特許第5709912号(P5709912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5709912プラズマ処理システムにおけるクリーニングまたはコンディショニングプロセスのエンドポイント決定方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709912
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】プラズマ処理システムにおけるクリーニングまたはコンディショニングプロセスのエンドポイント決定方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   H01L21/302 103
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-24196(P2013-24196)
(22)【出願日】2013年2月12日
(62)【分割の表示】特願2008-504173(P2008-504173)の分割
【原出願日】2006年3月24日
(65)【公開番号】特開2013-85002(P2013-85002A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2013年2月13日
(31)【優先権主張番号】11/092,737
(32)【優先日】2005年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ケイル,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】マラクハタノフ,アレクセイ
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−233391(JP,A)
【文献】 特開平04−125402(JP,A)
【文献】 特開2002−151417(JP,A)
【文献】 特開2002−057149(JP,A)
【文献】 特開2001−338917(JP,A)
【文献】 特開2004−079609(JP,A)
【文献】 特開2002−246320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行処理工程で表面に堆積された堆積層の厚みを測定することで処理工程のエンドポイントを決定する装置であって、
前記表面と同一平面にて、前記堆積層厚を測定するように設計され、プラズマ処理チャンバの壁面に配置されている同一平面イオン流速プローブと、
前記堆積層厚を変化させるように前記プラズマ処理チャンバをプラズマに曝露する手段と、
前記プラズマ処理チャンバをプラズマに曝露する間の時間の関数として前記堆積層厚を決定する手段であって、前記堆積膜厚を、前記同一平面イオン流速プローブにおけるRF誘導プローブバイアスと前記時間との関数として決定する手段と、
前記堆積層厚の実質的に安定した測定値で特徴付けられ、その開始が前記エンドポイントを表す堆積層厚の安定状態の条件を確認する手段と、
を含んでおり、
前記同一平面イオン流速プローブは、誘電体エッチング反応器で使用される物質と整合するようにドープされたシリコンプローブヘッドであって、先行処理工程において堆積物が形成されるシリコンプローブヘッドとを備えており、
前記シリコンプローブヘッドを備えた前記同一平面イオン流速プローブは薄い表面酸化物を検出でき、シリコンチャンバ部材の表面酸化状態を検出することにより、シリコンに表面酸化物を追加あるいはシリコンから除去するチャンバコンディショニング処理工程のエンドポイントの決定を可能にすることを特徴とする装置。
【請求項2】
処理工程はチャンバ予備コンディショニング処理であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
処理工程は表面の化学的構造を制御する処理であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
プラズマ処理チャンバは容量結合プラズマ処理チャンバであることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
プラズマ処理チャンバは誘導結合プラズマ処理チャンバであることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
先行処理工程で表面に堆積された堆積層の厚みを測定することで処理工程のエンドポイントを決定する方法であって、
前記表面と同一平面にて、前記堆積層厚を測定するように設計され、プラズマ処理チャンバの壁面に配置されている同一平面イオン流速プローブを提供するステップと、
前記堆積層厚を減少させるように前記プラズマ処理チャンバをプラズマに曝露するステップと、
前記プラズマ処理チャンバをプラズマに曝露している間の時間との関数として前記堆積層厚を決定するステップであって、前記堆積膜厚は、前記同一平面イオン流速プローブにおけるRF誘導プローブバイアスと前記時間との関数として決定されるステップと、
前記RF誘導プローブバイアスの実質的に安定した測定値で特徴付けられ、その開始が前記エンドポイントを表している、前記RF誘導プローブバイアスの安定状態の条件を確認するステップと、
を含んでおり、
前記同一平面イオン流速プローブは、誘電体エッチング反応器で使用される物質と整合するようにドープされたシリコンプローブヘッドであって、先行処理工程において堆積物が形成されるシリコンプローブヘッドとを備えており、
前記シリコンプローブヘッドを備えた前記同一平面イオン流速プローブは薄い表面酸化物を検出でき、シリコンチャンバ部材の表面酸化状態を検出することにより、シリコンに表面酸化物を追加あるいはシリコンから除去するチャンバコンディショニング処理工程のエンドポイントを決定しており、
前記処理工程はウェハの無い状態での自動クリーニング処理であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に基板製造技術に関し、特にプラズマ処理システムにおけるクリーニング(清浄)処理またはコンディショニング(調整)処理のエンドポイント決定方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体ウェハ、MEMS装置あるいはフラットパネルディスプレーの製造において使用されるパネルのごときガラスパネルである基板の処理にはプラズマが多用される。例えば基板処理(化学蒸着、プラズマ促進化学蒸着、物理蒸着、エッチング、等々)の一環として基板は複数のダイすなわち方形領域に分割される。それぞれのダイは集積回路となる。続いて基板は一連のステップで処理され、基板上から物質が選択的に除去され(エッチング)、堆積されて基板上に電気構成部品が形成される。
【0003】
例示的プラズマ処理においては、基板はエッチングに先立って硬化エマルジョン(フォトレジストマスク等)の薄膜で被膜される。硬化エマルジョンの領域は選択的に除去され、被膜層下側の部分を露出させる。その後に基板はチャックと呼称される単極電極または双極電極を含んだ基板支持構造体上のプラズマ処理チャンバ内に置かれる。適したエッチング用原料ガス(例えば、C、C、CHF、CH、CF、CHF、C、N、O、Ar、Xe、He、H、NH、SF、BCl、Cl、等々)がチャンバ内に供給されてプラズマが形成され、基板の露出部分がエッチングされる。
【0004】
安定したプラズマ処理結果を確実にするため、全ての基板の処理に先立ってチャンバの調整(コンディショニング)処理を実行することが一般的に行われている。一般的にチャンバコンディショニングとは、プラズマチャンバの状態を良く知られた状態にセットまたはリセットすることである。例えば無ウェハー自動クリーニングすなわちWACとして知られる処理において、続く次の基板を処理する前に(すなわち基板が存在しない状態で)、プラズマチャンバ表面から残留ハイドロフルオロカーボンポリマーを除去することは誘電体エッチングプラズマ処理システムでは普通のことである。通常、WACは基板が処理された後に実施され、次の基板が、汚染副生成物の蓄積を回避するように標準的で安定したチャンバ状態において処理されることを確実にする。
【0005】
一般的に有機副生成物及び無機副生成物を含んだ汚染物質は、エッチング用ガス(例:炭素、フッ素、水素、窒素、酸素、アルゴン、キセノン、ケイ素、ホウ素、塩素、等々)内の物質から、あるいは基板内の物質(例:フォトレジスト、ケイ素、酸素、窒素、アルミニウム、チタン、等々)から、あるいはプラズマ処理チャンバ自身内の構造物質(例:アルミニウム、水晶、等々)から、プラズマ処理によって発生する。
【0006】
安定したプラズマ処理結果は、標準的で安定したチャンバ状態を確実にするためにそれぞれの基板の処理に先立って安定したプラズマ堆積膜でプラズマチャンバ表面を予備被膜することで得られる。基板処理中にチャンバ表面に不都合な物質が蓄積するのを防止するのに効果的なこの方法は、湿潤チャンバクリーニングからの回復に必要な時間を短縮することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラズマチャンバのコンディショニングは各基板の処理に先立ち、酸化した表面膜の除去などのプラズマチャンバ物質の表面化学処理をさらに正確にコントロールする。例えばSiは酸素プラズマに曝露されると表面酸化物を形成する傾向がある。導電性表面とは異なり絶縁性表面に対するラジカル再結合率のよく知られた大きなバラツキ(large variation)によって、露出Siとは異なり表面酸化物の存在は処理結果に対して大きな影響を及ぼすと考えられる。さらに、プラズマチャンバコンディショニング処理によっては静電チャックを保護するためにミクロ構造を含まないダミー基板の使用をも必要とする。
【0008】
これら及び他の処理においては、処理のエンドポイントにいつ到達するかを決定することは重要である。一般的にエンドポイントとはプラズマ処理で処理工程が完了したと考えられる一連の値(例えば時間)または範囲のことである。コンディショニング、予備コーティング及び表面化学処理コントロールの実施のためには通常は対象物質の厚みが最重要値となる。
【0009】
図1では誘導結合プラズマ処理システムの概略図が図示されている。一般的に、適したガスのセットがガス供給システム122からプラズマチャンバ壁117を有したプラズマチャンバ102内に供給される。これらプラズマ処理ガスはその後に噴射器109で、あるいはその近辺領域でイオン化され、静電チャック116上にエッジリング115で設置された半導体基板またはガラス板などの基板114の露出領域を処理する(例えばエッチングや堆積)。
【0010】
第1RF発生器134はプラズマを生成し、同時にプラズマ密度をコントロールし、第2RF発生器138はDCバイアスとイオン衝撃エネルギーのコントロールに一般的に使用されるバイアスRFを生成する。ソースRF発生器134には整合ネットワーク136aが結合されており、バイアスRF発生器138には整合ネットワーク136bが結合されており、RFエネルギー源のインピーダンスをプラズマ110のインピーダンスと整合させるように試みる。さらに、バルブ112と複数のポンプ111を含んだ真空システム113は一般的にプラズマチャンバ102から周囲大気を排気するのに使用され、プラズマ110の維持に必要な圧力を達成させ、及び/又は処理副生成物を取り除く。
【0011】
図2には容量結合プラズマ処理(capacitively coupled plasma processing)システムの概略図が示されている。一般的に容量結合プラズマ処理システムは1体または複数体の別々なFRエネルギー源を備えて設計されている。ソースRF発生器234で発生されるソースRFは一般的にプラズマ生成及び容量結合を介したプラズマ密度コントロールに使用される。バイアスRF発生器238で発生されたバイアスRFは一般的にDCバイアスとイオン衝撃エネルギーのコントロールに使用される。ソースRF発生器234とバイアスRF発生器238には整合ネットワーク236がさらに結合されており、RFエネルギー源のインピーダンスをプラズマ220のインピーダンスと整合させるように試みる。他の形態の容量反応器はRFエネルギー源を有し、上部電極204に接続された整合ネットワークと整合する。さらに、同様なRF及び電極のアレンジに従った3極管などの複数のアノードシステムが存在する。
【0012】
一般的に、適したガスセットがガス供給システム222からプラズマチャンバ壁217を有したプラズマチャンバ202内に上部電極204の入口を通って供給される。これらプラズマ処理ガスはその後にイオン化されてプラズマ220を生成し、電極としても機能する静電チャック216上のエッジリング215で設置された半導体基板またはガラス板などの半導体214の露出領域を処理する(例えばエッチングまたは堆積)。さらに、一般的にバルブ212とポンプセット211を含んだ真空システム213を使用してプラズマチャンバ202から周囲大気を排出させ、プラズマ220の維持に必要な圧力を達成させる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記に鑑み、プラズマ処理システムにおけるクリーニングまたはコンディショニング処理のエンドポイントを決定する望ましい方法及び装置が提供される。
【0014】
本発明はその一実施例において、先行処理により表面上に堆積された層の厚みを測定することで処理のエンドポイントを決定する方法に関する。この方法には表面と同一平面(coplanar)に位置するセンサーの提供が含まれる。センサーはその層厚を測定するように設計されている。この方法はプラズマチャンバをプラズマに曝露するステップも含む。堆積層厚はこの曝露によって変動する。この方法は層厚を時間の関数で決定するステップをも含む。この方法はさらに層厚の安定状態の条件を確認するステップを含む。安定状態の条件とは層厚の実質的に安定した測定値により特徴付けられるものであり、安定状態の条件の開始がエンドポイントである。
【0015】
本発明はその別実施例において、先行処理により表面上に堆積された層の厚みを測定することで処理のエンドポイントを決定する別方法に関する。この方法には表面下に位置するセンサーの提供が含まれる。センサーはその層厚を測定するように設計されている。この方法はプラズマチャンバをプラズマに曝露するステップも含む。堆積層厚はこの曝露によって変動する。この方法は層厚を時間の関数で決定するステップをも含む。この方法はさらに層厚の安定状態の条件を確認するステップを含む。安定状態の条件とは層厚の実質的に安定した測定値により特徴付けられるものであり、安定状態の条件の開始がエンドポイントである。
【0016】
本発明はその別実施例において、先行処理により表面上に堆積された層の厚みを測定することで処理のエンドポイントを決定する装置に関する。この装置には同一平面に位置するセンサーの提供が含まれる。センサーはその層厚を測定するように設計されている。この装置はプラズマチャンバをプラズマに曝露する手段も含む。堆積層厚はこの曝露によって変動する。この装置は層厚を時間の関数で決定する手段を含む。この装置はさらに層厚の安定状態の条件を確認する手段を含む。安定状態の条件とは層厚の実質的に安定した測定値により特徴付けられるものであり、安定状態の条件の開始がエンドポイントである。
【0017】
本発明のこれら及び他の特徴は以下において図面を利用してさらに詳細に説明する。本発明の一例として図面に表したものであって、これに限定されるものではない。また、添付図面の同様な部位については関連する類似番号を使用している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は誘導結合プラズマ処理システムの概略図である。
図2図2は容量結合プラズマ処理システムの概略図である。
図3図3は本発明の一実施例による誘電エッチングプラズマ処理の1例を図示しており、RFエネルギーのパルス式適用中にプローブ上に誘導されたバイアスがプローブ上に堆積されたポリマーの厚みと相関する様子を示している。
図4図4は本発明の一実施例による図3のプローブデータと他の診断用データとの比較を図示しており、プローブ誘導バイアスがポリマー除去処理の正しいエンドポイントを検出する実質的に正確な方法であることを示している。
図5図5は本発明の一実施例による同一平面イオン流束プローブを備えたプラズマチャンバ壁の概略図である。
図6図6は本発明の一実施例による同一平面QCMを備えたプラズマチャンバ壁の概略図である。
図7図7は本発明の一実施例による同一平面干渉計を備えたプラズマチャンバ壁の概略図である。
図8図8は本発明の一実施例による、先行プロセスによって表面上に堆積された層の厚みを測定することで処理のエンドポイントを決定する方法の概略ステップ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好適実施例を添付図面を利用して詳細に説明する。以下の説明は、本発明の理解のために使用される。当業者はその詳細部の一部を省略しても本発明の実施は可能である。また、本発明を不明確にすることのないように。公知のプロセスについては詳述していない。
【0020】
理論による解説は省略するが、プラズマ処理チャンバ表面の層の厚みを変えることができる処理のエンドポイントはプラズマチャンバ表面と実質的に同一平面あるいはプラズマチャンバ壁内に提供されたセンサーによって決定されると考えられる。
【0021】
同一平面とはプラズマチャンバ表面に対するセンサーの位置に関係し、センサーの測定面とプラズマチャンバの表面とが実質的に同一平面にあることをいう。表面下とはプラズマチャンバ表面に対するセンサーの位置に関係し、プラズマチャンバの表面がセンサーの測定面とプラズマとの間に位置することをいう。
【0022】
歪みを発生させる可能性がある非同一平面あるいは非表面下干渉計の使用などの他の間接的な測定技術とは異なり、同一平面あるいは表面下センサーはプラズマチャンバ内部の表面状態を直接的に測定することができる。例えばプラズマチャンバ表面が特性明確なプラズマ堆積膜で予備塗装されているような状況であれば、通常のセンサーを使用して堆積膜の厚みを決定することは非常に困難である。なぜなら堆積時のプラズマ状態は膜厚に鈍感だからである。同様に、間接センサーもチャンバ物質の表面酸化状態には鈍感である。
【0023】
理屈は明確ではないが、一実施例において同一平面イオン流束プローブがチャンバコンディショニング処理のエンドポイントの実質的検出のために使用可能である。一般的にRFエネルギーがプラズマチャンバに導入されてプラズマを維持するとき、一般的にプラズマのイオンから電位がチャンバ表面に形成される。その後にキャパシタンス(静電容量:コンデンサ)が同一平面イオン流束プローブに誘導され、プラズマに曝露される。遅速過渡電流(slow transient currents charge)がキャパシタンスの充電及び放電を実行するとき、イオン流束プローブのI(電流)−V(電圧)特性が引き続き決定される。
【0024】
測定に先立って、同一平面イオン流束はRF電位の短時間バーストの適用によってその安定した浮遊電位(floating potential)に対して負にバイアスされる。プラズマ鞘の非直線性がキャパシタンスを充電する。RFバーストの終了時点で、当初はプラズマからの正の充電の到着を通じてキャパシタンスが放電するときプローブ電位はその本来の浮遊電位に戻る。
【0025】
しかし誘導されるキャパシタンスの程度は副生成物の蓄積によって影響される。副生成物の堆積は大量の誘電物質を含む傾向が高いため、それらは下側の同一平面イオン流束プローブをプラズマから部分的に絶縁し、小電位を発生させる傾向がある。すなわち、実質的にクリーンであるプラズマチャンバ表面はプラズマの表面よりも近い電位を有するであろう。副生成物の堆積を有したものは一般的にプラズマよりも小さい電位を有している。やがて電位は放電され、チャンバ表面は通常のDC浮遊電位に戻る。一般的に電位差あるいはバイアスは副生成物の堆積の厚みの変動と比例する。
【0026】
図3は誘電エッチングプラズマ処理システムの一例を示す。ここではRFエネルギーのパルス式適用中にプローブに誘導されたバイアスがプローブに堆積されたポリマーの厚みと相関される。この例ではポリマーは予備堆積されており、クリーニングタイプのレシピが膜の除去に使用される。プローブデータは高率で収集され、ポリマー膜除去のリアルタイム測定が実施される。この例では垂直軸上の原子単位のRF誘導バイアスが水平軸にて秒単位でプロットされる。一般的には原子単位とは随意に定義された電荷の単位である。プロトンは+1原子単位の電荷を有し、電子は−1原子単位の電荷を有する。
【0027】
プロット302は予備コンディショニング処理が施されていないプラズマチャンバのための時間の関数としてのRF誘導プローブバイアスを表す。同一平面イオン流束プローブを部分的に絶縁する副生成物は実質的に存在しないので、RF誘導プローブバイアスは実質的に約−2.7原子単位にて一定である。プロット304は60秒のポリマー予備コンディショニング堆積が施されたプラズマチャンバのための時間の関数としてのRF誘導プローブバイアスを表す。プロット302とは異なり、RF誘導プローブバイアスは、誘電エッチングプラズマ処理の時間0秒で約−2.0原子単位と多少低く、約25秒で約−2.6原子単位にまで上昇し、そこで一定となり、エンドポイントに実質的に到達する。プロット306は120秒のポリマー予備コンディショニング堆積が施されたプラズマチャンバのための時間の関数としてのRF誘導プローブバイアスを表す。プロット304と同様に、RF誘導プローブバイアスは、プロット302よりも誘電エッチングプラズマ処理の時間0秒で約−1.4原子単位と多少低く、約60秒で約−2.5原子単位にまで上昇する。プロット304とは異なり、プロットが実質的に一定となる60秒ウィンドウ内にはポイントはない。これはプロセスエンドポイントが未到達であることを暗示する。
【0028】
図4図3で示すプローブデータの他の診断データとの比較を図示する。ここでは誘導プローブバイアスはポリマー除去のための正しいエンドポイントを検出する実質的に正確な方法であることが示されている。この例ではチャンバ表面からのポリマー膜の除去処理にエンドポイント処理を施すプローブの使用が示されている。このデータはチャンバコンディショニング処理のためにプラズマチャンバの誘電膜堆積にエンドポイント処理を施すためにはどのようにプローブを使用するかをも示す。図示されているデータのプローブヘッドはタングステンであった。
【0029】
しかしプローブは誘電エッチング反応器で使用される物質と整合したドープされたシリコンプローブヘッドでも使用できる。この場合、プローブは薄い表面酸化物を検出でき、シリコンチャンバ部材の表面酸化状態を検出するのに使用が可能であり、シリコンに表面酸化物を追加あるいはシリコンから除去するチャンバコンディショニング処理のエンドポイント処理を可能にすると考えられる。
【0030】
プロット402は時間の関数としてプラズマチャンバ内の水素分子を原子単位で表す。すなわち表面酸化物がエッチングされると、水素はそのエッチング処理工程で消費される。エッチング処理工程が実質的に終了すると、追加量は除去量とほぼ等しいのでプラズマチャンバ内の水素量は安定する。
【0031】
プロット404は時間の関数としてのプラズマチャンバ内のCN種を原子単位で表す。すなわち、表面酸化物がエッチングされるときCNはエッチング処理工程で揮発性副生成物として発生する。エッチング処理工程が実質的に終了すると、プラズマ内のCN量は著しく減少する。
【0032】
プロット406は時間の関数として図3で示す誘導プローブバイアスを表す。前述したように、誘導キャパシタンスの程度は副生成物量の蓄積によって影響を受け、同一平面イオン流束プローブをプラズマから隔離する。続いて、表面酸化物がエッチングされると、誘導キャパシタンスは増加する。エッチング処理工程が実質的に終了すると、誘導キャパシタンスはプラズマ自身のキャパシタンスに接近し、実質的に安定した状態に到達する。時間20秒で誘導プローブバイアスプロット406は約−65Vで実質的に一定となり、表面酸化物が実質的にエッチングされたことを示す信号を発信する。図示のように、時間20秒でのエンドポイントは残りの4プロットでも検出できる。
【0033】
プロット408は時間の関数としての2MHzでの電圧反応器を表す。
【0034】
プロット410は時間の関数としてのイオン飽和電流(mA/cm)を表す。
【0035】
図5は本発明の一実施例による同一平面イオン流束プローブを備えたプラズマチャンバ壁の概略図を示す。堆積層502は予備コンディショニング用プラズマ堆積膜あるいは汚染副生成物の蓄積を表し、プラズマチャンバ壁517に存在する同一平面イオン流束プローブ504をプラズマ510への直接的曝露から保護する。前述したように、誘導されるキャパシタンスの程度は副生成物の蓄積により影響を受け、同一平面イオン流束プローブをプラズマから絶縁するであろう。その後に、表面酸化物がエッチングされるとき誘導キャパシタンスは増加する。エッチング処理工程が実質的に終了すると、誘導キャパシタンスはプラズマ自身のキャパシタンスに接近する。
【0036】
本発明の別実施例においては、実質的に同一平面である水晶発振子微量天秤(QCM:quartz crystal microbalance)が使用される。一般的にQCMは共鳴周波数と5MHzのAT−cut水晶振動子の抵抗を測定することで表面または表面付近あるいは薄膜内での処理で物質を測定する。共鳴周波数は水晶表面に堆積された物質の質量の一次関数として変化する。共鳴での抵抗は水晶表面と接触する物質(膜または液体)の弾性と共に変化する。質量測定機器としてQCMはミクログラムからナノグラムの範囲の質量を測定できる。検出限界は原子のサブモノレイヤーに対応する。
【0037】
図6は本発明の一実施例による同一平面QCMを備えたプラズマチャンバ壁の概略図を示す。堆積層602は予備コンディショニング用プラズマ堆積膜または汚染副生成物の蓄積を表し、プラズマチャンバ壁617に位置する同一平面QCM604をプラズマ610への直接曝露から遮蔽する。前述したように同一平面QCMは近辺に位置する堆積層602の質量を測定する。
【0038】
本発明の別実施例ではプラズマチャンバ表面下に提供された干渉計(interferometry)が使用される。単波長干渉計では光線は堆積ポリマーとプラズマチャンバ表面との間のポリマー層の表面に向けられる。反射信号は建設的または破壊的に組み合わされ、周期的干渉縞を発生させる。この干渉縞の数を測定することで物質の厚みを決定できる。干渉測定法は一般的に0.25ミクロンまで正確に測定できる。
【0039】
図7は本発明の一実施例による同一平面干渉計を備えたプラズマチャンバ壁の概略図である。堆積層702は予備コンディショニング用プラズマ堆積膜または汚染副生成物の蓄積を表し、光線源704及びプラズマチャンバ壁717の近辺に位置する干渉計706をプラズマ710への直接曝露から遮蔽する。前述したように、この干渉縞の数を測定することで堆積ポリマーの厚みが決定できる。
【0040】
図8には前述の本発明の一実施例による堆積層の厚みを測定することで処理工程のエンドポイントを決定する方法の概略ステップ図が図示されている。当初にプラズマチャンバ壁表面と同一平面にセンサーが提供される。ステップ802でこのセンサーは堆積層厚を測定するように設計されている。続いてステップ804でプラズマチャンバはプラズマに曝露され、層厚はその曝露によって変化する。ステップ806で層厚は時間の関数として決定される。最後にステップ808で層厚の安定状態の条件が確認される。安定状態の条件は層厚の実質的安定測定値により特徴付けられ、その安定状態の開始がエンドポイントである。
【0041】
本発明を幾つかの好適実施例を基にして解説したが、本発明の範囲内でのそれらの変形は可能である。本発明の方法を実行する多数の別方法も存在する。
【0042】
本発明はプラズマ処理システムにおいてクリーニング処理及びコンディショニング処理のエンドポイントを決定する方法と装置の提供を含む。本発明の利点には処理閾値検出の最良化、生産性問題の限定及びプラズマ処理量の最大化が含まれる。
【0043】
以上、本発明の例示的実施例と最良態様並びにそれらの変形を開示したが、本発明の「請求の範囲」で定義された本発明の範囲内でのそれらの変更は可能である。
【符号の説明】
【0044】
102 プラズマチャンバ
113,213 真空システム
114 基板
117,517,617,717 プラズマチャンバ壁
220,510,610,710 プラズマ
502,602,702 堆積層
504 同一平面イオン流束プローブ
604 同一平面QCM
704 光線源
706 干渉計
図1
図2
図3
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図5
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図8