特許第5711270号(P5711270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5711270アポトーシスシグナル調節キナーゼ1阻害剤
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  • 特許5711270-アポトーシスシグナル調節キナーゼ1阻害剤 図000067
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5711270
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】アポトーシスシグナル調節キナーゼ1阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20150409BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   C07D471/04 104Z
   C07D471/04CSP
   A61K31/437ZNA
   A61P3/10
   A61P3/06
   A61P25/00
   A61P3/04
   A61P27/02
   A61P1/04
   A61P1/02
   A61P13/12
   A61P9/10 101
   A61P9/12
   A61P9/10
   A61P9/00
   A61P3/00
   A61P29/00
   A61P37/06
   A61P19/08
   A61P31/00
   A61P11/00
   A61P13/00
   A61P7/00
   A61P1/18
   A61P11/06
   A61P37/08
   A61P25/28
   A61P25/16
   A61P25/08
   A61P25/14
   A61P19/10
   A61P43/00 111
【請求項の数】17
【全頁数】105
(21)【出願番号】特願2012-551994(P2012-551994)
(86)(22)【出願日】2011年1月21日
(65)【公表番号】特表2013-518881(P2013-518881A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】US2011022137
(87)【国際公開番号】WO2011097079
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2013年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/300,869
(32)【優先日】2010年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100122688
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】チャン、エドコン
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/123986(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/027283(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/016131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D471/00−471/22
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
で表される化合物、その立体異性体又はそれらの医薬上許容される塩
(式中、
mは0、1又は2であり;
は、
【化2】
式中、
は、結合位置を示す)
であり
各Rは、それぞれ独立して(1−6)アルキルから選択され;
、(1−6)アルキル、(3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−6)アルキル及(C1−6)アルキルスルホニル(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
、水であり
、水素、ハロ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され
21は、(C1−6)アルキル及びヒドロキシ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22、(1−)アルキル及びヒドロキシ(C1−)アルキルからなる群より選択される)。
【請求項2】
式:
【化3】
で表される請求項1記載の化合物、その立体異性体又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項3】
が、メチル、エチル及びシクロプロピルからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項4】
が、クロロ、ブロモ及びメチルからなる群より選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項5】
21がメチル、−CHOH及び−CHCHOHからなる群より選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項6】
21がヒドロキシメチルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項7】
22がメチルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項8】
以下からなる群より選択される、請求項1記載の化合物:
N−(1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド;
N−(1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(3−ブロモ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(2,3−ジクロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(S)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−3−メチルベンズアミド;
N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(S)−N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(S)−N−(2,3−ジクロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(2,3−ジクロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
(R)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−3−メチルベンズアミド;
前記化合物のいずれか1つの立体異性体;及び
前記化合物若しくは前記立体異性体のいずれか1つの医薬上許容される塩。
【請求項9】
N−(3−ブロモ−1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
(R)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
(R)−N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
(S)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)ベンズアミド又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
請求項1〜1のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜1のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩を含む、医薬。
【請求項17】
糖尿病、2型糖尿病、糖尿病性脂質異常症、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲抑制、肥満、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、炎症性腸疾患、クローン病、化学療法誘導性腸炎、口腔粘膜炎、短腸症候群、腎臓疾患、高脂血症、動脈硬化症、高血圧症、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳卒中、メタボリックシンドローム、急性膵臓炎、慢性膵臓炎、喘息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸促迫症候群、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、発作、ハンチントン病、ポリグルタミン病、外傷性脳損傷、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、脳虚血、アポトーシス駆動神経変性疾患、及び外傷性損傷、急性低酸素症、虚血若しくはグルタミン酸神経毒性により引き起こされる神経変性疾患;糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、乾癬、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、骨粗鬆症、変形性関節症、多発性骨髄腫関連骨障害、敗血症、敗血症性ショック、細菌性赤痢、浮腫、無痛覚症、発熱及び疼痛、神経筋疼痛、頭痛、癌疼痛、歯の疼痛、関節炎疼痛、心肥大、心筋虚血、臓器低酸素症、血管過形成、肝虚血、肝臓疾患、うっ血性心不全、ならびにトロンビン誘導性血小板凝集からなる群より選択される病態を治療するための、請求項1に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)を阻害するために使用され得る化合物、並びにこれらの化合物を含む組成物、キット及び製品に関する。本発明は、本発明に従う化合物を使用したASK1阻害方法及び治療方法にも関する。さらに、本発明は、本発明の化合物の製造方法並びにかかる方法で有用な中間体に関する。特に、本発明は、ASK1阻害剤、これらの化合物を含む組成物、キット及び製品、ASK1阻害方法、並びに阻害剤を製造するために有用な方法及び中間体に関する。
【0002】
(発明の背景)
アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)は、セリン/スレオニンキナーゼファミリーのメンバーであるマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーの一員である(Wang et al.J.Biol.Chem.1996,271,31607−31611,Ichijo et al.Science 1997,275,90−94)。ASK1は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼキナーゼ5(MAPKKK5、MAP3K5)、MAP/ERKキナーゼキナーゼ5(MEKK5)、MEKキナーゼ5、MEKK5、MAP/ERKキナーゼキナーゼ5としても知られている。このプロテインキナーゼは、NH末端及びCOOH末端の長い隣接領域を有する分子の中央部分に11個のキナーゼサブドメイン;特に、セリン/スレオニンキナーゼドメインを含む、1375アミノ酸からなる(Wang et al.J.Biol.Chem.1996,271,31607−31611,Ichijo et al.Science 1997,275,90−94;Tobiume et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.1997,239,905−910;米国特許第6,080,546号及び同第6,194,187号)。ASK1のヌクレオチド配列は、タンパク質データベースにおいてアクセッション番号NM_005923でアクセス可能である。ASK1は遍在して発現され、心臓、膵臓、精巣及び卵巣における発現が最も高い。
【0003】
MAPキナーゼは、リン酸化カスケードを介した細胞表面から核へのシグナル伝達を媒介する(Egan and Weinbery Nature 1993,365,781−783)。
【0004】
MAPKカスケードは、全ての真核生物細胞で進化的に保存された多機能の細胞内シグナル伝達経路である(Widmann et al.Physiol Rev 1999,79,143−180;Kyriakis and Avruch,J.Physiol Rev 2001,81,807−869;Ichijo Oncogene 1999,18:6087−6093)。全ての真核生物細胞は、複数のMAPK経路を有している。哺乳動物細胞では、ERK、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)及びp38 MAPキナーゼに集中する3つのMAPKカスケードがよく特徴付けられている(Egan and Weinbery Nature 1993,365,781−783;Boulton et al.Cell 1994,65,663−675;及びZhou et al.J.Biol.Chem.1995,270,12665−12669(MAPK/ERK経路);Derujard et al.Cell 1994,76,1025−1037;Galcheva−Gargova et al.Science 1994,265,806−808;Minden et al.Mol.Cell.Biol.1994,14,6683−6688(c−Jun N末端キナーゼ(JNK)経路);及びLee et al.Science 1994,265,808−811(p38 MAPK経路))。ERK経路は、種々の成長因子によって活性化され、細胞周期の調節に密接に関わっている。JNK経路及びp38経路は、UV照射、X線、熱ショック、浸透圧ショック、酸化ストレス及び炎症促進性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキン−1)などの種々の細胞傷害性ストレスによって優先的に活性化される(Tibbles and Woodgett,Cell Mol,Life Sci.1999,55:1230−1254)。従って、JNK及びp38は、ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)とも呼ばれる。
【0005】
各MAPKカスケードは、3つのクラスのセリン/スレオニンキナーゼ、MAPK、MAPKキナーゼ(kinanse)(MAP2K)及びMAP2Kキナーゼ(MAP3K)を含む。MAPKシグナル伝達カスケードでは、MAP3KがMAP2Kをリン酸化することによって活性化し、次いでMAP2KがMAPKをリン酸化して活性化する。活性化されたMAPKは、細胞の核に移行し、転写因子の活性を調節し、それにより遺伝子発現を制御する(Sturgill and Wu,Biochim.Biophys.Acta 1993,1092,350;Nishida and Gotoh,Trends Biochem.Sci.1993,18,128;Errede and Levin Curr.Opin.Cell Biol.1993,5,254;Marshall Curr.Opin.Genet.Dev.1994,82)。
【0006】
MAP3Kは、細胞ストレス及び環境ストレスの感知及びシグナル伝達において重要な役割を果たす。JNK経路及びp38経路中のMAP3Kは、数及び構造が非常に多様である。少なくとも11種のMAP3KがJNKの上流で同定されており、これらはそれぞれ、単一又は複数の下流のMAPKカスケードを活性化する。この多様性及び複雑性は、MAPK経路を活性化する刺激の多様性と一致している(Kyriakis and Avruch Physiol.Rev.2001,81,807−869)。
【0007】
これらのストレス活性化MAPキナーゼ経路を介して媒介される重要な生物学的応答の1つは、アポトーシスを調節することによる細胞運命の決定であると思われる。アポトーシス促進性シグナル伝達におけるJNK経路の可能性のある役割が、ノックアウトマウス研究によって実証されている(Yang et al.Nature 1997,389:865−870;Sabapathy et al.Curr.Biol.1999,9:116−125;Kuan et al.Neuron 1999,22:667−676)。いくつかの証拠も、p38経路のアポトーシス促進性の役割を示唆している(Xia et al.Science 1995,270:1326−1331;Kawaski et al.J.Biol.Chem.1997,272:18518−18521;Harper and LoGrasso et al.Cell Signal.2001,13:299−310)。
【0008】
ASK1は元々、アポトーシス誘導性MAP3Kとして同定された。ASK1は、そのそれぞれのMAPKK、MKK4(SEK1)/MKK7及びMKK3/MKK6を直接リン酸化することで活性化して、p38経路及びJNK経路を調節する(Wang et al.J.Biol.Chem.1996,271,31607−31611;Ichijo et al.Science 1997,275,90−94)。ASK1の活性は厳密に調節される;遍在して発現される還元/酸化タンパク質チオレドキシン(Trx)がそのN末端に結合し、その活性を阻害する。ASK1は、酸化ストレス、小胞体(ER)ストレス及びカルシウム過負荷を含む種々の細胞傷害性ストレスによって、また腫瘍壊死因子(TNF)及び内毒素リポポリサッカリド(LPS)などの受容体媒介型の炎症性シグナルによって、活性化される(Hayakaw et al.Microbes and Infection 2006,8,1098−1107;Saitoh et al EMBO J.1998,17:2596−2606;Nishitoh et al.Genes Dev.2002,16:1345−1355;Takeda et al.EMBO Rep.2004,5,161−166;Nishitoh et al.Mol Cell 1998,2,389−395;Matsukawa et al.Nat Immunol 2005,6,587−592)。ASK1は、酸化ストレス、TNF及びERストレスによって誘導されるアポトーシスに必要であることが示されている(Nishitoh et al.Genes Dev.2002,16:1345−1355;Matsukawa et al.Nat Immunol 2005,6,587−592;Tobiume et al.EMBO Rep.2001,2:222−228)。野生型ASK1の過剰発現又は構成的に活性なASK1は、ミトコンドリア依存的なカスケード活性化を介して、種々の細胞においてアポトーシスを誘導する(Saitoh et al EMBO J.1998,17:2596−2606;Kanamoto et al.Mol.Cell Biol.2000,20,196−204;Hatai et al.J.Biol.Chem.2000,275,26576−26588)。
【0009】
最近の研究により、ASK1が細胞死の調節に寄与するだけではなく、細胞運命の決定においても多様な機能(例えば、サイトカイン応答、細胞分化及び自然免疫応答)を有することが明らかになった(Matsukawa et al.J Biochem.(Toyko)2004,136,261−265.Sayama et al.J.Biol.Chem.2000,276:999−1004;Takeda et al.J.Biol.Chem.2000,275:9805−9813;Sagasti et al.Cell 2001,105:221−232;Kim et al.Science 2002,297:623−626;Nishitoh et al.Genes Dev.2002,16:1345−1355;Matsukawa et al.Nat Immunol 2005,6,587−592;Tobiume et al.EMBO Rep.2001,2:222−228;Imoto,et al.Diabetes 2006,55:1197−1204)。構成的に活性なASK1は、PC12細胞において神経突起伸長を誘導する。ASK1は、ニューロンではASK1−p38経路を活性化するCaMKIIによって活性化され、これは、ASK1がシナプス可塑性に重要な役割を果たし得ることを示唆している。さらに、TRAF6−ASK1−p38経路は、炎症及び自然免疫応答において重要な役割を果たす(Hayakawa et al.Microbes and Infection 2006,8,1098−1107)。ASK1は、TNF−α誘導性のインスリン抵抗性の発病において役割を有することも実証されている。野生型ASK1の過剰発現は、インスリン受容体基質(IRS)−1のセリンリン酸化を増加させ、インスリン刺激されたIIRS−1のチロシンリン酸化を減少させ、インスリンシグナル伝達の減損をもたらす(Imoto,et al.Diabetes 2006,55:1197−1204)。
【0010】
このように、ASK1は、ストレス誘導性の細胞死だけでなく、細胞が種々のストレスに適応する又は対抗するための広範な生物学的活性においても、重要な構成要素である。ASK1の活性を調節することは、心血管疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害(destructive bone disorder)、神経変性障害及び代謝性疾患(例えば糖尿病)が含まれるがこれらに限定されない広範な疾患及び状態を治療又は予防することに有利な効果を有する可能性がある(Thompson,Science 1995,267,1456−1462;Yuan and Yanker Nature 2000,407,802−809;Los et al.Immunity 1999,10,629−639)。
【0011】
現在、ASK1の発現及び/又は活性を効果的に阻害する治療剤は知られておらず、今日まで、ASK1機能の調節を目的としたストラテジーは、このタンパク質の抗体、ドミナントネガティブ変異体及びドミナントアクティブ変異体の使用を伴ってきた。
【0012】
米国特許第5,981,265号及び同第6,074,861号は、MAP3K1、MAP3K2、MAP3K3、MAP3K4、MAP3K5及びMAP3K6をコードする核酸分子に対しストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な核酸で細胞を形質転換又はトランスフェクトすることにより、細胞中のMAP3Kタンパク質活性を調節する方法を特許請求している。アンチセンス及び三重鎖形成における、リボザイム、プローブ若しくはプライマーとしての使用のため、並びに他の適用における使用のためのオリゴヌクレオチドが一般に開示されている。WO 01/07461は、MAP3K5の発現を調節し、MAP3K5発現に関連する疾患を治療するための、アンチセンス組成物及びアンチセンス組成物の使用方法を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
結果として、ASK1の活性を効果的に調節可能な薬剤に対する長年にわたる要求が未だに存在する。低分子量阻害剤が、ASK1活性を調節するための有効な手段であることが試験され得る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ASK1を阻害する活性を有する化合物に関する。本発明は、これらの化合物を含む組成物、製品及びキットも提供する。さらに、本発明は、本発明の化合物の製造方法並びにかかる方法で有用な中間体に関する。
【0015】
1態様において、本発明は、式:
【0016】
【化1】
【0017】
を有する化合物若しくは立体異性体又はその医薬上許容される塩に関する
(式中、
mは0、1又は2であり;
は、置換若しくは非置換のヒドロキシ(C1−6)アルキル又は置換若しくは非置換のR−カルボニル(C1−6)アルキルであり;
各Rは、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルコキシ、アミノ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、パーハロ(C1−6)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルコキシ、パーハロ(C1−6)アルコキシ、(C3−6)シクロアルキル、R−カルボニル(C1−6)アルキル、R−スルホニル(C1−6)アルキル、R−カルボニル及びR−スルホニルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、ヒドロキシ、ニトロ、ハロ、シアノ、(C1−6)アルコキシ、(C4−6)アリールオキシ、ヘテロ(C1−5)アリールオキシ、(C1−6)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、(C4−6)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アリール(C1−3)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群より独立して選択され;
は、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、シアノ、アミノ、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、(C3−6)シクロアルキル、(C4−6)アリール、オキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニル、アミノスルホニルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、シアノ、(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)シクロアルケニル、(C4−6)シクロアルケニル、スルホニル、ヘテロ(C3−5)シクロアルケニル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群より選択され、ここで該アミノ、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、オキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニル及びアミノスルホニルは、それぞれ、非置換であるか又は(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、パーハロ(C1−6)アルキル及び(C3−6)シクロアルキルからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基でさらに置換されている;
は、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、非置換アミノ、モノ置換アミノ、ジ置換アミノ、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル及び(C4−6)アリールからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、オキシ、ヒドロキシ、カルボニルオキシ、(C1−6)アルコキシ、(C4−6)アリールオキシ、ヘテロ(C1−5)アリールオキシ、カルボニル、オキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニル、スルフィニル、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、カルボニル(C1−6)アルキル、チオカルボニル(C1−6)アルキル、スルホニル(C1−6)アルキル、スルフィニル(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C4−6)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群より選択され、但し、Rが水素であり、かつRがアルキルである場合、Rはアリールでもヘテロアリールでも複素環でもない;
は、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、パーハロ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、オキシ、ヒドロキシ、カルボニルオキシ、(C1−6)アルコキシ、(C4−6)アリールオキシ、ヘテロ(C1−5)アリールオキシ、カルボニル、オキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニル、スルフィニル、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、カルボニル(C1−6)アルキル、チオカルボニル(C1−6)アルキル、スルホニル(C1−6)アルキル、スルフィニル(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C4−6)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群より選択され;
は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択される)。
【0018】
上記実施形態の全てに関して、イオン化形態又は溶媒和形態で医薬を投与することは当該分野で周知であるので、かかるイオン化形態及び溶媒和物が特定されているかどうかにかかわらず、本発明は、前記化合物の全ての医薬上許容されるイオン化形態(例えば塩)及び溶媒和物(例えば水和物)を包含する意図であることに留意すべきである。特段の立体化学が特定されない限り、化合物の記述は、化合物が個々の異性体として存在するか異性体混合物として存在するかにかかわらず、全ての可能な立体異性体(例えば、キラル中心の数に基づくエナンチオマー又はジアステレオマー)を包含する意図であることも留意すべきである。さらに、特記しない限り、化合物の記述は、全ての可能な共鳴形態及び互変異性体を包含する意図である。請求項に関して、語句「式〜を含む化合物」、「式〜を有する化合物」及び「式〜の化合物」は、特定の請求項中で具体的に別途特定されない限り、その化合物、及び全ての医薬上許容されるイオン化形態及び溶媒和物、全ての可能な立体異性体、並びに全ての可能な共鳴形態及び互変異性体を包含する意図である。
【0019】
別の態様では、本発明は、活性成分として本発明に従うASK1阻害剤を含む医薬組成物に関する。本発明に従う医薬組成物は、1以上の本発明の阻害剤を、0.001%〜100%含んでいてもよい。これらの医薬組成物は、例えば、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋内、直腸内、経頬(transbuccally)、鼻腔内、リポソームによる、吸入を介する、経膣、眼内(intraoccularly)、局所送達を介する(例えば、カテーテル又はステントによる)、皮下、脂肪内(intraadiposally)、関節内又は髄腔内(intrathecally)を含む種々の広範な経路によって投与又は同時投与され得る。組成物はまた、徐放性剤形で投与又は同時投与され得る。
【0020】
別の態様において、本発明は、ASK1に関連する病態を治療するためのキット及び製品に関する。
【0021】
1態様において、キットは、指示書と組合わせて、少なくとも1種の本発明のASK1阻害剤を含む組成物を含む。指示書は、組成物を投与すべき病態、保存情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示し得る。キットは包装材料も含み得る。包装材料は、組成物を収納するための容器を含み得る。キットは、さらなる構成要素(例えば、組成物の投与用のシリンジ)を含んでいてもよい。キットは、単一用量形態又は複数用量形態で組成物を含み得る。
【0022】
別の態様において、本発明は、包装材料と組合わせて、少なくとも1種の本発明のASK1阻害剤を含む組成物を含む製品に関する。包装材料は、組成物を収納するための容器を含み得る。容器は、組成物を投与すべき病態、保存情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示すラベルを含んでいてもよい。製品は、さらなる構成要素(例えば、組成物の投与用のシリンジ)を含んでいてもよい。製品は、単一用量形態又は複数用量形態で組成物を含み得る。
【0023】
なお別の態様において、本発明は、本発明に従う化合物、組成物、キット及び製品を調製する方法に関する。例えば、いくつかの合成スキームが、本発明に従う化合物を合成するために本明細書中に提供される。なおさらなる態様において、本発明は、本発明に従う化合物、組成物、キット及び製品の調製に有用な中間体に関する。
【0024】
なお別の態様において、本発明は、本発明に従う化合物、組成物、キット及び製品を使用する方法に関する。
【0025】
1実施形態において、化合物、組成物、キット及び製品は、ASK1を阻害するために使用される。
【0026】
別の実施例において、化合物、組成物、キット及び製品は、病態を治療するために使用され、ASK1がその病態の病理及び/又は症候に寄与する活性を有している。
【0027】
別の実施例において、化合物が対象に投与され、対象内のASK1活性が変更され、好ましくは低減される。
【0028】
別の実施例において、化合物のプロドラッグが対象に投与され、該プロドラッグはin vivoで該化合物に変換され、そこでASK1を阻害する。
【0029】
別の実施例において、ASK1を本発明に従う化合物と接触させることを含む、ASK1を阻害する方法が提供される。
【0030】
別の実施例において、in vivoでASK1を阻害するために、本発明に従う化合物を対象内に存在させることを含む、ASK1を阻害する方法が提供される。
【0031】
別の実施例において、ASK1に媒介されることが公知の病態又はASK1阻害剤によって治療されることが公知の病態の治療に使用するための医薬を製造するために、本発明に従う化合物を使用する方法が提供される。
【0032】
本発明の化合物を使用する種々の方法において、プロドラッグの送達が特定されているか否かにかかわらず、本発明に従う化合物にin vivoで変換されるプロドラッグの投与を包含する意図であることに留意すべきである。本発明の特定の化合物は、ASK1を阻害する前にin vivoで変更され得ること、従って、それ自体が別の化合物のプロドラッグであり得ることにも、留意すべきである。別の化合物のかかるプロドラッグは、それ自体独立してASK1阻害活性を有していてもいなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本出願で言及する配列番号1及び配列番号2を示す。
【0034】
(発明の詳細な説明)
定義
特記しない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される以下の用語は、本出願のために以下の意味を有する。
【0035】
明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数形の指示対象を含むことに留意すべきである。さらに、標準的な化学用語の定義は、Carey and Sundberg「Advanced Organic Chemistry 第5版」Vols.A(2007)及びB(2007),Springer Science and Business Media,New Yorkを含む参考文献中に見出すことができる。また、特記しない限り、当業者の技術範囲内の質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法が使用される。
【0036】
「アセチル」は基−C(O)CHを意味する。
【0037】
「アセチルアミノ」は−NR−C(O)CH3を意味し、式中Rは水素又はさらなる置換基である。
【0038】
「脂環式」は、非芳香族の環構造を含む部分を意味する。脂環式部分は、飽和であり得、又は1つ、2つ若しくはそれ以上の二重結合若しくは三重結合で部分的に不飽和であり得る。脂環式部分はまた、窒素、酸素及び硫黄などのヘテロ原子を含んでいてもよい。窒素原子は、四級化又は酸化されていてもよく、硫黄原子は酸化されていてもよい。脂環式部分の例としては、シクロプロピル、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエンなどの(C3−8)環を有する部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「脂肪族」は、構成炭素原子の直鎖又は分枝鎖の配置を特徴とする部分を意味し、飽和であり得、又は1つ、2つ若しくはそれ以上の二重結合若しくは三重結合で部分的に不飽和であり得る。
【0040】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、直鎖又は分枝鎖の炭素鎖(−CR=CR’−又は−CR=CR’R’’、式中、R、R’及びR’’はそれぞれ独立して、水素又はさらなる置換基である)を意味する。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどが挙げられる。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「アルケニル」は、(C2−20)アルケニル、(C2−15)アルケニル、(C2−10)アルケニル、(C2−5)アルケニル又は(C2−3)アルケニルであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「アルケニル」は、(C)アルケニル、(C)アルケニル又は(C)アルケニルであり得る。
【0041】
「アルケニレン」は、1以上の炭素−炭素二重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の二価炭素鎖(−CR=CR’−、式中R及びR’はそれぞれ独立して、水素又はさらなる置換基である)を意味する。アルケニレンの例としては、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイル、メチレン−1,1−ジイルなどが挙げられる。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「アルケニレン」は、(C2−20)アルケニレン、(C2−15)アルケニレン、(C2−10)アルケニレン、(C2−5)アルケニレン又は(C2−3)アルケニレンであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「アルケニレン」は、(C)アルケニレン、(C)アルケニレン又は(C)アルケニレンであり得る。
【0042】
「アルコキシ」は、さらなるアルキル置換基を有する酸素部分を意味する。本発明のアルコキシ基は、置換されていてもよい。
【0043】
単独で示される「アルキル」は、1以上の炭素原子が酸素(「オキサアルキル」を参照)、カルボニル基(「オキソアルキル」を参照)、硫黄(「チオアルキル」を参照)及び/又は窒素(「アザアルキル」を参照)と置き換わっていてもよい、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、炭素原子の鎖を有する脂肪族基を意味する。(C)アルキル及び(CX−Y)アルキルが典型的に使用され、X及びYは鎖中の炭素原子数を示す。例えば、(C1−6)アルキルとしては、1個と6個との間の炭素の鎖を有するアルキルが挙げられる(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルアリル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニルなど)。別の基と共に示されるアルキル(例えば、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル中のアルキルなど)は、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、示された原子数を有する二価の脂肪族基を意味し、原子が示されない場合には結合を意味する(例えば、(C6−10)アリール(C1−3)アルキルとしては、ベンジル、フェネチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−チエニルメチル、2−ピリジニルメチルなどが挙げられる)。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「アルキル」は、(C1−20)アルキル、(C1−15)アルキル、(C1−10)アルキル、(C1−5)アルキル又は(C1−3)アルキルであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「アルキル」は、(C)アルキル、(C)アルキル又は(C)アルキルであり得る。
【0044】
「アルキレン」は、特記しない限り、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、二価の脂肪族基を意味する。(C)アルキレン及び(CX−Y)アルキレンが典型的に使用され、X及びYは鎖中の炭素原子数を示す。例えば、(C1−6)アルキレンとしては、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、トリメチレン(−CHCHCH−)、テトラメチレン(−CHCHCHCH−)、2−ブテニレン(−CHCH=CHCH−)、2−メチルテトラメチレン(−CHCH(CH)CHCH−)、ペンタメチレン(−CHCHCHCHCH−)などが挙げられる。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「アルキレン」は、(C1−20)アルキレン、(C1−15)アルキレン、(C1−10)アルキレン、(C1−5)アルキレン又は(C1−3)アルキレンであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「アルキレン」は、(C)アルキレン、(C)アルキレン又は(C)アルキレンであり得る。
【0045】
「アルキリデン」は、二重結合によって親分子に連結された、直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和の、脂肪族の基を意味する。(C)アルキリデン及び(CX−Y)アルキリデンが典型的に使用され、X及びYは鎖中の炭素原子数を示す。例えば、(C1−6)アルキリデンとしては、メチレン(=CH)、エチリデン(=CHCH)、イソプロピリデン(=C(CH)、プロピリデン(=CHCHCH)、アリリデン(=CH−CH=CH)などが挙げられる。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「アルキリデン」は、(C1−20)アルキリデン、(C1−15)アルキリデン、(C1−10)アルキリデン、(C1−5)アルキリデン又は(C1−3)アルキリデンであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「アルキリデン」は、(C)アルキリデン、(C)アルキリデン又は(C)アルキリデンであり得る。
【0046】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む、直鎖又は分枝鎖の炭素鎖(−C≡C−又は−C≡CR、式中、Rは水素又はさらなる置換基である)を意味する。アルキニルの例としては、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどが挙げられる。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「アルキニル」は、(C2−20)アルキニル、(C2−15)アルキニル、(C2−10)アルキニル、(C2−5)アルキニル又は(C2−3)アルキニルであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「アルキニル」は、(C)アルキニル、(C)アルキニル又は(C)アルキニルであり得る。
【0047】
「アルキニレン」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する、直鎖又は分枝鎖の二価の炭素鎖(−CR≡CR’−、式中、R及びR’はそれぞれ独立して、水素又はさらなる置換基である)を意味する。アルキニレンの例としては、エチン−1,2−ジイル、プロピン−1,3−ジイルなどが挙げられる。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「アルキニレン」は、(C2−20)アルキニレン、(C2−15)アルキニレン、(C2−10)アルキニレン、(C2−5)アルキニレン又は(C2−3)アルキニレンであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「アルキニレン」は、(C)アルキニレン、(C)アルキニレン又は(C)アルキニレンであり得る。
【0048】
「アミド」は、基−NR−C(=O)−及び/又は−NR−C(=O)R’を意味し、式中各R及びR’は独立して、水素又はさらなる置換基である。
【0049】
「アミノ」は、2つのさらなる置換基を有する窒素部分を意味し、例えば水素原子又は炭素原子が窒素に結合している。例えば、代表的なアミノ基としては、−NH、−NHCH、−N(CH、−NH((C1−10)アルキル)、−N((C1−10)アルキル)、−NH(アリール)、−NH(ヘテロアリール)、−N(アリール)、−N(ヘテロアリール)などが挙げられる。2つの置換基は、置換基が結合する窒素と一緒になって環を形成しなくてもよいことが、さらに理解される。特記しない限り、アミノ部分を含む本発明の化合物には、その保護された誘導体が含まれ得る。アミノ部分の適切な保護基としては、アセチル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。
【0050】
「動物」には、ヒト、非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカなど)及び非哺乳動物(例えば、鳥類など)が含まれる。
【0051】
「芳香族」は、構成原子が不飽和環系を形成し、環系中の全ての原子がsp混成であり、π原子の総数が4n+2に等しい部分を意味する。芳香族環は、環原子が炭素原子のみであるか、又は炭素原子及び非炭素原子を含み得る(「ヘテロアリール」を参照)ような環であり得る。
【0052】
「アリール」は、単環式又は多環式の環アセンブリを意味し、ここで各環は芳香族であるか、又は1以上の環と縮合する場合芳香族環アセンブリを形成する。1以上の環原子が炭素でない(例えば、N、S)場合、アリールはヘテロアリールである。(C)アリール及び(CX−Y)アリールが典型的に使用され、X及びYは環中の炭素原子数を示す。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「アリール」は、(C3−14)アリール、(C3−10)アリール、(C3−7)アリール、(C8−10)アリール又は(C5−7)アリールであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「アリール」は、(C)アリール、(C)アリール、(C)アリール、(C)アリール、(C)アリール又は(C10)アリールであり得る。
【0053】
「アザアルキル」は、アルキル鎖を形成する炭素原子の1以上が、置換又は非置換の窒素原子(−NR−又は−NRR’、式中、R及びR’はそれぞれ独立して、水素又はさらなる置換基である)と置き換わっている、上記で定義したとおりのアルキルを意味する。例えば、(C1−10)アザアルキルとは、1個〜10個の炭素原子及び1以上の窒素原子を含む鎖をいう。
【0054】
「アザ−シクリル」は、少なくとも1つの窒素原子を含むヘテロシクリル部分を意味し、シクリルの結合点は窒素原子を介する。
【0055】
「ビシクロアルキル」は、飽和又は部分不飽和の縮合、スピロ若しくは架橋二環式環アセンブリを意味する。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「ビシクロアルキル」は、(C4−15)ビシクロアルキル、(C4−10)ビシクロアルキル、(C6−10)ビシクロアルキル又は(C8−10)ビシクロアルキルであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「ビシクロアルキル」は、(C)ビシクロアルキル、(C)ビシクロアルキル(C10)ビシクロアルキルであり得る。
【0056】
「ビシクロアリール」は、アセンブリを構成する環の少なくとも1つが芳香族である、縮合、スピロ若しくは架橋二環式環アセンブリを意味する。(C)ビシクロアリール及び(CX−Y)ビシクロアリールが典型的に使用され、X及びYは、二環式環アセンブリ中の、環に直接所属する炭素原子数を示す。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「ビシクロアリール」は、(C4−15)ビシクロアリール、(C4−10)ビシクロアリール、(C6−10)ビシクロアリール又は(C8−10)ビシクロアリールであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「ビシクロアルキル」は、(C)ビシクロアリール、(C)ビシクロアリール又は(C10)ビシクロアリールであり得る。
【0057】
「架橋環(bridging ring及びbridged ring)」とは、本明細書中で使用する場合、1つの環が別の環に結合して二環式又は多環式構造を有する化合物を形成し、ここで、両方の環に共通する2つの環原子が互いに直接結合していない環をいう。架橋環を有する一般的化合物の非排他的例としては、ボルネオール、ノルボルナン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどが挙げられる。二環式系の一方の環又は両方の環は、ヘテロ原子も含み得る。
【0058】
「カルバモイル」又は「アミノカルボニルオキシ」は、基−OC(O)NRR’を意味し、式中、R及びR’はそれぞれ独立して、水素又はさらなる置換基である。
【0059】
「炭素環」は、炭素原子からなる環を意味する。
【0060】
「カルボニル」は、基−C(=O)−及び/又は−C(=O)Rを意味し、式中Rは水素又はさらなる置換基である。カルボニル基は種々の置換基でさらに置換されて、異なるカルボニル基(酸、酸ハロゲン化物、アルデヒド、アミド、エステル及びケトンを含む)を形成し得ることに留意すべきである。
【0061】
「カルボキサミド」は、基−C(=O)−NR−及び/又は−C(=O)−NRR’を意味し、式中各R及びR’は独立して、水素又はさらなる置換基である。
【0062】
「カルボキシ」は、基−C(=O)−O−及び/又は−C(=O)−ORを意味し、式中Rは水素又はさらなる置換基である。カルボキシ部分を含む本発明の化合物には、その保護された誘導体(即ち、酸素が保護基で置換されている場合)が含まれ得ることに留意すべきである。カルボキシ部分の適切な保護基としては、ベンジル、tert−ブチルなどが挙げられる。
【0063】
「シアノ」は基−CNを意味する。
【0064】
「シクロアルキル」は、非芳香族の、飽和又は部分不飽和の、単環式、二環式又は多環式の環アセンブリを意味する。(C)シクロアルキル及び(CX−Y)シクロアルキルが典型的に使用され、X及びYは、環アセンブリ中の炭素原子数を示す。例えば、(C3−10)シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンタン−1−イル、デカヒドロナフチル、オキソシクロヘキシル、ジオキソシクロヘキシル、チオシクロヘキシル、2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルなどが挙げられる。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「シクロアルキル」は、(C3−14)シクロアルキル、(C3−10)シクロアルキル、(C3−7)シクロアルキル、(C8−10)シクロアルキル又は(C5−7)シクロアルキルであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「シクロアルキル」は、(C)シクロアルキル、(C)シクロアルキル、(C)シクロアルキル、(C)シクロアルキル、(C)シクロアルキル又は(C10)シクロアルキルであり得る。
【0065】
「シクロアルキレン」は、二価の、飽和又は部分不飽和の、単環式、二環式又は多環式の環アセンブリを意味する。(C)シクロアルキレン及び(CX−Y)シクロアルキレンが典型的に使用され、X及びYは、環アセンブリ中の炭素原子数を示す。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「シクロアルキレン」は、(C3−14)シクロアルキレン、(C3−10)シクロアルキレン、(C3−7)シクロアルキレン、(C8−10)シクロアルキレン又は(C5−7)シクロアルキレンであり得る。或いは単独で又は別の基と共に示される「シクロアルキレン」は、(C)シクロアルキレン、(C)シクロアルキレン、(C)シクロアルキレン、(C)シクロアルキレン、(C)シクロアルキレン又は(C10)シクロアルキレンであり得る。
【0066】
「シクリル(cyclyl)」は、単環式、二環式又は多環式の一価の環基を意味し、該環は、芳香族、飽和又は部分不飽和、及び多環式であり得、環原子は、全て炭素原子であるか、又は1以上の環原子がヘテロ原子であってもよい。
【0067】
「疾患」は具体的には、動物又はその部分の任意の不健康な状態を含み、その動物に適用された医学的又は獣医学的治療によって引き起こされ得る又はそれらに付随し得る、不健康な状態(即ち、かかる治療の「副作用」)を含む。
【0068】
「EC50」は、そのアゴニストの最大可能効果(maximal possible effect)の50%を生じるアゴニストのモル濃度を意味する。アゴニストの作用は、刺激性又は阻害的であり得る。
【0069】
「縮合環」とは、本明細書中で使用する場合、1つの環が別の環に結合して二環式構造を有する化合物を形成し、ここで両方の環に共通する環原子が互いに直接結合している環をいう。一般的な縮合環の非排他的例としては、デカリン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、フラン、ベンゾフラン、キノリンなどが挙げられる。縮合環系を有する化合物は、飽和、部分飽和、炭素環、複素環、芳香族、ヘテロ芳香族などであり得る。
【0070】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
【0071】
「ヘテロアルキル」は、アルキル鎖内の原子の1以上がヘテロ原子である、本出願中で定義したとおりのアルキルを意味する。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロアルキル」は、ヘテロ(C1−20)アルキル、ヘテロ(C1−15)アルキル、ヘテロ(C1−10)アルキル、ヘテロ(C1−5)アルキル、ヘテロ(C1−3)アルキル又はヘテロ(C1−2)アルキルであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロアルキル」は、ヘテロ(C)アルキル、ヘテロ(C)アルキル又はヘテロ(C)アルキルであり得る。
【0072】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である、単環式、二環式又は多環式の芳香族基を意味する。単環式ヘテロアリール基には、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である、5又は6個の環原子を有する環式芳香族基が挙げられるが、これらに限定されない。窒素原子は、四級化されていてもよく、硫黄原子は酸化されていてもよい。本発明のヘテロアリール基としては、フラン、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、チアゾール、1,3,4−チアジアゾール、トリアゾール及びテトラゾールから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」としては、アリール環、シクロアルキル環、シクロアルケニル環、及び別の単環式ヘテロアリール又はへテロシクロアルキル環からなる群より独立して選択される1つ又は2つの環にヘテロアリール環が縮合した二環式又は三環式の環も挙げられるが、これらに限定されない。これらの二環式又は三環式のヘテロアリールとしては、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンズイミダゾール、イミダゾ[4,5−c]ピリジン、キナゾリン、チエノ[2,3−c]ピリジン、チエノ[3,2−b]ピリジン、チエノ[2,3−b]ピリジン、インドリジン、イミダゾ[1,2a]ピリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、ナフチリジン、キノリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、インドリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾ[1,5−a]ピリジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、イミダゾ[1,2−c]ピリミジン、イミダゾ[1,5−a]ピリミジン、イミダゾ[1,5−c]ピリミジン、ピロロ[2,3−b]ピリジン、ピロロ[2,3−c]ピリジン、ピロロ[3,2−c]ピリジン、ピロロ[3,2−b]ピリジン、ピロロ[2,3−d]ピリミジン、ピロロ[3,2−d]ピリミジン、ピロロ[2,3−b]ピラジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、ピロロ[1,2−b]ピリダジン、ピロロ[1,2−c]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピラジン、トリアゾ[1,5−a]ピリジン、プテリジン、プリン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアゼン、フェノキサジン、1,2−ジヒドロピロロ[3,2,1−hi]インドール、インドリジン、ピリド[1,2−a]インドール及び2(1H)−ピリジノンから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。二環式又は三環式のヘテロアリール環は、ヘテロアリール基自体、又はそれが縮合するアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル若しくはヘテロシクロアルキル基のいずれかを介して、親分子に結合され得る。本発明のヘテロアリール基は、置換又は非置換であり得る。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロアリール」は、ヘテロ(C1−13)アリール、ヘテロ(C2−13)アリール、ヘテロ(C2−6)アリール、ヘテロ(C3−9)アリール又はヘテロ(C5−9)アリールであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロアリール」は、ヘテロ(C)アリール、ヘテロ(C)アリール、ヘテロ(C)アリール、ヘテロ(C)アリール、ヘテロ(C)アリール、ヘテロ(C)アリール又はヘテロ(C)アリールであり得る。
【0073】
「ヘテロ原子」とは、炭素原子ではない原子をいう。ヘテロ原子の具体例としては、窒素、酸素及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
「ヘテロ原子部分」には、その部分が結合する原子が炭素ではない部分が含まれる。ヘテロ原子部分の例には、−NR−、−N(=O)−、−O−、−S−又は−S(O)−が挙げられ、式中Rは水素又はさらなる置換基である。
【0075】
「ヘテロビシクロアルキル」は、環内の原子の1以上がヘテロ原子である、本出願で定義したとおりのビシクロアルキルを意味する。例えば、本願で使用する場合、ヘテロ(C9−12)ビシクロアルキルには、3−アザ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル、2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−2−イル、3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−3−イルなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロビシクロアルキル」は、ヘテロ(C1−14)ビシクロアルキル、ヘテロ(C4−14)ビシクロアルキル、ヘテロ(C4−9)ビシクロアルキル又はヘテロ(C5−9)ビシクロアルキルであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロビシクロアルキル」は、ヘテロ(C)ビシクロアルキル、ヘテロ(C)ビシクロアルキル、ヘテロ(C)ビシクロアルキル、ヘテロ(C)ビシクロアルキル又はヘテロ(C)ビシクロアルキルであり得る。
【0076】
「ヘテロビシクロアリール」は、環内の原子の1以上がヘテロ原子である、本出願で定義したとおりのビシクロアリールを意味する。例えば、本願で使用する場合、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリールには、2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロプテリジン−6−イル、テトラヒドロイソキノリニルなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロビシクロアリール」は、ヘテロ(C1−14)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−14)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−9)ビシクロアリール又はヘテロ(C5−9)ビシクロアリールであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロビシクロアリール」は、ヘテロ(C)ビシクロアリール、ヘテロ(C)ビシクロアリール、ヘテロ(C)ビシクロアリール、ヘテロ(C)ビシクロアリール又はヘテロ(C)ビシクロアリールであり得る。
【0077】
「ヘテロシクロアルキル」は、環を形成する原子の1つ以上が、N、O又はSから独立して選択されるヘテロ原子である、本出願で定義したとおりのシクロアルキルを意味する。ヘテロシクロアルキルの非排他的例としては、ピペリジル、4−モルホリル、4−ピペラジニル、ピロリジニル、ペルヒドロピロリジニル、1,4−ジアザペルヒドロエピニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニルなどが挙げられる。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロ(C1−13)シクロアルキル、ヘテロ(C1−9)シクロアルキル、ヘテロ(C1−6)シクロアルキル、ヘテロ(C5−9)シクロアルキル又はヘテロ(C2−6)シクロアルキルであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロ(C)シクロアルキル、ヘテロ(C)シクロアルキル、ヘテロ(C)シクロアルキル、ヘテロ(C)シクロアルキル、ヘテロ(C)シクロアルキル、ヘテロ(C)シクロアルキル、ヘテロ(C)シクロアルキル又はヘテロ(C)シクロアルキルであり得る。
【0078】
「ヘテロシクロアルキレン」は、環員炭素原子の1以上がヘテロ原子で置換されている、本出願で定義したとおりのシクロアルキレンを意味する。特定の実施形態では、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロシクロアルキレン」は、ヘテロ(C1−13)シクロアルキレン、ヘテロ(C1−9)シクロアルキレン、ヘテロ(C1−6)シクロアルキレン、ヘテロ(C5−9)シクロアルキレン又はヘテロ(C2−6)シクロアルキレンであり得る。或いは、単独で又は別の基と共に示される「ヘテロシクロアルキレン」は、ヘテロ(C)シクロアルキレン、ヘテロ(C)シクロアルキレン、ヘテロ(C)シクロアルキレン、ヘテロ(C)シクロアルキレン、ヘテロ(C)シクロアルキレン、ヘテロ(C)シクロアルキレン、ヘテロ(C)シクロアルキレン又はヘテロ(C)シクロアルキレンであり得る。
【0079】
「ヘテロシクリル」は、単環式、二環式又は多環式の一価の環基を意味し、この環は、芳香族、飽和又は部分飽和、及び多環式であり得、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子である。
【0080】
「ヒドロキシ」は基−OHを意味する。
【0081】
「IC50」は、標的酵素の50%阻害を生じる、阻害剤のモル濃度を意味する。
【0082】
「イミノ」は、基−CR(=NR’)及び/又は−C(=NR’)−を意味し、式中、R及びR’はそれぞれ独立して、水素又はさらなる置換基である。
【0083】
「イミノケトン誘導体」は、部分−C(NR)−を含む誘導体を意味し、式中、Rは水素又はさらなる置換基である。
【0084】
「異性体」とは、同一の分子式を有するが、それらの原子の結合の性質若しくは配列が異なる、又はそれらの原子の空間配置が異なる、化合物を意味する。原子の空間配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いの鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は、「エナンチオマー」又は時折「光学異性体」と呼ばれる。4つの同一でない置換基に結合した炭素原子は、「キラル中心」と呼ばれる。1つのキラル中心を有する化合物は、反対のキラリティーの2つのエナンチオマー形態を有する。2つのエナンチオマー形態の混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。1つより多いキラル中心を有する化合物は、2n−1個のエナンチオマー対を有する(nはキラル中心の数である)。1つより多いキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして、又はジアステレオマーの混合物(「ジアステレオマー混合物」と呼ばれる)として、存在し得る。1つのキラル中心が存在する場合、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置によって特徴付けられ得る。絶対配置とは、キラル中心に結合した置換基の空間配置をいう。エナンチオマーは、それらのキラル中心の絶対配置によって特徴付けられ、カーン・インゴルド・プレローグのR及びS順位則によって記述される。立体化学命名法、立体化学の決定方法及び立体異性体の分離の従来法は、当該分野で周知である(例えば、「Advanced Organic Chemistry」,第5版,March,Jerry,John Wiley & Sons,New York,2001を参照)。
【0085】
「脱離基」は、合成有機化学においてこの語句と従来より関連する意味を有する基(即ち、反応(例えばアルキル化)条件下で置換可能な原子又は基)を意味する。脱離基の例としては、ハロ(例えば、F、Cl、Br及びI)、アルキル(例えば、メチル及びエチル)及びスルホニルオキシ(例えば、メシルオキシ、エタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ及びトシルオキシ)、チオメチル、チエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、テトラハロホスホキシ(tetrahalophosphoxy)、ベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
「ニトロ」は基−NOを意味する。
【0087】
「オキサアルキル」は、アルキル鎖を形成する炭素原子の1つ以上が酸素原子(−O−又は−OR、式中、Rは水素又はさらなる置換基である)に置き換わっている、上記で定義したとおりのアルキルを意味する。例えば、オキサ(C1−10)アルキルとは、1個〜10個の炭素原子及び1以上の酸素原子を含む鎖をいう。
【0088】
「オキソアルキル」は、アルキル鎖を形成する炭素原子の1つ以上がカルボニル基(−C(=O)−又は−C(=O)−R、式中、Rは水素又はさらなる置換基である)に置き換わっている、上記で定義したとおりのアルキルを意味する。カルボニル基は、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、酸又は酸ハロゲン化物であり得る。例えば、オキソ(C1−10)アルキルとは、1個〜10個の炭素原子及び1以上のカルボニル基を含む鎖をいう。
【0089】
「オキシ」は、基−O−又は−ORを意味し、式中Rは水素又はさらなる置換基である。従って、オキシ基は種々の置換基でさらに置換されて、異なるオキシ基(ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ又はカルボニルオキシを含む)を形成し得ることに留意すべきである。
【0090】
「医薬上許容される」は、一般的に安全で、非毒性で、かつ生物学的にも他の意味でも望ましい医薬組成物を調製するのに有用であることを意味し、獣医用途並びにヒト医薬用途のために許容されるものが含まれる。
【0091】
「医薬上許容される塩」は、上記で定義したとおりの医薬上許容される本発明の化合物の塩であって、所望の薬理学的活性を保持するものを意味する。かかる塩としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)と形成された酸付加塩;又は有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、酢酸三級ブチル、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など)と形成された酸付加塩が挙げられる。
【0092】
医薬上許容される塩には、存在する酸性プロトンが無機塩基又は有機塩基と反応可能な場合に形成され得る塩基付加塩も含まれる。許容される無機塩基には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムが含まれる。許容される有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどが含まれる。
【0093】
「ホスホニル」は、基−P(O)(OR)(OR’)を意味し、式中、R及びR’は水素又はさらなる置換基である。ホスホニル基は種々の置換基でさらに置換されて、異なるホスホニル基(ホスホン酸(phosphonice acid)及びリン酸エステル、並びにスルホンを含む)を形成し得ることに留意すべきである。
【0094】
「多環式環」には、二環式及び複数環式(multi−cyclic)の環が含まれる。多環式の環を構成する個々の環は、縮合環、スピロ環又は架橋環であり得る。
【0095】
「プロドラッグ」は、in vivoで代謝により本発明に従う阻害剤に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグ自体は、所定の標的タンパク質に対して活性を有していてもいなくてもよい。例えば、ヒドロキシ基を含む化合物は、加水分解によりin vivoでヒドロキシ化合物に変換可能なエステルとして投与され得る。in vivoでヒドロキシ化合物に変換され得る適切なエステルには、酢酸エステル、クエン酸エステル、乳酸エステル、リン酸エステル、酒石酸エステル、マロン酸エステル、シュウ酸エステル、サリチル酸エステル、プロピオン酸エステル、コハク酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、メチレン−ビス−b−ヒドロキシナフトエ酸エステル、ゲンチジン酸エステル、イセチオン酸エステル、ジ−p−トルオイル酒石酸エステル、メタンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、シクロヘキシルスルファミン酸エステル、キナ酸エステル、アミノ酸のエステルなどが含まれる。同様に、アミン基を含む化合物は、加水分解によりin vivoでアミン化合物に変換可能なアミドとして投与され得る。
【0096】
「保護された誘導体」は、1又は複数の反応性基が保護基でブロックされた、阻害剤の誘導体を意味する。保護された誘導体は、阻害剤の調製において有用であるか、又はそれ自体阻害剤として活性であり得る。適切な保護基の網羅的なリストは、P.G.M.Wuts and T.W.Greene,Greene’s Protecting Groups in Organic Synthesis」,第4版,John Wiley & Sons,Inc.2007中に見出すことができる。
【0097】
「環」及び「環アセンブリ」は、炭素環系又は複素環系を意味し、芳香族及び非芳香族系が含まれる。系は、単環式、二環式又は多環式であり得る。さらに、二環式及び多環式の系について、多環式の環を構成する個々の環は、縮合環、スピロ環又は架橋環であり得る。
【0098】
「対象」及び「患者」には、ヒト、非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカなど)及び非哺乳動物(例えば、鳥類など)が含まれる。
【0099】
「置換又は非置換」は、所与の部分が、利用可能な結合価を介して水素置換基のみからなり得ること(非置換)、又は利用可能な結合価を介して1以上の非水素置換基をさらに含み得ること(置換)を意味し、所与の部分の名称によっては他に特定されない。例えば、イソプロピルは、−CHで置換されたエチレン部分の例である。一般に、非水素置換基は、置換されていると特定された所与の部分の原子に結合し得る任意の置換基であり得る。置換基の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アルデヒド、脂環式、脂肪族、(C1−10)アルキル、アルキレン、アルキリデン、アミド、アミノ、アミノアルキル、芳香族、アリール、ビシクロアルキル、ビシクロアリール、カルバモイル、カルボシクリル、カルボキシル、カルボニル基、シクロアルキル、シクロアルキレン、エステル、ハロ、ヘテロビシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、ヘテロビシクロアリール、ヘテロシクロアルキル、オキソ、ヒドロキシ、イミノケトン、ケトン、ニトロ、オキサアルキル及びオキソアルキル部分(それぞれ、置換されていても非置換でもよい)。1つの具体的実施形態において、置換基の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、オキシ、ヒドロキシ、カルボニルオキシ、(C1−10)アルコキシ、(C4−12)アリールオキシ、ヘテロ(C1−10)アリールオキシ、カルボニル、オキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、ホスホニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、ヒドロキシ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、チオカルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−10)アルキル、スルフィニル(C1−10)アルキル、ホスホニル(C1−10)アルキル、(C1−10)アザアルキル、イミノ(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−10)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロ(C1−10)アリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、(C4−12)アリール、ヘテロ(C1−10)アリール、(C9−12)ビシクロアリール及びヘテロ(C4−12)ビシクロアリール。さらに、置換基は、それ自体がさらなる置換基で置換されていてもよい。1つの具体的実施形態において、さらなる置換基の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、オキシ、ヒドロキシ、カルボニルオキシ、(C1−10)アルコキシ、(C4−12)アリールオキシ、ヘテロ(C1−10)アリールオキシ、カルボニル、オキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、ヒドロキシ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、チオカルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−10)アルキル、スルフィニル(C1−10)アルキル、(C1−10)アザアルキル、イミノ(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−10)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロ(C1−10)アリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、(C4−12)アリール、ヘテロ(C1−10)アリール、(C9−12)ビシクロアリール及びヘテロ(C4−12)ビシクロアリール。
【0100】
「スルファモイル」は基−OS(O)NRR’を意味し、式中、R及びR’はそれぞれ独立して、水素又はさらなる置換基である。
【0101】
「スルフィニル」は基−SO−及び/又は−SO−Rを意味し、式中Rは水素又はさらなる置換基である。スルフィニル基は種々の置換基でさらに置換されて、異なるスルフィニル基(スルフィン酸、スルフィンアミド、スルフィニルエステル及びスルホキシドを含む)を形成し得ることに留意すべきである。
【0102】
「スルホンアミド」は、基−S(O)−NR−及び/又は−S(O)−NRR’、−NR−S(O)−及び/又は−NR−S(O)R’を意味し、式中各R及びR’は独立して、水素又はさらなる置換基である。
【0103】
「スルホニル」は、基−SO−及び/又は−SO−Rを意味し、式中Rは水素又はさらなる置換基である。スルホニル基は種々の置換基でさらに置換されて、異なるスルホニル基(スルホン酸、スルホンアミド、スルホン酸エステル及びスルホンを含む)を形成し得ることに留意すべきである。
【0104】
「治療有効量」は、疾患を治療するために動物に投与されたとき、疾患のかかる治療をもたらすのに十分な量を意味する。
【0105】
「チオ」は、硫黄による酸素の置き換えを示し、−SR、−S−及び=S含有の基が挙げられるがこれらに限定されない。
【0106】
「チオアルキル」は、アルキル鎖を形成する炭素原子の1つ以上が硫黄原子(−S−又は−S−R、式中、Rは水素又はさらなる置換基である)に置き換わっている、上記で定義したとおりのアルキルを意味する。例えば、チオ(C1−10)アルキルとは、1個〜10個の炭素原子及び1以上の硫黄原子を含む鎖をいう。
【0107】
「チオカルボニル」は、基−C(=S)−及び/又は−C(=S)−Rを意味し、式中Rは水素又はさらなる置換基である。チオカルボニル基は種々の置換基でさらに置換されて、異なるチオカルボニル基(チオ酸、チオアミド、チオエステル及びチオケトンを含む)を形成し得ることに留意すべきである。
【0108】
「治療(treatment又はtreating)」は、本発明の化合物の任意の投与を意味し、以下を含む:
(1)疾患の病理も症候も未だ経験していないし示してもいない、疾患に罹り易い可能性のある動物において、疾患の発生を予防すること、
(2)疾患の病理又は症候を経験している又は示している動物において、疾患を阻害すること(即ち、病理及び/又は症候のさらなる発生を抑止すること)、又は
(3)疾患の病理又は症候を経験している又は示している動物において、疾患を寛解させること(即ち、病理及び/又は症候を回復させること)。
【0109】
「ウレイド」は、基−NR−C(O)−NR’−及び/又は−N−C(O)−N−R’’を意味し、式中、R、R’及びR’は独立して、水素又はさらなる置換基である。ウレイド基は種々の置換基でさらに置換されて、異なるウレイド基を形成し得ることに留意すべきである。
【0110】
本明細書中で提供される全ての定義に関して、定義は、特定されたもの以外のさらなる置換基が含まれ得るという意味で、オープンエンドとして解釈すべきであることに留意されたい。従って、Cアルキルは、1つの炭素原子が存在するが、炭素原子上の置換基が何であるかが示されていないことを示す。従って、(C)アルキルは、メチル(即ち、−CH)並びに−CRR’R’’を含み、式中、R、R’及びR’’はそれぞれ独立して、水素又はさらなる置換基であり得、炭素に結合した原子は、ヘテロ原子又はシアノである。従って、例えばCF、CHOH及びCHCNは、全て(C)アルキルである。同様に、アルキルアミノなどの用語は、ジアルキルアミノなどを含む。
【0111】
点線の結合によって示される式を有する化合物は、例示されるように、また以下に示すように、0、1又は2個の二重結合を有していてもよい式を含む意図である:
【0112】
【化2】
【0113】
さらに、本発明の化合物を構成する原子は、かかる原子の全ての同位体形態を含む意図である。本明細書中で使用する場合、同位体には、同じ原子番号を有するが質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例として、限定ではなく、水素の同位体にはトリチウム及び重水素が含まれ、炭素の同位体には13C及び14Cが含まれる。
【0114】
発明の詳細な説明
本発明は、ASK1を阻害するために使用され得る化合物に関する。本発明は、かかる化合物を含む医薬組成物、キット及び製品にも関する。さらに、本発明は、該化合物を製造するために有用な方法及び中間体に関する。さらに、本発明は、該化合物を使用する方法に関する。
【0115】
本発明の化合物は、同じタンパク質ファミリーの他のメンバーに対しても活性を有していてよく、従って、これら他のファミリーメンバーに関連する疾患に対処するために使用され得ることに留意されたい。
【0116】
本発明の化合物
その態様の1つにおいて、本発明は、ASK1阻害剤として有用な化合物に関する。
【0117】
1実施形態において、本発明のASK1阻害剤は、式:
【0118】
【化3】
【0119】
を有し、若しくは立体異性体又はその医薬上許容される塩であって、
式中、
mは0、1又は2であり;
は、置換若しくは非置換のヒドロキシ(C1−6)アルキル又は置換若しくは非置換のR−カルボニル(C1−6)アルキルであり;
各Rは、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルコキシ、アミノ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、パーハロ(C1−6)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルコキシ、パーハロ(C1−6)アルコキシ、(C3−6)シクロアルキル、R−カルボニル(C1−6)アルキル、R−スルホニル(C1−6)アルキル、R−カルボニル及びR−スルホニルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、ヒドロキシ、ニトロ、ハロ、シアノ、(C1−6)アルコキシ、(C4−6)アリールオキシ、ヘテロ(C1−5)アリールオキシ、(C1−6)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、(C4−6)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アリール(C1−3)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群より独立して選択され;
は、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、シアノ、アミノ、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、(C3−6)シクロアルキル、(C4−6)アリール、オキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニル、アミノスルホニルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、シアノ、(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)シクロアルケニル、(C4−6)シクロアルケニル、スルホニル、ヘテロ(C3−5)シクロアルケニル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群より選択され、該アミノ、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、オキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニル及びアミノスルホニルは、それぞれ、非置換であるか又は(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、パーハロ(C1−6)アルキル及び(C3−6)シクロアルキルからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基でさらに置換されている;
は、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、非置換アミノ、モノ置換アミノ、ジ置換アミノ、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル及び(C4−6)アリールからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、オキシ、ヒドロキシ、カルボニルオキシ、(C1−6)アルコキシ、(C4−6)アリールオキシ、ヘテロ(C1−5)アリールオキシ、カルボニル、オキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニル、スルフィニル、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、カルボニル(C1−6)アルキル、チオカルボニル(C1−6)アルキル、スルホニル(C1−6)アルキル、スルフィニル(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C4−6)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群より選択され、但し、Rが水素であり、かつRがアルキルである場合、Rはアリールでもヘテロアリールでも複素環でもない;
は、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、パーハロ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、オキシ、ヒドロキシ、カルボニルオキシ、(C1−6)アルコキシ、(C4−6)アリールオキシ、ヘテロ(C1−5)アリールオキシ、カルボニル、オキシカルボニル、アミノカルボニル、スルホニル、スルフィニル、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、カルボニル(C1−6)アルキル、チオカルボニル(C1−6)アルキル、スルホニル(C1−6)アルキル、スルフィニル(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C4−6)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群より選択され;
は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択される。
【0120】
上記実施形態の1つの変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0121】
【化4】
【0122】
上記実施形態の別の変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0123】
【化5】
【0124】
上記実施形態のなお別の変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0125】
【化6】
【0126】
上記実施形態のなお別の変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0127】
【化7】
【0128】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0129】
上記実施形態のさらなる変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0130】
【化8】
【0131】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0132】
上記実施形態のなおさらなる変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0133】
【化9】
【0134】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0135】
上記実施形態のなおさらなる変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0136】
【化10】
【0137】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0138】
上記実施形態の別の変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0139】
【化11】
【0140】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0141】
上記実施形態のなお別の変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0142】
【化12】
【0143】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0144】
上記実施形態のなお別の変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0145】
【化13】
【0146】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0147】
上記実施形態のさらなる変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0148】
【化14】
【0149】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0150】
上記実施形態のなおさらなる変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0151】
【化15】
【0152】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0153】
上記実施形態のなおさらなる変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0154】
【化16】
【0155】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0156】
上記実施形態の別の変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0157】
【化17】
【0158】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0159】
上記実施形態のなお別の変形において、本発明のASK1阻害剤は以下の式を有する:
【0160】
【化18】
【0161】
(式中、
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;
pは1、2、3又は4である)。
【0162】
上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、各Rは、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルコキシ、アミノ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、パーハロ(C1−6)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルコキシ、パーハロ(C1−6)アルコキシ、(C3−6)シクロアルキル、R−カルボニル(C1−6)アルキル、R−スルホニル(C1−6)アルキル、R−カルボニル及びR−スルホニルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、ヒドロキシ、ニトロ、ハロ、シアノ、(C1−6)アルコキシ、(C1−6)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル及び(C3−6)シクロアルキルからなる群より独立して選択され;かつRは、ヒドロキシ、非置換アミノ、C1−6)アルキルアミノ、(ジ−C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択される。
【0163】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、各Rは、ヒドロキシ、ニトロ、ハロ、シアノ、(C1−6)アルコキシ、ハロ(C1−6)アルコキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、ヒドロキシハロ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルコキシ(C1−6)アルキルからなる群より独立して選択される。
【0164】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、各Rは、ヒドロキシ、ニトロ、ハロ、シアノ、(C1−6)アルコキシ、−OCHF、−OCF、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、−CHF、−CF、−C(CH)(OH)CF、−CHOCHCF、−C(O)OCH、−OCH(CH、アミノ(C1−6)アルキル、ヒドロキシカルボニルアミノ(C1−6)アルキル、(C1−6)アルコキシカルボニルアミノ(C1−6)アルキル及び(C1−6)アルキルカルボニルアミノ(C1−6)アルキルからなる群より独立して選択される。
【0165】
上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、
【0166】
【化19】
【0167】
であり;
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;かつ
pは1、2、3又は4である。
【0168】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、
【0169】
【化20】
【0170】
であり;
qは1、2、3又は4であり;
21は、−C(R23、−(CR2323’−C(R23、−(CR2323’OH、−(CR2323’C(O)R10、−(CR2323’S(O)10及び−O(CR2323’OHからなる群より選択され;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;かつ
pは1、2、3又は4である。
【0171】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、
【0172】
【化21】
【0173】
であり;
kは1、2、3又は4であり;
は−(CR2323’OHであり;
10は、ヒドロキシ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルコキシ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択され;
23及びR23’はそれぞれ独立して、それぞれ置換又は非置換の、水素、ハロ、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル及び(C1−6)シクロアルキルからなる群より選択され;かつ
pは1、2、3又は4である。
【0174】
上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、Rは、−C(CH)(CHOH)OH、−C(CH)(CHCHOH)OH、−C(CH)(CH(CH)OH)OH、−C(CH)(CH(CHCH)OH)OH、−C(CH)(CH(シクロプロピル)OH)OH、−C(CF)(CHOH)OH、−C(CF)(CHCHOH)OH、C(CF)(CH(CH)OH)OH、−C(CF)(CH(CHCH)OH)OH、−C(CF)(CH(シクロプロピル)OH)OH、−CH(CHOH)OH、−CH(CHCHOH)OH、−C(CH)(C(O)OH)(OH)、−C(CH)(C(O)NH)(OH)、−C(CH)(S(O)NH)(OH)及び−C(CH)(S(O)NH)(OH)からなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは−C(CH)(CHOH)OHである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは−C(CHOHである。
【0175】
上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、Rは、シアノ、(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C2−6)アルケニル、ジヒドロキシ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−6)アルキル、(C1−6)アルキルスルホニル、ヒドロキシカルボニル(C1−6)アルキル、アミノカルボニル(C1−6)アルキル、ヒドロキシスルホニル(C1−6)アルキル及びアミノスルホニル(C1−6)アルキル、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ(C1−6)アルキル、(C1−6)アルキルスルホニルアミノ(C1−6)アルキルからなる群より選択され、ここで該アミノカルボニル(C1−6)アルキル、アミノスルホニル(C1−6)アルキル、(C1−6)アルキルカルボニルアミノ(C1−6)アルキル及び(C1−6)アルキルスルホニルアミノ(C1−6)アルキルのアミノは、それぞれ非置換であるか又はモノ−若しくはジ−(C1−6)アルキル置換されている。
【0176】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rは、それぞれ非置換であるか又はモノ−若しくはジ−(C1−6)アルキル置換された、(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキ(cycloalky)(C1−6)アルキル及び(C1−6)アルキルスルホニル(C1−6)アルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rは、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ビニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、フェニルメチル、メチルスルホニルメチル、2−ヒドロキシプロパン−2−イル及び1,2−ジヒドロキシエチルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、Rは、それぞれ非置換であるか又は前記1〜3個の置換基で置換された、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル及びメチルスルホニルメチルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル及びメチルスルホニルメチルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは、メチル及びエチルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、Rはシクロプロピルである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rは、メチル、エチル及びシクロプロピルからなる群より選択される。
【0177】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rは、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル及び(C4−6)アリールからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、水素、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、オキシ、カルボニルオキシ、(C1−6)アルコキシ、(C4−6)アリールオキシ、ヘテロ(C1−5)アリールオキシ、スルホニル、スルフィニル、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、カルボニル(C1−6)アルキル、チオカルボニル(C1−6)アルキル、スルホニル(C1−6)アルキル、スルフィニル(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C4−6)アリール(C1−3)アルキル、ヘテロ(C1−5)アリール(C1−3)アルキル、(C3−6)シクロアルキル及びヘテロ(C1−5)シクロアルキルからなる群より選択される。
【0178】
上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、Rは、水素、ハロ、(C1−6)アルキル及び(C3−6)シクロアルキルからなる群より選択され、ここで該(C1−6)アルキル及び(C3−6)シクロアルキルはそれぞれ独立して、非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ、(ジ−(C1−6)アルキル)アミノ、(C3−6)シクロアルキル及び(C4−6)アリールからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C2−6)アルケニル、ジヒドロキシ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C1−6)アルキルスルホニル、ヒドロキシカルボニル(C1−6)アルキル、アミノカルボニル(C1−6)アルキル、ヒドロキシスルホニル(C1−6)アルキル及びアミノスルホニル(C1−6)アルキルからなる群より選択され、ここで該アミノカルボニル(C1−6)アルキル及びアミノスルホニル(C1−6)アルキルのアミノは、それぞれ非置換であるか又はモノ−若しくはジ−(C1−6)アルキル置換されている。
【0179】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ビニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、フェニルメチル、メチルスルホニルメチル、2−ヒドロキシプロパン−2−イル及び1,2−ジヒドロキシエチルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、Rは、水素、ハロ、シアノ、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、アミノ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル及び(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rはハロである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rは水素である。上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、Rはシアノである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは、(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル及び(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキルである。
【0180】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは、それぞれ非置換であるか又はヒドロキシ、ハロ、(C1−6)アルキル、ハロ(C1−6)アルキル、パーハロ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、ヘテロ(C1−5)シクロアルキル、(C4−6)アリール及びヘテロ(C1−5)アリールからなる群よりそれぞれ独立して選択される1〜3個の置換基で置換された、水素、ハロ、(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル及び(C3−6)シクロアルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、Rは、水素、ハロ、(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル及び(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは、水素、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル及びフェニルメチルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rは(C1−6)アルキルである。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、Rは水素である。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rはハロである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rはクロロである。上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、Rはブロモである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、Rはメチルである。
【0181】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において:
は、(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル及び(C1−3)アルキルスルホニル(C1−3)アルキルからなる群より選択され;
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、(C3−6)シクロアルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C2−6)アルケニル、ジヒドロキシ(C1−6)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−3)アルキル、(C1−6)アルキルスルホニル、ヒドロキシカルボニル(C1−6)アルキル、アミノカルボニル(C1−6)アルキル、ヒドロキシスルホニル(C1−6)アルキル及びアミノスルホニル(C1−6)アルキルからなる群より選択され;かつ
は、水素、ハロ及び(C1−6)アルキルからなる群より選択される。
【0182】
上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、Rは、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ及び(ジ−(C1−6)アルキル)アミノからなる群より選択される。
【0183】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rは−CHOHである。
【0184】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、Rは、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ及び(ジ−(C1−6)アルキル)アミノからなる群より選択される。
【0185】
上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、R10は、ヒドロキシ、(C1−6)アルキル、非置換アミノ、(C1−6)アルキルアミノ及び(ジ−(C1−6)アルキル)アミノからなる群より選択される。
【0186】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、R21は、それぞれ置換又は非置換の、ヒドロキシル、(C1−6)アルキル及びヒドロキシ(C1−6)アルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、R21は、それぞれ置換又は非置換の、(C1−6)アルキル及びヒドロキシ(C1−6)アルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、R21はメチルである。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、R21は−CHOHである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、R21は−CHCHOHである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、R21はヒドロキシである。上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、R21は、−CHOH、−CHCHOH、−CH(シクロプロピル)OH、−CH(CH)OH、−CH(CHCH)OH、−O(CH)CH(OH)CHOH、−C(O)OH、−C(O)NH及び−S(O)NHからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、R21はヒドロキシメチルである。
【0187】
上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、R22は、それぞれ置換又は非置換の、ヒドロキシ、(C1−3)アルキル及びヒドロキシ(C1−3)アルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、R22は、それぞれ置換又は非置換の、水素、(C1−6)アルキル、ヒドロキシ(C1−6)アルキル及びハロ(C1−6)アルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、R22は、それぞれ置換又は非置換の、(C1−3)アルキル及びヒドロキシ(C1−3)アルキルからなる群より選択される。上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、R22は水素である。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、R22はメチルである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、R22はCFである。
【0188】
上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、R23は水素である。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、R23はハロである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、R23は、置換又は非置換の(C1−3)アルキルである。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、R23はメチルである。
【0189】
上記実施形態及び変形のそれぞれのさらなる変形において、mは0である。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、mは1である。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、pは1、2、3又は4である。上記実施形態及び変形のそれぞれのなおさらなる変形において、pは1である。上記実施形態及び変形のそれぞれの別の変形において、kは1である。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、kは2である。上記実施形態及び変形のそれぞれのなお別の変形において、qは1である。
【0190】
本発明に従う化合物の具体的な例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
N−(1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド;
N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド;
N−(1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド;
N−(3−ブロモ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(2,3−ジクロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−3−メチルベンズアミド;
N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;
N−(2,3−ジクロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド;及び
N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−3−メチルベンズアミド。
【0191】
本発明の化合物は、その医薬上許容される塩、生体加水分解可能な(biohydrolyzable)エステル、生体加水分解可能なアミド、生体加水分解可能なカルバメート、溶媒和物、水和物又はプロドラッグの形態であり得ることに留意のこと。例えば、化合物は、in vivoで水素などの異なる置換基に変換可能な置換基を含んでいてもよい。
【0192】
化合物は、立体異性体の混合物として存在してもよく、又は化合物は、単一の立体異性体として存在してもよいことにさらに留意されたい。
【0193】
その別の態様において、活性成分としての上記実施形態及び変形のいずれか1つに従う化合物及び医薬上の賦形剤を含む医薬組成物が提供される。1つの特定の変形において、この組成物は、経口投与に適した固体製剤である。別の特定の変形において、この組成物は、経口投与に適した液体製剤である。なお別の特定の変形において、この組成物は錠剤である。なお別の特定の変形において、この組成物は、非経口投与に適した液体製剤である。
【0194】
本発明は、上記実施形態及び変形のいずれか1つに従う化合物を含む医薬組成物も提供し、この組成物は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋内、直腸内、経頬、鼻腔内、リポソームによる、吸入を介する、経膣、眼内、局所送達を介する(例えば、カテーテル又はステントによる)、皮下、脂肪内、関節内及び髄腔内からなる群より選択される経路による投与に適している。
【0195】
そのなお別の態様において、上記実施形態及び変形のいずれか1つの化合物;並びに組成物を投与すべき病態、組成物の保存情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示すものからなる群より選択される、1以上の形態の情報を含む指示書、を含むキットが提供される。1つの特定の変形において、このキットは、複数用量形態で化合物を含む。
【0196】
そのなお別の態様において、上記実施形態及び変形のいずれか1つの化合物;及び包装材料、を含む製品が提供される。1つの変形において、包装材料は、組成物を収納するための容器を含む。1つの特定の変形において、容器は、化合物を投与すべき病態、保存情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示からなる群の1以上の成員を示すラベルを含む。別の変形において、製品は、複数用量形態で化合物を含む。
【0197】
そのなお別の態様において、本発明は、病態を治療するための医薬に関する。具体的には、疾患又は状態を治療するための医薬であり、ASK1がその病態の病理及び/又は症候に寄与する活性を有している。より具体的には、本発明の化合物を使用する方法において記載される病態を治療するための医薬である。
【0198】
そのさらなる態様において、上記実施形態及び変形のいずれか1つの化合物を対象に投与することを含む、治療方法が提供される。
【0199】
その別の態様において、ASK1を、上記実施形態及び変形のいずれか1つの化合物と接触させることを含む、ASK1を阻害する方法が提供される。
【0200】
そのなお別の態様において、in vivoでASK1を阻害するために、上記実施形態及び変形のいずれか1つの化合物を対象内に存在させることを含む、ASK1を阻害する方法が提供される。
【0201】
そのさらなる態様において、in vivoで第2の化合物に変換される第1の化合物を対象に投与することを含む、ASK1を阻害する方法が提供され、第2の化合物がin vivoでASK1を阻害し、第2の化合物は、上記実施形態及び変形のいずれか1つに従う化合物である。
【0202】
その別の態様において、病態を治療する方法が提供され、ASK1がその病態の病理及び/又は症候に寄与する活性を有しており、この方法は、上記実施形態及び変形のいずれか1つの化合物を、病態に対する治療有効量で、対象内に存在させることを含む。
【0203】
そのなお別の態様において、病態を治療する方法が提供され、ASK1がその病態の病理及び/又は症候に寄与する活性を有しており、この方法は、上記実施形態及び変形のいずれか1つの化合物を対象に投与することを含み、該化合物は病態に対する治療有効量で対象内に存在する。
【0204】
そのさらなる態様において、病態を治療する方法が提供され、ASK1がその病態の病理及び/又は症候に寄与する活性を有しており、この方法は、in vivoで第2の化合物に変換される第1の化合物を対象に投与することを含み、第2の化合物がin vivoでASK1を阻害し、第2の化合物は、上記実施形態及び変形のいずれか1つに従う化合物である。
【0205】
上記治療方法のそれぞれのいくつかの変形において、病態は、代謝性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、感染症、誘導性炎症促進性タンパク質が媒介する疾患及び状態、脳卒中(stroke)における再灌流/虚血、心肥大、呼吸器疾患、心臓発作、心筋虚血、臓器低酸素症、血管過形成、心肥大、肝虚血、肝臓疾患、うっ血性心不全、病的免疫応答、トロンビン誘導性血小板凝集、消化器疾患、血液疾患及び泌尿器疾患からなる群より選択される。
【0206】
上記治療方法のそれぞれのいくつかの他の変形において、病態は、糖尿病、2型糖尿病、糖尿病性脂質異常症、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(impaired fasting plasma glucose)(IFG)、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲抑制、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症を含む糖尿病に関連する肥満及び合併症、炎症性腸疾患、クローン病、化学療法誘導性腸炎、口腔粘膜炎、短腸症候群、腎臓疾患、高脂血症、動脈硬化症;高血圧症;心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳卒中(cerebral apoplexy)及びメタボリックシンドロームからなる群より選択される病態からなる群より選択される。
【0207】
上記治療方法のそれぞれのいくつかの他の変形において、病態は、急性膵臓炎、慢性膵臓炎、喘息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患及び成人呼吸促迫症候群からなる群より選択される。
【0208】
上記治療方法のそれぞれのなおいくつかの他の変形において、病態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん(epilepsy)、発作(seizure)、ハンチントン病、ポリグルタミン病、外傷性脳損傷、虚血性及び出血性脳卒中、脳虚血、又は外傷性損傷、急性低酸素症、虚血若しくはグルタミン酸神経毒性により引き起こされるアポトーシス駆動神経変性疾患を含む神経変性疾患からなる群より選択される。
【0209】
上記治療方法のそれぞれのなお他の変形において、病態は、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、多発性硬化症又はシェーグレン症候群からなる群より選択される。
【0210】
上記治療方法のそれぞれのなお他の変形において、病態は、骨粗鬆症、変形性関節症及び多発性骨髄腫関連骨障害からなる群より選択される。
【0211】
上記治療方法のそれぞれのなお他の変形において、病態は、敗血症、敗血症性ショック及び細菌性赤痢からなる群より選択される。
【0212】
上記治療方法のそれぞれのなお他の変形において、病態は、浮腫、無痛覚症、発熱及び疼痛(例えば、神経筋疼痛、頭痛、癌疼痛、歯の疼痛及び関節炎疼痛)からなる群より選択される。
【0213】
上記治療方法のそれぞれのなお他の変形において、病態は、脳卒中における虚血/再灌流、心臓発作、心筋虚血、臓器低酸素症、血管過形成、心肥大、肝虚血、肝臓疾患、うっ血性心不全、T細胞活性化により引き起こされるものなどの病的免疫応答、及びトロンビン誘導性血小板凝集からなる群より選択される。
【0214】
ASK1阻害剤の塩、水和物及びプロドラッグ
本発明の化合物は、in vivoで本発明の化合物に変換される塩、水和物及びプロドラッグの形態で存在し、投与されてもよいことを認識すべきである。例えば、本発明の化合物を、当該分野で周知の手順に従って種々の有機及び無機の酸及び塩基から誘導されるそれらの医薬上許容される塩の形態に変換し、それらを使用することは、本発明の範囲内である。
【0215】
本発明の化合物が遊離塩基形態を有する場合、この化合物は、化合物の遊離塩基形態を医薬上許容される無機又は有機の酸と反応させることによって、医薬上許容される酸付加塩として調製され得る(例えば、ハロゲン化水素酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩);他の鉱酸及びその対応する塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩など);並びにアルキルスルホン酸塩及びモノアリールスルホン酸塩(例えば、エタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩);及び他の有機酸及びそれらの対応する塩(例えば、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩及びアスコルビン酸塩))。本発明のさらなる酸付加塩には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、フマル酸塩、ガラクテラート(galacterate)(ムチン酸由来)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ−酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩及びフタル酸塩)。遊離塩基形態は典型的に、物性(極性溶媒中での溶解度など)がそのそれぞれの塩形態と幾分異なるが、その他の点では、塩は、本発明の目的のためにそのそれぞれの遊離塩基形態と等価であることを認識すべきである。
【0216】
本発明の化合物が遊離酸形態を有する場合、医薬上許容される塩基付加塩は、化合物の遊離酸形態を医薬上許容される無機又は有機の塩基と反応させることによって、調製され得る。かかる塩基の例は、アルカリ金属水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムを含む);アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化バリウム及び水酸化カルシウム);アルカリ金属アルコキシド(例えば、カリウムエタノラート及びナトリウムプロパノラート);及び種々の有機塩基(例えば、水酸化アンモニウム、ピペリジン、ジエタノールアミン及びN−メチルグルタミン)である。本発明の化合物のアルミニウム塩も含まれる。本発明のさらなる塩基塩には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム及び亜鉛の塩。有機塩基塩には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:第1級、第2級及び第3級アミン、置換アミン(天然に存在する置換アミンを含む)、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソ−プロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン及びトリス−(ヒドロキシメチル)−メチルアミン(トロメタミン)の塩。遊離酸形態は典型的に、物性(極性溶媒中での溶解度など)がそのそれぞれの塩形態と幾分異なるが、その他の点では、塩は、本発明の目的のためにそのそれぞれの遊離酸形態と等価であることを認識すべきである。
【0217】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物は、以下のような薬剤で四級化され得る:(C1−4)アルキルハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、イソ−プロピル及びtert−ブチルの塩化物、臭化物及びヨウ化物);ジ(C1−4)アルキル硫酸塩(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル及び硫酸ジアミル);(C10−18)アルキルハロゲン化物(例えば、デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルの塩化物、臭化物及びヨウ化物);及びアリール(C1−4)アルキルハロゲン化物(例えば、塩化ベンジル及び臭化フェネチル)。かかる塩は、本発明の水溶性化合物及び油溶性化合物の両方の調製を可能にする。
【0218】
本発明に従う化合物のN−オキシドは、当業者に公知の方法によって調製できる。例えば、N−オキシドは、化合物の非酸化形態を、適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素)中、約0℃で酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ−クロロペルオキシ安息香酸など)で処理することによって調製できる。或いは、化合物のN−オキシドは、適切な出発物質のN−オキシドから調製できる。
【0219】
本発明に従う化合物のプロドラッグ誘導体は、本発明の化合物の置換基(次いで、in vivoで異なる置換基に変換される)を修飾することによって調製できる。多くの場合、プロドラッグ自体も、本発明に従う化合物の範囲内に入ることに留意されたい。例えば、プロドラッグは、化合物を、カルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロリダート、炭酸パラ−ニトロフェニルなど)又はアシル化剤と反応させることによって調製できる。プロドラッグを製造する方法のさらなる例は、Saulnier et al.(1994),Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,Vol.4,p.1985中に記載されている。
【0220】
本発明の化合物の保護された誘導体もまた製造され得る。保護基の創出及びそれらの除去に適用可能な技術の例は、P.G.M. Wuts and T.W.Greene,「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」第4版,John Wiley and Sons,2007中に見出すことができる。
【0221】
本発明の化合物はまた、溶媒和物(例えば、水和物)として、簡便に調製され得る又は本発明のプロセスの間に形成され得る。本発明の化合物の水和物は、ダイオキシン、テトラヒドロフラン又はメタノールなどの有機溶媒を使用して、水性/有機溶媒混合物からの再結晶によって簡便に調製され得る。
【0222】
「医薬上許容される塩」は、本明細書中で使用する場合、特に、その塩が、化合物の遊離形態又は化合物の異なる塩形態と比較して改善された薬物動態特性を化合物に付与する場合、その塩の形態で利用される本発明に従う任意の化合物を包含する意図である。医薬上許容される塩形態はまた、所望の薬物動態特性を、以前にはそれを保有していなかった化合物に最初に付与し得、身体中での治療活性に関してその化合物の薬力学にポジティブな影響さえ与え得る。好都合に影響され得る薬物動態特性の例は、化合物が細胞膜を横切って輸送される様式であり、これは次に、化合物の吸収、分布、生体内変換及び排出に直接的かつポジティブに影響を与え得る。医薬組成物の投与経路が重要であり、種々の解剖学的、生理学的及び病理学的要因がバイオアベイラビリティに決定的に影響を与え得る一方、化合物の溶解度は、利用されるその特定の塩形態の特徴に通常は依存する。当業者は、化合物の水溶液が、治療対象の身体中への化合物の最も迅速な吸収を提供し、一方脂質溶液及び懸濁液、並びに固体剤形が、化合物のあまり迅速でない吸収を生じることを、理解するであろう。
【0223】
本発明の化合物の使用
ASK1は、環境ストレスに応答して、p38及びJNKのアポトーシス促進性経路を活性化する(Wang et al.J.Biol.Chem.1996,271,31607−31611;Ichijo et al.Science 1997,275,90−94)。ASK1は、アポトーシス促進性ストレス(例えば、酸化ストレス及びTNF)及び病原性ストレス(例えば、ERストレス、GPCR誘導性及びAβ誘導性のROS産生)に応答して、ASK1−p38/JNKカスケードを介してアポトーシスを誘導する。野生型ASK1の過剰発現及び構成的に活性なASK1は、ミトコンドリア依存的なカスパーゼ活性化を介して、種々の細胞でアポトーシスを誘導する(Saitoh et al EMBO J.1998,17:2596−2606;Kanamoto et al.Mol.Cell Biol.2000,20,196−204;Hatai et al.J.Biol.Chem.2000,275,26576−2658)。
【0224】
アポトーシスは、正常な発生及び組織恒常性において重要な役割を果たす;その結果、調節不全の場合、アポトーシスは、複数の疾患(アミロイドーシス、高コレステロール血症、糖尿病、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、感染症、神経変性疾患、脳卒中における再灌流/虚血、心肥大呼吸器疾患、代謝性疾患、消化器疾患、血液疾患及び泌尿器疾患が挙げられるが、これらに限定されない)に寄与する(Thompson,Science 1995,267,1456−1462;Yuan and Yanker Nature 2000,407,802−809;Los et al.Immunity 1999,10,629−639;Aridor and Balch,Nat.Med.1999,5,745−751;Kopito and Ron,Nat.Cell Biol.2000,2,E207−E209;Nakagawa et al.Nature 2000,403,98−103;Imai et al.Cell 2001,105,891−902;Harding et al.Mol Cell 2001,7,1153−1163;及びNishitoh et al.Genes Dev.2002,16,1345−1355)。
【0225】
最近の研究により、ASK1が細胞死の調節に寄与するだけではなく、細胞運命の決定においても多様な機能(例えば、サイトカイン応答、細胞分化及び自然免疫応答)を有することが明らかになった(Matsukawa et al.J Biochem.(Toyko)2004,136,261−265.Sayama et al.J.Biol.Chem.2000,276:999−1004;Takeda et al.J.Biol.Chem.2000,275:9805−9813;Sagasti et al.Cell 2001,105:221−232;Kim at al.Science 2002,297:623−626;Nishitoh et al.Genes Dev.2002,16:1345−1355;Matsukawa et al.Nat Immunol 2005,6,587−592;Tobiume et al.EMBO Rep.2001,2:222−228;Imoto,et al.Diabetes 2006,55:1197−1204)。構成的に活性なASK1は、PC12細胞において神経突起伸長を誘導する。ASK1は、ニューロンではASK1−p38経路を活性化するCaMKIIによって活性化され、これは、ASK1がシナプス可塑性に重要な役割を果たし得ることを示唆している。さらに、TRAF6−ASK1−p38経路は、炎症及び自然免疫応答において重要な役割を果たす(Hayakaw et al.Microbes and Infection 2006,8,1098−1107)。ASK1は、TNF−α誘導性のインスリン抵抗性の発病において役割を有することも実証されている。野生型ASK1の過剰発現は、インスリン受容体基質(IRS)−1のセリンリン酸化を増加させ、IRS−1のインスリン刺激されたチロシンリン酸化を減少させ、インスリンシグナル伝達の減損をもたらす(Imoto,et al.Diabetes 2006,55:1197−1204)。
【0226】
従って、本発明の化合物によるASK1の活性の調節は、複数の疾患及び状態(特に、代謝性疾患、炎症性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、感染症、誘導性炎症促進性タンパク質が媒介する疾患及び状態、脳卒中における再灌流/虚血、心肥大、呼吸器疾患、心臓発作、心筋虚血、臓器低酸素症、血管過形成、心肥大、肝虚血、肝臓疾患、うっ血性心不全、病的免疫応答、トロンビン誘導性血小板凝集、消化器疾患、血液疾患及び泌尿器疾患)に対して影響を有するであろう。
【0227】
本発明の化合物によって治療又は予防され得る代謝性疾患には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:糖尿病、特に2型糖尿病、糖尿病性脂質異常症、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲抑制、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症を含む糖尿病に関連する肥満及び合併症、炎症性腸疾患、クローン病、化学療法誘導性腸炎、口腔粘膜炎、短腸症候群並びに腎臓疾患。本発明のASK1阻害剤が媒介する状態としては、高脂血症(例えば、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症(hypoHDLemia)及び食後高脂血症);動脈硬化症;高血圧症;心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳卒中及びメタボリックシンドロームがさらに挙げられる。
【0228】
本発明の化合物によって治療又は予防され得る炎症性疾患には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:急性膵臓炎、慢性膵臓炎、喘息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸促迫症候群。
【0229】
本発明の化合物によって治療又は予防され得る神経変性疾患には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アルツハイマー病(Nakagawa et al.Nature 2000,403,98−103)、パーキンソン病(Imai et al.Cell 2001,105,891−902)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、発作、ハンチントン病、ポリグルタミン病(Nishitoh et al.Genes Dev.2002,16,1345−1355)、外傷性脳損傷、虚血性及び出血性脳卒中、脳虚血、又は外傷性損傷、急性低酸素症、虚血若しくはグルタミン酸神経毒性により引き起こされるアポトーシス駆動神経変性疾患を含む神経変性疾患。
【0230】
本発明の化合物によって治療又は予防され得る自己免疫疾患には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、多発性硬化症又はシェーグレン症候群。
【0231】
本発明の化合物によって治療又は予防され得る破壊性骨障害には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:骨粗鬆症、変形性関節症及び多発性骨髄腫関連骨障害。
【0232】
本発明の化合物によって治療又は予防され得る感染症には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:敗血症、敗血症性ショック及び細菌性赤痢。
【0233】
本発明の化合物によって治療又は予防され得る、誘導性炎症促進性タンパク質が媒介する疾患及び状態には、以下が挙げられるがこれらに限定されない:浮腫、無痛覚症、発熱及び疼痛(例えば、神経筋疼痛、頭痛、癌疼痛、歯の疼痛及び関節炎疼痛)。
【0234】
ASK1が媒介し、本発明の化合物によって治療又は予防され得る他の状態としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:脳卒中における虚血/再灌流、心臓発作、心筋虚血、臓器低酸素症、血管過形成、心肥大、肝虚血、肝臓疾患、うっ血性心不全、T細胞活性化により引き起こされるものなどの病的免疫応答、及びトロンビン誘導性血小板凝集。
【0235】
併用療法
広範な種々の治療剤が、本発明に従うASK1阻害剤と共に、付加的又は相乗的な治療効果を有し得る。1種以上の本発明の化合物を1種以上の他の治療剤と共に含む併用療法は、例えば以下のために使用され得る:1)1種以上の本発明の化合物及び/又は1種以上の他の治療剤の治療効果(複数可)を増強すること;2)1種以上の本発明の化合物及び/又は1種以上の他の治療剤が示す副作用を低減すること;及び/又は3)1種以上の本発明の化合物及び/又は1種以上の他の治療剤の有効用量を低減すること。併用療法は、複数の薬剤が互いに前後して投与される場合(連続療法)並びに複数の薬剤が同時に投与される場合をカバーする意図であることに留意されたい。
【0236】
本発明は特に、1種以上の他の抗糖尿病剤と組合わせた、本発明の化合物の使用に関する。かかる抗糖尿病剤の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:インスリンシグナル伝達経路修飾剤(プロテインチロシンホスファターゼ(PTPase)阻害剤及びグルタミン−フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤など);調節不全の肝グルコース産生に影響を与える化合物(グルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)阻害剤、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(F−1,6−BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)阻害剤など);ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDHK)阻害剤;インスリン感受性増強剤(インスリン感受性改善剤);インスリン分泌増強剤(インスリン分泌促進物質);α−グルコシダーゼ阻害剤;胃排出の阻害剤;グルコキナーゼ活性化剤、GLP−1受容体アゴニスト、GLP−2受容体アゴニスト、UCP修飾剤、RXR修飾剤、GSK−3阻害剤、PPAR修飾剤、メトホルミン、インスリン;並びにα−アドレナリンアンタゴニスト。ASK1阻害剤は、単一の用量として同時に(simultaneously)、別個の用量で同時に(at the same time)、又は連続的に(即ち、1つの剤が他方の剤の投与の前又は後に投与される)のいずれかで、少なくとも1種のかかる他の抗糖尿病化合物と共に投与され得る。
【0237】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るPTPase阻害剤の例としては、米国特許第6,057,316号、同第6,001,867号及びPCT公開番号WO99/58518、WO99/58522、WO99/46268、WO99/46267、WO99/46244、WO99/46237、WO99/46236及びWO99/15529に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0238】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るGFAT阻害剤の例としては、Mol.Cell.Endocrinol.1997,135(1),67−77に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0239】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るG6Pase阻害剤の例としては、PCT公開番号WO00/14090、WO99/40062及びWO98/40385、欧州特許公開番号EP682024号及びDiabetes 1998,47,1630−1636に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0240】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るF−1,6−BPase阻害剤の例としては、PCT公開番号WO00/14095、WO99/47549、WO98/39344、WO98/39343及びWO98/39342に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0241】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るGP阻害剤の例としては、米国特許第5,998,463号、PCT公開番号WO99/26659、WO97/31901、WO96/39384及びWO9639385並びに欧州特許公開番号EP978279及びEP846464に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0242】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るグルカゴン受容体アンタゴニストの例としては、米国特許第5,880,139号及び同第5,776,954号、PCT公開番号WO99/01423、WO98/22109、WO98/22108、WO98/21957、WO97/16442及びWO98/04528に開示されたもの、並びにBioorg Med.Chem.Lett 1992,2,915−918,J.Med.Chem.1998,41,5150−5157及びJ.Biol Chem.1999,274,8694−8697に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0243】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るPEPCK阻害剤の例としては、米国特許第6,030,837号及びMol.Biol.Diabetes 1994,2,283−99に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0244】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るPDHK阻害剤の例としては、J.Med.Chem.1999,42,2741−2746に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0245】
本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るインスリン感受性増強剤の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:GSK−3阻害剤、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト、β−3ARアゴニスト、UCP修飾剤、抗糖尿病性チアゾリジンジオン(グリタゾン)、非グリタゾン型PPARγアゴニスト、二重PPARγ/PPARαアゴニスト、抗糖尿病性バナジウム含有化合物及びビグアナイド(メトホルミンなど)。
【0246】
GSK−3阻害剤の例としては、PCT公開番号WO00/21927及びWO97/41854に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0247】
RXR修飾剤の例としては、米国特許第4,981,784号、同5,071,773号、同5,298,429号及び同5,506,102号並びにPCT公開番号WO89/05355、WO91/06677、WO92/05447、WO93/11235、WO95/18380、WO94/23068及びWO93/23431に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0248】
β−3ARアゴニストの例としては、CL−316,243(Lederle Laboratories)並びに米国特許第5,705,515号、及びPCT公開番号WO99/29672、WO98/32753、WO98/20005、WO98/09625、WO97/46556及びWO97/37646に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0249】
UCP修飾剤の例としては、UCP−1、UCP−2及びUCP−3のアゴニストが挙げられる。UCP修飾剤の例としては、Vidal−Puig et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1997,235(1),79−82に開示されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0250】
抗糖尿病性のPPAR調節チアゾリジンジオン(グリタゾン)の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:(S)−((3,4−ジヒドロ−2−(フェニル−メチル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)メチル−チアゾリジン−2,4−ジオン(エングリタゾン)、5−{[4−(3−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−1−オキソ−プロピル)−フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ダルグリタゾン)、5−{[4−(1−メチル−シクロヘキシル)メトキシ)−フェニル]メチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(シグリタゾン)、5−{[4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(DRF2189)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリ(oxazoly))−エトキシ)]ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(BM−13.1246)、5−(2−ナフチルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(AY−31637)、ビス{4−[(2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)−メチル]フェニル}メタン(YM268)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−2−ヒドロキシエトキシ]−ベンジル}−−チアゾリジン−2,4−ジオン(AD−5075)、5−[4−(1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニルアミノ)−ベンジル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(DN−108) 5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニルメチル)−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロ−フェニル])−2−−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロフェニル])−−2−プロピニル]−5−(4−フルオロフェニル−スルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(2−(メチル−2−ピリジニル−アミノ)−エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ロシグリタゾン)、5−{[4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ピオグリタゾン;商標ACTOSTMの下で市販)、5−[6−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−ナフタレン−2−イルメチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(MCC555)、5−([2−(2−ナフチル)−ベンゾオキサゾール−5−イル]−メチル}チアゾリジン−2,4−ジオン(T−174)、エダグリタゾン(edaglitazone)(BM−13−1258)、リボグリタゾン(CS−011)及び5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)ベンズアミド(KRP297)。
【0251】
非グリタゾン型PPARγアゴニストの例としては、N−(2−ベンゾイルフェニル)−L−チロシンアナログ、例えば、GI−262570、レグリキサン(reglixane)(JTT501)、及びFK−614及びメタグリダセン(metaglidasen)(MBX−102)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0252】
二重PPARγ/PPARαアゴニストの例としては、ω−[(オキソキナゾリニルアルコキシ)フェニル]アルカノアート及びそのアナログ(PCT公開番号WO99/08501及びDiabetes 2000,49(5),759−767に記載されたものが含まれる);テサグリタザル、ムラグリタザル(muraglitazar)及びナベグリタザル(naveglitazar)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0253】
抗糖尿病性バナジウム含有化合物の例としては、米国特許第5,866,563号に開示されたものが挙げられるがそれらに限定されない。
【0254】
メトホルミン(ジメチルジグアナイド(dimethyldiguanide))及びその塩酸塩は、商標GLUCOPHAGETMの下で市販されている。
【0255】
インスリン分泌増強剤の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:グルカゴン受容体アンタゴニスト(上記のとおり)、スルホニル尿素(sulphonyl urea)誘導体、インクレチンホルモン又はその模倣物、特にグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)又はGLP−1アゴニスト、β細胞イミダゾリン受容体アンタゴニスト及び短時間作用性インスリン分泌促進物質(抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体、抗糖尿病性D−フェニルアラニン誘導体など)及びミチグリニド並びにそれらの医薬上許容される塩。
【0256】
スルホニル尿素誘導体の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロルプロパミド(chloropropamide)、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド(glyhexamide)、フェンブタミド(phenbutamide)、トルシクラミド(tolcyclamide);グリメピリド及びグリクラジド。トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピド及びグリメピリドは、それぞれ、商標RASTINON HOECHSTTM、AZUGLUCONTM、DIAMICRONTTM、GLUBORIDTM、GLURENORMTM、PRO−DIABANTM及びAMARYLTMの下で市販された形態で投与することができる。
【0257】
GLP−1アゴニストの例としては、米国特許第5,120,712号、同第5,118,666号及び同第5,512,549号、並びにPCT公開番号WO91/11457に開示されたものが挙げられるがそれらに限定されない。特に、GLP−1アゴニストには、GLP−1(7−37)(この化合物では、Arg36のカルボキシ末端アミド官能基が、GLP−1(7−36)NH分子の37位でGlyに置換されている)などの化合物並びにそのバリアント及びアナログが挙げられ、これには、GLN−GLP−1(7−37)、D−GLN−GLP−1(7−37)、アセチルLYS−GLP−1(7−37)、LYS18−GLP−1(7−37)及び特にGLP−1(7−37)OH、VAL−GLP−1(7−37)、GLY−GLP−1(7−37)、THR−GLP−1(7−37)、GLP−1(7−37)及び4−イミダゾプロピオニル−GLP−1が含まれる。
【0258】
GLP−1アゴニストの1つの特定の例はエクセンダチド(Exendatide)であり、これは、商標BYETTATMの下で市販される39アミノ酸のペプチドアミドである。エクステンダチド(Extendatide)は、実験式C1842825060Sを有し、4186.6ダルトンの分子量を有する。エクステンダチドのアミノ酸配列は以下のとおりである:H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
【0259】
グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)又はGLP−2アゴニストの例としては、米国特許第7,056,886号並びにPCT公開番号WO00/53208、WO01/49314及びWO03/099854に開示されたものが挙げられるがそれらに限定されない。GLP−2アゴニストの1つの特定の例は、TEDUGLUTIDETM(39アミノ酸のペプチドアミド(NPS Pharmaceuticals,Inc.))である。
【0260】
β細胞イミダゾリン受容体アンタゴニストの例としては、PCT公開番号WO00/78726及びJ.Pharmacol.Exp.Ther.1996,278,82−89に開示されたものが挙げられるがそれらに限定されない。
【0261】
抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体の例は、レパグリニド及びその医薬上許容される塩である。
【0262】
抗糖尿病性D−フェニルアラニン誘導体の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ナテグリニド(N−[(トランス4−イソプロピルシクロヘキシル)−カルボニル]−D−フェニルアラニン、EP196222及びEP526171)及びレパグリニド((S)−2−エトキシ−4−{2−[[3−メチル−1−[2−(1−ピペリジニル)フェニル]ブチル]−アミノ]−2−オキソエチル}安息香酸、EP 0 147 850 A2及びEP 0 207 331 A1)。ナテグリニドは、米国特許第5,488,510号及び欧州特許公開番号EP 0526171 B1に開示された特定の結晶形(多形)を含むことを意図する。レパグリニド及びナテグリニドは、それぞれ、商標NOVONORMTM及びSTARLIXTMの下で市販された形態で投与することができる。
【0263】
α−グルコシダーゼ阻害剤の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオラミン(valiolamine)(ボグリボース)及び1−デオキシノジリマイシン(1−deoxynojirimycin)誘導体ミグリトール。アカルボースは、4”,6”−ジデオキシ−4’−[(1S)−(1,4,6/5)−4,5,6−トリヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−2−シクロ−ヘキセニルアミノ)マルトトリオースである。アカルボースの構造は、O−4,6−ジデオキシ−4−{[1S,4R,5S,6S]−4,5,6−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−2−シクロヘキセン−1−イル]−アミノ)−α−D−グルコピラノシル−(1−4)−O−α−D−グルコピラノシル−(1−4)−D−グルコピラノースとしても記載できる(米国特許第4,062,950号及び欧州特許公開番号EP 0 226 121)。アカルボース及びミグリトールは、それぞれ、商標GLUCOBAYTM及びDIASTABOL 50TMの下で市販された形態で投与することができる。
【0264】
GLP−1以外の胃排出の阻害剤の例としては、J.Clin.Endocrinol.Metab.2000,85(3),1043−1048及びDiabetes Care 1998,21,897−893に開示されたもの、特にアミリン及びプラムリンチドなどのそのアナログが挙げられるが、これらに限定されない。アミリンは、Diabetologia,1996,39,492−499に記載されている。
【0265】
α−アドレナリンアンタゴニストの例としては、Diabetes 1987,36,216−220に記載されたミダグリゾール(midaglizole)が挙げられるが、これに限定されない。本発明のASK1阻害剤と組合わせて使用され得るインスリンとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ウシ及びブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;Escherichia coli又は酵母を使用して遺伝学的に合成されたヒトインスリン製剤;亜鉛インスリン;プロタミン亜鉛インスリン;インスリンの断片又は誘導体(例えば、INS−1)及び経口インスリン製剤。
【0266】
1つの特定の実施形態において、本発明のASK1阻害剤と組合わせて投与される抗糖尿病性化合物は、ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニド、メトホルミン、エクステンダチド(extendatide)、ロシグリタゾン、テサグリタザル、ピオグリタゾン、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド、グリメピリド及びグリクラジド(任意のそれらの医薬上許容される塩を含む)からなる群より選択される。
【0267】
PTPase阻害剤、GSK−3阻害剤、非小分子模倣化合物、GFAT阻害剤、G6Pase阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、PEPCK阻害剤、F−1、6−BPase阻害剤、GP阻害剤、RXR修飾剤、β−3ARアゴニスト、PDHK阻害剤、胃排出の阻害剤及びUCP修飾剤の調製物及び製剤の例は、本明細書中に提供する特許、出願及び参考文献中に開示されている。
【0268】
化合物Iとの併用療法の場合、他の抗糖尿病性化合物が、かかる化合物に関して自体公知の様式で投与され得る(例えば、経路及び剤形)。本発明のASK1阻害剤と他の抗糖尿病性化合物とは、連続的に(即ち、別個の時点で)又は同時に、2つの別個の用量形態で一方が他方の後に別々に、又は1つの合わせた単一の用量形態で、投与され得る。1つの特定の実施形態において、他の抗糖尿病性化合物は、単一の合わせた剤形として、本発明のASK1阻害剤と共に投与される。抗糖尿病性化合物の用量は、かかる化合物について臨床的に使用されることが公知の範囲から選択され得る。任意の、糖尿病性合併症の治療化合物、抗高脂血症(antihyperlipemic)化合物、抗肥満(antiobestic)化合物又は抗高血圧化合物が、上記抗糖尿病性化合物と同じ様式で、本発明のASK1阻害剤と共に使用され得る。糖尿病性合併症の治療化合物の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アルドースレダクターゼ阻害剤(例えば、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット(minalrestat)、フィダレスタット、CT−112及びラニレスタット);神経栄養因子及びその増加化合物(例えば、NGF、NT−3、BDNF及びWO01/14372に記載されたニューロトロフィン産生−分泌促進剤(例えば、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール));神経再生(neuranagenesis)刺激剤(例えば、Y−128);PKC阻害剤(例えば、ルボキシスタウリンメシレート);AGE阻害剤(例えば、ALT946、ピマゲジン(pimagedine)、N−フェナシルチアゾリウムブロミド(ALT766)、ALT−711、EXO−226、ピリドリン(pyridorin)及びピリドキサミン);反応性酸素スカベンジャー(例えば、チオクト酸);脳血管拡張剤(例えば、チアプリド及びメキシレチン);ソマトスタチン受容体アゴニスト(例えば、BIM23190);及びアポトーシスシグナル調節キナーゼ−1(ASK−1)阻害剤。抗高脂血症化合物の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン及びピタバスタチン);スクアレンシンターゼ阻害剤(例えば、WO97/10224に記載された化合物(例えば、N−[[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾキサゼピン−3−イル]アセチル]−ピペリジン−4−酢酸));フィブラート系化合物(例えば、ベザフィブラート、クロフィブラート、シンフィブラート及びクリノフィブラート);ACAT阻害剤(例えば、アバシミベ(avasimibe)及びエフルシミベ(eflucimibe));アニオン交換樹脂(例えば、コレスチラミン);プロブコール;ニコチン酸薬物(例えば、ニコモール及びニセリトロール);イコサペント酸エチル;及び植物ステロール(例えば、ソイステロール及びγ−オリザノール)。抗肥満化合物の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デクスアンフェタミン(dexamphetamine)、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体アンタゴニスト(例えば、SB−568849及びSNAP−7941);ニューロペプチドYアンタゴニスト(例えば、CP−422935);カンナビノイド受容体アンタゴニスト(例えば、SR−141716及びSR−147778);グレリンアンタゴニスト;11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、BVT−3498);膵リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット及びATL−962);β−3ARアゴニスト(例えば、AJ−9677);ペプチド性食欲抑制剤(例えば、レプチン及びCNTF(Ciliary Neurotropic Factor));コレシストキニンアゴニスト(例えば、リンチトリプト(lintitript)及びFPL−15849);及び摂食抑制物質(例えば、P−57)。抗高血圧化合物の例としては以下が挙げられる:アンギオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル及びデラプリル);アンギオテンシンIIアンタゴニスト(例えば、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、オルメサルタンメドキソミル、タソサルタン及び1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]−2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸);カルシウムチャネル遮断剤(例えば、マニジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン及びエホニジピン);カリウムチャネル開口剤(例えば、レブクロマカリム、L−27152、AL0671及びNIP−121);及びクロニジン。
【0269】
本明細書中でコード番号、一般名又は商標名で同定された活性剤の構造は、標準的な大要「The Merck Index」の現物の版から又はデータベース(例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications))から、得ることができる。その対応する内容は、参照によって本明細書により組み込まれる。任意の当業者は、これらの参考文献に基づいて、活性剤を同定することが完全に可能であり、同様に、医薬を製造し、in vitro及びin vivoの両方の標準的な試験モデルで、医薬の効能及び特性を試験することが可能である。
【0270】
ASK1阻害剤を含む組成物
広範な種々の組成物及び投与方法が、本発明の化合物と共に使用され得る。かかる組成物は、本発明の化合物に加えて、従来の医薬上の賦形、及び他の従来の医薬的に不活性な薬剤を含み得る。さらに、組成物は、本発明の化合物に加えて活性剤を含み得る。これらのさらなる活性剤には、本発明に従うさらなる化合物及び/又は1種以上の他の医薬上活性な薬剤が含まれ得る。
【0271】
組成物は、使用される投与経路に適した様式で製剤化された、気体、液体、半液体又は固体形態であり得る。経口投与には、カプセル剤及び錠剤が典型的に使用される。非経口投与には、本明細書中に記載のように調製した凍結乾燥粉末の再構成が典型的に使用される。
【0272】
本発明の化合物を含む組成物は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋内、直腸内、経頬、鼻腔内、リポソームによる、吸入を介する、経膣、眼内、局所送達を介する(例えば、カテーテル又はステントによる)、皮下、脂肪内、関節内又は髄腔内で、投与又は同時投与され得る。本発明に従う化合物及び/又は組成物は、徐放性剤形でも投与又は同時投与され得る。
【0273】
ASK1阻害剤及びそれらを含む組成物は、任意の従来の剤形で投与又は同時投与され得る。本発明の文脈における同時投与は、改善された臨床成績を達成するための協調治療の過程において、1種より多い治療剤(このうち1つがASK1阻害剤を含む)の投与を意味する意図である。かかる同時投与はまた、同一の広がりを持つ(coextensive)、即ち、重複する期間の間に生じ得る。
【0274】
非経口、皮内、皮下又は局所適用に使用される溶液又は懸濁液は、1種以上の以下の成分を含んでいてもよい:無菌希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩水溶液、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール及びメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸及び亜硫酸水素ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));緩衝剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩);浸透圧調節剤(例えば、塩化ナトリウム又はデキストロース)、及び組成物の酸性度又はアルカリ度を調節するための剤(例えば、アルカリ又は酸性化剤又は緩衝剤(炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、塩酸、並びに酢酸及びクエン酸などの有機酸など)。非経口製剤は、アンプル、使い捨てシリンジ、又はガラス、プラスチック若しくは他の適切な材料で製造された単一若しくは複数の用量のバイアル中に封入されていてもよい。
【0275】
本発明に従う化合物が不十分な溶解度を示す場合、化合物を可溶化する方法が使用され得る。かかる方法は当業者に公知であり、共溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO))の使用、界面活性剤(例えばTWEEN)の使用、又は水性炭酸水素ナトリウム中での溶解が挙げられるが、これらに限定されない。化合物の誘導体(例えば、化合物のプロドラッグ)もまた、有効な医薬組成物を製剤化する際に使用され得る。
【0276】
本発明に従う化合物を組成物に混合又は添加すると、溶液、懸濁液、乳濁液などが形成され得る。得られた組成物の形態は、多数の因子(意図した投与様式、及び選択された担体若しくはビヒクル中での化合物の溶解度を含む)に依存するであろう。治療される疾患を寛解するのに必要な有効濃度は、実験的に決定され得る。
【0277】
本発明に従う組成物は、適切な量の化合物(特に、その医薬上許容される塩、好ましくはナトリウム塩)を含む単位剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末、吸入器用乾燥粉末、顆粒、無菌の非経口の溶液若しくは懸濁液、及び経口の溶液若しくは懸濁液、並びに油−水乳濁液で、ヒト及び動物への投与用に提供されてもよい。医薬的治療的に活性な化合物及びその誘導体は典型的に、単位剤形(unit−dosage form)又は複数剤形で製剤化され、投与される。単位用量形態(unit−dose form)とは、本明細書中で使用する場合、当該分野で公知のように個々に包装された、ヒト及び動物の対象に適した物理的に個別の単位をいう。各単位用量は、必要な医薬的担体、ビヒクル又は希釈剤と共に、所望の治療効果を生じるのに十分な治療活性化合物を所定量含む。単位用量形態の例には、アンプル及びシリンジ 個々に包装された錠剤又はカプセル剤が含まれる。単位用量形態は、その部分で又は倍数で投与されてもよい。複数用量形態は、分離された単位用量形態で投与される、単一容器中に包装された複数の同一の単位剤形である。複数用量形態の例には、バイアル、錠剤若しくはカプセル剤の瓶、又はパイント若しくはガロンの瓶が挙げられる。従って、複数用量形態は、包装中に分離されていない複数の単位用量である。
【0278】
1種以上の本発明に従う化合物に加えて、組成物は以下を含み得る:希釈剤(例えば、ラクトース、スクロース、第二リン酸カルシウム又はカルボキシメチルセルロース);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びタルク);結合剤(例えば、デンプン、天然ゴム(例えば、アカシアゴムゼラチン(gum acaciagelatin))、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリジン、セルロース及びその誘導体、ポビドン、クロスポビドン及び当業者に公知の他のかかる結合剤)。液体の医薬的に投与可能な組成物は、例えば、上記のような活性化合物及び任意選択の医薬的アジュバントを、担体(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなど)中に溶解、分散又は他の方法で混合して、溶液又は懸濁液を形成することによって、調製され得る。所望の場合、投与される医薬組成物は、微量の補助物質(例えば、湿潤剤、乳化剤又は可溶化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン(cyclodextrine)誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレエート及び他のかかる薬剤))もまた含み得る。かかる剤形を調製するための実際の方法は当該分野で公知であるか、又は当業者に明らかとなろう(例えば、Remington:The Science and Practices of Pharmacy,Lippincott Williams,and Wilkins Publisher,第21版,2005を参照)。投与される組成物又は製剤は、いずれにしろ、in vivoでASK1活性を低下させ、それによって対象の病態を治療するのに十分な量の本発明の阻害剤を含むであろう。
【0279】
剤形又は組成物は、1種以上の本発明に従う化合物を0.005%〜100%(重量/重量)の範囲で含んでいてよく、残りは本明細書中に記載したものなどのさらなる物質を含む。経口投与には、医薬上許容される組成物は、任意の1種以上の一般に使用される賦形剤(例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカムなど)を含んでいてもよい。かかる組成物としては、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル剤、粉末、吸入器用乾燥粉末及び持続放出製剤(例えば、移植片及びマイクロカプセル化送達システム、及び生分解性の生体適合性ポリマー(例えば、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸など)であるが、これらに限定されない)が挙げられる。これらの製剤を調製するための方法は、当業者に公知である。組成物は、0.01%〜100%(重量/重量)、任意選択で0.1〜95%、任意選択で1〜95%の、1種以上のASK1阻害剤を含んでいてもよい。
【0280】
阻害剤の塩、好ましくはナトリウム塩は、身体からの迅速な排除に対して化合物を保護する担体(例えば、時限放出製剤又はコーティング)を用いて調製され得る。製剤は、所望の組合わせの特性を得るために、他の活性化合物をさらに含み得る。
【0281】
A.経口投与用製剤
経口医薬剤形は、固体、ゲル又は液体としてであり得る。固体剤形の例には、錠剤、カプセル剤、顆粒及びバルク粉末が挙げられるが、これらに限定されない。経口錠剤のより具体的な例としては、腸溶コーティングされた、糖衣の又はフィルムコーティングされたものであり得る、圧縮された咀嚼ロゼンジ剤(lozenge)及び錠剤が挙げられる。カプセル剤の例としては、硬又は軟ゼラチンカプセル剤が挙げられる。顆粒及び粉末は、非発泡性又は発泡性形態で提供され得る。それぞれ、当業者に公知の他の成分と組合され得る。
【0282】
特定の実施形態において、本発明に従う化合物は、固体剤形、好ましくはカプセル剤又は錠剤として提供される。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、1種以上の以下の成分又は類似の性質の化合物を含んでいてもよい:結合剤;希釈剤;崩壊剤;滑沢剤;流動促進剤;甘味剤;及び香味剤。
【0283】
使用され得る結合剤の例としては、結晶セルロース、トラガカントゴム、グルコース溶液、アラビアゴム粘液、ゼラチン溶液、スクロース及びデンプンペーストが挙げられるがこれらに限定されない。
【0284】
使用され得る滑沢剤の例としては、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウム、石松子及びステアリン酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0285】
使用され得る希釈剤の例としては、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトール及び第二リン酸カルシウムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0286】
使用され得る流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素が挙げられるがこれに限定されない。
【0287】
使用され得る崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが挙げられるがこれらに限定されない。
【0288】
使用され得る着色剤の例としては、任意の認可され認証された水溶性FD及びC色素、それらの混合物;及びアルミナ水和物中に懸濁された水不溶性FD及びC色素が挙げられるがこれらに限定されない。
【0289】
使用され得る甘味剤の例としては、スクロース、ラクトース、マンニトール及び人工甘味剤(例えば、サイクラミン酸ナトリウム及びサッカリン)、及び任意の数の粉末乾燥香料が挙げられるがこれらに限定されない。
【0290】
使用され得る香味剤の例としては、果物などの植物から抽出された天然香料及び好ましい感覚を生じさせる化合物の合成ブレンド(例えば、ペパーミント及びサリチル酸メチルであるがこれらに限定されない)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0291】
使用され得る湿潤剤の例としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0292】
使用され得る制吐コーティングの例としては、脂肪酸、脂肪、ワックス、シェラック、アンモニア化(ammoniated)シェラック及びフタル酸酢酸セルロースが挙げられるがこれらに限定されない。
【0293】
使用され得るフィルムコーティングの例としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000及びフタル酸酢酸セルロースが挙げられるがこれらに限定されない。
【0294】
経口投与が望まれる場合、化合物の塩は、胃の酸性環境から保護する組成物で提供されてもよい。例えば、組成物は、胃においてその完全性を維持し、腸において活性化合物を放出する腸溶コーティング中に製剤化され得る。組成物はまた、制酸剤又は他のかかる成分と組合わせて製剤化され得る。
【0295】
投薬単位形態がカプセル剤である場合、これは、脂肪油などの液体担体をさらに含んでいてもよい。さらに、投薬単位形態は、投薬単位の物理的形態を修飾する種々の他の物質(例えば、糖衣及び他の腸溶剤のコーティング)をさらに含んでいてもよい。
【0296】
本発明に従う化合物は、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハ、スプリンクル(sprinkle)、チューインガムなどの成分としても、投与され得る。シロップは、活性化合物に加えて、甘味剤としてのスクロース並びに特定の保存料、色素及び着色料及び香料を含んでいてもよい。
【0297】
本発明の化合物は、所望の作用を損なわない他の活性物質又は所望の作用を補充する物質(例えば、制酸剤、H2ブロッカー及び利尿剤)と混合してもよい。例えば、化合物が喘息又は高血圧症の治療に使用される場合、化合物は、それぞれ他の気管支拡張剤及び抗高血圧剤と共に使用され得る。
【0298】
本発明の化合物を含む錠剤中に含まれ得る医薬上許容される担体の例としては、結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤及び湿潤剤が挙げられるがこれらに限定されない。腸溶コーティングされた錠剤は、腸溶コーティングに起因して、胃酸の作用に耐え、中性又はアルカリ性の腸において溶解又は崩壊する。糖衣錠剤は、異なる層の医薬上許容される物質が適用される圧縮錠剤であり得る。フィルムコーティング錠剤は、ポリマー又は他の適切なコーティングで被覆された圧縮錠剤であり得る。複数の圧縮錠剤は、以前に言及した医薬上許容される物質を利用して、1回より多い圧縮サイクルで製造された圧縮錠剤であり得る。着色剤もまた錠剤中で使用され得る。香味剤及び甘味剤が錠剤中で使用され得、これらは咀嚼錠剤及びロゼンジ剤の形成において特に有用である。
【0299】
使用され得る液体経口剤形の例としては、水溶液、乳濁液、懸濁液、溶液並びに/又は非発泡性顆粒から再構成された懸濁液及び発泡性顆粒から再構成された発泡性製剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0300】
使用され得る水溶液の例としては、エリキシル剤及びシロップが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中で使用する場合、エリキシル剤とは、透明で甘い水アルコール製剤をいう。エリキシル剤で使用され得る医薬上許容される担体の例としては、溶媒が挙げられるがこれに限定されない。使用され得る溶媒の具体例としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及びシロップが挙げられる。本明細書中で使用する場合、シロップとは、スクロースなどの糖の濃縮水溶液をいう。シロップは、保存料をさらに含んでいてもよい。
【0301】
乳濁液とは、1つの液体が別の液体の全体に小さい小球の形態で分散している2相系をいう。乳濁液は、任意選択で、水中油乳濁液又は油中水乳濁液であり得る。乳濁液で使用され得る医薬上許容される担体の例としては、非水性液体、乳化剤及び保存料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0302】
液体経口剤形へと再構成される非発泡性顆粒で使用され得る医薬上許容される物質の例としては、希釈剤、甘味料及び湿潤剤が挙げられる。
【0303】
液体経口剤形へと再構成される発泡性顆粒で使用され得る医薬上許容される物質の例としては、有機酸及び二酸化炭素供給源が挙げられる。
【0304】
着色剤及び香味剤が、任意選択で、上記全ての剤形で使用され得る。
【0305】
使用され得る保存料の具体例としては、グリセリン、メチルパラベン及びプロピルパラベン、安息香酸(benzoic add)、安息香酸ナトリウム及びアルコールが挙げられる。
【0306】
乳濁液で使用され得る非水性液体の具体例としては、鉱油及び綿実油が挙げられる。
【0307】
使用され得る乳化剤の具体例としては、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカント、ベントナイト及び界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。
【0308】
使用され得る懸濁剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガム(Veegum)及びアラビアゴムが挙げられる。希釈剤としては、ラクトース及びスクロースが挙げられる。甘味剤としては、スクロース、シロップ、グリセリン及び人工甘味剤(例えば、サイクラミン酸ナトリウム及びサッカリン)が挙げられる。
【0309】
使用され得る湿潤剤の具体例としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
【0310】
使用され得る有機酸の具体例としては、クエン酸及び酒石酸が挙げられる。
【0311】
発泡性組成物において使用され得る二酸化炭素供給源としては、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。着色剤としては、任意の認可され認証された水溶性FD及びC色素並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0312】
使用され得る香味剤の具体例としては、果物などの植物から抽出された天然香料及び好ましい味覚感覚を生じさせる化合物の合成ブレンドが挙げられる。
【0313】
固体剤形のためには、例えば炭酸プロピレン、植物油又はトリグリセリド中の溶液又は懸濁液が、好ましくはゼラチンカプセル中にカプセル化される。かかる溶液並びにその調製及びカプセル化は、米国特許第4,328,245号;同第4,409,239号及び同4,410,545号中に開示されている。液体剤形のためには、例えばポリエチレングリコール中の溶液が、投与のために容易に計量される、十分量の医薬上許容される液体担体(例えば、水)で希釈され得る。
【0314】
或いは、液体又は半固体の経口製剤は、活性化合物又は塩を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、炭酸プロピレン)及び他のかかる担体中に溶解又は分散させ、硬又は軟ゼラチンのカプセル殻中にこれらの溶液又は懸濁液をカプセル化することによって、調製され得る。他の有用な製剤には、米国再特許第28,819号及び米国特許第4,358,603号に示されるものが挙げられる。
【0315】
B.注射剤、溶液及び乳濁液
本発明は、皮下注射、筋内注射又は静脈内注射によって一般に特徴付けられる非経口投与によって本発明の化合物を投与するために設計された組成物にも関する。注射剤は、任意の従来の形態(例えば、液体溶液又は懸濁液、注射前に液体中で溶液又は懸濁液にするのに適した固体形態、又は乳濁液)で調製され得る。
【0316】
本発明に従う注射剤と合わせて使用され得る賦形剤の例としては、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールが挙げられるがこれらに限定されない。注射剤組成物はまた、微量の非毒性補助物質(例えば、湿潤剤若しくは乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度増強剤及び他のかかる薬剤(例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート及びシクロデキストリン))を含んでいてもよい。一定レベルの投薬量が維持されるような徐放又は持続放出系(例えば、米国特許第3,710,795号を参照)の移植もまた、本明細書中で企図される。かかる非経口組成物中に含まれる活性化合物の割合は、その特定の性質、並びに化合物の活性及び対象の要求に高度に依存する。
【0317】
製剤の非経口投与には、静脈内投与、皮下投与及び筋内投与が含まれる。非経口投与用の製剤としては以下が挙げられる:注射の準備ができた無菌溶液、使用直前に溶媒と合わせる準備ができた無菌の乾燥可溶性製品(例えば、本明細書中に記載される凍結乾燥粉末)(皮下錠剤が含まれる)、注射の準備ができた無菌懸濁液、使用直前にビヒクルと合わせる準備ができた無菌の乾燥不溶性製品、及び無菌乳濁液。溶液は水性でも非水性でもよい。
【0318】
静脈内投与する場合、適切な担体の例としては、生理的生理食塩水又はリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、並びに増粘剤及び可溶化剤(例えば、グルコース、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール並びにそれらの混合物)を含む溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0319】
非経口製剤中で任意選択で使用され得る医薬上許容される担体の例としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤及び他の医薬上許容される物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0320】
任意選択で使用され得る水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、等張デキストロース注射剤、無菌水注射剤、デキストロース及び乳酸リンゲル注射剤が挙げられる。
【0321】
任意選択で使用され得る非水性非経口ビヒクルの例としては、植物起源の不揮発油、綿実油、コーン油、ゴマ油及び落花生油が挙げられる。
【0322】
特に製剤が複数用量の容器中に包装され、従って、保存された複数のアリコートが取り出されるように設計されている場合、静菌的又は静真菌的濃度の抗菌剤が非経口製剤に添加され得る。使用され得る抗菌剤の例としては、フェノール又はクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
【0323】
使用され得る等張剤の例としては、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。使用され得る緩衝剤の例としては、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。使用され得る抗酸化剤の例としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。使用され得る局部麻酔剤の例としては、プロカイン塩酸塩が挙げられる。使用され得る懸濁剤及び分散剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。使用され得る乳化剤の例としては、Polysorbate 80(TWEEN 80)が挙げられる。金属イオンの金属イオン封鎖剤又はキレート剤としてはEDTAが挙げられる。
【0324】
医薬的担体としては、任意選択で、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール、並びにpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸も含まれ得る。
【0325】
非経口製剤中の阻害剤の濃度は、注射が所望の薬理学的効果を生じるのに十分な医薬的有効量を投与するように、調整され得る。使用される阻害剤及び/又は投薬量の正確な濃度は、当該分野で公知のように、患者又は動物の年齢、体重及び状態に最終的には依存するであろう。
【0326】
単位用量の非経口製剤は、アンプル、バイアル又は針付のシリンジ中に包装され得る。非経口投与のための全ての製剤は、当該分野で公知でありかつ実施されているように、無菌でなければならない。
【0327】
注射剤は、局部(local)及び全身投与のために設計され得る。典型的には、治療有効投薬量は、治療される組織に対する、少なくとも約0.1%w/wから約90%w/w又はそれ以上までの濃度、好ましくは1%w/wより高い濃度のASK1阻害剤を含むように製剤化される。阻害剤は一回で投与されてもよく、多数のより小さい用量に分割され、時間間隔をあけて投与されてもよい。正確な投薬量及び治療の持続期間は、組成物が非経口投与される場所、担体、及び公知の試験プロトコルを使用して実験的に又はin vivo若しくはin vitroの試験データからの外挿によって決定される他の変数の関数であることを理解すべきである。濃度及び投薬量の値は、治療される個体の年齢によっても変動し得ることに留意すべきである。任意の特定の対象について、具体的な投薬レジメンは、個体の要求及び製剤を投与し又は投与を監督する人物の専門的な判断に従って、経時的に調整する必要があり得ることをさらに理解すべきである。従って、本明細書中に示す濃度範囲は、例示的であることを意図しており、特許請求された製剤の範囲又は実施を限定する意図ではない。
【0328】
ASK1阻害剤は、任意選択で微粉化形態又は他の適切な形態で懸濁され得、又はより溶解性の高い活性生成物を製造するため若しくはプロドラッグを製造するために誘導体化され得る。得られた混合物の形態は、多数の因子(意図した投与様式、及び選択した担体若しくはビヒクル中での化合物の溶解度を含む)に依存する。有効濃度は、病態の症状を寛解させるのに十分であり、実験的に決定され得る。
【0329】
C.凍結乾燥粉末
本発明の化合物は、凍結乾燥粉末として調製されてもよく、この凍結乾燥粉末は、溶液、乳濁液及び他の混合物として投与のために再構成され得る。凍結乾燥粉末は、固体又はゲルとしても製剤化され得る。
【0330】
無菌の凍結乾燥粉末は、デキストロース又は他の適切な賦形剤を含むリン酸ナトリウム緩衝溶液中に化合物を溶解することによって調製され得る。引き続く溶液の無菌濾過の後に、当業者に公知の標準条件下で凍結乾燥することによって、所望の製剤を提供する。簡潔に述べると、凍結乾燥粉末は、適切な緩衝剤(例えば、クエン酸塩、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウム又は当業者に公知の他のかかる緩衝剤)中に、典型的にはほぼ中性のpHで、約1〜20%、好ましくは約5〜15%、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の適切な薬剤を溶解することによって調製してもよい。次いで、好ましくは室温を上回る温度で、より好ましくは約30〜35℃で、得られた混合物にASK1阻害剤が添加され、溶解するまで撹拌される。得られた混合物は、所望の濃度までさらに緩衝液を添加することによって希釈される。得られた混合物は、無菌濾過又は処理して粒状物を除去し、無菌性を保証するために、凍結乾燥用のバイアル中に分配する。各バイアルは、単一投薬量又は複数投薬量の阻害剤を含み得る。
【0331】
D.局所投与用製剤
本発明の化合物は、局所混合物としても投与され得る。局所混合物は、局部投与又は全身投与のために使用され得る。得られた混合物は、溶液、懸濁液、乳濁液などであり得、クリーム、ゲル、軟膏、乳濁液、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、発泡体、エアロゾル、灌注、スプレー、坐剤、絆創膏、経皮パッチ又は局所投与に適した任意の他の製剤として製剤化される。
【0332】
ASK1阻害剤は、例えば吸入による、局所適用のためのエアロゾルとして製剤化され得る(米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号及び同第4,364,923号を参照(これらは、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達用のエアロゾルを記載している))。気道への投与用の製剤は、単独で又はラクトースなどの不活性担体と組合わせて、ネブライザーのためのエアロゾル若しくは溶液の形態で、又はガス注入(insufflation)のための超微粒粉末としてであり得る。このような場合、製剤の粒子は、典型的には50ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満の直径を有するであろう。
【0333】
阻害剤はまた、局部又は局所適用(例えば、皮膚及び粘膜(例えば眼の)への局所適用)のために、ゲル、クリーム及びローションの形態で、眼への適用のために、又は大槽内若しくは脊髄内適用のために、製剤化され得る。局所投与は、経皮送達のために企図され、また、眼若しくは粘膜への投与のため、又は吸入療法のためにも企図される。単独又は他の医薬上許容される賦形剤と組合わせたASK1阻害剤の鼻溶液も投与できる。
【0334】
E.他の投与経路用の製剤
治療する病態に依存して、他の投与経路(例えば、局所適用、経皮パッチ及び直腸投与)もまた使用され得る。例えば、直腸投与のための医薬剤形は、全身効果のための、直腸坐剤、カプセル剤及び錠剤である。本明細書中で使用する直腸坐剤は、体温で融解又は軟化して、1種以上の薬理学的又は治療的に活性な成分を放出する、直腸への挿入のための固体実体を意味する。直腸坐剤で使用される医薬上許容される物質は、基剤又はビヒクル、及び融点を上昇させるための薬剤である。基剤の例としては、ココアバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス、(ポリオキシエチレングリコール)並びに脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。種々の基剤の組合せが使用され得る。坐剤の融点を上昇させる薬剤には、鯨蝋及びワックスが挙げられる。直腸坐剤は、圧縮法又は成型のいずれかによって調製され得る。直腸坐剤の典型的な重量は、約2〜3gmである。直腸投与用の錠剤及びカプセル剤は、経口投与用の製剤と同じ医薬上許容される物質を使用して、同じ方法によって製造され得る。
【0335】
F.製剤の例
以下は、本発明の化合物で任意選択で使用され得る経口製剤、静脈内製剤及び錠剤製剤の具体例である。これらの製剤は、使用される特定の化合物及び製剤が使用されることになる適応症に依存して変動し得ることに留意のこと。
【0336】
経口製剤
本発明の化合物 10〜100mg
クエン酸一水和物 105mg
水酸化ナトリウム 18mg
香料
水 100mLまで適量
【0337】
静脈内製剤
本発明の化合物 0.1〜10mg
デキストロース一水和物 等張になるまで適量
クエン酸一水和物 1.05mg
水酸化ナトリウム 0.18mg
注射用水 1.0mLまで適量
【0338】
錠剤製剤
本発明の化合物 1%
結晶セルロース 73%
ステアリン酸 25%
コロイド状シリカ 1%
【0339】
投薬量、宿主及び安全性
本発明の化合物は、安定であり、安全に使用できる。特に、本発明の化合物は、種々の対象(例えば、ヒト、非ヒト哺乳動物及び非哺乳動物)に対してASK1阻害剤として有用である。
【0340】
最適な用量は、例えば、対象の型、対象の体重、状態の重篤度、投与経路及び使用される特定の化合物の特定の特性などの条件に依存して変動し得る。一般に、許容可能で有効な1日用量は、治療される状態を有効に寛恕にする又は排除するのに十分な量である。典型的には、成人(体重約60kg)への経口投与のための1日用量は、約1〜1000mg、約3〜300mg又は約10〜200mgである。1日用量は、1日当たり、単一の投与又は複数の(例えば、2又は3)部分で与えることができることが理解されよう。
【0341】
ASK1阻害剤を含むキット及び製品
本発明はまた、ASK1に関連する疾患を治療するためのキット及び他の製品に関する。疾患とは、ASK1がその状態の病理及び/又は症候に寄与する活性を有する全ての状態をカバーする意図であることに留意のこと。
【0342】
1実施形態において、指示書と組合わせて、少なくとも1種の本発明の阻害剤を含む組成物を含むキットが提供される。指示書は、組成物を投与すべき病態、保存情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示し得る。キットは包装材料も含み得る。包装材料は、組成物を収納するための容器を含み得る。キットは、さらなる構成要素(例えば、組成物の投与用のシリンジ)を含んでいてもよい。キットは、単一用量形態又は複数用量形態で組成物を含み得る。
【0343】
別の実施形態において、包装材料と組合わせて、少なくとも1種の本発明の阻害剤を含む組成物を含む製品が提供される。包装材料は、組成物を収納するための容器を含み得る。容器は、組成物を投与すべき病態、保存情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指示を示すラベルを含んでいてもよい。キットは、さらなる構成要素(例えば、組成物の投与用のシリンジ)を含んでいてもよい。キットは、単一用量形態又は複数用量形態で組成物を含み得る。
【0344】
本発明に従うキット及び製品で使用される包装材料は、分割された瓶又は分割されたホイルパケットなどの複数の分割された容器を形成し得ることに留意されたい。容器は、医薬上許容される材料で製造された、当該分野で公知の任意の従来の形状若しくは形態であり得る(例えば、紙又はダンボールの箱、ガラス又はプラスチックの瓶又はジャー、再密封可能なバッグ(例えば、異なる容器中に配置するための錠剤の「詰め替え」を確保するため)、又は治療スケジュールに従ってパックから押し出すための個々の用量を含むブリスターパック)。使用される容器は、関与する正確な剤形に依存し、例えば、従来のダンボール箱は、液体懸濁液を保持するためには一般に使用されないであろう。1つより多い容器が、単一の剤形を販売するために、単一の包装と一緒になって使用され得ることが実現可能である。例えば、錠剤は瓶の中に含まれ得、次いでこれが箱内に含まれる。典型的には、キットは、別個の成分の投与のための指示を含む。キット形態は、別個の成分を異なる剤形(例えば、経口、局所、経皮及び非経口)で投与することが好ましく、異なる投薬間隔で投与される場合に、又は組み合わせの個々の成分の用量設定が担当医により望まれる場合に、特に有利である。
【0345】
本発明に従うキットの1つの特定の例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業において周知であり、医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは一般に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセスの間に、プラスチックホイルに窪みが形成される。これらの窪みは、包装される個々の錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有するか、又は包装される複数の錠剤及び/又はカプセル剤に適合したサイズ及び形状を有し得る。次に、錠剤又はカプセル剤が窪みにしかるべく配置され、比較的硬い材料のシートが、窪みが形成された方向とは逆の方向にあるホイルの面にて、プラスチックホイルに対して密封される。結果として、錠剤又はカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の窪み中に、所望に応じて個々に密封されるか又はまとめて密封される。好ましくは、シートの強度は、窪みに対して手で圧力を加えることで窪みの場所にあるシートに開口を形成することによって、錠剤又はカプセル剤がブリスターパックから取り出せるような強度である。次いで、錠剤又はカプセル剤は、この開口から取り出すことができる。
【0346】
キットの別の特定の実施形態は、それらの意図した使用の順で、1回に1つ1日用量を分配するように設計されたディスペンサーである。好ましくは、ディスペンサーは、レジメンへの服薬遵守をさらに促進するための、記憶補助装置を備える。かかる記憶補助装置の例は、既に分配された1日用量の数を示す機械的カウンターである。かかる記憶補助装置の別の例は、例えば、最後の1日用量が摂取された日にちを読み出す及び/又は次の用量を摂取する時期を思い出させる、液晶読み出し又は可聴式リマインダー信号と連結された電池電源のマイクロチップメモリーである。
【0347】
ASK1阻害剤の調製
種々の方法が、本発明に従う化合物を合成するために開発され得る。これらの化合物を合成するための代表的な方法は実施例に提供される。しかしながら、本発明の化合物は、他者が考案し得る他の合成経路によっても合成され得ることに留意されたい。
【0348】
本発明の化合物の合成スキーム
本発明に従う化合物は、以下に示す反応スキームに従って合成され得る。他の反応スキームは、当業者によって容易に考案され得るであろう。種々の異なる溶媒、温度及び他の反応条件が、反応の収率を最適化するために変更され得ることも理解すべきである。
【0349】
本明細書中以下に記載する反応では、最終生成物中にそれらが望まれる場合には、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ又はカルボキシ基などの反応性官能基を保護して、反応への望ましくない関与を回避する必要がある場合がある。従来の保護基が慣例に従って使用され得る。例えば、P.G.M.Wuts and T.W.Greene、「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」第4版,John Wiley and Sons,2007を参照。
【0350】
【化22】
【0351】
本発明の化合物を製造するための一般的合成経路をスキームAに示す。トリエチルアミンの存在下市販のグリシンメチルエステルHCl塩とDMFDMAとの反応により、アミノアクリレートA1が得られる。適切に置換されたピロールA2とA1との環化付加により、メチル ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレートA3が得られる。このエステルを加水分解して酸A4を得た後、この中間体をクルチウス転位条件に供すると、Boc保護されたアミンA5が得られた。或いは、他のアルコール(例えば、ベンジルアルコール)が、異なる保護基(例えば、CBZ)を提供するために使用され得る。次いで、A5のBoc基を、HCl水溶液、又はCHCl中のTFAのいずれかによって除去して、アミンA6の対応する塩を得ることができる。この中間体を、ピリジン中の置換又は非置換の塩化ベンゾイルによってアシル化して、アミドA7を得ることができる。
【0352】
【化23】
【0353】
本発明の化合物を製造するための別の一般的合成経路をスキームBに示す。6−カルボキシ−ピロロ[3,2−c]ピリジンB1をハロゲン化アルキルによってN−アルキル化して、B2を得ることができる。エステルB2を加水分解して酸B3を形成した後、この中間体をクルチウス転位に供すると、Boc保護されたB4が得られた。或いは、他のアルコール(例えば、ベンジルアルコール)が、異なる保護基(例えば、CBZ)を提供するために使用され得る。Boc基の脱保護及びその後の置換塩化ベンゾイルによるアシル化によって、所望のアミドB5が得られる。
【0354】
【化24】
【0355】
或いは、本発明の化合物は、スキームCに示すように調製できる。エステルC1を過剰のアルキル又はアルケニルグリニャールと反応させると、第3級アルコールC2が得られる。
【0356】
【化25】
【0357】
或いは、本発明の化合物は、スキームDに示すように調製できる。エステルD1をAD−mixβ又はAD−mixαのいずれかと反応させると、対応するジオールD2及びD3がそれぞれ得られる。
【0358】
【化26】
【0359】
或いは、本発明の化合物は、スキームEに示すように調製できる。6−クロロピロロ[3,2−c]ピリジンE1を、ボロン酸又はエステルとの銅媒介性のカップリングによってN−アルキル化すると、E2(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアルキニルである)が得られる。所望のアミドE3は、置換ベンズアミドによるパラジウム触媒カップリングによって得られる。
【0360】
一般的手順
本発明に従う特定の化合物が、化合物に特定の立体化学を付与する他の原子と連結した原子(例えば、キラル中心)を有することは、容易に認識されよう。本発明に従う化合物の合成は、異なる立体異性体(即ち、エナンチオマー及びジアステレオマー)の混合物の生成を生じ得ることが認識される。具体的な立体化学が特定されない限り、化合物の記述は、全ての異なる可能な立体異性体を包含する意図である。
【0361】
本発明に従う化合物は、1対のジアステレオ異性体化合物を形成するために化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、ジアステレオマーを分離し、光学純粋なエナンチオマーを回収することによって、その個々の立体異性体としても調製できる。エナンチオマーの分割は、化合物の共有結合性のジアステレオマー誘導体を使用して実施できるが、解離性複合体(例えば、結晶性ジアステレオ異性体塩)が好ましい。
【0362】
本発明に従う化合物はまた、化合物の遊離塩基形態を医薬上許容される無機酸又は有機酸と反応させることによって、医薬上許容される酸付加塩として調製できる。或いは、化合物の医薬上許容される塩基付加塩は、化合物の遊離酸形態を医薬上許容される無機塩基又は有機塩基と反応させることによって調製できる。化合物の医薬上許容される塩の調製に適した無機及び有機の酸及び塩基は、本出願の定義の項目に示されている。或いは、化合物の塩形態は、出発物質又は中間体の塩を使用して調製できる。
【0363】
化合物の遊離酸形態又は遊離塩基形態は、対応する塩基付加塩形態又は酸付加塩形態から調製できる。例えば、酸付加塩形態の化合物は、適切な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することによって、対応する遊離塩基に変換できる。塩基付加塩形態の化合物は、適切な酸(例えば、塩酸など)で処理することによって、対応する遊離酸に変換できる。
【0364】
本発明に従う化合物のN−オキシドは、当業者に公知の方法によって調製できる。例えば、N−オキシドは、化合物の非酸化形態を、適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素)中、約0℃で酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ−クロロペルオキシ安息香酸など)で処理することによって調製できる。或いは、化合物のN−オキシドは、適切な出発物質のN−オキシドから調製できる。
【0365】
非酸化形態の化合物は、適切な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0〜80℃で、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなど)で処理することによって、化合物のN−オキシドから調製できる。
【0366】
化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に公知の方法で調製できる(例えば、さらなる詳細については、Saulnier et al.(1994),Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,Vol.4,p.1985を参照)。例えば、適切なプロドラッグは、非誘導体化化合物を適切なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロリダート、炭酸パラ−ニトロフェニルなど)と反応させることによって調製できる。
【0367】
化合物の保護された誘導体は、当業者に公知の方法で製造できる。保護基の創出及びそれらの除去に適用可能な技術の詳細な説明は、P.G.M.Wuts and T.W.Greene、「Greene’s Protecting Groups in Organic Synthesis」,第4版,John Wiley & Sons,Inc.2007中に見出すことができる。
【0368】
本発明に従う化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)として、簡便に調製され得る又は本発明のプロセスの間に形成され得る。本発明の化合物の水和物は、ダイオキシン、テトラヒドロフラン又はメタノールなどの有機溶媒を使用して、水性/有機溶媒混合物からの再結晶によって簡便に調製され得る。
【0369】
本明細書中で使用する場合、これらのプロセス、スキーム及び実施例で使用される記号及び従来法は、当代の科学文献(例えば、Journal of the American Chemical Society又はJournal of Biological Chemistry)で使用されるものと一致する。標準的な1文字又は3文字略号が、アミノ酸残基を記述するために一般に使用され、アミノ酸残基は、特段の記載がなければ、L配置であるとみなされる。特に示さない限り、全ての出発物質は、商業的供給業者から得て、さらに精製することなく使用した。具体的には、以下の略号が、実施例中及び明細書全体で使用され得る:
【0370】
【表1-1】
【0371】
【表1-2】
【0372】
エーテル又はEtOに対する全ての言及は、ジエチルエーテルに対するものである;そして、ブラインとは、NaClの飽和水溶液をいう。特に示さない限り、全ての温度は℃(セルシウス度)で表される。全ての反応は、特に示さない限り、不活性雰囲気下RTで実施される。
【0373】
H NMRスペクトルは、Bruker Avance 400で記録した。化学シフトは、百万分率(ppm)で表される。結合定数は、ヘルツ(Hz)の単位である。分裂パターンは見かけの多重度を記述し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、br(ブロード)で示される。
【0374】
低分解能質量分析(MS)及び化合物純度データは、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、UV検出器(220及び254nm)及び蒸発光散乱検出器(ELSD)を備えたWaters ZQ LC/MSシングル四重極型システムで取得した。薄層クロマトグラフィーは、0.25mm E.Merckシリカゲルプレート(60F−254)上で実施し、UV光、5%リンモリブデン酸エタノール溶液、ニンヒドリン又はp−アニスアルデヒド溶液を用いて可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(230〜400メッシュ、Merck)で実施した。
【0375】
これらの化合物の調製において使用した出発物質及び試薬は、商業的供給業者(例えば、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)、Bachem(Torrance,CA)、Sigma(St.Louis,MO))から入手可能であるか、又は標準的な参考文献(例えば、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,vols.1−23,John Wiley and Sons,New York,NY,2006;Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,vols.1−5及び補遺,Elsevier Science Publishers,1998;Organic Reactions,vols.1−68,John Wiley and Sons,New York,NY,2007;March J.:Advanced Organic Chemistry,第5版,2001,John Wiley and Sons,New York,NY;及びLarock:Comprehensive Organic Transformations,第2版,John Wiley and Sons,New York,1999)に記載された手順に従って、当業者に周知の方法によって調製され得るかのいずれかである。本明細書中で引用した全ての文献の全開示は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0376】
種々の立体異性体の混合物を分離するための種々の方法が、当該分野で公知である。例えば、化合物のラセミ混合物は、1対のジアステレオ異性体化合物を形成するために、光学的に活性な分割剤と反応させられ得る。次いで、これらのジアステレオマーは、光学的に純粋なエナンチオマーを回収するために、分離され得る。解離性複合体(例えば、結晶性ジアステレオ異性体塩)もまた、エナンチオマーを分割するために使用され得る。ジアステレオマーは典型的に、十分区別できる物性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの非類似性を利用して容易に分離できる。例えば、ジアステレオマーは典型的に、クロマトグラフィーによって、又は溶解度の差異に基づく分離/分割技術によって、分離できる。化合物の立体異性体をラセミ混合物から分割するために使用され得る技術のより詳細な説明は、Jean Jacques,Andre Collet,and Samuel H.Wilen,Enantiomers,Racemates and Resolutions,John Wiley & Sons,Inc.(1981)中に見出すことができる。
【0377】
ジアステレオマーは、区別できる物性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの非類似性を利用して容易に分離できる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって、又は好ましくは、溶解度の差異に基づく分離/分割技術によって、分離できる。次いで、光学的に純粋なエナンチオマーが、ラセミ化を生じない任意の実際的手段によって、分割剤と共に回収される。化合物の立体異性体をラセミ混合物から分割するために適用可能な技術のより詳細な説明は、Jean Jacques,Andre Collet,and Samuel H.Wilen,Enantiomers,Racemates and Resolutions,John Wiley & Sons,Inc.(1981)中に見出すことができる。
【0378】
キラル成分は、当業者に公知の種々の技術のいずれかを使用して、分離及び精製できる。例えば、キラル成分は、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を使用して精製できる。1つの特定の変形において、キラル分析用SFC/MS分析は、Berger FCM 1100/1200超臨界流体ポンプ及びFCM 1200調節剤(modifier)流体ポンプを有するBerger SFCデュアルポンプ流体制御モジュール、Berger TCM 2000オーブン並びにAlcott 718オートサンプラーからなるBerger分析用SFCシステム(AutoChem,Newark,DE)を使用して実施される。この一体型システムは、BI−SFC Chemstationソフトウェアバージョン3.4によって制御できる。検出は、ESIインターフェース及びスキャン範囲200〜800Da(1スキャン当たり0.5秒)を用い、ポジティブモードで操作したWaters ZQ 2000検出器で達成できる。クロマトグラフィーによる分離は、調節剤として10〜40%メタノールを用い、酢酸アンモニウム(10mM)有り又は無しで、ChiralPak AD−H、ChiralPak AS−H、ChiralCel OD−H又はChiralCel OJ−Hカラム(5μ, 4.6x250mm;Chiral Technologies,Inc.West Chester,PA)で実施できる。種々の流速のいずれも(例えば、100バールに設定した入口圧力で、1.5又は3.5mL/分を含む)が利用され得る。さらに、種々のサンプル注入条件(例えば、メタノール中0.1mg/mLの濃度で、5又は10μLのいずれかのサンプル注入を含む)が使用され得る。
【0379】
別の変形において、分取キラル分離は、Berger MultiGram II SFC精製システムを使用して実施される。例えば、サンプルは、ChiralPak ADカラム(21x250mm、10μ)上にロードされ得る。特定の変形では、分離のための流速は70mL/分であり得、注入体積は2mLまでであり得、入口圧力は130バールに設定され得る。積み重ねられた注入が、効率を増大させるために適用され得る。
【0380】
上記反応スキーム及びその変形に基づく本発明に従う特定の化合物の合成の説明は、実施例の項目に示されている。
【0381】
本発明の化合物の生物活性のアッセイ
ASK1に対する本発明の化合物の阻害効果は、種々の結合アッセイ及び機能アッセイによって評価され得る。
【0382】
アッセイのためのASK1タンパク質は、標準的なPCRクローニング及びベクター中での発現によって調製され得る。実施例Aは、この酵素を調製するかかる方法を開示している。しかし、ASK1がMilliporeから市販されていることに留意すべきである(カタログ番号14−606)。
【0383】
ASK1に対する本発明の化合物の阻害効果は、試験化合物の存在有り又は無しで、既知の基質に対するこの酵素のリン酸化活性を評価することによって、評価され得る。実施例Bは、ミエリン塩基性タンパク質(Wako)が基質として使用され、検出がシンチレーションカウントによって実施されるかかるアッセイを提供する。他の基質及び検出機構が使用され得ることを理解すべきである。市販のキットCisbio’s HTRF(登録商標)KinEASETM STKキットは、ASK1活性を評価するために有用であることが示されている。このアッセイは、ビオチン化キナーゼ基質上のASK1のリン酸化生成物をマークするために、抗リン酸化セリン特異的なEu3+−クリプテート標識化抗体を使用し、検出は、XL665標識化ストレプトアビジンを使用した時間分解蛍光による。蛍光強度は、生成物形成の量に比例する。実施例Cは、アッセイプロトコルを提供する。
【0384】
選択された本発明の化合物のIC50値は、実施例Bに記載したアッセイを使用して測定した。例示的化合物のいくつかは、1μMより大きいIC50を有することが示され、他のいくつかは約1μM未満であり、他の大半の化合物は、約0.1μM未満のIC50値を有することが示された。選択された本発明の化合物のIC50値は表1に示す。
【0385】
本発明の精神からも範囲からも逸脱することなしに、種々の改変及び変形が本発明の化合物、組成物、キット及び方法においてなされ得ることは、当業者に明らかであろう。従って、本発明は、本発明の改変及び変形が添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入る場合は、それらをカバーすることを意図する。
【実施例】
【0386】
実施例1:中間体1I、1M及び1Qの調製
【0387】
【化27】
【0388】
工程A:200mlの丸い密封キャップガラス圧力容器中で、メチル 2−アミノアセテート塩酸塩(8.2g、80mmol)及びジメチルホルムアミドジメチルアセタール(43ml、400mmol)を合わせ、次いでEtN(18ml、160mmol)を添加した。混合物を一晩135℃で加熱した。冷却して丸底フラスコ中に移した後、揮発性物質を、反応混合物から真空中で除去し、ジクロロメタン(100ml)及びジエチルエーテル(50ml)で希釈した。沈殿した塩EtN.HClを濾過し、50mlジクロロメタンで洗浄した。濾液を留去し、ゴム状暗色液体として得られた粗製生成物メチル 3−(ジメチルアミノ)−2−((ジメチルアミノ)メチレンアミノ)アクリレート(1A)を、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0389】
工程B:1B:500mlの丸底フラスコ中で、メチル 3−(ジメチルアミノ)−2−((ジメチルアミノ)メチレンアミノ)アクリレート(1A、24g、120mmol)を、酢酸(60ml)及びTFA(20ml)中に溶解した。1−メチル−1H−ピロール(10.56ml、119mmol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、反応が完了するまで110℃で4時間撹拌した。次いで、揮発性物質を反応混合物から留去し、残渣を氷浴中で冷却した。氷冷飽和KCO溶液(約200ml)をこれにゆっくりと添加した。混合物をEtOAc(3x250ml)で抽出した。次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、留去した。粗製生成物を、ヘキサン−EtOAc(0〜100%)を使用してシリカカラムで精製した。所望の生成物メチル 1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1B、8.5g、38%)が粘性褐色油として得られた。
【0390】
1F:500mlの丸底フラスコ中で、メチル 3−(ジメチルアミノ)−2−((ジメチルアミノ)メチレンアミノ)アクリレート(1A、24g、120mmol)を、酢酸(60ml)及びTFA(20ml)中に溶解した。1−エチル−1H−ピロール(11g、120mmol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、反応が完了するまで110℃で4時間撹拌した。次いで、揮発性物質を反応混合物から留去し、残渣を氷浴中で冷却し、氷冷飽和KCO溶液(約200ml)をこれにゆっくりと添加した。混合物をEtOAc(3x250ml)で抽出した。次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、留去した。粗製生成物を、ヘキサン−EtOAc(0〜100%)を使用してシリカカラムで精製した。所望の生成物1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1F、8.6g、35%)が得られた。H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 1.51(t,J=7.33Hz,2H)2.76(s,3H)4.04(s,2H)4.25(q,J=7.33Hz,1H)7.33(s,1H)8.22(s,1H)8.92(s,1H).
【0391】
1J:500mlの丸底フラスコ中で、メチル 3−(ジメチルアミノ)−2−((ジメチルアミノ)メチレンアミノ)アクリレート(1A、12g、61mmol)を、酢酸(45ml)及びTFA(15ml)中に溶解した。1,3−ジメチル−1H−ピロール(5.8g、61mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌し、次いで110℃で4時間撹拌した。次いで、揮発性物質を反応混合物から留去し、残渣を氷浴中で冷却し、氷冷飽和KCO溶液(約200ml)をこれにゆっくりと添加した。混合物をEtOAc(3x250ml)で抽出した。次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、留去した。粗製生成物を、ヘキサン−EtOAc(0〜100%)を使用してシリカカラムで精製した。所望の生成物メチル 1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1J、6.8g、55%)が得られた。
【0392】
1N:500mlの丸底フラスコ中で、メチル 3−(ジメチルアミノ)−2−((ジメチルアミノ)メチレンアミノ)アクリレート(1A、12g、61mmol)を、酢酸(45ml)及びTFA(15ml)中に溶解した。1−エチル−3−メチル−1H−ピロール(6.7g、61mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌し、次いで110℃で4時間撹拌した。次いで、揮発性物質を反応混合物から留去し、残渣を氷浴中で冷却し、氷冷飽和KCO溶液(約200ml)をこれにゆっくりと添加した。混合物をEtOAc(3x250ml)で抽出した。次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、留去した。粗製生成物を、ヘキサン−EtOAc(0〜100%)を使用してシリカカラムで精製した。純粋な画分を合わせ、留去して、生成物メチル 1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1N、6.1g、収率46%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)d ppm 1.34(t,J=7.20Hz,3H)2.34(d,J=1.01Hz,3H)3.88(s,3H)4.26(q,J=7.24Hz,2H)7.48(d,J=1.01Hz,1H)8.20(d,J=1.01Hz,1H)8.85(d,J=1.01Hz,1H).
【0393】
工程C:1C:500mLのナシフラスコ中で、メタノール(71.0ml)中にメチル 1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1B、14g、71mmol)を添加した。0℃で1N水酸化ナトリウム溶液(140ml、140mmol)を添加した。これを次いで0℃で1時間撹拌したところで、反応が完了した。ブライン(25ml)を添加し、メタノールを真空中で除去した。水性混合物をEtOAcで2回洗浄した。次いで水層をpH4まで酸性化した;得られた沈殿物をフリットガラス漏斗で収集し、窒素流下で一晩乾燥させて、所望の生成物1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(1C、10g、収率83%)をオフホワイトの粉末として得た。これを、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0394】
1G:1Lのナシフラスコ中で、メタノール(99ml)中にメチル 1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1F、16g、79mmol)を添加した。0℃で1N水酸化ナトリウム溶液(200ml、200mmol)を添加した。これを次いで0℃で1時間撹拌した。水を添加し、メタノールを真空中で除去した。水性残渣をEtOAcで2回洗浄し、次いでpH4まで酸性化した。混合物をEtOAcで2回抽出し、次いで水層を真空中で約200mlまで凝縮させ、その後4日間フリーズドライした。1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(1G)を含む得られた粉末を、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0395】
1K:200mlの丸底フラスコ中で、メチル 1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1J、1.9g、9.30mmol)をTHF(20mL)中に溶解し、混合物に2M NaOH(9.30mL、18.61mmol)溶液を添加した。反応を室温で3時間撹拌した。完了後、揮発性物質を除去し、残渣を氷浴中で冷却し、希HClでpH=4.0〜4.5に中和した。沈殿した生成物1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(1K、1.7g、97%)を濾過により収集し、乾燥させ、さらに精製することなしに次の工程で使用した。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 2.40(s,3H)3.95(s,3H)7.69(d,J=1.01Hz,1H)8.42(s,1H)9.02(s,1H).
【0396】
1O:200mlの丸底フラスコ中で、メチル 1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1N、6.0g、28mmol)をTHF(50ml)中に溶解した。混合物に2M NaOH(28ml、55mmol)溶液を添加した。反応を室温で3時間撹拌した。完了後、揮発性物質を除去し、残渣を氷浴中で冷却し、希HClでpH=4.0〜4.5に中和した。水性混合物を酢酸エチル(2x100ml)で洗浄し、次いで凍結乾燥して粗製生成物1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(1O)を得、これを、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0397】
工程D:1D:500mlの丸底フラスコ中で、1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(1B、10g、57mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(16ml、74mmol)及びTEA(10ml、74mmol)を、THF(60ml)中に溶解し、t−BuOH(60ml)を添加し、油浴中85℃で3時間加熱した。揮発性物質を真空中で反応混合物から除去し、残渣を水(150ml)でさらに洗浄し、酢酸エチル(3x150ml)中に抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータベーパー(rotavapor)を使用して濃縮した。残渣を、ヘキサン−酢酸エチル(0〜100%)混合物を用いカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。純粋な生成物画分を収集し、濃縮して、生成物(1D、10.5g、74.8%)を淡黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.49(s,9H)3.73(s,3H)6.48(dd,J=3.16,0.88Hz,1H)7.29(d,J=3.28Hz,2H)7.78(s,1H)8.49(d,J=1.01Hz,1H)9.44(s,1H)
【0398】
1H:500mLのナシフラスコ中で、ジオキサン(90ml)及びt−ブタノール(90ml)中に1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(1G、推定30.4mmol)を添加して、褐色懸濁液を得た。次いでこれにトリエチルアミン(5.5ml、40mmol)を添加し、混合物を次いで85℃に加熱した。7時間後、反応は、最初の2時間で達成された25%の変換からそれほど変化しなかった。さらに4.3mlのジフェニルホスホリルアジド(0.65当量)を次の朝添加し、5時間後には反応は顕著に進行していた。ブラインを添加し、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO2、20〜30%の勾配のEtOAc/ヘキサンで溶出)で精製して、tert−ブチル 1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1H、3.6g、45%)を得た。
【0399】
1L:100mlの密封キャップガラス圧力容器中で、1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(1K、1.7g、9.0mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(2.1ml、9.8mmol)及びTEA(2.5ml、18mmol)をTHF(10ml)中に溶解した。この混合物に、t−BuOH(10ml)を添加し、キャップを密封し、混合物を油浴中85℃で4時間加熱した。冷却後、混合物をTHFを使用して丸底フラスコ中に移し、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(0〜100%))を使用して精製した。純粋な生成物画分を収集し、溶媒を留去して、生成物tert−ブチル 1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1L、1.3g、56%)を綿状の白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.49(s,9H)2.25(d,J=1.01Hz,3H)3.66(s,3H)7.02(d,J=1.01Hz,1H)7.59−7.78(m,1H)8.43(d,J=1.01Hz,1H)9.40(s,1H).
【0400】
1P:50mlの密封キャップガラス容器中で、1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(1O、1.75g、8.57mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(2.408ml、11.14mmol)及びTEA(2.389ml、17.14mmol)を、THF(比率:1.000、体積:6.00ml)中に溶解し、t−BuOH(比率:1.000、体積:6ml)を添加し、キャップを密封し、油浴中85℃で2時間加熱した。次いで、THFを使用して丸底フラスコ中に移し、反応混合物を留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル混合物)を使用して精製した。純粋な生成物画分を収集し、濃縮して、生成物tert−ブチル 1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1P、0.9g、収率38%)を綿状の白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.32(t,J=7.20Hz,3H)1.49(s,9H)2.26(d,J=1.26Hz,3H)4.06(q,J=7.24Hz,2H)7.10(d,J=1.01Hz,1H)7.73(s,1H)8.33−8.51(m,1H)9.49(br.s.,1H).
【0401】
工程E:1I:200mLのナシフラスコ中で、ジクロロメタン(20ml)中にtert−ブチル 1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1H、1g、3.83mmol)を添加した。0℃で、TFA(5ml)を添加し、混合物を冷蔵庫中に一晩保存し、その後、反応は、UPLC分析によれば完了していた。次いで混合物を真空中で濃縮した。残渣にトルエンを添加し、混合物を真空中でもう一度濃縮した;この手順をもう一度繰り返し、その後残渣をEtOで粉砕して、所望の生成物1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−アミン1IのTFA塩を赤紫色固体として得、次いでこれを、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0402】
1M:125mlの丸底フラスコ中で、tert−ブチル 1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1L、0.7g、2.7mmol)を4N HCl(15ml)中に溶解し、室温で3時間続けた。完了後、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、所望の生成物1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−アミン1MのHCl塩を含む残渣を、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0403】
1Q:125mlの丸底フラスコ中で、tert−ブチル 1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1P、0.65g、2.4mmol)を4N HCl(15ml)中に溶解し、室温で3時間続けた。完了後、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、所望の生成物1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−アミン1QのHCl塩を含む残渣を、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0404】
実施例2:中間体2C及び2Dの調製
【0405】
【化28】
【0406】
工程A:2A tert−ブチル 1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1.0g、4.6mmol)のDMF(20ml)中混合物に、水素化ナトリウム(油中60%)(0.4g、10mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。この混合物に、(ブロモメチル)シクロプロパン(1.2g、9.2mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応混合物をEtOAc/HOで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:EtOAc=50:50)で精製して、tert−ブチル 1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(2A、1.1g、4.0mmol、収率88%)を黄色油として得た。H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 0.16−0.23(m,2H)0.44−0.51(m,2H)0.99−1.11(m,1H)1.48(s,9H)3.84(d,J=7.07Hz,2H)6.45−6.47(m,1H)7.19(d,J=3.03Hz,1H)7.96(s,1H)8.79(s,1H).
【0407】
工程B:2B DCM(5ml)及びTFA(5ml)中のtert−ブチル 1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(2A、1.1g、4.0mmol)の混合物を、50℃で15時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して、1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(2B、0.9g、4.0mmol)を褐色油として得た。この物質を、さらに精製することなしに次の反応で使用した。ESI−MS:m/z 217.1(M+H)
【0408】
工程C:2C ジフェニルホスホリルアジド(1.7g、6.2mmol)、EtN(2.9ml、21mmol)及び1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(2B、0.9g、4.0mmol)の2−メチルプロパン−2−オール(10g、140mmol)中混合物を、室温で1時間、及び80℃で3時間撹拌した。混合物をEtOAct/H2Oで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:EtOAc=50:50)で精製して、tert−ブチル 1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(2C、300mg、収率25%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 0.35−0.44(m,2H)0.57−0.70(m,2H)1.19−1.33(m,1H)1.57(s,9H)3.97(d,J=6.82Hz,2H)6.52−6.54(m,1H)7.19(d,J=3.28Hz,1H)7.59(br.s.,1H)7.93(s,1H)8.56(d,J=1.01Hz,1H).
【0409】
工程D:2D tert−ブチル 1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(2C、260mg、0.91mmol)の、ジオキサン中4MのHCl(3ml)中の混合物を、室温で15時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、ピリジン(3ml、37mmol)中に溶解した。混合物に、メチル 4−(クロロカルボニル)ベンゾアート(270mg、1.4mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。混合物をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(NH−SiO、EtOAc)で精製して、メチル 4−(1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(2D、270mg、0.77mmol、収率85%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.39−0.47(m,2H)0.50−0.59(m,2H)1.17−1.33(m,1H)3.89(s,3H)4.06(d,J=7.07Hz,2H)6.57−6.59(m,1H)7.52(d,J=3.28Hz,1H)8.03−8.09(m,2H)8.14−8.19(m,2H)8.34(s,1H)8.65(s,1H)10.86(s,1H).ESI−MS:m/z 350.0(M+H)
【0410】
実施例3:中間体3D及び3Hの調製
【0411】
【化29】
【0412】
工程A:3A DCM(5ml)中のメチル 1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1F、700mg、3.43mmol)の氷冷溶液に、NBS(610mg、3.43mmol)を添加した。反応混合物を室温で10分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、クロマトグラフィー(SiO、EtOAc)で精製して、メチル 3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(3A、950mg、3.36mmol、収率98%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 1.52(t,J=7.33Hz,3H)4.04(s,3H)4.25(q,J=7.33Hz,2H)7.33(s,1H)8.22(d,J=0.76Hz,1H)8.92(d,J=1.01Hz,1H).
【0413】
3E 125mlの丸底フラスコ中で、メチル 1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1B、6.0g、31.5mmol)をCHCl(20ml)中に溶解し、混合物を氷浴中で0℃に冷却した。次いで、N−ブロモスクシンイミド(5.6g、32mmol)をこの反応混合物にゆっくりと添加し、撹拌を30分間続けて、反応の完了を確実にした。次いで、溶液を留去し、残渣をジクロロメタン(2x150ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、留去して、生成物メチル 3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(3E、8.4g、99%)を褐色固体として得た。
【0414】
工程B:3B EtOH(10ml)及び1N NaOH(10ml)中のメチル 3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(3A、3.0g、11mmol)の混合物を、80℃で5日間撹拌した。反応混合物を1N HClで酸性化し、真空中で濃縮し、乾燥させて、3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(3B、2.8g、10mmol、収率98%)を淡褐色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.42(t,J=7.20Hz,3H)4.49(q,J=7.33Hz,2H)8.35(s,1H)8.65(s,1H)8.91(s,1H).
【0415】
3F 200mlの丸底フラスコ中で、メチル 3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(3E、8.5g、32mmol)をTHF(50ml)中に溶解し、NaOH(32ml、63mmol)溶液を混合物に添加し、撹拌を室温で一晩続けた。もう1当量の塩基を添加し、混合物を水浴中で温め、反応を完了させた。揮発性物質を真空中で除去し、残渣を氷浴中で冷却し、希HClでpH4.0〜4.5に中和した。沈殿した生成物を濾過により収集して、生成物3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(3F、7.3g、91%)を得た。
【0416】
工程C:3C ジフェニルホスホリルアジド(4.3g、16mmol)、EtN(7.3ml、52mmol)及び3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(3B、2.8g、10mmol)のDMF(30ml)中混合物を、0℃で1時間撹拌した。混合物をEtOAc/HOで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をトルエン(30ml)中に溶解し、2−メチルプロパン−2−オール(3.9g、52mmol)を添加した。混合物を70℃で2時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、クロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:EtOAc=1:1)で精製して、tert−ブチル 3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(3C、340mg、0.99mmol、収率9.5%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.35(t,J=7.20Hz,3H)1.49(s,9H)4.14(q,J=7.33Hz,2H)7.60(s,1H)7.83(d,J=0.76Hz,1H)8.36(d,J=0.76Hz,1H)9.59(s,1H).
【0417】
3G 50mlの密封キャップガラス容器中で、3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(3F、4.0g、15.68mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(3.73ml、17.25mmol)及びTEA(4.37ml、31.4mmol)を、THF(15ml)及びt−BuOH(15ml)中に溶解した。容器を密封し、油浴中85℃で2時間加熱した。THFを用いて丸底フラスコ中に移し、混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc混合物)を使用して精製した。純粋な生成物画分を収集し、真空中で濃縮して、生成物tert−ブチル 3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(3G、1.3g、24%)を綿状の白色固体として得た。
【0418】
工程D:3D ジオキサン中4MのHCl(3ml)中のtert−ブチル 3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(3C、340mg、0.99mmol)の混合物を、室温で1時間及び70℃で2時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、ピリジン(3ml)中に溶解した。混合物に、メチル 4−(クロロカルボニル)ベンゾアート(220mg、1.1mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。混合物をEtOAc/HOで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、混合物を真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(ベーシック−SiO2、ヘキサン:EtOAc=3:1)で精製して、メチル 4−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(3D、350mg、0.87mmol、収率87%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.40(t,J=1.00Hz,3H)3.90(s,3H)4.21(q,J=7.16Hz,2H)7.72(s,1H)7.99−8.11(m,2H)8.11−8.20(m,2H)8.35(d,J=0.76Hz,1H)8.52(d,J=1.01Hz,1H)10.96(s,1H).
【0419】
3H 125mlの丸底フラスコ中で、tert−ブチル 3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(3G、0.6g、1.839mmol)を4N HCl(15ml)中に溶解し、混合物を室温で3時間撹拌した。完了後、揮発性物質を留去し、混合物をDMA(10ml)中に再溶解した。これにメチル 4−(クロロカルボニル)ベンゾアート(0.44g、2.2mmol)を添加し、混合物を50℃で5時間撹拌した。反応を氷水中に注いだ。沈殿した生成物を収集し、乾燥させて、生成物メチル 4−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(3H、0.6g、84%)を得た。少量の脱臭素化生成物が観察された。
【0420】
実施例4:中間体4A、4Bの調製
【0421】
【化30】
【0422】
4A 125mlの丸底フラスコ中で、tert−ブチル 1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1P、0.65g、2.4mmol)を4N HCl(15ml)中に溶解し、撹拌を室温で3時間続けた。完了後、揮発性物質を反応混合物から留去した。残渣をDMA(10ml)中に再溶解し、メチル 4−(クロロカルボニル)ベンゾアート(0.56g、2.8mmol)を添加した。反応を50℃で3時間継続し、次いで反応混合物を氷水中に注いだ。沈殿した生成物メチル 4−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(4A、630mg、78%)を収集し、乾燥させ、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0423】
4B 125mlの丸底フラスコ中で、tert−ブチル 1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1L、0.7g、2.7mmol)を4N HCl(15ml)中に溶解し、撹拌を室温で3時間続けた。完了後、揮発性物質を反応混合物から留去した。残渣をDMA(10ml)中に再溶解し、メチル 4−(クロロカルボニル)ベンゾアート(0.638g、3.21mmol)を添加した。反応を50℃で3時間継続し、次いで反応混合物を氷水中に注いだ。沈殿した生成物メチル 4−(1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(4B、800mg、92%)を収集し、乾燥させ、さらに精製することなしに次の工程で使用した。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 2.35(d,J=1.26Hz,1H)3.88(t,J=12.63Hz,7H)8.05(s,4H)8.08−8.20(m,2H)8.29(d,J=8.59Hz,1H)
【0424】
4C 500mlの丸底フラスコ中で、tert−ブチル 1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(1D、11g、43mmol)を4N HCl(75ml)中に溶解し、混合物を室温で3時間撹拌した。完了後、揮発性物質を反応混合物から留去し、残渣をDMA(10ml)中に再溶解した。これにメチル 4−(クロロカルボニル)ベンゾアート(10g、51mmol)を添加し、混合物を50℃で5日間撹拌した。次いで、反応混合物を氷水中に注ぎ、沈殿物を濾過により収集し、乾燥させて生成物を得た。これをさらに精製することなしに使用する。
【0425】
実施例5:中間体5Aの調製
【0426】
【化31】
【0427】
5A:50mLのナシフラスコ中で、ピリジン(200ml)中に1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−アミン、TFA(1I、5.2g、19mmol)を添加した。0℃で4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンゾイルクロリド(3.8g、21mmol)を添加した。15分後、水素化ナトリウム(0.53g、13mmol)を添加し、反応を室温で4時間撹拌した。0℃で、さらに0.55当量の4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンゾイルクロリドを添加し、反応混合物を室温でもう15時間撹拌した。反応を、0℃で飽和NaHCOを添加することでクエンチし、30分間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、残渣を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。次いで、粗製混合物を順相カラムクロマトグラフィー(SiO、溶出20−50%EtOAc)で精製して、所望の生成物N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(5A、4.7g、15mmol、収率81%)を得た。H NMR(DMSO−d)δ:10.61(s,4H),8.64(s,4H),8.32(s,4H),8.04−8.10(m,9H),7.62−7.67(m,9H),7.47(d,J=3.3Hz,4H),6.57(dd,J=3.2,0.9Hz,5H),5.58(s,4H),5.23(t,J=1.4Hz,4H),4.21(q,J=7.2Hz,9H),2.16(d,J=0.5Hz,13H),1.39(t,J=7.2Hz,3H);m.p.125−8℃.
【0428】
実施例6:中間体6A及び6Bの調製
【0429】
【化32】
【0430】
6A 50mlの丸底フラスコ中で、4−(プロプ−1−エン−2−イル)安息香酸(580mg、3.6mmol)を15mlトルエン中に溶解し、ジクロロメタン中2.0Mの塩化オキサリル(3.6ml、7.2mmol)をゆっくりと添加した。撹拌を3時間続け、次いで揮発性物質を反応混合物から留去した。残渣に5mlトルエンを添加し、混合物を真空中で濃縮し、残留水を共沸により除去した。次いで残渣をDMA(12ml)中に溶解し、3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−アミン(400mg、1.8mmol)を添加した。撹拌を50℃でもう3時間続けた。次いで混合物を次いで混合物を氷水中に注いだ。沈殿物を収集し、乾燥させて、生成物N−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(6A、440mg、67%)を得た。これをさらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0431】
6B 50mlの丸底フラスコ中で、4−(プロプ−1−エン−2−イル)安息香酸(1.0g、6.3mmol)を、15mlトルエン中に溶解し、ジクロロメタン中2.0Mの二塩化オキサリル(6.3ml、13mmol)をゆっくりと添加した。撹拌を3時間続け、次いで揮発性物質を反応混合物から留去した。残渣に5mlトルエンを添加し、混合物を真空中で濃縮し、残留水を共沸により除去した。次いで残渣をDMA(10ml)中に溶解し、1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−アミン(1Q、550mg、3.14mmol)を添加した。撹拌を50℃で一晩続けた。次いで混合物を氷水中に注いだ。沈殿物を収集し、乾燥させて、生成物N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(6B、820mg、82%)を得た。これをさらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0432】
実施例7:中間体7の調製
【0433】
【化33】
【0434】
工程A:7A 2Lの丸底フラスコ中で、1,2−ジクロロエタン(240ml)中に酢酸銅(II)(8.9g、49mmol)及び2,2’−ビピリジン(7.8g、49mmol)を添加した。これを70℃に加熱した。1,2−ジクロロエタン(240ml)中に6−クロロ−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン(15g、98mmol)及びシクロプロピルボロン酸(17g、200mmol)を個別に懸濁した。第1の加熱混合物に炭酸ナトリウム(21g、200mmol)を添加し、その後第2の混合物を添加したところ、得られた混合物は緑色から暗赤色に変わった。混合物を70℃で一晩加熱した。次の日、変換は約50%であり、もう0.25当量のCu(OAc)2(4.5g)、0.25当量のBiPy(3.9g)及び1.0当量のシクロプロピルボロン酸(8.5g)を添加した。混合物を70℃で12時間撹拌し続けた。室温まで冷却した後、250mlブライン及び250ml EtOAcを添加した。層分離し、水層をEtOAcで2回抽出した(2x150ml)。銅塩を有機層から濾過し、次いでこれを硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を粘性黒色油として得た。MeOH中に溶解し、粗製生成物をシリカ上にロードし、その後シリカカラムクロマトグラフィーを行った。収集した画分をプールし、濃縮して、ビピリジンを含む粘性黄色油を得た。この油に、100ml EtOAc及び100ml飽和CuSO水溶液を添加した。層分離し、水層を分離して、青色の銅塩を除去した。次いで濾液をEtOAcで2回抽出した(2x50ml)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、生成物6−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン(7A、11g、57%)を淡黄色固体として得た。
【0435】
工程B:7B 500mlの圧力容器中に、6−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン(7A、6.2g、32mmol)、4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(6.2g、39mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.29g、1.3mmol)及び2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−3,4,5,6−テトラメチル−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(2.2g、3.9mmol)を添加した。次いで、すり潰した第三リン酸カリウム(15g、45mmol)を添加し、その後1,4−ジオキサン(130ml)及びt−ブタノール(32ml)を添加した。容器を窒素で30分間パージし、その後密封して、130℃で24時間加熱した。冷却後、250mlの水及び250ml EtOAcを連続して添加した。層分離し、水層をもう1度200ml EtOAcで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を、ヘキサン中のEtOAc(10〜40%)で溶出する順相カラムクロマトグラフィーで精製した。生成物含有画分を合わせ、濃縮して、生成物N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(7B、約4.2g、41%)を黄色固体として得た。
【0436】
実施例8:中間体8の調製
【0437】
【化34】
【0438】
工程A:8A tert−ブチル 1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(1.0g、4.6mmol)のDMF(20ml)中混合物に、水素化ナトリウム(油中60%)(0.41g、10mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。混合物に、(クロロメチル)(メチル)スルファン(0.89g、9.2mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応混合物をEtOAc/HOで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:EtOAc=50:50)で精製して、tert−ブチル 1−(メチルチオメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(8A、920mg、3.3mmol、収率72%)を黄色油として得た。H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 1.61(s,9H)1.94(s,3H)5.15(s,2H)6.64(d,J=3.28Hz,1H)7.34(d,J=3.28Hz,1H)8.15(s,1H)8.93(d,J=1.01Hz,1H).
【0439】
工程B:8B tert−ブチル 1−(メチルチオメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(8A、920mg、3.3mmol)及びオキソン(4.2g、6.8mmol)のMeOH:HO=1:1(20ml)中混合物を、室温で2時間撹拌した。混合物をEtOAc:HOで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(SiO、EtOAc)で精製して、tert−ブチル 1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(8B、820mg、収率80%)を無色非晶質として得た。H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 1.70(s,9H)2.75(s,3H)5.40(s,2H)6.88(dd,J=3.41,0.88Hz,1H)7.50(d,J=3.54Hz,1H)8.21(s,1H)9.09(d,J=1.01Hz,1H).
【0440】
工程C:8C DCM(5ml)及びTFA(5ml)中のtert−ブチル 1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボキシレート(8B、820mg、2.7mmol)の混合物を、50℃で15時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して、1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(8C、650mg、2.6mmol、収率97%)を褐色油として得た。この物質を、さらに精製することなしに次の反応で使用した。ESI−MS:m/z 255.1(M+H)
【0441】
工程D:8D ジフェニルホスホリルアジド(1.1g、3.8mmol)、EtN(1.8ml、13mmol)及び1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−カルボン酸(8C、650mg、2.6mmol)の2−メチルプロパン−2−オール(10g、140mmol)中混合物を、室温で1時間撹拌し、次いで80℃で3時間撹拌した。混合物をEtOAc/HOで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:EtOAc=50:50)で精製して、tert−ブチル 1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(8D、410mg、1.3mmol、収率50%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δ ppm 0.35−0.44(m,2H)0.57−0.70(m,2H)1.19−1.33(m,1H)1.57(s,9H)3.97(d,J=6.82Hz,2H)6.52−6.54(m,1H)7.19(d,J=3.28Hz,1H)7.59(br.s.,1H)7.93(s,1H)8.56(d,J=1.01Hz,1H).
【0442】
工程E:8E ジオキサン中4MのHCl(3ml)中のtert−ブチル 1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバメート(8D、420mg、1.3mmol)の混合物を、50℃で3時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、得られた残渣をピリジン(3ml、37.1mmol)中に溶解した。混合物に、メチル 4−(クロロカルボニル)ベンゾアート(385mg、1.936mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。混合物をEtOAc/HOで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、混合物を真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(NH−SiO、EtOAc)で精製して、メチル 4−(1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(8E、160mg、0.40mmol、収率31%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 3.02(s,3H)3.90(s,3H)5.88(s,2H)6.73(d,J=2.78Hz,1H)7.49(d,J=3.28Hz,1H)8.01−8.12(m,2H)8.12−8.19(m,2H)8.46(s,1H)8.70(s,1H)10.93(s,1H).
【0443】
実施例9:N−(1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0444】
【化35】
【0445】
THF(5ml)中のメチル 4−(1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(2D、270mg、0.773mmol)の氷冷溶液に、3MメチルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.288ml、3.86mmol)を添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。混合物をEtOAc/HOで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(NH−SiO、EtOAc)で精製した。混合物を真空中で濃縮して、表題化合物N−(1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(110mg、0.32mmol、収率40%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.39−0.45(m,2H)0.51−0.58(m,2H)1.20−1.31(m,1H)1.46(s,6H)4.05(d,J=7.07Hz,2H)5.16(s,1H)6.57(d,J=3.03Hz,1H)7.50(d,J=3.28Hz,1H)7.59(d,J=8.59Hz,2H)8.01(d,J=8.59Hz,2H)8.35(s,1H)8.63(d,J=1.01Hz,1H)10.51(s,1H);m.p156−157℃.
【0446】
実施例10:N−(3−ブロモ−1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0447】
【化36】
【0448】
N−(1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(実施例9、75mg、0.215mmol)のDCM(4ml)中氷冷溶液に、NBS(38.2mg、0.215mmol)を添加した。反応混合物を50℃で1時間撹拌し、次いでクロマトグラフィー(NH−SiO2、EtOAc)に供した。画分を真空中で濃縮し、分取HPLCで精製して、表題化合物N−(3−ブロモ−1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(60mg、0.14mmol、収率65%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.40−0.48(m,2H)0.52−0.59(m,2H)1.20−1.32(m,1H)1.46(s,6H)4.05(d,J=7.07Hz,2H)5.17(s,1H)7.59(d,J=8.59Hz,2H)7.74(s,1H)8.02(d,J=8.59Hz,2H)8.40(s,1H)8.51(s,1H)10.69(s,1H);m.p.193−194℃.
【0449】
実施例11:N−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0450】
【化37】
【0451】
メチル 4−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(3D、300mg、0.75mmol)のTHF(5ml)中氷冷溶液に、THF中3MのMeMgBr溶液(2.5ml、7.5mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。混合物を飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をEtOAcから結晶化して、表題化合物N−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(290mg、0.72mmol、収率97%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.40(t,J=14.40Hz,3H)1.47(s,6H)4.22(q,J=7.07Hz,2H)5.13(s,1H)7.60(d,J=8.34Hz,2H)7.71(s,1H)8.02(d,J=8.34Hz,2H)8.37(d,J=0.76Hz,1H)8.51(s,1H)10.63(s,1H);mp209−210℃.
【0452】
実施例12:N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0453】
【化38】
【0454】
50mlの丸底フラスコ中で、メチル 4−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(4A、530mg、1.571mmol)をTHF(体積:12ml)中に溶解し、溶液を氷浴中で0℃に冷却した。次いで、メチルマグネシウムブロミド(2.6ml、7.9mmol、エーテル中3M溶液)を滴下した。次いで混合物を室温まで1時間温めた。次いで反応を飽和NHCl溶液で0℃でクエンチし、混合物をEtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(TFAモード、20〜55%)を使用して精製した。純粋な画分を留去して最少量にし、飽和NaHCOで塩基性化した。混合物をEtOAc(2x75ml)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、表題生成物(12、160mg、30%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.36(t,J=7.20Hz,3H)1.46(s,5H)2.30(d,J=0.76Hz,3H)3.29(s,1H)4.12(q,J=7.24Hz,2H)5.12(s,1H)7.19(d,J=1.01Hz,1H)7.59(m,J=8.59Hz,2H)8.01(m,J=8.34Hz,2H)8.16−8.32(m,1H)8.57(s,1H)10.44(s,1H);m.p.198−200℃.
【0455】
実施例13:(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド
【0456】
【化39】
【0457】
300mLの丸底フラスコ中で、t−ブタノール(77ml)中にN−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(4.7g、15mmol)及びメタンスルホンアミド(5A、1.5g、15mmol)を添加した。これに0℃で水(77ml)及びAD−mixβ(27g)を添加した。これを、氷浴中で徐々に温めながら一晩激しく撹拌した。UPLCにより、所望の生成物への完全な変換が示された。この混合物に、亜硫酸ナトリウム(2.4g、19mmol)を添加し、これを室温で30分間撹拌した。反応混合物をブラインと酢酸エチルとの間で分配し、水層を酢酸エチルでもう一度抽出した。合わせた有機層を2N NaOHで2回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をEtOAc及びエーテルから再結晶化して、表題生成物(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(13、3.8g、11mmol、収率73%)を淡黄色固体として得た。H NMR(DMSO−d)δ:10.52(s,1H),8.63(s,1H),8.32(s,1H),8.02(s,2H),7.58(d,J=8.3Hz,2H),7.47(d,J=3.3Hz,1H),6.57(dd,J=3.3,0.8Hz,1H),5.05(s,1H),4.77(t,J=5.8Hz,1H),4.21(q,J=7.2Hz,2H),3.46(dd,J=5.7,2.4Hz,2H),1.43(s,4H),1.36−1.42(m,3H);ESI−MS:m/z 340(M+H)
【0458】
実施例14:(R)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0459】
【化40】
【0460】
200mLのナシフラスコ中で、無水DMF(45ml)中に(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(13、3.2g、7.1mmol)を添加して、褐色懸濁液を得た。室温でN−クロロスクシンイミド(0.94g、7.1mmol)を添加し、混合物を60℃で4時間加熱した。さらに0.2当量のN−クロロスクシンイミドを室温で添加した。さらに1.5時間60℃で加熱した後、混合物を室温まで冷却した。ブラインを添加し、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、沈殿物が形成されるまで濃縮した。エーテルを添加し、赤色固体をフリットフィルタ上で収集し、一方で濾液を濃縮した。次いでこの油をカラムクロマトグラフィー(SiO、75〜100%EtOAc/ヘキサン+0.25%MeOH)で精製した。生成物含有画分を合わせ、濃縮した。残渣を先に収集した赤色固体と合わせて、混合物を熱EtOAc/メタノール混合物中に再縣濁した。冷却後、かなり明るい色の固体を、窒素下フリットガラスフィルタ上で収集し、EtOで洗浄して着色不純物のほとんどを除去して、表題化合物(R)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(14、1.7g、収率64%)を明るいピンク色の固体として得た。H NMR(DMSO−d6)d:10.68(s,1H),8.60(s,1H),8.38(s,1H),8.01(d,J=8.3Hz,2H),7.69(s,1H),7.58(d,J=8.6Hz,2H),5.05(s,1H),4.76(t,J=5.8Hz,1H),4.19(q,J=7.2Hz,2H),3.40−3.50(m,2H),1.42(s,3H),1.38(t,J=7.3Hz,3H);ESI−MS:m/z 374(M+H);m.p.224.4−225.1℃
【0461】
実施例15:N−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0462】
【化41】
【0463】
125mlの丸底フラスコ中で、メチル 4−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(3H、400mg、1.0mmol)をTHF(体積:20ml)中に溶解し、混合物を氷浴中で0℃に冷却した。メチルマグネシウムブロミド(1.7ml、5.2mmol)のエーテル中3M溶液を滴下した。混合物を室温にし、撹拌を2時間続けた。反応を飽和NHCl溶液で0℃でクエンチし、混合物をEtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。生成物を分取HPLC(TFA−15〜65%で溶出)を使用して精製した。純粋な画分を留去して最少量にし、飽和NaHCOで塩基性化した。水性混合物をEtOAc(2x75ml)で抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、表題化合物(15、80%、320mg)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)d ppm 1.46(s,6H)3.80(s,3H)5.13(s,1H)7.51−7.69(m,3H)8.02(d,J=8.08Hz,2H)8.34(s,1H)8.50(s,1H)10.62(br.s.,1H).
【0464】
実施例16:(R)−N−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0465】
【化42】
【0466】
50mlのナシフラスコ中で、t−ブタノール(5ml)中にN−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(6A、400mg、1.1mmol)及びメタンスルホンアミド(100mg、1.1mmol)を添加して、黄色溶液を得た。水(5ml)を添加した後、混合物を0℃に冷却し、次いでAD−mixβ(1.9g)を添加した。オレンジ色の二相性混合物を徐々に温めながら氷浴中に一晩維持した。次いで、反応を亜硫酸ナトリウム(180mg、1.4mmol)で0℃でクエンチした。15分後、ブライン及びEtOAcを添加し、層分離した;水層をEtOAcでもう一度抽出した。合わせた有機物を2N KOH溶液で、次いでブラインで洗浄し、その後MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(TFA−15〜65%)法で精製した。純粋な画分を収集し、最少量まで濃縮した。残渣を凍結乾燥して、表題化合物(R)−N−(3−ブロモ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(16、52mg、収率11.3%)を得、TFA塩として登録した。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.43(s,3H)3.46(d,J=2.78Hz,2H)3.83(s,3H)4.06(d,J=8.84Hz,1H)4.23(d,J=8.84Hz,1H)7.62(d,J=8.59Hz,2H)7.77(s,1H)8.01(d,J=8.59Hz,2H)8.23(s,1H)8.62(s,1H)10.92(s,1H);ESI−MS:m/z 406(M+H)
【0467】
実施例17:(R)−N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0468】
【化43】
【0469】
1リットルの丸底フラスコ中で、N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(7B、8.3g、26mmol)及びメタンスルホンアミド(2.5g、26mmol)をt−BuOH(130ml)に添加し、混合物を氷浴中で冷却した。水(130ml)及びAD−mix−β(46g)を添加し、二相性のオレンジ色溶液を得た。反応を氷浴中で3.5時間撹拌し、この時点で反応は完了し、亜硫酸ナトリウム(4.29g、34.0mmol)で氷浴中30分間クエンチした。ブライン(200ml)を添加し、混合物をEtOAc(2x200ml)で抽出した。合わせた有機層を2N KOH(100ml)で1回、その後ブライン(100ml)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、半固体を得た。粗製生成物をシリカゲルカラム上にロードし、ヘキサン中10〜40%EtOAcで溶出した。しかし、生成物はあまり可溶性ではなく、ほとんどがカラムの上部から回収された。回収された固体をEtOAcで洗浄し、濾過により収集して、生成物(R)−N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(17)をオフホワイトの固体として得た。濾液を濃縮し、固体残渣をEtOAcで洗浄し、フィルタ上で収集して、さらに0.91gの17をオフホワイトの固体として得た。固体を合わせ(4.9g、53%)、次の工程で使用した。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.94−1.02(m,2H)1.07−1.14(m,2H)1.43(s,3H)3.42−3.51(m,3H)4.71(t,J=5.81Hz,1H)4.99(s,1H)6.51(dd,J=3.28,1.01Hz,1H)7.37(d,J=3.28Hz,1H)7.55−7.62(m,2H)8.01(d,J=8.59Hz,2H)8.46(t,J=1.01Hz,1H)8.60(d,J=1.01Hz,1H)10.45(s,1H);ESI−MS:m/z 352(M+H);90.8% ee.
【0470】
実施例18:(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド
【0471】
【化44】
【0472】
50mLのナシフラスコ中で、t−ブタノール(12ml)中にN−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(6B、640mg、2.0mmol)及びメタンスルホンアミド(190mg、2.0mmol)を添加して、黄色溶液を得た。水(12ml)を添加した後、混合物を0℃に冷却し、次いでAD−mixβ(3.5g)を添加した。オレンジ色の二相性混合物を、一晩徐々に温めながら氷浴中に維持した。反応をクエンチするために、亜硫酸ナトリウム(330mg、2.6mmol)を0℃で添加した。15分後、ブライン及びEtOAcを添加し、層分離した;水層をEtOAcでもう一度抽出した。合わせた有機物を2N KOH溶液で及び次いでブラインで洗浄し、その後NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を、分取逆相HPLC(TFAモード、水中10〜45%ACN)を使用して精製した。純粋な画分を合わせ、最少量まで濃縮し、フリーズドライして、表題化合物(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−3−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(18、58mg、収率8.2%)をTFA塩として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.33−1.46(m,5H)2.27−2.43(m,3H)3.34−3.57(m,2H)4.11−4.36(m,2H)7.53−7.77(m,3H)7.85−8.07(m,3H)8.92(br.s.,1H)11.37(br.s.,1H);ESI−MS:m/z 354(M+H)
【0473】
実施例19:N−(1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0474】
【化45】
【0475】
50mlの丸底フラスコ中で、メチル 4−(1,3−ジメチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(4B、530mg、1.571mmol)をTHF(12ml)中に溶解し、混合物を氷浴中で0℃に冷却した。次いで、メチルマグネシウムブロミド(2.6ml、7.9mmol)のエーテル中3M溶液を滴下した。次いで混合物を室温まで温め、撹拌を2時間続けた。次いで反応を飽和NHCl溶液で0℃でクエンチし、水性物をEtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(TFAモード、20〜55%ACN/HO)で精製した。純粋な画分を濃縮して最少量にし、飽和NaHCO溶液で塩基性化した。水性混合物をEtOAc(2x75ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、表題生成物(19、160mg、20%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.46(s,6H)2.30(s,3H)3.72(s,3H)5.12(s,1H)7.11(s,1H)7.59(m,J=8.34Hz,2H)8.01(m,J=8.34Hz,2H)8.22(s,1H)8.57(s,1H)10.44(s,1H);m.p.196−197℃.
【0476】
実施例20:(R)−N−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0477】
【化46】
【0478】
50mLのナシフラスコ中で、ジクロロメタン(3.7ml)中に(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(13、125mg、0.368mmol)を添加した。0℃で、1−ブロモピロリジン−2,5−ジオン(66mg、0.37mmol)を混合物に添加し、混合物を冷蔵庫中で週末の間維持した。真空中で濃縮後、粗製生成物を分取HPLC(TFAモード、15〜65%ACN/水)で精製した。合わせた画分をNaHCOで中和し、濃縮し、EtOAc中に溶出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。次いで残渣をACN及び水中に再縣濁し、次いでフリーズドライして、所望の生成物(R)−N−(3−ブロモ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(20、10mg、7%)を明るいオレンジ色の粉末として得た。H NMR(DMSO−d6)δ 10.62(s,1H),8.50(s,1H),8.36(s,1H),7.97−8.05(m,2H),7.70(s,1H),7.54−7.61(m,2H),5.00(s,1H),4.71(t,J=5.8Hz,1H),4.21(d,J=7.1Hz,2H),3.46(dd,J=5.8,2.3Hz,2H),1.42(s,4H),1.39(t,J=7.2Hz,3H);ESI−MS:m/z 418(M+H)
【0479】
実施例21:4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド
【0480】
【化47】
【0481】
THF(20ml)中のメチル 4−(1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(8E、160mg、0.40mmol)の氷冷溶液に、3MメチルマグネシウムブロミドTHF溶液(0.67ml、2.0mmol)を添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。混合物をEtOAc/HOで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製混合物をクロマトグラフィー(NH−SiO、EtOAc)に供した。画分を真空中で濃縮し、分取HPLCで精製して、4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−(メチルスルホニルメチル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(21、1.1mg、3.9μmol、収率0.96%)を白色粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.28(s,6H)2.85(s,3H)4.99(s,1H)5.69(s,2H)6.54(s,1H)7.29(s,1H)7.42(d,J=7.58Hz,2H)7.84(d,J=7.07Hz,2H)8.30(s,1H)8.51(s,1H)10.41(br.s.,1H);ESI−MS:m/z 387(M+H)
【0482】
実施例22:(R)−N−(3−ブロモ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0483】
【化48】
【0484】
250mlの丸底フラスコ中で、N,N−ジメチルホルムアミド(31ml)中に(R)−N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(17、3.2g、9.2mmol)を添加した。混合物を氷浴中で冷却し、その後N−ブロモスクシンイミド(1.477g、8.30mmol)を一部づつ添加した。混合物を氷浴中で30分間撹拌したが、この時点では約10%の出発物質が残存していた。もう0.1当量(160mg)のN−ブロモスクシンイミドを反応混合物に添加し、これを氷浴中でもう30分間撹拌した。ブライン(200ml)を添加し、その後EtOAc(2X200mL)で抽出した。有機層を合わせた。乾燥及び濾過後、濃縮により懸濁物を得た。固体をフィルタ上で収集し、次いで10ml EtOAcで洗浄した。得られた2gの濾過された固体を、EtOAc中5〜10%のMeOHで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物含有画分を合わせ、濃縮して固体を得、これをEtOAcで2回(2x10ml)洗浄した。表題化合物(22、0.62g、16%)をピンク色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 0.98−1.04(m,2H)1.05−1.13(m,2H)1.42(s,3H)3.42−3.54(m,3H)4.71(t,J=5.81Hz,1H)4.99(s,1H)7.58(d,J=8.59Hz,2H)7.62(s,1H)8.01(d,J=8.59Hz,2H)8.48(d,J=0.76Hz,2H)8.51(d,J=0.76Hz,2H)10.63(s,1H);ESI−MS:m/z 432(M+H).濾液を合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで再精製することで、追加量の表題化合物が得られた。
【0485】
実施例23:(R)−N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0486】
【化49】
【0487】
100mLの丸底フラスコ中で、N,N−ジメチルホルムアミド(2.8mL)中に(R)−N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(200mg、0.57mmol)を添加して、明るい黄色の溶液を得た。これに室温でN−クロロスクシンイミド(76mg、0.57mmol)を添加し、混合物を60℃に加熱した。4時間後、もう0.1当量のN−クロロスクシンイミドを添加し、混合物をもう1時間加熱した。混合物を直接シリカゲルカラム上にロードし、ヘキサン中20〜70%のEtOAcで溶出して精製した。生成物含有画分を合わせ、溶媒留去によりピンク色がかった固体が形成された。固体を収集し、5ml EtOAcで洗浄して、表題化合物(23、71mg、32%)を明るいピンク色の生成物として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 0.99−1.06(m,2H)1.10(dd,J=7.07,4.55Hz,2H)1.43(s,3H)3.42−3.54(m,3H)4.72(br.s.,1H)5.00(s,1H)7.56−7.62(m,3H)8.02(d,J=8.59Hz,2H)8.52(d,J=0.76Hz,1H)8.56−8.60(m,1H)10.64(s,1H);ESI−MS:m/z 386(M+H)
【0488】
実施例24:N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0489】
【化50】
【0490】
工程A:250mlの丸底フラスコ中で、メチル 4−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イルカルバモイル)ベンゾアート(4C、4.5g、15mmol)をTHF(30ml)中に溶解し、混合物を氷浴中で0℃に冷却した。これに、メチルマグネシウムブロミド(24ml、73mmol)をエーテル中3M溶液として滴下した。混合物を室温まで温め、撹拌を1.5時間続けた。混合物を0℃に冷却し、飽和NHCl溶液でクエンチした。水性混合物をEtOAc(3x250mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた固体をジエチルエーテルで粉砕し、濾過により収集して、所望の生成物4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(2.2g、49%)を得た;m.p.173−175℃。この固体をさらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0491】
工程B:125mlの丸底フラスコ中で、4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(2.8g、9.05mmol)をDMF(25ml)中に溶解した。これにN−クロロスクシンイミド(1.5g、11mmol)を添加し、混合物を50℃で3時間撹拌した。次いで混合物を50mlの水中に注ぎ、次いで酢酸エチル(3x100ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を分取HPLC(RFA−モード:水中25〜55%ACNで溶出)で精製した。所望のモノ塩素化生成物を含む画分を合わせ、濃縮した。残渣に飽和NaHCOを添加し、水性混合物を酢酸エチル(2x100ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物(840mg、収率27%)を黄褐色として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.25−1.26(m,1H)1.46(s,139H)3.66−3.86(m,3H)5.17(s,1H)7.40−7.69(m,3H)8.01(d,J=8.59Hz,2H)8.34(s,1H)8.59(s,1H)10.68(s,1H)
【0492】
実施例25:N−(2,3−ジクロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0493】
【化51】
【0494】
表題化合物は、実施例24の合成で副産物として得られた。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 1.46(s,5H)3.76(s,3H)5.17(s,1H)7.59(m,J=8.34Hz,2H)8.01(m,J=8.34Hz,2H)8.37(s,1H)8.58(br.s.,1H)10.74(s,1H)
【0495】
実施例26:(S)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0496】
【化52】
【0497】
50mLのナシフラスコ中で、DMF(2ml)中に(S)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(92mg、0.27mmol)を添加して溶液を得た。室温で1−クロロピロリジン−2,5−ジオン(36mg、0.27mmol)を添加し、混合物を60℃で4時間加熱した。この時点で反応は失速していたようであった。さらに0.2当量の1−クロロピロリジン−2,5−ジオンを添加し、混合物をもう1時間60℃で加熱した。次いで混合物を冷却し、ブラインとEtOAcとの間で分配した。水層をさらにEtOAcで抽出し、有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いで残渣を熱EtOAcで粉砕し、得られた沈殿物をフリットガラス漏斗上で収集した。次いで、収集した固体をEtOHから再結晶化して、生成物(S)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(23mg、0.062mmol、収率22%)をピンク色固体として得た。H NMR(DMSO−d6)δ 10.68(s,1H),8.60(s,1H),8.37(s,1H),8.02(s,2H),7.69(s,1H),7.59(s,2H),5.05(s,1H),4.76(t,J=5.8Hz,1H),4.19(q,J=7.1Hz,2H),3.40−3.50(m,2H),1.34−1.45(m,6H);m.p.223.0−223.9℃.
【0498】
実施例27:(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−3−メチルベンズアミド
【0499】
【化53】
【0500】
N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−3−メチル−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(100mg、0.31mmol)及びメタンスルホンアミド(30mg、0.31mmol)に、t−BuOH(1.6mL)を添加した。混合物を氷浴中で冷却し、次いで水(1.6mL)及びAD−mix−β(550mg、0.39mmol)を添加して、二相性のオレンジ色の溶液を得た。反応を、ゆっくりと室温まで温めながら一晩0℃で撹拌した。次の日、混合物を再度氷浴中で冷却し、合計500mgのAD−mix−βを添加した。6時間後にさらなる変換は観察されなかった。氷浴中で冷却した反応混合物に、120mgの亜硫酸ナトリウムを添加した。20分間撹拌した後、混合物にブライン(5ml)を入れ、混合物をEtOAc(2x5ml)で抽出した。合わせた有機層を2N KOH(5ml)で1回及び次いでブライン(5ml)で1回洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。H NMR(DMSO−d6)δ:10.47(br.s.,1H),8.65(br.s.,1H),8.29(br.s.,1H),7.81(d,J=8.3Hz,2H),7.56(d,J=8.1Hz,1H),7.48(d,J=3.3Hz,1H),6.58(d,J=3.0Hz,1H),4.91(s,1H),4.76(br.s.,1H),4.16−4.28(m,2H),3.60(br.s.,2H),2.59(s,3H),1.48(s,3H),1.39(t,J=7.2Hz,3H);ESI−MS:m/z 354(M+H)
【0501】
実施例28:N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0502】
【化54】
【0503】
工程A:マイクロ波バイアル中に、6−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン(250mg、1.3mmol)、4−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)ベンズアミド(400mg、1.3mmol)、酢酸パラジウム(II)(44mg、0.20mmol)及び2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−3,4,5,6−テトラメチル−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(90mg、0.156mmol)を添加した。次いでこの混合物に、粉末リン酸カリウム(590mg、1.8mmol)を添加し、その後1,4−ジオキサン(4.3mL)及びt−ブタノール(1.1mL)を添加した。さらに50mgのPd(OAc)を溶液に添加した。バイアルをNでパージした後、混合物を油浴中140℃で一晩加熱した。この暗色混合物に、室温でEtOAc及び水を添加した。混合物を濾過してPdを除去した。次いで二相性濾液を分配し、水相を10mlEtOAcでさらに抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、20〜60%EtOAc/ヘキサン)で精製して、所望の生成物4−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミドを黄色油(40mg)として得た。
【0504】
工程B:4−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−N−(1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(40mg、0.086mmol)に、N,N−ジメチルホルムアミド(0.43mL)を添加して、明るい黄色の溶液を得た。これにNCS(10mg、0.078mmol)を添加し、混合物を60℃で3時間加熱した。水(5ml)を添加し、混合物をEtOAc(2X5ml)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製生成物4−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミドを、さらに精製することなしに次の工程で使用した。
【0505】
工程C:4−(1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−メチルプロパン−2−イル)−N−(3−クロロ−1−シクロプロピル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(20mg、0.040mmol)に、THF(800μl)を添加した。室温で、TBAF(THF中1.0M溶液、50μl)を添加した。混合物を60℃で1時間加熱した。反応完了後、2ml飽和NHClを添加し、混合物をEtOAc(3x2ml)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(TFAモード、水中20〜45%ACN)で精製した。生成物含有画分を合わせ、次いでEtOAcで抽出して残留TBAFを除去して、表題化合物を白色固体として得た(13mg、84%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.98−1.05(m,1H)1.05−1.12(m,1H)1.26(d,J=1.52Hz,7H)3.44−3.55(m,3H)4.77(br.s.,1H)7.50(dd,J=8.59,2.27Hz,2H)7.62(d,J=6.06Hz,1H)7.96−8.05(m,2H)8.34(d,J=1.01Hz,1H)8.51(d,J=1.01Hz,1H)8.61(d,J=1.01Hz,1H)8.57(d,J=0.76Hz,1H)10.64(d,J=9.09Hz,1H);ESI−MS:m/z 384(M+H)
【0506】
実施例29:(S)−N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0507】
【化55】
【0508】
工程A:N−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(900mg、3.1mmol)及びメタンスルホンアミド(290mg、3.1mmol)をt−ブタノール(10ml)中に懸濁した。水(10ml)を添加した後、混合物を0℃に冷却し、次いでAD−mixα(5.4g、3.9mmol)を添加した。オレンジ色の二相性混合物を、一晩徐々に温めながら氷浴中に維持した。反応を亜硫酸ナトリウム(510mg、4.0mmol)で0℃でクエンチした。15分後、ブライン及びEtOAcを添加し、層分離した;水層をEtOAcでもう一度抽出した。合わせた有機層を2N KOH溶液及び次いでブラインで洗浄し、その後MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(TFAモード、水中15〜65%ACN)で精製した。純粋な化合物画分を合わせ、最少量まで濃縮し、次いで飽和NaHCO溶液を添加し、EtOAc(2X100ml)中に抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、留去して、所望の生成物(S)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミドを得た。
【0509】
工程B:(S)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(650mg、2.0mmol)をDMF(25ml)中に溶解し、NCS(270mg、2.0mmol)を混合物に添加し、これを50℃で16時間撹拌した。次いで混合物を50mlの氷水中に注ぎ、酢酸エチル(3x100ml)中に抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(TFAモード、水中15〜50%ACN)で精製した。所望のモノ塩素化生成物を含む画分を合わせ、濃縮し、飽和NaHCO及びブラインで洗浄し、次いで酢酸エチル(2x100ml)中に抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物(S)−N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(120mg、0.32mmol、16%)を褐色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.43(s,2H)2.43−2.64(m,1H)3.46(dd,J=5.56,2.53Hz,2H)3.69−3.84(m,2H)4.76(t,J=5.81Hz,1H)5.04(s,1H)7.40−7.67(m,2H)8.02(d,J=8.59Hz,1H)8.21−8.40(m,1H)8.59(s,1H)10.65(s,1H);ESI−MS:m/z 360(M+H);m.p.210−212℃.
【0510】
実施例30:(S)−N−(2,3−ジクロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0511】
【化56】
【0512】
表題化合物は、実施例29の合成で副産物として得られた。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.43(s,2H)1.44−1.45(m,1H)3.46(d,J=2.53Hz,1H)3.79(s,2H)4.06(d,J=8.84Hz,2H)4.23(d,J=8.84Hz,3H)7.60(d,J=8.59Hz,1H)7.87−8.12(m,1H)8.63(s,1H);ESI−MS:m/z 394(M+H);m.p.205−208℃.
【0513】
実施例31:(R)−N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0514】
【化57】
【0515】
工程A:N−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンズアミド(900mg、3.1mmol)及びメタンスルホンアミド(290mg、3.1mmol)をt−ブタノール(10ml)中に懸濁した。水(10ml)を添加した後、混合物を0℃に冷却し、次いでAD−mixβ(5.4g、3.9mmol)を添加した。オレンジ色の二相性混合物を一晩徐々に温めながら氷浴中に維持した。反応を亜硫酸ナトリウム(510mg、4.0mmol)で0℃でクエンチした。15分後、ブライン及びEtOAcを添加し、層分離した;水層をEtOAcでもう一度抽出した。合わせた有機層を2N KOH溶液及び次いでブラインで洗浄し、その後MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(TFAモード、水中15〜65%ACN)で精製した。純粋な化合物画分を合わせ、最少量まで濃縮し、次いで飽和NaHCO溶液を添加し、EtOAc(2X100ml)中に抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、留去して、所望の生成物(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミドを得た。
【0516】
工程B:(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)ベンズアミド(750mg、2.3mmol)をDMF(20ml)中に溶解し、NCS(310mg、2.3mmol)をそれに添加した。撹拌を50℃で3時間続けた。混合物を50mlの氷水中に注ぎ、酢酸エチル(3x100ml)中に抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(TFAモード、水中15〜50%ACN)で精製した。所望のモノ塩素化生成物を含む画分を合わせ、濃縮し、飽和NaHCO及びブラインで洗浄し、次いで酢酸エチル(2x100ml)中に抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物(R)−N−(3−クロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド(18mg、0.49mmol、21%)を淡黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.42(s,3H)3.45(dd,J=5.81,2.53Hz,2H)3.78(s,2H)4.74(t,J=5.81Hz,1H)5.03(s,1H)7.46−7.69(m,2H)8.01(d,J=8.59Hz,2H)8.34(d,J=0.76Hz,1H)8.59(d,J=0.76Hz,1H)10.64(s,1H);ESI−MS:m/z 360(M+H);m.p.210−212℃.
【0517】
実施例32:(R)−N−(2,3−ジクロロ−1−メチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)ベンズアミド
【0518】
【化58】
【0519】
表題化合物は、実施例31の合成で副産物として得られた。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.43(s,2H)1.44−1.45(m,1H)3.46(d,J=2.53Hz,1H)3.79(s,2H)4.06(d,J=8.84Hz,2H)4.23(d,J=8.84Hz,3H)7.60(d,J=8.59Hz,1H)7.87−8.12(m,1H)8.63(s,1H);ESI−MS:m/z 394(M+H)
【0520】
実施例33:(R)−N−(3−クロロ−1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−3−メチルベンズアミド
【0521】
【化59】
【0522】
(R)−4−(1,2−ジヒドロキシプロパン−2−イル)−N−(1−エチル−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−6−イル)−3−メチルベンズアミド(40mg、0.11mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(0.57mL)中に溶解して、明るい黄色の溶液を得た。次いでNCS(14mg、0.10mmol)を室温で添加した。混合物を60℃で加熱し、3時間後、もう15mgのNCSを添加した。反応は1時間後に完了した。混合物をMeOH(1ml)で希釈し、次いで分取HPLC(ベーシックモード、水中20〜70%ACN)で精製した。生成物含有画分を合わせ、濃縮し、フリーズドライして、表題化合物を黄褐色固体として得た(10mg、23%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.38(t,J=7.20Hz,3H)1.48(s,3H)2.58(s,3H)3.58−3.64(m,2H)4.19(q,J=7.24Hz,2H)4.77(br.s.,1H)4.92(br.s.,1H)7.55(d,J=8.34Hz,1H)7.68(s,1H)7.76−7.88(m,2H)8.36(d,J=0.76Hz,1H)8.59(d,J=1.01Hz,1H)10.58(s,1H);ESI−MS:m/z 388(M+H)
【0523】
実施例A:ASK1タンパク質の調製
ヒトASK1をコードするcDNAのクローニングを、プライマー:5’−AAAAGTCGACATGGACTACAAGGACGACGATGACAAGGTGAACACCATTACCGAAGAGAAGGGGA−3(配列番号1)及び5’−AAAGCGGCCGCTCAAGTCTGTTTGTTTCGAAAGTCAATG−3(配列番号2)を使用するPCRによって、ヒト心臓cDNAライブラリー(Becton,Dickinson and Company)から実施した。PCR産物をアガロースゲル(1%)電気泳動に供し、ASK1遺伝子を含む2.2kbのDNA断片をゲルから回収し、次いで制限酵素NotI及びSalIで消化し、プラスミドpFASTBAC1(Invitrogen)中に挿入して、プラスミドpFB−ASK1を調製した。挿入物はシーケンシングによって確認した。組換えバキュロウイルスを、Bac−to−Bacバキュロウイルス発現系(Invitrogen)の手順に従って調製した。
【0524】
Sf−21細胞を播種して、10%胎仔ウシ血清を含むSf−900 II SFM培地(Invitrogen)100mL中に1x10細胞/mLにし、次いで27℃で24時間培養した。細胞中でASK1を発現させるために、0.15mLの組換えバキュロウイルスウイルスストックを細胞に添加し、次いで60時間培養した。細胞を、3000rpmで10分間の遠心分離によって培養溶液から分離し、PBSで1回洗浄した。細胞を10mLの溶解緩衝液(25mM HEPES(pH7.5)、1% Triton X、130mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、25mM β−グリセロリン酸、プロテアーゼ阻害剤コンプリート(Roche)、1mMバナジン酸ナトリウム)中に懸濁し、ホモジナイザー(POLYTRON)で20000rpmで30秒間の処理4回によって破壊した。活性ASK1タンパク質を、抗FLAG M2 Affinity Gel(Sigma)を使用して、40000rpmで45分間の遠心分離によって得た上清から精製した。
【0525】
実施例B:ASK1に対する本発明の例示的化合物の阻害効果を測定するためのシンチレーションアッセイ
【0526】
DMSO中に溶解した試験化合物(2.5μL)を、30ngの活性ASK1タンパク質及び1μgのミエリン塩基性タンパク質(Wako)を含む反応溶液(25mM HEPES(pH7.5)、10mM酢酸マグネシウム、1mM DTT)37.5μLを含むウェルに添加し、室温で5分間インキュベートした。反応を開始するために、10μLのATP溶液(2.5μM ATP、0.1μCi[γ−32P]ATP)をウェルに添加した。室温で30分間インキュベートした後、50μLの20%TCA溶液を添加して反応を停止させた。反応溶液を4℃で30分間インキュベートし、Cell Harvester(Packard)を用いて酸不溶性画分をGF/Cフィルタ(Packard)上に移し、250mMリン酸で洗浄した。45℃で60分間乾燥した後、40μLのMicroscint 0(Packard)を添加し、放射能をTopCount(Packard)で測定した。キナーゼ活性の50%阻害に必要な試験化合物の濃度(IC50値)を、PRISM 3.0(Graphpad Software)で計算した。
【0527】
実施例C:ASK1に対する本発明の例示的化合物の阻害効果を測定するためのホモジニアス時間分解蛍光(HTRF)アッセイ
組換えヒトASK1はMillipore(カタログ番号14−606)から購入する。ASK1の酵素活性は、HTRF(登録商標)KinEASETM STK S3キット、Universal Assay for Serine/Threonine Kinasesキット(CisBio)を使用して設定する。
【0528】
ASK1に対する化合物の阻害特性は、以下の反応条件下で白色384ウェルプレート形式を使用して決定し得る:25nMASK1、1μM CisBio STK S3−ビオチンペプチド、100μM ATP、並びにキナーゼアッセイ緩衝液(50mM HEPES、pH7.3、10mM NaCl、10mM MgCl、0.01% Brij35、0.2mM EDTA及び1mM DTT)中1%−2% DMSO。反応産物は、検出試薬SA−XL665及びSTK−抗体−クリプテートの添加後に、HTRFで定量的に決定する。
【0529】
アッセイ反応は、以下のように開始し得る:3μM CisBio STK S3−ビオチンペプチド及び300μM ATPの混合物2μlと、3%〜6%DMSOを含む試験化合物(各阻害剤につき11のデータポイントの2倍段階希釈)2μlを、プレートの各ウェルに添加し、その後、2μLの75nM ASK1を添加して反応を開始する(ASK1の最終酵素濃度は25nMであった)。次いで反応混合物を、室温で1時間インキュベートし、Cisbio HTRF検出緩衝液(50mM HEPES、pH7.0、0.1%BSA、0.8M KF及び20mM EDTA)中の100倍希釈したSTK−抗体−クリプテート及び250nM SA−XL665(6μL)によってクエンチし、発色させ得る。蛍光強度を、620nm(クリプテート)及び665nm(XL665)で、室温で1〜2時間のインキュベーション後に測定する。各ウェルについて比率を計算し(665/620)、標準IC50曲線にフィッティングして、阻害定数(IC50)を決定する。
【0530】
実施例D.ASK1に対する本発明の化合物のin vitro IC50
ASK1に対する本発明の化合物の酵素活性を、実施例B及びCに開示したアッセイを使用して決定した。得られたIC50値を表1に報告する。
【0531】
【表2】
図1
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]