(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第4工程では、表面に絶縁性樹脂組成物が設けられたフィルムを前記一方の主面に貼付けることで、前記一方の主面上に、前記複数の突出電極を覆う絶縁性樹脂層を形成することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載された半導体装置の製造方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂を封止充填するための方式としては、一般に、半導体チップと基板とを接続した後、毛細管現象を利用して液状封止樹脂を半導体チップと基板との間隙に注入する方式が採用されている。しかしながら、MPUなどはチップが大型化しているため、液状樹脂を均一に充填することが困難な場合があった。また、液晶ドライバICの実装パッケージであるCOF(Chip On Film)は、回路電極の狭ピッチ化に伴って、半導体チップと基板との間に形成される空隙が狭くなりつつあるため、液状樹脂の注入が困難になる場合があった。
【0006】
そこで、半導体チップと基板との間に形成される空隙を封止充填するための樹脂(ペースト状やフィルム状)を半導体チップや基板表面に予め供給した後、フリップチップ接続を行うことによって、半導体チップと基板との接続と同時に樹脂による封止充填を完了する半導体装置の製造方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、ペースト状の樹脂を半導体チップや基板に対して個別に供給する場合、半導体チップと基板との接続部分以外の回路電極を汚染しないように塗布パターンや塗布量を制御する必要があるが、樹脂の粘度の経時変化によって塗布パターンや塗布量の制御が困難になる場合があった。一方、フィルム状の樹脂を半導体チップや基板に対して個別に供給する場合、各半導体チップ又は各基板に対してフィルム状の樹脂を貼り付ける装置が別途必要となったり、各半導体チップ又は各基板に対してフィルム状の樹脂を貼り付けるために時間を要することから、半導体装置の生産性が低下する場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、半導体装置を簡便に製造することが可能で、且つ、生産性に優れた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、一方の主面に複数の突出電極が設けられた半導体ウエハを用意する第1工程と、ダイシングテープを半導体ウエハの他方の主面及び環状のダイシングフレームに貼付けて、半導体ウエハがダイシングフレームに固定された状態とする第2工程と、一方の主面側から半導体ウエハを所定の深さまでダイシングして、半導体ウエハを貫通しない複数の切断溝を一方の主面側に形成する第3工程と、一方の主面上に、複数の突出電極を覆う絶縁性樹脂層を形成する第4工程と、他方の主面からのダイシングテープの剥離が行われた状態で、複数の切断溝に至るまで他方の主面側から半導体ウエハを研削し、絶縁性樹脂層が繋がったまま半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化する第5工程と、絶縁性樹脂層の表面及び他方の主面のうちいずれか一方に支持テープを貼付け、支持テープの主面に沿う方向に支持テープを引き伸ばすことによって、絶縁性樹脂層を複数の半導体チップの外形に沿うように切断する第6工程と、半導体チップを支持テープから剥離してピックアップする第7工程と、第7工程でピックアップされた半導体チップを接続ヘッドによって保持した状態で、当該半導体チップの突出電極と基板上の回路電極との位置合わせを行い、接続ヘッドを用いて当該半導体チップと基板とを加熱圧着することで、当該半導体チップの突出電極と基板の回路電極とを電気的に接続する第8工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、第4工程において、半導体ウエハの一方の主面上に、複数の突出電極を覆う絶縁性樹脂層を形成し、第5工程において、半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化し、第6工程において、絶縁性樹脂層を複数の半導体チップの外形に沿うように切断している。そのため、半導体チップの回路面に予め絶縁性樹脂層が配置されたものを形成することができる。従って、回路面に予め絶縁性樹脂層が配置された半導体チップを基板に搭載するだけで、半導体チップと基板との間に形成される空隙を樹脂で封止充填することができることとなる。その結果、ペースト状の樹脂の塗布パターンや塗布量を制御したり、半導体チップ又は基板に対してフィルム状の樹脂を個別に貼り付ける必要がなくなるので、半導体装置を簡便に製造することが可能で、且つ、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法では、第3工程において、一方の主面側から半導体ウエハを所定の深さまでダイシングして、半導体ウエハを貫通しない複数の切断溝を一方の主面側に形成し、第4工程において、半導体ウエハの一方の主面上に、複数の突出電極を覆う絶縁性樹脂層を形成し、第5工程及び第6工程において、半導体ウエハの一方の主面上に複数の突出電極を覆うように形成された絶縁性樹脂層の表面がバックグラインドテープや支持テープと貼り合わされて露出しない状態で、半導体ウエハを取り扱うため、半導体ウエハのバックグラインド時に発生する切削屑や半導体ウエハを個片化する際に発生する切断屑が絶縁性樹脂層の表面に付着することがない。その結果、切削屑や切断屑によるボイドの発生や絶縁信頼性不良を防止することが可能となる。
【0012】
ところで、半導体装置の薄型化や半導体チップの多段積層に対応するため、半導体チップの薄型化が求められている。そこで、半導体チップの薄型化のために、半導体ウエハの状態で半導体ウエハの他方の主面側(突出電極が形成されていない主面側)を研削するバックグラインド加工が行われている。
【0013】
そして、近年、半導体チップの更なる薄型化が要求されており、100μm以下の厚さの半導体ウエハを取り扱う必要が出てきている。このような非常に薄い半導体ウエハを単体で取り扱う場合、半導体ウエハの機械的強度が低下しているため、割れや欠け等のダメージが半導体ウエハに発生する虞が高いものであった。また、このような非常に薄い半導体ウエハをダイシングする場合も、同様に、割れや欠け等のダメージが半導体ウエハに発生する虞が高いものであった。そのため、半導体ウエハを薄くすればするほど、半導体装置の歩留まりの低下が懸念されていた。
【0014】
しかしながら、本発明に係る半導体装置の製造方法では、第3工程において、一方の主面側から半導体ウエハを所定の深さまでダイシングして、半導体ウエハを貫通しない複数の切断溝を一方の主面側に形成し、第5工程において、他方の主面からのダイシングテープの剥離が行われた状態で、複数の切断溝に至るまで他方の主面側から半導体ウエハを研削し、絶縁性樹脂層が繋がったまま半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化し、第6工程において、絶縁性樹脂層を複数の半導体チップの外形に沿うように切断している。そのため、半導体ウエハを単体で取り扱う場合や半導体ウエハをダイシングする場合の半導体ウエハの厚みは、ある程度厚くても構わない。その結果、薄い半導体チップを割れや欠け等のダメージなく作ることができ、半導体装置の歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、一方の主面に複数の突出電極が設けられた半導体ウエハを用意する第1工程と、ダイシングテープを半導体ウエハの他方の主面及び環状のダイシングフレームに貼付けて、半導体ウエハがダイシングフレームに固定された状態とする第2工程と、一方の主面側から半導体ウエハを所定の深さまでダイシングして、半導体ウエハを貫通しない複数の切断溝を一方の主面側に形成する第3工程と、一方の主面上に、複数の突出電極を覆う絶縁性樹脂層を形成する第4工程と、他方の主面からのダイシングテープの剥離が行われた状態で、複数の切断溝に至るまで他方の主面側から半導体ウエハを研削し、絶縁性樹脂層が繋がったまま半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化する第5工程と、絶縁性樹脂層の表面及び他方の主面のうちいずれか一方に支持テープを貼付け、支持テープの主面に沿う方向に支持テープを引き伸ばすことによって、絶縁性樹脂層を複数の半導体チップの外形に沿うように切断する第6工程と、半導体チップを支持テープから剥離してピックアップする第7工程と、第7工程でピックアップされた半導体チップを位置合わせヘッドによって保持した状態で、当該半導体チップの突出電極と基板上の回路電極との位置合わせを行い、位置合わせヘッドを用いて当該半導体チップと基板とを仮固定する第8工程と、位置合わせヘッドよりも高温に設定された接続ヘッド又は接続ステージによって当該半導体チップと基板とを加熱圧着することで、当該半導体チップの突出電極と基板の回路電極とを電気的に接続する第9工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、第4工程において、半導体ウエハの一方の主面上に、複数の突出電極を覆う絶縁性樹脂層を形成し、第5工程において、半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化し、第6工程において、絶縁性樹脂層を複数の半導体チップの外形に沿うように切断している。そのため、半導体チップの回路面に予め絶縁性樹脂層が配置されたものを形成することができる。従って、回路面に予め絶縁性樹脂層が配置された半導体チップを基板に搭載するだけで、半導体チップと基板との間に形成される空隙を樹脂で封止充填することができることとなる。その結果、ペースト状の樹脂の塗布パターンや塗布量を制御したり、半導体チップ又は基板に対してフィルム状の樹脂を個別に貼り付ける必要がなくなるので、半導体装置を簡便に製造することが可能で、且つ、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法では、第3工程において、一方の主面側から半導体ウエハを所定の深さまでダイシングして、半導体ウエハを貫通しない複数の切断溝を一方の主面側に形成し、第4工程において、半導体ウエハの一方の主面上に、複数の突出電極を覆う絶縁性樹脂層を形成し、第5工程及び第6工程において、半導体ウエハの一方の主面上に複数の突出電極を覆うように形成された絶縁性樹脂層の表面がバックグラインドテープや支持テープと貼り合わされて露出しない状態で、半導体ウエハを取り扱うため、半導体ウエハのバックグラインド時に発生する切削屑や半導体ウエハを個片化する際に発生する切断屑が絶縁性樹脂層の表面に付着することがない。その結果、切削屑や切断屑によるボイドの発生や絶縁信頼性不良を防止することが可能となる。
【0018】
ところで、半導体装置の薄型化や半導体チップの多段積層に対応するため、半導体チップの薄型化が求められている。そこで、半導体チップの薄型化のために、半導体ウエハの状態で半導体ウエハの他方の主面側(突出電極が形成されていない主面側)を研削するバックグラインド加工が行われている。
【0019】
そして、近年、半導体チップの更なる薄型化が要求されており、100μm以下の厚さの半導体ウエハを取り扱う必要が出てきている。このような非常に薄い半導体ウエハを単体で取り扱う場合、半導体ウエハの機械的強度が低下しているため、割れや欠け等のダメージが半導体ウエハに発生する虞が高いものであった。また、このような非常に薄い半導体ウエハをダイシングする場合も、同様に、割れや欠け等のダメージが半導体ウエハに発生する虞が高いものであった。そのため、半導体ウエハを薄くすればするほど、半導体装置の歩留まりの低下が懸念されていた。
【0020】
しかしながら、本発明に係る半導体装置の製造方法では、第3工程において、一方の主面側から半導体ウエハを所定の深さまでダイシングして、半導体ウエハを貫通しない複数の切断溝を一方の主面側に形成し、第5工程において、他方の主面からのダイシングテープの剥離が行われた状態で、複数の切断溝に至るまで他方の主面側から半導体ウエハを研削し、絶縁性樹脂層が繋がったまま半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化し、第6工程において、絶縁性樹脂層を複数の半導体チップの外形に沿うように切断している。そのため、半導体ウエハを単体で取り扱う場合や半導体ウエハをダイシングする場合の半導体ウエハの厚みは、ある程度厚くても構わない。その結果、薄い半導体チップを割れや欠け等のダメージなく作ることができ、半導体装置の歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0021】
ところで、半導体チップの突出電極がAuであり、基板の回路電極がSnめっき銅であるような場合、半導体チップの突出電極と基板の回路電極とを金属接合するために、接続温度をSnとAuとの共晶温度である278℃以上にする必要があり、半導体チップが保持される接続装置のヘッドやステージの温度を300℃以上に設定する必要がある。しかしながら、このような高温によって絶縁性樹脂層が加熱されると、半導体チップを保持している間、すなわち、半導体チップの突出電極と基板の回路電極とが接合する前に絶縁性樹脂層が硬化してしまい、絶縁性樹脂層による半導体チップと基板との接着がうまく行われないことがある。ここで、温度を急速に昇温することができるパルスヒート制御可能な接続装置もあるが、接続を行う度に昇温及び冷却といった温度制御を行う必要があり、接続時間が長くなるため生産性が低下する。このため、接続装置の設定温度を一定に保った状態(コンスタントヒート)で半導体装置の製造を行う方が生産性向上に有利である。
【0022】
そこで、本発明に係る半導体装置の製造方法では、第8工程において、第7工程でピックアップされた半導体チップを位置合わせヘッドによって保持した状態で、当該半導体チップの突出電極と基板上の回路電極との位置合わせを行い、位置合わせヘッドを用いて当該半導体チップと基板とを仮固定し、第9工程において、位置合わせヘッドよりも高温に設定された接続ヘッド又は接続ステージによって当該半導体チップと基板とを加熱圧着することで、当該半導体チップの突出電極と基板の回路電極とを電気的に接続している。つまり、当該半導体チップを高温の接続ヘッド又は接続ステージによって保持する必要がないため、半導体チップの突出電極と基板の回路電極とが接合する前に、熱履歴等で絶縁性樹脂層の硬化状態が変化してしまうのを抑制することが可能となる。
【0023】
好ましくは、絶縁性樹脂層の可視光に対する光透過率が10%以上である。絶縁性樹脂層の可視光に対する光透過率が10%未満であると、半導体ウエハの一方の主面に形成されている位置合わせ用の基準マークを、絶縁性樹脂層を通して認識することが困難となる傾向にある。
【0024】
好ましくは、半導体チップと基板とを加熱圧着する際の温度が300℃以上であるときに、絶縁性樹脂層として発泡しないものを用いる。このようにすると、発泡によるボイド発生及びそのボイドによる絶縁信頼性や接着性の低下を抑制することができ、得られる半導体装置の信頼性を確保することが可能となる。
【0025】
好ましくは、第4工程では、表面に絶縁性樹脂組成物が設けられたフィルムを一方の主面に貼付けることで、一方の主面上に、複数の突出電極を覆う絶縁性樹脂層を形成する。
【0026】
好ましくは、絶縁性樹脂層を構成する絶縁性樹脂組成物が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、半導体装置を簡便に製造することが可能で、且つ、生産性に優れた半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、説明中、「上」及び「下」なる語を使用することがあるが、これは図面の上方向及び下方向に対応したものである。
【0029】
図1〜
図10を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0030】
まず、
図1に示されるような半導体ウエハ10を用意する。半導体ウエハ10は、回路面(一方の主面)S1と、回路面S1の反対側の面である裏面(他方の主面)S2とを有している。回路面S1には、当該回路面S1から突出する突出電極10aが複数形成されている。なお、このときの半導体ウエハ10の厚さは、例えば600μm〜725μm程度である。
【0031】
続いて、
図2に示されるように、半導体ウエハ10の裏面S2及びダイシングフレーム12の下縁12aにダイシングテープ14を貼付ける。ここで、ダイシングフレーム12は、円環状(リング状)の金属製部材であり、半導体ウエハ10のダイシング時に半導体ウエハ10の固定治具として用いられる。ダイシングフレーム12は、その内径が半導体ウエハ10の外形よりも大きくなっており、半導体ウエハ10を囲むようにダイシングテープ14上に配置される。
【0032】
また、ダイシングテープ14は、基材フィルム14aと、基材フィルム14aの表面に形成された粘着層14bとを有している。ダイシングテープ14としては、加熱及び紫外線照射の少なくともいずれか一方により粘着層14bの粘着力が低下して粘着層14bが基材フィルム14aから剥離可能となるものであれば、特に制限されることなく従来公知のものを使用することができる。
【0033】
続いて、
図3に示されるように、ダイシングフレーム12及びダイシングテープ14に搭載された半導体ウエハ10を、ダイシング装置のステージ16上に載置する。次に、カメラ等を用いて、半導体ウエハ10の回路面S1上に形成されているダイシングパターンを、半導体ウエハ10の回路面S1側から認識する。そして、認識されたダイシングパターンに基づいて、半導体ウエハ10の回路面S1が上方を向いた状態(半導体ウエハ10の回路面S1がダイシングブレードDBに向かう状態)で、ダイシングブレードDBによって、回路面S1側から半導体ウエハ10を所定の深さまでダイシング(いわゆる、フェイスアップダイシング)する(所定の深さまでのダイシングを、「ハーフカット」ともいう。)。これにより、半導体ウエハ10を貫通しない複数の切断溝10bが回路面S1側に形成される(
図3参照)。
【0034】
切断溝10bの深さは、後の工程で得られる半導体チップ24(詳しくは後述する)が所望の厚みとなるような深さとすることができる。例えば、100μmの厚みの半導体チップ24を得たい場合には、切断溝10bの深さは少なくとも100μm以上である必要がある。なお、これらの複数の切断溝10bは、複数の半導体チップ24の外形に沿うように形成される。
【0035】
続いて、
図4に示されるように、半導体ウエハ10の回路面S1上に絶縁性樹脂層18を形成する。絶縁性樹脂層18は、樹脂ワニスをスピンコート法によって半導体ウエハ10の回路面S1上に塗布した後、乾燥することによって形成してもよく、樹脂ワニスを印刷法によって半導体ウエハ10の回路面S1上に塗布した後、乾燥することによって形成してもよく、フィルム状樹脂をロールラミネータや真空ラミネータを用いて半導体ウエハ10の回路面S1に貼り合わせることによって形成してもよい。このうち、作業性の観点から、フィルム状樹脂を用いて絶縁性樹脂層18を形成することが好ましい。
【0036】
ここで、フィルム状樹脂としては、単独でフィルム形成が可能な樹脂組成物を用いてもよいし、離型処理されたPETフィルムなどの支持フィルム(図示せず)上に樹脂組成物を塗布して乾燥したものを用いてもよい。離型処理された支持フィルム上に樹脂組成物を塗布して乾燥したものを用いる場合には、半導体ウエハ10の回路面S1に当該樹脂組成物を貼り付けて、離型処理された支持フィルムを剥離することで、半導体ウエハ10の回路面S1上に絶縁性樹脂層18を形成する。なお、スピンコート法や印刷法によって絶縁性樹脂層18を形成する場合には、半導体ウエハ10をダイシングフレーム12及びダイシングテープ14から取り外す必要がある。
【0037】
一方、フィルム状樹脂を用いて絶縁性樹脂層18を形成する場合には、半導体ウエハ10をダイシングフレーム12に搭載したままでも、半導体ウエハ10をダイシングフレーム12及びダイシングテープ14から取り外した後であっても構わない。半導体ウエハ10をダイシングテープ14から剥離するためには、回路面S1及び裏面S2の両側から紫外線を照射し、ダイシングテープ14の粘着層14bを硬化させて、粘着層14bの粘着力を低下させることが可能なダイシングテープを用いることが好ましい。
【0038】
絶縁性樹脂層18は、半導体ウエハ1の回路面S1に形成されている位置合わせ用基準マーク(図示せず)を認識できるように、可視光に対する透過性を備えていることが望ましく、例えば、555nmの光に対して10%以上の透過率を示すことが望ましい。絶縁性樹脂層12の可視光に対する光透過率が10%未満であると、半導体ウエハ10の回路面S1に形成されている位置合わせ用の基準マークを、絶縁性樹脂層18を通して認識することが困難となる傾向にある。
【0039】
絶縁性樹脂層18は、高温接続条件においてボイドが発生しないものを用いることが望ましい。例えば、COF(Chip On Film)においては接続温度が300℃以上となるため、樹脂の熱分解等に起因する樹脂発泡によってボイドが発生することが懸念事項であるが、300℃以上で樹脂発泡を起こさない樹脂組成物を用いて絶縁性樹脂層18を構成することによってボイドを抑制することが可能となる。
【0040】
絶縁性樹脂層18は、熱硬化性成分とその硬化剤とを含んでいることが望ましい。熱硬化性成分としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、トリアジン樹脂、シアノアクリレート樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フラン樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シロキサン変性エポキシ樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、アクリレート樹脂などが挙げられ、特に好ましいのは耐熱性の観点からエポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シロキサン変性エポキシ樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂である。これらは単独または二種以上の混合物として使用することができる。硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール類、第3級アミン、有機過酸化物等が挙げられる。これらは、単独または二種以上の混合物として使用することができる。熱硬化性成分と硬化剤との組み合わせとして耐熱性の観点から特に好ましいのは、エポキシ樹脂とフェノール樹脂、及びエポキシ樹脂とイミダゾール類である。
【0041】
絶縁性樹脂層18は、熱可塑性成分を含んでいてもよく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエンゴムスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体、アクリル酸共重合体などが挙げられる。これらは、単独または二種以上を併用して使用することができる。これらの中でも、耐熱性及びフィルム形成性の観点から、ポリイミド樹脂やフェノキシ樹脂が好ましい。
【0042】
絶縁性樹脂層18には、低熱膨張化のために無機フィラーを含んでいてもよく、可視光に対する透過率を10%より低下させないように、フィラー種、粒径、配合量などを設定することが好ましい。
【0043】
さらに、絶縁性樹脂層18には、硬化促進剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、酸化防止剤、レベリング剤、イオントラップ剤などの添加剤を配合してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。配合量については、各添加剤の効果が発現するように調整すればよい。
【0044】
絶縁性樹脂層18の厚みは、絶縁性樹脂層18が半導体チップ24と基板38(詳しくは後述する)との間を充分に充填できる厚みであることが好ましい。通常、絶縁性樹脂層18の厚みが突出電極10aの高さと基板38の回路電極38aの高さとを加えた値に相当する厚みであれば、半導体チップ24と基板38との間を充てん可能である。
【0045】
続いて、
図5に示されるように、絶縁性樹脂層18の表面にバックグラインドテープBTを貼付ける。このバックグラインドテープBTは、基材フィルムBTaと、基材フィル
ムBTaの表面に形成された粘着層BTbとを有しており、粘着層BTbと絶縁性樹脂層18の表面とが接着されている。
【0046】
続いて、半導体ウエハ10の裏面S2側が上方(研削砥石20側)を向くように、バックグラインドテープBTの基材フィルムBTaの表面を半導体ウエハ研削装置のステージ22に固定する。そして、
図6に示されるように、研削砥石20及びステージ22を共に回転させながら研削砥石20を半導体ウエハ10の裏面S2側に押しつけて、半導体ウエハ10を研削(バックグラインド)する。研削砥石20による半導体ウエハ10の研削は、少なくとも研削砥石20が切断溝10bに達するまで行われる。
【0047】
これにより、絶縁性樹脂層18が繋がったまま半導体ウエハ10が複数の半導体チップ24に個片化される。このときの半導体チップ24の厚みは、研削砥石20による半導体ウエハ10の研削量によって所望の厚み(例えば50μm〜550μm程度)に調整することができる。半導体チップ24のサイズとしては特に制限はないが、例えばCOF用の半導体チップの場合、1mm〜2mm×10mm〜25mm程度の矩形状となるようにする。
【0048】
続いて、
図7に示されるように、半導体チップ24の裏面(回路面S1の反対側の面)S3及びウエハリング26の下縁26aに支持テープ28を貼付ける。ここで、ウエハリング26は、円環状(リング状)の金属製部材であり、支持テープ28の引き伸ばし(エキスパンド)時に半導体ウエハ10の固定治具として用いられる。ウエハリング26は、その内径が、半導体チップ24に個片化される前の半導体ウエハ10の外形よりも大きくなっており、複数の半導体チップ24を囲むように支持テープ28上に配置される。
【0049】
また、支持テープ28は、基材フィルム28aと、基材フィルム28aの表面に形成された粘着層28bとを有している。支持テープ28としては、加熱及び紫外線照射の少なくともいずれか一方により粘着層28bの粘着力が低下して粘着層28bが基材フィルム28aから剥離可能となるものであれば、特に制限されることなく従来公知のもの(例えば、ダイシングテープ)を使用することができる。なお、バックグラインドの際に用いられたバックグラインドテープBTは、ウエハリング26及び支持テープ28への複数の半導体チップ24の搭載の後に剥離することが好ましい。
【0050】
続いて、
図8に示されるように、半導体チップ24のピックアップ装置(図示せず)のウエハリング固定部に、固定治具30によってウエハリング26を固定する。そして、半導体チップ24の裏面S3側から支持テープ28を介して、円筒状の押し上げ治具32によって複数の半導体チップ24を押し上げる。このとき、支持テープ28がある程度の伸縮性を有していることから、支持テープ28は、その主面に沿う方向(面内方向)に引き伸ばされる。そのため、支持テープ28が引き伸ばされるのに伴って隣り合う半導体チップ24との間隔が大きくなり、絶縁性樹脂層18が複数の半導体チップ24の外形に沿って(半導体ウエハ10の切断溝10bに沿って)切断される。
【0051】
このとき、絶縁性樹脂層18の樹脂組成物に応じて、押し上げ治具32による押し上げ時の温度、押し上げ速度及び押し上げ量を制御することによって、絶縁性樹脂層18のみを良好に切断することができる。なお、押し上げ時の温度を下げたり、押し上げ速度を速くしたり、押し上げ量を多くしたりすることによって、絶縁性樹脂層18を切断しやすくなる傾向がある。また、半導体チップ24を支持テープ28から剥離するためには、回路面S1及び裏面S3の両側から紫外線を照射し、支持テープ28の粘着層28bを硬化させて、粘着層28bの粘着力を低下させることができる支持テープ28を用いることが好ましい。
【0052】
続いて、ピックアップ装置(図示せず)を用いて半導体チップ24の一つをピックアップし、
図9に示されるように、半導体チップ24を接続ヘッド34によって吸着し、保持する。そして、接続ヘッド34によって半導体チップ24を保持したまま、半導体チップ24と接続ステージ36上に載置されている基板38との位置合わせを行う。半導体チップ24と基板38との位置合わせは、上下の双方を同時に認識可能な認識用カメラ40を用いて、半導体チップ24の回路面S1上に形成されている位置合わせ用基準マーク(図示せず)又は突出電極10aと、基板38の回路面S4上に形成されている位置合わせ用基準マーク(図示せず)又は回路電極38aとを認識することにより行われる(
図9の上向きの矢印及び下向きの矢印を参照)。
【0053】
続いて、
図10に示されるように、接続ヘッド34及び接続ステージ36によって半導体チップ24、絶縁性樹脂層18、基板38等を加熱しつつ、半導体チップ24と基板38とを圧着する。これにより、絶縁性樹脂層18が溶融して半導体チップ24と基板28との間に形成される空隙が絶縁性樹脂層18によって封止充填されつつ、半導体チップ24の突出電極10aと基板38の回路電極38aとが電気的に接続される。その結果、半導体チップ24と基板38とが電気的に接続された半導体装置を得ることができる。なお、絶縁性樹脂層18の硬化をさらに促進させるために、引き続いて加熱オーブンなどを用いて加熱処理を行うようにしてもよい。
【0054】
以上のような本実施形態においては、半導体ウエハ10の回路面S1上に、複数の突出電極10aを覆う絶縁性樹脂層18を形成し、半導体ウエハ10を複数の半導体チップ24に個片化し、絶縁性樹脂層18を複数の半導体チップ24の外形に沿うように切断している。そのため、半導体チップ24の回路面S1に予め絶縁性樹脂層18が配置されたものを形成することができる。従って、回路面S1に予め絶縁性樹脂層18が配置された半導体チップ24を基板38に搭載するだけで、半導体チップ24と基板38との間に形成される空隙を樹脂で封止充填することができることとなる。その結果、ペースト状の樹脂の塗布パターンや塗布量を制御したり、半導体チップ24又は基板38に対してフィルム状の樹脂を個別に貼り付ける必要がなくなるので、半導体装置を簡便に製造することが可能で、且つ、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0055】
また、本実施形態においては、回路面S1側から半導体ウエハ10を所定の深さまでダイシングして、半導体ウエハ10を貫通しない複数の切断溝10bを回路面S1側に形成し、半導体ウエハ10の回路面S1上に、複数の突出電極10aを覆う絶縁性樹脂層18を形成し、絶縁性樹脂層18の表面がバックグラインドテープや支持テープと貼り合わされて露出しない状態で、半導体ウエハ10を取り扱うため、半導体ウエハ10のバックグラインド時に発生する切削屑や半導体ウエハ10を個片化する際に発生する切断屑が絶縁性樹脂層18の表面に付着することがない。その結果、切削屑や切断屑によるボイドの発生や絶縁信頼性不良を防止することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態においては、半導体ウエハ10の回路面S1上に形成されている複数の突出電極10aが絶縁性樹脂層18内に埋め込まれるように、絶縁性樹脂層18が形成される。そのため、突出電極10aの先端を先鋭化させたり、絶縁性樹脂層18の厚みを調整するなどといった、突出電極10aの頭出しを行うのに要する手間を省くことができる。その結果、生産性の一層の向上を図ることが可能となる。なお、突出電極10aの頭出しをしなくても、絶縁性樹脂層18の流動性を調整することにより、突出電極10aと回路電極38aとの電気的接続を確保することが可能である。
【0057】
ところで、半導体装置の薄型化や半導体チップの多段積層に対応するため、半導体チップの薄型化が求められている。そこで、半導体チップの薄型化のために、半導体ウエハの状態で半導体ウエハの他方の主面側(突出電極が形成されていない主面側)を研削するバックグラインド加工が行われている。
【0058】
そして、近年、半導体チップの更なる薄型化が要求されており、100μm以下の厚さの半導体ウエハを取り扱う必要が出てきている。このような非常に薄い半導体ウエハを単体で取り扱う場合、半導体ウエハの機械的強度が低下しているため、割れや欠け等のダメージが半導体ウエハに発生する虞が高いものであった。また、このような非常に薄い半導体ウエハをダイシングする場合も、同様に、割れや欠け等のダメージが半導体ウエハに発生する虞が高いものであった。そのため、半導体ウエハを薄くすればするほど、半導体装置の歩留まりの低下が懸念されていた。
【0059】
また、本実施形態においては、回路面S1側から半導体ウエハ10を所定の深さまでダイシングして、半導体ウエハ10を貫通しない複数の切断溝10bを回路面S1側に形成し、裏面S2からのダイシングテープ14の剥離が行われた状態で、複数の切断溝10bに至るまで裏面S2側から半導体ウエハ10を研削し、絶縁性樹脂層18が繋がったまま半導体ウエハ10を複数の半導体チップ24に個片化し、絶縁性樹脂層18を複数の半導体チップ24の外形に沿うように切断している。そのため、半導体ウエハ10を単体で取り扱う場合や半導体ウエハ10をダイシングする場合の半導体ウエハ10の厚みは、ある程度厚くても構わない。その結果、薄い半導体チップ24を割れや欠け等のダメージなく作ることができ、半導体装置の歩留まりの向上を図ることが可能となる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、絶縁性樹脂層18の表面にバックグラインドテープBTを貼付けた後に半導体ウエハ10のバックグラインドを行ったが、
図11に示されるように、半導体ウエハ10のバックグラインドの際にバックグラインドテープBTを用いなくてもよい。このとき、半導体ウエハ10の裏面S2側が上方(研削砥石20側)を向くようにして、絶縁性樹脂層18の表面を半導体ウエハ研削装置のステージ22に固定し、研削砥石20及びステージ22を共に回転させながら研削砥石20を半導体ウエハ10の裏面S2側に押しつけて、半導体ウエハ10を研削(バックグラインド)する。なお、半導体ウエハ10はステージ22に吸着により固定され、絶縁性樹脂層18に熱が加えられないので、絶縁性樹脂層18がステージ22と接着する虞は少ない。
【0061】
また、
図12に示されるように、バックグラインドの際にウエハリング26を用いてもよい。このときには、まず、絶縁性樹脂層18の表面に及びウエハリング26の下縁26aに支持テープ28を貼付けたものを用意する。続いて、半導体ウエハ10の裏面S2側が上方(研削砥石20側)を向くように、支持テープ28の基材フィルム28aの表面を半導体ウエハ研削装置のステージ22に固定する。そして、
図12に示されるように、研削砥石20及びステージ22を共に回転させながら研削砥石20を半導体ウエハ10の裏面S2側に押しつけて、半導体ウエハ10を研削(バックグラインド)する。
【0062】
この場合、バックグラインドを行った後に、押し上げ治具32によって複数の半導体チップ24を押し上げることにより、
図13に示されるように、絶縁性樹脂層18が複数の半導体チップ24の外形に沿って(半導体ウエハ10の切断溝10bに沿って)切断される。このようにすると、バックグラインドを行った後に、バックグラインドテープBTから支持テープ28へと貼り替える工程を簡略化することが可能となる。ただし、この方法によってバックグラインドを行うためには、ウエハリング26の内径よりも小さい外形の研削砥石20を用いる必要がある。
【0063】
また、本実施形態では個片化された半導体チップ24の一つをピックアップした後に、接続ヘッド34を用いて直ちに半導体チップ24と基板38との接続を行うようにしたが、まず位置合わせヘッド42を用いて半導体チップ24と基板38との位置合わせを行い、その後接続ヘッド34及び接続ステージ36を用いて半導体チップ24と基板38との接続を行うようにしてもよい。
【0064】
具体的には、絶縁性樹脂層18を複数の半導体チップ24の外形に沿うように切断した後、ピックアップ装置(図示せず)を用いて半導体チップ24の一つをピックアップし、
図14に示されるように、半導体チップ24を位置合わせヘッド42によって吸着し、保持する。そして、位置合わせヘッド42によって半導体チップ24を保持したまま、半導体チップ24と位置合わせステージ44上に載置されている基板38との位置合わせを行う。半導体チップ24と基板38との位置合わせは、上下の双方を同時に認識可能な認識用カメラ40を用いて、半導体チップ24の回路面S1上に形成されている位置合わせ用基準マーク(図示せず)又は突出電極10aと、基板38の回路面S4上に形成されている位置合わせ用基準マーク(図示せず)又は回路電極38aとを認識することにより行われる(
図14の上向きの矢印及び下向きの矢印を参照)。
【0065】
続いて、
図15に示されるように、位置合わせヘッド42及び位置合わせステージ44によって半導体チップ24、絶縁性樹脂層18、基板38等を加熱しつつ加圧することで、絶縁性樹脂層18の表面と基板38とを仮固定する。このときの加熱温度は、絶縁性樹脂層18が粘着性を示す温度であれば特に制限されないが、例えば、40℃〜100℃程度に設定することができる。
【0066】
続いて、
図16に示されるように、位置合わせヘッド42及び位置合わせステージ44よりも高温に設定された接続ヘッド34及び接続ステージ36によって半導体チップ24、絶縁性樹脂層18、基板38等を加熱しつつ、半導体チップ24と基板38とを圧着する。これにより、絶縁性樹脂層18が溶融して半導体チップ24と基板38との間に形成される空隙が絶縁性樹脂層18によって封止充填されつつ、半導体チップ24の突出電極10aと基板38の回路電極38aとが電気的に接続される。その結果、半導体チップ24と基板38とが電気的に接続された半導体装置を得ることができる。なお、絶縁性樹脂層18の硬化をさらに促進させるために、引き続いて加熱オーブンなどを用いて加熱処理を行うようにしてもよい。
【0067】
ところで、半導体チップ24の突出電極10aがAuであり、基板38の回路電極38aがSnめっき銅であるような場合、半導体チップ24の突出電極10aと基板38の回路電極38aとを金属接合するために、接続温度をSnとAuとの共晶温度である278℃以上にする必要があり、接続装置(図示せず)の接続ヘッド34や接続ステージ36を、例えば350℃〜500℃程度の高温に設定する必要がある。しかしながら、このような高温によって絶縁性樹脂層18が加熱されると、半導体チップ24を接続ヘッド34や接続ステージ36に保持している間、すなわち、半導体チップ24の突出電極10aと基板38の回路電極38aとが接合する前に絶縁性樹脂層18が硬化してしまい、絶縁性樹脂層18による半導体チップ24と基板38との接着がうまく行われないことがある。ここで、温度を急速に昇温することができるパルスヒート制御可能な接続装置もあるが、接続を行う度に昇温及び冷却といった温度制御を行う必要があり、接続時間が長くなるため生産性が低下する。このため、接続装置の設定温度を一定に保った状態(コンスタントヒート)で半導体装置の製造を行う方が生産性向上に有利である。
【0068】
そこで、本実施形態に係る他の半導体装置の製造方法では、上記のように、ピックアップされた半導体チップ24を位置合わせヘッド42によって保持した状態で、半導体チップ24の突出電極10aと基板38上の回路電極38aとの位置合わせを行い、位置合わせヘッド42を用いて半導体チップ24と基板38とを仮固定し、位置合わせヘッド42よりも高温に徹底された接続ヘッド34及び接続ステージ36によって半導体チップ24と基板38とを加熱圧着することで、半導体チップ24の突出電極10aと基板38の回路電極38aとを電気的に接続している。つまり、高温に設定された接続ヘッド34や接続ステージ36に半導体チップ24を保持する必要がないため、半導体チップ24の突出電極10aと基板38の回路電極38aとが接合する前に、熱履歴等で絶縁性樹脂層18の硬化状態が変化してしまうのを抑制することが可能となる。
【0069】
また、本発明をCOFに適用することも可能である。具体的には、絶縁性樹脂層18を複数の半導体チップ24の外形に沿うように切断した後、ピックアップ装置(図示せず)を用いて半導体チップ24の一つをピックアップし、
図17に示されるように、半導体チップ24の裏面S3が下向き、すなわち、位置合わせ装置(図示せず)の位置合わせステージ44側に向くようにして、半導体チップ24を位置合わせステージ44上に載置する。そして、半導体チップ24と、表面S5にSnめっき配線46aが形成された、光透過性の高いポリイミド基板46をとの位置合わせを行う。
【0070】
半導体チップ24とポリイミド基板46との位置合わせは、ポリイミド基板46を半導体チップ24の回路面S1側に配置した状態で、一方向を認識可能な認識用カメラ48を用いて、ポリイミド基板36の表面S5とは反対側の面(裏面)S6側から、半導体チップ24の回路面S1上に形成されている位置合わせ用基準マーク(図示せず)又は突出電極10aと、ポリイミド基板46の表面S5上に形成されている位置合わせ用基準マーク(図示せず)又はSnめっき配線36aとを認識することにより行われる(
図17の下向きの矢印を参照)。
【0071】
続いて、
図18に示されるように、圧着ヘッド50及び位置合わせステージ32によって半導体チップ24、絶縁性樹脂層18、ポリイミド基板46等を加圧することで、絶縁性樹脂層18の表面とポリイミド基板46とを仮固定する。このとき、圧着ヘッド50や位置合わせステージ44を加熱してもよい。その加熱温度は、絶縁性樹脂層18が粘着性を示す温度であれば特に制限されないが、例えば、40℃〜100℃程度に設定することができる。
【0072】
続いて、
図19に示されるように、位置合わせヘッド50及び位置合わせステージ32よりも高温に設定された接続ヘッド34及び接続ステージ36によって半導体チップ24、絶縁性樹脂層18、ポリイミド基板46等を加熱しつつ、半導体チップ24とポリイミド基板36とを圧着する。これにより、絶縁性樹脂層18が溶融して半導体チップ24とポリイミド基板46との間に形成される空隙が絶縁性樹脂層18によって封止充填されつつ、半導体チップ24の突出電極10aとポリイミド基板46のSnめっき配線46aとが電気的に接続される。その結果、半導体チップ24とポリイミド基板46とが電気的に接続された半導体装置を得ることができる。なお、絶縁性樹脂層18の硬化をさらに促進させるために、引き続いて加熱オーブンなどを用いて加熱処理を行うようにしてもよい。以上のような接続方法は、ポリイミド基板46をリールtoリール方式で扱う際に、特に効果的である。