特許第5710546号(P5710546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5710546-パターン形成方法 図000037
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710546
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】パターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20150409BHJP
   C08G 77/04 20060101ALI20150409BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20150409BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
   C08G77/04
   B05D3/02 Z
   B05D3/10 C
【請求項の数】3
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2012-103330(P2012-103330)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-232501(P2013-232501A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2014年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】荻原 勤
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−078830(JP,A)
【文献】 特開2012−078828(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/036816(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/015969(WO,A1)
【文献】 特開平10−120790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
B05D 3/02
B05D 3/10
C08G 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己組織化を用いたパターン形成方法であって、
酸不安定基で置換された水酸基または酸不安定基で置換されたカルボキシル基を含む有機基を置換基として持つケイ素含有化合物を含有するポリシロキサンを主鎖とするケイ素含有膜形成用組成物を、被加工基板上に塗布、加熱してケイ素含有膜を形成する工程、
該ケイ素含有膜に対して高エネルギー線でパターンを露光、加熱処理する工程、
自己組織化が可能なポリマーを前記ケイ素含有膜上に塗布し、ポリマー膜を形成する工程、
該ポリマー膜を加熱処理により自己組織化し、ミクロドメイン構造を形成する工程、
該ミクロドメイン構造を形成したポリマー膜をドライエッチングすることによりパターンを形成する工程、
該ポリマー膜のパターンをマスクとしてドライエッチングにより前記ケイ素含有膜にパターン転写する工程、及び
該ケイ素含有膜に転写されたパターンをマスクとしてドライエッチングにより前記被加工基板にパターン転写する工程を含むことを特徴とする自己組織化を用いたパターン形成方法。
【請求項2】
前記ケイ素含有膜形成用組成物として、光酸発生剤を含有するものを用いることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記被加工基板として、基材上にCVD法による炭素を主成分とする有機ハードマスクまたは塗布型有機膜が形成されたものを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自己組織化を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、さらに微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。さらに、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの量産が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのFリソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、Fリソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LER)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等を挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
以上のように、汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。そこで、近年、従来のアルカリ現像によるポジティブトーンによるパターン形成では達成できない非常に微細なホールパターンを、有機溶剤現像によるネガティブトーンによってパターン形成する有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。これは、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いて有機溶剤現像によりネガパターンを形成するプロセスである。さらに、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。しかしながら、30nm以下のリソグラフィー、特に10nm以下のリソグラフィーによる微細パターン形成は困難な現状である。
【0007】
近年、ブロック共重合体の自己組織化技術を用いて、リソグラフィー工程を用いず、規則性のあるパターンを得ることに成功している(例えば、特許文献1〜3)。また、ArF液浸リソグラフィーとの組み合わせで30nm程度のパターニングが報告されている(非特許文献1)。
【0008】
ところが、これら自己組織化材料で得られるパターンは、パターンサイズが30nmであってもパターン形状の均一性や規則性などに課題が多く、未だ実用化に至っておらず、このためこれら問題の改善が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−7244号公報
【特許文献2】特開2005−8701号公報
【特許文献3】特開2005−8882号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Vac. Sci. Technol. B 28(6), C6B30 Nov/Dec(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来の自己組織化ポリマーでは難しい、均一性や規則性に優れた自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンを得ることで、特に超LSI製造用の微細パターン形成材料などへ好適なパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、自己組織化を用いたパターンの形成方法であって、
酸不安定基で置換された水酸基または酸不安定基で置換されたカルボキシル基を含む有機基を置換基として持つケイ素含有化合物を含有するケイ素含有膜形成用組成物を、被加工基板上に塗布、加熱してケイ素含有膜を形成する工程、
該ケイ素含有膜に対して高エネルギー線でパターン露光、加熱処理する工程、
自己組織化が可能なポリマーを前記ケイ素含有膜上に塗布し、ポリマー膜を形成する工程、
該ポリマー膜を加熱処理により自己組織化し、ミクロドメイン構造を形成する工程、
該ミクロドメイン構造を形成したポリマー膜をドライエッチングすることによりパターンを形成する工程、
該ポリマー膜のパターンをマスクとしてドライエッチングにより前記ケイ素含有膜にパターン転写する工程、及び
該ケイ素含有膜に転写されたパターンをマスクとしてドライエッチングにより前記被加工基板にパターン転写する工程を含むことを特徴とする自己組織化を用いたパターン形成方法を提供する。
【0013】
本発明のパターン形成方法は上記の工程を含むことで、従来の自己組織化ポリマーでは難しい、均一性や規則性に優れた自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンを得ることができ、特に超LSI製造用の微細パターン形成材料などへ好適なパターン形成方法を提供することが可能である。
【0014】
また、前記ケイ素含有膜形成用組成物として、光酸発生剤を含有するものを用いることが好ましい。
【0015】
本発明で用いるケイ素含有膜形成用組成物に光酸発生剤を含ませることで、露光部と未露光部との接触角により明確な差異が現れ、自己組織化ポリマーの自己組織化が容易に起こる。
【0016】
本発明で用いる被加工基板として、基材上にCVD法による炭素を主成分とする有機ハードマスクまたは塗布型有機膜が形成されたものを用いることができる。
【0017】
本発明で用いるケイ素含有膜の下層にCVD膜や有機下層膜を形成し、被加工膜との組み合わせを最適化することで、自己組織化による微細なパターンを、サイズ変換差を生じさせることなく、より下層の無機膜や半導体装置基板にパターン転写できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のパターン形成方法であれば、自己組織化ポリマーの自己組織化を促進することが可能であり、高エネルギー線を使用したリソグラフィーでは到達することの出来ない微細なパターニングおよび当該膜をエッチングマスクとしたパターン転写が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のパターン形成方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、酸不安定基で置換された水酸基または酸不安定基で置換されたカルボキシル基を含む有機基を置換基として持つケイ素含有化合物を含有するケイ素含有膜形成用組成物を、被加工基板上に塗布、加熱してケイ素含有膜を形成する工程、及び該ケイ素含有膜に対して高エネルギー線でパターン露光、加熱処理する工程を含む。
【0021】
前記ケイ素含有膜は、露光時に内部に発生した酸の効果により酸不安定基が脱離し、露光部分に親水性の水酸基またはカルボキシル基が発生する。そのため、露光部と未露光部との間で接触角の差異が発生する。一般的に自己組織化が可能なポリマーは、膜表面において接触角が変化する部分を駆動力として、加熱により自己組織化が起こることが知られている。本発明で用いるケイ素含有膜を自己組織化ポリマーの下層にあらかじめ形成させると、容易に自己組織化が発生し、自己組織化により形成されるパターンを得ることが可能である。
【0022】
前記ケイ素含有化合物を含有するケイ素含有膜形成組成物として、下記一般式(A)、(B)、(C)で表される部分構造のうち1種類以上を有するケイ素含有化合物を含むケイ素含有膜形成用組成物を使用できる。
【0023】
【化1】
(A)
(式中、Rは酸不安定基で置換された水酸基または酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する有機基である。)
【0024】
【化2】
(B)
(式中、Rは酸不安定基で置換された水酸基または酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する有機基であり、Rは前記Rと同じか、水素原子または炭素数1〜30の1価の有機基である。)
【0025】
【化3】
(C)
(式中、Rは酸不安定基で置換された水酸基または酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する有機基であり、Rは前記Rと同じか、水素原子または炭素数1〜30の1価の有機基であり、Rは前記Rと同じか、水素原子または炭素数1〜30の1価の有機基である。)
【0026】
本発明で用いるケイ素含有化合物の部分構造(A)、(B)、(C)中、Rとして示されている酸不安定基で置換された水酸基または酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する有機基としては、下記一般式で表された構造を挙げることができる。なお、下記一般式中における(Si)は、ケイ素原子との結合箇所を示すために掲載した。
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
本発明で用いるケイ素含有化合物の構造を形成するための原料として使用される加水分解性ケイ素化合物としては、上記構造をケイ素原子に有し、他方加水分解性基として1個、2個または3個の塩素、臭素、ヨウ素、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基等と、R、Rとして水素原子または炭素数1〜30の1価の有機基を含んでいるものを挙げることができる。
【0031】
本発明で用いるケイ素含有化合物の構造を形成するための原料として使用される加水分解性ケイ素化合物のその他の例として以下のものを挙げることができる。
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
さらに、以下の加水分解性モノマーを含んだ混合物を加水分解縮合することにより本発明のパターン形成方法に使用できるケイ素含有化合物を製造できる。
【0035】
加水分解性モノマーとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリプロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリプロポキシシラン、t−ブチルトリイソプロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピルトリプロポキシシラン、シクロプロピルトリイソプロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチルトリプロポキシシラン、シクロブチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリプロポキシシラン、シクロペンチルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリイソプロポキシシラン、シクロオクチルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリエトキシシラン、シクロオクチルトリプロポキシシラン、シクロオクチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリイソプロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチルトリプロポキシシラン、アダマンチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリプロポキシシラン、ベンジルトリイソプロポキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、アニシルトリプロポキシシラン、アニシルトリイソプロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリプロポキシシラン、トリルトリイソプロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリプロポキシシラン、フェネチルトリイソプロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン、ナフチルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルジイソプロポキシシラン、ジsec−ブチルジメトキシシラン、ジsec−ブチルジエトキシシラン、ジsec−ブチルジプロポキシシラン、ジsec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジt−ブチルジメトキシシラン、ジt−ブチルジエトキシシラン、ジt−ブチルジプロポキシシラン、ジt−ブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロプロピルジメトキシシラン、ジシクロプロピルジエトキシシラン、ジシクロプロピルジプロポキシシラン、ジシクロプロピルジイソプロポキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジプロポキシシラン、ジシクロブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジプロポキシシラン、ジシクロペンチルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジイソプロポキシシラン、ジシクロオクチルジメトキシシラン、ジシクロオクチルジエトキシシラン、ジシクロオクチルジプロポキシシラン、ジシクロオクチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジイソプロポキシシラン、ジアダマンチルジメトキシシラン、ジアダマンチルジエトキシシラン、ジアダマンチルジプロポキシシラン、ジアダマンチルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等を挙げることができる。
【0036】
前記加水分解性モノマーとして好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン等を挙げることができる。
【0037】
前記R、Rで表される有機基の例として、炭素−酸素単結合または炭素−酸素二重結合を1以上有する有機基を挙げることができる。具体的には、エポキシ基、エステル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基からなる群から選択される1以上の基を有する有機基である。この例として次の一般式(1)で示されるものを挙げることができる。
【0038】
(P−Q−(Sv1−Q−)−(T)v2−Q−(Sv3−Q−(1)
(上記一般式(1)中、Pは水素原子、ヒドロキシル基、
【化9】
炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、または炭素数1〜6のアルキルカルボニル基であり、Q、Q、Q及びQは各々独立して−C(2q−p)−(式中、Pは上記と同様であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜10の整数(但し、q=0は単結合であることを示す。)である。)、uは0〜3の整数であり、SとSは各々独立して−O−、−CO−、−OCO−、−COO−または−OCOO−を表す。v1、v2、v3は、各々独立して0または1を表す。これらとともに、Tはヘテロ原子を含んでもよい脂環または芳香環からなる2価の基であり、Tの酸素原子等のヘテロ原子を含んでもよい脂環または芳香環の例を以下に示す。TにおいてQとQと結合する位置は、特に限定されないが、立体的な要因による反応性や反応に用いる市販試薬の入手性等を考慮して適宜選択できる。)
【0039】
【化10】
【0040】
前記一般式(1)で示される炭素−酸素単結合または炭素−酸素二重結合を1以上有する有機基の好ましい例として、以下のものを挙げることができる。
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
また、前記R、Rの有機基の例として、ケイ素−ケイ素結合を含む有機基を用いることもできる。具体的には下記一般式で示すものを挙げることができる。
【0045】
【化14】
【0046】
〔ケイ素含有化合物の合成方法〕
(合成方法1:酸触媒)
本発明で用いるケイ素含有化合物は、例えば上述の加水分解性ケイ素化合物を含む原料を酸触媒の存在下、加水分解縮合を行うことで製造することができる。
【0047】
加水分解縮合のときに使用される酸触媒は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸などの有機酸、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。触媒の使用量は、モノマー1モルに対して1×10−6〜10モル、好ましくは1×10−5〜5モル、より好ましくは1×10−4〜1モルである。
【0048】
前記加水分解性ケイ素化合物を含む原料から加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの水の量は、加水分解性ケイ素化合物を含む原料に結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01〜100モル、より好ましくは0.05〜50モル、更に好ましくは0.1〜30モルを添加することが好ましい。また、100モル以下であれば、反応に使用する装置が小さくなり経済的になる。
【0049】
操作方法として、触媒を含む水溶液に加水分解性ケイ素化合物を含む原料を添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒を含む水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、加水分解性ケイ素化合物を含む原料を有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。加水分解性ケイ素化合物を含む原料の滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0050】
触媒を含む水溶液に加えることのできる、または加水分解性ケイ素化合物を含む原料を希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等及びこれらの混合物等が好ましい。
【0051】
これらの有機溶剤の中で好ましいものは水溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0052】
尚、有機溶剤の使用量は、加水分解性ケイ素化合物を含む原料1モルに対して0〜1,000ml、特に0〜500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が少ない方が反応容器を小さくすることができるため経済的である。
【0053】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできるアルカリ性物質の量は、触媒で使用された酸に対して0.1〜2当量が好ましい。このアルカリ性物質は水中でアルカリ性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0054】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を減圧除去等で取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコールなどの種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコールなどの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールなどのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0055】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した酸触媒を除去してもよい。酸触媒を除去する方法として、水と反応混合物を混合し、ケイ素含有化合物を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、ケイ素含有化合物を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0056】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール−酢酸エチル混合物、エタノール−酢酸エチル混合物、1−プロパノール−酢酸エチル混合物、2−プロパノール−酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノメチルエーテル−酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル−酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル−酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノエチルエーテル−酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル−酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル−酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノプロピルエーテル−酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル−酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル−酢酸エチル混合物、メタノール−メチルイソブチルケトン混合物、エタノール−メチルイソブチルケトン混合物、1−プロパノール−メチルイソブチルケトン混合物、2−プロパノール−メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル−メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル−メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル−メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル−メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル−メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル−メチルイソブチルケトン混合物、メタノール−シクロペンチルメチルエーテル混合物、エタノール−シクロペンチルメチルエーテル混合物、1−プロパノール−シクロペンチルメチルエーテル混合物、2−プロパノール−シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル−シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル−シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル−シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル−シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル−シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル−シクロペンチルメチルエーテル混合物、メタノール−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エタノール−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、1−プロパノール−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、2−プロパノール−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル−プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物等が好ましいが、これらの混合物に限定されることはない。
【0057】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部、好ましくは1〜500質量部、更に好ましくは2〜100質量部である。
【0058】
続いて、中性水で洗浄してもよい。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、ケイ素含有化合物溶液1Lに対して、0.01〜100L、好ましくは0.05〜50L、より好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1〜5回程度である。
【0059】
その他に酸触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物で中和したのち除去する方法を挙げることができる。これらの方法は、反応に使用された酸触媒に合わせて適宜選択することができる。
【0060】
このときの水洗操作により、ケイ素含有化合物の一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0061】
酸触媒が残留しているケイ素含有化合物及び酸触媒が除去されたケイ素含有化合物溶液、いずれの場合においても、最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することで所望のケイ素含有化合物溶液を得ることができる。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき反応溶剤や抽出溶剤の種類によるが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0062】
このとき、溶剤交換時のケイ素含有化合物の安定性の向上のため、安定剤として、特開2009−126940号公報(0181)〜(0182)段落に記載されている環状エーテルを置換基として有する1価または2価以上のアルコールを加えてもよい。加える量としては溶剤交換前の溶液中のケイ素含有化合物100質量部に対して0〜25質量部、好ましくは0〜15質量部、より好ましくは0〜5質量部であるが、添加する場合は0.5質量部以上が好ましい。安定剤を加える場合は、環状エーテルを置換基として有する1価または2価以上のアルコールを添加して溶剤交換操作を行えばよい。
【0063】
ケイ素含有化合物は、ある濃度以上に濃縮すると更に縮合反応が進行し、有機溶剤に対して再溶解不可能な状態に変化してしまう恐れがあるため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが好ましい。また、あまり薄すぎると、溶剤の量が過大となるため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが経済的で好ましい。このときの濃度としては、0.1〜20質量%が好ましい。
【0064】
ケイ素含有化合物溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオールなどのモノアルキルエーテル誘導体である。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0065】
これらの溶剤が主成分であれば、補助溶剤として、非アルコール系溶剤を添加する事も可能である。この補助溶剤としては、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t−ブチル、プロピオン酸t−ブチル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテルなどを挙げることができる。
【0066】
また、酸触媒を用いた別の反応操作としては、加水分解性ケイ素化合物を含む原料またはこれの有機溶液に、水または含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒は加水分解性ケイ素化合物を含む原料またはこれの有機溶液に添加してもよいし、水または含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0067】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0068】
有機溶剤の使用量は、加水分解性ケイ素化合物を含む原料1モルに対して0〜1,000ml、特に0〜500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が少ない方が反応容器が小さくなり経済的である。得られた反応混合物の後処理は、前記の方法と同様で後処理し、ケイ素含有化合物を得ることができる。
【0069】
(合成方法2:アルカリ触媒)
また、ケイ素含有化合物は、加水分解性ケイ素化合物を含む原料をアルカリ触媒の存在下、加水分解縮合を行うことで製造することもできる。このとき使用されるアルカリ触媒は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。触媒の使用量は、加水分解性ケイ素化合物を含む原料1モルに対して1×10−6モル〜10モル、好ましくは1×10−5モル〜5モル、より好ましくは1×10−4モル〜1モルである。
【0070】
前記の加水分解性ケイ素化合物を含む原料から加水分解縮合によりケイ素含有化合物を得るときの水の量は、加水分解性ケイ素化合物を含む原料に結合している加水分解性置換基1モル当たり0.1〜50モルを添加することが好ましい。50モル以下であれば、反応に使用する装置が小さくなり経済的になる。
【0071】
操作方法として、触媒を含む水溶液に加水分解性ケイ素化合物を含む原料を添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒を含む水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、加水分解性ケイ素化合物を含む原料を有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行っても良い。反応温度は0〜100℃、好ましくは5〜80℃である。加水分解性ケイ素化合物を含む原料の滴下時に5〜80℃に温度を保ち、その後20〜80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0072】
アルカリ触媒を含む水溶液に加えることのできる、または加水分解性ケイ素化合物を含む原料を希釈することのできる有機溶剤としては、酸触媒を含む水溶液に加えることのできるものとして例示した有機溶剤と同様のものが好ましく用いられる。尚、有機溶剤の使用量は、経済的に反応を行うため、加水分解性ケイ素化合物を含む原料1モルに対して0〜1,000mlが好ましい。
【0073】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできる酸性物質の量は、触媒で使用されたアルカリ性物質に対して0.1〜2当量が好ましい。この酸性物質は水中で酸性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0074】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を減圧除去等で取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコールの種類に依るが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤およびアルコールの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0075】
次に加水分解縮合に使用したアルカリ触媒を除去するため、ケイ素含有化合物を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、ケイ素含有化合物を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。
【0076】
アルカリ触媒を除去する際に用いられる有機溶剤の具体例は、酸触媒を除去する際に用いられるものとして具体的に例示した上述の有機溶剤や、水溶性有機溶剤と水難性有機溶剤の混合物と同様のものを用いることができる。
【0077】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1〜1,000質量部、好ましくは1〜500質量部、更に好ましくは2〜100質量部である。
【0078】
続いて、中性水で洗浄する。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、ケイ素含有化合物溶液1Lに対して、0.01〜100L、好ましくは0.05〜50L、より好ましくは0.1〜5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1〜5回程度である。
【0079】
洗浄済みのケイ素含有化合物溶液に最終的な溶媒を加え、減圧で溶媒交換することで所望のケイ素含有化合物溶液を得る。このときの溶媒交換の温度は、除去すべき抽出溶剤の種類に依るが、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、更に好ましくは15〜80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0080】
ケイ素含有化合物溶液に加える最終的な溶媒として好ましいものはアルコール系溶媒であり、特に好ましいものとしてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどのモノアルキルエーテルを挙げることができ、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどが好ましい。
【0081】
また、アルカリ触媒を用いた別の反応操作としては、加水分解性ケイ素化合物を含む原料またはこれの有機溶液に水または含水有機溶剤を添加し加水分解反応を開始させる。このとき触媒は、加水分解性ケイ素化合物を含む原料またはこれの有機溶液に添加しても良いし、水または含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後20〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0082】
加水分解性ケイ素化合物を含む原料の有機溶液または含水有機溶剤として使用できる有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物などを挙げることができる。
【0083】
前記合成方法1または2によって得られるケイ素含有化合物の分子量は、加水分解性ケイ素化合物の選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、質量平均分子量が100,000を超えるものを用いると、ケースによっては異物の発生や塗布斑が生じることがあり、100,000以下、より好ましくは200〜50,000、更には300〜30,000のものを用いることが好ましい。尚、上記質量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0084】
本発明で用いるケイ素含有化合物としては、前記加水分解性ケイ素化合物を含む原料を前記の酸またはアルカリ触媒を用いた条件で製造することができる。
【0085】
さらに、この加水分解性ケイ素化合物を含む原料と下記一般式(2)で示される加水分解性金属化合物の混合物を前記の酸またはアルカリ触媒を用いた条件で製造したケイ素含有化合物を本発明に使用できる組成物の成分として用いることができる。
U(ORm7(ORm8 (2)
(式中、R、Rは炭素数1〜30の有機基であり、m7+m8はUの種類により決まる価数と同数であり、m7、m8は0以上の整数、Uは周期律表のIII族、IV族、またはV族の元素で炭素及びケイ素を除くものである。)
【0086】
このとき使用される加水分解性金属化合物(2)として、以下のものを挙げることができる。Uがホウ素の場合、一般式(2)で示される化合物として、ボロンメトキシド、ボロンエトキシド、ボロンプロポキシド、ボロンブトキシド、ボロンアミロキシド、ボロンヘキシロキシド、ボロンシクロペントキシド、ボロンシクロヘキシロキシド、ボロンアリロキシド、ボロンフェノキシド、ボロンメトキシエトキシド、ホウ酸、酸化ホウ素などをモノマーとして挙げることができる。
【0087】
Uがアルミニウムの場合、一般式(2)で示される化合物として、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムアミロキシド、アルミニウムヘキシロキシド、アルミニウムシクロペントキシド、アルミニウムシクロヘキシロキシド、アルミニウムアリロキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムメトキシエトキシド、アルミニウムエトキシエトキシド、アルミニウムジプロポキシエチルアセトアセテート、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウム2,4−ペンタンジオネート、アルミニウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどをモノマーとして挙げることができる。
【0088】
Uがガリウムの場合、一般式(2)で示される化合物として、ガリウムメトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムプロポキシド、ガリウムブトキシド、ガリウムアミロキシド、ガリウムヘキシロキシド、ガリウムシクロペントキシド、ガリウムシクロヘキシロキシド、ガリウムアリロキシド、ガリウムフェノキシド、ガリウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシエトキシド、ガリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、ガリウムジブトキシエチルアセトアセテート、ガリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、ガリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、ガリウム2,4−ペンタンジオネート、ガリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどをモノマーとして挙げることができる。
【0089】
Uがイットリウムの場合、一般式(2)で示される化合物として、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムプロポキシド、イットリウムブトキシド、イットリウムアミロキシド、イットリウムヘキシロキシド、イットリウムシクロペントキシド、イットリウムシクロヘキシロキシド、イットリウムアリロキシド、イットリウムフェノキシド、イットリウムメトキシエトキシド、イットリウムエトキシエトキシド、イットリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、イットリウムジブトキシエチルアセトアセテート、イットリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、イットリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、イットリウム2,4−ペンタンジオネート、イットリウム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどをモノマーとして挙げることができる。
【0090】
Uがゲルマニウムの場合、一般式(2)で示される化合物として、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムプロポキシド、ゲルマニウムブトキシド、ゲルマニウムアミロキシド、ゲルマニウムヘキシロキシド、ゲルマニウムシクロペントキシド、ゲルマニウムシクロヘキシロキシド、ゲルマニウムアリロキシド、ゲルマニウムフェノキシド、ゲルマニウムメトキシエトキシド、ゲルマニウムエトキシエトキシドなどをモノマーとして挙げることができる。
【0091】
Uがチタンの場合、一般式(2)で示される化合物として、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアミロキシド、チタンヘキシロキシド、チタンシクロペントキシド、チタンシクロヘキシロキシド、チタンアリロキシド、チタンフェノキシド、チタンメトキシエトキシド、チタンエトキシエトキシド、チタンジプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンジブトキシビスエチルアセトアセテート、チタンジプロポキシビス2,4−ペンタンジオネート、チタンジブトキシビス2,4−ペンタンジオネートなどをモノマーとして挙げることができる。
【0092】
Uがハフニウムの場合、一般式(2)で示される化合物として、ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムプロポキシド、ハフニウムブトキシド、ハフニウムアミロキシド、ハフニウムヘキシロキシド、ハフニウムシクロペントキシド、ハフニウムシクロヘキシロキシド、ハフニウムアリロキシド、ハフニウムフェノキシド、ハフニウムメトキシエトキシド、ハフニウムエトキシエトキシド、ハフニウムジプロポキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジプロポキシビス2,4−ペンタンジオネート、ハフニウムジブトキシビス2,4−ペンタンジオネートなどをモノマーとして挙げることができる。
【0093】
Uがスズの場合、一般式(2)で示される化合物として、メトキシスズ、エトキシスズ、プロポキシスズ、ブトキシスズ、フェノキシスズ、メトキシエトキシスズ、エトキシエトキシスズ、スズ2,4−ペンタンジオネート、スズ2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートなどをモノマーとして挙げることができる。
【0094】
Uがヒ素の場合、一般式(2)で示される化合物として、メトキシヒ素、エトキシヒ素、プロポキシヒ素、ブトキシヒ素、フェノキシヒ素などをモノマーとして挙げることができる。
【0095】
Uがアンチモンの場合、一般式(2)で示される化合物として、メトキシアンチモン、エトキシアンチモン、プロポキシアンチモン、ブトキシアンチモン、フェノキシアンチモン、酢酸アンチモン、プロピオン酸アンチモンなどをモノマーとして挙げることができる。
【0096】
Uがニオブの場合、一般式(2)で示される化合物として、メトキシニオブ、エトキシニオブ、プロポキシニオブ、ブトキシニオブ、フェノキシニオブなどをモノマーとして挙げることができる。
【0097】
Uがタンタルの場合、一般式(2)で示される化合物として、メトキシタンタル、エトキシタンタル、プロポキシタンタル、ブトキシタンタル、フェノキシタンタルなどをモノマーとして挙げることができる。
【0098】
Uがビスマスの場合、一般式(2)で示される化合物として、メトキシビスマス、エトキシビスマス、プロポキシビスマス、ブトキシビスマス、フェノキシビスマスなどをモノマーとして挙げることができる。
【0099】
Uがリンの場合、一般式(2)で示される化合物として、トリメチルフォスフェイト、トリエチルフォスフェイト、トリプロピルフォスフェイト、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリプロピルフォスファイト、五酸化ニリンなどをモノマーとして挙げることができる。
【0100】
Uがバナジウムの場合、一般式(2)で示される化合物として、バナジウムオキシドビス(2、4−ペンタンジオネート)、バナジウム2、4−ペンタンジオネート、バナジウムトリブトキシドオキシド、バナジウムトリプロポキシドオキシドなどをモノマーとして挙げることができる。
【0101】
Uがジルコニウムの場合、一般式(2)で示される化合物として、メトキシジルコニウム、エトキシジルコニウム、プロポキシジルコニウム、ブトキシジルコニウム、フェノキシジルコニウム、ジルコニウムジブトキシドビス(2、4−ペンタンジオネート)、ジルコニウムジプロポキシドビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)などをモノマーとして挙げることができる。
【0102】
また、更に、下記一般式(D−1)、(D−2)で表される繰り返し単位を部分構造として含有する一般式(D)で示されるケイ素含有化合物も使用できる。
【0103】
【化15】
(D)
(D−1) (D−2)
(式中、R11は水酸基または炭素数1〜20の有機基、R12は酸不安定基、0≦n1≦3、1≦n2≦3で、1≦n1+n2≦5であり、R13は水素原子またはメチル基、R14は単結合または炭素数1〜20の2価の有機基、R15は水素原子または炭素数1〜30の有機基、R16は炭素数1〜6のアルキル基、R17は水素原子またはメチル基、R18は単結合または炭素数1〜20の2価の有機基、0≦n≦2であり、m1、m2は上記部分構造を含有する重合体中のモル比であり、0<m1<1、0<m2<1、0<m1+m2≦1である。)
【0104】
本発明のパターン形成方法に使用できるケイ素含有化合物(D−1)、(D−2)として下記一般式で表された構造を挙げることができる。
【0105】
【化16】
【0106】
【化17】
【0107】
〔その他の成分〕
(光酸発生剤)
本発明に用いるケイ素含有膜形成用組成物に光酸発生剤を含有することが好ましい。このことで、露光部と未露光部との接触角により明確な差異が現れる。
【0108】
前記光酸発生剤としては、(A−I)下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)または(P1b)のオニウム塩、(A−II)下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、(A−III)下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、(A−IV)下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、(A−V)下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、(A−VI)β−ケトスルホン酸誘導体、(A−VII)ジスルホン誘導体、(A−VIII)ニトロベンジルスルホネート誘導体、(A−IX)スルホン酸エステル誘導体等を挙げることができる。
【0109】
【化18】
(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基またはオキソアルケニル基、炭素数6〜20の置換あるいは非置換のアリール基、または炭素数7〜12のアラルキル基またはアリールオキソアルキル基を示し、これらの基にある水素原子の一部または全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。Kは非求核性対向イオンを表す。)
【0110】
上記一般式中のR101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等を挙げることができる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等を挙げることができる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等を挙げることができる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等を挙げることができる。Kの非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートを挙げることができる。
【0111】
【化19】
(式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。Kは非求核性対向イオンを表す。)
【0112】
上記一般式中のR102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等を挙げることができる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等を挙げることができる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等を挙げることができる。Kは前記一般式(P1a−1)及び(P1a−2)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0113】
【化20】
(式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基またはハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の置換あるいは非置換のアリール基またはハロゲン化アリール基、または炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0114】
上記一般式中のR105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等を挙げることができる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基を挙げることができる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等を挙げることができる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。
【0115】
【化21】
(式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基またはハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはハロゲン化アリール基、または炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキレン基を示す。)
【0116】
上記一般式中のR107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基を挙げることができる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。
【0117】
【化22】
(式中、R101a、R101bはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基またはオキソアルケニル基、炭素数6〜20の置換あるいは非置換のアリール基、または炭素数7〜12のアラルキル基またはアリールオキソアルキル基を示し、これらの基にある水素原子の一部または全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。)
【0118】
【化23】
(式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜7のアルキレン基または炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基に含まれる水素原子の一部または全部は更に炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、またはフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、アルケニル基またはアルコキシアルキル基、フェニル基、またはナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部または全部は更に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;または塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0119】
上記一般式中のR110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等を挙げることができる。R111のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等を挙げることができる。
【0120】
なお、R110の水素原子から更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基またはアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等を挙げることができる。
【0121】
前記光酸発生剤として具体的には下記のものが挙げられる。オニウム塩;トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等。
【0122】
ジアゾメタン誘導体;ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等。
【0123】
グリオキシム誘導体;ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等。
【0124】
ビススルホン誘導体;ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等。
【0125】
β−ケトスルホン酸誘導体;2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等。
【0126】
ジスルホン誘導体;ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等)、ニトロベンジルスルホネート誘導体(p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等。
【0127】
スルホン酸エステル誘導体;1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等。
【0128】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体(N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等。
【0129】
これらの中で、特にトリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
【0130】
なお、上記光酸発生剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸発生剤の添加量は、ケイ素含有膜形成用組成物に含まれるケイ素含有化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.05〜40質量部である。
【0131】
(熱架橋促進剤)
本発明においては、熱架橋促進剤を本発明に用いるケイ素含有膜形成用組成物に配合してもよい。配合可能な熱架橋促進剤として、下記一般式(3)または(4)で示される化合物を挙げることができる。具体的には、特許4716037号に記載されている材料を添加することができる。
X (3)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウム、Xは水酸基、炭素数1〜30の1価または2価以上の有機酸基であり、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数で、a+bは水酸基または有機酸基の価数である。)
MY (4)
(式中、Mはスルホニウム、ヨードニウムまたはアンモニウムであり、Yは非求核性対向イオンである。)
【0132】
尚、上記熱架橋促進剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。熱架橋促進剤の添加量は、ケイ素含有膜形成用組成物に含まれるケイ素含有化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜40質量部である。
【0133】
(有機酸)
本発明に使用できる組成物の安定性を向上させるため、炭素数が1〜30の1価または2価以上の有機酸を添加することが好ましい。このとき添加する酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クエン酸等を例示することができる。特にシュウ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等が好ましい。また、安定性を保つため、2種以上の酸を混合して使用してもよい。添加量はケイ素含有膜形成組成物に含まれるケイ素含有化合物100質量部に対して0.001〜25質量部、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0134】
あるいは、上記有機酸を組成物のpHに換算して、好ましくは0≦pH≦7、より好ましくは0.3≦pH≦6.5、更に好ましくは0.5≦pH≦6となるように配合することがよい。
【0135】
(水)
本発明で使用できる組成物に水を添加してもよい。水を添加すると、組成物中のケイ素含有化合物が水和されるため、リソグラフィー性能が向上する。組成物の溶剤成分における水の含有率は0質量%を超え50質量%未満であり、特に好ましくは0.3〜30質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%である。
【0136】
水を含む全溶剤の使用量は、ケイ素含有膜形成用組成物に含まれるケイ素含有化合物100質量部に対して100〜100,000質量部、特に200〜50,000質量部が好適である。
【0137】
(安定剤)
更に、本発明で使用できる組成物に、安定剤として、環状エーテルを置換基として有する1価または2価以上のアルコールを添加することができる。特に特開2009−126940号公報(0181)〜(0182)段落に記載されている安定剤を添加すると本発明に使用できる組成物の安定性を向上させることができる。
【0138】
(界面活性剤)
更に、本発明で使用できる組成物に、必要に応じて界面活性剤を配合することが可能である。このようなものとして、具体的には、特開2009−126940号公報(0185)段落に記載されている材料を添加することができる。
【0139】
更に、本発明に使用できる組成物に、必要に応じて沸点が180度以上の高沸点溶剤を添加する事も可能である。この高沸点溶剤としては、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、酢酸n−ノニル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、1,2−ジアセトキシエタン、1−アセトキシ−2−メトキシエタン、1,2−ジアセトキシプロパン、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
【0140】
本発明は自己組織化が可能なポリマーを前記ケイ素含有膜上に塗布し、ポリマー膜を形成する工程、及び該ポリマー膜を加熱処理により自己組織化し、ミクロドメイン構造を形成する工程を含む。
【0141】
本発明で用いるケイ素含有膜上に形成されるポリマー膜を形成するための自己組織化が可能なポリマーとしては、従来知られているようなポリスチレン−ポリ(メタ)アクリル酸エステルブロックコポリマー始めとして、自己組織化が可能なポリマーであればどのようなものでも使用することが可能であり、具体的にはポリブタジエン−ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン−4−ビニルピリジン、ポリブタジエン−メチルメタクリレート、ポリブタジエン−ポリ−t−ブチルメタクリレート、ポリブタジエン−t−ブチルアクリレート、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリ−4−ビニルピリジン、ポリエチレン−ポリメチルメタクリレート、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリ−2−ビニルピリジン、ポリエチレン−ポリ−2−ビニルピリジン、ポリエチレン−ポリ−4−ビニルピリジン、ポリイソプレンーポリー2−ビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート−ポリスチレン、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリスチレン、ポリメチルアクリレート−ポリスチレン、ポリブタジエンーポリスチレン、ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ−2−ビニルピリジン、ポリスチレン−ポリ−4−ビニルピリジン、ポリスチレン−ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン−ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリブタジエン−ポリアクリル酸ナトリウム、ポリブタジエン−ポリエチレンオキシド、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリエチレンオキシド、ポリスチレン−ポリアクリル酸、ポリスチレン−ポリメタクリル酸等を挙げることができる。
【0142】
本発明で用いる自己組織化が可能なポリマーとしては、A高分子鎖とB高分子鎖の2種類の高分子鎖が結合した構造を有するAB型高分子ジブロック共重合体、ABA型高分子トリブロック共重合体、及び三種以上の高分子からなるABC型高分子ブロック共重合体等の各ブロックが直列した高分子ブロック共重合体のほか、例えば各ブロックが1点で結合したスター型の高分子ブロック共重合体を用いることもでき、目的とするミクロドメイン構造の形状によって最適なポリマーを選択することができる。
【0143】
本発明で用いる自己組織化が可能なポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算質量平均分子量は好ましくは、1,000〜20,000であり、より好ましくは3,000〜15,000、更に好ましくは5,000〜12,000である。質量平均分子量が上記範囲内であれば、自己組織化現象がしっかりと生じ、微細なパターンを得ることができる。
【0144】
更に、本発明で用いる自己組織化が可能なポリマーにおいて、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.3、特に1.0〜1.2と狭分散であれば、ポリマーの分子量のばらつきが少なく、自己組織化により形成されたミクロドメイン構造のパターンの均一性や規則性の悪化などの性能低下を防ぐことが可能である。
【0145】
本発明で用いる自己組織化が可能なポリマーにおいて、高分子化合物を溶解する有機溶剤としては、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3−メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−エトキシエチルプロピオネート、3−エトキシメチルプロピオネート、3−メトキシメチルプロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジアセトンアルコール、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、テトラメチレンスルホン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。特に好ましいものは、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、乳酸アルキルエステルである。これらの溶剤は単独でも2種以上混合してもよい。なお、本発明におけるプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートのアルキル基は炭素数1〜4のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等を挙げることができるが、中でもメチル基、エチル基が好適である。また、このプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートには1,2置換体と1,3置換体があり、置換位置の組み合わせで3種の異性体があるが、単独或いは混合物のいずれの場合でもよい。
【0146】
また、前記の乳酸アルキルエステルのアルキル基は炭素数1〜4のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等を挙げることができるが、中でもメチル基、エチル基が好適である。
【0147】
溶剤としてプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを添加する際には全溶剤に対して50質量%以上とすることが好ましく、乳酸アルキルエステルを添加する際には全溶剤に対して50質量%以上とすることが好ましい。また、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルエステルの混合溶剤を溶剤として用いる際には、その合計量が全溶剤に対して50質量%以上であることが好ましい。この場合、更に好ましくは、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを60〜95質量%、乳酸アルキルエステルを5〜40質量%の割合とすることが好ましい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを上記の割合で添加すると、塗布性劣化や、溶解性不十分等の問題を防ぐことが可能である。
【0148】
前記溶剤の配合量は、通常、高分子化合物固形分100質量部に対して300〜8,000質量部、好ましくは400〜3,000質量部であるが、既存の成膜方法で可能な濃度であればこれに限定されるものではない。
【0149】
本発明で用いる自己組織化が可能なポリマーには、更に、塗布性を向上させるための界面活性剤を加えることができる。
【0150】
前記界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(トーケムプロダクツ)、メガファックF171,F172,F173(大日本インキ化学工業)、フロラードFC−430,FC−431(住友スリーエム)、アサヒガードAG710,サーフロンS−381,S−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106、サーフィノールE1004,KH−10,KH−20,KH−30,KH−40(旭硝子)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341,X−70−092,X−70−093(信越化学工業)、アクリル酸系またはメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業)を挙げることができ、中でもFC−430、サーフロンS−381、サーフィノールE1004,KH−20,KH−30が好適である。これらは単独或いは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0151】
本発明で用いる自己組織化が可能なポリマー中の界面活性剤の添加量としては、ポリマー固形分100質量部に対して2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。なお、下限は特に制限されないが、0.1質量部以上であることが好ましい。
【0152】
本発明のパターン形成方法は次の通りである(図1参照)。
このプロセスにおいては、まず被加工基板1上にケイ素含有膜形成用組成物を塗布、加熱し、ケイ素含有膜2を形成する(A、B)。次に、ケイ素含有膜2を露光することで接触角が変化したケイ素含有膜2’に変化させ、パターンを得る(C)。露光後のケイ素含有膜2、2’の上に自己組織化ポリマーを塗布し、自己組織化ポリマー膜3を形成する(D)。ケイ素含有膜2、2’の接触角差及び加熱により自己組織化ポリマー膜3の自己組織化をさせる(E)。その後、自己組織化ポリマー膜3及びケイ素含有膜2、2’をエッチングし被加工基板1にパターン転写することができる(F)。
【0153】
本発明で用いる自己組織化が可能なポリマーをパターニング露光されたケイ素含有膜上に、好ましくは0.005〜0.05μm、特に0.01〜0.03μmの厚さに塗布し、100〜300℃、特に100〜150℃にて5〜600分、特に5〜100分ベークとアニーリング工程を併せて行うことにより、自己組織化によってミクロドメイン構造のパターンが20nm以下、特に10nm以下のサイズで形成される。
【0154】
本発明は、前記ミクロドメイン構造を形成したポリマー膜をドライエッチングすることによりパターンを形成する工程を含む。
【0155】
本発明では、前記ポリマー膜のパターン形成に自己リアクティブイオンエッチング(RIE)またはその他のエッチング手法に対するエッチングレートの差を利用することができる。例えば、ポリスチレンとポリブタジエンからなる自己組織化が可能なポリマーを用いた場合には、酸化性のガスによりポリスチレンブロックからなるパターンだけを残すような現像処理が可能である。ポリスチレンとポリメチルメタクリレートからなる自己組織化パターンでは、ポリスチレンの方がポリメチルメタクリレートより酸素やフルオロカーボン系のガスを用いるRIEに対してエッチング耐性が高い。この性質を利用して、RIEによりポリメチルメタクリレートからなるミクロドメイン構造を形成したポリマー膜から一部構造を選択的に除去し、パターンを形成することが可能である。
【0156】
本発明は、前記ポリマー膜のパターンをマスクとしてドライエッチングにより前記ケイ素含有膜にパターン転写する工程、及び前記ケイ素含有膜に転写されたパターンをマスクとしてドライエッチングにより前記被加工基板にパターン転写する工程を含む。
【0157】
前記ケイ素含有膜は、有機化合物である自己組織化ポリマーとは異なり、ケイ素含有化合物を含むためエッチング選択性を有し、エッチングハードマスクとして機能し、自己組織化により形成されるパターンを更に下層の被加工基板にパターン転写することが可能である。
【0158】
本発明で用いるケイ素含有膜上の接触角差を利用して自己組織化パターンを形成させ、CVD膜や有機下層膜との組み合わせを最適化することで、サイズ変換差を生じさせることなく自己組織化パターンを下層の無機膜や半導体装置基板にパターン転写できる。
【実施例】
【0159】
以下、合成例及び実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。なお、下記例で%は質量%を示し、分子量測定はGPCによった。
【0160】
ケイ素含有化合物の製造
[合成例1−1]
メタノール220g、メタンスルホン酸0.2g及び脱イオン水80gの混合物に[モノマー101]25.9g、[モノマー102]41.9g及び[モノマー120]9.5gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールエチルエーテル(PGEE)200gを加え、副生アルコールを減圧で留去した。そこに、酢酸エチル1000ml及びPGEE300gを加え、水層を分液した。残った有機層に、イオン交換水100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを3回繰り返した。残った有機層を減圧で濃縮してケイ素含有化合物1−1のPGEE溶液330g(化合物濃度10%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,200であった。
【0161】
[合成例1−1]と同様の条件で表1に示してあるモノマーを使用して、[合成例1−2]から[合成例1−16]、[合成例1−20]から[合成例1−24]まで行い、それぞれ目的物を得た。
【0162】
[合成例1−17]
エタノール400g、25%水酸化テトラメチルアンモニウム5g及び脱イオン水200gの混合物に[モノマー101]20.4g、[モノマー102]7.6g及び[モノマー128]95.5gの混合物を添加し、4時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、酢酸2gを加えて中和し、副生アルコールを減圧で留去した。そこに、酢酸エチル1200ml及びPGEE400gを加え、水層を分液した。残った有機層に、イオン交換水100mlを加えて撹拌、静置、分液した。これを3回繰り返した。残った有機層を減圧で濃縮してケイ素含有化合物1−17のPGEE溶液410g(化合物濃度20%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,300であった。
【0163】
[合成例1−17]と同様の条件で表1に示してあるモノマーを使用して、[合成例1−18]及び[合成例1−19]を行い、それぞれ目的物を得た。
【0164】
[合成例1−25]
メタノール120g、70%硝酸0.1g及び脱イオン水60gの混合物に[モノマー100]5.0g、[モノマー101]3.4g、及び[モノマー102]68.5gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコールおよび過剰の水を減圧で留去して、ケイ素含有膜形成用組成物1−25のPGEE溶液310g(ポリマー濃度10%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,200であった。
【0165】
[合成例1−25]と同様の条件で表1に示してある反応原料を使用して[合成例1−26]から[製造例1−30]まで行い、それぞれ目的物を得た。
【0166】
【表1】
【0167】
【化24】
【0168】
[合成例1−31]
4−tertブトキシスチレン27.3g、4−トリメトキシシリルスチレン104.3g、MAIB(ジメチル−2,2′−アゾビス(イソブチレート))4.2gおよびPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)100gでモノマー溶液を調製した。窒素雰囲気としたフラスコにPGMEA50gを入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した後、上記モノマー溶液を2時間かけて滴下した。次いで、重合液の温度を80℃に保ち20時間撹拌を続けた後、加熱を止め室温まで冷却した。得られた重合液をPGMEA200gで希釈し、この溶液を撹拌した2000gのメタノールに滴下し、析出した高分子化合物を濾別した。得られた高分子化合物を600gのメタノールで2回洗浄し、50℃で20時間真空乾燥して高分子化合物1−31を得た。この高分子化合物のGPCによる質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で9,800、分散度(Mw/Mn)は1.91であった。13C−NMRで分析したところ、共重合組成比は、4−tertブトキシスチレン由来の単位/4−トリメトキシシリルスチレン由来の単位=26/74であった。
【0169】
【化25】
重合組成比:4−tertブトキシスチレン由来の単位/4−トリメトキシシリルスチレン由来の単位=26/74(モル比)
分子量(Mw):9,800
分散度(Mw/Mn):1.91
【0170】
前記合成例で得られたケイ素含有化合物(1−1)〜(1−31)、酸、熱架橋促進剤、溶剤、添加剤を表2,3に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素含有膜形成用組成物溶液をそれぞれ調製し、それぞれSol.1〜41とした。
【0171】
【表2】
【0172】
【表3】
【0173】
TPSOH :水酸化トリフェニルスルホニウム
TPSHCO :炭酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSOx :シュウ酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSTFA :トリフルオロ酢酸トリフェニルスルホニウム
TPSOCOPh :安息香酸トリフェニルスルホニウム
TPSHPO :リン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSMA :マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSNf :ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
QMAMA :マレイン酸モノ(テトラメチルアンモニウム)
QMATFA :トリフルオロ酢酸テトラメチルアンモニウム
QBANO :硝酸テトラブチルアンモニウム
PhICl :塩化ジフェニルヨードニウム
PGEE :プロピレングリコールエチルエーテル
【0174】
[合成例2−1]
2Lのフラスコ反応容器を減圧乾燥した後、窒素雰囲気下、蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン1,500gを注入し、−75℃まで冷却した。その後、s−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:1N)を12.3g注入し、蒸留脱水処理を行った4−エトキシエトキシスチレンを161g滴下注入した。このとき反応溶液の内温が−60℃以上にならないように注意した。15分間反応後、更に蒸留脱水処理を行った4−t−ブトキシスチレンを98.7g滴下注入し、30分間反応させた。この後、メタノール10gを注入し、反応を停止させた。反応溶液を室温まで昇温し、得られた反応溶液を減圧濃縮し、メタノール800gを注入撹拌し、静置後、上層のメタノール層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、金属Liを取り除いた。下層のポリマー溶液を濃縮し、テトラヒドロフラン580g、メタノール507g、シュウ酸5.0gを加え、40℃に加温し、40時間脱保護反応を行い、ピリジン3.5gを用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.6Lに溶解し、水7.0Lの溶液中に沈殿させ、洗浄し、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体166.2gを得た。
【0175】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ヒドロキシスチレン:4−t−ブトキシスチレン=57.7:42.3
質量平均分子量(Mw)=9,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.13
これを(ジブロック−A)とする。
【0176】
【化26】
【0177】
[合成例2―2]
2Lのフラスコ反応容器を減圧乾燥した後、窒素雰囲気下、蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン1,500gを注入し、−75℃まで冷却した。その後、s−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:1N)を12.5g注入し、蒸留脱水処理を行った4−t−ブトキシスチレンを41g滴下注入した。このとき反応溶液の内温が−60℃以上にならないように注意した。15分間反応後、更に蒸留脱水処理を行った4−エトキシエトキシスチレンを154g滴下注入し、15分間反応させた。最後に蒸留脱水処理を行った4−t−ブトキシスチレンを再度41g滴下注入し、30分間反応後、メタノール10gを注入し、反応を停止させた。反応溶液を室温まで昇温し、得られた反応溶液を減圧濃縮し、メタノール800gを注入撹拌し、静置後、上層のメタノール層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、金属Liを取り除いた。下層のポリマー溶液を濃縮し、テトラヒドロフラン580g、メタノール507g、シュウ酸5.0gを加え、40℃に加温し、40時間脱保護反応を行い、ピリジン3.5gを用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.6Lに溶解し、水7.0Lの溶液中に沈殿させ、洗浄し、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体163.2gを得た。
【0178】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ヒドロキシスチレン:4−t−ブトキシスチレン=62.5:37.5
質量平均分子量(Mw)=10,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.09
これを(トリブロック−B)とする。
【0179】
【化27】
【0180】
[合成例2−3]
2Lのフラスコ反応容器を減圧乾燥した後、窒素雰囲気下、蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン1,500gを注入し、−75℃まで冷却した。その後、s−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:1N)を14.5g注入し、蒸留脱水処理を行った4−エトキシエトキシスチレンを193g滴下注入した。このとき反応溶液の内温が−60℃以上にならないように注意した。15分間反応後、更に蒸留脱水処理を行ったメタクリル酸メチルエステルを47g滴下注入し、0℃まで30分間かけて昇温させながら反応を行い、その後メタノール10gを注入し、反応を停止させた。反応溶液を室温まで昇温し、得られた反応溶液を減圧濃縮し、メタノール800gを注入撹拌し、静置後、上層のメタノール層を取り除いた。この操作を3回繰り返し、金属Liを取り除いた。下層のポリマー溶液を濃縮し、テトラヒドロフラン580g、メタノール507g、シュウ酸5.0gを加え、40℃に加温し、40時間脱保護反応を行い、ピリジン3.5gを用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン0.6Lに溶解し、水7.0Lの溶液中に沈殿させ、洗浄し、得られた白色固体を濾過後、40℃で減圧乾燥し、白色重合体148.9gを得た。
【0181】
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比
ヒドロキシスチレン:メタクリル酸メチルエステル=67.9:32.1
質量平均分子量(Mw)=11,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.12
これを(ジブロック−C)とする。
【0182】
【化28】
【0183】
以下、同様の合成法により、下記構造式に示したようなトリブロック−D、ジブロック−E、F、G、Hを合成した。
【0184】
【化29】
【0185】
[実施例、比較例]
【0186】
接触角の測定
<下層膜の未露光部の接触角サンプル>
シリコンウエハー上に、ケイ素含有下層膜形成用組成物Sol.1〜41を塗布して240℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのケイ素含有膜Film1〜41を作製し、純水との接触角(CA1)を測定した(表4)。
【0187】
<下層膜の露光部の接触角サンプル>
シリコンウエハー上に、ケイ素含有下層膜形成用組成物Sol.1〜41を塗布して240℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのケイ素含有膜Film1〜41を作製した。次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610Cで全面露光し、100℃で60秒間ベークし、ケイ素含有膜の露光部の膜を得た。これらについて、純水との接触角(CA2)を測定した(表5)。
【0188】
【表4】
【0189】
【表5】
【0190】
本発明で用いるケイ素含有膜であるFilm1からFilm40では、露光後に接触角が低下することを確認できた。一方、酸に安定な基で置換されているFilm41では、露光後においても殆ど接触角変化は見られなかった。
【0191】
パターニングウエハの作製
シリコンウエハー上に、信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボン含有量80質量%)を膜厚200nmで形成した。その上にケイ素含有膜形成用組成物Sol.11〜41を塗布して240℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのケイ素含有膜Film11〜41作製した。
【0192】
続いて、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポール偏光照明、45nm 1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを作製可能な6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)した。
【0193】
前記ジまたはトリブロックコポリマーA〜Hをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液に調製し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、自己組織化ポリマー溶液をそれぞれ調製し、それぞれDS―A〜Hとした。
【0194】
このポリマー溶液を前記で得られたFilm11〜41上に膜厚が50nmになるようにスピン塗布し、真空中、180℃、24時間加熱処理して、ミクロドメイン構造のパターンを形成した。このパターンを(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)で観察し、表6にまとめた。
【0195】
パターンエッチング試験
上記、パターニング試験で作製したパターンを、まず酸素系のガスを用いて、加工条件(1)によりポリ(メタ)アクリル酸エステル部分をドライエッチングによりパターンを形成し、残ったポリスチレン部分をマスクにしてケイ素含有膜を条件(2)でドライエッチングによりパターンを転写し、次いで条件(3)でドライエッチングしスピンオンカーボン膜にパターンを転写した。得られたパターンの線幅を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)で形状を比較し表6にまとめた。
【0196】
(1)O/N系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(1):
チャンバー圧力 5Pa
Upper/Lower RFパワー 100W/50W
ガス流量 10ml/min
ガス流量 10ml/min
Arガス流量 10ml/min
処理時間 30sec
【0197】
(2)CHF/CF系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(2):
チャンバー圧力 15Pa
Upper/Lower RFパワー 500W/300W
CHFガス流量 50ml/min
CFガス流量 150ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 40sec
【0198】
(3)O/N系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(3):
チャンバー圧力 5Pa
Upper/Lower RFパワー 1000W/300W
ガス流量 300ml/min
ガス流量 100ml/min
Arガス流量 100ml/min
処理時間 30sec
【0199】
【表6】
【0200】
表6に示されているように、本発明のパターン形成方法(実施例1〜30)では、下層膜として露光後に接触角の差異を生じるケイ素含有膜を形成し、その上層に自己組織化ポリマーを形成することで、均一性や規則性に優れたパターンを得ることができた。また、その中でパターンサイズが30nm以下の微細なミクロドメイン構造も得ることができた(実施例1〜6、9、12、14,15、17、24、30)。更に、エッチングによるパターンの転写の工程を経てもサイズ変換差が良好なパターンを得ることができた。一方、露光前後の接触角差が微小なケイ素含有膜(比較例1)では、自己組織化ポリマーの自己組織化が確認されず、パターンを得ることができなかった。
【0201】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。
【符号の説明】
【0202】
1…被加工基板、 2…ケイ素含有膜、 2’…接触角が変化したケイ素含有膜、 3…自己組織化ポリマー膜
図1