(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
計測軸方向に沿って相互に関して移動する2つの部材の間の基準位置の指標を提供することに使用可能な光ファイバ基準信号発生部を含む光ファイバリードヘッドおよびスケール装置であって、
前記光ファイバ基準信号発生部は、
第1の光ファイバリードヘッドの少なくとも一部を含み、前記第1の光ファイバリードヘッドの少なくとも一部は、第1の分散性光源光を出力する光源と、それぞれの基準マーク信号を提供するように構成された少なくとも第1と第2の光ファイバ基準マーク信号受信チャネルを含み、前記第1の光ファイバ基準マーク信号受信チャネルは、第1の基準マーク信号受信チャネル光ファイバと第1の基準マーク信号受信チャネル開口を含み、前記第2の光ファイバ基準マーク信号受信チャネルは、第2の基準マーク信号受信光ファイバと第2の基準マーク信号受信チャネル開口を含み、
スケール部材の上で前記計測軸方向に沿って延びる第1のスケールトラックを含み、前記第1のスケールトラックは、前記第1の分散性光源光を反射して、前記第1の光ファイバリードヘッドにスケール光を供給するように構成され、前記第1のスケールトラックは、
前記計測軸の方向に沿った変位計測範囲の全体にわたって延び、前記分散性光源光により照射されたときに、前記スケール光のインクリメンタル信号光成分に寄与する第1のタイプのトラック部分を含み、前記第1のタイプのトラック部分は、格子ピッチPGを有し、0次反射を抑制して、前記第1の光ファイバリードヘッドの光受信面の付近の前記スケール光の前記インクリメンタル信号光成分における空間的周期的強度パターンを提供するように構成された反射性周期的位相格子を含み、前記反射性周期的位相格子は、
対応する隆起格子要素の見かけ上の位置に見かけ上中心を置く隆起スケール要素であって、前記隆起格子要素の見かけ上の位置は、前記計測軸方向に沿って、前記格子ピッチPGだけ相互に離間されている隆起スケール要素と、
対応する陥凹格子要素の見かけ上の位置に見かけ上中心を置く陥凹スケール要素であって、前記陥凹格子要素の見かけ上の位置は、前記計測軸方向に沿って、前記格子ピッチPGだけ相互に離間され、前記計測軸方向に沿って、前記隆起格子要素の見かけ上の位置から前記格子ピッチPGの半分だけオフセットされる陥凹スケール要素と、を含み、
前記第1のスケールトラックは、前記第1のタイプのトラック部分の中に配置され、前記分散性光源光により照射されたときに、前記スケール光の基準マーク信号光成分に寄与する少なくとも1つのゾーン格子基準マーク部分を含むゾーン格子基準マークを含み、各ゾーン格子基準マーク部分は、前記スケール光の前記基準マーク信号光成分が、前記第1の光ファイバリードヘッドが前記第1のスケールトラックに関して動作的に位置付けられたときに、前記第1の光ファイバリードヘッドの前記光受信面の付近の対応する基準マーク信号作用領域を横切って高い基準マーク信号光強度を提供するように絞られる反射光を含むように構成され、前記ゾーン格子基準マークとその少なくとも1つの対応する基準マーク信号作用領域は、前記計測軸方向に沿って再現的関係を有し、前記第1と第2の基準マーク信号受信チャネル開口は、前記少なくとも1つのゾーン格子基準マーク部分とその少なくとも1つの対応する基準マーク信号作用領域部分とのそれぞれの近接性に応じて、検出可能な異なる量のスケール光を受信し、
前記隆起格子要素の見かけ上の位置と前記陥凹格子要素の見かけ上の位置は、前記計測軸方向に沿って、前記少なくとも1つのゾーン格子基準マーク部分を通じて、前記第1のタイプのトラック部分から継続するように画定され、
前記少なくとも1つのゾーン格子基準マーク部分は、それぞれ対応する隆起格子要素の見かけ上の位置にわたって配置された複数の隆起ゾーン格子要素と、それぞれ対応する陥凹格子要素の見かけ上の位置にわたって配置された複数の陥凹ゾーン格子要素を含む反射位相格子を含み、
前記少なくとも1つのゾーン格子基準マーク部分は、少なくとも第1のゾーンと、前記第1のゾーンより前記基準マーク信号作用領域から遠い第2のゾーンを含むように構成され、
前記第1のゾーンは、前記隆起ゾーン格子要素の第1のセットと、前記陥凹第1ゾーン格子要素の第1のセットを含み、
前記隆起ゾーン格子要素の第1のセットの各要素は、前記計測軸方向に沿って、平均隆起要素幅W1Eを有し、
前記陥凹ゾーン格子要素の第1のセットの各要素は、前記計測軸方向に沿って、平均陥凹要素幅W1Gを有し、
前記第1のゾーンにおいて、前記平均隆起要素幅W1Eと前記平均陥凹要素幅W1Gのうちの長いほうが(0.5*PG)より大きく、前記平均隆起要素幅W1Eと前記平均陥凹要素幅W1Gのうちの短いほうが(0.5*PG)より小さく、
前記第2のゾーンは、前記隆起ゾーン格子要素の第2のセットと、前記陥凹ゾーン格子要素の第2のセットを含み、
前記隆起ゾーン格子要素の第2のセットの各要素は、前記計測軸方向に沿って、平均隆起要素幅W2Eを有し、
前記陥凹ゾーン格子要素の第2のセットの各要素は、前記計測軸方向に沿って、平均陥凹要素幅W2Gを有し、
前記第2のゾーンにおいて、前記平均隆起要素幅W2Eと前記平均陥凹要素幅W2Gのうちの長いほうが(0.5*PG)より大きく、前記平均隆起要素幅W2Eと前記平均陥凹要素幅W2Gのうちの短いほうが(0.5*PG)より小さく、
前記第1のゾーンにおいてW1E>W1Gであると、前記第2のゾーンではW2G>W2Eとなり、前記第1のゾーンにおいてW1E<W1Gであると、前記第2のゾーンではW2G<W2Eとなり、
前記第1と第2の基準マーク信号受信チャネル開口は、前記第1の光ファイバリードヘッドが前記第1のスケールトラックに関して動作的に位置付けられたときに、前記計測軸方向に沿って相互に最も近いその開口境界が前記計測軸方向に沿って寸法AR12SEPによって分離され、前記計測軸方向に沿って相互に最も遠いその開口境界が前記計測軸方向に沿って総開口範囲寸法AR12SPANにわたるように構成され、
前記少なくとも1つの基準マーク部分は、その少なくとも1つの対応する基準マーク信号作用領域部分の2つの信号作用領域境界が、前記計測軸方向に沿って縁辺間寸法LETOEZRMSEだけ分離されるように構成され、
前記少なくとも1つの基準マーク部分と前記第1と第2の光ファイバ基準マーク信号受信チャネル開口は、AR12SEP<LETOEZRMSE<AR12SPANとなるように構成され、
前記第1の光ファイバリードヘッドが前記第1のスケールトラックに関して動作的に位置付けられたときに、前記少なくとも第1と第2の光ファイバ基準マーク信号受信チャネルが、その開口から前記スケール光の一部を入力し、前記スケール光の前記入力部分を送信して、それぞれの基準マーク信号を供給し、これが前記ゾーン格子基準マークに近い信号交差領域の中の基準位置を示す
光ファイバリードヘッドおよびスケール装置。
対応する基準マーク信号作用領域部分を通過する増強された基準マーク信号光強度は、前記対応する基準マーク信号作用領域部分にわたって増強強度分布を含み、前記2つの信号作用領域境界の各々は、前記スケール光の前記基準マーク信号光成分の強度分布が最大で前記増強強度分布の最大寄与度の80%と、最低で前記増強強度分布のその最大寄与度の20%の範囲内に入るように定められる、請求項1に記載の光ファイバリードヘッドおよびスケール装置。
前記第1と第2の基準マーク信号受信チャネル開口は各々、それぞれの基準マーク信号受信チャネル光ファイバの端部の付近に位置付けられ、その光伝送コアエリアの一部を覆うそれぞれの開口マスクを含み、
前記それぞれの開口マスクは、前記計測軸方向に垂直でなく、隣接する開口境界から前記計測軸方向に沿って、反対側の横断方向開口縁辺に向かう開口縁辺推移寸法PAETにわたる、少なくとも第1の横断方向開口縁辺を含む、請求項1に記載の光ファイバリードヘッドおよびスケール装置。
前記開口縁辺推移寸法PAETは、それぞれの開口マスクの前記平面において、干渉縞ピッチFPの整数個分に見かけ上等しい、請求項8に記載の光ファイバリードヘッドおよびスケール装置。
前記寸法PAWは、前記それぞれの開口マスクの前記平面において、前記第1と第2の開口縁辺の長さの少なくとも大部分に沿って、干渉縞ピッチFPの整数個分に見かけ上等しく、
前記開口縁辺推移寸法PAETは、前記それぞれの開口マスクの前記平面において、干渉縞ピッチFP整数個分に見かけ上等しい、請求項10に記載の光ファイバリードヘッドおよびスケール装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による基準信号発生部を含む、第1の実施形態の小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成1000の等角図である。
図1に示されるように、小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成1000は、スケール格子80を含むスケール部材81と、インクリメンタルリードヘッド100と、基準マークリードヘッド200を備える。リードヘッド100と200は一般に、相対的に動かないよう載置されるか、あるいは単一のユニットとして形成されて、それらの変位が同期する。
【0016】
直交XYZ座標系は、Y軸がスケール格子80のバーに平行であり、Z軸がスケール格子80の表面に垂直であり、X軸がY−Z平面に直角であるように定義できる。計測軸82は、X軸に平行である。動作中、スケール部材81は計測軸82に沿って変位するため、リードヘッド100は、スケール格子80を含むインクリメンタル計測スケールトラック86に沿って変位され、リードヘッド200は基準スケールトラック88に沿って変位される。
図1において、インクリメンタル計測スケールトラック86と基準スケールトラック88の間の大まかな境界線が、破線10で示されている。
図1に示される実施形態において、基準スケールトラック88は一般に、スケール格子80を含む。しかしながら、重要な点として、基準スケールトラック88はまた、1つまたは複数のマークゾーン251を含んでいてもよく、これについては後で詳しく説明する。
【0017】
インクリメンタルリードヘッド100は、光ファイバケーブル195の中に含まれる複数の光ファイバ130の端部を収納し、位置付けるフェルール101を含む先行技術による小型光ファイバリードヘッドであってもよい。各種の実施形態において、インクリメンタルリードヘッド100は、本願で参照された参考文献に記載されている、どの種類のインクリメンタルリードヘッドを含んでいてもよい。
図1の実施形態では、インクリメンタルリードヘッド100は光干渉型リードヘッドを含み、これは上述の‘696号特許で詳しく説明されている。簡潔にいえば、動作中、リードヘッド100は、光ファイバ130の中央のファイバから分散するコヒーレントな光源光150を出力し、これがスケール格子80の照明スポット153を照明し、その点で反射回折されて、スケール光155を供給する。各種の実施形態において、スケール格子80は0次反射を抑制するように構成された位相格子である。したがって、スケール光155は、主としてリードヘッド100に反射される±1次回折光を含む。±1次回折光は、位相マスク要素161の光受信面160の付近に干渉縞の場を形成する。位相マスク要素161によって、光受信面160に複数の空間フィルタが提供され、これらの空間フィルタは外側の光ファイバ130の端部全体にわたって異なる空間位相を有して、複数の光ファイバインクリメンタル計測信号受信チャネルを提供しており、これは‘696号特許に記されている。空間フィルタにより、光ファイバインクリメンタル計測信号受信チャネルは、スケール格子80がリードヘッド100に関して変位されると、異なる空間位相を有する周期的な光信号(たとえば、直交信号)を出力してもよい。
【0018】
基準マークリードヘッド200は、光ファイバケーブル295の中に含まれる複数の光ファイバ230の端部を収納し、位置付けるフェルール201を含んでいてもよい。各種の実施形態において、基準マークリードヘッド200は、本発明による各種の基準信号発生部を含んでいてもよく、これについて以下に詳しく説明する。簡潔にいえば、動作中、リードヘッド200は、光ファイバ230の中央のファイバから分散する光源光250を出力し、これがスケール格子80および/または基準マークゾーン251の照明スポット253を照明する。各種の実施形態において、分散する光源光250は、有利な点として、単色で空間的にコヒーレントであり、いくつかの実施形態では時間的にコヒーレントであってもよい。一般に、スケール格子80は、リードヘッド100に関して先に概略が説明されたものと同様に、反射回折されたスケール光を供給し、これが干渉縞の場を生成する。しかしながら、各種の実施形態において、基準マークリードヘッド200は位相マスク要素を備えない。すると、外側の光ファイバ230の端部は複数の光ファイバ基準マーク信号受信チャネルを提供し、変位とは無関係に、単純に干渉縞の場からほぼ一定の「平均的な」量の光を受け取る。
【0019】
前述のように、各種の実施形態において、スケール格子80は0次反射を抑制するように構成された位相格子である。したがって、基準マークは、基準マークゾーン251の中に少なくとも1つの鏡面状マーク部分を使用することによって、スケール格子80の構造および/または動作を妨害することによって形成されてもよい。このような場合、基準マークゾーン251が照明スポット253の中に位置づけられると、鏡面状基準マーク部分は0次反射を起こし、
図1に示されるような分散性のスケール光254が供給される。その結果、リードヘッド200が基準マークゾーン251にわたって変位されると、(光ファイバ基準マーク信号受信チャネルとして使用される、外側の光ファイバ230の端部のうちいずれか1つによって)基準信号として受信され、送信される「平均的な」干渉縞光の量と0次反射光の量は、照明スポット253と基準マーク部分の基準マークゾーン251の重複する量に応じて変調される。複数のそれぞれの光ファイバ基準マーク信号受信チャネルを使って、このように変調された光基準信号を送受信することにより、基準位置を正確に判断することができ、これについて以下に詳細に説明する。
【0020】
基準マークゾーン251の基準マーク部分は、Y軸方向に沿って幅WYを有し、それらの境界は計測軸82の方向に沿って間隔を空けて配置されていてもよく、これについて以下に詳しく説明する。幅WYは一般に、基準マークゾーン251あるいは本明細書に記載される他の基準マークゾーンのいずれにとっても重要ではないが、リードヘッド200の所望の位置決め誤差が基準マークスケールトラック88の幅以内に収まることが条件となる。各種の実施形態において、計測軸82の方向に沿った、基準マークゾーン251に含まれる基準マーク部分の境界の適正な間隔が、信頼性の高い、ロバストな基準信号を供給する上で重要であるかもしれず、リードヘッド200の中に設けられるファイバの構成および/または光ファイバ基準マーク信号受信チャネル開口の特定の寸法に概して依存する場合があり、これについて以下に詳しく説明する。
【0021】
図2は、本発明による基準信号発生部を含む、小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成2000の第2の実施形態の等角図である。小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成2000の動作は、いくつかの点において、
図1の小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成1000の動作と同様であり、類似の番号が付与された構成要素は、以下に説明する点を除き、形態と動作において同様または同一であってもよい。
図2に示されるように、小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成2000は、スケール部材81を含むスケール格子80と、インクリメンタルリードヘッド100と、基準マークリードヘッド200とを備える。小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成2000と、小型光ファイバリードヘッドおよびスケール装置1000との主な違いは、基準スケールトラック88’の構造が、基準スケールトラック88の構造と異なる点である。特に、少なくとも、基準スケールトラック88’のうち基準マークゾーン251’を取り囲む部分には、分散性の光源光により照射されると有意な量の0次反射光を提供するトラック部分(たとえば、鏡面状のトラック部分)が含まれる。基準マークゾーン251’は、このトラック部分の中に位置づけられる。このような実施形態において、基準マークゾーン251’には少なくとも1つの基準マーク部分が含まれ、この部分が提供する0次反射光の量は周囲のトラック部分より有意に少ない(たとえば、0次反射を抑制するように設計された格子部分)。いくつかの実施形態において、基準マークゾーン251’に含まれる格子基準マーク部分は、構造において、インクリメンタルスケールトラック86に沿って延びるスケール格子80と同一であってもよい。1つの実施形態において、鏡面状のトラック部分は、基準スケールトラック88’のほぼ全長にわたって延びていてもよい。
【0022】
簡潔に言えば、動作中、リードヘッド100は、リードヘッド200に関して固定され(たとえば、各リードヘッドを同じ取り付けブラケットの中に取り付けることによる)、スケール部材81が計測軸82に沿って変位すると、リードヘッド100はインクリメンタル計測スケールトラック86に沿って変位され、リードヘッド200は基準スケールトラック88’に沿って変位される。一般に、照射スポット253が基準スケールトラック88’に沿って、基準マークゾーン251’を含まないがこれに近い位置(たとえば、破線15で示されるものに当たる位置)に位置付けられると、基準スケールトラック88’の鏡面状部分は強力な0次反射を起こす。以上の結果として、複数の光ファイバ基準マーク信号受信チャネルを提供する外側の光ファイバ230の端部は、変位の範囲にわたり、その0次反射からほぼ一定の「大きな」量の光を受信することになる。
【0023】
基準マークは、基準マークゾーン251’の中の鏡面状トラック部分の構造および/または動作を妨害することによって形成してもよい。たとえば、0次反射を抑制するように構成された格子型基準マークを基準マークゾーン251’の中に位置づけてもよい。このような場合、基準マークゾーン251’が照射スポット253の中に位置づけられると、格子部分の基準マークは0次反射を抑制して、±1次反射を起こし、これは
図2において、基準マークゾーン251’の上方で分散スケール光255の中の分散する点線として示される。その結果、リードヘッド200が基準マークゾーン251’にわたって変位されると、0次反射光の量は有意に減少する。特に、0次反射が抑制され、反射光の相当部分は、±1次および3次回折光としてリードヘッド200から遠ざかるように偏向される。その結果、光ファイバ基準マーク信号受信チャネルとして使用される外側の光ファイバ230の端部のうちのいずれか特定の1つによって基準信号として送受信される光は、照射スポット253と基準マークゾーン251’の中の基準マーク部分が重複する量に応じて変調される。複数のそれぞれの光ファイバ基準マーク信号受信チャネルを使って、このように変調された光基準信号を送受信することにより、基準位置を正確に判断することができ、これについて以下に詳細に説明する。
【0024】
前述のように、計測軸82の方向に沿った、基準マークゾーン251’に含まれる基準マーク部分の境界の適正な間隔は、信頼性の高い、ロバストな基準信号を供給する上で重要であるかもしれず、リードヘッド200の中に設けられるファイバの構成および/または光ファイバ基準マーク信号受信チャネル開口の特定の寸法に概して依存する場合があり、これについて以下に詳しく説明する。
【0025】
図3は、本発明による基準信号発生部を含む小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成3000の第3の実施形態の等角図である。小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成3000の動作は、いくつかの点において、
図1の小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成1000の動作と同様であり、類似の番号が付与された構成要素は、以下に説明する点を除き、形態と動作において同様または同一であってもよい。
図3に示されるように、小型光ファイバリードヘッドおよびスケール装置3000は、スケール格子80を含む1つのスケールトラックと基準マークゾーン351を有するスケール部材81と、一体型のインクリメンタルおよび基準マークリードヘッド300を含み、このリードヘッドを単に、一体型リードヘッド300ともいう。スケール格子80は、0次反射を抑制するように構成された位相格子であってもよい。基準マークゾーン351は、
図1の基準マークゾーン251に関して上述したように、少なくとも1つの鏡面状の基準マーク部分を含む。一体型リードヘッド300は、光ファイバケーブル395の中に含まれる複数の光ファイバ330の端部を収納し、位置付けるフェルール301を含む。各種の実施形態において、一体型リードヘッド300は、
図10、
図11、
図12等に関して後述する、どのようなタイプの一体型リードヘッドの形態を含んでいてもよい。
【0026】
簡潔に言えば、動作中、一体型リードヘッド300は、光ファイバ330の中央の1本のファイバからの分散性の光源光350を出力し、これはスケール格子80の照射スポット353を照射する。各種の実施形態において、光源光350は有利な点として、単色で、空間的にコヒーレントであり、いくつかの実施形態では時間的にコヒーレントであってもよい。光源光350は一般に、反射回折され、スケール光355を供給する。スケール光355は±1次回折光を含み、これがリードヘッド300へと反射されて、位相マスク要素361の光受信面360の付近に干渉縞の場を形成し、この位相マスク要素361は、外側の光ファイバ330の特定のファイバの端部全体にわたって異なる空間位相を有する位相マスク部分を使って、干渉縞を空間的にフィルタリングし、前述の原理にしたがって、複数の光ファイバインクリメンタル計測信号受信チャネルを提供する。空間フィルタリングの結果、一体型リードヘッド300の特定の光ファイバ受信チャネルは、インクリメンタル計測信号受信チャネルを提供し、これは、スケール格子80がリードヘッド300に関して変位されると、異なる空間位相を有する周期的な光信号(たとえば、直交信号)を出力するかもしれない。
【0027】
図3に示される実施形態において、一体型リードヘッド300の位相マスク要素361はまた、外側の光ファイバ330の特定のファイバの端部にわたって空間フィルタリングを行わない領域を含み、複数の光ファイバ基準マーク信号受信チャネルを提供し、これを使って、基準マークゾーン351の中の鏡面状の基準マーク部分から発生する基準信号が供給される。各種の実施形態において、
図3に示すように、基準マークゾーン351が照射スポット353の中に位置づけられると、鏡面状基準マーク部分は0次反射を起こし、分散性スケール光354を供給する。その結果、リードヘッド300が基準マークゾーン351の上で変位されると、空間フィルタリングを行わず、複数の光ファイバ基準マーク信号受信チャネルを提供する、特定の外側の光ファイバ330の端部によって基準信号として受信され、送信される「平均的な」干渉縞光と量と0次反射光の量は、照射スポット353と基準マークゾーン351が重複する量に応じて変調される。複数のそれぞれの光ファイバ基準マーク信号受信チャネルを使ってこのように変調された基準信号を送受信することによって、基準位置を正確に判断することができ、これについては以下に詳しく説明する。
【0028】
一体型リードヘッド300では、インクリメンタル変位計測に使用されるような、異なる空間位相を有する周期的光信号(たとえば、インクリメンタル計測直交信号)を継続的に出力し、同時に、一体型ヘッド300による照射スポット353が基準マークゾーン351と重複したときに、基準マーク光信号を出力することが望ましいことがわかるはずである。したがって、各種の実施形態の例において、基準マークゾーン351に含まれる鏡面状の基準マーク部分の面積をできるだけ小さくし、なおかつ他の基準マークの設計上の検討項目を満たすことが有利であり、これについては以下に詳しく説明する。
【0029】
図4は、本発明による基準信号発生部を含む小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成3000’の第4の実施形態の等角図である。小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成3000’の動作は、多くの点において、
図3の小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成3000の動作と同様であり、類似の番号が付与された構成要素は、以下に説明する点を除き、形態と動作において同様または同一であってもよい。一般に、小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成3000’と3000の動作の大きな違いのみを以下に説明する。
【0030】
図4に示されるように、小型光ファイバリードヘッドおよびスケール装置3000’は、一体型リードヘッド300およびスケール部材81を含み、スケール部材81はスケール格子80および、端部領域89の中に配置される基準マークゾーン451と基準マーク境界ゾーン451’を含む1つのスケールトラックを有する。基準マーク境界ゾーン451’は、格子部分であるトラック部分(たとえば、各種の実施形態において、スケール格子80と同一)を有して、これが基準マークゾーン451の第1の境界を提供してもよい。スケール格子80は、0次反射を抑制するように構成された位相格子であって、これが基準マークゾーン451の第2の境界を提供してもよい。基準マークゾーン451とスケール格子80の間の境界は、リードヘッドおよびスケール構成3000’によって提供されるインクリメンタル変位計測範囲の端部にほぼ対応してもよい。端部領域89のうち、ゾーン451、451’の外側にあたる部分は一般に、鏡面状の領域を含んでもよい。
【0031】
基準マークゾーン451は鏡面状基準マーク部分を含んでいてもよく、これは計測軸の方向に沿って、スケール格子80と基準マーク境界ゾーン451’の格子部分によって境界が定められるため、リードヘッドおよびスケール構成3000に関して先に説明した基準マークゾーン351と、構造と動作の点でほぼ同様であってもよい。リードヘッドおよびスケール構成3000と比較した場合のリードヘッドおよびスケール構成3000’の1つの利点は、基準マークゾーン451が通常のインクリメンタル変位計測範囲には含まれていないことであり、そこに含まれていると、通常のインクリメンタル変位計測の精度をある程度損なう可能性がある。
【0032】
1つの実施形態において、基準マーク境界ゾーン451’は、基準マークゾーン451の鏡面部分と端部領域89の鏡面領域によって境界が定められ、リードヘッドおよびスケール構成2000に関して先に説明したように、基準マークゾーン251’と構造においてほぼ同様または同一であってもよい。このような実施形態において、基準マーク境界ゾーン451’を使って基準マーク2次信号を供給してもよい。特に、一体型リードヘッド300は一般に、鏡面状端部領域89と基準マークゾーン451の基準マーク部から有意な量の0次反射光を受信する。しかしながら、照射スポット353が基準マーク境界ゾーン451’の格子部と重複すると0次反射は抑制され、反射光の有意な部分が、前述の原理にしたがって、一体型リードヘッド300から±1次および3次回折光として離れる。その結果、空間フィルタリングを行わない特定の外側の光ファイバ330の端部から基準信号として送受信される光の量は、照射スポット353が基準マーク境界ゾーン451’と重複する量に応じて変調される。基準境界ゾーン451’の中の格子部分が、後に詳しく説明する原理に従って決定される動作長さLETOEを有する場合、必要に応じて、2次的な基準マーク位置を正確に判断することができる。
【0033】
各種の実施形態において、基準マークゾーン451からの信号は、スケール部材81に沿った基準マーク位置を判断し、また、リードヘッドおよびスケール構成3000’のインクリメンタル変位計測範囲の端部を信号で知らせるために使用してもよい。いくつかの実施形態において、基準マーク境界ゾーン451’からの信号は、リードヘッドおよびスケール装置3000’の相対的変位に関する「リミットスイッチ」として機能し、および/または相対的変位の適当な方向が提供されたとき、ある回路に基準マークゾーン451によって示される基準マークの位置を検出させるようにするルーチンや回路を起動させるように使用してもよい。
【0034】
図5は、本発明による格子および基準マーク構造500の1つの例示的実施形態を示す等角図である。
図1から
図4と類似の番号が付与された構成要素は、同様または同一であってもよい。格子および基準マーク構造500は、スケール部材81の上に配置されたスケール格子80と鏡面部分基準マーク50−Mを含む。鏡面部分基準マーク50−Mは、一般的な例として描かれている。
図5に示されるように、スケール格子80は、Y軸方向に沿って延びる格子要素Eを含み、これは陥凹要素Gによって分離される。格子要素Eは、格子ピッチP
gにしたがって、計測軸82に沿って周期的に配置される。計測軸82の方向に沿って、格子要素Eの各々は幅W
Eを有し、陥凹要素Gの各々、幅W
Gを有する。格子要素Eはまた、Z軸の方向に沿って陥凹高さH
Eを有する。
図5に示されるスケール格子80の具体的な実施形態は、0次反射光とすべての偶数次回折を抑制するように設計されている。これを実現するための方法は、上述の‘696号特許に述べられており、それ以外でも当業界では公知である。簡潔に言えば、1つの例示的実施形態において、スケール格子80は反射位相格子として形成され、その中で、長方形の格子要素Eと陥凹要素Gの両方が反射クロームで被覆され、格子要素同士の間の陥凹高さH
Eによって0次反射光が干渉により打ち消し合い、その高さは、たとえば格子および基準マーク構造500で使用される光源光の波長の1/4である。デューティサイクルが50%である、すなわちW
EがW
Gとほぼ等しいと、0次反射光が最適に抑制され、また、残りの偶数次回折も抑制される。
【0035】
X軸方向に沿って長さLETOEを有する鏡面部分基準マーク50−Mは、スケール格子80の中に配置されてもよい。当然、スケール格子80は、鏡面部分基準マーク50−Mのどちら側でも同相に保つべきである。各種の例示的実施形態において、鏡面部分基準マーク50−Mの大きさと位置は、その境界が格子要素Eの同様の境界と同相になるようにする。いくつかの実施形態において、長さLETOEは、スケール格子80の(N+1/2)周期(Nは整数)と一致してもよい。いくつかの実施形態において、Nはスケール格子80の10〜30周期の範囲で選ばれてもよい。しかしながら、この範囲は例にすぎず、これに限定されない。所望の長さLETOEを選択する際の検討項目は、以下に詳しく説明する。鏡面部分基準マーク50−Mは、格子要素Eの平面に対応して形成されているように描かれているが、格子要素Gの平面に対応して形成されてもよいことがわかるであろう。各種の実施形態において、ミラー部分基準マーク50−Mは、スケール格子80を製作するときと同じステップの一部を使って製作してもよい。したがって、
図5に示される基準マーク50−Mの実施形態は、位相型スケール格子80と光干渉型小型光ファイバリードヘッドを備える小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成において使用可能な基準マークを提供するための特に経済的な方法を提供する。
図5に示されるように、格子および基準マーク構造500は、鏡面部分基準マーク50−Mが基準マークゾーン251の中に配置される、
図1のリードヘッドおよびスケール構成1000と、鏡面部分基準マーク50−Mがそれぞれ基準マークゾーン351、451の中に配置される
図3、
図4のリードヘッドおよびスケール構成3000、3000’のスケールトラック88の中で使用するのに特に適している。
【0036】
図5に示され、上で説明した格子と鏡面の特徴が果たす役割は、X軸方向に沿って延びる鏡面スケールトラック部分、および/または
図4に示される端部領域89の中に含まれる鏡面領域に埋め込まれる、長さLETOEの格子部分基準マークを提供するように逆転させることができる。このような格子部分基準マークとこれに関連する鏡面スケールトラック部分または鏡面領域は、スケール部材81の上にインクリメンタル計測スケールトラックに沿ってインクリメンタル計測スケール格子を製作するときと同じステップを使って製作してもよいため、位相型インクリメンタル計測スケール格子と光干渉型小型光ファイバリードヘッドを備える小型光ファイバリードヘッドおよびスケール構成に使用機能な格子型基準マーク部分を提供するための、特に経済的な方法を提供することができる。このような、格子型基準マーク部分を有する構造は、格子型基準マーク部分が基準マークゾーン251’の中に位置づけられるような
図2のリードヘッドおよびスケール構成2000と、格子型基準マーク部分が基準マークゾーン451’の中に位置付けられるような
図4のリードヘッドおよびスケール構成3000’のスケールトラック88’の中で使用するのに特に適している。
【0037】
図6A、6Bは、本発明による基準信号発生部6000の第1の実施形態の各種の態様を、図中の寸法の関係に関して概略的に示す等角図である。
図6Aにおいて、基準信号発生部6000は基準マークリードヘッド光ファイバ構成600を備え、これは前述のように、個々のリードヘッドおよびスケール構成においてどちらが適当かに応じて、鏡面基準マーク部分か格子基準マーク部分(たとえば、図示されていないスケール部材81の上)のいずれを含んでいてもよい一般的基準マーク50Aに関して動作的に位置付けられる。基準マーク50Aは、X軸、すなわち計測軸の方向に沿った寸法LETOE、Y軸の方向に沿った寸法WY、X軸の方向に沿った中心線RMCを有する。簡潔に言えば、動作中、基準マークリードヘッド光ファイバ構成600は、中央のファイバから分散性の光源光650を出力し、これが図に例として光源光650−1、650−2、650−3で示されるように基準マーク50Aを照射する。各種の実施形態において、光源光650は、有利な点として、単色で、空間的にコヒーレントであり、いくつかの実施形態においては時間的にコヒーレントであってもよい。基準マーク50Aが、格子トラック部分および/またはスケールトラックによって囲まれた鏡面基準マーク部分であれば、基準マーク50Aは、光源光線650−1、650−2、650−3にそれぞれ対応する例示的なスケール光線654−1、654−2、654−3で示されるように、0次反射光を基準マークリードヘッド光ファイバ構成600に強力に反射する。このような場合、鏡面基準マーク部分に対応する基準マーク信号作用領域50A−SEは、それが基準マークリードヘッド光ファイバ構成600により提供される光ファイバ基準マーク信号受信チャネル開口と重複するかぎり、「信号増強」領域となる。
【0038】
図6Aに示されるように、反射された0次スケール光は、光ファイバ構成600の端部により提供される光信号レシーバ開口の付近に基準マーク信号作用領域50A−SEを発生させる。基準マーク信号作用領域50A−SEの寸法は、反射されたスケール光の分散によって基準マーク50Aの2倍に「拡大」される。一般に、分散性の光源光を使用することにより、本明細書に記載するすべての基準マーク信号作用領域は、ゾーン格子型基準マークでないかぎり、その寸法は対応する基準マークの2倍である。基準マーク信号作用領域50A−SEは、X軸方向に沿った中心線RMC−SEを有する。基準マーク50Aと基準マーク信号作用領域50A−SEとの大きさの違いに関係なく、それぞれの中心線RMCとRMC−SEは、計測軸82に沿って整列していてもよく、同じ割合で変位してもよいことがわかるであろう。
【0039】
上記の動作の説明は、基準マーク50Aが鏡面基準マーク部分である(たとえば、
図1、
図3に示される)ことを前提としている。基準マーク50Aが鏡面領域またはトラック部分によって取り囲まれる格子基準マーク部分である場合(たとえば、
図2に示される)、例示的な光源光線650−1、650−2、650−3およびこれに対応する反射された例示的スケール光線654−1、654−2、654−3は、通常は周囲の鏡面領域またはトラック部分(たとえば、スケールトラック88’の鏡面部分)によって供給されるが、格子部分基準マーク50Aの0次反射抑制と、より高次の回折特性によって打ち消される0次光線と解釈してもよい。そのような場合、対応する基準マーク信号作用領域50A−SEは、それが基準マークリードヘッド光ファイバ構成600により提供される光ファイバ基準マーク信号受信チャネル開口と重複するかぎり、「信号減少」領域となる。格子部分基準マークは、スケール格子80と同じように整列、離間された格子バーを有するものに限定されない。より一般的には、基準マークリードヘッド光ファイバ構成600から有意な量の光源光を回折させ、および/または0次反射を有意に抑制するのであれば、どのような格子部分基準マークでも(たとえば、2次元格子等)使用できる。
【0040】
図6Bは、
図6Aに示される基準信号発生部6000の中の、基準マークリードヘッド光ファイバ構成600と基準マーク信号作用領域50A−SEを含む部分6000’を示す。
図6Bに示されるように、基準マークリードヘッド光ファイバ構成600は、光受信用ファイバ690R1、690R1’、690R2、690R2’を含んでいてもよく、それらの端部は、図のように、光基準マーク信号REF1、REF1’、REF2、REF2’を送受信する基準マーク信号受信チャネル開口を提供する。他の2本のファイバ690X、690X’は、必要に応じて、任意のダミーファイバであってもよく、これは、密着パッキング方式での組立を行いやすくするために利用することができる。また、いくつかの実施形態において、2本のファイバ690X、690X’には、光信号の強度の変化、汚染作用またはその他の異常を監視するために有益となりうる光信号を受け取り、あるいはまた別の光源とするための受信開口を設けてもよい。光受信用ファイバ690R1、690R1’、690R2、690R2’は、外径がDRFで、いくつかの実施形態において基準マーク信号受信チャネル開口と一致するかもしれない、および/またはそれを提供する直径DRAの光伝送コア領域を有するマルチモードファイバであってもよい。中央の光源用ファイバ670は、一般に分散性の光源光を放出する光源680を提供し、いくつかの実施形態において、光源用ファイバ670のシングルモードコアの端部により提供されてもよい。
【0041】
各種の実施形態において、リードヘッド光ファイバ構成を、光ファイバリードヘッド内に配置されるすべての光ファイバが、最大で1.5ミリメートル、または1.0ミリメートル、またはそれ以下の直径を有する円筒空間の中に配置されるように構成することが有利かもしれない。基準マークリードヘッド光ファイバ配置600の1つの例示的実施形態において、光伝送コアの直径DRAは約200ミクロンであってもよく、これはまた基準マーク信号受信チャネル開口の直径であってもよく、外径DRFは約250ミクロンであってもよく、中央のファイバ670は、同じ外径DRFとシングルモードのコアの直径、約4〜10ミクロンであってもよい。したがって、このような実施形態において、基準マークリードヘッド光ファイバ構成600全体の直径は、750ミクロンの程度であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、これより大きな、または小さなファイバおよび/または他のファイバ間隔を用いてもよいことがわかるであろう。
【0042】
図6Bにおいて、破線AR1L、AR1R、CAR1は、信号REF1、REF1’に対応する基準マーク信号受信チャネル開口の、X軸方向に沿った、それぞれ左右の境界と中心の位置を示す。破線AR2L、AR2R、CAR2は、信号REF2、REF2’に対応する基準マーク信号受信チャネル開口の、X軸方向に沿った、それぞれ左右の境界線と中心の位置を示す。寸法LCAR1CAR2は、信号REF1、REF1’に対応する基準マーク信号受信チャネル開口の実効中心と、信号REF2、REF2’に対応する基準マーク信号受信チャネル開口の中心との間の、X軸に沿った距離を示す。寸法AR12SEPは、境界AR1RとAR2Lの間の分離距離を示す。より一般的には、本明細書において、また
図10、
図11に関して、寸法AR12SEPは、光ファイバ装置の中に含まれる2つの基準マーク信号受信チャネル開口の内側境界の間、すなわち計測軸の方向に沿って相互に最も近い境界の間の、計測軸の方向に沿った距離を示す。寸法AR12SPANは、境界AR1LとAR2Rの間の距離の合計を示す。より一般的には、本明細書において、また
図10、
図11に関して、寸法AR12SPANは、光ファイバ構成に含まれる2つの基準マーク信号受信チャネル開口の外側境界の間、すなわち、計測軸の方向に沿って相互に最も遠い境界の間の、計測軸の方向に沿った距離を示す。
【0043】
基準信号発生部6000に関して、最も一般的な指針は、基準マークリードヘッド光ファイバ構成600と基準マーク50Aを、以下の関係、
AR12SEP<(2
*LETOE)<AR12SPAN (式1)
が満たされ、そして、結果として得られる基準マーク信号が、基準マーク50Aに近い信号交差領域内において、所望の精度および/または再現性で基準点を特定するために使用できるように構成するべきである、という点であり、これについては以下に詳しく説明する。各種の実施形態において、さらに以下の関係、
(2
*LETOE)>[AR12SEP+(0.25
*(AR12SPAN−AR12SEP))]
(2
*LETOE)<[AR12SEP+(0.75
*(AR12SPAN−AR12SEP))] (式2、3)
を満たす構成が有利であるかもしれない(たとえば、基準マーク信号間の、よりロバストおよび/または信頼性の高い関係を提供することによる)。各種の他の実施形態において、さらに、以下の関係、
(2
*LETOE)>[AR12SEP+(0.4
*(AR12SPAN−AR12SEP))]
(2
*LETOE)<[AR12SEP+(0.6
*(AR12SPAN−AR12SEP))] (式4、5)
を満たす構成がより有利であるかもしれない。いくつかの実施形態において、寸法2
*LETOEは、[AR12SEP+(0.5
*(AR12SPAN−AR12SEP))]とほぼ等しく、あるいは信号REF1、REF2に対応する基準マーク信号受信チャネル開口の間の中心間距離LCAR1CAR2とほぼ等しい場合、
図8、
図12に関して後述するような基準マーク信号を提供することが最も有利であるかもしれない。
【0044】
図7は、本発明による基準信号発生部の第2の実施例の部分7000’の等角図である。部分7000’の設計と動作は、多くの点において、
図6Bの部分6000’と同様であり、6XX、7XXと続く類似の番号が付与された要素(要素690R2と790R2)は、以下に記載するものを除き、形態と動作において同様または同一であってもよい。一般に、部分7000’の設計と動作は、部分6000’と基準信号発生部6000に関する上記の説明に基づくものとしてもよい。したがって、部分6000’と7000’の動作の重要な相違点だけを以下に説明する。
【0045】
基準マークリードヘッド光ファイバ構成700と600の主な違いは、光ファイバ構成700が、XY平面において異なる回転方向を有するため、X軸方向に沿って相互に近接するファイバの端が光信号REF1、REF1’、REF2、REF2’(ファイバ790R1、790R1’、790R2、790R2’にそれぞれ対応する)を送受信する基準マーク信号受信チャネル開口を提供することができるという点である。部分7000’に対応する基準信号発生部は一般に、先に式1〜5に関して概説した寸法に関する検討項目と信号に関する検討項目に従って構成されてもよい。いくつかの実施形態において、寸法2
*LETOEが[AR12SEP+(0.5
*(AR12SPAN−AR12SEP))]とほぼ等しく、あるいは信号REF1とREF2に対応する基準マーク信号受信チャネル開口の実効中心間距離LCAR1CAR2にほぼ等しい場合に、
図8に関して説明するような基準マーク信号を提供することが最も有利であるかもしれない。寸法LCAR1CAR2は、光ファイバ構成700の場合のほうが光ファイバ構成600の場合より小さいため、基準マーク信号作用領域50B−SEの寸法2
*LETOEと、対応する基準マーク(明細書中では基準マーク50Bとするが、図には示されていない)の対応する寸法LETOEは、部分7000’に対応する基準信号発生部ではより小さくなるように選択されることに気づくかもしれない。
【0046】
図6A、
図6B、
図7に示されるように、基準信号発生部6000、または部分7000’に対応する基準信号発生部のいずれも、鏡面部分基準マークが基準マークゾーン251の中に位置づけられる
図1のリードヘッドおよびスケール構成1000のリードヘッド200とスケールトラック88に使用することに適している。いずれの構成も、格子部分基準マークが基準マークゾーン251’の中に位置づけられる
図2のリードヘッドおよびスケール構成2000のリードヘッド200とスケールトラック88’に使用することに適している。
【0047】
図8は、2つの概略信号
図60、70であり、それぞれ、
図6A、
図6Bの基準信号発生部6000と、
図7に示される部分7000’に対応する基準信号発生部に対応する。
図6A、
図6Bの基準信号発生部6000に対応する信号
図60は、2つの基準信号と、1つの複合信号(REF1+REF1’)と、1つの複合信号(REF2+REF2’)を、基準マーク信号作用領域50A−SE(または基準マーク50A)と基準マークリードヘッド光ファイバ構成600の間の計測軸82に沿った相対的な位置に関して示している。特に、点61は、基準マーク50Aの中心線RMCが、
図6Bに示される部分AR1Lの左に長さLETOEだけ変位された位置と一致する地点に対応する。したがって、基準マーク信号作用領域50A−SEは、基準マーク信号受信チャネル開口とも重複せず、点61では有意な信号は生成されない。基準マーク50Aが右に変位されるにつれて、基準マーク信号作用領域50A−SEはREF1とREF1’の基準マーク信号受信チャネル開口とより大きく重複し、最終的に変位が基準マーク信号受信チャネル開口の直径(たとえば、光伝送コアの直径DRA)と等しくなった後、点62において最大となる。基準マーク50Aは引き続き右に変位されるため、その後は点63と63’まで信号は変化せず、これが信号交差領域の左限界となり、ここで(REF1+REF1’)信号と(REF2+REF2’)信号は共通の数値に収束(またはここから分散)する。信号交差領域において、基準マーク50Aの中心線RMCが位置(AR1L+LETOE)の右に変位されるにつれ、信号(REF1+REF1’)は、基準マーク信号作用領域50A−SEと、REF1とREF1’基準信号受信チャネル開口の間の重複部分が減るのに合わせて減少を始める。基準マーク信号受信チャネル開口は同様の寸法を有し、基準マーク50Aの長さLETOEは基準マーク信号作用領域50A−SEの寸法2
*LETOEが
図6Bに示される寸法LCAR1CAR2とほぼ等しくなるように選択されるため、信号(REF2+REF2’)は、基準マーク信号作用領域50A−SEと、REF2とREF2’基準マーク信号受信チャネル開口との重複が増大するにつれて、点63’で同時に増加を開始する。点64において、基準マーク50Aの中心線RMCは、REF1/REF1’基準マーク信号受信チャネル開口とREF2/REF2’基準マーク信号受信チャネル開口の間に対称に位置付けられるため(
図6Bに示される位置)、信号(REF1+REF1’)と(REF2+REF2’)は見かけ上等しくなる。その他の点65、65’、66、67における信号(REF1+REF1’)と(REF2+REF2’)の挙動も、前述の説明から類推することができる。点65、65’は、点63、63’と同様に、信号交差領域の右限界を示す。
【0048】
信号
図70は、
図7に示される部分7000’を含み、これに対応する基準信号発生部に対応しており、上述の信号
図60と同様である。すなわち、点71は点61と同様、等々である。したがって、点71〜77の信号(REF1+REF1’)と(REF2+REF2’)の挙動は、上述の説明と、
図7に関する説明から類推することができる。特に、信号交差領域において、基準マーク50Bの中心線RMCが位置(AR1L+LETOE)の右に変位されるにつれ、点73において信号(REF1+REF1’)は、基準マーク信号作用領域50B−SEと、REF1とREF1’基準マーク信号受信チャネル開口との重複が減少するにつれて、減少を開始する。基準マーク信号受信チャネル開口は同様の寸法を有し、基準マーク50Bの長さLETOEは基準マーク信号作用領域50B−SEの寸法2
*LETOEが
図7に示される寸法LCAR1CAR2とほぼ等しくなるように選択されるため、信号(REF2+REF2’)は、基準マーク信号作用領域50B−SEと、REF2とREF2’基準マーク信号受信チャネル開口との重複が増大するにつれて、点73’で同時に増加を開始する。点74において、基準マーク50Bの中心線RMCは、REF1/REF1’基準マーク信号受信チャネル開口とREF2/REF2’基準マーク信号受信チャネル開口の間に対称に位置付けられるため(
図7に示される位置)、信号(REF1+REF1’)と(REF2+REF2’)は見かけ上等しくなる。信号
図70の信号(REF1+REF1’)と(REF2+REF2’)の特徴は、計測軸に沿って、信号
図60のそれより間隔が狭いことがわかるが、これは、基準マーク長さLETOEが信号
図70に対応する基準信号発生部においてより短く、またREF1/REF1’基準マーク信号受信チャネル開口とREF2/REF2’基準マーク信号受信チャネル開口の間の中心間間隔もまた小さいからである。
【0049】
各種の実施形態において、計測軸82に沿った基準点を確実な方法で提供するために、基準位置検出回路は、この信号(REF1+REF1’)と(REF2+REF2’)が交差し、基準点と同等となる地点を特定してもよい。格子部分または鏡面部分のいずれかを基準マークとして使用する各種の実施形態において、式1〜5に関連して上述した寸法に関する検討項目と信号に関する検討項目にしたがって縁辺間長さLETOEを選択することにより、一般に、基準マークに近い信号交差領域の中の基準位置(たとえば、2つの各々の基準信号が等しい数値を持つ場所)を特定することに適した基準マーク信号を提供する基準信号発生構造が得られることがわかるであろう。式2と3または4と5の関係を満たすことにより、信号交差領域において、基準マーク信号の間の関係が特に高い信頼性および/またはロバスト性を持つものとなるかもしれない。信号
図60と70に対応する基準信号発生部はそれぞれ、これらの関係を満たし、したがって、
図8に示されるように最大値と最小値の間のほぼ中間の信号値において見かけ上交差する信号を含む、ロバストな信号交差領域が確実に得られる。
図8に示される信号の極性は、格子領域によって取り囲まれる鏡面部分基準マークによって得られる極性に概して対応する。すべての信号は一般に、鏡面領域によって取り囲まれる格子部分基準マークについては反転される。実際には、すべての信号が一般に、コモンモードDCオフセットを含んでいるが、これは
図8に示されていない。いずれの場合も、式1〜5に関して先に説明した寸法に関する検討項目と信号に関する検討項目にしたがって設計される、前述または後述の基準信号発生部によれば、複数のそれぞれの基準マーク信号を供給することができ、これらは、基準マークに近い信号交差領域の中で、所望の空間的周期を持つインクリメンタル計測信号の半分未満の周期で反復可能な基準位置を定義できるため、この基準マークは、インクリメンタル計測信号の特定の周期またはサイクルと、関連する特定の波長をスケールに沿って、高い信頼性で示すことができる。たとえば、4または2ミクロン未満の再現性であれば容易に達成でき、サブミクロンの再現性も、特に式2と3または4と5が満たされれば、達成できるかもしれない。
【0050】
図9および10は、本発明の基準信号発生部の第3の実施形態を含む、本発明による一体型基準信号およびインクリメンタル信号発生部8000(また、一体型信号発生部8000ともいう)の動作の各種の面を概略的に示す等角図である。
図9には、一体型信号発生部8000の不可欠要素である位相マスク要素861が示されていないが、これは、その動作の他の面をより明確に示すためである。位相マスク861は、
図10に関連して以下に詳しく説明する。
【0051】
図9は、一体型信号発生部8000の具体的な要素を示しており、ここでは、一体型リードヘッド光ファイバ構成800(
図10に示される位相マスク要素861を除いている)がスケール格子80(たとえば、スケール部材81の上であり、図示されない)により囲まれた一般的な鏡面部分基準マーク50Cに関して動作的に位置付けられている。基準マーク50Cは、X軸方向に沿った寸法LETOEと中心線RMCを図のように有する。簡潔に言えば、動作中、一体型リードヘッド光ファイバ構成800は、中央のファイバにより提供される光源880から分散性の光源光850を出力し、これは基準マーク50Cと周囲のスケール格子80の照射スポット853を照射する。各種の実施形態において、光源光850は有利な点として、単色で、空間的にコヒーレントであり、いくつかの実施形態においては、時間的にコヒーレントであってもよい。スケール格子80は、
図9において中央の光線で示される反射回折された±1次スケール光855A、855Bを提供する。±1次スケール光855A、855Bは、それぞれ領域855A’と855B’を照射し、これは光干渉領域856において重複して一体型リードヘッド光ファイバ構成800の光受信面860の付近で干渉縞866を形成する。干渉縞は、前述の原理に従って、また
図10に関して以下に詳細に説明するように、光直交信号A、−A、B、−Bを受信する光ファイバの端部にわたり、位相マスク要素861(
図10に示す)によって空間的にフィルタリングされる。
【0052】
先に概略した直交信号発生動作と同時に、鏡面部分基準マーク50Cが照射スポット853の内部に入ると、
図6Aに関して先に説明した原理に従い、分散するコヒーレントな光源光850を反射して、鏡面部分基準マーク50Cの2倍の寸法と中心線RMCと一致する中心線RMC−SEを有する基準マーク信号作用領域50C−SEを提供する。一体型基準信号およびインクリメンタル信号発生部8000の動作に関するその他の詳しい説明は、
図10に関して以下に記す。
【0053】
図10は、
図9に示される一体型信号発生部8000の一部8000’を示し、この中には一体型リードヘッド光ファイバ構成800、基準マーク信号作用領域50C−SE、位相マスク要素861が含まれる。位相マスク要素861をより明確に示すために、
図10は、光干渉領域856に干渉縞866を示していないが、前述のように、動作中にはこのような縞が発生する。
図10に示されるように、一体型リードヘッド光ファイバ構成800は、いくつかの実施形態においては光ファイバ870のシングルモードコアの端部により供給される光源880を提供する中央光源用ファイバ870と、光受信用ファイバ890A、890A’、890B、890B’、890R1、890R2を有し、これはそれぞれ図のように、光信号A、−A、B、−B、REF1、REF2を受信する受信チャネルとなる。一体型リードヘッド光ファイバ構成800はまた、位相マスク820A、820B、820A’、820B’と、ブロッキングマスク820BR1、820BR2と、開放開口マスク820R1、820R2を含む位相マスク要素861を備える。破線AR1L、AR1R、CAR1は、信号REF1に対応する基準マーク信号受信チャネル開口のそれぞれ左右の境界と実効中心の位置を示し、破線AR2L、AR2R、CAR2は、信号REF2に対応する基準マーク信号受信チャネル開口のそれぞれ左右の境界と実効中心の位置を示す。寸法LCAR1CAR2は、信号REF1、REF2に対応する基準マーク信号受信チャネル開口の有効中心間のX軸に沿った距離である。寸法AR12SPANは、境界AR1LとAR2Rの間の距離の合計を示す。
図6Bに関して先に説明したように、一般に、本明細書では、寸法AR12SEPは光ファイバ装置の中に含まれる2つの基準マーク信号受信チャネル開口の内側境界の間、すなわち、計測軸方向に沿って相互に最も近い境界の間の計測軸方向に沿った距離を示す。部分8000’について、寸法AR12SEPは境界AR1RとAR2Lの間であって、ゼロであるため、混乱しないように、
図10には示さない。上記の説明から、基準マークとして格子部分または鏡面部分を使用してもよい一体型信号発生部8000の各種の実施例において、式1〜5に関して前述した寸法に関する検討項目と信号に関する検討項目にしたがって縁辺間の長さLETOEを選択することにより、一般に、特に、式2と3または4と5の関係が満たされたときに、確実な基準信号発生部が提供されることがわかるであろう。
【0054】
前述の基準マーク信号受信チャネル開口の光受信領域がそれぞれの基準マーク信号受信チャネル光ファイバの端部で光伝送コア領域のみによって定められているが、一体型リードヘッド光ファイバ構成800においては、基準マーク信号受信チャネル開口890R1、890R2は、一部がそれぞれの受信チャネル光ファイバの端部における光伝送コア領域の境界によって、また一部がそれぞれのブロッキング/開放開口マスク820BR1/820R1および820BR2/820R2によって定められることがわかるであろう。もちろん、各種の他の実施形態では、必要に応じて、同様の開口マスクで、基準マーク信号受信チャネル開口を取り囲み、画定することもできる。それぞれのブロッキング/開放開口マスク820BR1/820R1と820BR2/820R2は計測軸方向に沿って空間的に周期的な構造を含まないため、基準マーク信号受信チャネル開口890R1、890R2が受信しなかった干渉縞光は、所望の基準マーク信号を発生するのを妨げる、有意な空間周期的信号成分を発生しない。
【0055】
簡潔に言えば、動作中、位相マスク820A、820B、280A’、820B’は、受信面860に配置され、光干渉領域856の中の干渉縞を空間的にフィルタリングし、直交型の周期的インクリメンタル計測信号それぞれA、−A、B、−Bを供給する。1つの実施形態において、位相マスク820A、820B、820A’、820B’は、それぞれ0、90、180、270度の相対的空間位相を有する。計測信号A、−A、B、−Bの相対的位置は例に過ぎず、限定するものではないことがわかるであろう。一般に、位相マスクは、計測信号A、−A、B、−Bに関してあらゆる所望の構成となるように設定できる。位相マスク要素861に関係のある各種の動作および設計原理ならびにその他の空間位相配置は、本願で参照される参考文献に記載されている。
【0056】
ブロッキングマスク820BR1、820BR2と開放開口マスク820R1、820R2は光受信面860に配置されて、ファイバ890R1と890R2の端部をマスクし、これによって基準信号REF1、REF2が供給される。ブロッキングマスク820BR1、820BR2がない場合は、計測軸82の方向に沿って配列される受信用ファイバ890R1、890R2の端部が、基準マーク信号作用領域50C−SEの各種の位置に対して、同じ信号で応答することがわかるであろう。これに対して、マスク820BR1、820BR2、820R1、820R2の配置は、基準マーク信号受信チャネル開口を計測軸82の方向に沿ってオフセットするようにして、所望の信号交差領域を表す基準信号REF1、REF2を提供するものであり、これについて
図12を参照しながら以下に詳しく説明する。
【0057】
信号A、−A、B、−Bに関して、前述のように、スケール格子80から発生する干渉縞が一体型信号発生部8000の動作中、継続的に存在し、前述のように、これらの直交信号を継続的に発生する。一般に、干渉縞は、鏡面部分基準マーク50Cが照射スポット853の中に存在するときに弱まり、回折される±1次スケール光855A、855Bの量を減少させる。さらに、位相マスク820A、820B、820A’、820B’は、それがその場所と重複すると、基準マーク信号作用領域50C−SEの中に含められる0次反射光の一部を受け入れる。その結果、直交信号A、−A、B、−Bの振幅とオフセットは一般に、基準マーク50Cによって影響を受け、これは結果として得られるインクリメンタル変位計測の精度を低下させることがある。したがって、いくつかの実施形態において、信号処理(たとえば、適応振幅「ゲインコントロール」および/またはDCオフセット補償および/または位相補償など)を直交信号A、−A、B、−Bに適用して、少なくとも部分的にそのような効果を打ち消してもよく、および/または基準マーク50Cの長さLETOEおよび/または面積を制限して、そのような弱め合いの効果を限定してもよい。
【0058】
基準信号REF1、REF2に関して、前述のように、スケール格子80から発生する干渉縞は、一体型信号発生部8000の動作中、継続的に存在する。しかしながら、開放開口マスク820R1、820R2は、光受信用ファイバ890R1、890R2の端部にわたって空間フィルタリングを行わず、複数の干渉縞からの光は単純に、変位に関係なく、比較的一定の平均的な量の光を基準信号REF1、REF2に供給する。これに対して、基準マーク信号作用領域50C−SEが開放開口マスク820R1、820R2の位置と重なると、その0次反射光により、重複の量に応じて基準信号REF1、REF2が有意に増大する。
【0059】
各種の実施形態において、リードヘッド光ファイバ構成を、光ファイバリードヘッド内にあるすべての光ファイバを、直径が最大で1.5ミリメートル、または1.0ミリメートルまたはそれ以下の円筒空間の中に配置するように構築することが有利かもしれない。1つの具体的な実施形態において、ファイバ890は、直径DRAが約200ミクロン、外径DRFが約250ミクロンの光伝送コア領域を有し、中央ファイバ870は、同じ外径DRFと、約4〜10ミクロンのシングルモードコア直径またはモードフィールド直径を有していてもよい。したがって、このような実施形態では、基準マークリードヘッド光ファイバ構成800は、全体の直径が約750ミクロンとなるかもしれない。しかしながら、他の実施形態においては、より大きな、またはより小さなファイバおよび/またはその他のファイバ間隔も使用できることがわかるであろう。
【0060】
スケール格子80は、約4ミクロンの格子ピッチP
gを有し、干渉縞866も同様のピッチであってもよい。基準マーク信号受信用ファイバの端部とブロッキング/開放開口マスク820BR1/820R1と820BR2/820R2により画定される基準マーク信号受信チャネル開口 は、計測軸82の方向に沿って100ミクロン程度の寸法を有していてもよい。基準マーク50Cは、有利な点として、ある実施形態においては、約38ミクロンの長さLETOEを有していてもよく、これにより、十分な基準マーク信号を十分な強度にすることとインクリメンタル計測信号への擾乱を最小化にすることとの間で最良の所望のバランスをとることができる。しかしながら、LETOEに関して先に説明した寸法的な関係は例にすぎず、限定するものではない。個々の用途において、その他の設計に関する検討項目から、LETOEをより小さく、またはより大きくすることが有利かもしれない。
【0061】
図11は、本発明による基準信号発生部の第4の実施形態を含む、本発明による第2の一体型信号発生部の一部9000’を示す等角図である。部分9000’の設計と動作は、多くの点において、
図10の部分8000’と同様であり、8XX、9XXと続く類似の番号が付された要素(要素820R2と920R2等)は、以下に記載するものを除き、形態と動作において類似または同一であってもよい。一般に、部分9000’の設計と動作は、部分8000’と一体型信号発生部8000に関する前述の説明に基づくものとしてもよい。したがって、部分8000’と9000’の動作の間の大きな違いのみ以下に説明する。
【0062】
図11は、一体型リードヘッド光ファイバ構成900と、基準マーク信号作用領域50D−SEと、位相マスク要素961を備える部分9000’を示す。部分8000’と9000’の主な違いは、光ファイバ装置800と900が、XY平面において異なる回転方向を有することである。光ファイバ装置900において、X軸方向に沿って離間される光ファイバ990R1、990R2が、基準信号REF1、REF2を供給する。さらに、基準マーク信号作用領域50D−SEは、各寸法2LSEGを有し、内側縁辺間寸法2
*LETOEを有する2つの信号作用部分副領域50D1−SEと50D2−SEを含む。対応する鏡面部分基準マーク部分は、各寸法LSEGを有し、内側縁辺間寸法LETOEを有する2つの鏡面小区分または基準マーク部分である指定された50D1、50D2を含む指定された50D(図示せず)であり、前述の原理に従って、2つの分離された信号作用副領域または基準マーク部分50D1−SEと50D2−SEを提供することがわかるであろう。
図11に示される特定の実施形態において、寸法2
*LETOEは、2つの信号作用副領域50D1−SEと50D2−SEの内側境界間の距離に対応するが、別の実施形態においては、副領域50D1−SEと50D2−SEの関係は、これらの外側境界(内側境界ではない)の距離が同じ寸法2
*LETOEに対応するようであってもよい。いずれの場合も、基準マークを、分離される2つの基準マーク小区分を含むように構成することにより、基準マークの全領域が、有利な点として、同じ全長を有する単独の部分の基準マークと比較して限定され、周期的インクリメンタル計測信号を打ち消す作用が有利に制限されるがわかるであろう。いくつかの実施形態において、基準マーク信号を適当な強度とすることと、インクリメンタル計測信号への擾乱を最小限にすることとの間で望ましいバランスをとるためには、2つの基準マーク部分の各々の計測軸方向に沿った寸法を、0.25
*(AR12SPAN−AR12SEP)以上、0.75
*(AR12SPAN−AR12SEP)以下とすればよい。他の各種の実施形態においては、2つの基準マーク部分の各々の計測軸方向に沿った寸法を、0.4
*(AR12SPAN−AR12SEP)以上、0.6
*(AR12SPAN−AR12SEP)以下としてもよい。
【0063】
これらの実施形態のいずれにおいても、式1〜5に関して先に説明した寸法に関する検討項目と信号に関する検討項目したがって縁辺間の長さLETOEを選択すると、一般に、特に式2と3または4と5の関係が満たされたときに、ロバストな基準信号発生部が提供される。部分9000’に対応する一体型信号発生部によって供給される基準信号REF1、REF2は、信号交差領域において所望の信号関係を示すが、これについては
図12に関して以下に詳しく説明する。
【0064】
図9、
図10、
図11に示したように、部分9000’に対応する基準信号発生部8000または部分9000’に対応する基準信号発生部のいずれも、
図3、
図4に示されるリードヘッドおよびスケール構成3000、3000’のリードヘッド300に使用することに適している。
【0065】
図12は、2つの概略信号
図810、910を示し、これらはそれぞれ
図9、
図10に示される一体型信号発生部8000に対応し、また、
図11に示される一体型信号発生部9000’に対応する。信号
図810、910は、垂直または水平目盛りが同じではなく、実際には、すべての信号が一般にコモンモードDCオフセットを含み、これは
図12に示されていない。
【0066】
図9、
図10の基準信号発生部8000に対応する信号
図810は、2つの基準信号、信号REF1と信号REF2を、基準マーク信号作用領域50C−SE(または基準マーク50C)と、基準マークリードヘッド光ファイバ構成800の間の計測軸82に沿った相対位置に関して示している。特に、点811は、基準マーク50Cの中心線RMC−SEが、
図10において位置AR1Lの左に、基準マーク50Cの長さLETOEだけ変位された位置と一致する地点に対応する。したがって、基準マーク信号作用領域50C−SEは、REF1基準マーク信号受信チャネル開口と重複せず、点811では有意な信号が発生されない。基準マーク50Cが、右に変位されるにつれ、基準マーク信号作用領域50C−SEがREF1基準マーク信号受信チャネル開口と重なる量が増大し、中心線RMC−SEが
図10に示される位置AR1Rから左にLETOEの距離にある位置、点812で最大値に達する。信号交差領域において、基準マーク50Cは、点812から右に変位を続けると、基準マーク信号作用領域50C−SEと、REF1基準マーク信号受信チャネル開口が重複する量が減少するため、信号REF1は、減少を始める。基準マーク信号作用領域50C−SEと、REF2基準マーク信号受信チャネル開口の重複する量が増大すると、信号REF2は、点812’から同時に増加を始める。点813において、基準マーク50Cの中心線RMC−SEは、REF1基準マーク信号受信チャネル開口とREF2基準マーク信号受信チャネル開口(
図10に示される位置にある)に沿って対称的に設置され、したがって、信号REF1、REF2は、見かけ上等しい。基準マーク信号受信チャネル開口は、同様の寸法を有し、基準マーク50Cの長さLETOEは基準マーク作用領域50C−SEの寸法2
*LETOEが
図10に示される寸法LCAR1CAR2にほぼ等しくなるように選択されるので、信号REF1およびREF2は、信号交差領域におけるそれらの最大値と最小値のほぼ中間値で交差するため、さまざまな原因によって各信号が変動する余地が残される。他の地点814、814’、815での信号REF1、REF2の挙動は、前述の説明から類推してもよい。
【0067】
信号
図910は、
図11に示される部分9000’を含み、これに対応する基準信号発生部に対応する。信号
図810は、2つの基準信号REF1、REF2を基準マーク信号作用副領域50D2−SEの中心線RMC−SE−50D2と光ファイバ構成900との間の計測軸82に沿った相対位置に関して示す。中心線RMC−SE−50D2は、小区分の指定された50D1も含む。2部分基準マーク50Dの小区分50D2として、本明細書で指定された対応する基準マーク小区分の中心線と一致することが分かる。点911は、中心線RMC−SE−50D2が、
図11に示される位置AR2Lの左に長さLSEGだけ変位された位置と一致する位置に対応する。したがって、基準マーク信号作用領域50D2−SEは、REF2に基準マーク信号受信チャネル開口と重ならず、点811において、有意な信号が発生されない。基準マーク50Dが右に変位されると、基準マーク信号作用領域50D2−SEは、中心線RMC−SE−50D2が、
図11に示される位置AR2Rから左へLSEGの距離にある点912で最大に達するまで、REF2基準マーク信号受信チャネル開口と次第に重なる。信号交差領域において、基準マーク50Dは、点912から右に変位し続けると、基準マーク信号作用領域50D2−SEとREF2基準マーク信号受信チャネル開口の重複部分が減少するため、信号REF2は減少し始め、基準マーク信号作用領域50D1−SEとRFE1基準マーク信号受信チャネル開口の重複が増加すると、信号REF1は、点912’で同時に増加を始める。点913において、基準マーク50Dは、REF1とREF2の基準マーク信号受信チャネル開口の間(
図11に示される位置)に対称的に設置され、その結果、信号REF1およびREF2は、見かけ上等しい。基準マーク信号受信チャネル開口は、同様の寸法を有し、かつ基準マーク50Dの長さLETOEは、基準マーク信号作用領域50D−SEの寸法2
*LETOEが
図11に示される寸法LCAR1CAR2にほぼ等しいように選択されるため、信号REF1、REF2は、信号交差領域におけるそれらの最大値と最小値のほぼ中間の値で交差し、その結果、各種の原因で発生するかもしれない個々の信号のばらつきの分として、十分な余裕が設けられる。これらの以外の点、914、914’および915における信号REF1およびREF2の挙動は、前の説明から類推してもよい。
【0068】
点916〜918は、基準マーク50Dが右に変位し続けると、REF2受信面に重なる副領域5D1−SEによって与えられる2次REF2信号を示す。ただし、これらの点に対応するREF1基準マーク信号受信チャネル以降によって与えられる相補「交差信号」がないことが分かる。図に示された信号領域の左に変位する場合に生じる類似のREF1信号は示されていない。基準位置は、信号交差領域において、REF1信号とREF2信号が等しい場合に確定されるので、点916〜918に対応する2次REF2信号は、基準位置が近づいていることの指標として、あるいは基準位置が検出されるべきであって、かつ、変位方向によって、遠ざかっていることの確認として使用可能な場合を除き、類似の2次REF1信号のように重要でない。
【0069】
より高分解能の基準マーク信号発生部
これまでに説明した基準マーク信号発生部は一般に、第1のレベルの分解能と再現性を有する1つの基準マーク信号を提供する。各種の実施形態において、第1のレベルの分解能と再現可能性は、0.2ミクロン程度である。以下の説明においては、このようにして発生された基準マーク信号を「基準マーク1次信号」と呼ぶことがある。
【0070】
利用分野によっては、上述の基準マーク1次信号と比較して、より高レベルの基準マーク位置分解能と再現性を提供する基準マーク信号を提供することが好ましいかもしれない。以下の説明において、「基準マーク2次信号」という用語を使って、改善されたレベルの分解能と再現性を提供する上記のような基準マーク信号を指すことがある。前述のような基準信号発生部は、このような基準マーク2次信号を提供する。簡潔に言えば、
図13〜18に関して以下に説明する実施形態は一般に、式1(および/または式2、3、4または5)にしたがって設計され、
図1〜12に関して先に説明した原理を使って、基準マーク1次信号を、後述のような特徴をさらに加えて発生させるものであり、これによって基準マーク2次信号が発生される。基準マーク2次信号は、基準マーク1次信号より高い分解能と再現性で、基準マーク位置を示す(たとえば、分解能および/または再現性は約10倍改善され、20ナノメートル程度を実現する)。しかしながら、基準マーク2次信号は周期性を有する。そのため、1次基準マーク位置または基準マーク1次信号から得られる1次信号交差点を使って、その周期性に伴う2次基準マーク位置の不確定性の可能性を排除することになり、これについて以下に詳しく説明する。
【0071】
基準マーク1次信号だけを発生した前述の実施形態において、基準マークは、格子を含むスケールトラック(たとえば、
図1の基準スケールスラック88参照)の上に配置された鏡面状の基準マーク部分か、あるいは、鏡面状基準スケールトラック(たとえば、
図2の基準スケールトラック88’参照)の上に配置された格子型基準マーク部分を含んでいてもよい。しかしながら、基準マーク2次信号を発生するような以下の実施形では、基準マークは、鏡面状のトラック部により囲まれた格子型基準マーク部を含むことができず、その理由は以下のとおりである。
【0072】
以下の説明において、複数の図面においては、先に説明した図面の中の対応する、または同様の要素に特定の要素を関連付ける参照番号の付与方式を採用しており、これらについては、さらに説明は加えられず、類推されるべきである。この番号付与方式にしたがい、同様の末尾部分および/または形式を有する参照番号は、同様であってもよく、同様の設計および動作原理を有していてもよい(たとえば、1680は880と同様であり、50G−SEは50C−SEと同様であり、等々)。これは、
図1〜12においてしばしば使用された番号付与方式と同様である。しかしながら、そのほかに、以下に説明する図面に関しては、基準マーク「1次」信号を発生することに関する要素については、末尾部分に「P」が挿入されているかもしれない。したがって、たとえば、1620BPR2という番号がつけられた要素は、同様の数字の末尾部分「20BR2」を、「1次(primary)」の「P」を挿入することによって変更しているため、820BR2という番号が振られた要素と同じかもしれない。同様に、1390PR1の番号の要素は、790R1等の番号の要素と同じかもしれない。さらに、以下に説明する図において、基準マーク「2次」信号を発生することに関する要素については、「S」が、同様の要素に使用する末尾部分に挿入されるかもしれない。たとえば、基準マーク「2次」信号を供給するために使用されるという事実を除き、1590SR1と番号が振られた光受信用ファイバは、同様の番号の末尾部分「90R1」を、「2次(secondary)」を表す「S」を挿入することによって変更していることから、890R1の光受信用ファイバと同様かもしれない。
【0073】
図13は、本発明による基準信号発生部13000の第5の実施形態の一部の動作の各種の態様を概略的に示す等角図である。基準信号発生部13000は、
図7に関して先に説明した原理に従って、基準マーク1次信号を発生し、
図13、
図7において類似の番号が付与された要素は、以下に記載する点を除き、形態と動作において同様または同一であってもよい。
図13は、基準信号発生部13000の各種の要素を示し、これには、基準マークリードヘッド光ファイバ構成1300と、基準マーク1次信号作用領域50E−SEと、マスク要素1361が含まれる。
図13に示されるように、基準マークリードヘッド光ファイバ構成1300は、基準マーク1次信号PREF1、PREF1’、PREF2、PREF2’を送受信する光受信用ファイバ1390PR1、1390PR1’、1390PR2、1390PR2’と、基準マーク2次信号SREF1、SREF2を送受信するファイバ1390SR1、1390SR2を含んでおり、これについて以下に詳しく説明する。
【0074】
基準マーク1次信号作用領域50E−SEは、
図7に示される基準マーク信号作用領域50B−SEと同様または同一であってもよい。さらに、光受信用ファイバ1390PR1、1390PR1’、1309PR2、1390PR2’は、
図7に示される光受信用ファイバ790PR1、790PR1’、790PR2、790PR2’と同様または同一であってもよい。したがって、これらの要素の動作と結果として得られる信号は、先に説明した原理によるものであってもよい。
【0075】
基準マーク2次信号SREF1、SREF2を供給する光受信用ファイバ1390SR1、1390SR2を含む基準マーク2次信号受信チャネルについて、概説する。先に説明したように(たとえば
図9に関する)、鏡面状基準マーク部分が格子トラック部分により囲まれていると、格子トラック部分は、反射回折された±1次スケール光を供給するかもしれず、これが重複する領域を照射することにより、マスク要素1361の光受信面付近の干渉領域の中に干渉縞が形成される。前の図面と同様に、
図13は、このような干渉領域1356−SSEを示しており、これはまた、基準マーク2次信号作用領域1356−SSEとも呼ばれる。干渉縞は、基準マーク1次信号作用領域50E−SEの付近において、0次反射光により局所的に打ち消され、あるいは占領され、先に説明した原理により、基準マーク1次信号PREF1、PREF1’、PREF2、PREF2’を発生する。
【0076】
空間フィルタマスク1320SR1、1320SR2は、マスク要素1361の光受信面において、光受信用ファイバ1390SR1、1390SR2の端部により提供される受信チャネル開口をマスクし、基準マーク2次信号作用領域1356−SSEの中の干渉縞を空間的にフィルタリングし、それぞれ空間的周期性を有する信号SREF1、SREF2を供給する。各種の実施形態において、空間フィルタマスク1320SR1、1320SR2は、干渉縞と同じピッチで配置された光ブロッキング要素を有し、相互に関して見かけ上の空間位相差180度で配置され、信号SREF1、SREF2を供給するのであるが、これについては
図14に関して以下に詳しく説明する。
図13とそれ以降の図に示される光ブロック要素のピッチは、必ずしも正確な縮尺ではなく、説明を目的として誇張されている可能性がある。
【0077】
信頼性の高い基準マーク1次信号(たとえば、PREF1、PREF1’、PREF2、PREF2’)を提供するために、
図6〜
図11に関してすでに概略を説明したものと同様の設計上の検討項目を適用してもよい(たとえば、APR12SEPおよびAPR12SPANをAR12SEPおよびAR12SPANと同様に扱うことなど)。信頼性の高い基準マーク2次信号(たとえば、SREF1、SREF2)を供給するためには、基準マーク1次信号作用領域(たとえば、領域50E−SE)と基準マーク2次信号受信チャネル開口(たとえば、光受信用ファイバ1390SR1、1390SR2の端部により提供されるもの)の寸法および/または位置の間に、また別の設計上の関係を持たせることが望ましい。これらの関係を説明しやすくするために、
図6〜
図11に関してすでに説明したものと同様の寸法のほかに、
図13では、破線ASR1L、ASR1RおよびASR2L、ASR2Rにより、光受信用ファイバ1390SR1、1390SR2によって供給される基準マーク2次信号受信チャネル開口のX軸方向に沿った左右の境界を示している。
【0078】
ASR1RとASR2Lの間に分離距離ASR12SEPが示されている。本発明による各種の実施形態において、基準信号発生部(たとえば、基準信号発生部13000)を、
ASR12SEP≧2
*LETOE (式6)
のように配置することが有利である。
【0079】
この関係が示す構成とは、基準マーク1次信号作用領域50E−SEが、光受信用ファイバ1390SR1、1390SR2によって提供される受信チャネル開口の間に配置されて、これらが、1次信号作用領域50E−SEの0次反射光により大きな影響を受けずに干渉縞光から所望の信号を導き出せる、というものである。同時に、基準マーク1次信号作用領域50E−SEは、受信用ファイバ1390PR1、1390PR1’、1390PR2、1390PR2’によって提供される受信チャネル開口に中心が合わされていてもよく、それによって所望の基準マーク1次信号(たとえば、PREF1、PREF1’、PREF2、PREF2’)は所望の1次信号交差領域の中で発生されることになり(
図13においては、大まかに描かれている)、これについては
図14に関して以下に詳しく説明する。上記のような所望の信号をさらに確実に発生させるために、寸法PSCLRの間隙を
図13に示すように設けてもよい。PSCLRは、基準マーク1次信号作用領域50E−SEが見かけ上、計測軸82に沿った境界線の間の中央あるときの、基準マーク1次信号作用領域50E−SEの縁辺から、基準マーク信号2次受信チャネル開口の境界までの間隔である。したがって、各種の実施形態において、
ASR12SEP=(2
*LETOE)+(2
*PSCLR) (式7)
【0080】
各種の実施形態において、PSCLRはゼロより大きく、より望ましくは、少なくとも10ミクロンであり、いくつかの実施形態では、少なくとも25、他の実施形態では少なくとも50ミクロンであることが好ましい。
【0081】
図14は、本発明により発生される基準マーク1次信号を概略的に示す信号
図70’と、基準マーク2次信号を概略的に示す信号
図60’を含む図である。各種の実施形態において、信号の振幅、空間周期等は、
図14に示されるものとは異なっていてもよく、
図14のものは例にすぎず、限定するものではない。説明を目的として、信号は、
図13の基準信号発生部13000に対応させて説明する。特に 、
図14は、複合基準マーク1次信号(PREF1+PREF1’)と(PREF2+PREF2’)を示す信号
図70’を示している。信号
図70’は、
図8の信号
図70と同様であり、寸法を指す名称が
図13の説明にも対応して適用される。したがって、信号
図70’は、先に説明した原則に基づいて利用できるが、相違点としては、信号交差点74’よって示される1次基準位置が、単に基準位置の1次の、または第1の指標としてのみ扱われることである。信号交差点74’から信号
図60’まで延びる破線によって示されるように、信号交差点74’および/または1次基準点は、信号
図60’に示される基準マーク2次信号SREF1とSREF2に対する具体的な固定された空間的関係を有する。
【0082】
信号
図60’に示されるように、また前述のように、本発明による基準マークリードヘッド光ファイバ構成が計測軸82に沿って、スケール上の基準マークに関して移動されるとき、基準マーク2次信号SREF1、SREF2は空間的周期性を有し、その周期は干渉縞のピッチに対応しており、空間フィルタマスク1320SR1、1320SR2の配置により、相互に180度位相がずれる。信号
図60’はまた、基準マーク1次信号作用領域50E−SEが基準マーク2次信号に対応する受信チャネル開口と交差するとき、これは一般に、DC信号成分(たとえば、DC信号成分SREF1DCまたはSREF2DC)に寄与し、その受信チャネル開口に対応する空間的に周期性を有する信号成分に加わることを示している。しかしながら、
図14に示され、また先に述べたように、式6および/または7の関係が満たされ、基準マーク1次信号が1次信号交差領域の中にあるとき、基準マーク2次信号SREF1、SREF2は有意なDC信号成分を含んでいる必要はなく、これは、高分解能の2次基準位置を高い信頼性で決定する上で有利である。
【0083】
図14に概略的に示すように、一般に、基準マーク2次信号SREF1、SREF2の特定の2次信号交差領域は、1次信号交差領域より有意に狭い。
図14の信号関係は、説明を明瞭にするために概略的に示されていることがわかるであろう。実際には、各種の実施形態において、2次信号交差領域は、2次信号交差領域より10倍単位で狭いかもしれない。したがって、実践において、2次信号SREF1、SREF2の特定の信号交差点64’の位置と、これに対応する2次基準位置は、1次信号交差点74’および/または1次基準位置より高い(たとえば、約10倍改善)空間分解能および/または精度で判断されうる。
【0084】
特定の信号交差点64’は一般に、その付近で発生する他の周期的信号交差点と区別がつけられないかもしれないことがわかるであろう。しかしながら、1次信号交差点74’は、信号
図60’に示される基準マーク2次信号SREF1、SREF2に対して特定の固定した空間関係を有し、2次信号SREF1、SREF2の期間のプラスマイナス半分の範囲で改善された分解能と精度を実現している。したがって、1次信号交差点74’は、特定の2次信号交差点64’を確実に示すかまたは識別するために使用され得る。したがって、高分解能の2次基準位置は、本発明によれば、特定の2次信号交差点64’に基づいて、高い再現性と信頼性で判断される。高分解能の2次基準位置を判断するための信号処理方法の一例を、
図19を参照しながら以下に概説する。
【0085】
図15は、本発明による基準信号発生部15000の第6の実施形態の一部分の動作における各種の態様を概略的に示す等角図である。基準信号発生部15000は、
図13に関して先に記した原理に従って基準マーク信号を発生し、前述の説明から類推してもよい。したがって、重要な相違点だけを以下に述べる。
図15、
図13において類似の番号が付けられた要素は、以下に記載する点を除き、形態と動作において、同様または同一であってもよい。
図13に示される基準信号発生部13000と比較した場合の基準信号発生部15000の主な違いは、基準マーク1次信号作用領域50F−SEの寸法2
*LETOEが、
図13に示される1次信号作用領域50E−SEより有意に狭い点と、基準マーク1次信号PREF1、PREF1’、PREF2、PREF2’に関連付けられる受信チャネル開口がマスク要素1561によって規定される点である。特に、マスク要素1561は、ブロッキングマスク部分1520BPR1、1520BPR1’、1520BPR2、1520BPR2’と、光受信用ファイバ1590PR1、1590PR1’、1590PR2、1590PR2’の上にそれぞれ位置付けられる開口マスク部分1520PR1、1520PR1’、1520BPR2、1520BPR2’を含む。この形態によれば、円形の(または各種の実施形態においては、他の形状でもよい)の受信チャネル開口が得られ、その寸法と位置は、前述の原理により、基準マーク1次信号作用領域50F−SEの基準マークの所望の寸法2
*LETOEを補完するように設計される。基準信号発生部13000と比較して、基準信号発生部15000は、間隙の寸法PSCLRがより大きくてもよく、これは前述の理由によって有利である。いくつかの実施形態において、開口マスク部1520PR1、1520PR1’、1520PR2、1520PR2’は、計測軸82に沿って相対的に小さい寸法となるように構成し、より狭い1次信号交差領域の中で、より急峻な基準マーク1次信号変化が起こるようにしてもよい。いくつかの実施形態において、これによって、1次信号交差点74’の分解能および/または精度を高めることができ、特定の2次信号交差領域および/または信号交差点を高い信頼性で特定することに役立ててもよい。これは特に、基準マーク2次信号の空間的周期が短い(たとえば、4ミクロン程度)であるときに有益である。上記以外の点については、基準信号発生部15000の設計と動作は、
図13に関して、あるいは本明細書の別の箇所に説明した類似の設計と動作に基づくものであってもよい。
【0086】
図16は、本発明による基準信号発生部16000の第7の実施形態の一部分の動作の各種の態様を概略的に示す等角図である。
図13、
図15に示される実施形態と比較して、
図16に示される光ファイバ構成1600は、XY平面において異なる回転方向を有する。その結果、基準マーク1次信号作用領域50G−SEは、2本ではなく4本のファイバの端部の間に配置され、4つの2次信号SREF1、SREF1’、SREF2、SREF2’(それぞれファイバ1690SR1、1690SR1’、1690SR2、1690SR2’に対応する)を送受信する基準マーク2次信号受信チャネル開口を提供する。あるいは、2次信号SREF1、SREF1’、SREF2、SREF2’に対応する受信チャネルの各々の設計原理と動作は、
図13に関して前述したものと同様である。
図16、
図13において類似の番号が付与された要素は、同様の設計原理と動作を有していてもよく、以下に別の説明がないかぎり、類推により把握されてもよい。
図16に示される実施形態において、空間フィルタマスク1620SR1、1620SR1’は、基準マーク2次信号作用領域1356−SSEにおける干渉縞に関して同じ空間位相を有するように配置される。したがって、2次信号SREF1、SREF1’は同じ空間位相を有し、信号処理中に複合(たとえば、加算)されてもよい。空間フィルタマスク1620SR1、1620SR1’は、また、同じ空間位相を有するように配置され、これは空間フィルタマスク1620SR1、1620SR1’と約180度位相ずれしている。したがって、2次信号SREF2、SREF2’も同じ空間位相を有し、信号処理中に同様に複合されてもよい。複合2次信号は、信号
図60’に示される個々の2次信号と同様であり、同様に処理されてよい。
【0087】
基準信号発生部16000は、同様の信号REF1、REF2を発生するために
図10に関して先に説明したものと類似または同一の光ファイバおよびマスク構成を使って、基準マーク1次信号PREF1、PREF2を発生する。
図16、
図10で類似の番号が振られた要素は、設計原理と動作の点で同様または同一であってもよい。したがって、基準マーク1次信号PREF1、PREF2を発生するために使用される要素の設計と動作は、前述の原理にしたがってもよい。個々の1次信号PREF1、PREF2は、
図14の信号
図70’の複合1次信号に類似しており、同様に処理されてよい。
【0088】
図17A、
図17Bは、それぞれ
図16に示されるマスク要素1661の開口マスク構成の代わりに使用可能な別の開口マスク構成、17000A、17000Bを示す。特に、
図17A、
図17Bは、マスクのうち、基準マーク1次信号PREF1、PREFF2を発生することに関連する部分に関する別の開口マスク構成を示しており、これらを1次開口構成と呼ぶことがある。
図17A、
図17B、
図16において類似の番号が付与された要素は、同様の設計原理と動作を有していてもよく、以下に特に説明しないかぎり、同様であると考えてもよい。
図17A、
図17Bに明確に示されていないマスク要素部分は、
図16のマスク要素1661について描かれたものと類似または同一であってもよい。
【0089】
図16に示されるブロッキングマスク1620BRP1、開放開口マスク1620PR1、ブロッキングマスク1620BPR2、開放開口マスク1620PR2の構成と比較した場合、
図17Aの主な違いは、ブロッキングマスク1620BPR1’、開放開口マスク1620PR1’、ブロッキングマスク1620BPR2’、開放開口マスク1620PR2’が計測軸方向を横断する方向に延びる左右の開口縁辺を提供し、横断方向の開口縁辺は、Y軸に関して角度をなすジグザグ部分を有し、横断方向の各開口縁辺が、隣接する開口の境界(たとえば、破線APR2Rによって示される境界)から、計測軸82の方向に沿って、開口の反対側縁辺に向かって延びる1次開口縁辺推移寸法PAETにわたる点である。代表的な寸法PAETは、開放開口マスク1620PR2’の右側縁辺についてのみ示されているが、
図17Aの左および/または右の開口縁辺の各々に関して、同用の寸法PAETがあることがわかるであろう。寸法PAETは、各開口縁辺について同じである必要はないが、各種の実施形態において、同じであってもよい。それぞれの開口縁辺に角度をつけて、各々の寸法PAETを広げることにより、開放開口マスク1620PR1’および/または1620PR2’を通過する干渉縞は、空間的にフィルタリングされ、基準マーク1次信号に対して打ち消すような効果を有する周期的な光信号の振幅が、少なくとも部分的に抑制され、特に
図14に関して先に説明したように、1次信号交差領域において抑制される。各種の実施形態において、各寸法PAETがマスク要素の光受信面における干渉縞のピッチFPの少なくとも1つ分であると有利であろう。いくつかの実施形態において、各寸法PAETは、FPの少なくとも3倍またはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態において、必須ではないが、各寸法PAETがマスク要素の光受信面における干渉縞のピッチFPの整数個分に名目上等しいことが有利かもしれない。
図17A、
図17Bに示される干渉縞ピッチFPは、必ずしも正確な縮尺ではなく、説明のために誇張されている可能性がある。
【0090】
図17Aに示される構成の別の態様によれば、いくつかの実施形態において、必須ではないが、1次開口幅寸法PAWは、Y軸方向に沿った開口縁辺の長さの少なくとも大部分に沿った、マスク要素の光受信面の干渉縞ピッチFPの整数個分に名目上等しいことが有利かもしれない。このような場合、開放開口マスク1620PR1’または1620PR2’を交差する干渉縞による打ち消し合いの光信号の寄与は、特に1次信号交差領域の付近において、より一定となる傾向があり、これは、干渉縞からのさまざまな信号による寄与より、基準マーク1次信号交差点に対する打ち消し合いの効果が小さい。1次開口幅寸法PAWは、Y軸方向に沿って変化しても、あるいは一定でもよい。いずれの場合も、これは、Y軸に沿った個々の位置において、計測軸82の方向に沿った開口寸法として定義してもよい。このような設計上の特徴は、
図17Aに示されるように、0でない1次開口縁辺推移寸法PAETとの組み合わせで利用でき、あるいはY軸方向に沿って整列される直線状の開口縁辺との組み合わせにおいても有利であるかもしれない。
【0091】
図17Bは、
図17Aに関する先の説明から類推される構成を示している。特に、ブロッキングマスク1620BPR1’’、開放開口マスク1620PR1’’、ブロッキングマスク1620BPR2’’、開放開口マスク1620PR2’’が計測軸方向を横断する方向に延びる左右の開口縁辺を提供し、横断方向の開口縁辺は、Y軸に関して角度をなし、横断方向の各開口縁辺が、隣接する開口の境界(たとえば、破線APR2Rによって示される境界)から、計測軸82の方向に沿って、開口の反対側縁辺に向かって延びる1次開口縁辺推移寸法PAETにわたる点である。
図17Aの構成と比較すると、主な違いは、
図17Bに示される開口が、ジグザグな縁辺を有するのではなく、「回転長方形」の特徴を有する点である。それでも、
図17Bに示される開口は、
図17Aに関してすでに説明した設計上の検討項目を満たす同様の寸法PAET、PAWを有する。
図17A、
図17Bに示される上記の例に基づき、開口縁辺が、1次開口縁辺推移寸法PAET全体にわたって曲線(直線や角度をなすものではない)のセグメントを有していても、あるいはその他の蛇行形状であってもよく、このような設計も
図17Aに関して先に説明した設計原則を満たす。したがって、上記の例は説明のためにすぎず、限定するものではない。また、
図17A、
図17Bに関する先の説明にしたがって設計された開口は、一般に本発明の各種の他の実施形態に使用してもよい(たとえば、
図10または
図11その他に示される基準信号開口の代わりとする)。
【0092】
図18は、本発明による基準信号発生部18000の第8の実施形態の一部分を示す等角図である。基準信号発生部18000設計と動作は一般に、
図11に関連する基準マーク信号発生の説明に基づく2チャネル式基準マーク1次信号発生部と、
図16に関連した説明に基づく4チャンネル式基準マーク2次信号発生部とを組み合わせたものと考えられる。したがって、基準信号発生部18000の設計と動作は、前述の説明に基づいて広く解されてもよい。18XXと続く番号が付与された要素は、以下に記す点を除き、16XXと続く同様の番号が付与された要素と、設計原理、動作において同様または同一であっても、また、場合によっては、形態においても同様であってよい。したがって、基準信号発生部18000と16000の主な相違点だけを以下に説明する。
【0093】
基準信号発生部18000は、一体型光ファイバ構成1800と、基準マーク信号作用領域50H−SEと、位相マスク要素1861を備える。基準マーク信号作用領域50H−SEは、2つの部分50H1−SEと50H2−SEを含む。一般に、基準マーク信号作用領域50H−SEは、
図11に示される2つの部分からなる基準マーク信号作用領域50D−SEと同様である。基準マーク信号作用領域50H−SEに関連する追加の設計に関する検討項目を以下に説明する。
図16に示される実施形態と比較すると、
図18に示される光ファイバ構成1800は、XY平面において異なる回転方向を有し、基準マーク1次信号PREF1、PREF2はX軸方向に沿って相互に最も遠い2本のファイバ1890PR1と1890PR2により提供され、4つの基準マーク2次信号SREF1、SREF1’、SREF2、SREF2’はX軸方向に差って相互に最も近い4本のファイバ1890SR1、1890SR1’、1890SR2、1890R2’により提供される。それ以外は、2次信号SREF1、SREF1’、SREF2、SREF2’に対応する受信チャネルの各々の設計原理と動作は、
図16に関して先に説明してものと同様である。特に、空間フィルタマスク1820SR1、1820SR1’は、基準マーク2次信号作用領域1856−SSEにおける干渉縞に関して同じ空間位相を有するように配置される。したがって、2次信号SREF1、SREF1’は同じ空間位相を有し、信号処理中に複合(たとえば、加算)されてもよい。空間フィルタマスク1820SR1、1820SR1’はまた、同じ空間位相を有するように配置され、これは、空間フィルタマスク1820SR1、1820SR1’と略180度位相がずれている。したがって、2次信号SREF2、SREF2’も同じ空間位相を有し、同様に、信号処理中に複合されてもよい。複合された2次信号は、信号
図60’に示される個々の2次信号と同様であり、同様に処理されてよい。
【0094】
基準信号発生部18000は、ブロッキングマスク1820BPR1、開放開口マスク1820PR1、ブロッキングマスク1820BPR2、開放開口マスク1820PR2を含む開放開口マスク形状を使って、基準マーク1次信号PREF1、PREF2を発生し、これらは、
図17Aに関して前述した設計原則に従って構成される。開口マスク形態は、信号作用副領域50H1−SE、50H2−SEと共に機能し、これらはそれぞれの寸法2LSEGと、内側縁辺間寸法2
*LETOEを有する。信号作用副領域は、個々の寸法LSEGを有し、内側縁辺間寸法LETOEを提供する50H1,50H2という2つの鏡面小区分または基準マーク部分に対応する鏡面部分基準マーク(ここでは50Hとする)(図示せず)によって提供される。
図18に示される特定の実施形態において、寸法2
*LETOEは2つの信号作用副領域50H1−SE、50H2−SEの内側境界間距離に対応するが、別の実施形態においては、副領域50H1−SEと50H2−SEの間の関係は、その外側境界(内側境界ではない)の間の距離が同じ寸法2
*LETOEに対応するようにしてもよいことがわかるであろう。いずれの場合も、式1〜5に関して前述した寸法に関する検討項目と信号に関する検討項目にしたがって縁辺間長さLETOEを選択することにより、特に式2と3または4と5の関係が満たされたときに、ロバストな基準マーク1次信号発生部が提供される。一体型信号発生部18000により供給される基準マーク1次信号PREF1、PREF2は、
図14および
図12に関して前述したように、信号交差領域において望ましい基準マーク1次信号の関係を示す。
【0095】
基準信号発生部16000とは異なり、基準信号発生部18000においては、基準マーク2次信号受信チャネル開口は、基準マーク1次信号受信チャネル開口の間に、X軸方向に沿って配置される。このような場合、信頼性の高い基準マーク2次信号(たとえば、SREF1、SREF1’、SREF2、SREF2’)を提供するために、基準マーク1次信号作用副領域50H1−SEと50H2−SEと、基準マーク2次信号受信チャネル開口(たとえば、ファイバ1890SR1、1890SR1’、1890SR2、1890SR2’の端部が空間フィルタマスク1820SR1、1820SR1’、1820SR2、1820SR2’とともに提供するもの等)の寸法および/または位置の間に別の設計上の関係を持たせることが望ましい。特に、式6、7はこの場合に適用されない。その代わりに、この場合、以下のような基準信号発生部(たとえば、基準信号発生部18000)を配置することが有利である。
ASR12SPAN≦2
*LETOE (式8)
【0096】
上記の関係に当てはまる構成は、基準マーク1次信号作用副領域50H1−SEと50H2−SEが基準マーク2次信号受信チャネル開口の外に位置付けられ、それらが、1次信号作用副領域50H1−SEと50H2−SEの0次反射光による大きな影響を受けずに、干渉縞光から望ましい信号を導き出す、というものである。同時に、基準マーク1次信号作用副領域50H1−SEと50H2−SEは、開口マスク1820PR1、1820PR2(たとえば、
図18に示される)によって提供される受信チャネル開口に関して中心に置かれてもよく、その結果、前述の原理にしたがい、所望の1次信号交差領域において、所望の基準マーク1次信号(たとえばPREF1、PREF2’)が発生される。このような望ましい信号が確実に供給されるようにするために、間隙の寸法PSCLRを
図18に示されるように提供されてもよい。前述の説明からの類推により、PSCLRは、基準マーク1次信号作用領域(たとえば、領域50H−SE)が名目上、計測軸82に沿ってこれらの境界に関して中央に置かれたときの、基準マーク1次信号作用領域(または副領域)の縁辺から隣接する基準マーク2次信号受信チャネル開口の境界までの間隙である。このように、
図18に示されるものと同様の各種の実施形態において、
ASR12SPAN=(2
*LETOE)−(2
*PSCLR) (式9)
となる。
【0097】
図18に示されるものと同様の各種の実施形態において、PSCLRは、ゼロより大きく、より好ましくは少なくとも10ミクロン、いくつかの実施形態では少なくとも25ミクロン、他の実施形態では少なくとも50ミクロンであることが好ましい。
【0098】
図19は、本発明による1次および2次基準信号に関連するかもしれない各種の信号関係と、これに関する信号処理の1つの方法の特定の態様を概略的に示す図である。特に、
図19の最上部と最下部は、それぞれ信号
図60’、70’の信号部分1430、1440を再現したものであり、前述の説明に基づくものであってもよい。
図19はまた、導き出された信号
図1940、1930と、概略的に示された論理信号1945、1935を示しており、これについて以下に詳しく説明する。
【0099】
信号
図1940は、信号
図1440の信号から導き出され、これは複合基準マーク1次信号(PREF1+PREF1’)と(PREF2+PREF2’)の間の差と等しい信号処理差分信号PDIFFを示している。信号
図1940また、PDIFFの上側閾値PUTRとPDIFFの下側閾値PLTRを示しており、これは、1次信号差分PDIFFに匹敵する上下の基準信号レベルを定める。信号処理方法の一例において、PUTRとPLTRは、信号交差点74’に対応し、1次基準位置とみなされるPDIFFゼロの信号レベル1921に関して均等に離間される。信号処理方法の一例において、PDIFFの数値がPLTRとPUTRの間にある場合、1次基準位置指示信号1945は、ハイの状態1945’に切換えられ、これは、本発明によるリードヘッドが、PLTRとPUTRの間の範囲にほぼ対応する第1の不確実範囲および/または第1の分解能レベルの中で、本発明による基準マークに近い1次基準位置に位置付けられることを示している。
【0100】
信号
図1930は、信号
図1430の信号から導き出され、基準マーク2次信号SREF1、SREF2の間の差と同等の、信号処理差分信号SDIFFを示している。信号
図1930はまた、SDIFFの上側閾値SUTRと、SDIFFの下側閾値SLTRも示しており、これらは、2次信号差分SDIFFに匹敵する上下の基準信号レベルを確定する。信号処理方法一例において、SUTRとSLTRは、信号交差点64に対応し、2次基準位置とみなされるSDIFF0信号レベル1920に関して均等に間隔が空けられる。信号処理方法の一例において、SDIFFの数値がSLTRとSUTRの間にあるとき、2次基準位置指示信号1935は、ハイの状態1935’に切り換わる。本発明によるリードヘッドおよび基準マークスケールは、1次基準位置指示信号のハイの状態1945’を、1次基準位置指示信号のハイの状態1935’の1つのインスタンスである1936に明確に対応するのに十分な分解能と再現性で提供するように構成されてもよい。このようなハイの状態1935’のインスタンスが1つであることは、本発明によるリードヘッドが、本発明による基準マークに近い2次基準位置に、PLTRとPUTRの間の範囲にほぼ対応する第2の不確実性範囲および/または第2の分解能レベルの範囲内で位置付けられていることを示していてもよい。第2の不確実性範囲および/または第2の分解能レベルは、前述の原理により、第1の不確実性範囲および/または第1の分解能レベルより有意に高いかもしれない。各種の実施形態において、ハイの状態1935’の1つのインスタンス1936の特定は、周知の方法によって、信号1945と1935の状態に基づく論理演算によって確定されてもよい。1つの実施形態においては、両方の信号が、
図19に示されるように同時にハイの状態になることによって、対応が単純に示されるかもしれない。しかしながら、他の実施形態では、対応は、より複雑な処理に基づいて得られるようになるかもしれない(たとえば、信号1945と1935の間の立ち上がりと立ち下りの関係に基づく処理等)。したがって、
図19に示される方法と信号は、例にすぎず、限定するものではない。
【0101】
1つの実施形態において、1次基準位置は、信号1945のみに基づき、0.2ミクロン程度の分解能と精度で確定されるかもしれない。2次基準位置は、前述のように 、信号1945と信号1935を合わせて使用することに基づいて、20ナノメートル程度の分解能と精度で確定されるかもしれない。
【0102】
図20Aおよび20Bはそれぞれ、別の基準マーク50−M’、50−M’’をそれぞれ含む20000A、20000Bを示す。基準マーク構造50−M’、50−M’’は、各種の実施形態において、
図5の基準マーク50−Mの代わりに使用でき、類推により広く解されてもよい。しかしながら、基準マーク50−Mと異なり、基準マーク50−M’、50−M’’の横方向の縁辺は、計測軸の方向を横断する方向に延び、Y軸方向に対して角度がつけられた部分を有しているため、横断方向の縁辺は直線ではない。言い換えれば、基準マーク50−M’、50−M’’の各々の横断方向の縁辺は、横断方向の縁辺におけるそれぞれの異なる部分の計測軸の方向に沿ったそれぞれの位置が、計測軸の方向を横断する方向に沿った位置に応じて変化するように構成される。特に、計測軸方向を横切る方向に沿った位置に応じて変化する、計測軸方向に沿ったそれぞれの位置は、計測軸方向に沿った、対応する基準マーク縁辺推移ゾーンRMETにわたる。各種の実施形態において、計測軸の方向に沿ったそれぞれの位置が、計測軸を横断する方向に沿って前後に反復的に変化すると有利であるかもしれない。動作中、このような縁辺の形状が、直線的な縁辺に伴う縁辺回折効果を抑制するために役立つかもしれない。このような縁辺回折効果により、基準マーク1次信号および/または基準マーク2次信号に、不要な不規則性が加わる可能性がある。上記のような縁辺形状を用いる場合は、寸法LETOEを、第1の基準マーク縁辺推移ゾーンRMETの中央から、動作的に対応する第2の基準マーク縁辺推移ゾーンRMETの中央までの距離と定義すると好都合である(たとえば、
図20A、
図20Bの寸法LETOE’、LETOE’’によって示されるものとほぼ等しい)。寸法LETOEをこのように定義した状態で、基準マークを、式1〜9に関して先に説明したような望ましい条件を満たすように設計してもよい。各種の実施形態において、上記の第1と第2の基準マーク縁辺推移ゾーンの中の横断方向の縁辺が、計測軸の方向に垂直な方向に沿う対称軸に関して、第1の基準マーク部分の横断縁辺の鏡像となるように構成され、その結果として得られる基準マーク1次信号が信号交差領域の中で交差し、これもまた相対的にロバストな鏡像対象を有する傾向を有するようにすることが有利であるかもしれない。
【0103】
上記の実施形態と設計要素は、当業者にとって明白であるように、また別の、他の実施形態、改変版および変更版も示していることが明らかである。最初の例として、上記の議論では、平坦鏡面を含む鏡面方式の基準マーク部分を有する実施形態を説明したが、より一般的には、鏡面基準マーク部分の代わりに、「有意な0次反射」を発生させる基準マーク部を用いてもよい。このような「有意な0次反射」を発生させる部分は、有意な量の0次反射光を供給し、および/または有意な量の±1次回折光を妨害して、対応する基準マーク信号レベルを、隣接する「0次反射抑制」部分(たとえば、インクリメンタル計測スケール格子の一部または格子トラック部分)から得られる信号レベルと区別できるようにする表面配置を含んでいてもよい。たとえば、各種の実施形態において、「有意な0次反射」部分は、80:20のデューティサイクル(たとえば、
図5の位相格子に近いが、W
E=0.8
*P
g、W
G=0.2
*P
g)または70;30デューティサイクルの位相格子を備えていてもよい。各種の他の実施形態において、0次反射部分は、50:50のデューティサイクルの位相格子を備えていてもよいが、格子バーの高さは、0次反射を抑制しない(たとえば、
図5に示される位相格子に近いが、H
E=0.5
*照明波長またはH
E=0.1
*照明波長等)。別の実施形態において、0次反射部分の1つまたは複数の格子要素は、スケールの他の部分とは異なる反射率になるように製作してもよい。
【0104】
第2の例として、
図6A、
図6B、
図7に示されるような実施形態において、個別の基準信号REF1、REF1’は冗長であり、個々の基準信号REF2、REF2’も冗長であることがわかるであろう。信号の強度および/またはアラインメント感度に関する特定の利点はこのような冗長性から得られるかもしれないが、一般に、本明細書で開示されるような、冗長信号を使用する実施形態(たとえば、冗長基準マーク1次または2次信号を使用するもの)においては、冗長信号を除去してもよく、これに関連する光ファイバ構成は、本明細書に記載したものより少ない光ファイバおよび/または基準マーク信号受信チャネルで構成してもよい。
【0105】
第3の例として、本発明の各種の実施形態では、直線的なスケールトラックを使用したが、同じまたは類似の実施形態において、それを曲線または円形のスケールトラック(たとえば、回転または角度式エンコーダ)に使用してもよい。したがって、各種の実施形態において、スケールトラックと計測軸方向という用語は、たとえば、円形または曲線トラックまたは計測軸を指すものと解釈してもよく、関連の説明を、そのような円形または曲線トラックまたは計測軸の接線部分として解釈してよい。
【0106】
さらに、開口および/または基準マークの角度をなす横方向の縁辺といった各種の特徴は、基準マーク1次信号と基準マーク2次信号の両方を提供する構成に関連して説明した。しかしながら、このような特徴はまた、基準マーク1次信号だけを供給する構成(たとえば、
図6A〜
図12に関して説明した各種の構成)で使用した場合も同じ利点が得られる。したがって、先に紹介した本発明の実施形態は、説明のためであり、限定するものではない。
【0107】
改良一体型基準マーク信号発生部
実施形態および/または用途によっては、高度なレベルの基準マーク位置分解能と再現性を提供するために、基準マーク1次信号と基準マーク2次信号を提供する前述の基準マーク信号発生部は、複雑さ、大きさおよび/またはコストの面から、望ましくないかもしれない。また、実施形態および/または用途によっては、1次または単独のセットの基準マーク信号だけが提供され、前述の基準マーク信号発生部より高いロバスト性および/または精度が提供されるほうが好ましいかもしれない。特に、一体型光ファイバリードヘッドと一体型スケールトラックによって基準位置指標と周期的インクリメンタル計測信号の両方が提供される実施形態では、一般的には同時に2つの基準を満たすことが好ましい。すなわち、第1の基準とは、満足できる基準マーク信号を供給するために、基準マークが基準マーク信号作用領域において、強力で局所的な基準マーク信号光成分を提供しなければならないことである。しかしながら、同時に、基準マークが空間的に周期的なインクリメンタル計測信号を打ち消さないようにしなければならない。本発明者は、上記の基準マークまたは他の先行技術による基準マークは、スケール格子80の中に埋め込んだ場合、用途によっては、性能は容認できても、すべての用途で最大限のロバスト性と計測分解能を実現できるようには上記の二重の要求を満たすことができないことに気づいた。
【0108】
この問題は、光ファイバリードヘッドの光受信領域の制約が重要であり、利用できる設計の選択肢が限られるため(たとえば、電気光学的リードヘッドか光検出器により提供される設計のフレキシビリティに比較した場合)、特に解決が困難である。しかしながら、本発明者は、後述するような改善された「ゾーン格子」基準マーク構造によれば、後述する特定の開口構成と組み合わせることで、上記の二重の要求を、極めた細かいピッチ、高い分解能(たとえば、サブミクロン単位の分解能)の光ファイバリードヘッドとスケールについても、一体型光ファイバリードヘッドおよびスケールトラック装置で満足できることを発見した。
【0109】
図21は、本発明による改良一体型小型光ファイバリードヘッドおよびスケール装置21000の等角図であり、これは、改良一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部を含む。改良一体型小型光ファイバリードヘッドおよびスケール装置21000の動作は、
図3の小型光ファイバリードヘッドおよびスケール装置3000といくつかの点において同様であり、類似の番号が付与された構成要素(たとえば、395、1295等、「末尾部」が似た番号の付与された構成要素)は、以下に記載するものを除き、形態および動作の点で同様または同一であってもよい。
図21に示すように、後に詳しく説明する改良一体型小型光ファイバリードヘッドおよびスケール装置21000は、スケールトラック85を有するスケール部材81を含み、スケール部材81はスケール格子80と、改良ゾーン格子基準マーク50ZRMを含む基準マークゾーン2151を有する。改良一体型小型光ファイバリードヘッドおよびスケール装置21000はまた、一体型インクリメンタルおよび基準マークリードヘッド2100を含み、これを単純に一体型リードヘッド2100とも呼ぶ。
図21に示すように、直交XYZ座標系は、Y軸がスケール格子80のバーに平行で、Z軸はスケール格子80の表面に対して垂直で、X軸はY−Z平面に直角である。計測軸方向82は、X軸に平行である。
【0110】
スケール格子80は、スケールトラック85の第1のタイプのトラック部分であり、計測軸方向82に沿って計測範囲全体に及ぶように延びる。スケール格子80は、格子ピッチPGを有する反射性周期性位相格子を含み、0次反射を抑制するように構成される。第2のタイプのトラック部分である改良ゾーン格子基準マーク50ZRMは、スケールトラック85のスケール格子80と一体化され、信号間のクロストークまたは干渉が最も小さい状態で、インクリメンタル計測信号と基準マーク信号の両方を同時に供給できる構成となっており、これについて以下に詳しく説明する。改良型領域格子基準マーク50ZRMは、少なくとも1つの領域格子基準マーク部(たとえば、各種の実施形態において1つまたは2つの部分)を含んでいてもよい。
【0111】
一体型リードヘッド2100は、光ファイバケーブル2195に含まれる複数の光ファイバ2130の端部を格納し、位置付けるフェルール2101と、マスク要素2161を含む。各種の実施形態において、一体型リードヘッド2100は、本明細書に記載される各種の一体型リードヘッドと同様に構成されていてもよい。各種の実施形態において、一体型リードヘッド2100は、光干渉型リードヘッドであり、これは、本明細書で簡単に説明する原理に従って、インクリメンタル計測信号を発生するように構成され、これについては、上述の‘696号特許に詳しく記載されている。いくつかの実施形態において、一体型リードヘッド2100は、
図23、
図24、
図27A、
図27B、
図28等に示される一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部に関して後述する特徴を有するように構成されていると特に有利であるかもしれない。
【0112】
動作中、スケール部材81は、計測軸82に沿って変位し、リードヘッド2100は、スケールトラック85に沿って変位される。
【0113】
簡潔に言えば、動作中、スケール部材81と一体型リードヘッド2100は、相互に関して動作的に位置付けられ、所定の重複ギャップZGAPは、一体型リードヘッド2100のスケール格子80と光受信面2160の間に設けられる。スケール部材81とリードヘッド2100が計測軸方向82に沿って相対的に移動すると、リードヘッド2100はスケールトラック85に沿って変位される。一体型リードヘッド2100は、光ファイバ2130の中の中央のファイバから分散性の光源光2150を出力し、これは、スケールトラック85の照射ポイント2153を照射する。各種の実施形態において、光源光2150は、有利な点として、単色であり、空間的にコヒーレントであり、いくつかの実施形態では時間的にコヒーレントであってもよい。光源光2150は一般に、反射回折されて、スケール光2155を供給する。
【0114】
スケール光2155は、2種類のスケール光成分からなると説明してもよく、すなわち、空間的周期性を有する強度パターンを有する第1のインクリメンタル信号光成分と、ゾーン格子基準マーク50ZRMから発せられる非周期的な集束光による強度寄与を有する第2の基準マーク信号光成分である。たとえば、第1のインクリメンタル信号光成分に関して、スケール格子80は周期的構造を有することから、±1次回折光2157を発生させ、これをリードヘッド2100に反射し、これは
図21において分散する破線で概略的に示されている。マスク要素2161の光受信面2160に近い干渉縞の場から発せられる±1次回折光2157は、本明細書の中ですでに説明した‘696号特許に記載された原理に従って、複数の光ファイバインクリメンタル計測信号受信チャネルを提供するために、外側の光ファイバ2130のうちの特定の1つの端部に対して、異なる空間位相を有する位相マスク部分を使い、干渉縞を周期的に空間フィルタリングする。周期的空間フィルタリングの結果として、一体型リードヘッド2100の光ファイバ受信チャネルは、スケール格子80がリードヘッド2100に関して変位すると、異なる空間位相(たとえば、直交信号)を有する周期的光信号を出力するかもしれない、インクリメンタル計測信号受信チャネルを提供する。ゾーン格子基準マーク50ZRMから発生される非周期的な集束光によって強度に寄与する第2の基準マーク信号光成分に関し、各種の実施形態において、ゾーン格子基準マーク50ZRMが照射スポット2153の中に位置づけられると、ゾーン格子マーク部分は、信号を強め合うように複合する少なくとも2つの関連するマークゾーンから複合された光を生成し、光受信面2160またはその付近のゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEにおいて、絞られた、すなわち集束されたスケール光成分を提供する。(
図21では、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEは、説明を目的として、光受信面2160からの距離を誇張して、概略的に示している。)
図21の実施形態において、一体型リードヘッド2100のマスク要素2161はまた、外側光ファイバ2130のうちの特定の1本の端部に対して、周期的な空間フィルタリングを行わないゾーンまたは開口マスクを含むため、インクリメンタル信号光成分の空間的周期の効果が拒絶または抑制され、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中の第2の基準マーク信号光成分によって信号が変化されると、これが対応するマーク信号受信チャネルによって検出される。特に、リードヘッド2100がゾーン格子基準マーク50ZRMの上で変位されると、比較的一定の量の「平均的な」第1のインクリメンタル信号光成分はほとんど変化せず、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中で集中した基準マーク信号光成分が信号を変化させ、これが基準マーク信号受信チャネルによって基準信号として送受信され、照射スポット2153とゾーン格子基準マーク50ZRMの重複の量に応じて変調された複数の基準マーク信号として提供される。複数の基準マーク信号は、処理され、基準位置が正確に判断されることになるが、これについて以下に詳細に説明する。
【0115】
前述のように、一体型リードヘッド2100は、一体型リードヘッド2100による照射スポット2153が基準マークゾーン2151を通過すると、基準マーク光信号を出力するのと同時に、インクリメンタル変位計測(たとえば、インクリメンタル計測直交信号)のために使用される異なる空間位相を有する周期的光信号を継続的に出力することが重要である。さらに、細かいピッチのスケール格子80を使用する場合は特に、インクリメンタル変位計測信号の忠実性を高めること(たとえば、サブミクロンの分解能を提供するために、正確に補間できるようにするため)が有利であり、基準マーク信号の信号対ノイズ比(たとえば、これらは、スケール格子80の1つの特定の周期の中の基準位置を、高い信頼性とロバスト性で示すことができるようにする)をできるだけ高めることが有利である。この目的のために、ゾーン格子基準マーク50ZRMが、設計に関する各種の検討項目を満たすことが有利であることが発見されており、これについて後述する。
【0116】
図22は、本発明による各種の実施形態において使用可能な一般的一体型スケール格子およびゾーン格子基準マーク構造2200を示す等角図である。
図21と類似の番号が付与された構成要素は、いくつかの実施形態において同様または同一であってもよい。一般的なゾーン格子基準マーク50ZRMの一部を、
図22に示す。各種の実施形態において、領域格子基準マーク50ZRMは、
図22に示される中心線ZRMCに関して対称であることが有利であるかもしれない。
【0117】
図のように、スケール部材81の上に配置されるスケールトラック85は、一体型スケール格子およびゾーン格子基準マーク構造2200を含み、これは、少なくともスケール格子80の一部と、ゾーン格子基準マーク50ZRMを含む。ゾーン格子基準マーク50ZRMは、総合的な例として概略的に示されている(たとえば、各種の領域の要素の数は、代表的な典型例にすぎず、図面は正確な縮尺によっていないことがある)。スケール格子80とゾーン格子基準マーク50ZRMはいずれも、反射位相格子要素と、隆起要素Eと陥凹要素Gを含み、これは周知の方法で形成される。簡潔に言えば、いくつかの実施形態において、反射位相格子要素E、Gには、反射性クローム被覆が形成され、隆起高さH
Eは、隆起要素Eと陥凹要素Gの間にあり、これによって、要素EおよびGから反射された光の間には干渉による打ち消し合いが行われ、0次反射光が抑制される傾向がある。たとえば、使用する光源光の高さH
Eは(1/4+N/2)波長(N=0,1,2..)であってもよい。
【0118】
スケール格子80の隆起および陥凹要素をそれぞれES、GSと呼ぶ。隆起スケール要素ESは、対応する隆起した格子要素の見かけ上の位置ELに中心が置かれるように配置され、隆起した格子要素の見かけ上の位置は、計測軸方向に沿って、スケール格子ピッチのPGだけ相互に離間される。同様に、対応する陥凹格子要素の見かけ上の位置GLに中心を合わせたスケール要素GSと、陥凹格子要素の見かけ上の位置GLは、計測軸方向に沿って格子ピッチPGだけ相互に離間され、計測軸方向82に沿って、格子ピッチPGの半分だけ、隆起した格子要素の見かけ上の位置ELからずれている。各種の実施形態において、スケール要素ELの中心が隆起した格子要素の見かけ上の位置ELにあり、陥凹したスケール要素GSの中心が、陥凹した格子要素の見かけ上の位置GLにあると有利である。各種の実施形態において、隆起した要素ESと陥凹した要素GSの幅WESとWEGは、スケール格子80からの0次反射とすべての偶数次回折を実質的に除去するために、ほぼ等しい(また、50:50デューティサイクルともいう)。しかしながら、いくつかの実施形態において、加工プロセスから生じる断面形状の差について、50:50のデューティサイクルにより若干の補正が行われ、かつスケール格子80からの0次反射がより抑制されるが、これは、分析および/または実験によって判断することができる。
【0119】
ゾーン格子基準マーク50ZRMの隆起および陥凹した要素を、それぞれEZ、GZと呼ぶ。さらに、それらがどのゾーンに含まれるかを示すために、EZとGZに枝番を付与する(たとえば、EZ1、GZ1)。ゾーンについては、以下に詳しく説明する。
図22に示すように、隆起した格子要素の見かけ上の位置ELと、陥凹格子要素の見かけ上の位置GLは、スケール格子80から計測軸方向82に沿って、ゾーン格子基準マーク50ZRMを通過して続くように定められる。各種のゾーンの中のスケール要素の幅にばらつきがあるため、後述のように、隆起したスケール要素EZは常に、対応する隆起した格子要素の見かけ上の位置ELまで広がり、中心付近にあるが、いくつかの実施形態において、見かけ上の位置ELの完全な中心になくてもよい。同様に、各種のゾーンの中のスケール要素の幅のばらつきにより、陥凹したスケール要素GZは常に、対応する陥凹した格子要素の見かけ上の位置GLまで広がり、中心付近にあるが、いくつかの実施形態において、見かけ上の位置GLの完全な中心になくてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、隆起または陥凹したタイプの要素EZまたはGZの少なくとも一方は常に、対応する隆起または陥凹した位置ELまたはGLの各々に中心点がある。たとえば、
図22には、対応する見かけ上の位置ELに中心を置く隆起要素EZの各々が示されている。
【0120】
隆起要素EZと陥凹要素GZの幅WEZ、WGZは一般に、ゾーン格子基準マーク50ZRMの中で一般に同等ではない。これらは、慎重な判断に基づいて不均等とされており、ゾーン格子基準マーク50ZRMは、一般に2つの基準を満たさなければならない。当然、第1の基準は、ゾーン格子基準マーク50ZRMが、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中で十分に焦点の絞られた基準マーク信号光成分を提供し、前述のように、十分な基準マーク信号を提供しなければならないことである。しかしながら、同時に、ゾーン領域格子基準マーク50ZRMは、一般的に周期的なインクリメンタル計測信号を有意な程度に打ち消すべきではない。本発明者は、先行技術のゾーンプレート基準マークをスケール格子80の中に組み込むことはできず、これらの二重の要求を満たせないことを発見した。これに対して、図のゾーン格子基準マーク構造によれば、以下に詳しく説明する特定の開口構成と共に、これらの二重の要求を、超微細、高分解能(たとえば、サブミクロン単位の分解能)の光ファイバエンコーダについても満たすことができる。特に、領域の境界を正しく規定した状態で(
図22に示される領域外側境界ZONE1OB、ZONE2OB、ZONE3OB)、幅WEZとWGZの不均等性を選択し(たとえば、分析や実験により判断される)、2つの要求を満たしてもよい。
【0121】
幅WEZとWGZが一致する場合、一致する部分は、特定の量の0次反射光を抑制し、スケール格子80と同様に、奇数次回折光に寄与することがわかるであろう。したがって、本発明によるゾーン基準マーク50ZRMは、部分的に、インクリメンタル計測信号を提供して干渉縞に寄与し、そのような信号の有意な程度の打ち消しあいを避けるかもしれない。反対に、幅WEZとWGZが一致しないかぎり、一致しない部分は、「0次」反射光に寄与する。ゾーンプレートの動作に関し、このような光は、良く知られているHuygens-Fresnel原則の点で理解されるかもしれない。したがって、当業者は、本願の開示を参照すれば、幅WEZ、WGZの一致しない部分が、周知のゾーンプレートの原理にしたがって挙動する光に寄与することがわかるであろう。そのため、本発明によるゾーン格子基準マーク50ZRMは、さまざまなゾーンからの光に貢献し、これらは、特定の位置において複合されて強め合い、打ち消し合い、実際には、前述のように、受信面2160で、またはその付近で、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEにおいて、集中または集束されたスケール光成分を供給する。ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEは、一般に、ゾーン格子基準マーク50ZRMより狭いかもしれない。しかしながら、いずれかの場合に、ゾーン格子基準マーク50ZRMとその対応する基準マーク信号作用領域50ZRM−SEは、計測軸の方向に沿った位置において反復的な関係を有し、基準マーク信号受信チャネル開口は、ゾーン格子基準マーク50ZRMとこれに対応する基準マーク信号作用領域50ZRM−SEとの近さに応じて、検出可能に異なる量のスケール光を受け取る。
【0122】
前述のように、本発明による各種の実施形態において、幅WEZとWGZを一致しないようにするのは、集束したスケール光成分を所望の強度とし、その一方で、インクリメンタル計測信号に必要な、干渉する±1次回折スケール光から生じる所望の空間的周期性を有する光を保持するためである。ゾーン格子基準マークの設計は、
図26を参照しながら、より詳しく説明する。簡潔に言えば、いくつかの実施形態において、幅WEZ、WEGは、PG/2からPG±25%、またはPG/2からPG±15%、またはPG/2からPG±5%等の程度に対応してもよい。いくつかの実施形態において、幅WEZとWGZは、PG/2から、最大でPG±25%、最小でPG±5%だけ異なり、あるいは、別の実施形態において、PG/2から、最大でPG±20%、最小でPG±10%だけ異なる。たとえば、1つの実施形態において、
図22の象徴的に表されるように、ZONE1において、WEZ1=0.65
*PGとWGZ1=0.35
*PG(つまり、65:35のデューティサイクル)である。ZONE2においては、ZONE1からスケール光成分と180度位相がずれているスケール光成分を生成するために、WEZ11=0.35
*PG、WGZ1=0.65
*PG(つまり、35:65のデューティサイクル)である。ZONE3では、ZONE1からのスケール光成分と同位相のスケール光成分を生成するために、再び、WEZ1=0.65
*PGとWGZ1=0.35
*PG(つまり、65:35のデューティサイクル)である。幅WEZとWGZの上の数値は例にすぎず、限定するものでない。より一般的には、いくつかの実施形態において、幅WEZは、ゾーンを通じて一定である必要はなく、幅WGZもゾーン全体を通じて一定である必要はない。あるいは、別の言い方をすれば、デューティサイクルはゾーンを通じて一定である必要はない。このような実施形態において、幅WEZとWGZがそのゾーン内の平均値によって特徴付けられると、これらの平均値には、WEZとWGZの数値に関して上述したPG/2との差やずれがあってもよい。
【0123】
さらに、外側領域境界ZONE1OB、ZONE2OB、ZONE3OBは、各領域からの光路の長さ(たとえば、平均光路長さ)によって、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEにおいて強め合うような干渉が生じるように選択され、これについては、
図26に関して詳しく説明する。
図22に示す実施形態において、各ゾーンの境界にある格子要素は、寸法が0.5
*PG(たとえば、スケール格子80の対応する要素と同じ)で、隣接する要素は、一般的な隣接領域のデューティサイクルの遷移が行われるような幅を有する。しかしながら、
図22に示される構成のこの点は例にすぎず、限定するものではないことがわかるであろう。いくつかの別の実施形態において、ゾーン格子基準マーク50ZRMは、2つのゾーンまたはその他の領域を有してもよい。そのような実施形態の1つを
図26に示す。ゾーン境界の位置、各ゾーン内の要素の数等は、
図26に関して以下に詳細に説明する。
【0124】
図23は、一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部23000(また、一体型信号発生部23000ともいう)の各種の態様を概略的に示す等角図であり、本発明の各種の実施形態において使用可能な一体型スケール格子とゾーン格子基準マーク構成を含んでいる。
図21、
図22に示されるものと類似の番号が付与された構成要素(たとえば、2350、2150等、末尾部が同様のもの)は、いくつかの実施形態において同様または同一であってもよく、おそらくは類推により把握されてもよい。
図23には、マスク要素(たとえば、
図21に示されるマスク要素2161)が示されておらず、これは一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部23000の必要不可欠要素であるが、その動作の他の面を明確に説明するためである。マスク要素2361は、
図24に関して以下に説明する。
【0125】
図23は、一体型信号発生構成23000の特定の要素を示し、たとえば、一体型リードヘッド光ファイバ構成2300(
図24に示すものからマスク要素2361を除いたもの)を含み、これは、スケール格子80(たとえば、図にないスケール部材81の上)に取り囲まれた、概略的に示されたゾーン格子基準マーク50ZRMに関して動作的に配置される。基準マーク50ZRMは、X軸方向に沿った寸法LETOE(ZRMSE)と、図のような中心線ZRMCを有する。簡潔にいえば、動作中、一体型リードヘッド光ファイバ構成2300は、中央のファイバにより提供される光源2380からの分散性光源光2350を出力しこれは、ゾーン格子基準マーク50ZRMと周囲のスケール格子80を、照射スポット2353で照射する。各種の実施形態において、光源2350は、有利な点として、単色で、空間的にコヒーレントであり、いくつかの実施形態においては、時間的にコヒーレントであってもよい。スケール格子80は、照射されると、0次反射光を抑制し、反射回折された±1次スケール光2355A、2355Bを供給し、これは、
図23において、角度をなす回折光を示す破線で概略的に示されている。前述のように、隆起した要素と陥凹した要素の幅が、ゾーン格子基準マーク50ZRMの中で一致すると、一致する部分は、特定の量の0次反射光を抑制し、ゾーン格子基準マークスケール光2345の中の一部の光を、スケール格子80と同様に、反射回折された±1次スケール光2355A、2355Bに加える。
【0126】
±1次スケール光2355A、2355Bは、それぞれ領域2355A’、2355B’を照射し、これらは干渉領域2356で重複して、一体型リードヘッド光ファイバ構成2300の光受信面2360の付近で干渉縞2366を形成する。干渉縞は、前述の原理にしたがって光直交信号A、−A、B、−Bを受け取る光ファイバの端部におけるマスク要素2361(
図24に示される)により、空間的にフィルタリングされ、これについて
図24に関して以下に詳しく説明する。
【0127】
先に概説したインクリメンタル直交信号発生動作と同時に、ゾーン格子基準マーク50ZRMが照射スポット2453と重なると、これは、分散光源光2350の一部を反射し、X軸方向の寸法LETOE(ZRMSE)の、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEが得られる。前述のように、ゾーン格子基準マーク50ZRMで隆起および陥凹要素の幅が一致しないと、このように一致しない部分は、「0次」反射光に寄与する。ゾーンプレート方式に関して、このような光は、周知のHuygens-Fresnelの原理により理解されてもよい。したがって、当業者は、本明細書の開示を読むことにより、隆起要素と陥凹要素の幅の不一致部分が、周知のゾーンプレートの原理にしたがって挙動する光に寄与する。したがって、ゾーン格子基準マーク50ZRMは、領域ZONE1、ZONE2、ZONE3からの格子基準マークスケール光2345の特定の量の光に寄与し、これが光受信面2360に沿った特定の位置で強め合う、または打ち消し合うように複合され、光受信ン2360における、またはその付近のゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中で、集中または集束した光を提供する。
【0128】
前述のように、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEは一般に、ゾーン格子基準マーク50ZRMよりX軸方向に沿って狭くなり、計測軸の方向に沿った位置において、ゾーン格子基準マーク50ZRMと再現可能な関係を有する。いくつかの実施形態において、ゾーン格子基準マーク50ZRMは、その中心線ZRMCに関して対象であってもよく、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中心線ZRMC−SEは、ゾーン格子基準マーク50ZRMがリードヘッドの照射スポットのほぼ中央にあるとき、中心線ZRMCとほぼ一致するかもしれない。しかしながら、いくつかの実施形態においてゾーン格子基準マーク50ZRMは、非対称であり、中心線ZRMCとZRMC−SEは一致しないかもしれないが、これらは依然として、計測軸方向に沿った地点においては相互に関して再現可能な関係を保つ。いずれにせよ、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中の光は、光受信面2360に配置された基準信号開口マスクによって受信され、基準信号REF1、REF2を受ける光ファイバの端部をマスクし、基準信号REF1、REF2がゾーン格子基準マーク50ZRMに近い信号交差領域の中の基準位置を示すことに、望ましい関係を有するようになり、これについて、
図24、
図25に関して以下に詳しく説明する。
【0129】
前述のように、また
図23に示すように、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中のスケール光は、2つの構成要素からなってもよい。2つの構成要素は、
図23に示されるような周期的強度分布を有するインクリメンタル信号光成分ISLCOMPと、
図23に示される略非周期的強度分布を有する基準マーク信号光成分RMSLCOMPである。基準信号開口マスクは、空間的に周期的な強度を有するインクリメンタル信号光成分ISLCOMPを平均化するように構成され、基準信号REF1、REF2によって共有されるほぼ一定のオフセット成分となる。基準マーク信号光成分RMSLCOMPは、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中で増強されるような光強度分布を有し、最大すなわちピーク値がゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中にあり、その最大値から減少する。いくつかの実施形態において、計測軸方向82に沿ったゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの有効な縁辺間寸法LETOE(ZRMSE)に対応する2つの信号作用領域境界SERBL、SERBRは、基準マーク信号光成分RMSLCOMPの強度分布の全幅の半分の最大寸法に対応すると定義されてもよい。しかしながら、より一般的には、いくつかの実施形態において、2つの信号作用領域境界SERBL、SERBRの各々は、スケール光の基準マーク信号光成分の強度寄与度が、最大でも増強された強度分布におけるその最大貢献度の80%、少なくとも増強された強度分布における最大貢献度の20%である。さらにより一般的には、いくつかの実施形態において、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの有効縁辺間寸法LETOE(ZRMSE)は、ゾーン格子基準マーク50ZRMの設計により動作的に設計および/または調整され、その結果、信号交差領域の中の基準位置におけるその交差を決定することに関して、基準信号REF1、REF2に対して大きな影響を与える基準マーク信号光成分RMSLCOMPの強度分布の一部の境をなす場所に対応するようになり、これについては
図25に関して以下に詳しく説明する。
【0130】
図24は、
図23に示される一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部23000の一部23000’の各種のその他の態様を概略的に示す等角図であり、これには、一体型リードヘッド光ファイバ構成2300と、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEと、マスク要素2361が含まれる。
図21〜
図23に示されるものと類似の番号が付与された構成要素(たとえば、2350、2150のように、末尾が同様の番号)は、いくつかの実施形態において同様または同一であってもよく、類推されてもよい。
図24に示すように、一体型リードヘッド光ファイバ構成2300は、光源2380を提供する中央の光源用ファイバ2370を含み、いくつかの実施形態において光源用ファイバ2370のシングルモードコアの端部によって提供されてもよく、図のように、それぞれ光信号A、−A、B、−B、REF1、REF2を受け取る光受信チャネルを提供する受信用ファイバ2390A、2390A’、2390B、2390B’、2390R1、2390R2を含む。一体型リードヘッド光ファイバ装置2300はまた、位相マスク2320A、2320B、2320A’、2320B’と、ブロックマスク部分2320BR1、2320BR2を含むマスク要素2361と、開放された基準信号開口マスク部分2320R1、2320R2(単に、基準信号開口2320R1、2320R2ということもある)も含む。破線AR1L、AR1R、CAR1は、信号REF1に対応する基準信号開口2320R1の、それぞれ左右の境界と実効中心部分の位置を示し、破線AR2L、AR2R、CAR2は、信号REF2に対応する基準信号開口2320R2の、それぞれ左右の境界と実行中心部分の位置を示す。寸法LCAR1CAR2は、信号REF1、REF2に対応する基準信号開口の実効中心の間のX軸に沿った距離を示す。寸法AR12SPANは、境界AR1L、AR2Rの間に広がる距離の合計を示す。寸法AR12SEPは、境界AR1R、AR2Lの間の距離を示し、
図24の実施形態では0である。
【0131】
簡潔に言えば、動作中、位相マスク2320A、2320B、2320A’、2320B’は、光受信面2360に配置され、公知の原理に従って、干渉領域2356の中でピッチFPを有する干渉縞を空間的にフィルタリングして、直交型の周期的なインクリメンタル計測信号、A、−A、B、−Bをそれぞれ提供するように構成される。1つの実施形態において、位相マスク2320A、2320B、2320A’、2320B’はそれぞれ、相対的な空間位相が0、90、180、270度である。計測信号A、−A、B、−Bの相対的位置は例にすぎず、限定するものではない。一般に、位相マスクは、それぞれ光ファイバ2390A、2390A’、2390B、2390B’の所望のいずかからのそれぞれの計測信号A,−A,B,−Bを提供するように構成されていてもよい。マスク要素2361に関係する各種の動作と所望の原理ならびに別の空間位相の配置は、本明細書の別の場所において参照される参考文献の中に記載されている。
【0132】
ブロッキングマスク部2320BR1、2320BR2と基準信号開口2320R1、2320R2は、光受信面2360に位置付けられ、ファイバ2390R1、2390R2の端部をマスクし、基準信号REF1、REF2を供給する。ブロッキングマスク2320BR1、2320BR2がない場合、計測軸82の方向に沿って配列されるそれぞれのファイバ2390R1、2390R2の端部は、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEのいくつかの位置に対し、同じ信号で応答することになる。これに対し、マスク2320BR1、2320BR2、2320R1、2320R2の配置により、計測軸82の方向に沿って基準マーク信号受信チャネル開口がオフセットされて配置され、所望の信号交差領域を有する基準信号REF1、REF2を供給でき、これについて以下に詳しく説明する。
【0133】
前述のように、干渉領域2356の中で発生する干渉縞は、一体型信号発生部23000の動作中、継続的に存在する。しかしながら、位相マスクと異なり、基準信号開口2320R1、2320R2は、光受信用ファイバ2390R1、2390R2の端部に対して周期的な空間的フィルタリングを行わず、複数の干渉縞からの光は、変位に関係なく単純に基準信号REF1、REF2に比較的一定の平均的な量の光を提供する。反対に、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEが基準信号開口2320R1、2320R2の位置と重複すると、その集束した基準マークスケール光が、重複量に応じて、基準信号REF1、REF2を有意に増大させる。
【0134】
基準マーク信号作用領域50ZRM−SEとさまざまな位置における基準信号開口2320R1、2320R2の間の重複量は、これらの地点における基準信号R1、R2の間の関係を支配する。一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部23000に関して、適当な基準信号R1、R2を提供するための最も一般的な設計ガイドラインは、一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部23000とゾーン格子基準マーク50ZRMが、以下の関係、
AR12SEP<(LETOE(ZRM−SE))<AR12SPAN (式10)
を満たし、結果として得られる基準マーク信号が、ゾーン格子基準マーク50ZRMに近い信号交差領域の中で、所望の精度および/または再現性で基準位置を決定するために使用されるというものであり、これについて以下に詳しく説明する。各種の実施形態において、以下の関係、
(LETOE(ZRMSE))>[AR12SEP+(0.25
*(AR12SPAN−AR12SEP))]
(LETOE(ZRMSE))<[AR12SEP+(0.75
*(AR12SPAN−AR12SEP))] (式11、12)
をさらに満たす構成は、有利であるかもしれない(たとえば、基準マーク信号の間に、よりロバストおよび/または信頼性の近い関係を提供することによる)。各種の他の実施形態において、以下の関係、
(LETOE(ZRMSE))>[AR12SEP+(0.4
*(AR12SPAN−AR12SEP))]
(LETOE(ZRMSE))<[AR12SEP+(0.6
*(AR12SPAN−AR12SEP))] (式13,14)
を満たす構成が、より有利かもしれない。いくつかの実施形態において、寸法LETOE(ZRMSE)は、[AR12SEP+(0.5
*(AR12SPAN−AR12SEP))]とほぼ等しいか、信号REF1、REF2に対応する基準マーク信号受信チャネル開口の間の実効中心間距離LCAR1CAR2とほぼ等しく、基準マーク信号を発生することが最も有利かもしれず、これを
図25に関して以下に説明する。
【0135】
前述の原理によると、基準信号開口2320R1、2320R2は、対応する光ファイバ2390R1、2390R2の端部に対して周期的な空間フィルタリングを行わず、インクリメンタル信号光成分の空間的に周期的な影響は、変位とともにほぼ一定の数字に平均化され、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中の基準マーク信号光成分は、対応する基準マーク信号受信チャネルによって検出される信号変化を提供する。
図24に示される実施形態において、ブロッキングマスク2320BR1、開放開口マスク2320R1、ブロッキングマスク2320BR2および開放開口マスク2320R2は、計測軸の方向を横断する方向に延びる左右の開口の縁辺を提供し、これらの横方向の開口縁辺は、ジグザグ部を有する。ジグザグ部は、Y軸に関して角度がつけられ、各横方向の開口縁辺は、隣接する開口の境界(たとえば、点線AR2Rで示される境界)から、計測軸82の方向に沿って、開口の反対の縁辺に向かって延びる1次開口縁辺変位寸法PAETに広がる。代表的な寸法PAETは、開放開口マスク2320R2の右縁辺についてのみ示されているが、
図24の左および/または右の開口縁辺の各々について、同様の寸法PAETが存在することがわかるであろう。寸法PAETは、各開口縁辺について同じである必要はないが、これらは、各種の実施形態において同じであってもよい。それぞれの開口縁辺のジグザグ部分を斜めにして、それぞれの寸法PAETを広げることによって、開放開口マスク2320R1および/または2320R2を通過する干渉縞は、開口の縁辺において空間的にフィルタリングされ、基準マーク信号R1、R2に対するその打ち消しあう周期的な光信号寄与の振幅が少なくとも部分的に抑制されるようになる。各種の実施形態において、各寸法PAETが、マスク要素2361の光受信面2360において、少なくとも干渉縞のピッチFP1つ分であれば、有利であるかもしれない。いくつかの実施形態において、各寸法PAETは、少なくともピッチFPの3倍以上であるかもしれない。いくつかの実施形態においては、必須ではないが、各寸法PAETが見かけ上、マスク要素の光受信面において、干渉縞ピッチFPの整数と等しいと有利かもしれない。
図24に示される干渉縞ピッチFPは必ずしも正しい縮尺ではなく、説明のために誇張されている可能性がある。
【0136】
図24に示される構成の別の態様によれば、いくつかの実施形態において、必須ではないが、1次開口幅寸法PAWが見かけ上、Y軸方向に沿った開口縁辺の長さの少なくとも大部分に沿って、マスク要素の光受信面における干渉縞ピッチFPの整数個分に等しいことが有利かもしれない。このような場合、基準信号開口2320R1または2320R2と交差する干渉縞の、打ち消しあう光信号への寄与は、特に1次信号交差領域の付近において、より一定になる傾向があり、これは、干渉縞からの可変信号貢献より、基準マーク1次信号交差点に対して、より打ち消しあう力が小さいからである。1次開口幅寸法PAWは、Y軸方向に沿って変化するか、あるいは一定であってもよい。いずれの場合も、Y軸に沿った各場所において、計測軸82の方向に沿った開放開口寸法として定義されてもよい。この設計上の特徴は、0以外の1次開口縁辺変位寸法PAET(たとえば、
図24に示される)と一緒に使用しても、あるいはY軸方向に沿って整列される直線の開口縁辺と組み合わせても有利であるかもしれない。
【0137】
各種の実施形態において、一体的リードヘッドファイバ構造を、光ファイバリードヘッドの中に配置されるすべての光ファイバが、直径最大1.5ミリメートル、または1.0ミリメートルまたはそれ以下の円筒空間の中に配置するように構成することが有利かもしれない。1つの具体的な実施形態において、ファイバ2390は、約200ミクロンの直径DRAと、約250ミクロンの外径DRFの光伝送コア面積を有していてもよく、中心ファイバ2370は、同じ外径DRF、シングルモードのコア直径あるいはモードフィールド直径約4〜10ミクロンであってもよい。したがって、このような実施形態において、一体型リードヘッド光ファイバ構成2300は全体として750ミクロン程度の直径であってよい。しかしながら、他の実施形態においては、より大きな、またはより細い、および/または他のファイバ間隔が用いられてもよい。
【0138】
いくつかの実施形態において、格子ピッチPGは、約4ミクロン(あるいは、より一般的には1〜8ミクロンの範囲)であってもよく、干渉縞2366は、同様のピッチを有していてもよい。基準マーク信号受信チャル開口2320R1または2320R2は、計測軸の方向82に沿って、70ミクロン程度の寸法(たとえば、寸法PAW)を有していてもよい。基準マーク50ZRMは、ある実施形態において約142ミクロン程度の長さLETOE(ZRM)であってもよく、その結果、有効な寸法LETOE(ZRMSE)は、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEについて約70〜80ミクロンとすることができ、これによれば、十分な基準マーク信号の強度とインクリメンタル信号に対する擾乱の最大限の防止との間で、最良のバランスをとることができる。しかしながら、前述の寸法の関係の特定の実施形態は、例にすぎず、限定するものではない。たとえば、各種の用途において、他の設計上の検討項目(たとえば、格子ピッチPG)は、LETOE(ZRM)および/またはLETOE(ZRMSE)によってはもっと小さい、または大きな寸法のほうが有利であるかも知れず、上述の各種の基準信号開口寸法。
【0139】
図25は、概略的信号
図70’’を示す図であり、
図23、
図24の一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部23000に対応する、発生される基準信号を表す。信号
図70’’は、2つの基準信号、信号REF1と信号REF2を、計測軸82に沿った基準マーク信号作用領域50ZRM−SE(または基準マーク50ZRM)と、一体型リードヘッド光ファイバ構成2300の間の相対的な位置の関数として示している。特に、点71’’は、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中心線ZRMCSEは、
図24に示される位置AR1Lの左に長さ0.5
*LETOE(ZRMSE)だけ変位した位置と一致する。したがって、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEは、基準マーク信号受信チャネル開口と重複せず、点71’’では有意な信号は発生されない。基準マーク50ZRMが右に変位すると、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEは、REF1基準マーク信号受信チャネル開口2320R1とより大きく重複し、最終的には、重複は点72’’で最大となる。基準マーク50ZRMが引き続き右に変位を続けると、それ以上の信号の変化は点73’’と73’’’まで見られず(たとえば、寸法LETOE(ZRMSE)が基準信号開口2320R1の寸法より小さいからである)、これらの地点はREF1信号とREF2信号が共通の数値に収束(またはそこから分散)する信号交差領域の左限をマークする。信号交差領域において、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中心線ZRMCSEが位置(AR1L+0.5
*LETOE(ZRMSE))に変位されると、信号REF1は、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEとREF1基準マーク信号受信チャネル開口2320R1の間の重複量が減少するにつれ、減少を開始する。基準マーク信号受信チャネル開口2320R1と2320R2は、同様の寸法であり、ゾーン格子基準マーク50ZRMが、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの寸法LETOE(ZRMSE)が
図24に示される寸法LCAR1CAR2とほぼ等しく設計されるため、信号REF2は同時に、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEとREF2基準マーク信号受信チャネル開口2320R2の間の重複が増大するにつれて、点73’’’で増加を開始する。点74’’において、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEの中心線ZRMCSEは、REF1基準マーク信号受信チャネル開口2320R1とREF2基準マーク信号レシーバチャル開口 2320R2の間に対称的に配置され(
図24に示される地点)、したがって、REF1、REF2は、見かけ上等しい。残りの点75’’、75’’’、76’’、77’’での信号REF1,REF2は、前述の説明から類推して把握してもよい。地点73’’,73’’’と類似する地点75’’,75’’’は、信号交差領域の右限をマークする。
【0140】
各種の例示的な実施形態において、計測軸82に沿った基準位置をロバストな方法で設置するために、基準位置検出回路は、信号REF1とREF2が交差し、基準地点と等しくなる地点を特定してもよく、これは、本明細書で開示する一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部のリードヘッドに関してゾーン格子基準マーク50ZRMの位置を再現可能に関連付ける。信号
図70’’に対応する基準信号発生部は、
図25に示されるように、その最大値と最小値の間の約半分の信号値で、見かけ上交差する信号を含むロバストな信号交差領域が確実に得られる。
【0141】
図26は、本発明による各種の実施形態で使用可能な一体型スケール格子および領域格子基準マーク配置または構造2600の動作と設計の各種の態様を示す概略的側面図と、その結果として得られるゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEを示す図である。結果として得られるゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEと、代表的な基準信号開口2620R1,2620R2との有利な関係を説明するために、
図26はまた、
図23のマスク要素2361と類似したマスク要素2661の側面図と、X軸を中心に回転され、Z軸方向に沿って整列された状態に保たれるマスク要素2661の平面図も示す。
【0142】
基準マーク構造2600は
図22の基準マーク構造2200と同様であり、類似の番号が付与された要素は、一般に、前述の説明からの類推によって把握されてもよい。たとえば、スケール格子80の隆起要素Eと陥凹要素Gおよびゾーン格子基準マーク50−ZRM’は、
図22に関して説明した原理に従って構成されるかもしれない。各ゾーンの格子要素に関連する設計原理がすでに説明したため、以下の説明は、主として、ゾーン格子基準マークゾーンの全体的寸法の設計原理に関する。一般性のために、図の基準マーク構造2600は、5つのゾーンを示している。しかしながら、各種の実施形態において、分析や実験によって判断されるように、より少ない(またはより多い)ゾーンのほうが有利かもしれない。
図22は、正確な縮尺ではない可能性がある。特に、水平方向の縮尺は、明瞭を期すために、大きく誇張されている。したがって、
図22に示される角度も大きく誇張されている。実際には、多くの実施形態において、
図22に示される各種の領域の光路長は、小さな角度(たとえば、約1度またはそれ以下)となるかもしれない。
【0143】
前述のように、隆起および陥凹部EZ、GZの幅は、ゾーン格子基準マーク50ZRMのさまざまなゾーンで一致しない場合、不一致の部分は、「0次」反射光に寄与する。ゾーンプレート方式により、このような光は、周知のHuygens-Fresnelの原理に基づいて理解されるかもしれない。したがって、当業者は、本願の開示を読めば、隆起および陥応部EZ、GZの幅の不一致部分が、周知のゾーンプレート原則にしたがって挙動する光に寄与するかしれない。したがって、ゾーン格子基準マーク50ZRMは、特定の場所において強め合うように、また弱め合うように複合されて、さまざまなゾーンからの光に寄与し、最終的に、レシーバプレーン2660において、またはその付近で、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEにおける絞られ、集束したスケール光を提供する。特に、どのゾーンからの光も、ゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEで、強めあうように干渉するべきである。
【0144】
図26は、光源2680および/またはゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEから、各種のゾーン、ZONE1〜ZONE5に関する代表的な地点までの光路長である光路長さOPL1〜OPL5を示している。また、光源2680および/またはゾーン格子基準マーク信号作用領域50ZRM−SEからそれぞれゾーンZONE1〜ZONE5のおおまかな外側境界(Z’5で示す)までの光路長OPL1OB、OPL2OB、OPL3OB、OPL4OB、OPL5OBも示している。陥凹要素GZは、ZONE1において一致しないゾーン格子光を提供し、隆起要素EZは、ZONE2において一致しないゾーン格子光を提供する。要素EZとGZの間の高さの差は、前述のように、光の波長λの4分の1であってもよい。我々は、このλ/4を、光路長OPL(たとえば、OPL1、OPS2OB等)とは別に考える。このλ/4の光路の差を補償し、ZONE1とZONE3を行き来する光の間の強め合うような干渉を提供するために、以下の条件を満たすことができる。
2
*(OPL2)=2
*(OPL1−λ/4+λ/2) (式15)
式中、最初のλ/4の項は、上記の高さの差を示し、λ/2は、2つの領域に関連付けられる往復の光に関する強め合うような干渉を提供する。式15は、以下のように簡略化される。
OPL2=OPL1+λ/4 (式16)
【0145】
ZONE1とZONE2の間の境界は、光路長OPL1とOPL2の間の半分である光路長OPL1OBを提供する位置に確立することができる。すなわち、
OPL1OB=OPL1+λ/8 (式17)
なる。
図26をよく見ると、
0.5
*ZONE1OBD=tan(cos
-1(OPL1/OPL1OB))*OPL1 (式18)
であり、OPL1が指定された動作ギャップZGAPに等しいことがわかる。したがって、式17のOPL1OPの置換のために、OPL1のZGAPを置換すると:
ZONE1OBD=2
*tan(cos
-1(ZGAP/(ZGAP+λ/8)))
*ZGAP (式19)
となる。
【0146】
式19は、n番目のZONEnについてより一般的に表すと、以下のようになる。
【数1】
【0147】
たとえば、ZGAP=5000ミクロン、L=0.650ミクロンの1つの例において、ZONE1OBD、ZONE2OBD、ZONE3OBD、ZONE4OBD、ZONE5OBDの数値はそれぞれ、約57μm、99μm、128μm、151μmおよび172μmである。各ゾーンにおける隆起および陥凹要素EZとGZの数は、ほぼ上述のようにゾーン境界の位置と、格子ピッチPGに基づいて判断されてもよい。いくつかの実施形態において、ゾーン境界の位置に最も近い隆起または陥凹要素(たとえば、ゾーン境界の位置に広がるもの)が幅0.5
*PGを有するようにすることが有利である。隣接する要素は、次に、
図22に関して前述したように、それぞれのゾーンについて、所望のデューティサイクルに対応する幅を有することになる。前述のように、各種の実施形態において、ゾーン格子基準マークは、5つのゾーンを持つ必要はなく、ゾーンはこれより多い、またはより少なくてもよく、これは、上述の境界の位置を満たしてもよい。上記の境界の位置は、例にすぎず、限定するものではない。現実において、境界の位置は、分析および/または実験に基づいて、幾分変更し、ゾーン格子信号作用領域50ZRM−SEの有効な強度分布および/または長さLETOE(ZRMSE)を調整し、あるいは、REF1、REF2の開口の0以外のY軸位置からの光路長が一般的に比較的わずかに長くなることを考慮して、所望の基準信号REF1、REF2を提供してもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、ZONEnOBDの数値は、式20により得られるZONEnOBDの見かけ上の数値の0.8から1.2倍の範囲であってもよい。
【0148】
図27A、
図27Bは、それぞれ27000Aと27000Bを示し、
図24に示されるマスク要素2361の開口マスク構成の一部の代わりに使用可能な別のマスク構成を示している。特に、
図27A、
図27Bは、マスク要素のうち、基準マーク信号REF1、REF2を発生することに関連する部分についての別の開口マスク構成を示している。
図27A、
図27B、
図24において類似の番号が付与された要素(たとえば、数字の末尾部が類似)は、設計原理と動作が同様であってもよく、以下に特に説明しないかぎり、同様であってもよい。
図27A、
図27Bに明確に示されていないマスク要素部分は、
図24のマスク要素2361について示されたものと同様または同一であっても、あるいは本願において参照される参考文献において教示される原理に従っているものでもよい。
【0149】
図24に示されるブロッキングマスク部2320BR1、基準信号開口2320R1、ブロッキングマスク部2320BR2、基準信号開口2320R2の構成と比較して、
図27Aの主な違いは、ブロッキングマスク部分2720BR1’、基準信号開口2720R1、ブロッキングマスク部2720BR2、基準信号開口2720R2が、計測軸方向を横断する方向に延びる開口縁辺に沿った左右のジグザグ開口縁辺が少ないことである。前述の設計原理(たとえば、寸法PAETとPAWに関するもの)をここにも適用してもよい。
【0150】
図27Bは、
図24と
図27Aに関する先の説明から類推して把握される構成を示している。特に、ブロッキングマスク部2720BR1’、基準信号開口2720R1’、ブロッキングマスク部2720BR2’と基準信号開口2720R2’は、計測軸方向に対して横方向に延びる左右の開口縁辺を提供し、これらの横方向の開口縁辺は、Y軸に関して角度をなし、各横方向の開口縁辺は、隣接する開口の境界(たとえば、点線AR2Rで示される境界)から、計測軸82の方向に沿って、開口の反対の縁辺に向かって延びる、1次開口縁辺推移寸法PAETに及ぶ。
図27Aの構成と比較した主な違いは、
図27Bに示される開口が、「回転長方形」または「回転縁辺」であり、ジグザグ縁辺ではないという特徴を有することである。しかしながら、
図27Bに示される開口は、
図27Aに関して前述した設計原則を満たすかもしれない同様の寸法PAETとPAWを有する。
図27A、
図27Bに関する上記の説明に基づき、開口縁辺は、1次開口縁辺推移寸法PAETにわたり、湾曲している(直線や、角度がつけられていない)、あるいは、他の方法で蛇行した形状でもよく、このような設計もまた、
図27Aに関して前述した設計原則を満たすかもしれない。したがって、上記の例は例にすぎず、限定するものではない。また、
図27A、
図27Bに関して説明した原則により設計された開口は、一般に、本発明の各種の他の実施形態(たとえば、
図24に示される基準信号開口の代わりに)使用してもよい。
【0151】
図28は、本発明による各種の実施形態で使用可能な一体型インクリメンタル信号および基準信号発生部の一部28000’の各種の態様を概略的に示す等角図であり、これは、2つのゾーン格子基準マーク部(図示せず)を含む一体型スケール格子およびゾーン格子基準マーク構成を使用している。部分28000’の設計と動作は、多くの点において、
図24の部分23000’と同様であり、23XX、28XXと続く番号の類似の番号が付された要素(たとえば、要素2320R2、2820R2等、末尾が同様のもの)は、以下に記載したものを除き、形態と動作において同様または同一であってもよい。一般に、部分28000’の設計と動作は、部分23000’および一体型信号発生部23000の前述の説明、および/または本明細書の他の部分において参照される参考文献において教示される設計原理に基づいて理解されてもよい。したがって、部分23000’と28000’の動作の大きな違いだけを以下に説明する。
【0152】
図28は、一体型リードヘッド光ファイバ構成2800と、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEと、格子要素2861を含む部分28000’を示している。部分23000’と28000’の間の主な相違は、光ファイバ装置2300と2800が、XY面に置いて異なる回転方向を持っていることである。光ファイバ装置2800において、X軸方向に沿って離間されている光受信用ファイバ2890R1と2890R2は、基準信号REF1、REF2を提供する。さらに、基準マーク信号作用領域50ZRM−SEは、個々の寸法LSEGを有し、内側縁辺間寸法LETOE(ZRMSE)を提供する2つの作用副領域または部分50ZRM1−SEと50ZRM2−SEを含む。50ZRM1、50ZRM2とされる2つのゾーン格子小区分または基準マーク部分に対応するゾーン格子基準マーク(ここでは、50ZRM(図示せず))は、前述の原則にしたがって、2つの分離したゾーン格子基準マーク信号作用副領域または小区分50ZRM1−SEと50ZRM2−SEを提供する。
図28に示される具体的な実施形態においては、寸法LETOE(ZRMSE)は2つの信号作用副領域50ZRM1−SEと50ZRM2−SEの内側境界間の距離に対応するが、別の実施形態においては、ゾーン格子基準マークは、信号作用副領域または部分50ZRM1−SEと50ZRM2−SEの関係について指定することができ、これらの外側境界(その内側境界ではない)が同じ寸法LETOE(ZRMSE)に対応するようにしてもよい。いずれの場合も、基準マークは、分離された2つの基準マーク副領域または部分を含むように構成されて、
図28に示されるタイプの信号作用副領域または部分50ZRM1−SEと50ZRM2−SEを設計し、これを
図28に示されるような一体型リードヘッド光ファイバ構成とともに使用することができる。
【0153】
本発明は、上述の例示的実施形態に関連して説明してきたが、上記の実施形態と設計要素は、当業者にとっては明らかであるように、その他の別の実施形態、改変版、変更版を示すものでもあることは明らかである。したがって、上述の本発明の実施形態は、説明のためのものであり、限定するものではない。各種の変更を、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、加えることができる。