特許第5710088号(P5710088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710088
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20150409BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20150409BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20150409BHJP
【FI】
   H01L33/00 422
   H01L33/00 424
   H01L33/00 440
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2006-273325(P2006-273325)
(22)【出願日】2006年10月4日
(65)【公開番号】特開2008-91792(P2008-91792A)
(43)【公開日】2008年4月17日
【審査請求日】2009年10月2日
【審判番号】不服2013-22692(P2013-22692/J1)
【審判請求日】2013年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 信太郎
【合議体】
【審判長】 小松 徹三
【審判官】 鈴木 肇
【審判官】 近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−516816(JP,A)
【文献】 特開2005−033194(JP,A)
【文献】 特開2004−193537(JP,A)
【文献】 特開2002−033520(JP,A)
【文献】 特開平10−294495(JP,A)
【文献】 特開2002−374005(JP,A)
【文献】 特開2004−363537(JP,A)
【文献】 特開平10−261821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
ード電極と、そのリード電極を保持する支持部と、を有する支持体と、
前記発光素子および前記リード電極を接続する導電性ワイヤと、
前記発光素子を被覆し前記支持部により設けられた凹部内に配置されかつ前記凹部を充填してなる封止部材と、
を備えた半導体装置であって、
前記支持部は、前記凹部の開口部を形成する第一の側壁と、その第一の側壁に接続し、かつ、前記リード電極の主面の一部上まで前記凹部内を内側方向に延在して設けられた第二の側壁と、さらに、前記凹部底面における正負一対のリード電極の端部間において、または、前記リード電極のうち少なくとも一方の厚さ方向に貫通された孔の上において、前記支持部と接続して前記凹部の底面を横断する壁部と、を有しており、
前記第二の側壁の少なくとも一部が、前記壁部に接続されており、
前記壁部は、前記発光素子の搭載部と、前記リード電極における前記導電性ワイヤの接続部と、の間に設けられており、
前記凹部底面における前記第二の側壁の下部は、前記凹部底面における前記第一の側壁の下部と接続されており、
前記第二の側壁を形成する壁面のうち、前記発光素子の搭載部に最も近い壁面が前記発光素子との間隔が大きくなるように円弧面とされており、
前記封止部材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂、および、それらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた透光性樹脂から選択されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記第二の側壁に向かい合う方向に第三の側壁を有しており、前記壁部の両端部が前記第二の側壁および前記第三の側壁にそれぞれ接続されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記支持体は、前記リード電極が突出された支持部の側面において、前記支持部の一部が突出されている請求項1または2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイのバックライト、パネルメーター、表示灯や携帯用電子機器などに用いられる発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子は、その半導体発光素子の電極と接続するリード電極を備えた支持体に配置されて、発光装置とされる。半導体発光素子は、支持体に備えられたリード電極を介して電力を供給される。このような発光装置として、発光素子と、その発光素子からの光を吸収して異なる波長を有する光を発光する蛍光物質と、を組み合わせて白色系の混色光を高輝度に発光することができる発光装置が開発された。
【0003】
このような発光装置において、生産性のよい支持体として、リード電極を狭持した金型内に成型樹脂を注入して、成型樹脂を硬化させて形成される成型体が利用される。
【0004】
先行技術として、例えば、特表2006−516816号公報に開示される発光装置が挙げられる。この発光装置は、凹部が設けられた支持体と、その凹部に配置された発光素子と、発光素子の電極と支持体の電極とを接続する導電性ワイヤと、蛍光物質を含有して発光素子や導電性ワイヤを凹部内にて被覆する封止部材と、を備える。特に、本件の発光装置は、凹部の内壁面に凹凸形状を有しており、凹部内に充填された封止樹脂との接触面積を増加させている。これにより、支持体と封止樹脂との密着性が向上するため、封止樹脂が支持体から剥離することがなくなる。
【0005】
【特許文献1】特表2006−516816号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、凹部の内面に凹凸形状を設けるだけでは、封止樹脂の膨張および収縮による悪影響を低減させることができない。例えば、半導体素子の電極とリード電極とを接続する導電性ワイヤが封止樹脂の膨張および収縮による応力を受けて断線しやすくなる。また、封止部材が、半導体素子の熱や光により劣化することがある。そのため、凹部内に充填された封止部材の量は、できるだけ少ない方が好ましい。
【0007】
そこで、本発明は、凹部の内面に種々の凹凸形状を設けた半導体装置において、封止部材の量を低減させた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために本発明に係る半導体装置は、発光素子と、リード電極と、そのリード電極を保持する支持部と、を有する支持体と、前記発光素子および前記リード電極を接続する導電性ワイヤと、前記発光素子を被覆し上記支持部により設けられた凹部内に配置されかつ前記凹部を充填してなる封止部材と、を備えた半導体装置であって、上記支持部は、上記凹部の開口部を形成する第一の側壁と、その第一の側壁に接続し、上記リード電極の主面の一部上まで上記凹部内を内側方向に延在して設けられた第二の側壁と、上記凹部底面における正負一対のリード電極端部の間において、または正負リード電極の少なくとも一方の厚さ方向に貫通された孔の上において、上記支持部と接続して上記凹部の底面を横断する壁部と、を有しており、上記第二の側壁の少なくとも一部が、上記壁部に接続されており、前記壁部は、前記発光素子の搭載部と、前記リード電極における前記導電性ワイヤの接続部と、の間に設けられており、前記凹部底面における前記第二の側壁の下部は、前記凹部底面における前記第一の側壁の下部と接続されており、第二の側壁を形成する壁面のうち、発光素子の搭載部に最も近い壁面が発光素子との間隔が大きくなるように円弧面とされており、前記封止部材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂、および、それらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた透光性樹脂から選択されることを特徴とする。


【発明の効果】
【0015】
本発明は、凹部の内面に種々の凹凸形状を設けた半導体装置において、封止部材の量をできる限り低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための半導体装置を例示するものであって、本発明は半導体装置を以下に限定するものではない。
【0017】
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0018】
半導体素子に接続するリード電極と、そのリード電極を保持する支持部と、を有する支持体と、上記支持部により設けられた凹部内にて上記半導体素子を被覆する封止部材と、を備えた半導体装置について、封止部材の量を低減しつつ、支持部に設けられた各部位の機械的強度を向上させた半導体装置とするため、本発明者は種々の検討を行った。
【0019】
その結果、上記支持部に、上記凹部の開口部を形成する第一の側壁と、その第一の側壁に接続し、上記リード電極の主面の少なくとも一部上まで上記凹部内を延在して設けられた第二の側壁と、を設ける。さらに、上記凹部の底面を横断して延伸する壁部を設け、上記第二の側壁の少なくとも一部を、上記壁部に接続させる。ここで、上記壁部は、上記凹部底面における正負一対のリード電極の端部間において、または、正負リード電極の少なくとも一方の厚さ方向に貫通された孔の上において、上記支持部の凹部底面より下部と接続させるものとする。このような構成とすることにより、本発明は、上述したような課題を解決するに至った。以下、本形態の半導体装置について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本形態における半導体装置100の上面図である。なお、凹部内の状態を分かり易くするため、封止部材を透過させて図示している。図2は、図1における半導体装置100のX−X方向に沿った断面図である。図3は、図1における半導体装置100のY−Y方向に沿った断面図である。図4は、本形態にかかる半導体装置100の側面図である。図5は、本形態にかかる半導体装置100の別の側面図である。図6は、本形態にかかる半導体装置100の背面図である。
【0021】
支持部115の第一の側壁101は、支持体の凹部の開口部を形成する側壁であり、第二の側壁102は、その第一の側壁101の一部に接続して凹部の内側方向に突出して設けられる。この第二の側壁102が凹部の内側に突出された量だけ、凹部内に充填される封止部材117の量を低減させることができるので、本形態の半導体装置は、封止部材による悪影響を低減させることができる。
【0022】
ここで、絶縁性材料からなる支持部115の一部である第二の側壁102が、リード電極113a、113bの主面上にも延在して設けられたとき、リード電極113a、113bと絶縁性材料の材料の違いから、両者間の接着力は、同じ材料同士の接着力と比較して低い。そのため、リード電極113a、113bと絶縁性材料の膨張係数の違いから、種々の熱履歴を経た後、第二の側壁とリード電極との間に隙間ができる。さらに、その隙間に封止部材が浸入することにより、結局、封止部材の量が増加してしまう。また、浸入した封止部材の熱膨張により、隙間が更に広がってしまうことがある。
【0023】
そこで、本形態にかかる支持体は、第二の側壁102の少なくとも一部を、凹部の底面に設けられた第一の壁部105aまたは第二の壁部105bの少なくとも一方に接続させて補強する。さらに、これらの壁部は、支持部115の各部位のうち、凹部底面においてリード電極113aの端部とリード電極113bの端部の間に配置された部位、または、リード電極113bの厚み方向に貫通させた孔に延在させた部位に接続させている。結果的に、第二の側壁102は、支持部115の同一材料により、第一の側壁101および壁部105a、105bにより接続された複数の接続部により強固に凹部の底面方向に支持され、第二の側壁102とリード電極との間に隙間が生じることがなくなる。
【0024】
さらに、支持体は、上記第一の側壁101よりも内側に、凹部の開口部の内周縁に沿って延伸された突出部116を有しており、上記第二の側壁116の上記凹部底面からの高さは、支持体の突出部の外側に設けられた底面118の高さ以上であり、かつ、凹部の底面にほぼ垂直な方向に突出された突出部116の高さよりも低いことが好ましい。この突出部により、封止部材と支持部との接触面積が増えるため、封止部材の剥離が生じることがない半導体装置とすることができる。また、第二の側壁の高さを調整することにより、第二の側壁が発光素子からの光に妨げとなることなく、封止部材の量を、第二の側壁が凹部内側へ突出する体積分だけ低減させることができる。
【0025】
壁部105a、105bは、半導体素子の搭載部と、半導体素子の電極および正負リード電極113a、113bを接続する導電性ワイヤ111の接続部と、の間に設けられていることが好ましい。この壁部105a、105bにより、半導体素子106、109をそれぞれ接着する接着材107、110が、導電性ワイヤ111の接続部への流動を阻止することができる。したがって、接着材の流動による悪影響を心配することなく、導電性ワイヤ111を安定してリード電極に接続することができる。
【0026】
支持体は、リード電極が突出された支持部の側面において、その一部が突出されていることが好ましい。これにより、半導体装置の外形を小さくしつつ、凹部の開口部の面積を大きくすることができる。すなわち、半導体装置の側面から突出されて屈曲されたリード電極の厚みを最大限の突出量として、支持部の側面の一部を突出させたとしても、リード電極の大きさを含めた半導体装置の最大外形は変わらない。そのため、リード電極の突出位置の周囲に、開口部を形成する第一の側壁の機械的強度を補う厚肉部112として側面を突出させて設けることにより、半導体装置の小型化を図りつつ、凹部の開口面積を大きくすることができる。
【0027】
凹部の底面に設けられた一対の壁部の間に露出されたリード電極に、半導体素子の複数の搭載部を仕切る溝108が設けられており、複数の半導体素子が接着材を介して上記搭載部に接着されていることが好ましい。これにより、半導体素子を接着する接着材の流動が、溝108で阻止されるため、他の半導体素子の接着に及ぼす影響を低減させることができる。例えば、他の半導体素子を接着した接着材の一部が流動してきて硬化された後、その上に接着材を配置して硬化させると、硬化の工程が時間的に前後する複数の接着材の間で界面が顕在化することにより、半導体素子の接着界面から剥離を引き起こす恐れがある。しかしながら、本形態の溝部により、接着材の流動が溝部にて阻止されるため、流動してきて硬化された別の接着材の上に接着材を配置することがなくなる。そのため、接着された半導体素子の剥離が生じない半導体装置とすることができる。
【0028】
支持部は、上記第二の側壁102に向かい合う方向に第三の側壁103を有しており、上記壁部105aの両端部が上記第二の側壁102および第三の側壁103にそれぞれ接続されていることが好ましい。すなわち、凹部内にて突出された第二の側壁102および第三の側壁104の間に設けられた壁部105aの両端が、各側壁の内壁面の一部に接続されることが好ましい。これにより、壁部105aの両端部が、凹部の側壁から突出された側壁に接続されているので、壁部は凹部の底面に強固に固定される。また、この第三の側壁103が凹部の内側に突出された量だけ、凹部内に充填される封止部材117の量を低減させることができるので、本形態の半導体装置は、封止部材による悪影響をさらに低減させることができる。
【0029】
上記支持部は、凹部の内壁面を形成する第一の側壁の一部が外側に抉れた切欠部を有している。さらに、支持体に搭載された保護素子106は、その切欠部内に配置されている。これにより、発光素子を過電圧から保護する保護素子を搭載したときに、保護素子が発光素子の光を遮ることがなくなるため、光取りだし効率を損ねることがない半導体装置とすることができる。
【0030】
[工程1:リード電極の形成]
まず、金属平板に打ち抜き加工を施し正負一対のリード電極となる突出部を複数対有するリードフレームを形成する。なお、パッケージ成型後リード電極を折り曲げる工程から発光装置をリードフレームから分離させる工程までパッケージを支持するハンガーリードをリードフレームの一部に設けてもよい。リード電極の厚さ方向に貫通された孔は、打ち抜き加工により形成することができる。また、リード電極の主面に掘られた溝は、プレス成形により形成することができる。
【0031】
リード電極は、半導体装置の外部から半導体素子に電力を供給する導電体である。特に、本形態にかかるリード電極は、一方の端部がパッケージ側面からパッケージ内部に挿入され、他方の端部がパッケージ側面から突出するようにパッケージ成型時に一体成型される。
【0032】
リード電極の材料は、導電性であれば特に限定されないが、半導体素子と電気的に接続する部材である導電性ワイヤやバンプ等との接着性及び電気伝導性が良いことが求められる。具体的な電気抵抗としては、300μΩ−cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ−cm以下である。これらの条件を満たす材料としては、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅及び銅、金、銀をメッキしたアルミニウム、鉄、銅等が好適に挙げられる。
【0033】
[工程2:パッケージの形成]
本形態におけるパッケージは、半導体素子や封止部材を配置することができる支持体であり、正負一対のリード電極と、そのリード電極を絶縁して保持する絶縁性材料である支持部と、を備えた部材である。本形態のパッケージにおいては、リードフレームに成型材料を射出成型により成型させた成型体が好適に利用される。このような成型体とすることにより、本形態における各側壁や壁部を同じ材料で接続させた支持体を容易に得ることができる。
【0034】
上記工程1により形成されたリードフレームを、凸型および凹型にて狭持する。このとき、リード電極の端部が凸型および凹型により形成された内部空間に配置されるようにする。次に、型の背面に設けられたゲートより内部空間に成型材料を注入して、少なくともリード電極の端部を被覆する。あるいは、リード電極の厚さ方向に貫通された孔を有するときには、その孔内に成型材料を充填させる。上記内部空間を形成する凸型および凹型の内壁面は、パッケージの外壁面および凹部内に形成させる側壁面の形状に対応している。また、プレス加工されたリードフレームは、プレスの打ち抜き方向と型内に樹脂を注入する方向とが一致するように、凸型と凹型にて狭持されることが好ましい。このようなリードフレームの配置方向とすることにより、正及び負のリード電極の端部により形成される空間に、隙間なく成型材料を充填することができ、注入される成型材料を所定の方向へ流動させることができる。
【0035】
最後に、充填された成型材料を硬化させた後、凸型および凹型から成型体を取り外す。ここで、リードフレームにハンガーリードを設けると、図5に示されるように、ハンガーリード先端部の形状により成型体の側面に凹部119を有するパッケージが形成される。ハンガーリードは、支持部の側面に形成された凹部119によりフォーミング工程終了までパッケージを支持することができる。また、パッケージ主面側の四隅に段差114を設けることが好ましい。さらに、その段差114の一段下がった面を突き出し部材(図示せず)で突くことにより型から成型体を取り出す。これにより、突き出し部材によって生じるバリがパッケージの最上面から突出しないようにすることができる。
【0036】
パッケージの成型材料は、特に限定されず、液晶ポリマー、ポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などとすることができる。特に、ポリフタルアミド樹脂のように高融点結晶が含有されてなる半結晶性ポリマー樹脂は、封止部材(例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂)との密着性が良好なため、パッケージの材料として好適に利用される。また、発光素子からの光の反射率を向上させるために、成型材料に酸化チタンなどの白色顔料を含有させることができる。
【0037】
[工程3:半導体素子の配置]
パッケージに設けられた半導体素子の搭載部に、発光素子を接着材にて固定する。ここで、「搭載部」とは、支持体の凹部内に設けられ、配置される半導体素子の外形と略同じ大きさを有する部位をいう。したがって、配置される半導体素子の外形と略同じ大きさを備えることができれば、搭載部が設けられる部位は、リード電極の主面上に限定されることなく、リード電極を絶縁して保持する支持部の上でもよい。本形態では、発光素子を単独で支持体に配置させた半導体装置について説明するが、発光素子を単独で配置させる形態に限定されることなく、受光素子、静電保護素子(ツェナーダイオード、コンデンサ等)、あるいはそれらを少なくとも二種以上組み合わせたものを搭載した半導体装置とすることができる。なお、本形態の壁部により複数の区域に分けられた搭載部に発光素子を配置するとき、静電保護素子は、発光素子と同一区域の搭載部あるいは異なる区域の搭載部のいずれに配置してもよい。
【0038】
(発光素子)
本形態における発光素子は、蛍光物質を備えた発光装置とするとき、その蛍光物質を励起可能な波長を発光できる活性層を有する半導体発光素子が好ましい。このような半導体発光素子として、ZnSeやGaNなど種々の半導体を挙げることができるが、蛍光物質を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0039】
発光素子の材料として窒化物半導体を使用した場合、半導体用基板にはサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaNなどの材料が好適に用いられる。結晶性の良い窒化物半導体を量産性よく形成させるためにはサファイア基板を用いることが好ましい。このサファイア基板上にMOCVD法などを用いて窒化物半導体を形成させることができる。また、基板は、半導層を積層した後、取り除くこともできる。
【0040】
白色系の混色光を発光させる発光装置とするときには、蛍光物質からの発光波長との補色関係や封止樹脂の劣化などを考慮して、発光素子の発光波長は400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましい。発光素子と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。
【0041】
発光素子を支持体に固定した後、発光素子の各電極とリード電極とをそれぞれ導電性ワイヤにて接続する。ここで、発光素子を固定するための接合部材は、特に限定されず、エポキシ樹脂などの絶縁性接着剤や、Au−Sn合金、導電性材料が含有された樹脂やガラスなどとすることができる。接合部材に含有される導電性材料は、Agが好ましく、Agの含有量が80%〜90%であるAgペーストを用いると放熱性に優れた発光装置が得られる。
【0042】
(導電性ワイヤ)
導電性ワイヤは、発光素子の電極とのオーミック性、機械的接続性、電気伝導性及び熱伝導性がよいものが求められる。熱伝導度としては0.01cal/(s)(cm)(℃/cm)以上が好ましく、より好ましくは0.5cal/(s)(cm)(℃/cm)以上である。また、作業性などを考慮して導電性ワイヤの直径は、好ましくは、Φ10μm以上、Φ45μm以下である。封止部材に蛍光物質を含有させるとき、蛍光物質が含有された部位と、蛍光物質が含有されていない部位との界面で導電性ワイヤが断線しやすい。そのため、導電性ワイヤの直径は、25μm以上がより好ましく、発光素子の発光面確保や扱い易さの観点から35μm以下がより好ましい。このような導電性ワイヤとして具体的には、金、銅、白金、アルミニウム等の金属及びそれらの合金を用いた導電性ワイヤが挙げられる。
【0043】
導電性ワイヤと、リード電極との接合部は、導電性ワイヤとリード電極との電気的接続不良を防ぐため、一本の導電性ワイヤについてリード電極に複数設けられることが好ましい。
【0044】
[工程4:封止部材の形成]
半導体素子を外部環境から保護するため、透光性の封止部材を設ける。半導体素子または導電性ワイヤを覆うようにパッケージの凹部内に充填した封止部材の材料を硬化させることにより半導体素子や導電性ワイヤを封止部材にて被覆する。
【0045】
(封止部材)
封止部材の材料は、特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂、および、それらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた透光性樹脂を用いることができる。また、封止部材は有機物に限られず、ガラス、シリカゲルなどの耐光性に優れた無機物を用いることもできる。また、本形態の封止部材は、粘度増量剤、光拡散剤、顔料、蛍光物質など、用途に応じてあらゆる部材を添加することができる。光拡散剤として例えば、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化珪素、炭酸カルシウム、および、それらを少なくとも一種以上含む混合物などを挙げることができる。更にまた、封止部材の光出射面側を所望の形状にすることによってレンズ効果を持たせることができる。具体的には、凸レンズ形状、凹レンズ形状さらには、発光観測面から見て楕円形状やそれらを複数組み合わせた形状にすることができる。
【0046】
(蛍光物質)
本形態の半導体装置は、発光素子を備えるとともに、封止部材に蛍光物質を含有させることができる。このような蛍光物質の一例として、以下に述べる希土類元素を含有する蛍光物質がある。
【0047】
具体的には、Y、Lu,Sc、La,Gd、TbおよびSmの群から選択される少なくとも1つの元素と、Al、Ga、およびInの群から選択される少なくとも1つの元素とを有するガーネット(石榴石)型蛍光物質が挙げられる。特に、アルミニウム・ガーネット系蛍光体は、AlとY、Lu、Sc、La、Gd、Tb、Eu、Ga、In及びSmから選択された少なくとも一つの元素とを含み、かつ希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された蛍光体であり、発光素子から出射された可視光や紫外線で励起されて発光する蛍光体である。例えば、イットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体(YAG系蛍光体)の他、Tb2.95Ce0.05Al12、Y2.90Ce0.05Tb0.05Al12、Y2.94Ce0.05Pr0.01Al12、Y2.90Ce0.05Pr0.05Al12等が挙げられる。これらのうち、特に本実施の形態において、Yを含み、かつCeあるいはPrで付活され組成の異なる2種類以上のイットリウム・アルミニウム酸化物系蛍光体が利用される。
【0048】
また、窒化物系蛍光体は、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnから選択された少なくとも一つの元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfから選択された少なくとも一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された蛍光体である。窒化物系蛍光体として、例えば、(Sr0.97Eu0.03Si、(Ca0.985Eu0.015Si、(Sr0.679Ca0.291Eu0.03Si、等が挙げられる。
【0049】
[工程5:リード電極のフォーミング]
図3乃至図6に示されるように、パッケージの外壁面から突出されたリード電極を、パッケージの外壁面にそって折り曲げ、実装基板に設けられた導体配線などに接続させるための接続端子を形成する。
【0050】
本形態の半導体装置は、図1に示されるように、光を出射させる発光面をパッケージの上面に有する。図示されるように、半導体素子に電力を供給する一対の正負のリード電極がパッケージの側面から突出されている。これらの側面は、互いに向かい合う一対の側面である。図3および図5に示されるように、リード電極の突出部は、リード電極が突出されたパッケージの側面からその側面に隣接する裏面側に沿って折り曲げ、さらにリード電極の端部をパッケージの背面に配置させることが好ましい。これにより、実装基板と半導体装置を接続する半田が発光面側に悪影響を及ぼすことなく半導体装置を配線基板に実装することができる。
【0051】
[工程6:半導体装置を分離]
リードフレームと各リード電極との接続部を切断して、リードフレームから個々の半導体装置に分離する。パッケージを支持するハンガーリードを利用したとき、フォーミングの工程後、パッケージをハンガーリードによる支持から解放させる。このように、ハンガーリードを利用することにより、各半導体装置のリード電極に対してまとめてフォーミングの工程を施すことができるため、半導体装置を形成する作業性を向上させることができる。
【0052】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0053】
図1は、本実施例における発光装置100の上面図である。なお、凹部内の状態を分かり易くするため、封止部材を透過させて図示している。図2は、図1における発光装置100のX−X方向に沿った断面図である。図3は、図1における発光装置100のY−Y方向に沿った断面図である。図4は、本実施例にかかる発光装置100の側面図である。図5は、本実施例にかかる発光装置100の別の側面図である。図6は、本実施例にかかる発光装置100の背面図である。
【0054】
本実施例における支持体は、正負一対のリード電極113a、113bを有するリードフレームを型内に狭持して、ポリフタルアミド系樹脂を支持部115の成型材料として、射出成型により形成させたものである。
【0055】
図1乃至図3に示されるように、本実施例の支持体は、正負一対のリード電極113a、113bが支持部115に挿入されて保持されてなるものである。支持部115は、開口部の形状が略円形の凹部を有する。支持部115は、その凹部の開口部の方向から見て、凹部の最も外側の内壁面を形成する第一の側壁101と、その第一の側壁101から凹部の内側方向へ向かって順に、第一の側壁101の内円周に沿って略環状に延伸されて設けられた突出部116と、第一の側壁101内円周の一部に沿って設けられた第二の側壁102と、を有する。この第二の側壁102は、突出部116を形成する側壁の下部において第一の側壁101の下部と接続されている。なお、図2に示されるように、第二の側壁の102一部がリード電極113bの上に配置されている。このように、第二の側壁の102を凹部内側方向にリード電極113bの上にまで延在させて設けることにより、本実施例の発光装置100は、従来と比較して封止部材117の量を低減させることができる。
【0056】
本実施例にかかる第二の側壁102上面の凹部底面からの高さは、第一の側壁101と突出部116との間に形成された底面118の高さと略同じ高さとされている。第二の側壁102は、三日月型の上面と、発光素子の搭載部側の内壁面、すなわち、凹部の底面に対して所定の傾斜角を有する2つの平坦面と、それらの平坦面の間に形成された円弧面と、から形成された形状を有する。このように第二の側壁を形成する壁面のうち、発光素子の搭載部に最も近い壁面を円弧面とすることにより、発光素子と第二の側壁の表面との間隔を大きくすることができる。そのため、発光素子からの光や熱による壁部の劣化を抑制することができる。特に、発光面の方向から見た発光素子の外形を成す辺のうち、発光素子からの発光量が大きい最も長い辺の側を、第二の側壁102に対面させて発光素子を配置することができる。
【0057】
第一の壁部105aおよび第二の壁部105bは、それらの底部が支持部の背面側と接続されており、凹部の底面から突出されて設けられている。ここで、壁部の高さは、導電性ワイヤ111の通過の妨げにならないような高さとされる。
【0058】
図3に示されるように、第一の壁部105aは、支持部115内に挿入されたリード電極113b’の厚み方向に貫通されたスリット状の孔内に延在された支持部115の一部と接続されている。さらに、図1に示されるように、第一の壁部105aは、凹部の開口部の側から見て、発光素子の配列方向および上記スリット状の孔の長手方向に沿って延伸しており、一方の端部が第二の側壁102を形成する平坦面の1つに接続されている。さらに、他方の端部が、第二の側壁102と向かい合う第三の側壁103と接続されている。ここで、第三の側壁103は、第二の側壁102と向かい合う突出部116の終端部の下部から凹部内側方向に突出された側壁である。
【0059】
また、図3に示されるように、支持部115内に挿入された正のリード電極113aの端部113a’と、負のリード電極113bの端部113b’との間に、支持部の背面方向からその一部が延在されている。第二の壁部105bは、この延在された支持部の一部と接続されている。さらに、図1に示されるように、第一の壁部105bは、凹部の開口部の側から見て、半導体素子106、109の配列方向に沿って延伸して、一方の端部が第二の側壁102を形成する平坦面の1つに接続されている。さらに、他方の端部が、第二の側壁と向かい合う第一の側壁(突出部の終端部の下部)と接続されている。
【0060】
本実施例の支持部115は、互いに向かい合う一対の側面の一部から正のリード電極113aおよび負のリード電極113bを突出させており、その側面から支持部115の背面に沿って各リード電極が屈曲されている。さらに、支持部115は、各リード電極が側面から突出されて最初に折り曲げられる部位の上(凹部の開口部側)に、側面の一部が突出されて形成された厚肉部112を有している。この厚肉部112により、支持部の機械的強度を維持して発光装置を小型化させつつ、開口部の面積を大きくすることができる。
【0061】
本実施例における発光素子109は、長辺が420nm、短辺が240nmの矩形の外形を有するLEDチップであり、その発光主面の長手方向に正負一対の電極が配列されている。以下、本実施例における発光素子について詳細に説明する。
【0062】
本実施例における発光素子は、p側台座電極及びn側台座電極が同一面側に設けられており、これらの電極が形成された発光主面の側から光を取り出すLEDチップである。LEDチップを構成する半導体積層構造は、サファイア基板上にバッファ層、n型コンタクト層、n型クラッド層、活性層となるInGaN層、p型クラッド層、p型コンタクト層が、順次積層された層構造を有する。さらに、それらの層が部分的にエッチング等により除去され、n型層の露出面にn側台座電極が形成され、p型コンタクト層にはp側台座電極が設けられている。n側台座電極は、n型コンタクト層側から順にW、Pt、Auが積層されてなる。p側台座電極が形成される拡散電極は、ITO(又は、インジウムと錫の複合酸化物)を材料として、p型コンタクト層のほぼ全面に形成されている。この拡散電極の上に形成されたp側台座電極は、Rh、Pt、Auが積層されてなる。また、発光領域を確保するために、拡散電極はn側台座電極を部分的に囲んでいる。
【0063】
支持体の凹部の底面を横断して配置された第一の壁部105aおよび第二の壁部105bの間に、リード電極113bの主面が露出されている。このリード電極113bの上に3つの発光素子109がそれぞれ長手方向を揃えて横一列に並べて接着剤110(例えば、エポキシ樹脂)により固定されている。さらに、発光素子109の正負の電極が導電性ワイヤ111にて正負一対のリード電極113a、113bとそれぞれ接続されている。
【0064】
また、凹部の底面に露出されたリード電極113bの主面に、配置された発光素子の長手方向に沿って溝部108が掘られている。そして、接着材で固定された発光素子の溝部108を介した向こう側に、保護素子106が導電性接着材107(例えば、銀含有のエポキシ樹脂)にて固定されている。また、保護素子106は、凹部の側壁の一部に設けられた切欠部104内に納まるように配置されている。なお、本実施例の切欠部104は、開口部の内円周に沿って環状に延伸された突出部116の一方の終端部における下方の側壁と、突出部116の他方の終端部下方に設けられた第三の側壁103と、により形成された第二の凹部である。
【0065】
図2および図3に示されるように、支持体の凹部には、YAG系蛍光体を含有するシリコーン樹脂が封止部材117として充填されている。封止部材117は、その最表面が突出部116の上面よりも高い位置まで充填されている。さらに、封止部材は、突出部116を越えて、第一の側壁101と突出部116との間に設けられた凹形状の底面118まで、延在して被覆している。なお、図1は、発光素子の配置の状態を分かりやすくするため、YAG系蛍光体を含有する封止部材を透過させて描いている。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、液晶ディスプレイのバックライト、パネルメーター、表示灯や携帯用電子機器などに用いられる光源として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、本発明の一実施例にかかる半導体装置の模式的な上面図である。
図2図2は、本発明の一実施例にかかる半導体装置の模式的な断面図である。
図3図3は、本発明の一実施例にかかる半導体装置の別の断面図である。
図4図4は、本発明の一実施例にかかる半導体装置の側面図である。
図5図5は、本発明の一実施例にかかる半導体装置の別の側面図である。
図6図6は、本発明の一実施例にかかる半導体装置の背面図である。
【符号の説明】
【0068】
100・・・半導体装置、
101・・・第一の側壁、
102・・・第二の側壁、
103・・・第三の側壁、
104・・・切欠部、
105a・・・第一の壁部、
105b・・・第二の壁部、
106・・・保護素子、
107・・・接着材、
108・・・溝部、
109・・・発光素子、
110・・・導電性接着材、
111・・・導電性ワイヤ、
112・・・厚肉部、
113a・・・正のリード電極、
113b・・・負のリード電極、
114・・・段差、
115・・・支持部、
116・・・突出部、
117・・・封止部材、
118・・・突出部116と第一の側壁101との間の底面、
119・・・凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6