【実施例1】
【0015】
本発明の実施の形態の動作を、主として、半導体デバイス、リソグラフィマスク、およびフラットパネルディスプレイを加工するために用いられるプロセス等の、電子デバイス製造プロセスの文脈で、以下説明する。更に、説明の大半は、プロセスの特性として温度を測定する用途について行う。しかし、言うまでもなく本発明による実施の形態は、プロセスの特性を計測するために用いられるとともに、温度の関数であり、加工の条件における時間的な及び/あるいは空間的な変動に左右される加工品の基本的にはあらゆるプロセスの段階に適用可能な応答モデルを生成ずるために用いられる。本発明の実施の形態は温度測定に限定されず、また電子デバイス製造用途にも限定されない。以下の図の説明では、図面間で共通な、実質的に同一の要素または段階を指す場合に同一の数字を用いる。
【0016】
本発明の一実施の形態によるセンサ装置100のブロック図を示す
図1を参照する。センサ装置100は、加工品を加工するためのパラメーターデータを測定できるように構成される。センサ装置100には、ベース110、ベースの上または中に支持されるセンサ、好ましくは複数のセンサ120、および電子回路モジュール130が含まれる。電子回路モジュール130には、電子構成部品134、および電子回路モジュール支持構造138が含まれる。好ましい実施の形態では、電子構成部品134には、情報プロセッサおよび情報プロセッサの動作にとって必要になるかもしれない付加的な電子構成部品が収容される。一般に、電子回路モジュール130には、情報プロセッサ用の電源が収容される。電子回路モジュール130には、例えば、無線通信のための構成部品等の、情報を送受信するための構成部品も収容される。電子回路モジュール130は、電子回路モジュールの構成部品を相互接続し、電子回路モジュールを少なくとも一個のセンサ、または複数センサ120に接続するためのプリント回路基板を備えるのが好ましい。センサ120は、センサ120の生成信号が情報プロセッサへの入力として供給できるように、情報プロセッサと接続されている。言いかえると、本発明の一実施の形態は、電子回路モジュールの構成部品を相互接続するとともに、電子回路モジュールをセンサ120に接続する方法を用いて得られる電子回路モジュールである。
【0017】
選択的に、半導体を加工する用途での本発明のいくつかの実施の形態では、ベース110が半導体ウェーハを備える。同様に、フラットパネルディスプレイ用途でのベース110は、フラットパネルディスプレイ基板を;リソグラフィマスク用途でのベース110は、リソグラフィマスク基板を備えることができる。好ましい実施の形態では、ベース110は、半導体ウェーハ、リソグラフィマスク基板、およびフラットパネルディスプレイ基板等の構造である。一般に、ベース110は、実質的に加工品と類似するよう構成され、より好ましくは、ベース110が加工品を備える。
【0018】
センサ120は、加工および加工ツールを代表する幾つかの基本的かつ局部的なプロセスパラメータに比例する電気信号を提供するように設計される。半導体プロセス、およびフラットパネルディスプレイプロセス等の用途に対して重要なプロセスパラメータの例には、温度、反り、応力/歪み、エッチングレート、堆積率、高周波(RF)帯域、プラズマ電位、熱流束、イオン束、光等の電磁束、および、温度の関数であるか、またはセンサ装置の温度により影響される、任意のプロセスパラメータが含まれる。
【0019】
典型的なセンサの種類の例には、温度測定用抵抗温度デバイス(RTD)センサ、温度測定用サーミスタ、プラズマ電位およびイオン束を測定するための定義領域プローブ、エッチングレートを測定するためのVander Pauwクロス、プラズマ電位を測定するための絶縁電界トランジスタ、およびイオン束およびRF帯域を測定するための電流ループが含まれる。センサの個数および種類は、特定用途およびプロセス要件に基づいて選択する。
【0020】
センサ装置を用いて温度を測定する場合、電子回路モジュールの存在が、測定対象である温度フィールドを歪ませる。ベース110から電子回路モジュールに流れ込むエネルギー量を減少させ、電子回路モジュールの熱容量を減少させ、そしてベース110と電子回路モジュール130との間の熱抵抗を増加させることにより、歪みを小さくさせることができる。電子回路モジュール130の熱容量の減少は、a)電子構成部品134に非常に小型の構成部品を用いることにより、モジュールの全体サイズを縮小して熱容量を減少させる、b)電子回路モジュール支持体138の表面積および厚さを小さくして、同じく熱容量を減少させる、c)電子回路モジュール支持体138に、気体を閉じ込めず、露出した構成部品の対流加熱を可能にする開口側面を設ける、ことにより実施できる。更に、電子構成部品134の対流加熱は、ベース110から直接引き出すエネルギー量を減少させる。ベース110と電子回路モジュール130との間の熱抵抗の増加は、a)電子回路モジュール支持体138と、ベース110との間の表面接触面積の減少、および接着剤の廃止、b)電子構成部品134と、電子回路モジュール支持体138との間の表面接触面積の減少、により実施できる。実際に、モジュールの歪みの影響を完全に除去することはできない。しかしながら、本発明の実施の形態により、歪みの影響を最小限に抑える方法および装置が提供される。
【0021】
本発明の一実施の形態では、電子回路モジュール支持構造138は、電子回路モジュール130の温度平衡のために、熱容量を小さくし、かつベース110に対する高い熱抵抗を有するように構成される。その結果、電子回路モジュール支持構造138は、電子構成部品134が温度平衡する時定数を最大化するよう構成する。熱質量が低くなるように電子回路モジュール130を構成すると、起こりうる温度歪みの振幅が最小化される。温度平衡の時定数を長くするよう電子回路モジュール130を構成すると、歪みの振幅が減少し、電子構成部品134が加熱される速度が低下する。この意義は、時定数を長くすることにより、初期の過渡的加熱段階におけるセンサ性能を改善できるとともに、典型的には、電子構成部品134が好ましくない高温に達する前に、測定サイクル全体を終えることができる点である。言いかえると、過渡的温度または温度関連情報が擾乱を実質的に受けないでいるように、温度歪みの影響が抑圧される、ということである。
【0022】
本発明の別の実施の形態では、電子回路モジュール支持構造138は、支持構造が以下の内の少なくとも一方を有するように構成する。すなわち測定値が電子回路モジュールの存在による擾乱を実質的に受けず、かつベースから電子回路モジュールへの熱伝達による損傷を電子回路モジュールが実質的に受けないようにする熱抵抗;およびセンサからの測定値が電子回路モジュールの存在により擾乱を実質的に受けないようにする熱質量。電子回路モジュールは、センサが行う測定の熱歪みを実質的に防ぐのに十分な、熱伝達特性および熱容量特性を有するように構成する。
【0023】
用途によっては、電子構成部品134の温度平衡のために長くした時定数に起因するベース110と電子回路モジュール130との間の高い熱抵抗による影響がある。より詳細には、電子回路モジュールは、ベース温度と異なる温度のままとなり、この温度差が用途によっては好ましくないことがある。本発明の代替の実施の形態では、電子回路モジュールが、ベースとの間で最小熱量を交換しつつ、ベース温度と実質的に同一の平衡温度に達するように、電子回路モジュールの特性を選択する。ある編成では、電子回路モジュールは、周囲ガスからの対流により熱を引き出せる。
【0024】
本発明の一実施の形態では、電子構成部品134には、電力を必要とする情報プロセッサと他の電子構成部品に電力を供給するバッテリとが含まれる。本発明の実施の形態での使用に適する市販バッテリのいくつかは、温度に敏感である。例えば、バッテリによっては高温で動作不能、つまりバッテリによっては、急速な温度変動により性能が低下する。電子構成部品134の他の要素が温度に敏感な場合もある。言いかえると、電子回路モジュール134の高温または急速な温度変化を避けることが、センサ装置技術では好ましい。温度平衡に対して長い時定数を有するように電子回路モジュール130を構成することは、電子構成部品134の温度感度に起因する問題のいくつかを軽減するのに役立つ。すなわち、電子回路モジュールが存在することによる測定の温度歪みを低下させるのに加えて、この利点は達成される。この意味は、温度に敏感なバッテリが緩やかに加熱、冷却されるだけとなるので、バッテリ寿命が長くなり、センサ装置の所有経費削減になるということでもある。
【0025】
本発明の一実施の形態によるセンサ装置140の上面図を示す
図2を参照する。センサ装置140には、ベース112、複数のセンサ120、電子回路モジュール130、およびセンサ120を電子回路モジュール130と接続するメタル配線142が含まれる。ベース112は、シリコンウェーハ等およびガリウムヒ素等の半導体ウェーハのほぼ全体を備える。センサ120および電子回路モジュール130はベース112上に支持される。ベース112、センサ120、および電子回路モジュール130は、
図1の実施の形態で説明したものと基本的に同一である。より詳細には、電子回路モジュール130は、温度平衡のために小さな熱質量および長い時定数を有するように構成される。
【0026】
本発明の実施の形態で、多様な構成を電子回路モジュールに用いてもよい。実施例のいくつかを
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8を参照して提示する。本発明の一実施の形態によるセンサ装置150の側面図を
図3に示す。センサ装置150は、ベース112、センサ120、ならびに電子回路モジュール支持構造152と電子構成部品155とを含む電子回路モジュールを含む。電子回路モジュール支持構造152は、ベース112上の電子構成部品155を支持するように示されている。言いかえると、支持構造152は、電子構成部品155をベース112から分離させ、かつベース112と電子構成部品155とを物理的に連結している。
【0027】
本発明の実施の形態では、支持構造152は、電子構成部品155のものと同様な電子構成部品を含まなくてもよい。その結果、ベース112に物理的に接触している電子回路モジュールの部分に、小さな熱容量を提供するように、小さな質量および小さな比熱容量を有するように支持構造152を構成するのが好ましい。支持構造152を、低い熱伝導度を有するように構成するとともに、熱伝達速度を下げるためにベース112との接触面積を狭くするように構成することにより、ベース112からの熱伝達速度を更に低下させる。好ましくは、支持構造152は、支持構造152とベース112との間の熱伝達接触抵抗が高くなるように構成される。すなわち、支持構造は、複数のセンサが測定する熱歪みを実質的に防ぐのに十分な熱伝達特性および熱容量特性を有するように構成される。言いかえると、本発明の好ましい実施の形態は、小さな質量、小さな比熱容量、低い熱伝導度、高い熱接触抵抗、およびベース112との狭い接触面積、を有するように構成された支持構造152を含む。
【0028】
本発明の一実施の形態によるセンサ装置160の側面図を示す
図4および
図5を参照する。センサ装置160は、ベース112、センサ120、ならびに電子構成部品157および電子回路モジュール支持構造159を含んだ電子回路モジュールを含む。ベース112およびセンサ120は、
図1の実施の形態で説明したものと基本的に同一である。
図4に示す実施の形態では、電子回路モジュールは二つの部分に分かれている。電子回路モジュール支持構造159は、支持構造159の一部がベース112の表面と物理的に接触し、支持構造159の別の部分がベース112の表面から離れて延在するように構成され、それにより、ベース112の表面から離れて延在する構造159の部分は、電子構成部品157をベース112の表面から離して支持できる。より好ましい実施の形態では、支持構造159および電子構成部品157をヒンジのような構成で連結し、それにより、電子構成部品157は、
図4に示すように開位置に設置でき、または
図5に示すように閉位置に移動できる。多様な構成を用いて、電子構成部品157と支持構造159との間のヒンジのような構成の連結を行うことができ、かかる構成は、本開示の観点からすれば当業者には明らかであろう。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態を
図6に、センサ装置162の側面図として示す。センサ装置162は、ベース112、センサ120、電子回路モジュール157、および電子回路モジュール支持構造164を含む。本実施の形態では、電子構成部品157のヒンジのような動きを、実質的に曲げられる構造として支持構造164を構成することにより達成する。言いかえると、電子構成部品157が閉位置から開位置に前後する等、第1位置から第2位置に移動できるよう、支持構造164は十分曲げられる。
【0030】
支持構造164の一部はベース112の表面に連結し、支持構造164の別の部分はベース112の表面から離れて延在し、それにより、支持構造164は、電子構成部品157をベース112の表面から離して保持する。好ましい実施の形態では、支持構造164は、市販のフレキシブル集積回路基板等の曲げられる回路基板を備える。支持構造164にフレキシブル回路基板を用いると、フレキシブル回路基板が電子構成部品157の物理的支持を提供できるように電子回路モジュールを構成でき、かつセンサ120からのメタル配線と電気接続することもできる。別の実施の形態では、支持構造164は、電子構成部品157と接続するための実質的に曲げられるリボンケーブルを含む。リボンケーブルは、電子構成部品157がベース112の表面から離れて浮揚できるよう十分な堅さがあるように構成される。リボンケーブルは、電子構成部品157間の相互電気接続、およびセンサ120との電気接続も提供する。更に別の実施の形態では、支持構造164は、フレキシブル回路基板とリボンケーブルとの組合せを含む。
【0031】
上記のように、本発明の好ましい実施の形態は、電子構成部品がベースに対して移動可能に接続されるように構成したセンサ装置である。より好ましい実施の形態では、開放可能なラッチ機構を用いて電子構成部品を閉位置で支持できる。言いかえると、閉位置で電子構成部品をラッチでき、または電子構成部品を開位置に移動できるようにラッチを開放できる。ラッチ166Aを含む本発明の実施の形態の側面図を示す
図7を参照して更にこれを説明する。より詳細には、
図7は、
図6に提示した実施の形態で説明したものと実質的に同一の、センサ装置162を示す。但し、支持構造164を有する代わりに、
図7の実施の形態では、電子回路モジュール157を閉位置にラッチするためのラッチ166Aを含むように構成した支持構造166を含む。
【0032】
次に、本発明の別の実施の形態の側面図を示す
図8を参照する。
図8は、ベース112、センサ120、電子回路モジュール支持構造169、およびフレキシブル回路基板170上の電子構成部品(
図8には不図示)、を含むセンサ装置162を示す。ベース112およびセンサ120は、
図6および
図7に示す実施の形態で提示したものと実質的に同一である。
図8の実施の形態での電子構成部品(
図8には不図示)は、支持構造169と物理的かつ電気的に接続されたフレキシブル回路基板170上に支持され、それにより、電子構成部品は、センサ120との電気接続を維持可能としながら、ベース112の表面から離れて浮揚する。
【0033】
電子回路モジュール支持構造169は、フレキシブル回路基板を備える。選択的に、支持構造169に含まれるフレキシブル回路基板は、電子構成部品のためのフレキシブル回路基板として機能することもできる。本発明の一実施の形態では、電子構成部品を搭載するために、かつ電子回路モジュール支持構造のために、単一で、連続し、曲げられるフレキシブル回路基板を用いることができる。
【0034】
次に、本発明の一実施の形態によるセンサ装置175の拡大側面図を示す
図9を参照する。
図9は、
図1で説明したものと実質的に同一の、ベース177の一部を示す。センサ装置175は複数のセンサも含む(
図9ではセンサは不図示)。センサ装置175は支持構造のフレキシブル回路基板180Aと、リボンケーブル180B等の短いリボンケーブルとを含むセンサ装置支持構造も含む。
図9は、電子構成部品192および電子構成部品194等の、一個以上の電子構成部品が搭載されている回路基板、好ましくはフレキシブル回路基板190、を有するセンサ装置175を示す。言うまでもなく、本発明の実施の形態は、フレキシブル回路基板190を剛体の回路基板で置換して構成してもよい。電子構成部品192は、バッテリ等の電源のような電子構成部品であってもよい。電子構成部品194は、マイクロプロセッサ等の情報プロセッサのような電子構成部品であってもよい。
【0035】
フレキシブル回路基板180Aはベース177の表面と物理的に接触し、リボンケーブル180Bは、フレキシブル回路基板190をベース177の表面から離して支持するために、ベース177の表面から離れて延在する。リボンケーブルは、フレキシブル回路基板190が、開位置等の第1位置から閉位置等の第2位置へ、可逆的に移動可能となるように十分曲げられるように構成する。支持構造のフレキシブル回路基板180Aは、回路基板190を閉位置に保持するためのラッチ168を更に含む。本発明の一実施の形態では、閉位置は、電子構成部品の内の少なくとも一つの上面が、ベース177の方を指し示すとともに、実質的にベース177の表面と平行になり、開位置は、少なくとも一個の電子構成部品の上面がベース177の表面と実質的に垂直になる。
【0036】
電子構成部品を、フレキシブル回路基板上に搭載して、電子構成部品間の相互接続を可能にするとともに、センサとの電気接続を可能にする。選択的に、本発明の実施の形態によっては、リボンケーブルを使用しなくてもよく、代わりに、フレキシブル回路基板により、支持構造のフレキシブル回路基板180Aと、フレキシブル回路基板190との間を接続できる。リボンケーブルを含む本発明の実施の形態では、リボンケーブルは、ベース177と、電子構成部品192および電子構成部品194等の電子構成部品との間の熱伝達の速度を最小限にするために、熱伝導に対して高い抵抗を提供するように構成すべきである。言いかえると、リボンケーブルは、回路基板190への熱伝達速度および熱伝達の量を最小限にするように構成すべきである。熱伝導に対する高い抵抗は、熱伝導度が低いリボンケーブルの素材を選定することにより達成できる。更にリボンケーブルは、熱がベース177から回路基板190に伝わる面積を最小限にするように構成すべきである。より詳細には、リボンケーブルを通る熱伝達断面積を最小にすべきである。リボンケーブルの代わりにフレキシブル回路基板を用いる本発明の実施の形態では、リボンケーブルの代わりのフレキシブル回路基板は、リボンケーブルに関して説明したように、熱伝導に対する高い抵抗、すなわち低い熱伝導度と熱伝達に対する小さな断面積と、を生み出すよう設計すべきである。
【0037】
本発明のいくつかの実施の形態は、支持構造のフレキシブル回路基板180A上に搭載される電子構成部品も含む。
図9は、誘導コイル182(断面で示す)および光通信デバイス184を含む好ましい実施の形態を示す。誘導コイル182および通信デバイス184は、支持構造のフレキシブル回路基板180A上に搭載される。誘導コイル182は平面型誘導コイルであり、誘導コイル182は、電子回路モジュールおよび/またはRF通信への無線結合電源等の機能のために使用できる。光通信デバイス184は、コマンドおよび/またはデータの、電子回路モジュールへの送受信を可能にする光信号型通信のために構成される。より好ましい実施の形態では、フレキシブル回路基板190は、通信デバイス184からの光信号を送信するために、孔または窓198等のポート196を有する。センサ装置175は、フレキシブル回路基板190が近接位置にある場合、通信障害物を少なくするために、ポート196が通信デバイス184の実質的に上方へ配置されるように構成する。
【0038】
本発明の別の実施の形態は、ベース上に搭載するように構成したセンサ装置のための電子モジュールである。ベースは、その上に搭載した少なくとも一個のセンサを有する。電子回路モジュールは、センサからの信号を受信するために、少なくとも一個のセンサと接続する。電子回路モジュールは:配線と複数の電気接点とを有するフレキシブル回路基板を備える底部;フレキシブル回路基板と情報を電子処理するための複数の構成部品とを備える上部;および底部と上部との間を結合するフレキシブル回路基板を備える中央部;を含み、底部は支持のためのベースと物理的に接触し、中央部は上部がベースから離れて浮揚するように、ベースから離れて延在する。
【0039】
上部のフレキシブル回路基板が、底部のフレキシブル回路基板と実質的に平行に浮揚するように、上部が浮揚するのが好ましい。選択的に、電子回路モジュールは、底部に搭載した無線通信デバイスを更に含み、この無線通信デバイスは、電磁信号を送信するよう構成され、上部には、電磁信号に妨害の少ない道を提供するための窓がある。別の選択として、電子回路モジュールは、底部に搭載した実質的に平面の誘導コイルを含み、そのコイルは、誘導結合した電力を受け取るように構成され、複数の電子構成部品の内の少なくとも一つに電力を供給するためにコイルを上部と接続する。選択的に、電子回路モジュールは、底部に搭載した赤外線通信デバイスを含み、上部には、赤外線信号に対して吸収が少ない道を提供するための窓があり、窓は通信デバイスの上方に位置決めされている。別の実施の形態では、上部のフレキシブル回路基板は、底部のフレキシブル回路基板と実質的に平行になるように配置され、情報を電子処理するための複数の構成部品を、上部の下側に配置する。本発明の別の実施の形態には、情報プロセッサおよび脱着可能なバッテリが含まれる。より詳細には、電子回路モジュールは、ユーザーがバッテリ交換できるように構成される。すなわち、電子回路モジュールには、バッテリ保持を開放する機械的ラッチ機構が含まれる。好ましい実施の形態では、電子回路モジュールが開位置の時に、ユーザーはこの機構、および交換可能バッテリにアクセスできる。
【0040】
次に、本発明によるセンサ装置175の実施の形態の透視図を示す
図10を参照する。
図10に示すセンサ装置175は、
図9で説明したセンサ装置175と基本的に同一である。
図10では、開位置にある電子回路モジュールとともにセンサ装置175を示す。
図10に示すセンサ装置175はベースを含む(
図10にベースは不図示)。
図10に示すセンサ装置は、支持構造のフレキシブル回路基板180A、およびリボンケーブル180Bを含む支持構造を有する。図には、フレキシブル回路基板190、脱着可能バッテリ等の電子構成部品192および情報プロセッサ等の電子構成部品194も示す。電子構成部品192、および電子構成部品194は、フレキシブル回路基板190に取り付けられる。回路基板190は、窓198があるポート196も含み、窓198は、通信信号に対して障害の少ない道を提供するように構成される。好ましい実施の形態では選択的に、窓198はポリイミドの薄膜を備えてもよい。
図10は、回路基板180A上に支持される誘導コイル182および通信デバイス184も示す。回路基板180Aの一部として、ラッチ機構168も含まれる。
【0041】
より好ましい本発明の実施の形態では、センサ装置175は、電子回路モジュールとセンサとの間の電気接続が、センサと電気接続されているメタル配線との間で、半田接続されるように構成される。半田接続は、電子回路モジュールの曲げられる部分とベースとの間の剛体接続のみとするのが好ましい。言いかえると、好ましくは、接着剤等の取り付け手段を用いて電子回路モジュールをベースに接続せずに、電子回路モジュールの曲げられる部分を用いて接続する。すなわち、電子回路モジュールの結線は、電子回路モジュールがベースに固定して接続されるように、センサに接続されているメタル配線に半田付けする。本編成により、電子回路モジュールとして、剛性のある回路基板または剛性のあるハウジングを用いたので、実現が難しい、ベースとの実質的に曲げられる接続が提供される。結果として、実質的に曲げられるようにベースと接続することにより、ベースと電子回路モジュールとの間で発生する熱応力が低下する。熱応力が低下すると、熱膨張がベースの膨張と一致しないために、剛性のある電子回路モジュールでは起きることがある、ベースの反り等の影響も低下する。本発明の実施の形態では、電子回路モジュールと曲げられるように接続することにより、起こりうる熱応力を開放し、電子回路モジュールは伸縮でき、その結果、熱応力に起因する不良が減少する。
【0042】
本発明のより好ましい実施の形態は、シリコンウェーハを加工するための温度を測定するセンサ装置である。このセンサ装置には、シリコンウェーハ、温度を測定するためにシリコンウェーハと物理的に接触している複数の温度センサ、およびシリコンウェーハ上に搭載されている少なくとも一個の電子回路モジュールが含まれる。電子回路モジュールには、情報プロセッサ、電源、ポリイミドまたは別の熱安定高分子等の材料を含むフレキシブル集積回路基板、およびポリイミドまたは別の熱安定高分子等の材料を含む支持構造、が含まれる。情報プロセッサ、電源、およびセンサは、情報プロセッサが電源から電力を受け取り、センサからの信号を受信できるように、フレキシブル回路基板を経由して相互接続する。支持構造は、フレキシブル回路基板に曲げられるように結合する。支持構造は、センサからの信号をフレキシブル回路基板に伝送するための電気回路を有する。支持構造は、シリコンウェーハと物理的に接触するための曲げられる部分を有する。支持構造は、シリコンウェーハと電子回路モジュールとの間の伝導的な熱伝達速度を低下させるために、情報プロセッサおよび電源を、シリコンウェーハの表面から離して浮揚させるよう構成する。支持構造は、プリント回路基板を所定位置に保持するためのラッチ機構を含む。
【0043】
別の実施の形態では、センサからの温度測定値が、電子回路モジュールの存在による擾乱を実質的に受けず、かつ、電子回路モジュールが、ベースから電子回路モジュールに伝わる熱による損傷を実質的に受けないような、シリコンウェーハまたは他のベースと、電子回路モジュールとの間の伝導的な熱伝達速度を提供するようにセンサ装置の支持構造を構成する。言いかえると、支持構造は、電子回路モジュールの温度に敏感な構成部品が、測定中に損傷するような温度を受けないように構成するとともに、支持構造は、複数のセンサが行う測定の熱歪みを実質的に防ぐのに十分な熱伝達特性および熱容量特性を有するよう構成する。
【0044】
図6から
図10に示す本発明の実施の形態は、閉位置に設定した時に、電子回路モジュールの少なくとも二つの側面が、側壁を持たないように構成する。言いかえると、二つの側面が開いているか、または二つ以上の壁が開いている。これは、用途によっては好ましい構成である。加工品の表面をガス流が横断する用途では、センサ装置の表面を横断するガス流の乱れを最小限にするように、壁のない側面を配向でき、その結果、センサ装置は、電子回路モジュールがない加工品の表面ガスの流動力学的挙動と近似的に一致する表面ガスの流動力学的挙動を有することになる。ウェーハの中央とウェーハの周縁との間のガス流による半導体ウェーハ加工用途での好ましい構成には、開いた側面とガス流の方向が実質的に垂直となるように、側壁を開いた編成が含まれる。更に別の実施の形態では、電子回路モジュールに円形の構成を用いて、実質的に壁がないよう編成する。
【0045】
本発明の更に別の実施の形態では、電子回路モジュールは、動作中に、上部がベースから離れて配置されるように、延長フレキシブル回路基板または延長のリボンケーブルを備える中央部を有する。本編成は、標準的な、電子回路およびバッテリでは耐えられない高温用途(最高で250℃または300℃等)で用いることができる。本編成には、電子回路モジュールの上部と底部との間の接続部分の延長が含まれる。動作中は、プロセスチャンバに適した特別な装填技法を採用する等して、電子構成部品を比較的低温に保つことができる。より詳細には、データ収集する間、プロセスチャンバ内の加工ツール表面に上部を保持できるように中央部は十分長くする。電子構成部品がセンサ装置のベースに近く、電子構成部品にとって加工温度が高すぎる用途では、本構成が望ましい。
【0046】
本実施の形態を更に説明するために、次に、本発明の一実施の形態によるセンサ装置220の上面図を示す
図11を参照する。センサ装置220には、ベース112、複数のセンサ120、およびメタル配線142が含まれる。センサ装置220には、支持構造のフレキシブル回路基板222等の底部、延長リボンケーブル224等の中央部、およびフレキシブル回路基板226等の遠隔部、を含む支持構造を備える電子回路モジュールも含まれる。好ましい実施の形態では、フレキシブル回路基板226には、電子構成部品にとって厳しい高温等の加工条件に特に敏感な電子構成部品が含まれる。その結果、本発明の好ましい実施の形態では、電力供給用のバッテリ、情報処理等の機能に必要な一つ以上の電子構成部品、ならびに、通信および情報の送受信のための一つ以上の電子構成部品等の、電子構成部品をフレキシブル回路基板226が含むように構成する。電子構成部品は、フレキシブル回路基板226に取り付ける。装置220には、センサ120を電子回路モジュールに接続するためのメタル配線142も含まれる。本発明のいくつかの実施の形態において選択的に、遠隔部は、フレキシブル回路基板の代わりに剛性のある回路基板を備えてもよい。本発明のいくつかの実施の形態における別の選択として、底部は、フレキシブル回路基板の代わりに剛性のある回路基板を備えてもよい。
【0047】
好ましい実施の形態では、ベース112は、シリコンウェーハ等、およびガリウムヒ素等の半導体ウェーハのほぼ全体を備える。ベース112、およびセンサ120は、
図1の実施の形態で説明したものと基本的に同一である。電子回路モジュールも、
図9および
図10に示す実施の形態で説明したものと、リボンケーブル224の長さが長いこと、およびいくつかの電子構成部品の配置を除いて、基本的に同一である。先に説明した選択的な構成のように、電子回路モジュールには、誘導コイルも含まれる。
図11に示す実施の形態では、誘導コイルは、支持構造のフレキシブル回路基板222上に含んでも、またはフレキシブル回路基板226上に含んでもよい。一般に、電子回路モジュールは、普通に入手可能な電子デバイスの動作にとって高すぎる温度等の、上昇温度でのセンサ装置220の使用を可能にしつつ、センサ装置が行う測定に、実質的に無視できる程度の影響しか与えないように構成する。その結果、リボンケーブル224が、熱質量が小さく、温度平衡に対する長い時定数を有していることが好ましい。言うまでもなく、リボンケーブル224は好ましい実施の形態であり、他の実施の形態では、リボンケーブル224の代わりに延長のフレキシブルプリント回路基板を用いてもよい。
【0048】
次に、本発明の一実施の形態によるセンサ装置220の側面図を示す
図12を参照する。
図12に示すセンサ装置220は、
図11に示すセンサ装置と基本的に同一である。
図12に示すセンサ装置220は、部分的に屈曲させたリボンケーブル224で示す。好ましい実施の形態では、リボンケーブル224は、屈曲および伸張を繰り返すことができるよう構成する。
【0049】
次に、上記説明のようにセンサ装置を用いるための本発明の実施の形態を示す
図13を参照する。
図13は、プロセスチャンバ242、およびプロセスチャンバ242内の基板支持体244を含む加工ツール240の側面断面図を示す。加工ツール240には、基板転送チャンバ250、および加工ツール240内の基板を移動させるためのロボットハンドラも含まれる。
図13は、転送チャンバ250の一部、およびロボットアーム252の一部の側面断面図を示す。ロボットアーム252は、基板をプロセスチャンバ242に装填したり、外したりするように、両矢印が示す前後運動をするよう構成する。
図13は、転送チャンバ250に位置するロボットアーム252を示す。
【0050】
図13には、
図11および
図12で説明したセンサ装置と基本的に同一の、センサ装置も示す。
図13に示すセンサ装置には、ベース112、センサ120、ならびに支持構造のフレキシブル回路基板222、延長リボンケーブル224およびフレキシブル回路基板226を含む電子回路モジュールが含まれる。好ましい実施の形態では、フレキシブル回路基板226には、
図11で説明したように構成したセンサ装置のための電子構成部品が含まれる。センサ装置のベースは、基板ホルダ244上に配置する。言いかえると、センサ装置のベースは、基板を加工中に置くのと同じように配置する。延長リボンケーブル224は、フレキシブル回路基板226を、基板支持体244から離して配置できるように延在させる。すなわち、本実施の形態では、フレキシブル回路基板226は、ロボットアーム252上に支持される。
【0051】
本構成では、ベース112を高温に加熱できるように、つまりフレキシブル回路基板226上の電子構成部品に著しい損傷を起こすことなく、普遍的に用いられる電子デバイスにとって厳しい可能性のある他の加工条件を受け入れることができるように、フレキシブル回路基板226を十分遠くに離す。センサ装置を用いて、加工ツールに著しい修正をせずに加工条件を測定できる。すなわち、センサ装置は、測定している間、加工ツール内に全体が収容される。本発明の実施の形態を用いる代替の方法は、当業者には言うまでもない。利用可能な代替方法のいくつかは、加工ツールの構成および測定を実行する要件により決定する。他の構成では、十分な大きさのプロセスチャンバにより、測定する間、回路基板226をプロセスチャンバ内に配置でき、更に、回路基板226を厳しい加工条件に曝さないよう十分遠くに配置できる。
【0052】
本発明の一実施の形態は、
図11および
図12で説明したセンサ装置を用いて加工条件を測定する方法を含む。本方法は、センサ装置を加工ツールに装填する段階を含む。本方法は、また、基板を加工するために用いる加工条件へ、ベースおよびセンサを曝すことができるように、センサ装置のベースを配置する段階、および電子構成部品が加工条件により著しく影響されないように、電子構成部品をベースから十分離して配置する段階を含む。本方法は、電子構成部品を用いて加工条件を測定し、かつ記録する間、ベースおよびセンサを加工条件へ曝すステップを更に含み、その一方、ベース、センサ、および電子構成部品を加工ツール内に保持する。好ましくは、本方法は、センサ装置を移動するためのロボットハンドラを用いる段階を更に含む。
【0053】
次に、
図11、
図12、および
図13に示す実施の形態と基本的に同一の、本発明の実施の形態を示す
図14を参照する。本発明の実施の形態に対する別の選択として、回路基板226の接続を支持構造のフレキシブル回路基板222から外すことができるように、リボンケーブル224を用いるための電気コネクタ258を提供してもよい。電気コネクタ258は、繰り返して接続したり、接続を外したりできるように、可逆的に接続できるよう構成する。言いかえると、センサ装置の部品を、ほぼアナログの部品と相互交換できるように、電気コネクタ258をセンサ装置に組み込む。
【0054】
コネクタ258の配置の、可能性がある一構成を
図14に示す。選択的に、コネクタ258の配置は、リボンケーブル224の長さに沿うほぼ任意の場所に配置でき、またはリボンケーブル224のどちらかの端部でもよい。言うまでもなく、リボンケーブル224をフレキシブル回路基板に置換して用いる本発明の実施の形態では、リボンケーブル224について詳述したような、コネクタ258を含むこともできる。コネクタ258に用いることができる数多くの電気コネクタが入手可能である。
【0055】
次に、本発明の別の実施の形態を示す
図15を参照する。
図15に示す実施の形態は、
図11、
図12、および
図13で説明した実施の形態と、
図15の実施の形態が固定具260も含んでいることを除いて、実質的に同一である。好ましくは、固定具260は、
図13に示すようなロボットアーム部に回路基板226を固定できるように、回路基板226と結合する。代替として、固定具260は、回路基板226に近い場所で、リボンケーブル224に結合できる。すなわち、固定具260の配置は、ロボットアーム部に、回路基板226を実質的に安定して取り付けることができるように選定する。
【0056】
固定具260には、多様な構成を用いることができる。固定具260は、適切な種類の固定具のいくつかの実施例として、留め金、フック、ループ、プレススタッド、磁石、スナップ、ピン、および鰐口のようなばね負荷のクリップがある。本開示の観点からすると、本発明の実施の形態では、固定具260に代わる代替構成は、当業者には明らかであろう。
【0057】
次に、
図9に示すのと実質的に同一の、本発明の実施の形態を示す
図16を参照する。
図16に示す実施の形態は、電気コネクタ258を更に含む。回路基板190を回路基板180Aから外せるように、リボンケーブル電気コネクタ等の、またはプリント回路基板コネクタ等の、電気コネクタ258をリボンケーブル180Bに組み込む。言いかえると、センサ装置の部品を、ほぼアナログの部品と相互交換できるように、電気コネクタ258をセンサ装置に組み込む。コネクタ258の配置に対する可能性のある一構成を
図16に示す。選択的に、コネクタ258の配置は、リボンケーブル180Bの長さに沿うほぼ任意の場所に配置でき、またはリボンケーブル180Bのどちらかの端部でもよい。言うまでもなく、リボンケーブル180Bの代わりにフレキシブル回路基板を用いて置換する本発明の実施の形態では、リボンケーブル180Bで詳述したように、コネクタ258を含むこともできる。コネクタ258に用いることができる数多くの電気コネクタが入手可能である。
【0058】
次に、
図17を参照する。
図17には、
図14に示す実施の形態と基本的に同一の、本発明の実施の形態を示す。但し、
図17に示す実施の形態には、回路基板222に実質的に隣接して取り付けられる電気コネクタ258、および回路基板226に実質的に隣接して取り付けられる別の電気コネクタ258が含まれる。言いかえると、リボンケーブル224を、リボンケーブル224の一端で電気コネクタ258を介して回路基板226と接続し、リボンケーブル224の他端で電気コネクタ258を介して回路基板222と接続する。本発明の実施の形態での別の選択として、2個の電気コネクタにより、リボンケーブル224を回路基板222および回路基板226から外すことができる。すなわち、本構成により、リボンケーブル224を別のリボンケーブルまたはフレキシブルプリント回路基板と置換できる。選択的に、リボンケーブル224を、短いリボンケーブル、延長リボンケーブル、延長プリント回路基板、または短いプリント回路基板と置換できる。電気コネクタ258は、繰り返して接続したり、接続を外したりできるように、可逆的に接続できるよう構成する。センサ装置の部品を、ほぼアナログの部品と相互交換できるように、電気コネクタをセンサ装置に組み込む。
【0059】
次に、
図16に示すものと実質的に同一の、本発明の実施の形態を示す
図18を参照する。
図18に示す実施の形態には、リボンケーブル180Bを回路基板190から取り外し、かつ回路基板180Aから取り外すことができるように、リボンケーブル180Bに組み込まれる第2の電気コネクタ258も含まれる。
図18に示す実施の形態は、リボンケーブル180Bの一端に一個の電気コネクタ258、およびリボンケーブル180Bの他端に第2の電気コネクタ258を有する。
【0060】
次に、
図18で説明した実施の形態を、回路基板190および回路基板180Aから外したリボンケーブル180Bを示す
図19を参照する。電気コネクタは、センサ装置の部品を、ほぼアナログ部品と交換できるようにセンサ装置に組み込まれる。
図18、および
図19で説明した本発明の実施の形態は、リボンケーブル180Bを、短いリボンケーブル、延長リボンケーブル、延長プリント回路基板、または短いプリント回路基板に代えた選択例を提供する。言うまでもなく、リボンケーブル180Bの代わりにフレキシブル回路基板を用いて置換する本発明の実施の形態では、リボンケーブル180Bで詳述したように、コネクタ258を含むこともできる。
【0061】
本発明の別の実施の形態には、
図17に示す実施の形態、および
図18に示す実施の形態等の、本発明の実施の形態による電子回路モジュールを用いる方法が含まれる。本方法は、延長リボンケーブルまたは延長プリント回路基板を備えるように中央部を構成する段階を含む。次の段階には、第1用途のための電子回路モジュールを用いる段階が含まれる。別の段階には、延長リボンケーブルまたは延長プリント回路基板を、短いリボンケーブルまたは短いプリント回路基板と置換する段階、および第2用途のための電子回路モジュールを用いる段階が含まれる。選択的に、更に別の段階には、短いリボンケーブルを延長リボンケーブルまたは延長プリント回路基板と置換する段階が含まれる。
【0062】
本発明の別の実施の形態には、加工品を加工するためのプロセスチャンバ内のプロセスパラメータの歪みを小さくして測定を行う方法が含まれる。プロセスチャンバは、加工品を装填したり、外したりするためのロボットアームを有するロボットと連結している。本方法は、基板、複数のセンサ、プリント回路基板上に支持される情報処理のための少なくとも一個の電子構成部品、延長リボンケーブル、および固定具を有するセンサ装置を提供する段階を含む。複数のセンサは基板上に支持される。リボンケーブルは、センサ、および少なくとも一個の電子構成部品と電気的に接続される。固定具は、回路基板をロボットアームに取り外し可能に取り付けできるように、プリント回路基板、または延長リボンケーブルと結合される。言いかえると、回路基板は、必要に応じてロボットアームに取り付けでき、アームから取り外すことができる。本方法は、回路基板をロボットアームに取り付けるために固定具を用いる段階、プロセスチャンバ内に基板を配置するためにロボットを用いる段階、および基板と回路基板との間の所定の間隔を作り出すようにロボットアームを位置決めする段階を更に含む。更に、本方法は、パラメータ測定のために加工条件を確立する段階、センサでパラメータを測定し、少なくとも一個の電子構成部品で測定値を収集する段階、プロセスチャンバから基板を除去するためにロボットを用いる段階、およびロボットアームから回路基板を取り外す段階を含む。選択的に、パラメータを測定する間、ロボットアームがプロセスチャンバ内に留まるように、所定の距離を選定できる。代替として、パラメータを測定する間、ロボットアームが、プロセスチャンバに隣接する転送チャンバ内に位置決めされるように、所定の距離を選定できる。
【0063】
本発明の実施の形態により、高精度のデータ測定が可能となる。言いかえると、本発明の実施の形態により、センサ装置が実質的に擾乱を受けない生産プロセスにおける加工品のための時間全体、および空間全体に亘る実質的に精確な温度分布の測定が可能となる。
【0064】
本発明の実施の形態は、特に、半導体ウェーハを加熱するために用いるベークプレートの特性化、および半導体ウェーハを加工するためのプラズマチャンバの特性化等の、用途に適している。本発明の実施の形態により、プロセス、および温度コントローラ等のプロセスコントローラの挙動、を曖昧にする人工物が実質的に存在しない、かかる特性化が可能になる。本発明の実施の形態を用いて、プロセス動作の特性化を、リアルタイムに、過渡的挙動に拡張でき、従って、電子デバイス用半導体ウェーハ、フラットパネルディスプレイ用のフラットパネルディスプレイ基板等の、実際の加工品の加工に更に関連する特性化を行うことができる。
【0065】
特定の実施例として、本発明の実施の形態により、熱伝導を伴う加工の段階等の、精確に測定した過渡的な加工条件下での、フォトレジストの挙動を決定することが可能になる。本発明の実施の形態を用いて得られる情報を用いて、電子デバイス等の製品を生産するためのプロセス全体を最適化できる。本発明の実施の形態は、高価値な製品の製造で用いられる重要なプロセス部分およびプロセスの条件を決定し、管理するための機会を提供する。本発明の実施の形態の一試験では、本発明の教示に基づいて設計されたセンサ装置を用いる温度測定値が得られた。電子回路モジュールの存在によりコントローラ機能が影響を受けないので、ベークプレートの熱力学的挙動に、電子回路モジュールは少ししか影響を与えなかった。本発明の実施の形態を用いて、電子デバイス生産プロセスで発生することもある加工品の温度の非均一性を精確に識別できる。半導体加工ツールの一部である構成部品、すなわちベークプレート等およびプラズマチャンバーチャック等の構成部品の不完全性を、本発明の実施の形態を用いて究明できる。本発明の実施の形態を用いて、加工品の過渡的温度挙動を分析でき、従って加工品に対する処理結果の不完全性の影響を決定できるのである。
【0066】
本発明の実施の形態を用いて、半導体ウェーハ加工ツールおよびフラットパネルディスプレイ加工ツール等の「マッチング」加工ツールの精度向上を獲得することもできる。技術によっては、この方法論はチャンバーマッチングと呼ばれる。具体的には、同一の加工を実行する多数のプロセスチャンバが、実質的に同一の加工結果を提供することが好ましいということが共通している。この意味は、各チャンバが加工品に対して実質的に同一の加工条件を生み出す必要がある、ということである。本発明の実施の形態を用いて獲得できる高い精度情報により、より高い精度のチャンバーマッチングが可能となる。更に、本発明の実施の形態により、チャンバーマッチング方法論に定常状態の情報および過渡的な情報を組み込むことが容易になる。
【0067】
先に説明した実施例では、単一の電子回路モジュールを有するセンサ装置の使用を説明した。しかしながら、用途によっては、パラメータ測定に非常に高い空間分解能を達成するために、センサ装置に付属する電子回路モジュールをいくつか有する必要がある。言いかえると、高分解能の温度測定には多数の温度センサが必要である。多数の温度センサからの情報を扱うには、多数の電子回路モジュールを使用する必要がある。本発明の実施の形態には、また、多数の電子回路モジュールを有するセンサ装置の使用が含まれる。多数の電子回路モジュールを有するセンサ装置とともに使用するための本発明の実施の形態は、単一電子回路モジュールを実装する場合に説明したものと実質的に類似している。
【0068】
本発明の実施の形態のいくつかの用途では、測定環境からセンサ装置の少なくとも一部を保護する必要があるという状況がある。その保護を提供するために用いられるいくつかの技法には、保護被覆および他の方法論を提供するバリア層工学等の技法が含まれる。本発明の好ましい実施の形態には、加工条件により損傷を受ける可能性がある電子回路モジュールの部品上の、耐食材料の薄くて実質的に絶縁性のコーティングが含まれる。
【0069】
本発明の実施の形態を、加工品を加工するために用いるプロセスおよびプロセスツールの開発、最適化、モニタリング、および管理のためにデータ取得が必要な、幅広く多様な用途に対して用いることができるのは明らかである。本発明の実施の形態の機能および特徴は、半導体ウェーハおよびフラットパネルディスプレイ等の、高価な加工品を加工するのに特に適している。
【0070】
本発明が関連する当該技術に精通する当業者なら、上記の説明および付帯する図面で提示した教示を利用して、本発明の多くの改変および他の実施の形態を想起しよう。従って、言うまでもなく、本発明は、開示した特定の実施の形態に限定されず、改変および他の実施の形態は、付帯する請求項の範囲内に含まれるよう意図されている。本明細書で特定の用語を用いているが、包括的かつ説明のためにのみ用いており、限定するためではない。
【0071】
本発明の特定の実施の形態を説明し図解してきたが、明らかなことは、付帯する請求項およびその法定の均等物で定義されるように、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、詳細に図解し、説明した実施の形態の細部を改変できることである。
【0072】
上記明細書では、本発明を特定の実施の形態を参照して説明してきた。しかしながら、当業者には言うまでもないが、以下の請求項で説明する本発明の範囲から逸脱することなく、多様な改変および変更を行える。従って、本明細書および図面は、限定を意味するのではなく説明のためであると見なすべきであり、かかる修正の全てを、本発明の範囲内に包含するものである。
【0073】
特定の実施の形態に関して、利点、他の長所、および問題への対処法を、上記で説明した。しかしながら、何らかの利点、長所、または対処法を発生させるか、またはより強調させる利点、長所、問題への対処法、および何らかの要素を、請求項の何れか、または全ての請求項にとって、重要で、必須な、または基本的な、特徴もしくは要素と解釈すべきではない。
【0074】
本明細書で用いる場合、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「の内の少なくとも一つ」、またはこれらの何らかの他の変化形は、包括的範囲をカバーすることを意図している。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、品物、または装置は、必ずしも、これらの要素にのみに限定されるとは限らず、かかるプロセス、方法、品物、または装置に明確にリストアップされないか、または本質的な他の要素を含む。更に、明確に逆のことを表さない限り、「または」は、包括的ORを指し、排他的ORを意味しない。例えば、条件AまたはBは、下記の内の何れか一つによって満たされる:Aは真であり(または存在する)、かつBは偽である(または存在しない);Aは偽であり(または存在しない)、かつBは真である(または存在する);および、AおよびBはともに真である(または存在する)。
【0075】
本出願は、2004年7月10日出願の米国特許出願第60/586,891号に基づく優先権を主張する。本出願は、2004年7月10日出願の米国特許第60/586,891号、2000年8月22日出願の米国特許出願第6,691,068号、2002年4月19日出願の米国特許第6,738,722号、2002年4月19日出願の米国特許第6,741,945号に関連し、これら特許全てを全体に亘って引用して本明細書に組み込む。
【0076】
当業者には言うまでもないが、図面の要素は、簡便さおよび明瞭さを目的として示し、必ずしも正しい縮尺とは限らない。例えば、図面の要素の寸法のいくつかは、本発明の実施の形態が容易に理解されるように、他の要素に対して拡大してある。