(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光ファイバガイド部の光ファイバ搭載溝の側壁が、少なくとも光信号伝達用コアパターン部材と一括形成された部材であって、光信号伝達用コアパターン部材と同じ部材からなる光ファイバガイド用コアパターンを含む、請求項1に記載の光ファイバコネクタ。
前記光導波路が、パターン化された下部クラッド層、光信号伝達用コアパターン、及びパターン化された上部クラッド層が、この順で形成された光導波路である、請求項1又は2に記載の光ファイバコネクタ。
前記光導波路の下部クラッド層と前記基板との間、及び前記光ファイバガイド部と前記基板との間に積層し、前記基板上の一部にパターン化された第1接着層を有する、請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
前記基板上に、それぞれが前記光ファイバガイド部及び前記光ファイバガイド部と並設された光導波路を有する複数のユニットを備える、請求項1から10のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
前記基板の前記光ファイバガイド部及び光導波路が並設された面と同じ側の基板表面上の前記スペース部分に形成された第1電気配線を有する、請求項12に記載の光ファイバコネクタ。
前記基板の前記光ファイバガイド部及び光導波路が並設された面と反対側の基板表面上に形成された第2電気配線を有する、請求項12又は13に記載の光ファイバコネクタ。
前記光導波路及び光ファイバガイド部が形成された面と同じ側の基板表面上の前記スペース部分に形成された第1電気配線と、前記光導波路及び光ファイバガイド部が形成された面と反対側の基板表面上に形成された第2電気配線とを有し、該第1電気配線と該第2電気配線とが、電気的に接合されてなる、請求項12から14のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
請求項1から15のいずれかに記載の光ファイバコネクタと、前記光ファイバ搭載溝に搭載された光ファイバとを備え、該光ファイバの少なくとも一部が、前記基板に接合されてなる、光ファイバ配線板。
前記工程1の前工程として、前記基板上に接着層形成用樹脂フィルムを積層し、該接着層形成用樹脂フィルムをエッチングし、前記基板上の一部にパターン化された接着層を形成する工程を含む、請求項18又は19に記載の光ファイバコネクタの製造方法。
前記工程2において、使用するコア層形成用樹脂フィルムの厚さが、積層後の光信号伝達用コアパターンの厚さよりも厚い、請求項18〜21のいずれかに記載の光ファイバコネクタの製造方法。
請求項18〜23のいずれかに記載の光ファイバコネクタの製造方法により得られた光ファイバコネクタの前記光ファイバ搭載溝に光ファイバを搭載する工程を含む、光ファイバ配線板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示された光ファイバコネクタは、製造する上で光ファイバ搭載溝をダイシングによる切削加工をする必要があり生産性に問題がある。また、光導波路のコアが、光ファイバ搭載溝の形成工程とは別のフォトリソ及びエッチングによる工程で形成されるため、光ファイバコネクタに搭載される光ファイバと光導波路コアとの位置ずれが生じる場合がある。更に、シリコンウエハ等の寸法安定性の良い硬い基板上に形成しないと、この位置ずれが大きくなる。
また、特許文献2では、基板の全面に光導波路を形成しているため、基板の反りが発生し、基板のハンドリング性に問題がある。基板の反りを抑えるためには、基板としてシリコンウエハ等の硬い基板を用いる必要がある。しかし、シリコンウエハは、電気配線を光導波路が形成されている面とは反対側に設ける必要があり、両面電極化による光ファイバコネクタの小型化が困難である。
また、特許文献3に記載の光ファイバと光導波路の接続方法では、接続までの工程数が多く煩雑であり、作業性に問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、光ファイバと光導波路コアとの位置合わせが位置ずれを抑えて容易にでき、基板の反りが軽減されると共に、基板の両面に電気配線を形成することができ、両面電極による電気配線の高密度化が図れ、小型化が可能な、光ファイバコネクタ、光ファイバ配線板、及び、生産性を向上させ得るそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、光ファイバを固定するための光ファイバ搭載溝を有する光ファイバガイド部と、クラッド層及び光信号伝達用コアパターンからなる光導波路とを基板上の一部に並設し、基板上に基板表面が露出したスペース部分を有する光ファイバコネクタが、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[24]を提供するものである。
[1]基板と、光ファイバを固定するための光ファイバ搭載溝を有する光ファイバガイド部と、クラッド層及び光信号伝達用コアパターンからなる光導波路とを有し、該光ファイバガイド部と該光導波路とが該基板上の一部に並設された光ファイバコネクタであって、
該基板上には、該光ファイバガイド部及び該光導波路が並設された部分以外の該基板表面が露出したスペース部分を有し、
搭載する光ファイバが、該光導波路の光信号伝達用コアパターンに光信号を伝達可能な位置に接合するように、前記光ファイバガイド部と前記光導波路とが並設されてなる、光ファイバコネクタ。
[2]前記光ファイバガイド部の光ファイバ搭載溝の側壁が、少なくともコアパターン部材からなる光ファイバガイド用コアパターンを含む、上記[1]に記載の光ファイバコネクタ。
[3]前記光ファイバガイド用コアパターンが、前記光導波路の光信号伝達用コアパターンと同じ部材からなり、該光信号伝達用コアパターンと一括形成されたものである、上記[2]に記載の光ファイバコネクタ。
[4]前記光導波路が、パターン化された下部クラッド層、光信号伝達用コアパターン、及びパターン化された上部クラッド層が、この順で形成された光導波路である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[5]前記光導波路の下部クラッド層と基板との間、及び前記光ファイバガイド部と基板との間に積層し、前記基板上の一部にパターン化された第1接着層を有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[6]前記第1接着層が、前記光導波路の下部クラッド層と同じ部材である、上記[5]に記載の光ファイバコネクタ。
[7]前記基板がフレキシブル基板である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[8]前記光ファイバガイド部の高さが、搭載する光ファイバの外径以下である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[9]前記光ファイバ搭載溝の側壁の高さが、搭載する光ファイバの外径の半分以上である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[10]前記光導波路が、光路変換ミラーが形成された光導波路である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[11]前記基板上に、それぞれが前記光ファイバガイド部及び該光ファイバガイド部と並設された光導波路を有する複数のユニットを備える、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[12]前記基板が電気配線板である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[13]前記基板の前記光ファイバガイド部及び光導波路が並設された面と同じ側の基板表面上の前記スペース部分に形成された第1電気配線を有する、上記[12]に記載の光ファイバコネクタ。
[14]前記基板の前記光ファイバガイド部及び光導波路が並設された面と反対側の基板表面上に形成された第2電気配線を有する、上記[12]又は[13]に記載の光ファイバコネクタ。
[15]前記光導波路及び光ファイバガイド部が形成された面と同じ側の基板表面上の前記スペース部分に形成された第1電気配線と、前記光導波路及び光ファイバガイド部が形成された面と反対側の基板表面上に形成された第2電気配線とを有し、該第1電気配線と該第2電気配線とが、電気的に接合されてなる、上記[12]〜[14]のいずれかに記載の光ファイバコネクタ。
[16]上記[1]〜[15]のいずれかに記載の光ファイバコネクタと、前記光ファイバ搭載溝に搭載された光ファイバとを備え、該光ファイバの少なくとも一部が、前記基板に接合されてなる、光ファイバ配線板。
[17]前記光ファイバが、第2接着層を介して前記基板と接合されてなる、上記[16]に記載の光ファイバ配線板。
[18]基板上の一部に、光ファイバを固定するための光ファイバ搭載溝を有する光ファイバガイド部と、クラッド層及びコアパターンからなる光導波路とが並設された光ファイバコネクタの製造方法であって、下記工程1及び2を含む、光ファイバコネクタの製造方法。
工程1:前記基板上に下部クラッド層形成用フィルムを積層し、エッチングによって、前記光導波路の設置部分以外の前記基板上の積層した該下部クラッド層形成用フィルムを除去し、前記基板上の一部にパターン化した下部クラッド層を形成する工程
工程2:前記工程1で形成した下部クラッド層形成面側から、コア層形成用樹脂フィルムを積層し、エッチングによって、前記下部クラッド上に光信号伝達用コアパターンを形成すると同時に、基板上の一部に光ファイバガイド用コアパターンを積層し光ファイバ搭載溝を一括形成する工程
[19]更に、下記工程3を含む、上記[18]に記載の光ファイバコネクタの製造方法。
工程3:前記工程2で形成した光ファイバガイド用コアパターン及び光信号伝達用コアパターン形成面側から、上部クラッド層形成用樹脂フィルムを積層し、エッチングによって、少なくとも前記光ファイバ搭載溝部分及び光導波路が設置されていない基板上の部分に積層した該上部クラッド層形成用樹脂フィルムを除去し、少なくとも光信号伝達用コアパターン上に上部クラッド層を形成する工程
[20]前記工程1の前工程として、前記基板上に接着層形成用樹脂フィルムを積層し、該接着層形成用樹脂フィルムをエッチングし、前記基板上の一部にパターン化された接着層を形成する工程を含む、上記[18]又は[19]に記載の光ファイバコネクタの製造方法。
[21]更に、下記工程4を含む、上記[18]〜[20]のいずれかに記載の光ファイバコネクタの製造方法。
工程4:前記工程2又は3の後、前記光ファイバガイド部側の前記光導波路の端部において、該光導波路の上方から下部クラッド層の底面以下までの深さで切削し、スリット溝を形成する工程
[22]前記工程2において、使用するコア層形成用樹脂フィルムの厚さが、積層後の光信号伝達用コアパターンの厚さよりも厚い、上記[18]〜[21]のいずれかに記載の光ファイバコネクタの製造方法。
[23]更に、下記工程5を含む、上記[18]〜[22]のいずれかに記載の光ファイバコネクタの製造方法。
工程5:前記工程2又は3で得られた光導波路に、光路変換ミラーを形成する工程
[24]上記[18]〜[23]のいずれかに記載の光ファイバコネクタの製造方法により得られた光ファイバコネクタの前記光ファイバ搭載溝に光ファイバを搭載する工程を含む、光ファイバ配線板の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光ファイバコネクタ及び光ファイバ配線板は、光ファイバと光導波路コアとの位置合わせが容易にでき、基板の一部分にのみ光導波路と光ファイバガイド部を備え、基板上にスペース部分を有しているため、基板の反りが軽減できる。また、光導波路と光ファイバガイド部を形成しないスペース部分に、電気配線を具備した光ファイバコネクタとすることができるため、両面電極による電気配線の高密度化が図れ、小型化が可能となる。
また、本発明の光ファイバコネクタ又は光ファイバ配線板の製造方法によれば、生産性を向上し得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の光ファイバコネクタ及び光ファイバ配線板について、図面を用いて説明する。なお、本発明の光ファイバコネクタに使用できる光ファイバに制限はないが、以下「光ファイバの外径」と表記した場合、光ファイバのクラッド外径もしくは光ファイバの被覆外径を表す。
【0012】
〔光ファイバコネクタ、光ファイバ配線板〕
図1は、本発明の光ファイバコネクタの平面図である。本発明の光ファイバコネクタ1は、基板10と、該基板10上の一部に並設された光ファイバガイド部20及び光導波路30からなる。
光ファイバガイド部20は、基板10上の一部に設けられ、2つの側壁221、222より形成される、光ファイバが搭載される光ファイバ搭載溝21を有する。
一方、光導波路30は、基板10上の一部に設けられ、クラッド層(下部クラッド層31、上部クラッド層33)及び光信号伝達用コアパターン32(以下、「コアパターン32」ともいう)からなる。
【0013】
本発明において、光ファイバガイド部20及び光導波路30は、基板10上の一部に並設されており、基板10の全面に設けられているわけではない。基板10上には、この光ファイバガイド部20及び光導波路30が並設された部分以外の基板表面が外部に露出したスペース部分12を有する。スペース部分12には、電気配線13やスルーホール15が設けられ、基板10を電気配線板とすることができる。なお、本発明において、スペース部分12とは、基板表面全体のうち、光ファイバガイド部20及び光導波路30が並設された部分並びに後述する任意の構成である第1接着層401、第2接着層402の形成部分以外の基板表面の領域を意味する。
基板10上にスペース部分12を設けることで、このようにスペース部分12に電気配線13を設置した光ファイバコネクタとすることができ、両面電極による電気配線の高密度化が図れ、光ファイバコネクタの小型化が可能となる。また、スペース部分12を設けることで、基板の反りを軽減することができる。
光ファイバガイド部20及び光導波路30は、基板の反りを軽減させる観点から、
図1のx方向に対して、基板10上の中央部分で並設していることが好ましい。
また、表側の基板表面の全体に対するスペース部分12の割合が、基板の反りを軽減させ、電気配線の高密度化を図る観点から、好ましくは0.1〜90%、より好ましくは0.1〜50%、更に好ましくは0.1〜30%である。
【0014】
また、
図2は、本発明の光ファイバコネクタに光ファイバを搭載した光ファイバ配線板の断面図である。
図2に示すように、基板10上に、それぞれが光ファイバガイド部20及び光導波路30を有する複数のユニット(
図2では2組のユニット)を備えた光ファイバコネクタも本発明に含まれる。光ファイバ50は、各ユニットの光ファイバガイド部20に搭載され固定される。そして、光ファイバのコア先端部51と、光導波路30の光信号伝達用コアパターン32とが同じ高さとなるような位置で固定される。
本発明において、光導波路30は、クラッド層及びコアパターンよりなるものであればよいが、
図2のように、下部クラッド層31、コアパターン32、上部クラッド層33の順で積層された光導波路が好ましい。なお、光導波路30中において、光信号は、コアパターン32の内部を進行しつつ、下部クラッド層31又は上部クラッド層33との境界面で全反射を繰り返しながら進行する。
また、
図2のように、光導波路30は、光信号の進行方向を変えるために、光路変換ミラー34が形成されていてもよい。
【0015】
光ファイバガイド部20及び光導波路30は、基板10上に直接設けることもできるが、接着性のない基板を用いる場合や、基板に十分に固定して位置ずれを抑えるために、
図2のように、第1接着層401を介して固定することが好ましい。また、搭載する光ファイバ50と基板10とを接合させるために、基板10と光ファイバ50との間に第2接着層402を設けてもよい。
以下、本発明の光ファイバコネクタの基板10、光ファイバガイド部20、及び光導波路30について詳述する。
【0016】
〔基板〕
図3は、本発明の光ファイバコネクタの基板において、基板10の両面に電気配線13を備えた場合の基板の構造を表す断面図である。
図3に示すように、基板10の光ファイバガイド部20及び光導波路30が並設された側(以下「基板の表側」ともいう)のスペース部分12には、第1電気配線131が形成されている。一方、基板10の光ファイバガイド部20及び光導波路30が並設された面とは反対側(以下「基板の裏側」ともいう)の表面には、第2電気配線132が形成されている。
基板10の表側に形成された第1電気配線131と裏側に形成された第2電気配線132とを電気的に接合することができる。その一つの方法として、基板10の表側から裏側へ貫通する穴であるスルーホール15を介して、第1電気配線131及び第2電気配線132と接触する層間接続用金属層(めっき金属)14を設け、第1電気配線131と第2電気配線132とを電気的に接合することができる。層間接続用金属層14は、めっき処理をすることで容易に形成することができる。
【0017】
基板10としては、特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板、樹脂層付き基板、金属層付き基板、プラスチックフィルム、樹脂層付きプラスチックフィルム、金属層付きプラスチックフィルム、電気配線板等を用いることができる。
基板10に用いる基材11として、柔軟性及び強靭性のある基材、例えば、前記クラッド層形成用樹脂フィルム及びコア層形成用樹脂フィルムのキャリアフィルム等を用いて、基板10をフレキシブル基板とすることができる。本発明の光ファイバコネクタは、基板上にスペース部分12を有するため、柔軟性のあるキャリアフィルム等の基材を用い、フレキシブル基板を使用しても、基板の反りを抑制することができる。
なお、光導波路30に光路変換ミラーが形成され、該光路変換ミラーによって変換された光信号が、電気配線が設置されていない基板10部分を透過する場合には、該光信号の信号波長に対して信号伝達に支障がない程度で透明である基板が好ましい。
【0018】
電気配線板としては、特に限定されるものではないが、電気配線がFR−4上に形成された電気配線板でもよく、電気配線がポリイミドやポリアミドフィルム上に形成されたフレキシブル配線板であってもよい。なお、電気配線は、予め表面に金属層が積層された基板を用いて、この金属層をエッチングすることで、形成することができる。
【0019】
(接着層)
基板10と、光導波路30の下部クラッド層31や光ファイバガイド部20の光ファイバ搭載溝の側壁221、222との接着性を向上させるために、基板10上に、第1接着層401を設けることが好ましい。なお、第1接着層401は、光ファイバガイド部20に搭載される光ファイバとの接着性を向上させるために、光ファイバガイド部20の光ファイバ搭載溝21にも設けることが好ましい。また、基板10と、搭載する光ファイバとの接着性を向上させるために、基板10と搭載される光ファイバとの間に、第2接着層402を設けることが好ましい。
【0020】
第1接着層401及び第2接着層402は、基板10上の一部に形成されるものであり、第1接着層401であれば、光ファイバガイド部20や光導波路30の大きさに依存し、第2接着層402であれば、光ファイバの大きさや長さに依存する。
また、十分なスペース部分12を確保すると共に、後述するように光導波路30の各層の厚さの調整を容易にするため、第1接着層401は、光ファイバガイド部20の側壁や光導波路30の大きさに合わせて、パターン化されたものであることが好ましい。
さらに、基板10の表面からコアパターンまでの高さのばらつきを低減するため、第1接着層401は、必要な箇所以外は形成せずにできる限り形成面積を小さくすることが好ましい。第1接着層401の形成面積を小さくする効果は、特に光ファイバガイド部において顕著である。
【0021】
これら第1接着層401及び第2接着層402(以下、接着層ともいう)の種類としては、特に限定されないが、両面テープ、UV又は熱硬化性接着剤、プリプレグ、ビルドアップ材、電気配線板製造用途に使用される種々の接着剤が好適に挙げられる。また、特に第1接着層401については、光導波路30に光路変換ミラー34が形成され、光信号が基板10を透過するような場合には、光信号波長に対して信号伝達に支障が出ない程度で透明であることが好ましい。その際、第1接着層401は、基板10と接着力のあるクラッド層形成用樹脂フィルムやコア層形成用樹脂フィルムを用いることが好ましく、光導波路30の下部クラッド層31、上部クラッド層33、及びコアパターン32と同じ部材を用いることができる。
なお、接着層として、クラッド層又はコア層形成用樹脂フィルムを用いる場合、基板10との接着機能があれば、屈折率の性質は必要ない。
【0022】
〔光ファイバガイド部〕
光ファイバガイド部の構成について、
図1、2及び4を用いて説明する。
図4は、
図1のX1−X2における本発明の光ファイバコネクタの光ファイバガイド部の断面図である。
光ファイバガイド部20は、基板10上の一部に設けられたものであり、光ファイバ搭載溝21を有する。光ファイバ搭載溝21は、両端にある側壁221、222から構成され、2つの側壁221、222に挟まれた溝に光ファイバが搭載される。
光ファイバ搭載溝の側壁221、222は、少なくともコアパターン部材からなる光ファイバガイド用コアパターンからなるものでもよい。なお、光ファイバガイド用コアパターンは、光ファイバ50を固定するためのものであり、光信号伝達用のコアとして機能するものではない。
また、光ファイバを固定する際にガラスブロック等を用いる場合、ガラスブロックとの接地領域を大きくする観点から、この側壁221、222上に、光導波路30の上部クラッド層33と同じ部材よりなるクラッド層331が積層し、光ファイバガイド部20と光導波路30との高さを揃えてもよい。なお、当該クラッド層331についても、光信号伝達用としての機能を有するものではない。
【0023】
さらに、側壁221、222が光ファイバガイド用コアパターンよりなる場合、当該コアパターンは、光導波路30の光信号伝達用コアパターン32と同じ部材からなり、光信号伝達用コアパターン32と一括形成されたものであることがより好ましい。
それぞれのコアパターンが一括形成されることで、得られる光ファイバコネクタにおいて、搭載する光ファイバのコア先端部51と光導波路のコアパターン32との、
図1、4のx方向の位置ずれを抑制され、コア先端部51とコアパターン32との位置合わせが容易となる。
なお、ここで、一括形成とは、光ファイバガイド用コアパターンと光信号伝達用コアパターン32との形成工程の手順が同時に進行して、同じタイミングで形成されることを意味する。
【0024】
本発明において、光ファイバ50を光ファイバガイド部20の光ファイバ搭載溝21に固定する方法としては、特に限定されないが、例えば、ガラスブロックでファイバを抑えて光ファイバ搭載溝21に押し込み、光信号伝達用コアパターン32の中心と光ファイバ50の中心を位置合わせして、接着剤等により固定すればよい。また、光ファイバ搭載溝21上には、上述の第1接着層401を設けて、搭載する光ファイバを固定してもよい。
この際、
図4に示すX方向の位置合わせは光ファイバ搭載溝21の2つの側壁221、222により行い、
図4に示すZ方向の位置合わせは基板10(もしくは第1接着層401)により行うことができる。
【0025】
ここで、光ファイバガイド部20の高さが、搭載する光ファイバの外径以下であることで、ガラスブロック等で光ファイバを抑えて光ファイバ搭載溝21に押し込む等の作業がしやすく、効果的に光ファイバを固定できるため好ましい。なお、「光ファイバガイド部の高さ」とは、光ファイバガイド部20が側壁221、222のみからなる場合は側壁の高さ(
図4のZ1)を示し、
図4のように側壁221、222上にクラッド層331が形成されている場合は、光ファイバ搭載溝21の底面からクラッド層331の上面までの距離(
図4のZ2)を示す。
【0026】
また、光ファイバ搭載溝21の側壁221、222の高さ(
図4のZ1)が、搭載する光ファイバの外径の半分以上であることで、搭載する光ファイバの位置ずれが起こり難くなるため好ましい。
以上の観点から、側壁221、222の高さ(
図4のZ1)は、搭載する光ファイバの外径の半分以上で、且つ該光ファイバの外径以下であることが好ましく、光ファイバの実装性の向上の観点から、該光ファイバの外径の半分より5μm以上高く、且つ該光ファイバの外径より1μm以上低いことがより好ましい。
【0027】
光ファイバ搭載溝21の横幅としては、搭載する光ファイバの外径以上の幅であればよく、光ファイバの実装性及びトレランスの観点から、光ファイバの外径より0.1〜10μm広い幅であることが好ましい。
搭載する光ファイバの外径としては、好ましくは200μm以下、より好ましくは125μm以下、更に好ましくは80μm以下である。光ファイバの直径が200μm以下であれば、コア層形成用樹脂フィルムの膜厚が制御し易くなる。
【0028】
〔光導波路〕
光ファイバガイド部の構成について、
図1、2及び5を用いて説明する。
図5は、
図1のX3−X4における本発明の光ファイバコネクタの光導波路の断面図である。
本発明の光ファイバコネクタで用いる光導波路は、クラッド層及び光信号伝達用コアパターンよりなる。本発明で用いる光導波路の一態様として、
図5に示すように、パターン化された下部クラッド層31、光信号伝達用コアパターン32、及びパターン化された上部クラッド層33が、この順で形成された光導波路30が好ましい。
更に、基板10上に積層されたパターン化された第1接着層401を介して、光導波路30が形成されていることが好ましい。なお、下部クラッド層31、コアパターン32、及び上部クラッド層33の厚さの調整のし易さの観点から、パターン化された第1接着層401の総面積を、可能な限り小さくすることが好ましい。
【0029】
また、
図2に示すように、光ファイバと光導波路を接続する光導波路端面を平滑化するために、例えばダイシングソーを用いて光導波路端面を切削し、スリット溝35を形成することが好ましい。スリット溝35の深さは、基板10の表面以下(第1接着層401が形成されている場合は、第1接着層401の表面以下)とすることで、該スリット溝35が、光ファイバ50を固定する際の接着剤導入溝として機能できるため好ましい。また、スリット溝35の幅は、接着剤導入溝としての機能を担わせる観点から、好ましくは10〜60μm、より好ましくは20〜50μmである。
【0030】
さらに、光導波路30の上方から(
図2では、上部クラッド層33側から)、ダイシングソー等を用いて、光導波路に光路変換ミラー34を形成することもできる。この際、光路変換ミラー34は、45°の光路変換ミラーであることが好ましい。
また、形成した光路変換ミラー34の表面には、金等を蒸着し、光信号反射用金属層341を形成することが好ましい。この光信号反射用金属層341の厚さとしては、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.7μmである。
【0031】
(クラッド層)
以下、本発明で使用される下部クラッド層31及び上部クラッド層33(これらをまとめて、「クラッド層」ともいう)について説明する。クラッド層は、クラッド層形成用樹脂又はクラッド層形成用樹脂フィルムを用いて形成することができる。
【0032】
クラッド層形成用樹脂としては、光信号伝達用コアパターン32より低屈折率で、光又は熱により硬化する樹脂組成物からなる樹脂であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物なる樹脂を好適に使用することができる。
下部クラッド層31及び上部クラッド層33において用いるクラッド層形成用樹脂組成物は、含有する成分が同一であっても異なっていてもよく、該樹脂組成物の屈折率が同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
下部クラッド層31及び上部クラッド層33はパターン化されたものであることが好ましい。特に、下部クラッド層31は、必要な箇所以外は形成せずにできる限り面積を抑えてパターン化することで、基板10の表面からコアパターンまでの高さのばらつきが低減されるため好ましい。
下部クラッド層31及び上部クラッド層33をパターニングする方法としては、特に限定されず、ドライエッチングや、パターン露光後、現像によりパターン化することができる。後者の露光・現像によりパターン化する場合には、用いる樹脂組成物としては、感光性樹脂組成物であることが好ましい。
【0034】
クラッド層の形成方法としては、特に限定されず、例えば、クラッド層形成用樹脂組成物の塗布による方法、クラッド層形成用樹脂フィルムのラミネートによる方法等が挙げられる。
塗布による形成方法としては、特に限定されず公知の方法が適用でき、例えば、塗工機を用いて、クラッド層形成用樹脂組成物を溶媒に溶解したものを塗布し、溶媒を除去する方法が挙げられる。
また、ラミネートに用いるクラッド層形成用樹脂フィルムは、例えば、クラッド層形成用樹脂組成物を溶媒に溶解したものをキャリアフィルムに塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。
【0035】
クラッド層形成用樹脂フィルムに用いるキャリアフィルムとしては、柔軟性及び強靭性のあるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルファイド、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が好適に挙げられる。
キャリアフィルムの厚さは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μm、更に好ましくは15〜50μmである。5μm以上であれば、キャリアフィルムとしての強度が得やすく、200μm以下であれば、パターン形成時のマスクとのギャップが小さくなり、より微細なパターンが形成できる。
【0036】
下部クラッド層31及び上部クラッド層33の厚さは、乾燥後の厚さで、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜100μm、更に好ましくは15〜50μmである。5μm以上であれば、光の閉じ込めに必要なクラッド厚さが確保でき、500μm以下であれば、膜厚を均一に制御することが容易である。また、更に、下部クラッド層31、上部クラッド層33のそれぞれの厚さを、以下に詳述するように調整することが好ましい。
【0037】
(下部クラッド層31の厚さ)
下部クラッド層31の厚さは、光ファイバの中心と光信号伝達用コアパターン中心との位置合わせの観点から、{((光ファイバの外径)−(下部クラッド層31上に形成されるコアパターン32の厚さ))/2}であることが好ましい。
【0038】
例えば、光ファイバの外径80μm、光ファイバのコア径50μmの光ファイバを用いた場合、好ましい下部クラッド層31の厚さは、以下のようにして求められる。
まず、光ファイバから光信号伝達用コアパターンへ光信号が伝搬する場合、光導波路30のコアパターン32の垂直方向の断面は、光ファイバのコア径に外接する正方形であれば、光ファイバからの光信号を光損失なく伝搬できる。この場合、コアパターン32の垂直方向の断面は50μm×50μm(コア高さ;50μm)となる。上記の式に当てはめると、最適な下部クラッド層31の厚さは、15μm(=(80−50)/2)となる。
また、上記と同一の光ファイバを用いて、光信号伝達用コアパターンから光ファイバへ光信号が伝搬する場合、光導波路30のコアパターン32の垂直方向の断面は、光ファイバのコア径に内接する正方形であれば、光ファイバへ光信号を光損失なく伝搬できる。この場合、コアパターン32の垂直方向の断面は25√2μm×25√2μm(コア高さ;25√2μm)となる。上記の式に当てはめると、最適な下部クラッド層31の厚さは、約22μm(=(80−25√2)/2)となる。
【0039】
また、パターン化された第1接着層401上に下部クラッド層31を形成する場合は、樹脂の流動性のため、下部クラッド層として用いる下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さより、実際に形成される下部クラッド層31の厚さが薄くなってしまう。そのため、所望する下部クラッド層31の厚さよりも、厚い下部クラッド層形成用樹脂フィルムを用いることが好ましい。
具体的に、使用する下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さとしては、下記式(1)で表される関係を満たすことが好ましい。
式(1):
(所望する下部クラッド層31の厚さ)={(使用する下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さ×基板面積)+(第1接着層401の厚さ×パターン化された第1接着層401の総面積)+(第1電気配線131の厚さ×第1電気配線131の総面積)+(その他基板面に配置された凹凸物の体積(凹物の体積はマイナス、基準面は第1電気配線131の底面))}/(基板面積)−(第1接着層401の厚さ)
【0040】
なお、上記式(1)の関係を基に、用いる下部クラッド層形成用樹脂の流動性によって、使用する下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さを、適宜調整することが望ましい。つまり、上記式(1)の関係から算出された下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さに対して、−15μm〜+5μmの範囲で適宜調整した厚さを有する下部クラッド層形成用樹脂フィルムを用いることで、所望の厚さの下部クラッド層31を形成し易くなるため好ましい。
また、上記式(1)の関係より、下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さの調整のし易さを考慮すると、パターン化された第1接着層401の総面積を、可能な限り小さくすることが好ましい。
【0041】
(上部クラッド層33の厚さ)
上部クラッド層33の厚さは、コアパターン32の厚さ以上にすることが好ましい。また、基板10の表面(第1接着層401がある場合は、第1接着層401の表面)から上部クラッド層上面までの高さが光ファイバの直径以下になるように、上部クラッド層33の厚さを調整することがより好ましい。このように調整することで、例えば、ガラスブロック等を用いて、光ファイバ50を光ファイバ搭載溝21に良好に押し込むことができる。
【0042】
使用する上部クラッド層形成用樹脂ファイルの厚さとしては、下記式(2)を満たすことが好ましい。
式(2):
(所望するコアパターン32上の上部クラッド層33の厚さ)={(使用する上部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さ×基板面積)+(第1接着層401の厚さ×パターン化された第1接着層401の総面積)+(下部クラッド層31の厚さ×パターン化された下部クラッド層31の総面積)+(第1電気配線131の厚さ×第1電気配線131の総面積)+(コアパターン32の総体積)+(その他基板面に配置された凹凸物の体積(凹物の体積はマイナス、基準面は第1電気配線131の底面))}/(基板面積)−(第1接着層401の厚さ)−(下部クラッド層31の厚さ)−(コアパターン32の厚さ)
【0043】
なお、上記式(2)の関係を基に、用いる上部クラッド層形成用樹脂の流動性によって、使用する上部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さを、適宜調整することが望ましい。つまり、上記式(2)の関係から算出された上部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さに対して、−15μm〜+5μmの範囲で適宜調整した厚さを有する上部クラッド層形成用樹脂フィルムを用いることで、所望の厚さの上部クラッド層33を形成し易くなるため好ましい。
また、上記式(2)の関係より、上部クラッド層形成用樹脂フォルムの厚さの調整のし易さを考慮すると、パターン化された第1接着層401の総面積、パターン化された下部クラッド層31の総面積、及びコアパターン32の総面積を、可能な限り小さくすることが好ましい。
【0044】
(光信号伝達用コアパターン32)
以下、本発明で使用される光信号伝達用コアパターン32(コアパターン32)について説明する。コアパターン32は、コア層形成用樹脂又はコア層形成用樹脂フィルムを用いてコア層を下部クラッド層31上に積層した後、エッチングによりパターン化して形成することができる。本発明においては、光信号伝達用コアパターン32と、光ファイバガイド部20の光ファイバ搭載溝の側壁221、222となる光ファイバガイド用コアパターンとは、同じコアパターン部材からなるもので、一括形成されるものであることが好ましい。それぞれのコアパターンが一括形成されることで、得られる光ファイバコネクタにおいて、搭載する光ファイバのコア先端部51と光導波路のコアパターン32との、
図1、4のx方向の位置ずれを抑制され、コア先端部51とコアパターン32との位置合わせが容易となる。
コア層形成用樹脂としては、クラッド層(下部クラッド層31、上部クラッド層33)よりも高屈折率であり、活性光線によりコアバターンを形成し得る樹脂組成物からなる樹脂であれば特に限定されない。
【0045】
パターン化する前のコア層の形成方法としては、特に限定されず、例えば、コア層形成用樹脂組成物を塗布する方法、コア層形成用樹脂フィルムのラミネートによる方法等が挙げられる。
塗布による形成方法としては、特に限定されず公知の方法が適用でき、例えば、塗工機を用いて、コア層形成用樹脂組成物を溶媒に溶解したものを塗布し、溶媒を除去する方法が挙げられる。
また、ラミネートに用いるコア層形成用樹脂フィルムは、例えば、コア層形成用樹脂組成物を溶媒に溶解したものをキャリアフィルムに塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。なお、コア層形成用樹脂フィルムに用いるキャリアフィルムとしては、柔軟性及び強靭性のあるものが好ましく、上述のクラッド層形成用樹脂フィルムに用いられるキャリアフィルムが好適に挙げられる。また、キャリアフィルムの厚さの好適範囲についても、クラッド層形成用樹脂フィルムに用いられるキャリアフィルムの厚さの好適範囲と同じである。
【0046】
光信号伝達用コアパターン32の厚さは、乾燥後の厚さで、好ましくは10〜100μm、より好ましくは30〜90μm、更に好ましくは35〜80μmである。10μm以上であれば、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において位置合わせトレランスが拡大できるという利点があり、100μm以下であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において、結合効率が向上するという利点がある。
また、光信号伝達用コアパターン32の厚さは、光損失を低減する観点から、光ファイバ50から光信号伝達用コアパターン32へ光信号を伝搬する場合は、光ファイバのコア径以上にすることが好ましく、光信号伝達用コアパターン32から光ファイバ50へ光を伝搬する場合は、光信号伝達用コアパターンの厚さと幅からなる矩形が、光ファイバのコア径の内側になるように調整することが好ましい。
【0047】
上述の厚さを有するコア層を形成するために、適宜コア層形成用樹脂フィルムの厚さを調整すればよい。具体的に、使用するコア形成用樹脂フィルムの厚さとしては、下記式(3)で表される関係を満たすことが好ましい。
式(3):
(所望する光信号伝達用コアパターン32の厚さ)={(使用するコア層形成用樹脂フィルムの厚さ×基板面積)+(第1接着層401の厚さ×パターン化された第1接着層401の総面積)+(下部クラッド層31の厚さ×パターン化された下部クラッド層31の総面積)+(第1電気配線131の厚さ×第1電気配線131の総面積)+(その他基板面に配置された凹凸物の体積(凹物の体積はマイナス、基準面は第1電気配線131の底面))}/(基板面積)−(第1接着層401の厚さ)−(下部クラッド層31の厚さ)
【0048】
なお、上記式(3)の関係を基に、用いるコア層形成用樹脂の流動性によって、使用するコア層形成用樹脂フィルムの厚さを、適宜調整することが望ましい。つまり、上記式(3)の関係から算出されたコア層形成用樹脂フィルムの厚さに対して、−15μm〜+5μmの範囲で適宜調整した厚さを有するコア層形成用樹脂フィルムを用いることで、所望の厚さのコアパターン32を形成し易くなるため好ましい。
また、上記式(3)の関係より、コア層形成用樹脂フォルムの厚さの調整のし易さを考慮すると、パターン化された第1接着層401の総面積、及びパターン化された下部クラッド層31の総面積を、可能な限り小さくすることが好ましい。
【0049】
〔光ファイバコネクタの製造方法〕
本発明の光ファイバコネクタは、
図6に示すような工程を経ることで製造することができる。
本発明の光ファイバコネクタの製造方法は、少なくとも下部クラッド層形成工程(工程1、
図6(a−1))、コアパターン形成工程(工程2、
図6(a−2)(b−2))を含む。
また、必要に応じて、接着層形成工程(前工程、
図6(a−0))、上部クラッド形成工程(工程3、
図6(a−3)(b−3))、スリット溝形成工程(工程4、(a−4)(b−4))、光路変換ミラー形成工程(工程5、(a−5)(b−5))を経ることが好ましい。
【0050】
〔前工程:接着層形成工程〕
工程1前の前工程として、基板10上に接着層形成用樹脂フィルムを積層し、該接着層形成用樹脂フィルムをエッチングし、前記基板上の一部にパターン化された接着層を形成する、接着層形成工程を経ることが好ましい。
用いる接着層形成用樹脂フィルムは、特に限定されないが、接着力のあるクラッド層形成用樹脂フィルムやコア層形成用樹脂フィルムを用いてもよい。
接着層形成用樹脂フィルムは、真空加圧式ラミネータ等のラミネータを用いて、基板10上に積層することが好ましい。具体的な積層方法としては、例えば、真空加圧式ラミネータを用いて、500Pa以下に真空引きした後に、加熱しながら圧着し積層する方法が挙げられる。
また、接着層形成用樹脂フィルムのエッチング方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、接着層を形成したい部分(光導波路及び光ファイバガイド部の形成予定の部分)が開口したネガ型フォトマスクを介して、キャリアフィルム側から紫外線を照射し、キャリアフィルムを剥離した後、アルカリ水溶液を現像液として用いエッチングする方法が挙げられる。
なお、接着層は、光導波路30の形成予定部分、光ファイバガイド部20の光ファイバ搭載溝の側壁221、222の形成予定部分だけでなく、光ファイバ搭載溝21の底面にも形成することが好ましい。
【0051】
〔工程1:下部クラッド層形成工程〕
工程1は、基板10上に下部クラッド層形成用フィルムを積層し、エッチングによって、前記光導波路の設置部分以外の前記基板上の積層した該下部クラッド層形成用フィルムを除去し、前記基板上の一部にパターン化した下部クラッド層を形成する工程である。
下部クラッド層形成フィルムの積層方法及びエッチング方法としては、上述の接着層の形成工程と同様の方法が挙げられる。
本工程において、下部クラッド層は、光導波路30の形成部分には積層するが、光ファイバガイド部20の形成部分には積層しないことが好ましい。そのため、光ファイバガイド部20の形成部分には、前工程の接着層形成工程を経ている場合は第1接着層401が形成されたままであり、前工程を経ていない場合は、基板10表面(基材11)が露出した状態のままであることが好ましい。
【0052】
〔工程2:コアパターン形成工程〕
工程2は、前記工程1で形成した下部クラッド層形成面側から、コア層形成用樹脂フィルムを積層し、エッチングによって、前記下部クラッド上に光信号伝達用コアパターンを形成すると同時に、基板上の一部に光ファイバガイド用コアパターンを積層し光ファイバ搭載溝を一括形成する工程である。
コア層形成フィルムの積層方法及びエッチング方法としては、上記と同様の方法が挙げられる。
本発明の製造方法においては、本工程により、光導波路30の光信号伝達用コアパターン32と、光ファイバガイド部20の光ファイバ搭載溝の側壁221、222となる光ファイバガイド用コアパターンとが一括形成されることを特徴とする。それぞれのコアパターンが一括形成されることで、得られる光ファイバコネクタにおいて、搭載する光ファイバのコア先端部51と光導波路のコアパターン32との、
図1、4のx方向の位置ずれを抑制され、コア先端部51とコアパターン32との位置合わせが容易となると共に、光ファイバコネクタの生産効率を向上させることができる。
【0053】
また、本工程で使用するコア層形成用樹脂フィルムの厚さは、積層後の光信号伝達用コアパターンの厚さよりも厚い樹脂フィルムが好ましい。このような厚さの樹脂フィルムを用いることで、樹脂フィルムにかけるZ方向への圧力を調節し、搭載する光ファイバ50のコア部と光信号伝達用コアパターン32とのZ方向の位置合わせの調節を容易にすることができる。
【0054】
〔工程3:上部クラッド層形成工程〕
工程3は、前記工程2で形成した光ファイバガイド用コアパターン及び光信号伝達用コアパターン形成面側から、上部クラッド層形成用樹脂フィルムを積層し、エッチングによって、少なくとも前記光ファイバ搭載溝部分及び光導波路が設置されていない基板上の部分に積層した該上部クラッド層形成用樹脂フィルムを除去し、少なくとも光信号伝達用コアパターン上に上部クラッド層を形成する工程である。
上部クラッド層形成フィルムの積層方法及びエッチング方法としては、下部クラッド層と同様の方法が挙げられる。また、エッチングの際にネガ型フォトマスクを使用する場合、用いるネガ型フォトマスクは、下部クラッド層を形成の際に用いたものと同じものを使用できる。
また、本工程では、上部クラッド層33が、光導波路30形成部分だけでなく、光ファイバガイド部20の光ファイバガイド用コアパターン上に形成されてもよい。
【0055】
〔工程4:スリット溝形成工程〕
工程4は、前記工程2又は3の後、光ファイバガイド部20側の光導波路30の端部において光導波路30の上方(例えば、
図6の場合は上部クラッド層33側から)から下部クラッド層31の底面以下までの深さで切削し、スリット溝35を形成する工程である。
工程4により、光ファイバと接続する光導波路端面を切削し、光ファイバガイド部20と光導波路30との境界にスリット溝35を形成することで、光導波路30の端面を平滑化することができる。切削方法としては、特に限定するものではなく、例えば、ダイシングソーを用いてスリット溝35を形成することができる。
【0056】
〔工程5:光路変換ミラー形成工程〕
工程5は、前記工程2又は3で得られた光導波路に、光路変換ミラーを形成する工程である。光路変換ミラーの形成方法としては、公知の方法を適用することができる。例えば、
光導波路30の上方側(
図6でいうと上部クラッド層33側)から、ダイシングソー等を用いて、光導波路30を切削することにより形成することができる。形成する光路変換ミラー34は、45°の光路変換ミラーであることが好ましい。
また、ミラー形成部分に蒸着装置を用いて、金等の金属を蒸着し、光信号反射用金属層341を形成することが好ましい。
【0057】
〔光ファイバ配線板の製造方法〕
上記のようにして製造された光ファイバコネクタ1の光ファイバ搭載溝21に光ファイバ50を搭載することで、光ファイバ配線板2を製造することができる。
なお、
図2のように、光ファイバ50を固定するために、基板10上に、第2接着層402を積層し、その第2接着層の上に光ファイバを搭載することが好ましい。第2接着層402は、上述の第1接着層401と同じ材料及び方法により、形成することができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
なお、クラッド層形成用樹脂フィルムのベースポリマーである(メタ)アクリルポリマー(A−1)の重量平均分子量、及び酸価は、以下の方法により測定した。
(1)重量平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、製品名「SD−8022」、「DP−8020」、及び「RI−8020」)を用いて測定した。なお、カラムは、日立化成工業(株)製、商品名「Gelpack GL−A150−S」及び「Gelpack GL−A160−S」を使用した。
(2)酸価
得られたポリマー溶液に0.1mol/L水酸化カリウム水溶液を滴下し、中和に要した水酸化カリウム水溶液量から算出した。このとき、指示薬として添加したフェノールフタレインが無色からピンク色に変色した点を中和点とした。
【0059】
製造例1
〔クラッド層形成用樹脂フィルムの作製〕
(1)ベースポリマー;(メタ)アクリルポリマー(A−1)の作製
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと、及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部、及び乳酸メチル23質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を65℃に上昇させ、メチルメタクリレート47質量部、ブチルアクリレート33質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16質量部、メタクリル酸14質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部、及び乳酸メチル23質量部の混合物を3時間かけて滴下後、65℃で3時間撹拌し、さらに95℃で1時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマー(A−1)溶液(固形分45質量%)を得た。
得られた(メタ)アクリルポリマー(A−1)の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)は3.9×10
4であり、酸価は79mgKOH/gであった。
【0060】
(2)クラッド層形成用樹脂ワニスの調合
(A)ベースポリマーとして、上記(A−1)溶液(固形分45質量%)84質量部(固形分38質量部)、(B)光硬化成分として、ポリエステル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「U−200AX」)33質量部、及びポリプロピレングリコール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「UA−4200」)15質量部、(C)熱硬化成分として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型三量体をメチルエチルケトンオキシムで保護した多官能ブロックイソシアネート溶液(固形分75質量%)(住化バイエルウレタン(株)製、商品名「スミジュールBL3175」)20質量部(固形分15質量部)、(D)光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン(株)製、商品名「イルガキュア2959」)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・ジャパン(株)製、商品名「イルガキュア819」)1質量部、及び希釈用有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23質量部を撹拌しながら混合し混合物を得た。そして、その混合物を孔径2μmのポリフロンフィルタ(アドバンテック東洋(株)製、商品名「PF020」)を用いて加圧濾過後、減圧脱泡し、クラッド層形成用樹脂ワニスを得た。
【0061】
(3)クラッド層形成用樹脂フィルムの作製
上記で得られたクラッド層形成用樹脂ワニスを、PETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「コスモシャインA4100」、厚み50μm)の非処理面上に、塗工機(株式会社ヒラノテクシード製、製品名「マルチコーターTM−MC」)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥後、保護フィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「ピューレックスA31」、厚み25μm)を貼付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。
なお、クラッド層形成用樹脂フィルムから形成されるクラッド層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能である。また、PETフィルムに塗工後のクラッド層の膜厚と、硬化後の膜厚とは同一であった。本実施例で用いた上部クラッド層形成用樹脂フィルムの膜厚についても実施例中に記載する。実施例中に記載する上部クラッド層形成用樹脂フィルムの膜厚は塗工後の膜厚とする。
【0062】
製造例2
〔コア層形成用樹脂フィルムの作製〕
(A)ベースポリマーとして、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成株式会社製)26質量部、(B)光重合性化合物として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(商品名:A−BPEF、新中村化学工業株式会社製)36質量部、及びビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA−1020、新中村化学工業株式会社製)36質量部、(C)光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を用いたこと以外は上記製造例と同様の方法及び条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法及び条件で加圧濾過さらに減圧脱泡した。
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績株式会社製、厚さ:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であり、本実施例では使用したコア層形成用樹脂フィルム厚みに付いては、実施例中に記載する。実施例中に記載するコア層形成用樹脂フィルムの膜厚は塗工後の膜厚とする。
【0063】
製造例3
〔基板の作製〕
(1)サブトラクティブ法による電気配線基板の作製
図7に示す手順に従って、電気配線基板を作製した。
基材11としてポリイミドフィルム(宇部日東化成製、商品名「ユーピレックスVT」、厚さ;25μm、100mm×100mm)を用い、当該ポリイミドフィルムの表面に金属層131a、132aとして銅箔(三井金属鉱業社製、商品名「NA−DFF」、厚さ;9μm)がついた100mm角の銅箔付き基板から電極配線板を作製した(
図7の(c−1))。
この銅箔付き基板に、直径0.16mmのスルーホール15を形成した(
図7の(c−2))。そして、無電解銅めっきと電気銅めっきを用いて、めっき厚が合計6μmとなるように、銅箔付き基板の両面及びスルーホール15の側面部に層間接続用金属層(めっき金属)14を形成した(
図7の(c−3))。
【0064】
次に、銅箔付き基板の両面に、感光性ドライフィルムレジスト(日立化成工業株式会製、商品名「フォテック」、厚さ:25μm)をロールラミネータ(日立化成テクノプラント株式会社製、商品名「HLM−1500」)を用い圧力0.4MPa、温度110℃、ラミネート速度0.4m/minの条件で貼った。次いで、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製、製品名「EXM−1172」)にて、感光性ドライフィルムレジスト側から幅50μmのネガ型フォトマスクを介し、紫外線(波長365nm)を120mJ/cm
2照射し、未露光部分の感光性ドライフィルムレジストを35℃の0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液で除去した。
その後、塩化第二鉄溶液を用いて、感光性ドライフィルムレジストが除去されむき出しになった部分の銅箔をエッチングにより除去し、35℃の1〜10重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、露光部分の感光性ドライフィルムレジストを除去し、第1電気配線131と第2電気配線132とを形成しが、めっきされたスルーホール15を介して、第1電気配線131と第2電気配線132とが電気的に接合されたフレキシブル電気配線基板を作製した(
図7の(c−4))。
【0065】
(2)Ni/Auめっきの形成
その後、上記の電気配線基板を、脱脂、ソフトエッチング、酸洗浄し、無電解Niめっき用増感剤(日立化成工業株式会社製、商品名「SA−100」)に25℃で5分間浸漬後水洗し、83℃の無電解Niめっき液(奥野製薬社製、ICPニコロンGM−SD溶液、pH4.6)に8分間浸漬して3μmのNi被膜を形成し、その後、純水にて洗浄した。
次に、置換金めっき液(100mL;HGS−500及び1.5g;シアン化金カリウム/Lで建浴)(商品名:HGS−500、日立化成工業株式会社製)に85℃で8分間浸漬し、Ni被膜上に0.06μmの置換金被膜を形成した。これにより、第1電気配線131、第2電気配線132が、Ni及びAuのめっきに被覆されたフレキシブル電気配線基板を得た。
【0066】
実施例1
図6に示す手順に従って、以下のとおり光ファイバコネクタを作製した。
〔第1接着層の形成〕
上記で得られた電気配線基板のポリイミド面が露出した表面上に、大きさ100×100mmに裁断し、保護フィルムである離型PETフィルム(ピューレックスA31)を剥離した、上記で得られた10μm厚クラッド層形成用樹脂フィルムを、平板型ラミネータとして真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製、製品名「MVLP−500」)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度100℃、加圧時間30秒の条件にて加熱圧着した。
次いで、光導波路の形成部分及び光ファイバガイド部の形成部分(X方向;330μm×Y方向;1.5mm)が開口したネガ型フォトマスクを介して、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製、製品名「EXM−1172」)にて、キャリアフィルム側から紫外線(波長365nm)を200mJ/cm
2照射した。その後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、クラッド層形成用樹脂フィルムをエッチングした。その後、170℃で1時間加熱処理することにより、パターン化した第1接着層401を形成した(
図6の(a−0))。第1接着層401の仕上がり厚さ(ポリイミド面からの高さ)は11μmであった。
【0067】
〔下部クラッド層の形成〕
上記で得られた27μm厚の下部クラッド層形成用樹脂フィルムを、大きさ100×100μmに裁断し、保護フィルムを剥離して、第1接着層401形成面側から、上記と同じ条件で、真空ラミネータによって、第1接着層401上に積層した。
次いで、下部クラッド層の形成部分(X方向;150μm×Y方向;700μm)が開口したネガ型フォトマスクを介し、開口部がパターン化された下部クラッド層31上になるように位置合わせをし、上記紫外線露光機にて、キャリアフィルム側から紫外線(波長365nm)を250mJ/cm
2照射した。その後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、下部クラッド層形成用樹脂フィルムをエッチングした。その後、水洗浄し、170℃で1時間加熱乾燥し、パターン化した下部クラッド層を形成した(
図6の(a−1))。
【0068】
これにより、光導波路30の形成部分には、パターン化された下部クラッド層31が形成され、光ファイバガイド部20の形成部分には、第1接着層401が形成されたままの状態となっている。下部クラッド層31の仕上がり厚さ(第1接着層401表面からの高さ)は20μmであった。
【0069】
〔コアパターンの形成〕
上記で得られた69μm厚のコア層形成用樹脂フィルムを、大きさ100×100μmに裁断し、保護フィルムを剥離して、下部クラッド層31形成面側から、上記と同様の条件で、真空ラミネータによって、下部クラッド層31上に積層した。
次いで、光信号伝達用コアパターンの形成部分(X方向;40μm×Y方向;400μm)と光ファイバ搭載溝の側壁221、222となる光ファイバガイド用コアパターンの形成部分(X方向;100μm×Y方向;700μm、光ファイバ搭載溝幅85μm)が開口したネガ型フォトマスクを介し、光信号伝達用コアパターンが下部クラッド層31上に、光ファイバガイド用コアパターンが第1接着層401上に形成されるように位置合わせをし、上記紫外線露光機にて、紫外線(波長365nm)を700mJ/cm
2照射し、80℃で5分間露光後加熱を行った。その後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N,N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、コア層形成用樹脂フィルムをエッチングした。そして、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥し、光信号伝達用コアパターン32と側壁221、222となる光ファイバガイド用コアパターンを形成した(
図6の(a−2)、(b−2))。
【0070】
これにより、光導波路30の形成部分には、光信号伝達用コアパターン32が、光ファイバガイド部20の形成部分には、側壁となる光ファイバガイド用コアパターンと、光ファイバ搭載溝21とが同時に形成された。
光信号伝達用コアパターン32の仕上がり厚さ(下部クラッド層31の表面からの高さ)は40μmであった。一方、光ファイバガイド用コアパターンの仕上がり厚さ(第1接着層401の表面からの高さ)は60μmであり、光ファイバ搭載溝21のx方向の幅は85μmであった。
なお、光ファイバガイド用コアパターンと光信号伝達用コアパターンとの位置は、光ファイバを光ファイバ搭載溝21に固定した際に、該光ファイバが、光信号伝達用コアパターン32に光信号を伝達可能な位置に接合するように、設計されていた。
【0071】
〔上部クラッド層の形成〕
上記で得られた80μm厚の上部クラッド層樹脂フィルムを、保護フィルムを剥離して、コアパターン32形成面側から、温度110℃とした以外は上記と同じ条件で、真空加圧式ラミネータによって、ラミネートした。
次いで、下部クラッド層31形成の際に使用したネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機にて、キャリアフィルム側から紫外線(波長365nm)を250J/cm
2照射した。その後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、光ファイバ搭載溝21部分及び光導波路が設置されていない基板上の部分(第1接着層401が形成されていない部分)の上部クラッド層形成用樹脂フィルムをエッチングした。そして、水洗浄し、170℃で1時間加熱乾燥し、上部クラッド層33を形成し、ファイバ径80μm用の光ファイバコネクタを作製した(
図6の(a−3)、(b−3))。
上部クラッド層33の仕上がり厚さ(光信号伝達用コアパターン32表面からの高さ)は15μmであった。
【0072】
〔スリット溝の形成〕
得られた光導波路30について、光ファイバ接続する側の光導波路30の端面を平滑化するために、ダイシングソー(株式会社ディスコ社製、製品名「DAC552」)を用いて、深さ80μm、幅40μmのスリット溝35を形成した(
図6の(a−4)、(b−4)。
【0073】
〔光路変換ミラーの形成〕
得られた光導波路30の上部クラッド層33側から、ダイシングソー(株式会社ディスコ社製、商品名「DAC552」)を用いて、光導波路30に、45°の光路変換ミラー34を形成した。
次いで、ミラー形成部分を開口させたメタルマスクを、該開口部に光路変換ミラー34が位置するように光ファイバコネクタに設置し、蒸着装置(ファースト技研製、製品名「RE−0025」)を用いて、光信号反射用金属層341として、Auを0.5μm蒸着させ、光導波路に光路変換ミラーを形成した(
図6の(a−5)、(b−5))。
【0074】
以上のようにして得られた光ファイバコネクタの光ファイバ搭載溝21に、光ファイバ50(コア径;50μm、外径;80μm)をガラスブロックで抑えて光ファイバ搭載溝21に押し込んだところ、光導波路30の光信号伝達用コアパターン32の光伝達面に接合し、光ファイバ配線板を作製した。
得られた光ファイバ配線板は、搭載した光ファイバ50のコア部と光信号伝達用コアパターン32との間で光信号の送受伝達が可能であり、且つ、光ファイバ50が位置ずれすることもなかった。
また、得られた光ファイバコネクタを定板に静置し、隙間ゲージで光ファイバコネクタの反りを測定したところ、反りの大きさは0.1μmであった。
【0075】
実施例2
実施例1において、下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚さを22μm、コア層形成用樹脂フィルムの厚さを74μmとし、光信号伝達用コアパターンのコア幅を50μmにし、下部クラッド層及び上部クラッド層の形成時に用いたネガ型フォトマスクを、下部クラッド層の開口部を145μm×3.0mmの非露光部を250μmピッチで4箇所を有したネガ型フォトマスクとした以外は、実施例1と同様の方法で光ファイバコネクタを作製した。
得られた光ファイバコネクタについて、実施例1と同様に、各層の厚みを測定したところ、第1接着層の厚さは11μm、下部クラッド層の厚さは15μm、光信号伝達用コアパターンの厚さは50μm、上部クラッド層の厚さは10μmであった。
【0076】
以上のようにして得られた光ファイバコネクタの光ファイバ搭載溝21に、光ファイバ50(コア径;50μm、外径;80μm)をガラスブロックで抑えて光ファイバ搭載溝21に押し込んだところ、光導波路30の光信号伝達用コアパターン32の光伝達面に接合し、光ファイバ配線板を作製した。
得られた光ファイバ配線板は、搭載した光ファイバ50のコア部と光信号伝達用コアパターン32との間で光信号の送受伝達が可能であり、且つ、光ファイバ50が位置ずれすることもなかった。
また、得られた光ファイバコネクタを定板に静置し、隙間ゲージで光ファイバコネクタの反りを測定したところ、反りの大きさは0.1μmであった。
【0077】
実施例3
実施例1に同様の方法により、基板上の2箇所に光導波路及び光ファイバガイド部を形成し、80mmの光ファイバを、上記で得られた10μmの下部クラッド層形成用樹脂フィルムを介して基板10に接合させると共に、両方の光ファイバ搭載溝に固定した。その後180℃1h加熱し、基板上に第2接着層402を形成し硬化した以外は、実施例1と同様の方法により、光ファイバコネクタを作製した。
そして、得られた光ファイバコネクタに対して、光ファイバ50の両端を、それぞれ光導波路30の光信号伝達用コアパターン32の光伝達面に接合し、光ファイバ配線板を作製した。
得られた光ファイバ配線板は、搭載した光ファイバ50のコア部と光信号伝達用コアパターン32との間で光信号の送受伝達が可能であり、且つ、光ファイバ50が位置ずれすることもなかった。
【0078】
比較例1
実施例1において、基板10上に形成された下部クラッド層形成用樹脂フィルム及び上部クラッド層形成用樹脂フィルムを除去せず、スペース部分12を有しない基板10とした以外は、実施例1と同様の方法により、光ファイバコネクタを作製した。
実施例1と同様の方法で、光ファイバコネクタの反りを測定したところ、反りの大きさは2.5mmであった。比較例1の光ファイバコネクタは、実施例の光ファイバコネクタに比べて、反りが大きいものとなった。