(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マンガンを含有するリチウム金属酸化物を正極活物質とする正極と、炭素材料を負極活物質とする負極と、請求項1又は2に記載の二次電池用非水電解液とを有する非水電解液二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の二次電池用非水電解液について好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の二次電池用非水電解液は、上記一般式(1)で表わされるジフルオロシラン化合物を含有することに特徴がある。
【0016】
上記一般式(1)において、R
1及びR
2は各々独立して炭素数1〜6のアルキル基を表わす。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル等が挙げられる。上記一般式(1)で表わされるジフルオロシラン化合物の性能が高まる(マンガンの溶出の低減効果が大きくなる)ことから、R
1としては、メチル、エチル、プロピル及びブチルが好ましく、メチル及びエチルが更に好ましく、メチルが最も好ましい。R
2としては、メチル及びエチルが好ましく、メチルが更に好ましい。
【0017】
上記一般式(1)で表わされるジフルオロシラン化合物の中で好ましい化合物としては、(3−メトキシプロピル)メチルジフルオロシラン、(3−エトキシプロピル)メチルジフルオロシラン、(3−プロポキシプロピル)メチルジフルオロシラン、(3−ブトキシプロピル)メチルジフルオロシラン、(3−メトキシプロピル)エチルジフルオロシラン、(3−エトキシプロピル)エチルジフルオロシラン、(3−プロポキシプロピル)エチルジフルオロシラン、(3−ブトキシプロピル)エチルジフルオロシラン等が挙げられ、(3−メトキシプロピル)メチルジフルオロシラン、(3−エトキシプロピル)メチルジフルオロシラン及び(3−メトキシプロピル)エチルジフルオロシランが好ましく、(3−メトキシプロピル)メチルジフルオロシラン及び(3−エトキシプロピル)メチルジフルオロシランが更に好ましく、(3−メトキシプロピル)メチルジフルオロシランが最も好ましい。
【0018】
本発明の二次電池用非水電解液において、上記一般式(1)で表わされるジフルオロシラン化合物の含有量が、あまりに少ない場合には十分な効果を発揮できず、またあまりに多い場合には、配合量に見合う増量効果が得られないばかりか、却って非水電解液の特性に悪影響を及ぼすことがあることから、上記一般式(1)で表わされるジフルオロシラン化合物の含有量は、非水電解液中、0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜4質量%が更に好ましく、0.03〜3質量%が最も好ましい。
【0019】
上記一般式(1)で表わされるジフルオロシラン化合物は、例えば、下記〔化2〕に示す反応式のように、下記一般式(1a)で表されるアリルエーテル化合物と下記一般式(1b)で表されるジメトキシシラン化合物とをヒドロシリル化反応させて得られる下記一般式(1c)で表される化合物のメトキシシリル基をF−Si基に変換することにより得ることができる。
【0020】
【化2】
(式中、R
1及びR
2は上記一般式(1)と同義である。)
【0021】
上記一般式(1c)で表される化合物のメトキシシリル基をF−Si基に変換は、公知の方法、例えば、三フッ化アンチモンを用いる方法(J. Amer. Chem. Soc.,68,2655(1946年)を参照)、フッ化カルシウムを用いる方法(米国特許3646092号を参照)、フッ化水素酸水溶液を用いる方法(J. Amer. Chem. Soc.,73,5127(1951年)を参照)等の方法によればよい。また、上記一般式(1a)で表されるアリルエーテル化合物と上記一般式(1b)で表されるジメトキシシラン化合物とのヒドロシリル化反応は、公知の方法、例えば、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)、白金−カルボニルビニルメチル錯体(Ossko 触媒)等の白金系の触媒を用いて反応する方法によればよい。
【0022】
本発明の二次電池用非水電解液は、非水電解液二次電池の電極表面上に生成する被膜が強固になり、非水電解液二次電池の高温での容量劣化が起り難くなることから、電解液添加剤として、更に、下記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物、下記一般式(3)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物、不飽和環状炭酸エステル化合物、フッ素化環状炭酸エステル化合物及び環状スルホン酸エステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することが好ましい。
【0023】
【化3】
(式中、R
3及びR
4は各々独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表わし、R
5は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表わす。)
【0024】
【化4】
(式中、R
6及びR
7は各々独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表わし、R
8は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表わし、nは1又は2の数を表わす。)
【0025】
先ず、上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物について説明する。
上記一般式(2)において、R
3及びR
4は各々独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表わす。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2級オクチル、2−メチルペンチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。
R
3及びR
4としては、リチウムイオンの移動への悪影響が少なく充電特性が良好であることから、水素原子、メチル、エチル及びプロピルが好ましく、水素原子及びメチルが更に好ましく、水素原子が最も好ましい。
R
5は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表わす。炭素数1〜8のアルキル基としては、R
3及びR
4の説明で例示した炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。炭素数2〜8のアルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、3−ブテニル、イソブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル、7−オクテニル等が挙げられる。炭素数2〜8のアルキニル基としては、例えば、エチニル、2−プロピニル(プロパギルともいう)、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル等が挙げられる。炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基としては、例えば、クロロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3−フルオロプロピル、2−クロロプロピル、3−クロロプロピル、2−クロロ−2−プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、2−クロロブチル、3−クロロブチル、4−クロロブチル、3−クロロ−2−ブチル、1−クロロ−2−ブチル、2−クロロ−1,1−ジメチルエチル、3−クロロ−2−メチルプロピル、5−クロロペンチル、3−クロロ−2−メチルプロピル、3−クロロ−2,2−ジメチル、6−クロロヘキシル等が挙げられる。
【0026】
R
5としては、非水電解液二次電池の内部抵抗が小さくなることから、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、2−プロピニル、3−クロロプロピル、3−クロロブチル及び4−クロロブチルが好ましく、メチル、エチル、プロピル及び2−プロピニルが更に好ましく、エチル及び2−プロピニルが最も好ましい。
【0027】
上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物のうち、R
3及びR
4が水素原子である化合物としては、例えば、メチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ブチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ペンチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、アリルビス(2−プロピニル)フォスフェート、トリス(2−プロピニル)フォスフェート、2−クロロエチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリフルオロエチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリクロロエチルビス(2−プロピニル)フォスフェート等が挙げられる。
【0028】
上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物のうち、R
3がメチルでありR
4が水素原子である化合物としては、例えば、メチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、エチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、ブチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、ペンチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、アリルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、2−プロピニルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、トリス(1−メチル−1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、2−クロロエチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリフルオロエチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリクロロエチルビス(1−メチル−2−プロピニル)フォスフェート等が挙げられる。
【0029】
上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物のうち、R
3及びR
4がメチルである化合物としては、例えば、メチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、エチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、ブチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、ペンチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、アリルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、2−プロピニルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、トリス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、2−クロロエチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリフルオロエチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート、2,2,2−トリクロロエチルビス(1,1−ジメチル−2−プロピニル)フォスフェート等が挙げられる。
【0030】
上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物としては、メチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ブチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、ペンチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、トリス(2−プロピニル)フォスフェート、及び2−クロロエチルビス(2−プロピニル)フォスフェートが好ましく、エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート、プロピルビス(2−プロピニル)フォスフェート及びブチルビス(2−プロピニル)フォスフェート及びトリス(2−プロピニル)フォスフェートが更に好ましく、エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート及びトリス(2−プロピニル)フォスフェートが最も好ましい。
【0031】
上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物は、下記一般式(2a)で表わされる不飽和アルコール化合物と下記一般式(2b)で表わされる化合物とを、塩基性条件下に反応させることにより得ることができる。
【0032】
【化5】
(式中、R
3及びR
4は上記一般式(2)と同義である。)
【0033】
【化6】
(式中、R
5は上記一般式(2)と同義である。)
【0034】
上記一般式(2a)で表わされる不飽和アルコール化合物と上記一般式(2b)で表わされる化合物とを、反応させる場合の塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピコリン等の有機塩基が好ましい。
【0035】
尚、上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物のうち、下記一般式(2c)で表わされる化合物は、上記一般式(2a)で表わされる不飽和アルコール化合物とオキシ塩化リンとを、塩基性条件下に反応させることによっても得ることができる。
【0036】
【化7】
(式中、R
3及びR
4は上記一般式(2)と同義である。)
【0037】
次に、上記一般式(3)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物について説明する。上記一般式(3)において、R
6及びR
7は各々独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表わす。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記一般式(2)のR
3及びR
4の説明で例示した炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。
R
6及びR
7としては、リチウムイオンの移動への悪影響が少なく充電特性が良好であることから、水素原子、メチル、エチル及びプロピルが好ましく、水素原子及びメチルが更に好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0038】
R
8は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基を表わす。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記一般式(2)のR
3及びR
4の説明で例示した炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。
炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基及び炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基としては、上記一般式(2)のR
5の説明で例示した炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基及び炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
R
8としては、非水電解液二次電池の内部抵抗が小さくなることから、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、2−プロピニル、3−クロロプロピル、3−クロロブチル及び4−クロロブチルが好ましく、メチル、エチル、プロピル及び2−プロピニルが更に好ましく、メチル及びエチルが最も好ましい。
【0039】
上記一般式(3)において、nは1又は2の数を表わす。原料となるアルキンジオールからのリン酸エステル反応が容易であり高収率で得られることから、nは2の数であることが好ましい。
【0040】
上記一般式(3)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物のうちnが1の数である化合物としては、例えば、2−ブチン−1,4−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラエチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラプロピルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトライソプロピルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラブチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラペンチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(3−クロロプロピル)ジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(3−クロロブチル)ジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(4−クロロブチル)ジフォスフェート等が挙げられ、中でも、2−ブチン−1,4−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラエチルジフォスフェート、2−ブチン−1,4−ジオールテトラプロピルジフォスフェート及び2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェートが好ましく、2−ブチン−1,4−ジオールテトラメチルジフォスフェート及び2−ブチン−1,4−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェートが更に好ましい。
【0041】
また、上記一般式(3)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物のうちnが2の数である化合物としては、例えば、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラエチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラプロピルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトライソプロピルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラブチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラペンチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(3−クロロプロピル)ジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(3−クロロブチル)ジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(4−クロロブチル)ジフォスフェート等が挙げられ、中でも、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラメチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラエチルジフォスフェート、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラプロピルジフォスフェート及び2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェートが好ましく、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラメチルジフォスフェート及び2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラキス(2−プロピニル)ジフォスフェートが更に好ましい。
【0042】
上記一般式(3)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物は、下記一般式(3a)で表わされる不飽和アルコール化合物と下記一般式(3b)で表わされる化合物とを、塩基性条件下に反応させることにより得ることができる
【0043】
【化8】
(式中、R
6、R
7及びnは上記一般式(3)と同義である。)
【0044】
【化9】
(式中、R
8は上記一般式(3)と同義である。)
【0045】
上記一般式(3a)で表わされる不飽和アルコール化合物と上記一般式(3b)で表わされる化合物とを、反応させる場合の塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピコリン等の有機塩基が好ましい。
【0046】
次に、上記不飽和環状炭酸エステル化合物について説明する。本発明において、不飽和環状炭酸エステル化合物とは、環内又は環外に炭素−炭素二重結合基を有する環状炭酸エステルをいう。不飽和環状炭酸エステル化合物としては、環内又は環外に炭素−炭素二重結合基を有する環状炭酸エステルであれば特に制限されないが、例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、プロピリデンカーボネート、エチレンエチリデンカーボネート、エチレンイソプロピリデンカーボンート等が挙げられ、強固な被膜が形成されることから、ビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートが特に好ましい。
【0047】
次に、上記フッ素化環状炭酸エステル化合物について説明する。本発明において、フッ素化環状炭酸エステル化合物とは、フルオロ基を有する環状炭酸エステルをいう。フッ素化環状炭酸エステル化合物としては、フルオロ基を有する環状炭酸エステルであれば特に制限されないが、例えば、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、1,1−ジフルオロエチレンカーボネート、1,1,2−トリフルオロエチレンカーボネート、1,1,2,2−テトラフルオロエチレンカーボネート等が挙げられ、強固な被膜が形成されることから、フルオロエチレンカーボネートが特に好ましい。
【0048】
次に、上記環状スルホン酸エステル化合物について説明する。環状スルホン酸エステル化合物としては、特に制限されないが、例えば、プロパンスルトン、ブタンスルトン、ペンタンスルトン等が挙げられ、強固な被膜が形成されることから、プロパンスルトンが特に好ましい。
【0049】
本発明の二次電池用非水電解液において、上記電解液添加剤の含有量が、あまりに少ない場合には十分な効果を発揮できず、またあまりに多い場合には、配合量に見合う増量効果が得られないばかりか、却って非水電解液の特性に悪影響を及ぼすことがあることから、上記電解液添加剤の含有量は、非水電解液中、0.005〜15質量%が好ましく、0.02〜10質量%が更に好ましく、0.05〜5質量%が最も好ましい。
上記電解液添加剤は1種のみを使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよいが、2種以上使用する場合は、使用する電解液添加剤の合計の含有量が上記の範囲となるようにする。
【0050】
上記電解液添加剤の中では、安定した強固な被膜が形成されることから、上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物、上記一般式(3)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物及び不飽和環状炭酸エステル化合物が好ましく、上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物及び上記一般式(3)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物が更に好ましく、上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物が最も好ましい。
上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物は、飽和環状炭酸エステル化合物と組み合わせて使用することが好ましく、この場合の両者の使用量は、上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物100質量部に対して、飽和環状炭酸エステル化合物50〜2000質量部であることが好ましく、100〜1000質量部であることが更に好ましく、200〜500質量部であることが最も好ましい。
【0051】
本発明の非水電解液に用いられる有機溶媒としては、非水電解液に通常用いられているものを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体的には、飽和環状カーボネート化合物、飽和環状エステル化合物、スルホキシド化合物、スルホン化合物、アマイド化合物、飽和鎖状カーボネート化合物、鎖状エーテル化合物、環状エーテル化合物、飽和鎖状エステル化合物等が挙げられる。
【0052】
上記有機溶媒のうち、飽和環状カーボネート化合物、飽和環状エステル化合物、スルホキシド化合物、スルホン化合物及びアマイド化合物は、比誘電率が高いため、非水電解液の誘電率を上げる役割を果たし、中でも、飽和環状カーボネート化合物が好ましい。かかる飽和環状カーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,3−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,1,−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。また上記飽和環状エステル化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、δ−オクタノラクトン等が挙げられ、上記スルホキシド化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、チオフェン等が挙げられ、上記スルホン化合物としては、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホラン(テトラメチレンスルホンともいう)、3−メチルスルホラン、3,4−ジメチルスルホラン、3,4−ジフェニメチルスルホラン、スルホレン、3−メチルスルホレン、3−エチルスルホレン、3−ブロモメチルスルホレン等が挙げられ、スルホラン、テトラメチルスルホランが好ましい。また上記アマイド化合物としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0053】
上記有機溶媒のうち、飽和鎖状カーボネート化合物、鎖状エーテル化合物、環状エーテル化合物及び飽和鎖状エステル化合物は、非水電解液の粘度を低くすることができ、電解質イオンの移動性を高くすることができることや、出力密度等の電池特性を優れたものにすることができる。また、低粘度であるため、低温での非水電解液の性能を高くすることができ、中でも、飽和鎖状カーボネート化合物が好ましい。かかる飽和鎖状カーボネート化合物としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、t−ブチルプロピルカーボネート等が挙げられる。また上記鎖状又は環状エーテル化合物としては、例えば、ジメトキシエタン(DME)、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、1,2−ビス(メトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)エタン、1,2−ビス(エトキシカルボニルオキシ)プロパン、エチレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル、エチレングリコールビス(トリフルオロメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(トリフルオロエチル)エーテル等が挙げられ、これらの中でもジオキソランが好ましい。
【0054】
上記飽和鎖状エステル化合物としては、分子中の炭素数の合計が2〜8であるモノエステル化合物及びジエステル化合物が好ましく、具体的な化合物としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、マロン酸メチル、マロン酸エチル、コハク酸メチル、コハク酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールジアセチル、プロピレングリコールジアセチル等が挙げられ、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルが好ましい。
【0055】
その他、上記有機溶媒として、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタンやこれらの誘導体等を用いることもできる。
【0056】
本発明の二次電池用非水電解液に用いられる電解質塩としては、従来公知の電解質塩が用いられ、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC(CF
3SO
2)
3、LiB(CF
3SO
3)
4、LiB(C
2O
4)
2、LiBF
2(C
2O
4)、LiSbF
6、LiSiF
5、LiAlF
4、LiSCN、LiClO
4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlF
4、LiAlCl
4、NaClO
4、NaBF
4、NaI、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4、LiAsF
6、LiCF
3SO
3、及びLiC(CF
3SO
2)
3並びにLiCF
3SO
3の誘導体、及びLiC(CF
3SO
2)
3の誘導体からなる群から選ばれる1種以上を用いるのが、電気特性に優れるので好ましい。
【0057】
上記電解質塩は、本発明の二次電池用非水電解液中の濃度が、0.1〜3.0mol/L、特に0.5〜2.0mol/Lとなるように、上記有機溶媒に溶解することが好ましい。該電解質塩の濃度が0.1mol/Lより小さいと、充分な電流密度を得られないことがあり、3.0mol/Lより大きいと、非水電解液の安定性を損なう恐れがある。
【0058】
また、本発明の二次電池用非水電解液二次電池に使用する非水電解液には、難燃性を付与するために、ハロゲン系、リン系、その他の難燃剤を適宜添加することができる。難燃剤の添加量は、あまりに少ない場合には十分な難燃化効果を発揮できず、またあまりに多い場合には、配合量に見合う増量効果は得られないばかりか、却って非水電解液の特性に悪影響を及ぼすことがあることから、本発明の二次電池用非水電解液を構成する有機溶媒に対して、5〜100質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。
【0059】
本発明の二次電池用非水電解液は、リチウム化合物を正極活物質とする正極と、炭素材料を負極活物質とする負極と非水電解液とを有する非水電解液二次電池、好ましくは、マンガンを含有するリチウム金属酸化物を正極活物質とする正極と、炭素材料を負極活物質とする負極と非水電解液とを有する非水電解液二次電池(本発明の非水電解液二次電池)の非水電解液として使用される。
【0060】
本発明の二次電池用非水電解液が使用される二次電池の正極としては、正極活物質であるリチウム化合物と結着剤と導電材等の正極材料を溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布・乾燥し、必要に応じて圧延してシート状にしたものが使用される。
【0061】
上記正極活物質として使用されるリチウム化合物としては、リチウムと少なくとも1種の遷移金属とを含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物等が挙げられ、これらは混合して用いてもよい。リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはバナジウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等が好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO
2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO
2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO
2、LiMn
2O
4、Li
2MnO
3等のリチウムマンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をアルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、リチウム、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、ガリウム、ジルコニウム等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi
0.5Mn
0.5O
2、LiNi
0.80Co
0.17Al
0.03O
2、LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2、LiMn
1.8Al
0.2O
4、LiMn
1.5Ni
0.5O
4等が挙げられる。リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、バナジウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO
4等のリン酸鉄類、LiCoPO
4等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をアルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、リチウム、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
【0062】
上記正極活物質としては、上記一般式(1)で表わされるジフロオロシラン化合物の添加効果が出やすいことから、マンガンを含有するリチウム金属酸化物が好ましく、中でも、Li
1.1Mn
1.8Mg
0.1O
4、Li
1.1Mn
1.85Al
0.05O
4、LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/5O
2、LiNi
0.5Co
0.2Mn
0.3O
2が好ましい。
【0063】
上記正極の結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、EPDM、SBR、NBR、フッ素ゴム、ポリアクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されない。上記結着剤の使用量は、正極活物質100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部が更に好ましい。
【0064】
上記正極の導電材としては、グラファイトの微粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素の微粒子等や、カーボンナノファイバー等が使用されるが、これらに限定されない。上記導電材の使用量は、正極活物質100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部が更に好ましい。
【0065】
上記正極のスラリー化する溶媒としては、結着剤を溶解する有機溶剤又は水が使用される。該有機溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、ポリエチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、これに限定されない。上記溶媒の使用量は、正極活物質100質量部に対して、30〜300質量部が好ましく、50〜200質量部が更に好ましい。
【0066】
上記正極の集電体には、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
【0067】
本発明の二次電池用非水電解液が使用される二次電池の負極としては、炭素材料を負極活物質とした負極であって、通常リチウム二次電池用の負極として使用できるものであれば特に限定されない。負極としては、負極活物質と結着剤等の負極材料を溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布し、乾燥してシート状にしたものが使用される。
上記負極活物質としては、結晶性の人造黒鉛及び天然黒鉛が使用されるが、結晶表面を他の材料で被覆した結晶性の黒鉛、微結晶の塊状粒子となった結晶性の黒鉛、MCMB、ソフトカーボン、ハードカーボン、ケイ素合金、スズ合金を混合して使用してもよい。
上記負極の結着剤としては、上記の正極の結着剤と同様のものが挙げられる。上記結着剤の使用量は、上記負極活物質100質量部に対して、0.001〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部が更に好ましく、0.01〜2質量部が最も好ましい。
上記負極のスラリー化する溶媒としては、正極と同様に、結着剤を溶解する有機溶剤又は水が使用される。該有機溶剤としては、正極と同様のものが挙げられる。上記溶媒の使用量は、負極活物質100質量部に対して、30〜400質量部が好ましく、50〜300質量部が更に好ましい。
【0068】
また、上記負極の集電体には、通常、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される
【0069】
本発明の二次電池用非水電解液が使用される二次電池、特に本発明の非水電解液二次電池では、正極と負極との間にセパレータを用いることが好ましく、該セパレータとしては、通常用いられる高分子の微多孔フィルムを特に限定なく使用できる。該フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース等の種々のセルロース類、ポリ(メタ)アクリル酸及びその種々のエステル類等を主体とする高分子化合物やその誘導体、これらの共重合体や混合物からなるフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、単独で用いてもよいし、これらのフィルムを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。さらに、これらのフィルムには、種々の添加剤を用いてもよく、その種類や含有量は特に制限されない。これらのフィルムの中でも、本発明の非水電解液二次電池には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンからなるフィルムが好ましく用いられる。
【0070】
これらのフィルムは、電解液がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化がなされている。この微多孔化の方法としては、高分子化合物と溶剤の溶液をミクロ相分離させながら製膜し、溶剤を抽出除去して多孔化する「相分離法」と、溶融した高分子化合物を高ドラフトで押し出し製膜した後に熱処理し、結晶を一方向に配列させ、さらに延伸によって結晶間に間隙を形成して多孔化をはかる「延伸法」等が挙げられ、用いられるフィルムによって適宜選択される。
【0071】
本発明の二次電池用非水電解液が使用される二次電池、特に本発明の非水電解液二次電池に使用される電極材料、非水電解液及びセパレータには、より安全性を向上する目的で、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン化合物等を添加してもよい。
【0072】
以上説明した本発明の二次電池用非水電解液が使用される二次電池、特に本発明の非水電解液二次電池は、上記正極、負極及び非水電解液を有することが必須であるが、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状とすることができる。
図1は、本発明の非水電解液二次電池であるコイン型電池の一例を、
図2及び
図3は円筒型電池の一例をそれぞれ示したものである。
【0073】
図1に示すコイン型の非水電解液二次電池10において、1はリチウムイオンを放出できる正極、1aは正極集電体、2は正極から放出されたリチウムイオンを吸蔵、放出できる炭素質材料よりなる負極、2aは負極集電体、3は本発明の二次電池用非水電解液、4はステンレス製の正極ケース、5はステンレス製の負極ケース、6はポリプロピレン製のガスケット、7はポリエチレン製のセパレータである。
【0074】
また、
図2及び
図3に示す円筒型の非水電解液二次電池10'において、11は負極、12は負極集電体、13は正極、14は正極集電体、15は本発明の二次電池用非水電解液、16はセパレータ、17は正極端子、18は負極端子、19は負極板、20は負極リード、21は正極板、22は正極リード、23はケース、24は絶縁板、25はガスケット、26は安全弁、27はPTC素子である。
【実施例】
【0075】
以下に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、以下の実施例等により本発明はなんら制限されるものではない。尚、実施例中の「部」や「%」は、特にことわらないかぎり質量基準によるものである。
【0076】
〔実施例1〜15及び比較例1〜11〕
以下の実施例及び比較例において、非水電解液二次電池(リチウム二次電池)は、以下の<作製手順>に従って作製された。
【0077】
<作製手順>
〔正極Aの作製〕
正極活物質としてLi
1.1Mn
1.8Mg
0.1O
4の90質量部、導電材としてアセチレンブラック5質量部、及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部を混合して、正極材料とした。この正極材料を有機溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)140質量部に分散させてスラリー化した。このスラリー化した正極材料をアルミニウム製の正極集電体に塗布し、乾燥後、プレス成型して、正極板とした。その後、この正極板を所定の大きさにカットして円盤状正極Aを作製した。
【0078】
〔正極Bの作製〕
正極活物質としてLiNi
0.3Co
0.3Mn
0.3O
2の90質量部、導電材としてアセチレンブラック5質量部、及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部を混合して、正極材料とした。この正極材料を有機溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)140質量部に分散させてスラリー化した。このスラリー化した正極材料をアルミニウム製の正極集電体に塗布し、乾燥後、プレス成型して、正極板とした。その後、この正極板を所定の大きさにカットして円盤状正極Bを作製した。
【0079】
〔負極の作製〕
負極活物質として人造黒鉛97質量部、結着剤としてスチレンブタジエンゴム2質量部、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1質量部を混合して、負極材料とした。この負極材料を水120質量部に分散させてスラリー化とした。このスラリー化した負極材料を銅製の負極集電体に塗布し、乾燥後、プレス成型して、負極板とした。その後、この負極板を所定の大きさにカットし、円盤状負極を作製した。
【0080】
〔電解質溶液Aの調製〕
エチレンカーボネート30体積%、エチルメチルカーボネート40体積%、ジメチルカーボネート25体積%及び酢酸プロピル5体積%からなる混合有機溶媒に、電解質塩であるLiPF
6を1mol/Lの濃度となるよう溶解し電解質溶液Aを調製した。
【0081】
〔電解質溶液Bの調製〕
エチレンカーボネート30体積%、エチルメチルカーボネート40体積%及びジメチルカーボネート30体積%からなる混合有機溶媒に、電解質塩であるLiPF
6を1mol/Lの濃度となるよう溶解し電解質溶液Bを調製した。
【0082】
〔非水電解液の調製〕
電解液添加剤として、下記化合物A1〜A3、化合物B1〜B6又は比較の化合物A’1〜A’4を下記〔表1〕又は〔表2〕に示す割合で電解質溶液A又はBに溶解し、本発明の非水電解液及び比較例の非水電解液を調製した。尚、〔表1〕及び〔表2〕中の( )内の数字は、非水電解液中における各電解液添加剤の濃度(質量%)を表わす。
【0083】
〔上記一般式(1)で表わされるジフルオロシラン化合物〕
化合物A1:(3−メトキシプロピル)メチルジフルオロシラン
化合物A2:(3−エトキシプロピル)メチルジフルオロシラン
化合物A3:(3−n−プロポキシプロピル)メチルジフルオロシラン
〔上記一般式(2)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物〕
化合物B1:トリス(2−プロピニル)フォスフェート
化合物B2:エチルビス(2−プロピニル)フォスフェート
〔上記一般式(3)で表わされる不飽和リン酸エステル化合物〕
化合物B3:2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオールテトラエチルジフォスフェート
〔不飽和環状炭酸エステル化合物〕
化合物B4:ビニレンカーボネート
〔フッ素化環状炭酸エステル化合物〕
化合物B5:フルオロエチレンカーボネート
〔環状スルホン酸エステル化合物〕
化合物B6:プロパンスルトン
〔比較のフルオロシラン化合物〕
化合物A’1:(3−メトキシプロピル)ジメチルフルオロシラン
化合物A’2:(3−メトキシプロピル)トリフルオロシラン
化合物A’3:(3−メトキシプロピル)トリメチルシラン
化合物A’4:ジフェニルジフルオロシラン
【0084】
〔電池の組み立て〕
得られた円盤状正極A又は正極Bと円盤状負極を、厚さ25μmのポリエチレン製の微多孔フィルムをはさんでケース内に保持した。その後、本発明の非水電解液又は比較例の非水電解液と正極との組合せが下記〔表1〕又は〔表2〕となるように、それぞれの非水電解液をケース内に注入し、ケースを密閉、封止して、φ20mm、厚さ3.2mmのコイン型リチウム二次電池を製作し、実施例1〜15及び比較例1〜11の非水電解液二次電池とした。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
実施例1〜15及び比較例1〜11の非水電解液二次電池(リチウム二次電池)を用いて、下記試験法により、初期特性試験及びサイクル特性試験を行った。初期特性試験では、放電容量比及び内部抵抗比を求めた。またサイクル特性試験では、放電容量維持率及び内部抵抗増加率を求めた。これらの試験結果を下記〔表3〕及び〔表4〕に示す。尚、放電容量比が高いほど、内部抵抗比の数値が低いほど初期特性に優れる非水電解液二次電池である。また、放電容量維持率が高いほど、内部増加率が低いほどサイクル特性に優れる非水電解液二次電池である。
【0088】
<正極Aの場合の初期特性試験方法>
a.放電容量比の測定方法
リチウム二次電池を、20℃の恒温槽内に入れ、充電電流0.3mA/cm
2(0.2C相当の電流値)で4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電電流0.3mA/cm
2(0.2C相当の電流値)で3.0Vまで定電流放電する操作を5回行った。その後、充電電流0.3mA/cm
2で4.2Vまで定電流定電圧充電し、放電電流0.3mA/cm
2で3.0Vまで定電流放電した。この6回目に測定した放電容量を、電池の初期放電容量とし、下記式に示すように、放電容量比(%)を、実施例1の初期放電容量を100とした場合の初期放電容量の割合として求めた。
放電容量比(%)=[(初期放電容量)/(実施例1における初期放電容量)]×100
【0089】
b.内部抵抗比の測定方法
上記6回目の放電容量を測定後のリチウム二次電池について、先ず、充電電流1.5mA/cm
2(1C相当の電流値)でSOC60%になるように定電流充電し、交流インピーダンス測定装置(IVIUM TECHNOLOGIES製、商品名:モバイル型ポテンショスタットCompactStat)を用いて、周波数100kHz〜0.02Hzまで走査し、縦軸に虚数部、横軸に実数部を示すコール−コールプロットを作成した。続いて、このコール−コールプロットにおいて、円弧部分を円でフィッティングして、この円の実数部分と交差する二点のうち、大きい方の値を、電池の初期内部抵抗とし、下記式に示すように、内部抵抗比(%)を、実施例1の初期内部抵抗を100とした場合の初期内部抵抗の割合として求めた。
内部抵抗比(%)=[(初期内部抵抗)/(実施例1における初期内部抵抗)]×100
【0090】
<正極Bの場合の初期特性試験方法>
リチウム二次電池を、20℃の恒温槽内に入れ、充電電流0.3mA/cm
2(0.2C相当の電流値)で4.3Vまで定電流定電圧充電し、放電電流0.3mA/cm
2(0.2C相当の電流値)で3.0Vまで定電流放電する操作を5回行った。その後、充電電流0.3mA/cm
2で4.3Vまで定電流定電圧充電し、放電電流0.3mA/cm
2で3.0Vまで定電流放電した。この6回目に測定した放電容量を、電池の初期放電容量とし、正極Aの場合と同様にして、放電容量比(%)を求めた。また、6回目の放電容量を測定後のリチウム二次電池について、正極Aの場合と同様にして、内部抵抗比(%)を求めた。
【0091】
<正極Aの場合のサイクル特性試験方法>
a.放電容量維持率の測定方法
初期特性試験後のリチウム二次電池を、60℃の恒温槽内に入れ、充電電流1.5mA/cm
2(1C相当の電流値、1Cは電池容量を1時間で放電する電流値)で4.2Vまで定電流充電し、放電電流1.5mA/cm
2で3.0Vまで定電流放電を行うサイクルを300回繰り返して行った。この300回目の放電容量をサイクル試験後の放電容量とし、下記式に示すように、放電容量維持率(%)を、初期放電容量を100とした場合のサイクル試験後の放電容量の割合として求めた。
放電容量維持率(%)=[(サイクル試験後の放電容量)/(初期放電容量)]×100
【0092】
b.内部抵抗増加率の測定方法
サイクル試験後、雰囲気温度を20℃に戻して、20℃における内部抵抗を、上記内部抵抗比の測定方法と同様にして測定し、この時の内部抵抗を、サイクル試験後の内部抵抗とし、下記式に示すように、内部抵抗増加率(%)を、初期内部抵抗を100とした場合のサイクル試験後の内部抵抗の増加の割合として求めた。
内部抵抗増加率(%)=[(サイクル試験後の内部抵抗−初期内部抵抗)/(初期内部抵抗)]×100
【0093】
<正極Bの場合のサイクル特性試験方法>
初期特性試験後のリチウム二次電池を、60℃の恒温槽内に入れ、充電電流1.5mA/cm
2(1C相当の電流値、1Cは電池容量を1時間で放電する電流値)で4.3Vまで定電流充電し、放電電流1.5mA/cm
2で3.0Vまで定電流放電を行うサイクルを300回繰り返して行った。この300回目の放電容量をサイクル試験後の放電容量とし、正極Aの場合と同様にして、放電容量維持率(%)を求めた。また、サイクル試験後のリチウム二次電池について、正極Aの場合と同様にして、内部抵抗増加率(%)を求めた。
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
〔表3〕及び〔表4〕の結果から次のことが明らかである。
正極活物質として、マンガンを含有するリチウム含有金属酸化物を正極活物質とする非水電解液二次電池において、上記一般式(1)で表されるジフルオロシラン化合物を含有する非水電解液を使用した本発明の非水電解液二次電池は、比較のフルオロシラン化合物を含有する非水電解液を使用した比較例の非水電解液二次電池に比して、初期における放電容量及び内部抵抗の両面で優れるだけでなく、60℃でのサイクル試験後においても、放電容量及び内部抵抗の両面で優れており、優れた電池特性を維持できることが確認できた。
【0097】
以上のことから、本発明の非水電解液二次電池は、上記一般式(1)で表されるジフルオロシラン化合物を含有する非水電解液を使用することにより、高温保存や高温での充放電を経ても小さな内部抵抗と高い電気容量が維持することができ、特に、マンガンを含有するリチウム含有金属酸化物を正極活物質とする正極を使用した場合にも、優れた電池特性を維持できる。
【0098】
本発明の非水電解液二次電池は、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、サウンドレコーダー、ポータブルDVDプレーヤー、携帯ゲーム機、ノートパソコン、電子辞書、電子手帳、電子書籍、携帯電話、携帯テレビ、電動アシスト自転車、電池自動車、ハイブリッド車等様々な用途に用いることができ、中でも、高温状態で使用される場合がある、電池自動車、ハイブリッド車等の用途に好適に使用できる。