(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710091
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】NO産生促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/18 20060101AFI20150409BHJP
A23L 1/30 20060101ALI20150409BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20150409BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
A61K35/78 C
A23L1/30 B
A61P37/04
A61P43/00 111
A61P43/00 117
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2007-213540(P2007-213540)
(22)【出願日】2007年8月20日
(65)【公開番号】特開2009-46420(P2009-46420A)
(43)【公開日】2009年3月5日
【審査請求日】2010年7月23日
【審判番号】不服2013-5474(P2013-5474/J1)
【審判請求日】2013年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】寒林 里美
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 弘恭
(72)【発明者】
【氏名】高柿 了士
【合議体】
【審判長】
蔵野 雅昭
【審判官】
安藤 倫世
【審判官】
渕野 留香
(56)【参考文献】
【文献】
特開平3−218466号公報
【文献】
特表2006−504676号公報
【文献】
特開2003−61615号公報
【文献】
Yoshizawa,Yuko et al,Differentiation−Inducing Effects of Small Fruit Juices on HL−60 Leukemic Cells,Journal of Agricultural and Food Chemistry ,2000年,48(8),pp.3177−3182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K36/18
A23L1/30
CA
BIOSIS
MEDLINE
STN
JSTPLUS
JMEDPLUS
JST7580
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マタタビ(Actinidia polygama)の果実の30質量%エタノール抽出物を含有することを特徴とするNO産生促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マタタビの果実の抽出物を含有する免疫賦活剤、及び、前記免疫賦活剤を含有する飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の健康に対する意識はますます高まりを見せている。一方で、現代社会には、不規則な生活習慣、食事の偏り、精神的ストレス等、免疫機構にダメージを与える要因が氾濫している。このようにして免疫力が低下することにより、癌、感染症、アレルギー症状等の各種疾患が誘発されることが知られており、逆に免疫力を賦活することによれば、発癌抑制、制癌作用、抗感染症、抗アレルギー作用、更には体調リズムの回復・恒常性維持など、様々な効果が期待できる。
【0003】
免疫機構には多くの種類の細胞が関与しているが、特に白血球の役割は大きく、中でもマクロファージは免疫応答の初期段階での働きを含め、あらゆる段階に関与している重要な白血球の一種である。例えば、マクロファージは、生体内に侵入した細菌やウイルス等の異物を摂取し(貪食能)、また、摂取した抗原を細胞表面に表出させる(抗原提示能)働きを有する。近年、白血球の働きが物質レベルで解明されてきており、白血球の機能や細胞間相互作用は、白血球が分泌する微量タンパク質(サイトカイン)によって担われることが分かってきている。
【0004】
サイトカインには多くの種類があり、中でも、腫瘍壊死因子(TNF−α)に代表される炎症性サイトカインは、主にマクロファージから放出される。TNF−αの産生促進は、免疫賦活の指標の一つとされており、腫瘍に対する免疫作用の強化や、直接的な抗腫瘍効果、Th1細胞とTh2細胞とのバランス改善によるとされるアレルギー性疾患の改善効果や免疫賦活作用などが知られている(特許文献1参照)。このようなTNF−α産生促進作用を有するものとしては、従来、例えば、ユキノシタ科スグリ属に属する植物からの抽出物(特許文献2参照)等が報告されている。
【0005】
また、インターフェロン(IFN)−γは活性化されたT細胞で産生され、免疫系に対して調節作用を有するサイトカインである。IFN−γは、IFN−α及びβの抗ウイルス作用、抗腫瘍作用を増強する作用があり、また、マクロファージを刺激して細菌を貪食殺菌させる作用がある。IFN−γの産生促進は、免疫賦活の指標の一つとされており、このようなIFN−γ産生促進作用を有するものとしては、従来、例えば、センダングサ属の植物又はその抽出物(特許文献3参照)等が報告されている。
【0006】
また、一酸化窒素(NO)は、血圧の調整や免疫系に重要な働きを担っており、またマクロファージは病原体を殺すためにNOを産生する。NOは一酸化窒素合成酵素(NOS)によってL−アルギニンのグアニジノ基と、分子状酸素を基質として生成され、ヘルパーT細胞の賦活化や、炎症性サイトカインの合成促進などの作用を介して免疫力を増加させる方向に働く。したがって、NOの産生促進は、免疫賦活の指標の一つとされており、このようなNO産生促進作用を有するものとしては、例えば、虎杖根、黄耆、蛇床子、麦芽等の生薬又はその抽出物(特許文献4参照)等が報告されている。
【0007】
前記した以外にも、多くの天然物について免疫賦活作用が研究され、効果が認められたいくつかの素材や抽出物が、健康食品等の原料として既に実用化されている。しかしながら、これらの中には免疫賦活活性が不十分であったり、安全性が十分に確認されていないものなども存在し、したがって、優れた免疫賦活作用を有し、かつ、安全性が高く、飲食品等に広く利用可能な免疫賦活剤の提供は、未だ求められているのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開2007−131568号公報
【特許文献2】特開2004−107660号公報
【特許文献3】特開2005−298372号公報
【特許文献4】特開平7−324039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた免疫賦活作用(NO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、貪食能活性化作用等)を有し、かつ、安全性の高い免疫賦活剤、及び、前記免疫賦活剤を利用した飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、マタタビ科マタタビ属に属するマタタビ(
Actinidia polygama)の果実の抽出物が、優れた免疫賦活作用(NO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、貪食能活性化作用等)を有することを見出した。マタタビ(
Actinidia polygama)は、日本の山野に自生し、また朝鮮半島から中国大陸北部にも生息する雌雄異株の落葉蔓植物であり、漢方の分野では身体を温める目的や、鎮痛目的等に使用されるが、その果実の抽出物が優れた免疫賦活作用を有することは、従来全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0011】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> マタタビ(
Actinidia polygama)の果実の抽出物を含有することを特徴とする免疫賦活剤である。
<2> NO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、及び、貪食能活性化作用の少なくともいずれかを有する前記<1>に記載の免疫賦活剤である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の免疫賦活剤を含有することを特徴とする飲食品である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた免疫賦活作用(NO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、貪食能活性化作用等)を有し、かつ、安全性の高い免疫賦活剤、及び、前記免疫賦活剤を利用した飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(免疫賦活剤)
本発明の免疫賦活剤は、マタタビの果実の抽出物を含有してなり、更に必要に応じて適宜その他の成分を含有してなる。
【0014】
前記免疫賦活剤は、免疫賦活作用として、一酸化窒素(NO)産生促進作用、腫瘍壊死因子(TNF)−α産生促進作用、インターフェロン(IFN)−γ産生促進作用、及び、貪食能活性化作用の少なくともいずれかを有するものである。
前記マタタビの果実の抽出物中に存在すると考えられる、NO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、及び、貪食能活性化作用の少なくともいずれかを発揮する物質の詳細については不明であるが、前記マタタビの果実の抽出物が、これらの優れた作用を有し、免疫賦活剤として有用であることは、従来には全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0015】
前記マタタビ(
Actinidia polygama)は、マタタビ科マタタビ属に属する雌雄異株の落葉蔓性植物であり、日本の山野に自生し、また、朝鮮半島から中国大陸北部にも生息しており、その果実は、例えばこれらの地域から容易に入手可能である。前記マタタビの果実は液果で、長楕円形又は卵円形で先端はくちばし状に細くなり、長さ2〜2.5cm、径約1cmで、黄熟し、食べると辛味がある。従来から、前記マタタビの果実は、生食又は塩蔵して、食用とされている。また、前記マタタビの果実にマタタビミタマバエが寄生し、表面がでこぼこした虫こぶができる場合があるが、この虫こぶを集めて熱湯を注ぎ、乾燥したものが生薬の木天蓼(もくてんりょう)であり、身体を温める作用や鎮痛作用等を有し、従来から薬用酒等に利用されている。
なお、本発明において、抽出原料となる前記マタタビの果実としては、前記した果実そのものを用いてもよいし、前記した虫こぶの状態となったものを用いてもよい。
【0016】
前記抽出原料であるマタタビの果実は、例えば、乾燥した後に、そのままの状態で、又は粗砕機を用いて粉砕した状態で、溶媒抽出に供することができる。前記乾燥は、例えば、天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。なお、前記マタタビの果実は、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、マタタビの果実の極性溶媒による抽出処理を、効率よく行うことができる。
【0017】
前記マタタビの果実の抽出物は、植物の抽出に一般に用いられる方法を利用することによって、容易に得ることができる。なお、前記マタタビの果実の抽出物には、マタタビの果実の抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又は、これらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
【0018】
前記抽出に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性有機溶媒、又は、これらの混合溶媒等を用いることができる。
【0019】
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0020】
前記親水性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。なお、前記水と前記親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する際には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1質量部〜40質量部を混合したものを使用することが好ましい。多価アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部〜90質量部を混合したものを使用することが好ましい。
【0021】
前記抽出原料であるマタタビの果実から、NO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、及び、貪食能活性化作用の少なくともいずれかを有する抽出物を抽出するにあたって、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出することができる。
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、抽出原料としてのマタタビの果実を投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分間〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物を得ることができる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50℃〜95℃にて1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40℃〜80℃にて30分間〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれば、そのまま本発明の免疫賦活剤として用いることができる。
【0022】
前記抽出により得られるマタタビの果実の抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るため、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。なお、得られるマタタビの果実の抽出液は、そのままでも免疫賦活剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、常法を利用することができ、また、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。また、マタタビの果実の抽出物の生理活性の低下を招かない範囲で、脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、未精製のままでも実用上支障はない。なお、精製は、具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0023】
以上のようにして得られるマタタビの果実の抽出物は、NO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、及び、貪食能活性化作用の少なくともいずれかを有しており、これらの作用に基づいて、本発明の免疫賦活剤の有効成分として好適に利用可能である。
なお、前記免疫賦活剤中の、前記マタタビの果実の抽出物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、前記免疫賦活剤は、前記マタタビの果実の抽出物そのものであってもよい。
【0024】
また、前記免疫賦活剤中に含まれ得る、前記マタタビの果実以外のその他の成分としても、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マタタビの果実の抽出物を所望の濃度に希釈等するための、生理食塩液などが挙げられる。また、前記免疫賦活剤中の前記その他の成分の含有量にも、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0025】
本発明の免疫賦活剤は、優れた免疫賦活作用を有すると共に、安全性に優れるため、例えば、後述する本発明の飲食品への利用に好適である。
【0026】
(飲食品)
本発明の飲食品は、前記した本発明の免疫賦活剤を含有してなり、更に必要に応じて適宜その他の成分を含有してなる。
ここで、前記飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品、などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記飲食品は、マタタビの果実の抽出物を、その活性を妨げないように任意の飲食物に配合したものであってもよいし、マタタビの果実の抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。また、前記飲食品は、マタタビの果実の抽出物そのものであってもよい。
【0027】
前記飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品や栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ等の医薬品、医薬部外品などが挙げられる。
【0028】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記飲食品を製造するにあたって通常用いられる、補助的原料又は添加物などが挙げられる。
前記補助的原料又は添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。
【0029】
前記飲食品中の、前記免疫賦活剤の含有量としては、対象となる飲食品の種類に応じて異なり、一概には規定することができないが、例えば、飲食品本来の味を損なわない範囲で任意の飲食物に配合することを目的とする場合には、有効成分であるマタタビの果実の抽出物の量として、0.001質量%〜50質量%が好ましく、0.01質量%〜20質量%がより好ましい。また、例えば、マタタビの果実の抽出物を主成分とする顆粒、錠剤、カプセル形態等の栄養補助飲食品を製造することを目的とする場合には、有効成分であるマタタビの果実の抽出物の量として、0.01質量%〜100質量%が好ましく、5質量%〜100質量%がより好ましい。
【0030】
(効果)
本発明の免疫賦活剤、及び、本発明の飲食品は、日常的に経口摂取することが可能であり、有効成分であるマタタビの果実の抽出物の働きによって、NO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、貪食能活性化作用等の免疫賦活作用を、極めて効果的に発揮させることができるものである。そのため、本発明の免疫賦活剤、及び、本発明の飲食品は、例えば、体力の低下した状態の老人や病人等の低下した免疫力を高め、病気の予防や早期治療のために、広く有効であると考えられる。なお、本発明の免疫賦活剤、及び、本発明の飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。また、本発明の免疫賦活剤、及び、本発明の飲食品は、天然由来のマタタビの果実の抽出物を有効成分としたものであり、安全性に優れる点でも、有利である。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0032】
(製造例1)
−マタタビの果実の熱水抽出物の製造−
抽出原料としてマタタビの果実の粉砕物100gを、熱水1000mLに投入し、攪拌しながら2時間、90℃に保った後、ろ過した。ろ液を60℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。
【0033】
(製造例2)
−マタタビの果実の30質量%(50質量%、70質量%)エタノール抽出物の製造−
抽出原料としてマタタビの果実の粉砕物100gを、30質量%エタノール(水とエタノールとの質量比7:3)1000mLに投入し、攪拌しながら2時間、80℃に保った後、ろ過した。ろ液を60℃で減圧下に濃縮し、更に減圧乾燥機で乾燥して、抽出物(粉末状)を得た。また、30質量%エタノールの代わりに、50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)、又は、70質量%エタノール(水とエタノールとの質量比3:7)を使用して、同様にそれぞれの抽出物(粉末状)を得た。得られた各抽出物の収率を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
(実施例1)
−一酸化窒素(NO)産生促進作用試験−
製造例1〜2の各マタタビ果実抽出物を被験試料として用い、下記の試験法により一酸化窒素(NO)産生促進作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を3.0×10
6cells/mLの濃度になるように10%FBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMで希釈した後、96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、4時間培養した。培養終了後、培地を抜き、終濃度0.5%DMSOを含む10%FBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMで溶解した各濃度の被験試料を各wellに50μL添加し、48時間培養した。また、対照(Control)として、被験試料を添加せず、終濃度0.5%DMSOを含む10%FBS含有フェノールレッド不含ダルベッコMEMのみを添加し、同様に実験を行った。
NO産生量は亜硝酸イオン(NO
2−)量を指標に測定した。培養終了後、各wellの培養液に、同量のグリス試薬(1%スルファニルアミド、0.1%N−1−naphthyl ethylendiamine dihydrochlpride in 5%リン酸溶液)を添加し、10分間室温にて反応した。反応後、波長540nmにおける吸光度を測定した。NO
2−を指標として検量線を作製し、培養上清中のNOの産生量を求めた。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2の結果から、いずれのマタタビ果実抽出物にも、非常に強いNO産生促進作用が認められた。また、その作用は、マタタビ果実の30質量%エタノール抽出物において特に強かった。
【0038】
(
参考例2)
−腫瘍壊死因子(TNF−α)産生促進作用試験−
製造例1〜2の各マタタビ果実抽出物を被験試料として用い、下記の試験法により腫瘍壊死因子(TNF−α)産生促進作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を、10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10
6cells/mLの濃度になるように10%FBS含有ダルベッコMEMで希釈した後、96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、4時間培養した。培養終了後、終濃度0.5%DMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEMで溶解した各濃度の被験試料を各wellに100μL添加し、24時間培養した。また、対照(Control)として、被験試料を添加せず、終濃度1%DMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEMのみを添加して、同様に実験を行った。
培養終了後、各wellの培養上清中のTNF−α量を、サンドイッチELISA法を用いて測定した。結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
表3の結果から、いずれのマタタビ果実抽出物にも、非常に強いTNF−α産生促進作用が認められた。
【0041】
(実施例3)
−INF−γ産生促進作用試験−
製造例1〜2の各マタタビ果実抽出物を被験試料として用い、下記の試験法によりINF−γ産生促進作用を試験した。
C57BL/6マウス(7週令、メス)から脾臓細胞を取り出し、RPMI1640+10%FBS培養液を用いて、96wellのマイクロプレートに6×10
5cell/100μL/wellずつ分注した。更に、各濃度で被験試料を溶解したRPMI1640+10%FBS培養液に、concanavalin Aを終濃度0.2μg/mLになるように加えたものを各wellに100μLずつ添加し、37℃、5%CO
2下で3日間培養した。また、対照(コントロール)として、被験試料を添加せず、RPMI1640+10%FBS培養液にconcanavalin Aを終濃度0.2μg/mLになるように加えたもののみを添加して、同様に実験を行った。
その後、培養液を150μLずつ回収し、その培養液を用いてmouse Interferon gamma(IFN−γ)ELISA system(amersham pharmacia biotech)により、IFN−γの産生量を測定した。以下の式1でIFN−γ産生促進率を算出した。結果を表4に示す。
[式1]
IFN−γ産生促進率(%)=(A/B)×100
A:試料処理時のIFN−γ産生量
B:試料未処理時のIFN−γ産生量
【0042】
【表4】
【0043】
表4の結果から、いずれのマタタビ果実抽出物にも、非常に強いIFN−γ産生促進作用が認められた。
【0044】
(
参考例4)
−貪食能活性化作用試験−
製造例1〜2の各マタタビ果実抽出物を被験試料として用い、下記の試験法により貪食能活性化作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)を10%FBS含有ダルベッコMEMを用いて培養した後、セルスクレーパーにより細胞を回収した。回収した細胞を1.5×10
6cells/wellの濃度になるように6wellプレートに1.8mL播種し、1時間培養した。培養終了後、終濃度0.5%DMSOを含む10%FBS含有ダルベッコMEMで溶解した被験試料を各wellに200μL添加し、4時間培養した。培養終了後、培地を抜き、新しい10%FBS含有ダルベッコMEMを各wellに1.0mL添加し、希釈した蛍光ビーズ(Fluoresbrite YG carboxylate microspheres,2μm;Polyscience)を各wellに10μL添加した。6wellプレートを1時間、37℃で振盪培養した。培養終了後、培地を抜き、0.1%NaN
3 1mLを加え反応を止めた。次にPBS 1mLで洗浄後、細胞を顕微鏡下で写真撮影した。各well中のビーズを貪食した細胞の数を、1wellあたり2視野、目視でカウントし、以下の式2で貪食能活性化率を算出した。結果を表5に示す。
[式2]
貪食能活性化率(%)=A/B×100
A:被験試料添加時のビーズ貪食細胞率
B:被験試料無添加時のビーズ貪食細胞率
なお、上記式2において、被験試料無添加(コントロール)の貪食能活性化率は100%となる。
【0045】
【表5】
【0046】
表5の結果から、いずれのマタタビ果実抽出物にも、非常に強い貪食能活性化作用が認められた。また、その作用は、マタタビ果実の30質量%エタノール抽出物において特に強かった。
【0047】
前記実施例1〜4の結果から、マタタビの果実の抽出物は、免疫賦活作用の指標となるNO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、及び、貪食能活性化作用の各評価において、極めて強い作用を有することが認められた。このことから、マタタビの果実の抽出物は、免疫賦活剤として非常に有用であり、免疫力を高めることを目的とした健康食品、栄養補助食品などに幅広く利用可能であることが示唆された。
【0048】
(配合実施例1)
−錠剤状栄養補助食品−
下記の混合物を打錠して、錠剤状栄養補助食品を製造した。
・製造例1のマタタビの果実の熱水抽出物・・・11質量%
・粉糖(ショ糖)・・・52質量%
・グアガム分解物・・・33質量%
・グリセリン脂肪酸エステル・・・4質量%
【0049】
(配合実施例2)
−顆粒状栄養補助食品−
下記の混合物を顆粒状に形成して、栄養補助食品を製造した。
・製造例1のマタタビの果実の熱水抽出物・・・6.7質量%
・ビートオリゴ糖・・・59.3質量%
・ビタミンC・・・33.3質量%
・ステビア抽出物・・・0.7質量%
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の免疫賦活剤は、マタタビの果実の抽出物を含み、優れたNO産生促進作用、TNF−α産生促進作用、IFN−γ産生促進作用、及び、貪食能活性化作用の少なくともいずれかを有し、かつ、安全性にも優れたものである。したがって、本発明の免疫賦活剤は、例えば、体力の低下した状態の老人や病人等の低下した免疫力を高めることを目的とした、健康食品、栄養補助食品などに幅広く利用可能である。