識別情報と操作部識別情報と操作制御情報とを関連付けた操作履歴情報を生成し、この操作履歴情報を外部の情報処理装置に出力したり、内部の記憶部に記憶させたりする。
【0076】
以上詳述したとおり、本発明の第1実施形態であるテレビジョン視聴支援装置20において、光センサ部200は、テレビジョン受像機10でコンテンツを視聴する一または複数の視聴者の顔といずれかの視聴者によって保持されて操作される赤外線出射型の操作部11とを撮像して赤外線画像信号およびカラー画像信号を生成する。
【0077】
また、操作履歴情報取得部300において、顔認識処理部303は、カラー画像データまたは赤外線画像データから、一または複数の視聴者の顔画像領域を検出して視聴者個人を特定し、検出した顔画像領域における顔基準位置を検出する。また、操作部位置検出部305は、赤外線画像データから、操作部11の赤外線画像領域における操作部基準位置を検出する。また、操作部識別部307は、カラー画像データから、操作部位置検出部305が検出した操作部基準位置の周辺領域の色ヒストグラムに基づいて操作部11を識別する。
【0078】
また、特定部308は、顔認識処理部303が特定した視聴者個人を示す個人識別情報および検出した顔基準位置と、操作部位置検出部305が検出した操作部基準位置と、操作部識別部307が識別した操作部11の操作部識別情報とを取得し、顔基準位置と操作部基準位置との距離に応じて操作部11の操作者である視聴者個人を特定し、視聴者個人を示す個人識別情報および操作部11の操作部識別情報を対応付ける。また、操作履歴情報生成部310は、特定部308が対応付けた視聴者個人を示す個人識別情報および操作部11の操作部識別情報と操作制御情報取得部309が取得した操作制御情報とを対応付けて操作履歴情報を生成する。
【0079】
このように構成したことにより、テレビジョン視聴支援装置20は、操作部11を保持しテレビジョン受像機10でコンテンツを視聴している視聴者を即座に特定することができ、さらに操作部11を識別して、特定した視聴者が識別した操作部11を操作した操作履歴情報を適切に取得することができる。
すなわち、本発明の第1実施形態によれば、赤外線リモコン装置、赤外線通信機能を有する携帯電話機等の赤外線出射型の操作部11について、誰が、どの操作部11を用いてどのような遠隔操作を行ったかという履歴情報を即座に且つ適切に取得することができる。
【0080】
[第2の実施の形態]
上述した第1実施形態において、操作部11は、例えば、パルス化した操作制御信号を赤外線Sにより送信する、赤外線リモコン装置、赤外線通信機能を有する携帯電話機等であるものとして説明した。本発明の第2実施形態では、IP(Internet Protocol)パケット化した操作制御信号を、電気通信回線を介して送信する、タブレットPC(Personal Computer)、スマートフォン等の携帯端末を操作部として用いた例について説明する。
なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
図12は、本発明の第2実施形態であるテレビジョン視聴支援装置を適用したテレビ視聴システムの全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、テレビ視聴システム1aは、テレビジョン受像機10と、操作部11aと、テレビジョン視聴支援装置20aとを、ネットワーク30を介して接続した構成を有する。
【0082】
ネットワーク30は、有線および無線またはいずれか一方によるコンピュータネットワークである。ネットワーク30は、例えばホームネットワーク等のLAN(Local Area Network)やインターネットである。
【0083】
操作部11aは、操作部11aの保持者(操作者)による操作にしたがって操作制御信号を発生させ、この操作制御信号を、ネットワーク30を介してテレビジョン受像機10および操作履歴情報取得部300aに送信する遠隔操作機器である。操作部11aは、IPパケット化した操作制御信号を、ネットワーク30を介して送信する赤外線非出射型の操作部であり、例えば、タブレットPC、スマートフォン等の携帯端末により実現される。
なお、本実施形態における携帯端末は、この携帯端末を赤外線リモコン装置として機能させるためのリモコン用アプリケーションプログラムを実行している状態のものである。
【0084】
また、詳しくは後述するが、操作部11aの外装部分には、再帰性反射材が取り付けられている。再帰性反射材は、入射光を入射方向に反射させる再帰性の性質を有した反射材である。
【0085】
テレビジョン視聴支援装置20aは、光センサ部200aと、操作履歴情報取得部300aとを備える。
光センサ部200aは、第1実施形態における光センサ部200と同様に、テレビジョン受像機10でコンテンツを視聴する一または複数の視聴者の顔と、テレビジョン受像機10を遠隔操作する操作部11aとを赤外線波長領域および可視光波長領域それぞれの波長領域で撮影し、これらの撮影により得た赤外線画像信号とカラー画像信号とを、操作履歴情報取得部300aに供給する。
また、光センサ部200aは、上記の撮影方向に赤外光を照明する。光センサ部200aの構成の詳細については後述する。
【0086】
操作履歴情報取得部300aは、第1実施形態における操作履歴情報取得部300と同様に、利用操作部の特定処理と操作履歴情報の取得処理とを実行する。
利用操作部の特定処理において、操作履歴情報取得部300aは、光センサ部200aから供給される赤外線画像信号とカラー画像信号とを取り込み、これら赤外線画像信号とカラー画像信号との画像処理を行うことによって、テレビジョン受像機10を遠隔操作する操作部11aと、操作部11aを操作する視聴者とを特定する。
【0087】
また、操作履歴情報の取得処理において、操作履歴情報取得部300aは、ネットワーク30を介して、操作部11aが送信した操作制御情報を取得する。操作履歴情報取得部300aは、その操作制御情報と、利用操作部の特定処理において特定した操作部11aと操作部11aを操作する視聴者とを対応付けた操作履歴情報を生成する。
操作履歴情報取得部300aの構成の詳細については後述する。
【0088】
図13は、操作部11aの概略の外観を示す斜視図である。同図は、操作部11aとしてスマートフォンを用いた例を示している。同図において、操作部11aを遠隔操作のために使用する際に、テレビジョン受像機10側に向けられる操作部11aの端面には、再帰性反射材101が設けられている。再帰性反射材101は、例えば、ビーズタイプやプリズムタイプの再帰性反射テープや再帰性反射パネルであり、操作部11aの端面に貼付される。
なお、操作部11aのケースカバーを再帰性反射材により形成したり、操作部11aの外装ケースを再帰性反射材により形成したりしてもよい。
【0089】
図14は、光センサ部200aの概略構成を模式的に示す断面図である。同図に示すように、光センサ部200aは、第1実施形態における光センサ部200に、同軸赤外線照明240を備えたものである。
同軸赤外線照明240は、赤外照明光を照射する同軸照明である。同軸照明とは、照明光軸と撮像光軸とが同軸となる照明である。同軸赤外線照明240は、赤外線出射部241と、ハーフミラー242とを備える。赤外線出射部241は、赤外線を出射する発光部であり、例えば、赤外線LED(Light Emitting Diode)により実現される。ハーフミラー242は、赤外線出射部241から到来する赤外照明光を反射させる一方、外部から到来する赤外線Sを透過させる。
同軸赤外線照明240は、赤外線出射部241が出射する赤外照明光の光軸と、赤外線撮像部220の撮像光軸とが一致するように設けられる。
【0090】
図15は、操作履歴情報取得部300aの機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、操作履歴情報取得部300aは、第1実施形態における操作履歴情報取得部300に対して、操作部位置検出部305と操作制御情報取得部309とを、操作部位置検出部305aと操作制御情報取得部309aとに変更した構成を有する。
【0091】
操作部位置検出部305aは、第1実施形態における操作部位置検出部305と同様に、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データと、マスク画像生成部304から供給される背景画像データおよび最高輝度値とに基づいて、赤外線画像データから操作部11aの再帰性反射材の画像領域を検出する。
【0092】
ただし、操作部位置検出部305aは、クラスタ分析処理後の赤外線画像データについて、相対距離が所定距離以下であるクラスタ同士を統合する。この所定距離は、例えば操作部11aを視聴者が保持する場合に、指や手等によって再帰性反射材が分断されることを考慮して決められる。例えば、所定距離は、成人男性の頭の幅の寸法と操作部11aの一辺の寸法との比に基づいて決められる距離である。
操作部位置検出部305aは、このクラスタ統合処理後の赤外線画像データをマスク画像生成部304に供給する。
【0093】
また、操作部位置検出部305aは、クラスタ統合処理後の赤外線画像データから赤外線画像領域の操作部基準位置を計算し、この操作部基準位置を示す情報を操作部位置情報として操作部識別部307に供給する。
【0094】
操作制御情報取得部309aは、操作履歴情報の取得処理において、第1実施形態における操作制御情報取得部309と同様に、画像信号取得部301から供給される赤外線画像データと、マスク画像生成部304に記憶された背景画像全画素平均輝度値とに基づいて、利用操作部(赤外線リモコン装置)が送信した赤外線Sから操作制御情報を取得する。また、操作制御情報取得部309aは、操作履歴情報の取得処理において、操作部11aが送信する操作制御データを、ネットワーク30を介して受信し、この操作制御データを操作制御情報として取得する。
【0095】
次に、第2実施形態であるテレビジョン視聴支援装置20aの操作履歴情報取得部300aの動作について説明する。ここでは、第1実施形態であるテレビジョン視聴支援装置20の動作と異なる動作についてのみ説明する。
【0096】
マスク画像生成部304と操作部位置検出部305とが連携して実行するマスク画像生成処理のステップS304の処理において、マスク画像生成部304は、操作部位置検出部305aから供給されるクラスタ統合処理後の赤外線画像データを取り込み、このクラスタ分析処理後の赤外線画像データをマスク画像データとして内部の記憶部に記憶させる。
【0097】
また、操作部位置検出部305aが実行する操作部位置情報取得処理のステップS408の処理において、操作部位置検出部305aは、抽出した閉領域に対するクラスタ分析処理を実行する。次に、操作部位置検出部305aは、クラスタ分析処理後の赤外線画像データについて、相対距離が所定距離以下にあるクラスタ同士を統合する。
次に、操作部位置検出部305aは、クラスタ統合処理後の赤外線画像データをマスク画像生成部304に供給する。
【0098】
また、操作履歴情報取得部300aが実行する操作履歴情報の取得処理において、操作制御情報取得部309aは、操作部11aが送信する操作制御データを、ネットワーク30を介して受信し、この操作制御データを操作制御情報として操作履歴情報生成部310に供給する。
【0099】
以上詳述したとおり、本発明の第2実施形態であるテレビジョン視聴支援装置20aにおいて、光センサ部200aは、テレビジョン受像機10でコンテンツを視聴する一または複数の視聴者の顔といずれかの視聴者によって保持されて操作される赤外線非出射型の操作部11aとを撮像して赤外線画像信号およびカラー画像信号を生成する。
【0100】
また、操作履歴情報取得部300aにおいて、顔認識処理部303は、カラー画像データまたは赤外線画像データから、一または複数の視聴者の顔画像領域を検出して視聴者個人を特定し、検出した顔画像領域における顔基準位置を検出する。また、操作部位置検出部305aは、赤外線画像データから、操作部11aの赤外線画像領域における操作部基準位置を検出する。また、操作部識別部307は、カラー画像データから、操作部位置検出部305aが検出した操作部基準位置の周辺領域の色ヒストグラムに基づいて操作部11aを識別する。
【0101】
また、特定部308は、顔認識処理部303が特定した視聴者個人を示す個人識別情報および検出した顔基準位置と、操作部位置検出部305aが検出した操作部基準位置と、操作部識別部307が識別した操作部11aの操作部識別情報とを取得し、顔基準位置と操作部基準位置との距離に応じて操作部11aの操作者である視聴者個人を特定し、視聴者個人を示す個人識別情報および操作部11aの操作部識別情報を対応付ける。また、操作履歴情報生成部310は、特定部308が対応付けた視聴者個人を示す個人識別情報および操作部11aの操作部識別情報と操作制御情報取得部309aが取得した操作制御情報とを対応付けて操作履歴情報を生成する。
【0102】
このように構成したことにより、テレビジョン視聴支援装置20aは、操作部11aを保持しテレビジョン受像機10でコンテンツを視聴している視聴者を即座に特定することができ、さらに操作部11aを識別して、特定した視聴者が識別した操作部11aを操作した操作履歴情報を適切に取得することができる。
すなわち、本発明の第2実施形態によれば、タブレットPC、スマートフォン等の赤外線非出射型の操作部11aについて、誰が、どの操作部11aを用いてどのような遠隔操作を行ったかという履歴情報を即座に且つ適切に取得することができる。
【0103】
[応用例]
次に、前述した第1実施形態および第2実施形態におけるテレビジョン視聴支援装置20,20aが取得した操作履歴情報を用いる応用例について説明する。
第1の例は、情報処理装置(例えば、コンピュータ装置)が操作履歴情報と電子番組ガイドとに基づいてコンテンツ推薦リストを生成する例である。具体的には、情報処理装置は、操作履歴情報取得部300,300aから操作履歴情報を取り込み、また、テレビジョン受像機10または外部の電子番組ガイドサーバから電子番組ガイドを取り込む。情報処理装置は、操作履歴情報と電子番組ガイドとに基づいて、視聴者ごとに、視聴したコンテンツの属性と、遠隔操作によってコンテンツを切り替えるタイミングとを取得する。そして、情報処理装置は、切替間隔が短いほど当該コンテンツに興味がなく、切替時間が長いほど当該コンテンツに興味があると判定する。そして、情報処理装置は、興味があると判定したコンテンツの属性に同一または類似するコンテンツを、推薦順位を高くする一方、興味がないと判定したコンテンツの属性に同一または類似するコンテンツを、推薦順位を低くしたコンテンツ推薦リストを作成する。そして、情報処理装置は、このコンテンツ推薦リストを表示装置に表示させたり、テレビジョン受像機10に供給したりする。
【0104】
上記の第1の例において、情報処理装置は、取得した属性(例えば、ジャンル)からキーワードを抽出して、このキーワードに基づいて視聴者個人の趣味や嗜好を推定し、この推定結果を用いてコンテンツ推薦リストを生成してもよい。
【0105】
第2の例は、情報処理装置が操作履歴情報から視聴者ごとの周期性がある履歴を取得し、この取得結果に基づいた遠隔操作を行う例である。周期性がある履歴とは、例えば、ある視聴者は、毎週水曜日の21時から特定の放送番組を視聴していることが示された履歴である。情報処理装置は、周期性がある履歴を取得した場合、その周期にしたがった内容の操作制御データを、ネットワーク30を介してテレビジョン受像機10に供給する。
【0106】
第3の例は、 操作部11aが、操作パネルのGUI(Graphical User Interface)を、視聴者ごとの操作履歴情報に基づいて変更する例である。具体的には、操作部11aは、操作履歴情報取得部300aから操作履歴情報を取り込む。操作部11aは、操作履歴情報に基づいて、使用頻度が高いGUIボタンを使用頻度が低いGUIボタンよりも大きく表示したりする。
【0107】
なお、第1実施形態であるテレビジョン視聴支援装置20において、カラー画像信号を用いない構成とすることもできる。このように構成する場合、光センサ部200は、光束分離部210とカラー撮像部230とを省略することができる。また、顔認識処理部300は、赤外線画像データのみを用いて顔画像検出処理を実行する。第2実施形態についても同様である。
【0108】
また、色ヒストグラム記憶部306と操作部識別部307とを省略することができる。このように構成する場合、操作履歴情報生成部310は、個人識別情報と操作制御情報とを関連付けた操作履歴情報を生成する。つまり、操作部11はあらかじめ識別されていることが前提となる。第2実施形態についても同様である。
【0109】
また、第1実施形態および第2実施形態では、テレビジョン受像機10とテレビジョン視聴支援装置20,20aとを分離してテレビ視聴システム1,1aを構成したが、これ以外にも、テレビジョン受像機10とテレビジョン視聴支援装置20,20aとを一体的に構成してもよい。
【0110】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はその実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。