【実施例1】
【0015】
本発明の一実施例に係る自動分析装置について
図1を用いて説明する。具体的には、血清,尿などの生体試料中に含まれる微量成分を自動で連続的に分析するために、固相抽出による前処理を行う固相抽出機構,抽出試料を送液する試料導入装置,ESIイオン源を備えたMS、からなる自動分析装置について説明する。
【0016】
図1に示す自動分析装置は、固相抽出処理を受ける生体試料が分注された試料容器101が配置される試料設置部102、固相抽出カートリッジ103を用いて順次固相抽出処理を行う処理部104、抽出処理に使用する洗浄液や溶出液等の各種試薬容器105を配置する試薬配置部106、これら試料,試薬を固相抽出カートリッジ103に分注する試料分注機構107,試薬分注機構108、固相抽出処理を行う固相抽出処理部109、抽出容器110が配置される抽出容器設置部111、固相抽出カートリッジ103および抽出容器110などの消耗品の設置部112、抽出試料の分注とイオン源114への送液を行う試料導入部113、イオン源114でイオン化された成分を質量分析する質量分析部115、により構成される。
【0017】
次に、自動分析装置による生体試料分析の手順について説明する。試料容器101に分注された状態で試料設置部102に設置された生体試料のうち、あらかじめ設定された一定量を試料分注機構107により固相抽出カートリッジ103に分注する。試料が分注された固相抽出カートリッジ103は、処理部104の回転により固相抽出処理部109の位置に移動する。固相抽出処理部109では、試料が分注された固相抽出カートリッジ103に対して試料の通液を行い、測定対象成分が抽出される。抽出後、試薬分注機構108により試薬容器105に準備された洗浄液を分注し、通液処理を行うことで固相抽出カートリッジ103を洗浄する。洗浄後、同様に試薬分注機構108により溶出液を試料が分注された固相抽出カートリッジ103に分注し、通液処理を行うことで固相抽出カートリッジ103から測定対象成分を溶出させた抽出試料液を抽出容器110に回収する。
【0018】
抽出試料液を回収した抽出容器110を、抽出容器設置部111の回転により試料導入部113の位置に移動する。抽出試料液は試料導入部113によりイオン源114に導入される。イオン源114で測定対象成分がイオン化され、質量分析部115にて成分が検出される。
【0019】
試料導入部113の詳細について、
図2〜
図10を用いて説明する。試料導入部は、第一溶媒201と第二溶媒202と、これら溶媒と流路が接続された1−4ポートのロータリーバルブ203と、ロータリーバルブ203を介して第一溶媒201と第二溶媒202を吸引・吐出するシリンジポンプ204およびプランジャ205と、抽出容器110に回収された抽出試料液あるいは洗浄液211を吸引するためのシリンジポンプ206およびプランジャ207、抽出試料液あるいは洗浄液211を吸引するときに液中に送られるニードル210と、吸引された抽出試料液を蓄えるサンプルループ212と、ロータリーバルブ203とニードル210とサンプルループ212とシリンジポンプ206とイオン源114を接続し、サンプルループ212に蓄えた抽出試料液をイオン源114に送液するために流路を切り替えることが可能な六方バルブ209と、シリンジポンプ206と六方バルブ209の流路の間に設置され洗浄液216を吸引するときに液中に送られるニードル217が接続された三方バルブ215、プランジャ205とプランジャ207が接続され2つのプランジャを同時に吸引または吐出方向に駆動させることが可能な駆動部208、から構成される。
図2には、抽出試料液中の測定対象成分をイオン化するイオン源114およびイオン化された成分を検出する質量分析部115も記載してある。
【0020】
ロータリーバルブ203は、シリンジポンプ204と接続された中央ポートCと、第一溶媒201と接続されたP1あるいは第二溶媒202と接続されたP2あるいは六方バルブ209と接続されたP3あるいは廃液受け213と接続されたP4のいずれかを接続するように任意のタイミングで流路を切り替えることができる。
図2はC−P1が接続されている状態である。六方バルブ209は、6箇所の流路接続部を有し、隣接する2箇所のいずれかと接続するように流路を切り替えることができる。六方バルブ209には2種類の流路切り替え位置がある。
図2で実線で示す流路がLoadであり、ニードル210とサンプルループ212、サンプルループ212とシリンジポンプ206、ロータリーバルブ203とイオン源114をそれぞれ接続する。同様に
図2に点線で示す流路がInjectである。ニードル210は、抽出容器110に回収された抽出試料液あるいは洗浄液211のいずれかの液中に先端部を移動して浸し、液をニードル内部に吸引させる。あるいは廃液受け214の位置に移動して、ニードルおよび流路内の液を吐出させる。三方バルブ215は、3箇所の流路接続部を有し、シリンジポンプ206と六方バルブ209を接続する流路P1あるいはシリンジポンプ206と洗浄液216を接続する流路P2のいずれかを切り替える。ニードル217は、洗浄液216の液中に先端部を移動して浸し、液をニードル内部に吸引させる。あるいは廃液受け218の位置に移動して、ニードルおよび流路内の液を吐出させる。
【0021】
ここで、本実施例における構成要素の動作について
図2および
図3を用いて説明する。第一工程では、駆動部208がプランジャ205およびプランジャ207を引く。この間、ロータリーバルブ203が一定の間隔で第一溶媒201と接続されるP1と第二溶媒202と接続されるP2にポジションを切り替えることで、シリンジポンプ204内には切り替えの周期により設定された混合比の均一な混合溶媒が充填される。この時六方バルブ209はLoadポジションにある。ニードル210は抽出試料液の液中にあらかじめ移動されており、シリンジポンプ206は、抽出試料液を吸引してサンプルループ212内に充填する(
図3)。サンプルループ212内に抽出試料液が充填された時点で、三方バルブ215が洗浄液216に通じるポジションに切り替わり、シリンジポンプ抽出試料液6は洗浄液216を吸引する(
図4)。これら吸引動作は、シリンジポンプ204が十分量の混合溶媒を吸引するまで継続される。
【0022】
シリンジポンプ204が十分量の混合溶媒を吸引し終えると、駆動部208はプランジャ205および207を押す動作に切り替わる(
図5)。ロータリーバルブ203は六方バルブ209と接続するP3にポジションを切り替える。六方バルブ209はLoadポジションのままであり、シリンジポンプ204から吐出される混合溶媒は、検出器へと送液される。同時に、ニードル217は廃液受け218へと移動し、シリンジポンプ206は洗浄液を吐出している。これら動作は、シリンジポンプ204から送液される混合溶媒がイオン源114までの流路を十分置換するまで継続される。
【0023】
シリンジポンプ204から送液される混合溶媒が検出器までの流路を十分置換された時点で、六方バルブ209がInjectポジションに切り替わる(
図6)。これにより抽出試料液が充填されたサンプルループ212が、イオン源114へつながる流路に組み込まれる。引き続きシリンジポンプ204からの送液により、混合溶媒−試料液−混合溶媒のサンドイッチ状態が形成され、サンプルループ212内の抽出試料液はイオン源114へ導入される。イオン源に導入された抽出試料液中の測定対象成分はイオン化され、質量分析部115で検出される。六方バルブ209のポジションが切り替わると同時に、ニードル210は廃液受け214に移動する。同じ駆動部208で制御されているシリンジポンプ206は、ニードル210および流路内に残留する抽出試料液を廃液受け214に排出している。
【0024】
質量分析部115で測定対象成分の測定が終了すると、流路洗浄のため第四工程に移行する。第四工程は洗浄液を吸引・吐出することで実施される。ロータリーバルブ203は、次測定で使用する組成の混合溶媒を作製するため、一定の間隔で第一溶媒201と接続されるP1と第二溶媒202に接続されるP2ポジションに切り替わる。三方バルブ215はシリンジポンプ206と六方バルブ209を接続するポジションに、六方バルブ209はLoadポジションに、ニードル210は洗浄液211の位置にそれぞれ切り替わる。この状態で駆動部208がプランジャ205および207を引くことで、シリンジポンプ204および206はそれぞれ混合溶媒および洗浄液を吸引する(
図7)。混合溶媒および洗浄液を吸引した後、吐出動作が開始される。吐出動作開始時に、ロータリーバルブ203は廃液受け213と接続されるP4に切り替わり、ニードル210は廃液受け214に移動する(
図8)。その後駆動部208がプランジャ205および207を押すことで、流路内の洗浄が行われる(
図9)。
【0025】
本実施例では、ロータリーバルブ203に1−4ポートのバルブを使用したが、1−6ポートや1−8ポートなど本実施例より多くのポートを有するバルブを使用することで、さらに多種の送液溶媒を選択することができる。