【実施例1】
【0027】
以下、本発明の好適な一実施例について説明する。本実施例に係る半導体製造システムは、
図1に示すように、前工程である回路パターン形成工程(デバイス形成工程)1、ウェハの薄板化処理(バックグラインド/ポリッシュ(BG/PG))工程2、粘着テープ貼付工程(フレームマウント工程)3、パターン形成面露出工程4、プローブテスト工程(電気特性検査工程)5、ダイシング工程6及び組立工程7を含む。
【0028】
回路パターン形成工程1では、ウェハの表面に回路パターンを形成し、薄板化処理工程2では、ウェハの裏面を研削して該ウェハを薄板化する。薄板化したウェハにはバックサイドメタライズ加工などの裏面処理を施すことができる。
【0029】
そして、粘着テープ貼付工程3では、薄板化したウェハの表面全域に粘着テープを貼り付けて、該ウェハを支持用のフレームに一体化させ、パターン形成面露出工程4では、ウェハの外縁部内側に沿って粘着テープを環状にカットして剥離し、ウェハ中央部のパターン形成面を露出させる。
【0030】
この後、プローブテスト工程4では、露出したウェハ中央部のパターン形成面にプローブを接触させて、ウェハの電気特性検査を行なう。そして、ウェハは外縁部に粘着テープを貼り付けたままダイシング工程6に搬送して、ウェハのダイシング加工を実行してチップを製作し、その後、後工程である組立工程7では、チップを組み立てて半導体製品を得る。
【0031】
図2は、本実施例に係る半導体デバイスの製造システムを示す。図示のように、本システムは、ウェハ上にデバイスを形成する前工程装置群21と、表面に保護テープが貼り付けられたウェハの裏面を切削・研磨して薄板化するポリッシュグラインダ(ウェハ処理装置)22と、テスタとプローバとレーザ照射器を組み合わせたプローブテスト装置23と、ダイボンダやワイヤボンダなどを組み合わせた組立装置24とを有する。
【0032】
なお、プローブテスト装置23は、ウェハが一体化されたフレームフレームを保持するチャックと、プローブを有するプローブカードと、パフォーマンスボードと、テストヘッドを回転させる機構と、チャックを移動させる移動機構などを備えている。
【0033】
図3は、本システムに係るポリッシュグラインダ22及びハンドリングシステム26の具体的な構成例を示す。ポリッシュグラインダ22は、四つのチャック部42a〜42dを備え、インデックス回転用の回転テーブル43と、チャック部42a〜42dを洗浄する洗浄ユニット44と、ウェハ30を搬送するロボット45とを含んでいる。
【0034】
さらに、ポリッシュグラインダ22には粗研削ユニット31、仕上研削ユニット32および研磨ユニット33が回転テーブル43の回転方向Aに沿って順番に配置されている。なお、粗研削ユニット31は粗研削砥石(図示しない)によりウェハ30の裏面を粗研削し、仕上研削ユニット32は仕上研削砥石(図示しない)によりウェハ30の裏面を仕上研削する。同様に、研磨ユニット33はウェハ30の裏面を研磨する。
【0035】
また、図示しないが、ポリッシュグラインダ22は、研磨後のウェハ30の搬送又は洗浄を行うための搬送ユニット、クリーニング装置、スピンナー洗浄機及びカセットを具備する。
【0036】
一方、サポートハンドリングシステム26は、その一端側エリアにおいて、ウェハ反転部51、ウェハ位置合わせアーム52、ロボット53及びフレームカセット部55が順次横方向に配設されている。
【0037】
そして、ウェハ位置合わせアーム52に対応する縦方向には、UV照射部56、剥離ユニット58及び貼り付け部59が順次設置されている。又、フレームカセット部55に対応する縦方向には、フレーム供給部60、カッター部61を備えたDC/T貼付部62が順次設置されている。
【0038】
次に、
図4に基づいてサポートハンドリング処理の流れを説明する。まず、薄板化されたウェハ30は、テーブル50に仮置きした後、ウェハ反転部51でウェハ30を反転する(S11,12)。そして、ウェハ位置合わせアーム52でウェハ30の位置きめを実施してウェハアライメントを行なう(S13)。次に、UV照射部56でウェハ30に紫外線を照射した後(S14)、剥離ユニット58でウェハ30から保護テープを剥離する(S15)。
【0039】
一方、サポート用のフレーム40については、フレーム供給部60によりフレーム40を矢印方向に搬送し、カッター部61でフレーム40の位置決めを行い(S21,22,23)、フレーム40にサポートフィルム(粘着テープ)63を貼り付けた後、サポートフィルム63の不要部分を切断除去して、フレーム40を貼り付け部59に搬送する(S24,23)。
【0040】
そして、貼り付け部59では、ウェハ30にサポートフィルム63を貼り付けてフレーム40にウェハ30を一体化させ(S31)、次いで、フレームカセット部55に収納する(S32)。
【0041】
次に、本実施例に係る粘着テープ貼付工程以降の手順について説明するが、粘着テープとしては適度な導電性を有するものを使用しうる。
図5及び
図6は、ダイシングフレーム71に導電性の粘着テープ72を貼り付け状態を示す。この粘着テープ72は下面側に接着層が形成され、粘着テープ72の下面をシリコンウェハ73、すなわち、裏面研削により薄板化されたシリコンウェハ73のパターン形成面74全域に貼り付ける。
【0042】
これにより、ダイシングフレーム71にシリコンウェハ73が一体化される。その結果、シリコンウェハ73がダイシングフレーム71に保持固定されたまま、ダイシングフレーム71を搬送できる状態に設定する。
【0043】
前記粘着テープ72におけるシリコンウェハ73の外縁部内側に沿う対応部分には、予め円形のプリカットライン75が形成されている。従って、
図7に示すように、プリカットライン75に沿って粘着テープ72をカットして剥離することで、シリコンウェハ73の外縁部のみに、粘着テープ72が円環形状を呈して残存するようになる。その結果、
図8及び
図9に示すように、円形のテープ剥離領域に相当するシリコンウェハ73のパターン形成面74が外部に露出する。
【0044】
上記粘着テープ72には剥離作業を容易にするために、
図10に示すように、予め粘着テープ72を左右両側に分割するプリカットライン75を別途形成することもできる。この場合、
図5中の想像線で示すように、プリカットライン75は、互いに左右点対称な2つの弧状部を有するように形成することができる。かかる構成により、プリカットライン75に沿って粘着テープ72を左右両側に2分割して剥離できるので、粘着テープ72の剥離作業を一層容易迅速に行うことができる。
【0045】
本実施例では、シリコンウェハ73としては裏面には電極が形成されたものにも適用可能であり、該シリコンウェハ73の裏面を所要の固定力でチャックテーブル(図示せず)に設置した状態で、シリコンウェハ73のパターン形成面74が開口した状態になる。
【0046】
シリコンウェハ73が一体化されたダイシングフレーム71は、プローブテスト装置に搬送される。そして、シリコンウェハ73のパターン形成面74にプローブ(図示せず)を接触させて、シリコンウェハ73の電気特性検査が行われる。その後、シリコンウェハ73は、粘着テープ72を貼り付けたままダイシング工程に搬送し、該シリコンウェハ73の裏面にダイシングテープを貼り付けて、該シリコンウェハ73のダイシング加工を実行して多数のチップに分割される。
【0047】
叙上の如く本発明によれば、ウェハ外縁部に粘着テープを貼り付けて、フレームに保持された状態に設定して、フレームとともにウェハの搬送を行う。よって、ウェハの外縁部は粘着テープで補強されるので、ウェ−ハを安定して支持・搬送することができる。また、ウェハは薄板状であっても高い剛性を有するため、ウェハに反りや皺を生じさせる恐れがなく、ウェハの電気特性検査を安定して容易に実施できる。また、剛性の高いウェハが簡単に得られるので、ウェハの搬送及びチャックテーブルへの載置が容易になり、吸盤やウェハへのエアー吹き付けが不要になる。
【0048】
さらに、電気特性検査はウェハのダイシング工程の前に実行され、そして、ダイシング工程へのウェハの搬送は、ウェハの外縁部に粘着テープを貼り付けた状態のまま行える。次に、ウェハをダイシングテープでダイシングフレームにマウントして、該ウェハのダイシング加工を行う。よって、ウェハのダイシング加工を容易迅速に実施できるばかりでなく、ダイシング加工の品質精度を向上させることができる。
【0049】
また、ウェハの裏面に電極が形成されている場合、ウェハ裏面は所要の固定力でチャックテーブルに設置でき、それゆえ、安定したプローブテストを一層確実に行うことができる。
【0050】
本発明に係る粘着テープは、ウェハの中央部のパターン形成面を露出させるべく、剥離用のプリカットライン(剥離予定線)が予め施されているので、プリカットラインに沿って粘着テープを剥離することで、ウェハの中央部のパターン形成面が露出する。よって、ウェハのパターン形成面を簡単に露出させることができる。
【0051】
また、ウェハの薄板化工程とテープ貼付工程の間に、ウェハの裏面に所要の金属膜を被覆することができる。この場合は、ウェハを研削した後に、ウェハの裏面に金、銀、チタン等の金属膜を被覆する。
【0052】
本発明は、従来例に比べて、ウェハの外周部より切り屑を効率的に除去排出でき、ケミカル(液体)がウェハの外周部に溜まるおそれもなく、ユニフォーミティも向上する。しかも、ダイシング工程前にウェハの外周部を取り除く工程が不要であり、外周部のデバイスの収率が上がるうえに、ウェハのフレームマウントの搬送も安定化し、また、ウェハの表面保護テープの剥離工程では特殊なクランプが不要になる。加えて、薄板状のウェハの平坦性が確保され、ウェハの加工品質の向上に寄与することができる等の効果を奏しうる。
【0053】
本発明は、上記の実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0054】
たとえば、ダイシング工程では、ブレードによるウェハの切断に限らず、レーザ光を照射した後、力を加えて切断してもよい。この場合、研磨液を使用しないので、プローバにレーザ照射機構を設けてプローバの移動ステージを利用してレーザを照射することができる。また、レーザ光を照射する方法であれば、欠けの発生を未然に低減しうる。