【実施例】
【0077】
以下、本実施形態の圧電セラミックスの製造方法によって、種々の組成の圧電セラミックスを作製し、特性を評価した結果を示す。
【0078】
1.実施例1〜8、比較例1〜5、参考例1A〜6A、参考例1AH〜4AH、参考例1B〜6B、参考例1BH〜4BH
【0079】
(1)圧電セラミックスの作製
実施例1から8および比較例1から5、参考例1Aから6A、参考例1AHから4AH並びに参考例1Bから6B、参考例1BHから4BHの圧電セラミックスを以下に示すように作製した。
【0080】
(実施例1)
一般式(1)で示される(1−s)ABO
3−sBaZrO
3において、s=0.08となる組成を有する圧電セラミックスを製造した。
【0081】
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが、(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(以後、アルカリ−ニオブ原料とする)。
【0082】
また、焼成後の組成が0.92(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.08BaZrO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2を秤量し、添加した。
【0083】
これらの原料をボールミルにより混合した。溶媒としてエタノール、メディアとしてジルコニアボールを用い、回転数94rpmで24時間混合した。ボールミルの容器からメディアと原料を取り出し、篩によりメディアと原料を分離した。その後、130℃の大気中で乾燥した。(ステップ1)
【0084】
乾燥した混合原料粉を円盤状にプレス成形し、大気中で1050℃の温度で3時間保持する工程により仮焼した。固まった仮焼粉をライカイ機等で粉末状に砕いた後に、溶媒をエタノール、メディアとしてジルコニアボールを用いて、回転数94rpmで24時間混合した。混合後、篩によりメディアと原料を分離し、130℃の大気中で乾燥させて仮焼粉を得た。
【0085】
得られた仮焼粉を、直径13mm、厚さ1.0mmの円盤状にプレス成形した。(ステップ2)
【0086】
得られた成形体を、
図2に示す温度プロファイルおよび雰囲気で還元焼成した。具体的には、酸素分圧が1×10
-9kPaであり、大気圧のN
2−2%H
2雰囲気において、1100℃で4時間保持することによって、成形体を焼成し、室温まで冷却した。(ステップ3)
【0087】
その後、酸素分圧が2×10
-3kPa(酸素濃度:約20ppm)である大気圧のN
2雰囲気において、1000℃で3時間焼結体を保持することにより回復熱処理を行った。(ステップ4)
【0088】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施し、0.92(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.08BaZrO
3の組成を有する圧電セラミックスを得た。
【0089】
(実施例2)
一般式(1)において、s=0.07となる組成である、0.93(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.07BaZrO
3の組成を有する圧電セラミックスを、組成の差異以外は、実施例1と同様の方法によって作製した。
【0090】
(実施例3)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.09、t=0.01となる組成を有する圧電セラミックスを製造した。
【0091】
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0092】
また、焼成後の組成が0.90(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.09BaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2、La
2O
3、Na
2CO
3、TiO
2を秤量し、添加した。
【0093】
以下、実施例1と同様の手順によって、0.90(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.09BaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを作製した。
【0094】
(実施例4)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.11、t=0.01である、0.88(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.11BaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。
【0095】
(実施例5)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.13、t=0.01である、0.86(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.13BaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。
【0096】
(実施例6)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.07、t=0.01である、0.92(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.07BaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。
【0097】
(実施例7)
回復熱処理を大気中で行った以外は、実施例1(s=0.08、t=0)と同様の手順によって、0.92(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.08BaZrO
3の組成を有する圧電セラミックスを作製した。
【0098】
(実施例8)
回復熱処理を大気中で行った以外は、実施例3(s=0.09、t=0.01)と同様の手順によって、0.90(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.09BaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを作製した。
【0099】
(比較例1)
一般式(1)において、s=0.06となる組成である、0.94(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.06BaZrO
3の組成を有するセラミックスを、組成の差異以外は、実施例1と同様の方法によって作製した。但し、分極処理工程において、セラミックスの抵抗が、1MΩ・cm以下であったため、導通してしまい、分極処理が行えなかった。
【0100】
(比較例2)
一般式(1)においてs=0であり、(K
0.49Na
0.49Li
0.2)(Nb
0.8Ta
0.2)O
3の組成を有する圧電セラミックスを、実施例1と同様の手順によって作製した。
【0101】
(比較例3)
一般式(1)においてs=0であり、(K
0.48Na
0.48Li
0.4)(Nb
0.8Ta
0.2)O
3の組成を有する圧電セラミックスを、実施例1と同様の手順によって作製した。
【0102】
(比較例4)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.05、t=0.01である、0.94(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.05BaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有するセラミックスを、組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。但し、分極処理工程において、セラミックスの抵抗が、1MΩ・cm以下であったため、導通してしまい、分極処理が行えなかった。
【0103】
(比較例5)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.05、t=0.01であり、Rの代わりにBiを用いた組成を有するセラミックスを意図して製造した。アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが、(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3からなる組成となるように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0104】
焼成後の組成が0.94(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.05BaZrO
3−0.01(Bi
0.5Na
0.5)TiO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対してBaCO
3、ZrO
2、Bi
2O
3、Na
2CO
3、TiO
2を秤量し、添加した。
【0105】
以下、実施例1と同様の手順によってセラミックスを作製した。
【0106】
(参考例1A〜6A、参考例1AH〜4AH)
実施例1〜6および比較例1〜4と同じ組成の原料を用い、還元焼成工程のみを行い、回復熱処理を行わなかったセラミックスを作製し、参考例1A〜6A、参考例1AH〜4AHとした。
【0107】
(参考例1B〜6B、参考例1BH〜4BH)
実施例1〜6および比較例1〜4と同じ組成の原料を用い、還元焼成の代わりに大気中で1200℃で4時間成形体を保持することによって焼成工程のみを行い、回復熱処理を行わなかったセラミックスを作製し、参考例1B〜6B、参考例1BH〜4BHとした。
【0108】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33およびキュリー温度を測定した。圧電定数d33は、ZJ−6B型d33メータ(中国科学院製)を用いて測定した。キュリー温度は、インピーダンスアナライザーで測定した。具体的には、比誘電率の温度依存性を測定し、比誘電率が最大になる温度をキュリー温度とした。小型の管状炉(石英管)内に、熱電対と端子とをつけたセラミックスを挿入し、温度と容量をYHP4194A型のインピーダンスアナライザー(ヒューレットパッカード社製)で測定した。
【0109】
また、作製したセラミックスの断面SEM写真を撮影した。SEM写真上に任意の線を引き、その線上にある10個の結晶を任意に選択し、選択された結晶の最大径を測定して平均結晶粒径を求めた。
【0110】
比較例5のセラミックスについては、以下において説明するようにEPMAによる元素分析のみを行った。
【0111】
(3)結果および考察
図3は、作製した実施例1〜8、比較例1、4のセラミックスの(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3と、BaZrO
3と、(La
0.5Na
0.5)TiO
3の混合比を示している。図中、白丸が実施例、黒丸が比較例を示し、内部の数字が実施例1〜8、比較例1、4の番号に対応している。
【0112】
表1に作製した実施例1〜8および比較例1〜4のセラミックスの組成比と、測定した圧電定数d33、平均結晶粒径、キュリー温度を示す。
【0113】
表2に作製した参考例1A〜6Aおよび参考例1AH〜4AH(回復熱処理を行わなかったセラミックス)のセラミックスの組成比と、測定した圧電定数d33、平均結晶粒径、キュリー温度を示す。
【0114】
表3に作製した参考例1B〜6Bおよび参考例1BH〜4BH(大気中で焼成し、回復熱処理を行わなかったセラミックス)のセラミックスの組成比と、測定した圧電定数d33、平均結晶粒径、キュリー温度を示す。
【0115】
表1から表3において、圧電定数の欄における「−」は、分極処理が行えなかったため、測定ができなかったことを示す。また、キュリー温度の欄における「−」は、圧電特性を示さないため、キュリー温度が定義できなかったことを示している。平均結晶粒径の欄における「−」は、結晶粒の輪郭がぼやけて平均結晶粒の測定ができなかったことを示す。また、表1には、参考例1B〜6Bおよび参考例1BH〜4BHのセラミックスの圧電定数d33に対する実施例1〜8、比較例1、4のセラミックスの圧電定数d33の比を示した。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】
【表3】
【0119】
表1に示す実施例1、2と比較例1との特性値の比較から、一般式(1)で示される組成において、sが0.06より大きいことによって、圧電特性を発揮するセラミックスが得られることが分かる。
【0120】
また、表1の実施例1、2、と表3の参考例1B、2Bとの比較から分かるように、一般式(1)で示される本実施例によれば、大気中で焼成する場合に比べて、圧電定数d33が大きく、キュリー温度が高い圧電セラミックスを得ることができる。圧電定数d33は、本実施例のセラミックスの方が10%以上大きい。
【0121】
図4は、実施例1のセラミックスのSEM写真の一例を示している。
図4に示すように、明瞭な結晶粒が確認でき、平均結晶粒径は1.8μmであった。これに対し、大気中で焼成した参考例1Bのセラミックスでは明瞭な結晶粒を確認できなかった。このような結晶粒の形成が、圧電定数d33およびキュリー温度の特性向上に寄与していると考えられる。
【0122】
同様に、表1に示す実施例3〜6と比較例4との特性値の比較から、一般式(2)で示される組成において、sが0.05よりも大きいことによって、圧電特性を発揮するセラミックスが得られることが分かる。
【0123】
また、表1の実施例3〜5と表3の参考例3B〜5Bとの比較から分かるように、一般式(2)で示される本実施例によれば、大気中で焼成する場合に比べて、圧電定数d33が大きく、キュリー温度が高い圧電セラミックスを得ることができる。圧電定数d33は、本実施例のセラミックスの方が10%以上大きく、また、キュリー温度も10℃以上高い。特に実施例3、4では圧電定数d33は、対応する参考例に較べて2倍以上である。
【0124】
実施例6では、参考例6Bのセラミックスが通電してしまい、圧電定数d33が計測できなかったため、圧電定数の比は数値化できなかった。しかし、実施例6の圧電定数d33が278pC/Nと参考例6Bよりも増えているのは明らかであり、圧電定数の比は1超(1<)である。
【0125】
表1と表2との比較から分かるように、本実施例と同じ組成の出発原料を用い、同様の手順によってセラミックスを作製しても、還元焼成のみを行い、回復熱処理を行わない場合、得られたセラミックスは、導電性を有するために、分極処理を行えず、圧電特性を示す圧電セラミックスとはならないことが分かった。これは、還元焼成によって得られるセラミックスは、酸素空孔が生じていることにより導電性を有しており、回復熱処理工程において酸素が補完されることにより、セラミックスに絶縁性が生じるからと考えられる。
【0126】
実施例7、8は回復熱処理を大気中で行っており、回復熱処理を2×10
-3kPaの酸素分圧で行った実施例1、3とセラミックスと組成はそれぞれ同じである。実施例1と実施例7の圧電定数d33の差は45であるのに対し、実施例3と実施例8の圧電定数d33の差は10である。このことから、(La
0.5Na
0.5)TiO
3を含むことによって、低い酸素分圧で回復熱処理を行っても、より高い圧電定数d33を示す圧電セラミックスを実現できることが分かる。つまり、一般式(2)で示す組成を有す圧電体セラミックスは、回復熱処理時における電極の酸化を抑制しつつ、高い圧電定数d33を達成し得る。よって、卑金属によって構成される内部電極を含む圧電素子により好適に用い得ることが分かる。
【0127】
また、表1の実施例1〜8と表2の参考例1A〜6Aとを比較すれば分かるように、参考例1A〜6Aのセラミックスは圧電性を示さないが、平均結晶粒径は実施例1〜8のセラミックスの方が大きい傾向がある。これは、上述したように、還元焼成により酸素欠陥が焼結時に導入されると、セラミックス中に空間的な余裕ができたため、結晶化が促進され、結晶粒径が大きくなるからであると考えられる。また、大気中で焼成したものは、結晶粒の輪郭がぼやけて平均結晶粒の測定ができなかった。
【0128】
比較例5のセラミックスは圧電特性を示さなかった。比較例5のセラミックスのEPMAによる元素分析結果を表4に示す。表4から分かるように、Biが検出されず、Biが揮散していることが分かった。このことから、Laに換えてBiを用いた場合、還元焼成中にBiが揮散してしまい、意図した組成のセラミックスを得ることができず、圧電特性も示さないことが分かった。
【0129】
【表4】
【0130】
以上のことから、本発明による圧電セラミックスおよびその製造方法によれば、一般式(1)および(2)で示す組成を有することによって、大気中で焼成した場合に比べて高い圧電定数d33および高いキュリー温度を示す圧電セラミックスを実現し得る。このため、鉛を含まず、また、卑金属によって構成される内部電極を含む圧電素子を好適に実現し得る。また、Biを用いていないので還元雰囲気下で焼成が可能である。
【0131】
2.実施例9〜13
(1)圧電セラミックスの作製
実施例9〜13の圧電セラミックスを以下に示すように作製した。
【0132】
(実施例9)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.10、t=0.02である、0.88(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.10BaZrO
3−0.02(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。
【0133】
(実施例10)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.09、t=0.02である、0.89(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.09BaZrO
3−0.02(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。
【0134】
(実施例11)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.08、t=0.02である、0.90(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.08BaZrO
3−0.02(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。
【0135】
(実施例12)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.07、t=0.02である、0.91(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.07BaZrO
3−0.02(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。
【0136】
(実施例13)
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.06、t=0.02である、0.92(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.06BaZrO
3−0.02(La
0.5Na
0.5)TiO
3の組成を有する圧電セラミックスを組成比の差異以外は、実施例3と同様の手順によって製造した。
【0137】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33およびキュリー温度を実施例1〜8等と同様の手順で測定した。
【0138】
(3)結果および考察
図3に、作製した実施例9〜13のセラミックスの(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3と、BaZrO
3と、(La
0.5Na
0.5)TiO
3の混合比を示す。図中、白丸が実施例を示し、内部の数字が実施例9〜13に対応している。表5に作製した実施例9〜13のセラミックスの組成比と、測定した圧電定数d33、キュリー温度および圧電定数の比を示す。
【0139】
表5に示すように、一般式(2)で示される組成において、tが0.02のものであっても、実施例1〜8と同様、大きな圧電定数d33を持つ圧電セラミックスが得られた。また、本発明の製造方法を適用した実施例9〜13のセラミックスは、大気中で焼成のみを行った圧電セラミックスのd33との比を取ると、その全てが1超となり、従来の製造方法よりも大きな圧電定数d33を持つものが得られた。
【0140】
【表5】
【0141】
3. 実施例14
焼成時間を変えて圧電セラミックスを作製し、特性を測定した。
【0142】
(1)圧電セラミックスの作製
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、s=0.09、t=0.01となる組成を有する圧電セラミックスを製造した。
【0143】
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0144】
また、焼成後の組成が0.90(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−0.09BaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2、La
2O
3、Na
2CO
3、TiO
2を秤量し、添加した。
【0145】
これらの原料をボールミルにより混合した。溶媒としてエタノール、メディアとしてジルコニアボールを用い、回転数94rpmで24時間混合した。ボールミルの容器からメディアと原料を取り出し、篩によりメディアと原料を分離した。その後、130℃の大気中で乾燥した。(ステップ1)
【0146】
乾燥した混合原料粉を円盤状にプレス成形し、大気中で1050℃の温度で3時間保持する工程により仮焼した。固まった仮焼粉をライカイ機等で粉末状に砕いた後に、溶媒をエタノール、メディアとしてジルコニアボールを用いて、回転数94rpmで24時間混合した。混合後、篩によりメディアと原料を分離し、130℃の大気中で乾燥させて仮焼粉を得た。
【0147】
得られた仮焼粉を、直径13mm、厚さ1.0mmの円盤状にプレス成形した。(ステップ2)
【0148】
得られた成形体を、
図2に示す温度プロファイルおよび雰囲気で還元焼成した。具体的には、酸素分圧が1×10
-9kPaであり、大気圧のN
2−2%H
2雰囲気において、1200℃で2時間、4時間、8時間、24時間の条件で保持時間を変えて成形体を焼成し、室温まで冷却した。(ステップ3)
【0149】
その後、酸素分圧が2×10
-3kPa(酸素濃度:約20ppm)である大気圧のN
2雰囲気において、1000℃で3時間焼結体を保持することにより回復熱処理を行った。(ステップ4)
【0150】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施し、圧電セラミックスを得た。
【0151】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33およびキュリー温度を実施例1〜8等と同様の手順で測定した。
【0152】
(3)結果および考察
焼成時間が2時間、4時間、8時間の条件で製造したセラミックスは、いずれも優れた圧電定数d33とキュリー温度を持つ。また、焼成時間が24時間であっても、200以上の圧電定数d33が得られた。
【0153】
【表6】
【0154】
4. 実施例15
(1)圧電セラミックスの作製
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3において、RにLaを用いた組成と、Ceを用いた組成のセラミックスを作製し、圧電定数d33、電気機械結合係数Kpを比較した。
【0155】
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0156】
また、焼成後の組成が(0.99−s)(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−sBaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2、La
2O
3、Na
2CO
3、TiO
2を秤量し、添加した。このRにLaを用いた組成では、上記一般式(2)において、s=0.07、0.08、0.085、0.09、0.095、0.1、0.11、0.13、t=0.01となる組成を有する圧電セラミックスを製造した。
【0157】
また、焼成後の組成が(0.99−s)(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−sBaZrO
3−0.01(Ce
0.5Na
0.5)TiO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2、Ce
2O
3、Na
2CO
3、TiO
2を秤量し、添加した。sは0.05、0.07、0.09、0.11、0.13で、t=0.01となるように変えた。
【0158】
実施例1と同様に、これらの原料をボールミルにより混合した。(ステップ1)
【0159】
また実施例1と同様に、仮焼粉の作製と、仮焼粉の成形を行った。(ステップ2)
【0160】
得られた成形体を、酸素分圧が1×10
-9kPaであり、大気圧のN
2−2%H
2雰囲気において、1200℃で4時間保持することによって、成形体を焼成し、室温まで冷却した。(ステップ3)
【0161】
その後実施例1と同様に、回復熱処理を行った。(ステップ4)
【0162】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施し、圧電セラミックスを得た。
【0163】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33およびキュリー温度を実施例1〜8等と同様の手順で測定した。また、電気機械結合係数Kpをインピーダンスアナライザー(HIOKI 型番IM3570)により共振周波数(fr)と反共振周波数(fa)を測定し、下記式から求めた。
【0164】
1/(kp)
2 = a(fr/(fa−fr)) + b
(但し、a = 0.395、b = 0.574)
【0165】
(3)結果および考察
図5は横軸に上記一般式(2)のs(BaZrO
3の量比)をとり、縦軸に圧電定数d33をとった結果を示すグラフである。また、これらの数値を表7に示す。Laを用いた組成では、sが0.08〜0.10の範囲で特に圧電定数d33が高く、0.07になると若干d33が低下する。対して、Ceを用いた組成ではsが0.07のセラミックスは他の組成のものよりもd33が大きく300pC/N以上である。
【0166】
図6は横軸を上記一般式(2)のs(BaZrO
3の量比)、縦軸を電気機械結合係数Kpとした結果である。その数値を表8に示す。Laを用いたセラミックスでは、sが0.08〜0.10の範囲で特に電気機械結合係数Kpが高く、0.07になると若干Kpが低下する。Ceを用いたセラミックスではsが0.07の場合に他の組成のものよりもKpが大きく300pC/N以上である。
【0167】
圧電定数d33と電気機械結合係数Kpの大きさを考えれば、d33が大きいセラミックスが必要であればRにLaを用いた組成とすることが好ましい。一方、Kpが大きいセラミックスが必要であればRにCeを用いた組成とすることが好ましいことがわかる。
【0168】
【表7】
【0169】
【表8】
【0170】
5. 実施例16
一般式(1)で示される(1−s)ABO
3−sBaZrO
3の組成のセラミックで、焼成時の還元性雰囲気の酸素分圧を変えて特性を調べた。
【0171】
(1)圧電セラミックスの作製
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0172】
また、焼成後の組成が(1−s)(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−sBaZrO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2を秤量し、添加した。上記式中のsは0.08とした。
【0173】
実施例1と同様に、これらの原料をボールミルにより混合した。(ステップ1)
【0174】
また実施例1と同様に、仮焼粉の作製と、仮焼粉の成形を行った。(ステップ2)
【0175】
得られた成形体を、大気圧で0.5%のH
2を含むN
2雰囲気とし、かつ、表9に示すように酸素分圧が3.9×10
-11kPaから7.0×10
-5kPaの雰囲気としたものを用いた。この雰囲気の中で成形体を1180℃で4時間保持して焼成し、室温まで冷却した。(ステップ3)
【0176】
その後、大気中1000℃で3時間保持する回復熱処理を行った。(ステップ4)
【0177】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施し、圧電セラミックスを得た。
【0178】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33を実施例1〜8等と同様の手順で測定した。
【0179】
(3)結果および考察
表9に、酸素分圧と圧電定数d33とを示す。酸素分圧が3.9×10
-11kPaから7.0×10
-5kPaのいずれであっても、大きな圧電定数d33を持つセラミックスが得られた。なお、焼成を大気中でのみ行った場合の圧電定数d33は154pC/Nである。
【0180】
【表9】
【0181】
6. 実施例17
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3の組成のセラミックで、焼成時の還元性雰囲気の酸素分圧を変えて特性を調べた。
【0182】
(1)圧電セラミックスの作製
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0183】
また、焼成後の組成が(0.99−s)(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−sBaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2、La
2O
3、Na
2CO
3、TiO
2を秤量し、添加した。上記式中のsは0.09、tは0.01とした。
【0184】
実施例1と同様に、これらの原料をボールミルにより混合した。(ステップ1)
【0185】
また実施例1と同様に、仮焼粉の作製と、仮焼粉の成形を行った。(ステップ2)
【0186】
得られた成形体を、大気圧で0.5%のH
2を含むN
2雰囲気とし、かつ、表10に示すように酸素分圧が3.9×10
-11kPaから7.0×10
-5kPaの雰囲気としたものを用いた。この雰囲気の中で成形体を1180℃で4時間保持して焼成し、室温まで冷却した。(ステップ3)
【0187】
その後、大気中1000℃で3時間保持する回復熱処理を行った。(ステップ4)
【0188】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施し、圧電セラミックスを得た。
【0189】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33を実施例1〜8等と同様の手順で測定した。
【0190】
(3)結果および考察
表10に、酸素分圧と圧電定数d33とを示す。酸素分圧が3.9×10
-11kPaから7.0×10
-5kPaのいずれであっても、大きな圧電定数d33を持つセラミックスが得られた。なお、焼成を大気中でのみ行った場合の圧電定数d33は113pC/Nである。
【0191】
【表10】
【0192】
7. 実施例18
一般式(1)で示される(1−s)ABO
3−sBaZrO
3の組成のセラミックで、焼成時の還元性雰囲気の水素濃度を変えて特性を調べた。
【0193】
(1)圧電セラミックスの作製
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0194】
また、焼成後の組成が(1−s)(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−sBaZrO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2を秤量し、添加した。sは0.065〜0.11の範囲で変えた。
【0195】
実施例1と同様に、これらの原料をボールミルにより混合した。(ステップ1)
【0196】
また実施例1と同様に、仮焼粉の作製と、仮焼粉の成形を行った。(ステップ2)
【0197】
得られた成形体を、大気圧で、2%のH
2を含むN
2雰囲気(N
2−2%H
2)、0.5%のH
2を含むN
2雰囲気(N
2−0.5%H
2)、0.1%のH
2を含むN
2雰囲気(N
2−0.1%H
2)の雰囲気中で、1200℃で4時間保持することによって、成形体を焼成し、室温まで冷却した。(ステップ3)
【0198】
その後実施例1と同様に、回復熱処理を行った。(ステップ4)
【0199】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施し、圧電セラミックスを得た。
【0200】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33を実施例1〜8等と同様の手順で測定した。
【0201】
(3)結果および考察
図7は、横軸を上記一般式(1)のs(BaZrO
3の量比)、縦軸を圧電定数d33とした結果である。表11はその数値の詳細である。
【0202】
同じ組成(sが一定)であれば、水素濃度が異なっていても同程度の圧電定数d33を持つセラミックスを得られることがわかる。
【0203】
【表11】
【0204】
8. 実施例19
一般式(2)で示される(1−s−t)ABO
3−sBaZrO
3−t(R・M)TiO
3の組成のセラミックで、焼成時の還元性雰囲気の水素濃度を変えて特性を調べた。
【0205】
(1)圧電セラミックスの作製
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0206】
また、焼成後の組成が(0.99−s)(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−sBaZrO
3−0.01(La
0.5Na
0.5)TiO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2、La
2O
3、Na
2CO
3、TiO
2を秤量し、添加した。sは0.07〜0.13の範囲で変えた。
【0207】
実施例1と同様に、これらの原料をボールミルにより混合した。(ステップ1)
【0208】
また実施例1と同様に、仮焼粉の作製と、仮焼粉の成形を行った。(ステップ2)
【0209】
得られた成形体を、大気圧で、2%のH
2を含むN
2雰囲気(N
2−2%H
2)、0.5%のH
2を含むN
2雰囲気(N
2−0.5%H
2)、0.1%のH
2を含むN
2雰囲気(N
2−0.1%H
2)の雰囲気中で、1200℃で4時間保持することによって、成形体を焼成し、室温まで冷却した。(ステップ3)
【0210】
その後実施例1と同様に、回復熱処理を行った。(ステップ4)
【0211】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施し、圧電セラミックスを得た。
【0212】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33およびキュリー温度を実施例1〜8等と同様の手順で測定した。
【0213】
(3)結果および考察
図8は、横軸n上記一般式(2)のs(BaZrO
3の量比)をとり、縦軸に圧電定数d33をとったグラフである。表12はその数値の詳細である。
【0214】
同じ組成(sが一定)であれば、水素濃度が異なっていても同程度の圧電定数d33を持つセラミックスを得られることがわかる。
【0215】
【表12】
【0216】
9.実施例20
一般式(1)で示される(1−s)ABO
3−sBaZrO
3の組成のセラミックで、回復熱処理時の雰囲気を変えて特性を調べた。
【0217】
(1)圧電セラミックスの作製
アルカリ金属含有ニオブ酸化物系の組成物として、K、Na、Li、Nbが(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3で示す組成比を有するように、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3、Nb
2O
5を秤量した(アルカリ−ニオブ原料)。
【0218】
また、焼成後の組成が(1−s)(K
0.45Na
0.5Li
0.05)NbO
3−sBaZrO
3となるように、アルカリ−ニオブ原料に対して、BaCO
3、ZrO
2を秤量し、添加した。sは0.07〜0.13の範囲で変えた。
【0219】
実施例1と同様に、これらの原料をボールミルにより混合した。(ステップ1)
【0220】
また実施例1と同様に、仮焼粉の作製と、仮焼粉の成形を行った。(ステップ2)
【0221】
得られた成形体を、酸素分圧が1×10
-9kPaであり、大気圧のN
2−2%H
2雰囲気において、1200℃で4時間保持することによって、成形体を焼成し、室温まで冷却した。(ステップ3)
【0222】
その後、酸素分圧が2×10
-3kPa(酸素濃度:約20ppm)である大気圧のN
2雰囲気と、大気雰囲気(酸素分圧は約2.1×10kPa)の2種類を用い、1000℃で3時間焼結体を保持することにより回復熱処理を行った。(ステップ4)
【0223】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施し、圧電セラミックスを得た。
【0224】
(2)特性の測定
作製したセラミックスの圧電定数d33およびキュリー温度を実施例1〜8等と同様の手順で測定した。
【0225】
(3)結果および考察
図9は、横軸に上記一般式(1)のs(BaZrO
3の量比)をとり、縦軸に圧電定数d33をとったグラフである。その数値を表13に示す。
【0226】
sが同じであれば、酸素分圧を2×10
-3kPaから大気雰囲気(酸素分圧は約2.1×10kPa)までの広い範囲で変えても、同程度の圧電定数d33を持つ圧電セラミックスを得られることがわかる。
【0227】
【表13】
【0228】
10.実施例21
実施例3の組成を用い、焼成温度によって分極の可否がどのように変わるかを確認した。
【0229】
(1)圧電セラミックスの作製
実施例3と同様に、
図1に示すように、ステップ1で原料を準備し、ステップ2で成形を行った。
【0230】
その後、得られた成形体を、焼成温度を1050℃、1100℃、1200℃、1250℃、1300℃と変え、それ以外は実施例3と同様に、
図2に示す温度プロファイルおよび雰囲気で還元焼成した。
【0231】
その後、
図1に示すように、ステップ4で回復熱処理を行った。
【0232】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施した。
【0233】
(2)結果および考察
表14に示すように、1100℃〜1300℃で焼成したセラミックスは分極が可能であるが、1050℃及び1350℃で焼成した圧電セラミックスは分極の際に通電してしまい、圧電特性を有するセラミックスを得ることができなかった。
【0234】
【表14】
【0235】
11.実施例22
実施例3の組成を用い、回復熱処理の温度によって分極の可否がどのように変わるかを確認した。
【0236】
(1)圧電セラミックスの作製
実施例3と同様に、
図1に示すように、ステップ1で原料を準備し、ステップ2で成形を行い、ステップ3で焼成を行った。
【0237】
その後、回復熱処理の温度を450℃、500℃、600℃、800℃、1000℃、1200℃と変え、それ以外は実施例3と同様に、
図2に示す温度プロファイルおよび雰囲気で回復熱処理した。
【0238】
得られた焼成体に電極を形成し、150℃のシリコーンオイル中で4000V/mmの電圧をかけて、分極処理を施した。
【0239】
(2)結果および考察
表15に示すように、500℃〜1200℃で回復熱処理したセラミックスは分極が可能であるが、450℃で回復熱処理した圧電セラミックスは分極の際に通電してしまい、圧電特性を有するセラミックスを得ることができなかった。また、1300℃で熱処理した場合は溶融して形状をとどめず、分極作業そのものができなかった。
【0240】
【表15】