(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜10のいずれかに記載の高分子分散型液晶組成物において、液晶性の化合物を55〜90質量%含有し、非液晶性の化合物を10〜45質量%含有することを特徴とする高分子分散型液晶素子用液晶組成物。
電極層を有する少なくとも一方が透明な2枚の基板と、この基板間に支持された調光層を有し、該調光層が請求項1〜11のいずれかに記載の組成物に紫外線を照射することによって得られた調光用フィルム。
電極層を有する透明な2枚のプラスチック基板と、この基板間に支持された調光層を有し、該調光層が請求項1〜11のいずれかに記載の組成物に紫外線を照射することによって得られた調光用フィルムであり、該調光用フィルムを2枚のガラス基板で挟んだ調光ガラス。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明について説明する。
本発明の高分子分散型液晶表示素子用液晶組成物は、第1成分として、一般式(I−1)
【0027】
(式中、R
1は、炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つ以上の非隣接の−CH
2−は酸素原子、−CH=CH−、−COO−、−OCO−で置き換えられていてもよく、
R
2は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF
3基、OCF
3基、OCHF
2基、NCS基、又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つ以上の−CH
2−は酸素原子、−CH=CH−、−COO−、−OCO−で置き換えられていてもよく、
環A
1、環A
2、環A
3、及び環A
4は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、又は2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、又は2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF
3基、OCF
3基又はCH
3基を有することができ、
Z
1、Z
2、及びZ
3は、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2−CH
2−、−CF
2−CF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、又は−C≡C−を表す。)で表される液晶化合物を少なくとも1種含有し、
第2成分として、一般式(II−1)
【0029】
(式中、X
1は水素原子、又はメチル基であり、Z
7は単結合、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であり、Z
7中の一つ以上の非隣接の−CH
2−は酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−CO−で置換されていても良く、A
7は一般式(II−2)〜(II−5)であり、
【0031】
(式中、1つ以上の−CH
2−は、互いに独立して、酸素原子、硫黄原子、−COO−、−OCO−又は−CO−で置換されていても良いが、一般式(II−2)〜(II−5)中に酸素原子及び/又は硫黄原子が合計2個以上存在する場合には、これらは−O−O−、−O−S−又は−S−S−のようにお互い同士結合することは無く、又一つ以上の−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−基に置換されていても良い。)
で表される非液晶性の重合性化合物を少なくとも1種含有し、
第3成分として、多官能の(メタ)アクリレート化合物、又は(メタ)アクリレートオリゴマーを少なくとも1種含有し、
第4成分として、光重合開始剤を少なくとも1種含有する含有することに特徴を有する。
【0032】
この中でも、特に特徴的なことは、第1成分と第2成分を含有することである。高分子分散型液晶素子は、一般的に紫外線硬化によって、液晶とポリマーの相分離を引き起こし、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶組成物が連続層をなす構造、液晶組成物のドロップレットがポリマー中に分散している構造、又は両者が混在する構造をとっている。第2成分である一般式(II−1)の化合物は、可撓性に優れる材料であり、曲げに対しては強いが伸び率はそれほど大きくないため、曲げた状態でも液晶組成物に応力がかかりにくく、結果として、この化合物を含有する組成物で作製された高分子分散型液晶素子フィルムは曲げた状態でも白濁性を維持することができる。また、環状構造基と窒素原子の存在により、基板への密着性も向上する。また、第2成分である一般式(II−1)の化合物は、比較的親水性の強い化合物であり、一方、第1成分である一般式(I−1)の化合物は、疎水性の強い化合物であり、一般的に両者の相溶性は良くない。実際に第1成分である一般式(I−1)の化合物を含む液晶組成物に、第2成分である一般式(II−1)の化合物を含む重合性組成物を添加していく場合と、第2成分である一般式(II−1)の化合物を含まない重合性組成物を添加していく場合とを比較すると、高分子分散型液晶素子用液晶組成物のTnmは、第2成分である一般式(II−1)の化合物を含む重合性組成物を添加していく時の方が、Tnmの低下が小さい。これは、第1成分である一般式(I−1)の化合物と第2成分である一般式(II−1)の化合物の相溶性が悪いために起こる現象である。ちなみに、第2成分である一般式(II−1)の化合物の変わりに、水酸基を持つようなより親水性の高い化合物を添加した場合は、ほとんど相溶せず、第2成分である一般式(II−1)の化合物程度の親水性が第1成分である一般式(I−1)の化合物を含む液晶組成物と相溶できる限界に近いことが理解できる。
【0033】
ここで、第1成分である一般式(I−1)の化合物を含む液晶組成物に、第2成分である一般式(II−1)の化合物を含む重合性組成物を添加していった場合、高分子分散型液晶素子用液晶組成物のTnmが高めになるということは、液晶組成物自身のTniが低めのものを用いないと、高分子分散型液晶素子用液晶組成物のTnmを室温以下にできないと言うことになり、それに伴い高分子分散型液晶素子とした際の動作温度範囲も低めになってしまうと考えられるが、実際にはそうはならない。第1成分である一般式(I−1)の化合物を含む液晶組成物と、第2成分である一般式(II−1)の化合物を含まない重合性組成物を用いた組成の場合、紫外線を照射して得られた高分子分散型液晶素子のTnp(高分子分散型液晶素子のネマチック−アイソトロピック転移点)は、用いている液晶組成物自身のTniより少し低めになる。これは、液晶組成物中の液晶化合物がポリマー中に取り込まれてしまうため起こる現象である。一方、第1成分である一般式(I−1)の化合物を含む液晶組成物と、第2成分である一般式(II−1)の化合物を含む重合性組成物を用いた組成の場合は、紫外線を照射して得られた高分子分散型液晶素子のTnpは、用いている液晶組成物自身のTniよりも高くなる。高くなる度合いは、第1成分である一般式(I−1)の化合物の極性や添加量に左右され、極性が低く、添加量が多い場合は、約30℃以上も元の液晶組成物のTniよりも高くなる。これは第1成分である一般式(I−1)の化合物を含む液晶組成物と、第2成分である一般式(II−1)の化合物との相溶性が悪いため、紫外線照射による重合相分離過程で、一般式(I−1)の化合物が優先的に相分離を起こし、ポリマー中に取り込まれる液晶化合物がその組成中でも極性の高い低分子量の化合物(一般式(VI−1)や(VII−1)で表される化合物等)に限定されるため、残った液晶組成物は結果として、一般式(I−1)の化合物がリッチな液晶組成物となるためである。さらに、この一般式(I−1)の化合物が優先的に相分離を起こすという効果により、相分離速度が速くなり、ネットワーク構造、又は液晶ドロップレット粒径の大きな構造が得られることとなり、駆動電圧を低下させることができる。
【0034】
上述のことから、第1成分である一般式(I−1)の化合物中のR
2は、低極性化合物となるよう、炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つ以上のCH
2基は酸素原子、及び/又は−CH=CH−によって置き換えられていてもよい)が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基、又はアルコキシ基であることがより好ましく、より低極性化合物とするため炭素原子数4〜10のアルキル基であることが更により好ましい。
【0035】
R
1としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、又はアルコキシ基であることが好ましく、環A
1〜環A
4としては、それぞれ独立して、1−4フェニレン基、又は1−4シクロへキシレン基(該1−4フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、メチル基を有することができる。)であることが好ましく、Z
1、Z
2、及びZ
3としては、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−又は−CH
2−CH
2−であることが好ましい。
【0036】
また、高分子分散型液晶素子用液晶組成物に用いられる液晶組成物のΔnは高い方が好ましく、Δεも高い方が好ましいことから、液晶組成物中に一般式(I−1)の化合物に加えて、一般式(VI−1)
【0038】
(式中、R
4は、炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つ以上の−CH
2−は互いに独立して酸素原子、−COO−又は−OCO−で置き換えられていてもよく、1つ以上の−CH
2−は−CH=CH−によって置き換えられていてもよく、
環A
6は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、又はピリミジン-2,5-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF
3基、OCF
3基、又はメチル基を有することができ、
Y
2、Y
3、Y
4、及びY
5は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、CF
3基、又はOCF
3基を表し、
Z
5、及びZ
6は、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−、CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、又は−C≡C−を表し、
nは0又は1を表す。ただしnが0の場合、Y
2又はY
3の少なくともどちらか一方は水素原子を表す。)
で表される液晶性化合物を含有することが好ましく、R
4は炭素原子数1〜10のアルキル基、又はアルコキシ基であることがより好ましく、環A
6は、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロへキシレン基(該1,4−フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子を有することができる。)であることがより好ましく、Y
1〜Y
4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子であることがより好ましく、Z
5、Z
6は、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−又は−CH
2−CH
2−であることがより好ましい。具体的には以下の(VI−11)〜(VI−28)の化合物が好ましい。
【0040】
(式中R
41は炭素原子数1〜10のアルキル基、又はアルコキシ基を表し、Y
11〜Y
50は、それぞれ独立して水素原子、又はフッ素原子を表す。)
第1成分である一般式(I−1)の化合物を用いた組成物は、液晶組成物自身のTniが高めになり、前述の高分子分散型液晶素子用液晶組成物のTnmを室温以下にするためには、液晶組成物自身のTniを低めにする必要がある、この様な場合には、一般式(VII−1)
【0042】
(式中、R
3は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の非隣接の1つ又は2つ以上の−CH
2−はそれぞれ独立して酸素原子、−COO−、又は−OCO−で置き換えられていてもよく、1つ以上のメチレン基は−CH=CH−によって置き換えられていてもよく、
Y
1はフッ素原子、塩素原子、シアノ基、CF
3基、OCF
3基、OCHF
2基、又はNCS基を表し
Z
4は、単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2−CH
2−、−CF
2O−、又は−C≡C−を表し、
環A
5は、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、又は2,6-ナフチレン基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、CF
3基、OCF
3基又はCH
3基を有することができる。)
で表される、外挿Tniが低い液晶性化合物を添加し、液晶組成物自身のTniを調整することが好ましい。
【0043】
一般式(VII−1)の中でも、Y
1がシアノ基、又はフッ素原子であることが好ましく、高Δεが必要であればシアノ基がより好ましい。R
3としては炭素原子数1〜10のアルキル基、又はアルコキシ基であることが好ましく、低Tniとするため炭素原子数2〜5のアルキル基、又はアルコキシ基であることがより好ましい。Z
4は、単結合、又は−COO−であることが好ましく、環A
5としては、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基((該1,4-フェニレン基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子を有することができる)であることが好ましい。具体的には下記(VII−11)〜(VII−26)の化合物が好ましい。
【0045】
(式中R
31は炭素原子数2〜5までのアルキル基、又はアルコキシ基を表す。)
高分子分散型液晶に用いる液晶組成物の屈折率異方性(Δn)は一般に高い方が好ましく、Δnは0.16以上が好ましく、0.18以上がより好ましく、0.20以上が更により好ましく、0.22以上が最も好ましい。これらのΔnを持つ液晶組成物の常光屈折率(no)は通常1.50〜1.54程度である。高分子分散型液晶素子に電圧を印加し、透明状態とした場合、この液晶組成物のnoとネットワーク構造を形成しているポリマーの屈折率(np)がほぼ一致していると、高い透明性を得ることができる。しかし、モノマー及びオリゴマーがUV照射等によってポリマー化する際に、一部の液晶組成物を抱き込んだ形で硬化するため、実際のポリマーの屈折率は純粋なものよりも高くなる。そのため、モノマー及びオリゴマーの屈折率は1.5より低い方が好ましく、1.48以下がより好ましく、1.47以下が更により好ましい。
【0046】
第2成分の重合性の化合物である、一般式(II−1)の化合物は、前述の通り、可撓性に優れる材料であり、この化合物を用いると、曲げた状態でも白濁性を維持することができる。また、環状構造基と窒素原子の存在により、基板への密着性も向上させることができる。一般式(II−1)の化合物の中でも、一般式(II−6)
【0048】
(式中、1つ以上の−CH
2−は、互いに独立して、酸素原子、硫黄原子、−COO−、−OCO−又は−CO−で置換されていても良いが、酸素原子及び/又は硫黄原子が合計2個以上存在する場合には、これらは−O−O−、−O−S−又は−S−S−のようにお互い同士結合することは無い。)
であることが好ましく、式(II−7)
【0050】
で表される化合物であることが更により好ましい。
【0051】
第3成分の多官能(メタ)アクリレート化合物、又は多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリマーのネットワーク構造中に架橋構造を導入するために必要な化合物である。多官能(メタ)アクリレート化合物、又は多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの中でも、2官能アクリレート、2官能アクリレートオリゴマーが好ましい。さらに、基板との密着性を重視するには、ウレタン系、又はポリエステル系アクリレートオリゴマーであることが好ましく、ウレタンアクリレートオリゴマーであることが更により好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマーにはポリエステル系、ポリエーテル系などがあるが、ポリエーテル系の方が好ましい。分子量としては2000〜30000が好ましく、5000〜20000がより好ましく、7000〜15000が更により好ましい。これは、あまり分子量が小さいと硬化収縮のため密着性が悪化してしまい、逆にあまり分子量が大きいと架橋間距離が長くなるため、隙間が大きくなり、液晶を取り込みやすくなるからである。すなわち高温下での環境に放置すると、ポリマーが液晶を吸収してしまい、特性が大きく変化してしまうためである。また、分子量が大きいと重合性化合物添加による高分子分散型液晶の転移点Tnmの低下度合いが小さくなり、Tnmを室温以下にするには、液晶組成物自身のTniが低い材料を用いなければならなくなるため、結果的に動作温度範囲が狭くなってしまう問題も生じてしまう。
【0052】
多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、水酸基含有アクリレートと、ポリオール、ポリイソシアネートを反応させて得られる。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等があげられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等があげられる。ポリイソシアネートとしては、2,4−および2、6−トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート、およびカルボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等があげられる。水酸基含有アクリレートとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等があげられる。
【0053】
具体的には、以下の一般式(VIII−1)の化合物が好ましい。
【0055】
(式中、X
9は水素原子、又はメチル基を表し、B
1は炭素原子数1〜4までのアルキル基を表し、該アルキル基中の一つ以上の−CH
2−は酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−で置換されていても良く、bは1〜20を表し、B
2は、下記(VIII−2)、又は(VIII−3)
【0059】
(式中、X
10は水素原子、又はメチル基を表し、tは20〜300を表す)
を表す。)
より低電圧で駆動させるためには、重合性化合物として、一般式(V−1)、及び一般式(V−2)
【0061】
(式中、X
2は水素原子、又はメチル基を表し、Z
8は単結合、炭素数1〜24までのアルキレン基であり、該アルキレン基中1つ以上の非隣接の−CH
2−は酸素原子、−CO−、−COO−、又は−OCO−で置換されていても良く、A
8は環状基が1〜3個までの環式化合物基であり、Z
8と直接結合する環状基の結合原子は窒素原子ではなく、
R
5、及びR
6は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素原子数1〜12までのアルキル基を表すが、該アルキル基中1つ以上の非隣接の−CH
2−は互いに独立して酸素原子、−CO−、−COO−、又は−OCO−で置換されていても良く、
Z
9は水素原子、又は炭素数1〜24までのアルキル基を表すが、該アルキル基中の1つ以上の非隣接の−CH
2−は互いに独立して酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、又は一般式(V−3)
【0063】
(R
7は、水素原子、又は炭素原子数1〜12までのアルキル基を表すが、該アルキル基中1つ以上の非隣接の−CH
2−は互いに独立して酸素原子、−CO−、−COO−、又は−OCO−で置換されていても良い。)
で置換されていても良く、且つ直鎖であっても分岐していても良く、
aは0又は1、bは0、1、2又は3である。)
で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種の重合性化合物を加えることが好ましい。
【0064】
このとき、低電圧駆動と密着性向上の中でより密着性向上に重きを置く場合は、一般式(V−1)の化合物の中でも、一般式(V−21)、
【0066】
(式中、X
3は水素原子、又はメチル基を表し、Z
10は単結合、炭素数1〜4までのアルキレン基を表し、該アルキレン基中1つ以上の非隣接の−CH
2−は、お互いに独立して酸素原子、−CO−、−COO−、又は−OCO−で置換されていても良く、A
10は、一般式(V−22)から(V−31)
【0068】
(式中、一つ以上の−CH
2−CH
2−は−CH=CH−によって置き換えられていてもよく、1つ以上の−CH
2−は、互いに独立して、酸素原子、硫黄原子、−COO−、−OCO−又は−CO−で置換されていても良いが、一般式(V−22)〜(V−31)中に酸素原子及び/又は硫黄原子が合計2個以上存在する場合には、これらは−O−O−、−O−S−又は−S−S−のようにお互い同士結合することは無く、式(V−22)〜(V−31)中の水素原子は、炭素原子数1〜8までのアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基中の一つ以上の非隣接の−CH
2−は酸素原子、−CO−、−COO−、又は−OCO−で置換されていても良く、且つ直鎖であっても分岐していてもよい。)である化合物が好ましく、
より具体的には、下記の(V−51)から(V−71)の化合物が好ましい。
【0070】
(式中X
5は水素原子、又はメチル基を表す。)
構造式(V−51)〜(V−71)の中でも、(V−54)、(V−55)、(V−56)、(V−57)、(V−58)、(V−63)、(V−65)、(V−67)がより好ましい。
【0071】
一方、密着性よりも低電圧駆動を重視するのであれば、一般式(V−1)の化合物の中でも、一般式(V−2)、及び一般式(V−61)
【0073】
(式中、X
2及び、X
4はそれぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表し、
R
5、及びR
6はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素原子数1〜12までのアルキル基を表すが、該アルキル基中1つ以上の非隣接の−CH
2−は互いに独立して酸素原子、−CO−、−COO−、又は−OCO−で置換されていても良く、
A
11は、炭素原子数1〜24までのアルキル基であり、該アルキル基中1つ以上の非隣接の−CH
2−は酸素原子、窒素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、又は一般式(V−3)
【0075】
(R
7は、水素原子、又は炭素原子数1〜12までのアルキル基を表し、該アルキル基中1つ以上の非隣接の−CH
2−は酸素原子、窒素原子、−CO−、−COO−、又は−OCO−で置換されていても良い。)
で置換されていても良く、且つ分岐鎖を持っていても良い。)であることが好ましい。
【0076】
具体的には、以下の化合物が好ましい。
【0077】
イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミド。
【0078】
このうち、より低電圧駆動をするためには、アルキルタイプのアクリレート化合物が好ましく、低電圧と密着性のバランスをとるには、アルキル基中1つ以上の−CH
2−が一般式(V−3)
【0080】
(R
7は、水素原子、又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。)
に置換されている化合物が好ましい。
【0081】
密着性と低電圧駆動のバランスを取るため、一般式(V−21)と、一般式(V−2)及び一般式(V−61)の化合物を併用することも可能である。
【0082】
第4成分である、光重合開始剤としては、330nm以上に光吸収域を有する化合物が好ましく、具体的には以下の化合物が好ましい。
【0083】
ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシーシクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−エトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−(1−メチルエトキシ)−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−イソブトキシ−2−フェニルアセトフェノン。
【0084】
特にこの中でも、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンがより好ましい。
【0085】
より密着性を重視した組成のためには、一般式(VIII−1)
【0087】
で表される基を有する化合物を添加することが好ましい。具体的には下記の化合物を添加することが好ましい。
【0089】
(式中X
6、X
7、及びX
8はそれぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表し、q、r、及びsは1から4を表す。)
一般式(VIII−1)で表される基を有する化合物の添加量としては、0.005〜2質量%であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.2質量%であることが更に好ましい。
また、先に述べたとおり、一般式(I−1)で表される化合物と、一般式(II−1)で表される化合物とは相溶性がよくない。この相溶性の悪さを利用して、速い相分離を引き起こし、ポリマーネットワークサイズ、又は液晶ドロップレットサイズ等を大きめに作製することが、本発明のポイントであるが、そもそも両者が混ざり合わなければ、実用的には意味をなさない。そのような場合には、界面活性剤を添加することで解決できる。界面活性剤としては、HLB値が10以下のものが好ましく、6以下がより好ましい。添加量としては、0.001〜0.5質量%が好ましく、0.01〜0.2質量%であることが更に好ましい。
【0090】
また、界面活性剤の変わりに、下記一般式(IX−1)
【0092】
(式中、R
6は炭素原子数1〜10のアルキル基、又はアルコキシ基を表し、環A
12は1,4-フェニレン基、又は1,4-シクロヘキシレン基を表し、X
13はシアノ基、又はフッ素原子を表し、X
11、及びX
12は、それぞれ独立して、水素原子、又はフッ素原子を表す。)であらわされる液晶化合物を含有することも効果的である。この化合物は極性の強い構造と、非極性の構造を併せ持ち、両者をつなぎ止める役割をする。
【0093】
重合性化合物側では、両親媒性という特徴を持つ、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミドを添加することが相溶性改善に効果的である。
【0094】
本発明の高分子分散型液晶組成物中の液晶性の化合物の濃度としては、ポリマーネットワーク構造、又は液晶ドロップレット構造の大きさの観点、及び高分子分散型液晶組成物のTniの観点から、55〜90質量%であることが好ましく、70〜80質量%がより好ましく、非液晶性の化合物の濃度は10〜45質量%が好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。これは、あまり液晶性の化合物の濃度が高いと、高分子分散型液晶組成物のTniを室温以下にするためには、液晶組成物のTniを低めに設定しなければならず、結果として動作温度範囲が狭くなってしまうためであり、更に液晶性の化合物の濃度があまりに高いと、ポリマーネットワーク構造、又は液晶ドロップレット構造の大きさ大きくなり、結果として光散乱性能が低下してしまうためである。また、あまりに液晶性の化合物の濃度が低いと、ポリマーネットワーク構造、又は液晶ドロップレット構造の大きさが小さくなりすぎて、駆動電圧が高くなってしまうためである。なお、液晶性の化合物とは液晶組成物に添加した際にその液晶性を極端に低下させない化合物であり、棒状の分子形状を持つ化合物であり、非液晶性の化合物とは液晶組成物に添加した際にその液晶性を極端に低下させる化合物であり、それ自体液晶相をさない化合物である。これら高分子分散型液晶素子用液晶組成物に含まれる液晶性を示す化合物の組成物を液晶組成物と記載し、重合性基を有する化合物を重合性化合物と高分子分散型液晶素子用液晶組成物に含まれる重合性化合物の組成物を重合性組成物と記載する。
【0095】
高分子分散型液晶素子用液晶組成物に含まれる液晶性の化合物中の一般式(I−1)で表される化合物の濃度としては、1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。高分子分散型液晶素子用液晶組成物に含まれる重合性基を有する化合物中の一般式(II−1)で表される化合物の濃度としては、30〜90質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。
【0096】
また、第1〜第9成分以外にも必要であれば、他の成分を含有することも当然可能であり、着色のため色素等を入れることもできる。
【0097】
次に、この高分子分散型液晶組成物を用いた調光フィルムについて説明する。
少なくとも一方が透明の2枚の基板間に、本発明の高分子分散型液晶組成物を狭持した後、熱、又は活性エネルギー線を照射することによって重合性化合物を重合させ、液晶組成物との相分離を誘発させることにより、液晶組成物と透明性高分子物質からなる調光層が形成されることによって調光フィルムが得られる。2枚の基板としては、ガラスであっても良いが、プラスチックフィルムであることが好ましく、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PES(芳香族ポリエーテルスルフォン)、PMMA(アクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)、脂環式ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン系樹脂、PAR(ポリアリレート)、PEEK(芳香族ポリエーテルケトン)等が好ましい。一般的に駆動のため表面表面には透明電極が付いている。また、重合する手段としては、紫外線照射で行うことが好ましい。またガラス基板表面にはポリイミド、SiO
2等によるコーティングを施すこともできる。
【0098】
2枚の基板間には、周知の液晶デバイスと同様、間隔保持用のスペーサーを介在させることができる。基板間の厚み、すなわち調光層の厚みは、2から50μmが好ましく、5から20μmがより好ましい。スペーサーは事前に基板上に散布しても良いが、高分子分散型液晶組成物中にあらかじめ混入しておき、高分子分散型液晶組成物と同時に基板上に塗布しても良い。
【0099】
2枚の基板間に高分子分散型液晶組成物を狭持させるに方法は、通常の真空注入法でも良いが、ODF法等滴下又は塗布で行うことが好ましい。この滴下又は塗布から重合性組成物が重合するまで間、高分子分散型液晶組成物は均一なアイソトロピック状態であることが好ましい。
【0100】
滴下又は塗布を行い場合、2枚の基板で高分子分散型液晶組成物を挟みこむ方法としては、2枚の基板をラミネーター等で挟み込む方法で行うことができる。
【0101】
重合性組成物を重合させる方法としては、紫外線照射が好適である。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、高分子分散型液晶組成物に含有されている光重合開始剤の吸収波長領域であり、且つ含有されている液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、具体的には、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプを使用して330nm以下の紫外線をカットして使用することが好ましい。また、単一波長を照射できるUV−LEDランプを用いることも好ましい。
【0102】
照射する紫外線の強度は、目的とする調光層を得るため適宜調整することができるが、1から200mw/cm
2が好ましく、5から50mw/cm
2がより好ましい。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10から300秒が好ましい。
【0103】
また、紫外線照射の時の温度は、調光層の特性を決める重要な要素となるが、高分子分散型液晶組成物のアイソトロピック−ネマティック転移点よりわずかに高い温度が好ましく、具体的には転移点+0.1から3.0℃が好ましい。
上述の手法、又はそれ以外の手法で作製された、高分子分散型液晶素子内の調光層は、液晶組成物が透明性高分子物質でカプセル状に閉じ込められた構造、液晶組成物の連続相中に透明性高分子物質の3次元ネットワーク構造が形成された構造、又は両者が混在した構造等を有しているが、液晶組成物の連続相中に透明性高分子物質の3次元ネットワーク構造が形成された構造であることが好ましく、紫外線照射によって、液晶組成物の連続相中に透明性高分子物質の3次元ネットワーク構造が形成された構造がより好ましい。
【0104】
ネットワーク構造の平均空隙間隔は高分子分散型液晶表示素子の特性に大きく影響し、平均空隙間隔としては、0.2から2μmが好ましく、0.2から1μmがより好ましく、0.3から0.7μmが最も好ましい。
【0105】
このようにして作製された調光用フィルムは、この状態のままで、プロジェクターのスクリーン用途等に用いることもできるが、2枚のガラス基板ではさんで、調光ガラスとして用いることもできる。
【実施例】
【0106】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例中の高分子分散型液晶表示素子は以下の方法で作製した。
液晶組成物、重合性化合物、光重合開始剤からなる高分子分散型液晶組成物に15μmのスペーサーを入れ、ITO付きPETフィルムに塗布し、もう一枚のフィルムと張り合わせた。この時、高分子分散型液晶組成物が常に均一状態となるよう、温度をコントロールした。高分子分散型液晶組成物のアイソトロピック−ネマチック転移点より1から2℃高い温度にコントロールし、紫外線カットフィルターとして、10mm厚の青板ガラスを用いて照射強度が10mw/cm
2となるように調整された高圧水銀ランプを60秒間照射して、高分子分散型液晶素子を得た。
【0107】
実施例中に示される液晶組成物、高分子分散型液晶組成物の特性の略号、及び意味は以下の通りである。
【0108】
Tni(LC) :液晶組成物のネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
Δn :液晶組成物の25℃における屈折率異方性
Tnm(PNM) :高分子分散型液晶組成物のネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
Tnp :高分子分散型液晶素子のネマチック相-等方性液体相転移温度(℃)
T0:セル厚15μm、25℃において、何もない(空気)の時の光量を100%とした場合の高分子分散型液晶素子の電圧OFF時の透過率(%)
V90 :セル厚15μm、25℃において、電圧無印加時の高分子分散型液晶素子の光透過率(T0)を0%とし、印加電圧を増加させていき光透過率がほとんど変化しなくなった時の光透過率(T100)を100%とした時、光透過率が90%となる印加電圧値。(V)
評価方法は以下の通りである。
【0109】
転移点測定には、メトラートレド社製の温度コントロールシステムFP−80、及びホットステージFP82を用いた。
【0110】
V90、及びT0測定には、大塚電子社製のLCD評価システムLCD−5200を用い、Bレンズ、アパーチャーSの条件にて測定した。
【0111】
密着性評価には、エーアンドディー社製の引張試験機テンシロンRTG−1210を用い、サンプルの幅25mm、引張速度300mm/分、23℃雰囲気下、ITO付きPETフィルムで挟んだ片側を180°方向に引き剥がした時の平均強度を求めた。
【0112】
湾曲させた場合の、白濁性維持については、作製した調光フィルムを曲げて、目視観察により評価した。
(実施例1)
第1成分を9%、第6成分を73%、第7成分を18%含有する液晶組成物(A)が74%、第3成分のウレタンアクリレートオリゴマーであるUN−6300(根上工業社製、分子量13000)が7.65%、第2成分のモルフォリンアクリレートであるACMO(興人社製)が17.84%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651(チバジャパン社製)が0.51%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
【0113】
【化27】
【0114】
(実施例2)
液晶組成物(A)が74%、第3成分のUN−6300が7.64%、第2成分のACMOが17.83%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651(チバジャパン社製)が0.51%、第8成分である2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートであるライトエステルP−2M(共栄社製)が0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
(実施例3)
第1成分を9%、第6成分を73%、第7成分を18%含有する液晶組成物(B)が74%、第3成分のUN−6300が7.64%、第2成分のACMOが17.83%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.51%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
【0115】
【化28】
【0116】
(実施例4)
第1成分を9%、第6成分を73%、第7成分を18%含有する液晶組成物(C)が74%、第3成分のUN−6300が7.64%、第2成分のACMOが17.83%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.51%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
【0117】
【化29】
【0118】
(実施例5)
液晶組成物(A)が74%、第3成分のUN−6300が7.64%、第2成分のACMOが14.26%、第5成分であるオキセタンアクリレートOXE−10(大阪有機社製)が3.57%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.51%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
(実施例6)
第1成分を20%、第6成分を60%、第7成分を20%含有する液晶組成物(D)が74%、第3成分のUN−6300が7.64%、第2成分のACMOが14.26%、第5成分であるOXE−10が3.57%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.51%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
【0119】
【化30】
【0120】
(実施例7)
第1成分を5%、第6成分を85%、第7成分を10%含有する液晶組成物(E)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分であるOXE−10が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
【0121】
【化31】
【0122】
(実施例8)
第1成分を5%、第6成分を85%、第7成分を10%含有する液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分であるOXE−10が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
【0123】
【化32】
【0124】
(実施例9)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが13.63%、第5成分であるOXE−10が4.37%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
(実施例10)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが15.43%、第5成分であるラウリルアクリレートSR335(サートマー社製)が2.57%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
(実施例11)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが15.43%、第5成分であるイソオクチルアクリレートSR440(サートマー社製)が2.57%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
(実施例12)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分であるアダマンチル骨格を持つアクリレートEtADA(大阪有機社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
(実施例13)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分の単官能メタクリレートであるCHDOL30(大阪有機社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
(実施例14)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分の単官能アクリレートであるMEDOL10(大阪有機社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表1に示す。
(実施例15)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分の単官能アクリレートであるCHDOL10(大阪有機社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例16)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分のテトラヒドロフルフリルアクリレートであるSR285(サートマー社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例17)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分のジメチルアミノエチルアクリレートであるDMAEA(興人社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例18)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分のジエチルアクリルアミドであるDEAA(興人社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例19)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分のOXE−10が2.57%、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート(共栄社製)が1.03%、第4成分の光重合開始剤であるイルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例20)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分のOXE−10が3.60%、第4成分の光重合開始剤であるセイクオールBEE(精工化学社製)が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例21)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分のシクロヘキシルアクリレートであるブレンマーCHA(日油社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤であるイルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例22)
液晶組成物(F)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが14.40%、第5成分の3,3,5トリメチルシクロヘキサンアクリレートであるCD420(サートマー社製)が3.60%、第4成分の光重合開始剤であるイルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例23)
第1成分を5%、第6成分を85%、第7成分を10%含有する液晶組成物(G)が74%、第3成分のUN−6300が7.72%、第2成分のACMOが18.0%、第4成分の光重合開始剤であるイルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
【0125】
【化33】
【0126】
(実施例24)
液晶組成物(G)が74%、第3成分のUN−6300が7.71%、第2成分のACMOが17.98%、第4成分の光重合開始剤であるイルガキュア651が0.26%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.02%、第9成分である界面活性剤ニューコール3−80(日本乳化剤社製)0.03%がからなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(実施例25)
液晶組成物(F)が50%、第3成分のUN−6300が14.84%、第2成分のACMOが27.70%、第5成分のOXE−10が6.92%、第4成分の光重合開始剤であるイルガキュア651が0.49%、第8成分であるライトエステルP−2Mが0.05%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(比較例1)
第6成分100%からなる液晶組成物(H)が74%、第3成分のUN−6300が7.64%、第2成分のACMOが17.83%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651(チバジャパン社製)が0.51%、第8成分である2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートであるライトエステルP−2M(共栄社製)が0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
【0127】
【化34】
【0128】
(比較例2)
液晶組成物(A)が74%、第3成分のUN−6300が7.61%、第5成分のOXE−10が17.76%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651(チバジャパン社製)が0.51%、第8成分である2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートであるライトエステルP−2M(共栄社製)が0.03%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
(比較例3)
液晶組成物(F)が74%、第2成分のACMOが17.83%、第5成分のOXE−10が7.64%、第4成分の光重合開始剤イルガキュア651(チバジャパン社製)が0.51%、第8成分である2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートであるライトエステルP−2M(共栄社製)が0.02%からなる高分子分散型液晶素子用液晶組成物を調合し、前述の手法で高分子分散型液晶素子である調光フィルムを得た。用いた液晶組成物の転移点Tniと屈折率異方性Δn、高分子分散型液晶素子用液晶組成物の転移点Tnm、及び得られた調光フィルムの特性を表2に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
表中の実施例1〜25と比較例1との比較で、第1成分の存在で駆動電圧が大きく低下していることが理解できる。また、実施例1〜25と比較例2、及び比較例3との比較で、第2成分、及び第3成分の存在で、密着性及び湾曲時の白濁維持性が向上していることが理解できる。
【0131】
実施例1と実施例2の比較で、第8成分の存在で密着性がより向上していることが理解でき、実施例5と7の比較で、第1成分の添加量が増すと、駆動電圧が低下することが理解でき、実施例7と8、及び実施例2と3の比較で、第1成分中にアルキル鎖の長い化合物を用いた方が低電圧効果が高いことが理解できる。実施例8と9の比較では、第5成分の添加量が多いほど低電圧効果は高くなり、実施例7、8と実施例9、10の比較より、第5成分に一般式(V−61)の化合物を用いた方が低電圧効果が高いことも理解できる。
【0132】
実施例5と6を比較すると、第1成分を代えても同様の低電圧効果が見られるが、極性基の付いていない化合物を用いている実施例5の方が、より低い添加濃度で低電圧化されていることが理解でき、実施例5〜22を見ると、第5成分を代えても同様に低電圧の効果が見られることが理解できる。
【0133】
比較例1の高分子分散型液晶素子の転移点(Tnp)は83℃であり、実施例7のTnpは80℃、実施例5のTnpは78℃であった。それぞれの使用している液晶組成物のTniとの差異(Tnp−Tni)は、比較例1で−1.9℃、実施例7で10.1℃、実施例5で18.5℃であり、第1成分の添加量が増すと使用している液晶組成物のTniよりTnpの転移点のほうが高くなる傾向が大きくなることが理解できる。
【0134】
また、実施例23の高分子分散型液晶素子用液晶組成物を10℃で24時間放置すると、析出成分が見られたが、実施例24の高分子分散型液晶素子用液晶組成物の場合は、0℃で24時間放置しても析出は見られなかった、これより、界面活性剤の添加で相溶性が改善されたことが理解できる。