(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記式(1)で表されるフルオロアルキルアイオダイド(1)とテトラフルオロエチレンをラジカル開始剤存在下で反応させて下記式(2)で表されるフルオロアルキルアイオダイド(2)を製造する方法において、
RfI ・・・(1)
RfCF2CF2I ・・・(2)
(ただし、Rfは、炭素数が4以下のフルオロアルキル基を表す。)
第1段反応ステップの反応器においてフルオロアルキルアイオダイド(1)にテトラフルオロエチレンとラジカル開始剤とを供給して反応させる第1段反応ステップと、
第1段反応ステップで生成した反応混合物(1)を第2段反応ステップの反応器に送り、第2段反応ステップの反応器においてラジカル開始剤またはラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンとを供給して反応させる第2段反応ステップによりフルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)とを含有する反応混合物(2)を製造すること、
各反応ステップにおけるテトラフルオロエチレンの最大存在量を、フルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)の合計モル数に対して0.01〜10モル%の範囲に維持すること、
各反応ステップにおけるラジカル開始剤の最大存在量を、フルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)の合計モル数に対して、0.0005〜0.5モル%とすること、
第2段反応ステップ終了後における反応混合物(2)中におけるフルオロアルキルアイオダイド(1)の反応率を10%以下とすること
を特徴とするフルオロアルキルアイオダイド(2)の製造方法。
下記式(1)で表されるフルオロアルキルアイオダイド(1)とテトラフルオロエチレンをラジカル開始剤存在下で反応させて下記式(2)で表されるフルオロアルキルアイオダイド(2)を製造する方法において、
RfI ・・・(1)
RfCF2CF2I ・・・(2)
(ただし、Rfは、炭素数が4以下のフルオロアルキル基を表す。)
第1段反応ステップの反応器においてフルオロアルキルアイオダイド(1)にテトラフルオロエチレンとラジカル開始剤とを供給して反応させる第1段反応ステップと、
前段の反応ステップで生成した反応混合物(n−1)を第n段反応ステップの反応器に送り、第n段反応ステップの反応器においてラジカル開始剤またはラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンとを供給して反応させる次段の反応ステップを(n−1)回(ただしnは3以上の整数)繰り返すことからなる、合計n回の反応ステップによりフルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)とを含有する反応混合物(n)を製造すること、
各反応ステップにおけるテトラフルオロエチレンの最大存在量を、フルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)の合計モル数に対して0.01〜10モル%の範囲に維持すること、
各反応ステップにおけるラジカル開始剤の最大存在量を、フルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)の合計モル数に対して、0.0005〜0.5モル%とすること、
第n段の反応ステップ終了後における反応混合物(n)中におけるフルオロアルキルアイオダイド(1)の反応率を10%以下とすること
を特徴とするフルオロアルキルアイオダイド(2)の製造方法。
各反応ステップの前に、フルオロアルキルアイオダイド(1)および/またはフルオロアルキルアイオダイド(2)、テトラフルオロエチレン、ラジカル開始剤を攪拌機にて混合する工程を有する請求項1または2に記載の製造方法。
反応混合物(2)または第n段の反応ステップ終了後における反応混合物(n)からフルオロアルキルアイオダイド(2)を分離する工程(d)を有する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
前記反応混合物(2)または前記反応混合物(n)からフルオロアルキルアイオダイド(2)を分離した後、フルオロアルキルアイオダイド(1)を第1段反応ステップでのフルオロアルキルアイオダイド(1)として使用する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
前記フルオロアルキルアイオダイド(1)の反応率が1.8〜5%であり、かつ、炭素数8以上のフルオロアルキルアイオダイドの選択率が6%以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【背景技術】
【0002】
フルオロアルキルアイオダイド(以下、R
fIとも表記する)は、撥水・撥油性ラテックスを構成するアクリル酸フルオロアルキルエステルの合成原料、フッ素系界面活性剤の合成原料などの合成原料として有用である。
【0003】
最近、EPA(米国環境保護庁)によって、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基(以下、パーフルオロアルキル基をR
F基とも表記する。)を有する化合物は、環境、生体中で分解し、分解生成物が蓄積するおそれがある点、すなわち環境負荷が高いおそれがある点が指摘されている。そのため、炭素数が8以上のR
f基を有する化合物をできるだけ減らすことが要求されている。
【0004】
フルオロアルキルアイオダイドは、その用途によっても異なるが、撥水・撥油性を得るために望まれるR
fの炭素鎖長は、通常C4以上である。このような炭素鎖長のR
FIの製造には、短鎖R
fIをテロゲン(telogen)とし、タキソゲン付加による鎖長伸長すなわちテロメル化反応(Telomerization)が利用される。タキソゲン(taxogen)としては、通常テトラフルオロエチレンCF
2CF
2(以下、TFEとも表記する)が使用され、したがってテロマー(telomer)のフルオロアルキルアイオダイドR
FIは、R
f(CF
2CF
2)
nI(nは重合度)として得られる。出発原料のテロゲンR
fIは、代表的にC
2F
5Iであり、テトラフルオロエチレンとIF
5とI
2とから合成される。
【0005】
上記テロメル化反応の単純な実施では、主としてテロゲンとタキソゲンとの1:1付加体が生成し、より高度に鎖長伸長されたテロマーはわずかしか得られない。このテロメル化反応に過酸化物などのフリーラジカル発生触媒を使用すれば、C6〜C12のR
FIの生成効率を高められることが知られている(特許文献1など参照)。該公報には、C
2F
5IとC
4F
9Iとの混合物テロゲンの使用も開示される。ここでの反応は、一段階で実施される液相反応である。
【0006】
上記フリーラジカル発生による反応以外にも、テロメル化反応として、レドックス系を利用する触媒反応あるいは熱的反応が知られている。炭素数が8以上の化合物を減らすためには、所望の特性を得るための特定鎖長範囲の狭い分布をもつか、あるいは単一鎖長のテロマーの生成が望まれる。しかし、上記いずれの方法も、単一鎖長に対する選択性は低く、鎖長制御は困難であり、鎖長分布の広いテロマー混合物が得られる。
【0007】
上記のうち、テロゲンおよびタキソゲンを気相で反応させる熱的反応では、テロゲン/タキソゲン比を大きくすれば、C14を超える長鎖テロマーの生成割合を低減できることが知られている。この気相反応において、長鎖テロマーの生成割合を低減するために、タキソゲンTFEを管型反応器の入口および別の場所から分けて供給する連続的プロセスも提案されている(たとえば特許文献2参照)。該公報には、逐次生成するC4、C6鎖長のテロマーを出発原料C2とともにテロゲンとして用いれば、出発原料C2単独テロゲンの場合に比べて鎖長分布が狭まることも開示されている。
【0008】
さらに上記気相の熱的テロメル化反応において、炭素鎖長の選択性を改善するために、最終鎖長より短いテロマーを反応器の所定帯域に循環することが提案されている(たとえば特許文献3参照)。
【0009】
上記のような気相テロメル化反応によれば、鎖長分布の比較的狭いフルオロアルキルアイオダイドテロマーを得ることができるが、原料タキソゲンあるいは循環テロマーの反応器への導入など、極めて限定された条件での実施が求められる。また、気相反応であるが故に反応中に発生するフルオロアルキルラジカルのカップリングによるパーフルオロアルキル化合物が不純物として生成するという課題が付随する。
【0010】
一方、触媒を用いる液相反応は、本質的に上記気相反応に比べて反応温度が低いことから、エネルギー的利点があり、また熱的に不安定なタキソゲン(TFE)が分解しにくい利点がある。この液相反応を細長い円筒状反応空間で行い、円筒状反応空間を出た反応混合物を分離し、反応の進行したテロマーを抜出す一方、所望鎖長に達しないテロマーおよび反応原料を反応系の最初に循環させる方法が開示されている(特許文献4参照)。特許文献4には、C8鎖長以上のテロマーの生成割合を改善できたことが示されている。また、上記循環により廃ガスを低減することができる。
【0011】
また、液相反応において、初期原料テロゲンとTFEとの反応混合物を3つのフラクションに分離し、TFEの重合度が所望重合度より1だけ低い2つめのフラクションを第2の反応器で反応させる方法が提案されている(特許文献5参照)。この方法では、2段反応により所望重合度以上のテロマー混合物を得ている。2つの反応器はいずれも特別な反応器を必要とせず、それぞれオートクレーブなどで実施している。
【0012】
上記のような液相法によるテロメル化反応は、気相法に対し、操作面およびエネルギー面で利点があり、またパーフルオロアルキル化合物などの不純物の副生のない点でも有利である。液相法によるテロメル化反応により、所望鎖長以上のテロマーを得ることはできるが、鎖長制御は困難で、特に、所望の炭素鎖長よりも長鎖テロマーの生成を抑制することは困難である。鎖長制御しうるものとして公知の反応方法を適用しても、鎖長分布の広いテロマーが得られるのが実情である。また連続運転においては、反応生成物から未反応物を極力抜き出せば鎖長制御されたテロマーを得ることはできるが、それにより生産効率は著しく低下する。このように、液相法によるテロメル化プロセスにより、所望の鎖長に狭い分布をもつフルオロアルキルアイオダイドテロマー、特に目的とする単一炭素鎖長のフルオロアルキルアイオダイドテロマーを製造効率よく得ることは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、環境負荷の小さいフルオロアルキルアイオダイドを選択的に、かつ効率的に製造するフルオロアルキルアイドダイドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以下の構成を有するフルオロアルキルアイオダイドの製造方法を提供する。
[1]下記式(1)で表されるフルオロアルキルアイオダイド(1)とテトラフルオロエチレンをラジカル開始剤存在下で反応させて下記式(2)で表されるフルオロアルキルアイオダイド(2)を製造する方法において、
R
fI ・・・(1)
R
fCF
2CF
2I ・・・(2)
(ただし、R
fは、炭素数が4以下のフルオロアルキル基を表す。)
フルオロアルキルアイオダイド(1)にテトラフルオロエチレンとラジカル開始剤とを供給して反応させる第1段反応ステップと、第1段反応ステップで生成した反応混合物(1)にラジカル開始剤またはラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンとを供給して反応させる第2段反応ステップによりフルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)とを含有する反応混合物(2)を製造すること、
各反応ステップにおけるテトラフルオロエチレンの最大存在量を、フルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)の合計モル数に対して0.01〜10モル%の範囲に維持すること、
各反応ステップにおけるラジカル開始剤の最大存在量を、フルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)の合計モル数に対して、0.0005〜0.5モル%とすること、
第2段反応ステップ終了後における反応混合物中(2)におけるフルオロアルキルアイオダイド(1)の反応率を10%以下とすること
を特徴とするフルオロアルキルアイオダイド(2)の製造方法。
[2]下記式(1)で表されるフルオロアルキルアイオダイド(1)とテトラフルオロエチレンをラジカル開始剤存在下で反応させて下記式(2)で表されるフルオロアルキルアイオダイド(2)を製造する方法において、
R
fI ・・・(1)
R
fCF
2CF
2I ・・・(2)
(ただし、R
fは、炭素数が4以下のフルオロアルキル基を表す。)
フルオロアルキルアイオダイド(1)にテトラフルオロエチレンとラジカル開始剤とを供給して反応させる第1段反応ステップと、前段の反応ステップで生成した反応混合物(n−1)にラジカル開始剤またはラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンとを供給して反応させる次段の反応ステップを(n−1)回(ただしnは3以上の整数)繰り返すことからなる、合計n回の反応ステップによりフルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)とを含有する反応混合物(n)を製造すること、
各反応ステップにおけるテトラフルオロエチレンの最大存在量を、フルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)の合計モル数に対して0.01〜10モル%の範囲に維持すること、
各反応ステップにおけるラジカル開始剤の最大存在量を、フルオロアルキルアイオダイド(1)とフルオロアルキルアイオダイド(2)の合計モル数に対して、0.0005〜0.5モル%とすること、
第n段の反応ステップ終了後における反応混合物(n)中におけるフルオロアルキルアイオダイド(1)の反応率を10%以下とすること
を特徴とするフルオロアルキルアイオダイド(2)の製造方法。
[3]各反応ステップの前に、フルオロアルキルアイオダイド(1)および/またはフルオロアルキルアイオダイド(2)、テトラフルオロエチレン、ラジカル開始剤を攪拌機にて混合する工程を有する[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]反応混合物(2)または第n段の反応ステップ終了後における反応混合物(n)からフルオロアルキルアイオダイド(2)を分離する工程を有する[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]各反応ステップの反応温度が、40〜120℃である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記反応混合物(2)または前記反応混合物(n)からフルオロアルキルアイオダイド(2)を分離した後、フルオロアルキルアイオダイド(1)を第1段反応ステップでのフルオロアルキルアイオダイド(1)として使用する[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記フルオロアルキルアイオダイド(1)が、C
4F
9I、またはC
4F
9IとC
2F
5Iの混合物である、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記フルオロアルキルアイオダイド(2)が、C
6F
13Iである、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]前記ラジカル開始剤が、含フッ素過酸化物である、[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]前記フルオロアルキルアイオダイド(1)の反応率が1.8〜5%であり、かつ、炭素数8以上のフルオロアルキルアイオダイドの選択率が6%以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、所望の重合度のフルオロアルキルアイオダイド(2)を、選択率が高く、かつ生産性が高く、製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書においては、フルオロアルキルアイオダイド(1)を化合物(1)と記す。同様に、フルオロアルキルアイオダイド(2)を化合物(2)と記す場合がある。また、本明細書におけるR
f基は、アルキル基の水素原子の一部またはすべてがフッ素原子に置換された基であり、R
F基は、アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子に置換された基である。
【0019】
図1は、フルオロアルキルアイオダイドの製造装置の一例を示す構成図である。製造装置10は、化合物(1)、テトラフルオロエチレンとラジカル開始剤を含む混合液1を調製し、化合物(1)にテトラフルオロエチレンを付加させて化合物(2)を含む反応混合物(1)を得る反応器12と、反応混合物(1)、テトラフルオロエチレンとラジカル開始剤を含む混合液2を調製し、化合物(1)にテトラフルオロエチレンを付加させて化合物(2)を反応混合物(1)より多く含む反応混合物(2)を得る反応器14と、反応混合物(2)、テトラフルオロエチレンとラジカル開始剤を含む混合液3を調製し、化合物(1)にテトラフルオロエチレンを付加させて化合物(2)を反応混合物(2)より多く含む反応混合物(3)を得る反応器16と、反応混合物(3)、テトラフルオロエチレンとラジカル開始剤を含む混合液4を調製し、化合物(1)にテトラフルオロエチレンを付加させて化合物(2)を反応混合物(3)より多く含む反応混合物(4)を得る反応器18と、反応器12に化合物(1)を供給する化合物(1)供給流路20と、反応器12にテトラフルオロエチレンを供給するテトラフルオロエチレン供給流路22と、反応器12にラジカル開始剤を供給するラジカル開始剤供給流路24と、反応器12内の反応混合物(1)を反応器14に供給する反応混合物(1)供給流路26と、反応器14にテトラフルオロエチレンを供給するテトラフルオロエチレン供給流路28と、反応器12にラジカル開始剤を供給するラジカル開始剤供給流路30と、反応器14内の反応混合物(2)を反応器16に供給する反応混合物(2)供給流路32と、反応器16にテトラフルオロエチレンを供給するテトラフルオロエチレン供給流路34と、反応器16にラジカル開始剤を供給するラジカル開始剤供給流路36と、反応器16内の反応混合物(3)を反応器18に供給する反応混合物(3)供給流路38と、反応器18にテトラフルオロエチレンを供給するテトラフルオロエチレン供給流路40と、反応器18にラジカル開始剤を供給するラジカル開始剤供給流路42と、反応器18内の反応混合物(4)を排出する反応混合物(4)排出流路44とを具備する。
【0020】
反応器12、反応器14、反応器16、反応器18は、撹拌機を備えたオートクレーブである。
【0021】
なお、フルオロアルキルアイオダイドの製造装置は、図示する例のものに限定はされない。
【0022】
たとえば、反応器として、管型反応器を用いてもよい。管型反応器の断面形状は、円形もしくは円形状に限定されず、楕円形状、角形状等であってもよい。管型反応器は、単管式であってもよい。管型反応器は、反応管の軸方向が垂直方向となるように設置されなくてもよい。管型反応器内に充填物を装填してもよい。充填物の材料としては、耐腐食性のものが好ましく、金属であってもよく、樹脂であってもよい。充填物は、不規則充填物でもよく、規則充填物であってもよい。
【0023】
また、反応器は、それぞれ独立したものでもよく、反応器内で複数に分割されていてもよい。さらに、フルオロアルキルアイオダイドの製造装置として、特許文献1に記載の製造装置を用いてもよい。
【0024】
<フルオロアルキルアイオダイドの製造方法>
つぎに、製造装置10を用いたフルオロアルキルアイオダイドの製造方法について説明する。
本発明のフルオロアルキルアイオダイド製造方法は、下記の工程(a)〜(d)を経て製造される。さらに、下記の工程(e)を有することが好ましい。
【0025】
工程(a):化合物(1)、テトラフルオロエチレンおよびラジカル開始剤を含む混合液を得る工程。
【0026】
工程(b):工程(a)で得られた混合液を反応させる第1段反応ステップによって、化合物(2)を含有する反応混合物(1)を得る工程。
【0027】
工程(c):工程(b)で得られた反応混合物(1)に、ラジカル開始剤またはラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンとを供給して反応させる次段の反応ステップを(n−1)回(ただしnは2または3以上の整数)繰り返すことからなる、合計n回の反応ステップにより化合物(1)と化合物(2)とを含有する反応混合物(n)を製造する工程。
【0028】
工程(d):反応混合物(2)または第n段の反応ステップ終了後における反応混合物(n)から化合物(2)を分離する工程。
【0029】
工程(e):前記反応混合物(2)または前記反応混合物(n)から化合物(2)を分離した後、化合物(1)を第1段反応ステップでの化合物(1)として使用する工程。
【0030】
工程(a):
化合物(1)、テトラフルオロエチレンおよびラジカル開始剤を混合する方法として、攪拌機を有する反応器、ラインミキサー、ポンプ循環などが挙げられる。
【0031】
化合物(1)、テトラフルオロエチレンおよびラジカル開始剤の混合は、均一に分散させることが選択率を高めるため、反応前に攪拌機を用いて混合する工程を有することが好ましい。
【0032】
工程(a)における滞留時間は、30分以下が好ましく、20分以下がより好ましく、5〜20分が特に好ましい。
【0033】
混合温度は、ラジカル開始剤が分解されない温度が好ましい。具体的には、−20〜100℃が好ましい。
【0034】
化合物(1)において、R
fは、炭素数が4以下、好ましくは炭素数が2〜4のポリフルオロアルキル基であり、直鎖であっても分岐があってもよく、直鎖のパーフルオロアルキル基であるのが好ましい。化合物(1)は、目的とする化合物(2)の炭素鎖長に応じて選択すればよい。目的とする化合物(2)が、C
6F
13Iであるとき、化合物(1)はC
4F
9Iであってもよく、またはC
4F
9IとC
2F
5Iの混合物であってもよい。
【0035】
混合液中の化合物(1)とテトラフルオロエチレンとのモル比(化合物(1)/テトラフルオロエチレン)は、1以上が好ましい。テトラフルオロエチレンは、通常、化合物(1)に対して等モル以上に溶解することはないため、化合物(1)/テトラフルオロエチレンが1以上であれば、化合物(1)にテトラフルオロエチレンが飽和濃度以下で溶解することになり、工程(b)において気液分離しにくくなる。テトラフルオロエチレンの供給量は、化合物(1)のモル数に対して、0.01〜10モル%であり、0.05〜10モル%がより好ましく、0.1〜5モル%が特に好ましい。
【0036】
ラジカル開始剤としては、10時間半減期温度が40℃以下のラジカル開始剤が好ましい。ラジカル開始剤の10時間半減期温度が40℃以下であれば、化合物(2)をさらに高い選択率で、かつ高い生産性で得ることができる。また、ラジカル開始剤の10時間半減期温度は、−20℃以上が好ましく、より好ましくは0〜40℃である。例えば、ラジカル開始剤は、過酸化物、アゾ化合物など種々の開始剤を用いることができる。具体的には、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、(C
2F
5COO)
2、(C
4F
9COO)
2、(C
6F
13COO)
2、(C
8F
17COO)
2が挙げられる。特に、ラジカル開始剤としては、副生成物を低減する効果があることから含フッ素過酸化物が好ましい。
【0037】
ラジカル開始剤の量は、化合物(1)に対して、0.0005〜0.5モル%が好ましく、0.001〜0.1がより好ましく、0.001〜0.05モル%が特に好ましい。
【0038】
ラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンの供給方法は、一括添加であっても、連続添加であってもよい。
【0039】
工程(b):
本発明における第1段反応ステップは、前記工程(a)の混合工程と同時に実施してもよく、それぞれ独立に実施してもよい。第1段反応ステップでは、工程(a)で得られた混合液中で化合物(1)にテトラフルオロエチレンを付加させ化合物(2)を得ることができる。反応温度は、ラジカル開始剤の10時間半減期温度より好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上高い温度が好ましい。該温度であれば、ラジカルが多数発生するため目的とする化合物(2)をより高い選択率で得ることができる。反応温度としては、具体的には、40〜120℃が好ましく、50〜100℃がより好ましく、50〜90℃が特に好ましい。
【0040】
反応時間は、混合液中のテトラフルオロエチレンが反応に寄与し、消費されるに十分な時間が好ましい。具体的には、5〜60分が好ましく、10〜40分がより好ましい。
【0041】
工程(b)において、管型反応器を用いる場合、混合液が気液分離しないように制御することが好ましい。気液分離しないように制御するには、例えば、反応原料であるフルオロアルキルアイオダイドおよびテトラフルオロエチレンを予め均質な液状混合物として該管型反応器に供給し、反応系を気液分離しない条件下に液相状態に保持しつつ、反応器内に供給されたテトラフルオロエチレンを実質的に反応器内で消費させる方法が挙げられる。混合液が気液分離する場合、形成される気相部は、混合液に溶解できないテトラフルオロエチレンである。よって、気相部が形成されてしまうと、気相部との界面付近の液相部にテトラフルオロエチレンが偏在することになり、該界面付近の液相部にて化合物(2)とテトラフルオロエチレンとのテロメル化反応が進行し、化合物(2)より鎖長の長いフルオロアルキルアイオダイドが生成しやすく、化合物(2)の選択率が低下してしまう。一方で、混合液が気液分離しなければ、テトラフルオロエチレンが混合液中に存在するため、化合物(1)とテトラフルオロエチレンとのテロメル化反応が優先的に進行するため、鎖長の長いフルオロアルキルアイオダイドが生成しにくく、化合物(2)の選択性が向上する。
【0042】
工程(c):
第2段反応ステップは、工程(b)で得られた反応混合物(1)に、ラジカル開始剤またはラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンとを供給して反応させることで、反応混合物(1)よりも化合物(2)の含有割合が高い反応混合物(2)を得ることができる。
【0043】
第2段反応ステップ終了後における反応混合物中における化合物(1)の反応率は、目的とする化合物(2)以上の鎖長の増加を抑えるため、10%以下であり、1〜8%が好ましく、1〜5%がより好ましい。化合物(1)の反応率が、10%以上であると、化合物(2)とテトラフルオロエチレンの付加反応が生じ、選択性が低下する。
【0044】
また、次n段反応ステップは、工程(b)で得られた反応混合物(1)に、ラジカル開始剤またはラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンとを供給して反応させる次段の反応ステップを(n−1)回(ただしnは3以上の整数)繰り返すことで、反応混合物(n−1)よりも化合物(2)の含有割合が高い反応混合物(n)を得ることができる。
【0045】
前段の反応ステップで生成した反応混合物にラジカル開始剤またはラジカル開始剤とテトラフルオロエチレンとを供給して反応させる次段の反応ステップを繰り返す回数は、3回以上が好ましく、3〜12回がより好ましく、3〜8回が特に好ましい。反応ステップを繰り返す回数が3以上であれば、化合物(2)の選択率、生産性が向上する。
【0046】
また、各反応ステップの前に、工程(a)と同様に、化合物(1)および/または化合物(2)、テトラフルオロエチレン、ラジカル開始剤を攪拌機にて混合する工程を有することが好ましい。
【0047】
第n段反応ステップ終了後における反応混合物中における化合物(1)の反応率は、目的とする化合物(2)以上の鎖長の増加を抑えるため、10%以下であり、1.6〜8%が好ましく、1.8〜5%がより好ましい。化合物(1)の反応率が、10%以上であると、化合物(2)とテトラフルオロエチレンの付加反応が生じ、選択性が低下する。
【0048】
各反応ステップにおける反応温度は、40〜120℃が好ましく、50〜100℃がより好ましく、50〜90℃が特に好ましい。
【0049】
各反応ステップにおける反応時間は、5〜60分が好ましく、10〜40分がより好ましい。
【0050】
各反応ステップにおけるテトラフルオロエチレンの最大存在量は、化合物(1)と化合物(2)の合計モル数に対して0.01〜10モル%の範囲に維持する。さらに好ましい範囲として、0.05〜10モル%がより好ましく、0.1〜5モル%が特に好ましい。テトラフルオロエチレンの最大存在量が、10モル%以上となると、生成した化合物(2)にさらにテトラフルオロエチレンが反応しやすくなり、選択性が低下してしまう。テトラフルオロエチレンの総供給量は、化合物(1)と化合物(2)の合計モル数に対して、0.02〜10モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましく、0.2〜5モル%が特に好ましい。
【0051】
各反応ステップでは、そのステップの反応器内に存在するテトラフルオロエチレンはすべて反応しなくてもよい。未反応のテトラフルオロエチレンは反応混合物中の成分として次の反応ステップの反応器に送られる。したがって、次の反応ステップの反応器にはテトラフルオロエチレンを供給することなく、この未反応のテトラフルオロエチレンを反応させることができる。例えば、第1段反応ステップの反応器のみにテトラフルオロエチレンを供給し、第2段反応ステップ以降はテトラフルオロエチレンを反応器に供給することなく、化合物(2)を生成させることができる。
【0052】
各反応ステップにおけるテトラフルオロエチレンの最大存在量とは、この未反応のテトラフルオロエチレンと当該反応ステップの反応器に供給されたテトラフルオロエチレンの合計量をいう。当該反応ステップでは、テトラフルオロエチレン供給後反応開始までの間が、当該反応ステップにおけるテトラフルオロエチレンの存在量が最大となる時点である。
【0053】
ラジカル開始剤の最大存在量は、各反応ステップにおいて、化合物(1)と化合物(2)の合計モル数に対して、0.0005〜0.5モル%である。0.001〜0.1モル%がより好ましく、0.001〜0.05モル%が特に好ましい。一般に、テロメル反応においてラジカル開始剤が多いと生産性および選択性が向上することが知られているが、過剰のラジカル開始剤は開始剤の使用効率が低下してしまうため、生産性が低下する。
【0054】
ラジカル開始剤の総供給量は、化合物(1)と化合物(2)の合計モル数に対して、0.001〜0.5モル%が好ましく、0.002〜0.1モル%がより好ましく、0.002〜0.05モル%が特に好ましい。
【0055】
各反応ステップでは、そのステップの反応器内に存在するラジカル開始剤はすべて反応しなくてもよい。未反応のラジカル開始剤は反応混合物中の成分として次の反応ステップの反応器に送られる。したがって、次の反応ステップの反応器
ではこの未反応のラジカル開始剤を反応させることができる。通常の反応では生成する反応混合物中の未反応のラジカル開始剤の量は少ないことより、各反応ステップの反応器にはそれぞれラジカル開始剤を供給す
る。各反応ステップにおけるラジカル開始剤の最大存在量とは、この未反応のラジカル開始剤と当該反応ステップの反応器に供給されたラジカル開始剤の合計量をいう。当該反応ステップでは、ラジカル開始剤供給後反応開始までの間が、当該反応ステップにおけるラジカル開始剤の存在量が最大となる時点である。
【0056】
工程(c)終了後、目的とする化合物(2)を高い選択率で得ることができる。例えば、化合物(2)がC
6F
13Iである場合、炭素数8以上のフルオロアルキルアイオダイドの生成を抑制でき、C
6F
13Iの生成量(モル)に対する炭素数8以上のフルオロアルキルアイオダイドの生成量(モル)の比率(100分率)である、(C8+/C6)×100%を10%以下とすることが好ましく、6%以下が特に好ましい。
本発明において、C
6F
13Iの生成量(モル)に対する炭素数8以上のフルオロアルキルアイオダイドの生成量(モル)の比率(100分率%)である、(C8+/C6)×100%を、炭素数8以上のフルオロアルキルアイオダイドの選択率ともいう。
本発明において、化合物(1)であるフルオロアルキルアイオダイド(1)の反応率が1.8〜5%であり、かつ、炭素数8以上のフルオロアルキルアイオダイドの選択率が6%以下であるのが特に好ましい。
【0057】
工程(d):反応混合物(2)または第n段の反応ステップ終了後における反応混合物(n)から化合物(2)を分離するには、蒸留、分液、または抽出などを目的に応じ適宜用いることができる。なかでも、反応混合物(n)を蒸留することで、未反応の化合物(1)、生成した化合物(2)および副生成物を分離することが好ましい。
【0058】
工程(e):
前記反応混合物から化合物(2)を分離した後、化合物(1)を第1段反応ステップでの化合物(1)として使用することが、生産性、コストの面から好ましい。
【0059】
本発明においては、工程(a)〜工程(e)をそれぞれ連続運転することが好ましく、工程(a)〜工程(e)を接続した連続プロセスで行うことが特に好ましい。
【0060】
化合物(2)をさらに鎖長伸長し、最終的に炭素鎖長の長いフルオロアルキルアイオダイドを得る場合は、工程(a)〜工程(e)を1サイクルとし、前サイクルの化合物(2)を次サイクルの化合物(1)として用いながら、該サイクルを繰り返し行えばよい。
【0061】
回収された化合物(2)は、たとえば、アクリル酸フルオロアルキルエステルのアルコール成分の原料として用いる。化合物(2)としては、下記の利点を有することから、C
6F
13Iが好ましい。
(i)アクリル酸フルオロアルキルエステルの(共)重合体を含む撥水撥油剤が、基材の風合いを保ちつつ、基材に撥水性を付与でき、また、低温での基材付着性(低温キュア性)が良好である。
(ii)アクリル酸フルオロアルキルエステルの重合時の乳化安定性が良好である。
(iii)炭素数が6以下のフルオロアルキル化合物は、炭素数が8以上のフルオロアルキル化合物に比べ、生分解性等の環境適応性が良好である。
アクリル酸フルオロアルキルエステルは、公知方法によって製造できる。
【0062】
得られるアクリル酸フルオロアルキルエステルとしては、たとえば、下記化合物(A)が挙げられ、下記化合物(A−1)が好ましい。
【0063】
CH
2=CZCOO(C
2H
4)
yCF
2CF
2R
f ・・・(A)、
CH
2=CZCOOC
2H
4CF
2CF
2R
f ・・・(A−1)。
【0064】
ただし、Zは、H、CH
3、C
2H
5、Cl、FまたはBrであり、yは、1以上の整数である。
【0065】
以上説明した本発明のフルオロアルキルアイオダイドの製造方法にあっては、2以上の反応ステップを繰り返すことで、化合物(2)を高い選択率で、かつ高い生産性で得ることができる。
【0066】
すなわち、反応ステップにおけるテトラフルオロエチレンの最大存在量を低くすることで化合物(1)とテトラフルオロエチレンが繰り返し反応することを抑制し、重合度の選択率を高めることができる。また、ラジカル開始剤の最大存在量を低く抑えることで、発生したラジカル同士が相互に反応することを抑制し、反応効率を高め、生産性を高めることができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0068】
例1〜5、例10〜12は実施例であり、例6〜9、例13、例14は比較例である。
【0069】
反応器から排出される混合液について、ガスクロマトグラフにより組成分析を行い、下記のようにしてC8+/C6(%)、C
4F
9I反応率を求めた。
【0070】
<C8+/C6(%)>
組成分析の結果を用い、下式からC8+/C6(%)を求めた。
【0071】
C8+/C6(%)=(C
8F
17I(モル)+C
10F
21I(モル)+・・・)/C
6F
13I(モル)×100
<C
4F
9I反応率>
反応器出口流量値と組成分析の結果、下式からC
4F
9I反応率を求めた。
【0072】
C
4F
9I反応率(%)=[1−{C
4F
9I出口濃度(g/g)×出口流量(g/分)}/{C
4F
9I入口濃度(g/g)×入口流量(g/分)}]×100。
【0073】
〔例1〕
撹拌機付きオートクレーブ1(ステンレス製、容積:1L)に、化合物(1)としてC
4F
9Iを流速25mL/分、CF
2=CF
2(テトラフルオロエチレン)を流速0.10g/分、(C
2F
5COO)
2(10時間半減期温度:28℃)を流速0.0065ミリモル/分で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ内の温度は70℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、20分とした。得られた反応混合物(1)は、化合物(2)であるC
6F
13Iを含んでいた。テトラフルオロエチレンおよび(C
2F
5COO)
2の供給量は、C
4F
9Iに対して、それぞれ0.65モル%、0.00425モル%であった。
【0074】
オートクレーブ1の底部から反応混合物(1)を抜き取り、撹拌機付きオートクレーブ2(ステンレス製、容積:1L)に、流速25mL/分で供給し、CF
2=CF
2(テトラフルオロエチレン)を流速0.10g/分、(C
2F
5COO)
2(10時間半減期温度:28℃)を流速0.0065ミリモル/分で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ内の温度は70℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、20分とし、化合物(2)であるC
6F
13Iを含む反応混合物(2)を得た。テトラフルオロエチレンおよび(C
2F
5COO)
2の供給量は、混合液中のテロマーの合計に対して、それぞれ0.65モル%、0.00425モル%であった。
【0075】
オートクレーブ2の底部から反応混合物(2)を抜き取り、組成分析を行い、C
4F
9I反応率、C8+/C6(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0076】
〔例2〜5〕
反応ステップの繰り返し回数(n)および各反応ステップにおけるテトラフルオロエチレン、(C
2F
5COO)
2の供給量を表1に示す量に変更した以外は、例1と同様にしてC
6F
13Iを含む反応混合物(n)を製造した。第3段反応ステップ以降の反応器としては、例1のオートクレーブ2と同様の撹拌機付きオートクレーブを使用し、表1に示す反応条件以外は、例1の第2段反応ステップの反応と同様の条件で反応を行った。
最終ステップでの反応器から排出される反応混合物(n)について、組成分析を行い、C8+/C6(%)、C
4F
9I反応率を求めた。結果を表1に示す。
【0077】
〔例6〕
撹拌機付きオートクレーブ1(ステンレス製、容積:1L)に、流速25mL/分で供給し、CF
2=CF
2(テトラフルオロエチレン)を流速0.20g/分、(C
2F
5COO)
2(10時間半減期温度:31℃)を流速0.013ミリモル/分で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ内の温度は70℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、20分とした。テトラフルオロエチレンおよび(C
2F
5COO)
2の量は、混合液中のテロマーの合計に対して、それぞれ1.30モル%、0.0085モル%であった。
オートクレーブ1の底部から反応混合物を抜き取り、組成分析を行い、C
4F
9I反応率、C8+/C6(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0078】
〔例7〜9〕
テトラフルオロエチレン、(C
2F
5COO)
2の供給量を表1に示す量に変更した以外は、例6と同様にしてC
6F
13Iを含む反応混合物を製造した。
オートクレーブ1の底部から排出される反応混合物について、組成分析を行い、C
4F
9I反応率、C8+/C6(%)を求めた。結果を表1に示す。
【0079】
〔例10〕
混合槽である、撹拌機付きオートクレーブ1(ステンレス製、容積:1L)に、C
4F
9Iを流速25mL/分、CF
2=CF
2(テトラフルオロエチレン)を流速0.20g/分で供給し、(C
2F
5COO)
2(10時間半減期温度:28℃)を流速0.013ミリモル/分で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ1内の温度は10℃とし、オートクレーブ1内における混合液の滞留時間は、10分とした。テトラフルオロエチレンおよび(C
2F
5COO)
2の供給量は、C
4F
9Iに対して、それぞれ1.30モル%、0.0085モル%であった。
【0080】
オートクレーブ1の底部から混合液のみを気相部がない状態で抜き取り、混合液を管型反応器1(単管式、容積:0.5L)の底部に供給した。
混合液が気液分離しないように、混合液を管型反応器1内の反応管の入口から出口に向かって流し、化合物(2)であるC
6F
13Iを含む反応混合物(1)を得た。反応管内の温度は、70℃とし、管型反応器1内における混合液の滞留時間は、20分とした。
【0081】
管型反応器1から反応混合物(1)を抜き取り撹拌機付きオートクレーブ2(ステンレス製、容積:1L)に、C
4F
9Iを流速25mL/分CF
2=CF
2(テトラフルオロエチレン)を流速0.16g/分で供給し、(C
2F
5COO)
2(10時間半減期温度:28℃)を流速0.013ミリモル/分で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ2内の温度は10℃とし、オートクレーブ2内における混合液の滞留時間は、10分とした。テトラフルオロエチレンおよび(C
2F
5COO)
2の供給量は、C
4F
9Iに対して、それぞれ1.02モル%、0.0085モル%であった。
【0082】
オートクレーブ2の底部から混合液のみを気相部がない状態で抜き取り、混合液を管型反応器2(単管式、容積:0.5L)の底部に供給した。
混合液が気液分離しないように、混合液を管型反応器2内の反応管の入口から出口に向かって流し、化合物(2)であるC
6F
13Iを含む反応混合物(2)を得た。反応管内の温度は、70℃とし、管型反応器2内における混合液の滞留時間は、20分とした。
管型反応器2の出口から反応混合物を抜き取り、組成分析を行い、C
4F
9I反応率、C8+/C6(%)を求めた。結果を表2に示す。
【0083】
〔例11〜12〕
反応ステップの繰り返し回数(n)および各反応ステップにおける攪拌機付きオートクレーブに供給するテトラフルオロエチレン、(C
2F
5COO)
2の供給量を表2に示す量に変更した以外は、例4と同様にして、C
6F
13Iを含む反応混合物(n)を得た。
管型反応器から排出される反応混合物(n)液について、組成分析を行い、C
4F
9I反応率、C8+/C6(%)を求めた。結果を表2に示す
〔例13〕
混合槽である、撹拌機付きオートクレーブ(ステンレス製、容積:1L)に、C
4F
9Iを流速25mL/分CF
2=CF
2(テトラフルオロエチレン)を流速0.36g/分で供給し、(C
2F
5COO)
2(10時間半減期温度:28℃)を流速0.026ミリモル/分で供給し、撹拌機にて混合して混合液を調製した。オートクレーブ内の温度は10℃とし、オートクレーブ内における混合液の滞留時間は、10分とした。テトラフルオロエチレンおよび(C
2F
5COO)
2の供給量は、C
4F
9Iに対して、それぞれ2.32モル%、0.017モル%であった。
【0084】
オートクレーブの底部から混合液のみを気相部がない状態で抜き取り、混合液を管型反応器(単管式、容積:0.5L)の底部に供給した。
混合液が気液分離しないように、混合液を管型反応器内の反応管の入口から出口に向かって流し、化合物(3)であるC
6F
13Iを含む反応混合物を得た。反応管内の温度は、70℃とし、管型反応器内における混合液の滞留時間は、20分とした。
管型反応器から排出される反応混合物について、組成分析を行い、C
4F
9I反応率、C8+/C6(%)を求めた。結果を表2に示す。
【0085】
〔例14〕
攪拌機付きオートクレーブに供給するテトラフルオロエチレン、(C
2F
5COO)
2の供給量を表2に示す量に変更した以外は、例13と同様にして、C
6F
13Iを含む反応混合物を得た。
管型反応器から排出される反応混合物について、組成分析を行い、C
4F
9I反応率、C8+/C6(%)を求めた。結果を表2に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】