(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、吸音材として特許文献1に記載されているロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機繊維のフェルト、マット、ブランケットを使用した場合、排水による騒音を十分に低下させるためには、吸音材の厚さをかなり厚くする必要があり(ロックウールの場合、平均5mm、グラスウールの場合、平均5mm、セラミックウールの場合、平均3mm)、それでも十分な遮音効果を得られるとは限らない。
また、吸音材として樹脂系の材料を使用することも考えられるが、樹脂系の材料を使用すると管の耐火性能が低下するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、合成樹脂製の内管と不燃性の外管との空隙に所定の有機系の材料を用いることで、吸音材の厚さを厚くすることなく高い遮音性能を有し、かつ従来の耐火二層管と同等の耐火性能を有する遮音耐火管および遮音耐火管の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、合成樹脂製内管と、この合成樹脂製内管を所定の空隙を設けて覆う不燃性の外管と、合成樹脂製内管と不燃性の外管の間の空隙に吸音材が配置されており、前記吸音材として、ポリエステル製繊維の外周面上にエチレンビニル共重合樹脂(EVOH樹脂)からなる外層を形成した繊維の不織布を使用し
、前記吸音材が、その端部同士が前記合成樹脂製内管の管軸方向に沿って重ね合わされた重ね合わせ部が形成された状態で、前記空隙に配置され、前記重ね合わせ部の幅が40mm以下であることにより、前記目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記吸音材の見掛け密度が30kg/m
3〜500kg/m
3であり、前記吸音材の厚さが1.5mm〜2.5mmであることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、以下の工程からなることを特徴とする請求項
1または請求項2に記載の遮音耐火管の製造方法を提供することにより、前記目的を達成する。
工程1:前記合成樹脂製内管の外径のサイズに、前記吸音材の厚さの3倍以上7倍以下のサイズを有する芯管の外周面上にモルタル層を形成し、養生・硬化させた後、芯管を抜き取ることにより不燃性の外管を製造する工程
工程2:前記合成樹脂製内管の外周面上に、吸音材としてポリエステル製繊維の外周面上にエチレンビニル共重合樹脂(EVOH樹脂)からなる外層を形成した繊維の不織布を、前記吸音材をその端部同士を前記合成樹脂製内管の管軸方向に沿って、重ね合わされた重ね合わせ部
の幅が40mm以下で形成された状態で、前記合成樹脂製内管の外周面上に被覆する工程
工程3:工程2で得られた吸音材が被覆された合成樹脂製内管を、工程1で得られた不燃性の外管に挿入する工程
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、吸音材として合成樹脂製の材料を使用しているにもかかわらず、従来の耐火二層管と同等の耐火性能を維持し、かつ遮音効果を向上させた遮音耐火管を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の遮音耐火管における好適な実施形態について、
図1から
図5を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
図1は、本発明の実施形態に係る遮音耐火管の側面図であり、
図2は
図1のA−A′方向の断面図である。
この遮音耐火管10は、合成樹脂製内管22と、この合成樹脂製内管22を所定の空隙を設けて覆う不燃性の外管26と、合成樹脂製内管22と不燃性の外管26の間の空隙に吸音性能を有する吸音材24が配置されている。この吸音材24としては、ポリエステル製繊維の外周面上にエチレンビニル共重合樹脂(EVOH樹脂)からなる外層を形成した繊維の不織布を使用している。
合成樹脂製内管22と不燃性の外管26の間の空隙の幅は、吸音材24の厚さより大きいので、施工時に、不燃性の外管26と吸音材24で被覆された合成樹脂製内管22とを、図中の矢印の方向にずらして施工できるようになっている。
この実施形態に係る遮音耐火管10により、従来の耐火二層管の耐火性能を維持しつつ、排水時の遮音性能を向上させることができる。
【0009】
(2)実施形態の詳細
図1、
図2に示す遮音耐火管10の詳細を説明する。
まず、合成樹脂製内管22は、従来の耐火二層管と同様、JIS−K−6741やJIS−K−6742に規定された硬質塩化ビニル管等の合成樹脂製の管を使用する。一般的に合成樹脂製内管22は、内径が呼称寸法(呼び径)で20mmから150mmであり、厚さは前記呼称寸法により異なるが1.8mmから9.6mmである。
【0010】
次に、不燃性の外管26は、窯業系の材料であり、一般の耐火二層管と同様、セメントと補強繊維とを主原料とし、必要に応じて炭酸カルシウム粉末、ワラストナイト、粘土鉱物等の混和材や、パーライト、合成けい酸カルシウム水和物等の軽量骨材等を副原料として使用する。なお、廃材となった外管の粉砕粉も前記混和材として使用することができる。
不燃性の外管26に用いるセメントとしては、ポルトランドセメント等の水硬性セメントを使用することができる。原料配合に占めるセメントの比率は50質量%以上であることが好ましい。セメントの配合比率が50質量%を下回ると、不燃性の外管26の強度が不十分となる場合がある。
【0011】
補強繊維は、セルロースパルプ、ビニロン繊維等の合成繊維、ガラス繊維等の無機繊維を使用することができる。この補強繊維の配合比率は3〜10質量%が好適である。3質量%を下回ると、窯業系不燃材製の外管の強度が不十分となる場合がある。また、10質量%を上回ると、後述する原料の湿式混合において、補強繊維を均一に分散させにくくなる場合がある。
なお、前記補強繊維のうち有機繊維(セルロースパルプおよび合成繊維)の配合比率は7質量%以下であることが好適である。有機繊維の配合比率が7質量%を上回ると、不燃性の外管26の耐火性能が低下する危険性がある。
混和材は、不燃性の外管26を製造する際の成形性を向上させ、あるいは得られた不燃性の外管26の耐熱性等の物性を向上させるために使用する原料である。
また、軽量骨材は、不燃性の外管26の軽量化を図るために使用する原料である。混和材や軽量骨材等の副原料は、一種または二種以上を使用することができる。副原料を使用する場合の配合比率は、40質量%以下、好ましくは33質量%以下である。なお、副原料は必ずしも使用しなくともよいが、使用する場合の配合比率は5質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。副原料の配合比率が5質量%未満であると、副原料の十分な効果が得られない場合がある。
【0012】
この不燃性の外管26により、合成樹脂製内管22を被覆しているので、合成樹脂製内管22が炎に弱いという弱点を補い、火災発生時に合成樹脂製内管22を伝って延焼することを防止している。また、この実施形態では、吸音材24が延焼することも効果的に防止している。
【0013】
次に、この不燃性の外管26の製造法を説明する。
まず、上記した各原料に水を加えて湿式混合し、抄造法等の公知の方法を用いて薄層状に成形する。そして、所定の外径(内管の外径に吸音材の厚さの2倍以上7倍以下に設定)を有する金属製の芯管の外周上に所定の厚さに巻き取り、50℃〜80℃で養生して硬化させる。その後、芯管を抜き取り、更に自然養生等を行うことにより不燃性の外管26を得ることができる。
金属製の芯管の外径(直径)は、合成樹脂製内管22の外径(直径)に吸音材24の厚さの2倍から7倍を加えたサイズに設定する。吸音材の厚さの2倍未満であると、不燃性の外管26に合成樹脂製内管22を挿入する製造工程において、吸音材を被覆した合成樹脂製内管22を不燃性の外管26に挿入しにくくなるか、挿入時に吸音材24が捲れてしまう恐れがあり、また吸音材の厚さの7倍を上回ると、遮音耐火管の施工が行いにくくなる恐れがある。従って、合成樹脂製内管22の外径が114mm、吸音材24の厚さが1.5mmの場合、金属製の芯管の外径は、117mm以上124.5mm以下とする。
なお、金属製の芯管の外径を、合成樹脂製内管22の外径に吸音材24の厚さの2倍を加えたサイズに設定すると、製造された遮音耐火管10の合成樹脂製内管22と不燃性の外管26との空隙が、吸音材24の厚さと対応することとなる。
【0014】
この不燃性の外管26は、見掛け密度が約0.8g/cm
3〜1.6g/cm
3である。一般の耐火二層管に用いられる不燃性の外管は、内管の呼び径によって異なり、内管の呼び径が20mmの場合で厚さが5.5mm、内管の呼び径が150mmの場合で厚さが7.5mm程度である。本実施形態においても、一般の耐火二層管に用いられる不燃性の外管と同様の厚さで、一般の耐火二層管と同等の耐火性能を得ることができる。
【0015】
続いて、本実施形態に使用する吸音材24を説明する。
従来、吸音性能を有する材料として、ロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機繊維のフェルト、マット、ブランケットが用いられてきた。前記特許文献1における実施例では、吸音材の厚さとして少なくとも3mmは必要であり、且つ厚さでは、排水騒音に対して必ずしも十分な遮音性能を得ることができなかった。
また、吸音材としては、前記無機系の材料の他に合成樹脂製の材料も用いられていた。
このような合成樹脂製の材料としては、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、ポリプロピレン、等他これらの混合物等があるが、これらの合成樹脂製の材料を用いた場合であっても、吸音材の厚さとして少なくとも3mmは必要であり、且つその程度の厚さでは、排水騒音に対する十分な遮音性能を得ることができない恐れもあった。また、これらの合成樹脂製の吸音材を用いると、耐火性能も低下する危険性が存在した。
【0016】
そこで、本実施形態では、吸音材24として、ポリエステル製繊維の外周面上にエチレンビニル共重合樹脂(EVOH樹脂)からなる外層を形成した繊維の不織布を使用した。これにより、吸音材を厚くすることなく高い遮音性能を得ることができ、且つこの不織布は合成樹脂製であるにもかかわらず、従来の耐火二層管と変わらない耐火性能を得ることができる。
【0017】
本実施形態で使用する吸音材は、見掛け密度は30kg/m
3〜500kg/m
3であることが好ましい。見掛け密度が30kg/m
3を下回ると、遮音性能が低下することがある。また、見掛け密度が500kg/m
3を上回ると、遮音性能が低下することがある。
【0018】
合成樹脂製内管22を吸音材24で被覆するにあたり、吸音材24の端部間に隙間を生じないようにしなければならない。合成樹脂製内管22が吸音材24で被覆されていない場所が生ずると、遮音性能が低下する。合成樹脂製内管22を被覆した吸音材24の端部同士は、テープ等で止め付ける。
本実施形態においては、可燃性のテープを用いても後述する遮音耐火管の耐火性能は低下しない。また、吸音材24の端部間に隙間を生じないようにするため、
図3に示すように、吸音材24の端部同士を重ね合わせた重ね合わせ部25を設けることにより、吸音材24の端部同士の間に隙間を生じないようにしてテープ等で止め付けることもできる。この場合、重ね合わせ部25の幅は、合成樹脂製内管22の外径にもよるが、40mm以下であるのが好適である。重ね合わせ部の幅が40mm以下であれば、重ね合わせ部があっても遮音耐火管10の耐火性能はあまり低下しないが、40mmを上回ると、遮音耐火管10の耐火性能が低下する危険性がある。
また、重ね合わせ部25を設ける場合には、不燃性の外管26の内径は、合成樹脂製内管22の外径に吸音材の厚さの3倍以上7倍以下を加えた寸法とするのが好適である。吸音材24の厚さの3倍未満であると、この遮音耐火管10の製造工程において、吸音材24を被覆した合成樹脂製内管22を不燃性の外管26に挿入する際、重ね合わせ部25が存在する関係で、挿入しにくくなるか、挿入時に吸音材24が捲れてしまう恐れがある。
一方、吸音材24の厚さの7倍を上回ると、遮音耐火管10の施工が行いにくくなる恐れがある。
なお、重ね合わせ部25を設けた構成においては、遮音耐火管10における吸音材24を被覆した合成樹脂製内管22は偏芯するが、重ね合わせ部の幅が40mm以下であれば実用上問題はない。
【0019】
吸音材24の厚さは1.5mm〜2.5mmが望ましい。厚さが2.5mmを上回ると、遮音耐火管10の耐火性能を低下させてしまう恐れもある。一方、吸音材24の厚さは薄いほど良いが、1.5mm未満であると、排水騒音に対する十分な遮音性能を得ることができにくくなる。
一般の耐火二層管の場合は、前記内管を前記外管に挿入することにより製造されており、内管と外管とはスライド可能に形成されている。本実施形態の遮音耐火管10は、合成樹脂製内管22と不燃性の外管26との間に吸音材24を設けるために、合成樹脂製内管22の外周面を吸音材24で被覆した後、不燃性の外管26に挿入することにより製造する。
耐火二層管は、施工時に外管を内管に対してスライドさせて切断加工できるように構成されている。吸音材24を設けた本実施形態においても、耐火二層管と同様に、現場で長さ調整を行うため、不燃性の外管26と吸音材24が被覆された合成樹脂製内管22とをスライドさせて切断加工できるようになっている。
なお、吸音材24は、一定の弾力性を有しているので、この耐火遮音管10を配置した後、熱湯等が排水された際、合成樹脂製内管22が膨張しても、この膨張を不燃性の外管26に伝えることなく吸収することができる。
【0020】
次に、本実施形態の具体的実施例を説明する。この
参考例1及び参考例2並びに実施例3及び実施例4に基づいて、遮音性能試験、耐火性能試験を行った。
(
参考例1、
参考例2)
合成樹脂製内管22として、排水管としての使用頻度が高い呼び径100mm(外径寸法114mm)、厚さが6.6mmの硬質塩化ビニル管を使用した。これを後述する遮音性能試験用として用いた(以下、
参考例1とする)。
また、後述する耐火性能試験用として、使用が想定される範囲で外径が最も大きいもので試験を行うとする原則に従い、現実に使用される最も外径の大きい、呼び径が150mm(外径寸法165mm)、厚さが8.9mmの硬質塩化ビニル管を合成樹脂製内管22として使用した(以下、
参考例2とする)。
不燃性の外管26は、原料として、セメント70%、補強繊維5%、無機混和材25%を使用した。
これらの原料に水を加えて混合し原料スラリーを得、この原料スラリーを抄造機で薄層状に抄造し、
参考例1については、外径(直径)が120mmの芯管に厚さが6.5mmとなるように薄層を巻き取ってモルタル層を形成し、また、
参考例2については、外径が171mmの芯管に厚さが7.5mmとなるように薄層を巻き取ってモルタル層を形成した。その後、70℃で3時間養生した後芯管を抜き取り、更に1週間自然養生して、見掛け密度が1.1g/cm
3の不燃性の外管26を製造した。
吸音材24は、ポリエステル製繊維の外周面上にエチレンビニル共重合樹脂(EVOH樹脂)からなる外層を形成した繊維の不織布として(株)クラレ製フレクスター(登録商標)の見掛け密度が65kg/m
3で厚さが2mmのものを使用した。
この不織布は、蒸気の熱と噴流の同時作用によって、特殊繊維を瞬時に反応させて製造したもので、細かい繊維と空隙構造によって音エネルギーを吸収する(特に中高音域で吸音性能が高い)ことを特徴としている。
合成樹脂製内管22の外周面上に吸音材24であるフレクスターを巻き付けテープで止め付けた後、不燃性の外管26に挿入することにより、本実施例の遮音耐火管10を製造した。
この遮音耐火管10の不燃性の外管26の厚さは、合成樹脂製内管22の呼び径が100mmの場合、6.5mm、合成樹脂製内管22の呼び径が150mmの場合、7.5mmである。
【0021】
(実施例3)
合成樹脂製内管は
参考例1と同一のものを使用した。不燃性の外管は、外径が122mmの芯管を用いた以外は
参考例1と同一とした。吸音材も
参考例1と同一のフレクスターを使用したが、合成樹脂製内管を吸音材で被覆する際、吸音材の端部同士を30mm幅で重ね合わせた重ね合わせ部を設けてテープで止め付けた。次いで、
参考例1と同様に吸音材を被覆した合成樹脂製内管を不燃性の外管に挿入することにより、実施例3の遮音耐火管を製造した。実施例3は、後述する遮音性能試験用である。
【0022】
(実施例4)
遮音耐火管を製造した。合成樹脂製内管は
参考例
2と同一のものを使用した。不燃性の外管は、外径が173mmの芯管を用いた以外は
参考例
2と同一とした。吸音材も
参考例
2と同一のフレクスターを使用したが、合成樹脂製内管を被覆する際、吸音材の端部同士を30mm幅で重ね合わせた重ね合わせ部を設けてテープで止め付けた。次いで、
参考例2と同様に吸音材を被覆した合成樹脂製内管を不燃性の外管に挿入することにより、実施例4の遮音耐火管を製造した。実施例4の遮音耐火管は、
参考例2と同様、後述する耐火性能試験用である。
【0023】
(比較例1)
合成樹脂製内管と不燃性の外管は
参考例1と同一のものを使用した。吸音材の厚さは実施例と同一とした。吸音材として、ポリエチレン(見掛け密度は46kg/m
3)を使用した。
【0024】
(比較例2)
合成樹脂製内管は
参考例1と同一のものを使用した。吸音材として見掛け密度が200kg/m
3のロックウールフェルトを使用した。ロックウールフェルトの場合、厚さが2mmでは、均一に内管できなかった。そこで、外径が124mmの芯管を用いた以外は
参考例1と同様に、厚さ6.5mmの外管を製造し、吸音材の厚さが4mmの遮音耐火管を作製した。
【0025】
(参考例)
従来の耐火二層管を使用した。合成樹脂製内管は実施例と同一であるが、不燃性の外管(厚さ6.5mm)と合成樹脂製内管の空隙の幅は1mmである。
【0026】
次に、実施例、比較例および参考例に係る製品の遮音性能を測定した結果を示す。
ここで、騒音とは、人間にとって望ましくない音のことで、いかなる音であっても、聞き手にとって不快な音、じゃまな音と受け止められると、その音は騒音と見なされる。すなわち、騒音は人間の聴感に基づいた感覚量であるため、その大きさを表すためには、音の物理的な大きさではなく人間の聴感に基づいた量を用いなければならない。そこで、騒音の音圧レベルに、等ラウドネス曲線に従った周波数重み付け(A特性)をした音圧レベルを騒音の大きさを表す量として用い、“騒音レベル”L
A(単位:dBA)とし、従来の耐火二層管(参考例)との差異により、
参考例1、実施例3および比較例1、比較例2の遮音性能を評価した。
【0027】
(測定方法)
図4は、測定装置の概要を示した図である。図に示すとおり、簡易的な3階分の縦配管を行い、実験設備の3階から洋風便器を用いて2階に設置した疑似パイプスペース(以下、疑似PSという)内の試験体に排水し、その流れる排水騒音を試験体外側から100mm離れた位置で音圧レベルを精密騒音計(NA−28)で5秒間測定した。排水条件は洋風便器1個あたりの排水量をタンク約9.5リットルの水が7秒間で流れることにより、平均排水流量2.6リットル/sec(洋風便器2個分の流量を想定)で実施した。また、測定は各排水流量で3回測定し、その結果をレベル平均して各仕様の比較を行った。試験結果を表1示す。
【0029】
表1から明らかなとおり、
参考例1および実施例3は、吸音材24として他の材料を用いた遮音耐火管よりも遮音性能が優れていた。
【0030】
次に、耐火試験の結果を説明する。
この耐火試験は、建築基準法施行令第129条の2の5第1項第7号ハの規定に基づく認定に関わる評価について適用される遮炎性試験である。
試験方法は、遮炎性試験である。
(i)加熱曲線:IS0834による加熱曲線
※T=345log10(8t+1)+20
T=温度(℃)
t=時間(分)
(ii)試験時間:60分
(iii)測定
非加熱面での火炎及び火炎の通る亀裂等の発生の有無について次の(1)から(3)について目視による観察を実施する。
(1)非加熱側へ10秒を超えて継続する火災の噴出がないこと。
(2)非加熱側で10秒を超えて継続する発炎がないこと。
(3)火炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を生じないこと。
(試験体)
(i)部位:ALC(軽量気泡コンクリート)壁貫通部(壁の防火区画)
(ii)試験体寸法:厚さ(75mm)×縦(2450mm)×横(3200mm)
(iii)遮音耐火管(
参考例2)(実施例4)、耐火二層管(参考例)を上記試験に
挿入して耐火試験を行う。
(判定項目)
(i)非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出の有無
(ii)非加熱側へ10秒を超えて継続する発炎の有無
(iii)炎が通る亀裂等の損傷及び隙間の有無
【0031】
この結果を
図5の表に示す。この
図5に示した結果から明らかなように、全ての判定項目において、本
参考例2および実施例4に係る遮音耐火管は、従来の耐火二層管と変わらない耐火性能を有している。