(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の容量素子、前記第2の容量素子及び第1の抵抗素子とからなるRC回路の時定数と、前記第3の容量素子、前記第4の容量素子及び第2の抵抗素子とからなるRC回路の時定数との比が1:nである時に、
前記第3の容量素子の容量値と前記第4の容量素子の容量値との比は、1:(1−2−(1−n))/(1+2−(1−n))であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発振器。
【背景技術】
【0002】
様々の電子機器において、正弦波やパルス信号等のような一定の周期と振幅とが連続する信号を生成するために発振器が用いられる。このような発振器は、一般的に半導体装置として集積されている。この発振器には、様々な種類の発振器があるが、その一つとして、特許文献1〜3の発振器のように、抵抗素子と容量素子とからなるRC回路を備えて構成されたRC発振器がある。
【0003】
(発振器100の回路構成)
まず、
図10を参照して、従来技術における一般的な発振器100の回路構成を説明する。
図10に示す発振器100は、他の半導体回路と同じ半導体基板上に集積され、インバータI
1,I
2と、抵抗素子R
1と、容量素子C
1とを備えて構成される。
インバータI
1,I
2は、入力端子から入力された信号の位相を反転させ、出力端子からその信号を出力する反転増幅回路(反転増幅器)である。インバータI
1は、入力端子が容量素子C
1の端子と接続され、出力端子がインバータI
2の入力端子と接続される。インバータI
2は、入力端子がインバータI
1の出力端子と接続され、出力端子が信号出力端子T
OUTと接続される。つまり、複数のインバータI
1,I
2は、互いに直列に接続されている。
【0004】
ここで、容量素子C
1の端子とインバータI
1の入力端子との接続間をノードN
1とし、インバータI
1の出力端子とインバータI
2の入力端子との接続間をノードN
2とし、インバータI
2の出力端子と信号出力端子T
OUTとの間のノードをノードN
3とする。
抵抗素子R
1は、一方の端子がノードN
2に接続され、他方の端子がノードN
1に接続される。抵抗素子R
1は、ノードN
2の信号S
2を、信号S
2と逆相であるノードN
1の信号S
1に帰還させる。
【0005】
容量素子C
1は、一方の端子がノードN
3に接続され、他方の端子がノードN
1に接続される。容量素子C
1は、ノードN
3の信号S
3を、信号S
3と同相である信号S
1に帰還させる。
信号出力端子T
OUTは、生成されたクロック信号S
OUTで動作する各種の半導体回路と接続されたり、半導体装置の外部にある各種の機器と接続される。
なお、例えばインバータI
1,I
2には、図示しない電源線等からこれらを動作させるための各電圧、例えば電源電圧V
DD(V)と接地電圧V
SS=0(V)が供給されている。
【0006】
上記で説明したように、この発振器100は、複数のインバータI
1,I
2が直列に接続されている。従って、ノードN
1の信号S
1とノードN
2の信号S
2とは、逆相であることが言える。又、ノードN
3の信号S
3とノードN
1の信号S
1とは、同相であることが言える。インバータI
1から出力された信号S
2は、容量素子R
1を介してインバータI
1の入力端子側に帰還される。又、最後段であるインバータI
2から出力された信号S
3は、容量素子C
1を介してインバータI
1の入力端子側に帰還される。
【0007】
つまり、発振器100は、抵抗素子R
1と容量素子C
1とから構成されたRC回路101を有しているRC発振器であると言えると共に、インバータI
1,I
2と抵抗素子R
1と容量素子C
1とがリング状に接続されているリング発振器であると言える。従って、発振器100は、抵抗素子R
1の抵抗値r
1と容量素子C
1の容量素子c
1との時定数によって決まる周波数f
Cのクロック信号S
OUTを生成する。そして、発振器100は、最後段であるインバータI
2から出力された信号、すなわちノードN
3の信号S
3をクロック信号S
OUTとして、信号出力端子T
OUTから出力する。なお、ノードN
1の信号S
1をバッファリング回路でバッファリングし、そのバッファリングされた信号をクロック信号として図示しない信号出力端子から出力することもできる。
【0008】
(発振器100の動作)
次に、
図11を参照して、発振器100の動作を説明する。
図11に示すグラフの縦軸は、発振器100のノードN
1〜N
3の各電圧v
1〜v
3を示す。又、横軸は、時間Tを示す。
図11(a)は、発振器100のノードN
1の信号S
1の電圧v
1を示す。
図11(b)は、発振器100のノードN
2,N
3の信号S
2、S
3の電圧v
2,v
3を示す。
まず、
図11(a)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
1(Sec)になると、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、その最高電圧(Hレベル)である電源電圧V
DD(V)と、最低電圧(Lレベル)である接地電圧V
SS=0(V)との中間の電圧、つまりインバータI
1から出力される信号S
2の電圧が反転される閾値電圧V
DD/2(V)になる。
【0009】
この時、
図11(b)のグラフ中に実線に示すように、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)になっている。又、
図11(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、0(V)になっている。
そして、時間Tがt
1(Sec)を過ぎると、
図11(b)のグラフ中に実線に示すように、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)から0(V)に徐々に低くなる。又、
図11(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、0(V)からV
DD(V)に徐々に高くなる。すると、
図11(a)のグラフ中に実線に示すように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD/2(V)から徐々に高くなる。
【0010】
そして、時間Tがt
2(Sec)になると、
図11(b)のグラフ中に実線に示すように、インバータI1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、0(V)になる。又、
図11(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、V
DD(V)になる。すると、
図11(a)のグラフ中に実線に示すように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、最高電圧になる。
【0011】
ここで、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD(V)より電圧V
O(V)だけ高いV
DD+V
O(V)になっている。
そして、
図11(a)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
2(Sec)を過ぎると、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD+V
O(V)からV
DD/2(V)に向かって徐々に低くなる。この時、
図11(a)のグラフ中に示す破線のように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、RC回路101の時定数によって、漸近的に0(V)に近づいていく。従って、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1の時間変化は、
図11のグラフ状で下側に凸である凸曲線になる。
【0012】
そして、
図11(a)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
3(Sec)になると、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD/2(V)になる。
そして、時間Tがt
3(Sec)を過ぎると、
図11(b)のグラフ中に実線に示すように、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、0(V)からV
DD(V)に徐々に高くなる。又、
図11(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、V
DD(V)から0(V)に徐々に低くなる。すると、
図11(a)のグラフ中に実線に示すように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD/2(V)から徐々に低くなる。
【0013】
そして、時間Tがt
4(Sec)になると、
図11(a)のグラフ中に実線に示すように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、最低電圧になる。この時も、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、0(V)より電圧V
O(V)だけ低い−V
O(V)になっている。そして、
図11(b)のグラフ中に実線に示すように、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)になる。又、
図11(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
2の電圧v
3は、0(V)になる。
【0014】
そして、
図11(a)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
4(Sec)を過ぎると、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、−V
O(V)からV
DD/2(V)に向かって徐々に高くなる。この時、
図11(a)のグラフ中に示す破線のように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、RC回路101の時定数によって、漸近的にV
DD(V)に徐々に近づいていく。従って、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1の時間変化は、
図11のグラフ状で上側に凸である凸曲線になる。
【0015】
そして、
図11(a)及び
図11(b)のグラフに示すように、時間Tがt
5(Sec)になると、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、時間Tがt
1(Sec)であった時の電圧と同じ電圧になる。
なお、発振器100により生成されたクロック信号S
OUTの周期T
Cは、時間Tがt
1(Sec)になってからt
3(Sec)になるまでの時間と、時間Tがt
3(Sec)になってからt
5(Sec)になるまでの時間との総和である。このように、発振器100は、上記の動作を繰り返すことで、周期T
Cのクロック信号S
OUTを生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、時間Tがt
2(Sec)になると、本来であればV
DD(V)になるはずであるが、実際にはV
DD(V)をV
O(V)だけ上回っている。又、ノードN
1の電圧v
1は、時間Tがt
4(Sec)になると、本来であれば0(V)になるはずであるが、実際には0(V)を−V
O(V)だけ下回っている。つまり、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD(V)から0(V)までの本来とるべき電圧範囲を越えてしまっている。
【0018】
例えば、インバータI
1の入力側のトランジスタは、ノードN
1の電圧v
1が本来とるべき電圧範囲に基づいて、その耐圧を有するものが用いられている。しかしながら、ノードN
1の電圧v
1が、V
DD(V)から0(V)までの本来とるべき電圧範囲を大きく越えて、インバータI
1の入力端子側に、そのトランジスタの耐圧を超える電圧が入力されてしまう場合がある。すると、インバータI
1のトランジスタが壊れてしまい、発振器100により生成されたクロック信号S
OUTの周波数f
Cが本来の周波数とずれてしまう場合があった。
【0019】
仮に、発振器100を製造する際に、十分に余裕を持たせた耐圧のトランジスタを有するインバータI
1を用いることもできる。しかしながら、その耐圧を超えるような電圧が瞬間的に入力される場合もある。すると、同様にトランジスタが壊れてしまい、発振器100により生成されたクロック信号S
OUTの周波数f
Cが本来の周波数とずれてしまう場合があった。
【0020】
又、インバータの入力端子側に、回路を保護するための保護回路等を用いることも考えられる。しかしながら、保護回路を接続することによって、ノードN
1の電圧v
1が本来の最高電圧又は最低電圧にならないように押さえ込まれたり、保護回路に電流が流れ込んだりする場合がある。発振器100により生成されたクロック信号S
OUTの周期T
Cは、インバータの出力が切り替わった直後のノードN
1の最高電圧又は最低電圧と、その後の時間の経過に伴って変化する電圧v
1とによって決まる。このため、ノードN
1の電圧v
1が所望の最高電圧又は最低電圧にならなかったり、時間の経過に伴って保護回路に流れ込む電流が大きく変化したりする場合がある。すると、発振器100により生成されたクロック信号S
OUTの周波数f
Cが本来の周波数とずれてしまう場合があった。
【0021】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、インバータとの接続点であるノードの最高電圧及び最低電圧が最適な電圧になるようにし、各ノードの電圧の変化によって生じるクロック信号の周波数のずれを抑えることのできる発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明による発振器は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
まず、本発明による第1の発振器は、互いに直列に接続された複数のインバータを備え、前記複数のインバータのうちの任意のインバータに入力された第1の信号と同相である第3の信号を出力するインバータの出力端子と、前記第1の信号を入力するインバータの入力端子との間に接続された第1の容量素子と、前記第1の信号と逆相である第2の信号を出力するインバータの出力端子と、前記第1の信号を入力するインバータの入力端子との間に接続された第2の容量素子と、前記第2の容量素子と並列に接続された第1の抵抗素子と
、一方の端子が前記第3の信号を出力するインバータの出力端子に接続された第3の容量素子と、前記第2の信号を出力するインバータの出力端子と、前記第3の容量素子の他方の端子との間に接続された第4の容量素子と、前記第4の容量素子と並列に接続された第2の抵抗素子とを備え、前記第1の容量素子を介して供給された前記第3の信号と、前記第2の容量素子及び前記第1の抵抗素子を介して供給された前記第2の信号とを合わせた信号を前記第1の信号として帰還させ
、前記第1の信号を第1の基準信号として出力すると共に、前記第3の容量素子を介して供給された前記第3の信号と、前記第4の容量素子及び前記第2の抵抗素子を介して供給された前記第2の信号とを合わせた信号を第2の基準信号として出力することを特徴とする。
【0023】
上記の第1の発振器によれば、第1の容量素子は、第1の信号と同相である第3の信号を第1の信号に帰還させ、第2の容量素子は、第1の信号と逆相である第2の信号を第1の信号に帰還させるようになっている。つまり、第1の容量素子と第2の容量素子と第1の抵抗素子とからRC回路が構成されている。
従って、RC回路を構成している第1の容量素子の容量値と、第2の容量素子の容量値と、第1の抵抗素子の抵抗値とを変更すると、各信号の最高電圧及び最低電圧は任意の電圧になる。このようにして、各ノードの電圧が変化するのを抑えられるため、生成されるクロック信号の周波数のずれを抑えることが可能となる。
また、第1の容量素子、第2の容量素子及び第1の抵抗素子と対になる第3の容量素子、第4の容量素子及び第2の抵抗素子とから別のRC回路が構成されている。
従って、第1の容量素子と、第2の容量素子と、第1の抵抗素子とからなるRC回路と別のRC回路を構成している第3の容量素子の容量値と、第4の容量素子の容量値と、第2の抵抗素子の抵抗値とを変更すると、各信号の最高電圧及び最低電圧は任意の電圧になる。このようにして、各ノードの電圧が変化するのを抑えられるため、生成される一組のクロック信号の周波数のずれを抑えることが可能となる。
【0024】
次に、本発明による第2の発振器は、前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との比は、3:1であることを特徴とする。
上記の第2の発振器によれば、第1の容量素子の容量値と第2の容量素子の容量値との比を3:1とすることで、例えば、最高電圧がV
DD(V)になり、最低電圧が0(V)にすることが可能となる。
【0025】
次に、本発明による第3の発振器は、前記第1〜第3の信号のうちの少なくとも1つの信号の波形を整形する波形整形回路を備えることを特徴とする。
上記の第3の発振器によれば、波形整形回路が、入力された信号を整形して、その信号をクロック信号として出力する。これにより、各ノードの信号をそのままクロック信号として出力せずに、信号を整形してからクロック信号として出力することが可能となる。
【0028】
次に、本発明による第
4の発振器は、前記第1の容量素子、前記第2の容量素子及び第1の抵抗素子とからなるRC回路の時定数と、前記第3の容量素子、前記第4の容量素子及び第2の抵抗素子とからなるRC回路の時定数との比が1:nである時に、前記第3の容量素子の容量値と前記第4の容量素子の容量値との比は、1:(1−2
−(1−n))/(1+2
−(1−n))であることを特徴とする。
【0029】
上記の第
4の発振器によれば、上記の2つのRC回路の時定数の関係がある時に、第3の容量素子の容量値と第4の容量素子の容量値との比を1:(1−2
−(1−n))/(1+2
−(1−n))とすることで、例えば、最高電圧がV
DD(V)になり、最低電圧が0(V)になるような一組のクロック信号を生成することが可能となる。
次に、本発明による第
5の発振器は、前記第1の基準信号及び前記第2の基準信号を入力し、互いに逆相であるノンオーバーラップクロック信号を生成するタイミング生成回路を備えることを特徴とする。
【0030】
上記第
5の発振器によれば、波形整形回路の一例として、タイミング生成回路を用いることで、周波数のずれを抑えた任意のクロック信号を整形することが可能となる。具体的には、タイミング生成回路が、位相が互いに逆相であるノンオーバーラップクロック信号を生成することができる。
次に、本発明による半導体装置は、上記で説明した第1〜第
5のいずれか1つの発振器を少なくとも1つ備えると共に、前記発振器と異なる種類の半導体回路を少なくとも1つ備えることを特徴とする。
上記の半導体装置によれば、上記で説明した第1〜第
5の発振器のいずれか1つの発振器によって生成されたクロック信号を用いて、半導体装置上に同時に集積された半導体回路等を動作させることが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、RC回路部を構成する第1の容量素子の容量値と、第2の容量素子の容量値と、抵抗素子の抵抗値とによって、ノードの最高電圧及び最低電圧が任意の電圧になる。これにより、ノードの電圧を、本来の最高電圧又は最低電圧にすることができ、各ノードの電圧の変化によって生じるクロック信号の周波数のずれを抑えることができる。
さらに、回路を保護するための保護回路等を同時に用いることができ、又、インバータのトランジスタに故障が生じるのを抑えられる。これにより、発振器の動作の安定性が向上し、各ノードの電圧の変化によって生じるクロック信号の周波数のずれを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の好適な実施形態に係る発振器を、各図面を参照して説明する。なお、以下の説明における構成要部のうち、同等の構成要部については、各図面で同じ符号によって示している。
(第1実施形態)
最初に、本発明の第1実施形態に係る発振器10を説明する。
【0034】
(発振器10の回路構成)
では、
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る発振器10の回路構成を説明する。
これより説明する
図1に示す発振器10が少なくとも1つ、半導体装置として半導体基板上に集積されている。さらに発振器10以外の半導体回路が少なくとも1つ、半導体装置として同一の半導体基板上に集積されている。なお、発振器10以外の半導体基板や他の半導体回路等についての説明は、省略する。
【0035】
図1に示す発振器10は、
図10に示した発振器100を構成する素子の他に、容量素子C
2を備えて構成される。
容量素子C
2は、一方の端子がノードN
2に接続され、他方の端子がノードN
1に接続される。上記で説明したように、インバータI
1,I
2は、互いに直列に接続されている。従って、ノードN
2の信号S
2とノードN
1の信号S
1とは、逆相である。又、ノードN
3の信号S
3とノードN
1の信号S
1とは、同相である。このため、容量素子C
2は、ノードN
2の信号S
2を、ノードN
2の信号S
2と逆相であるノードN
1の信号S
1に帰還させる。
【0036】
この発振器10においても、発振器100と同様に、複数のインバータI
1,I
2が互いに直列に接続され、インバータI
1,I
2と抵抗素子R
1と容量素子C
1,C
2によって構成されたリング発振器である。従って、ノードN
2の信号S
2は、抵抗素子R
1を介してノードN
2の信号S
2と逆相であるノードN
1の信号S
1に帰還される。又、ノードN
3の信号S
3は、容量素子C
1を介して同相のノードN
1の信号S1に帰還される。
【0037】
又、発振器10は、抵抗素子R
1と容量素子C
1,C
2とからRC回路11が構成されている。よって、RC回路11の時定数は、抵抗素子R
1の抵抗値r
1と、容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2とによって決まる。そして、発振器10は、その時定数によって決まる周波数f
Cのクロック信号S
OUTを生成する。その際、発振器10は、発振器10のインバータI
1の入力端子側となるノードN
1の信号S
1の最高電圧及び最低電圧が、任意の電圧になるように構成されている。なお、発振器10では、ノードN
3を流れる信号S
3をクロック信号S
OUTとして出力しているが、勿論、別のノードを流れる信号をクロック信号S
OUTとして出力しても良い。なお、ノードN
1の信号S
1をバッファリング回路でバッファリングし、そのバッファリングされた信号をクロック信号として図示しない信号出力端子から出力することもできる。
【0038】
(発振器10の電圧v1の最高電圧及び最低電圧を任意の電圧にする方法)
次に、
図2及び
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る発振器10のインバータI
1の入力端子側となるノードN
1の最高電圧及び最低電圧が、任意の電圧になるようにする方法を説明する。
図2(a)は、発振器10のノードN
2,N
3の信号S
2,S
3の電圧v
2,v
3を示すグラフである。
図2(b)は、発振器10のノードN
1の信号S
1の電圧v
1を示すグラフである。
図2(a)及び
図2(b)の縦軸は各信号S
1〜S
3の電圧v
1〜v
3を示し、横軸は時間Tを示す。
又、
図3(a)は、ノードN
2の電圧v
2を基準とした時、時間Tがt
3(Sec)のときの各ノードの電圧を示す。
図3(b)は、ノードN
2の電圧v
2を基準とした時、時間Tがt
4(Sec)のときの各ノードの電圧を示す。
【0039】
なお、発振器10の動作においても、インバータI
1の入力端子側となるノードN
1の最高電圧をV
DD(V)にし、最低電圧を0(V)にする場合について説明する。
まず、
図2(a)のグラフ中に実線で示すように、時間Tがt
1(Sec)になり、さらにt
2(Sec)になると、ノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)から0(V)に切り替わる。従って、
図2(a)のグラフ中に破線で示すように、ノードN
3の電圧v
3は、0(V)からV
DD(V)に切り替わる。すると、
図2(b)に示すように、ノードN
1の電圧v
1は、0(V)からV
DD(V)に向かって増加する。
【0040】
そして、
図2(a)のグラフ中に実線で示すように、時間Tがt
2(Sec)になってからt
3(Sec)になるまでの間、ノードN
2の電圧v
2は0(V)である。又、
図2(a)のグラフ中に破線で示すように、ノードN
3の電圧v
3がV
DD(V)になる。すると、
図2(b)に示すように、ノードN
1の電圧v
1は、V
DD(V)からV
DD/2(V)に向かって徐々に減少していく。
このように、ノードN
1の電圧v
1を任意の最高電圧まで増加させ、ノードN
1の電圧v
1を任意の最高電圧から徐々に減少させるためには、容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2を所定の値に変更すれば良い。
【0041】
一方で、
図2(a)のグラフ中に実線で示すように、時間Tがt
3(Sec)になり、さらにt
4(Sec)になると、ノードN
2の電圧v
2は、0(V)からV
DD(V)に切り替わる。従って、
図2(a)のグラフ中に破線で示すように、ノードN
3の電圧v
3は、V
DD(V)から0(V)に切り替わる。すると、
図2(b)に示すように、ノードN
1の電圧v
1は、V
DD/2(V)から0(V)に向かって減少する。
【0042】
そして、
図2(a)のグラフ中に実線で示すように、時間Tがt
4(Sec)になってからt
5(Sec)になるまでの間、ノードN
2の電圧v
2はV
DD(V)である。又、
図2(a)のグラフ中に破線で示すように、ノードN
3の電圧v
3が0(V)になる。すると、
図2(b)に示すように、ノードN
1の電圧v
1は、0(V)からV
DD/2(V)に向かって徐々に増加していく。
【0043】
このように、ノードN
1の電圧v
1を任意の最低電圧まで減少させ、ノードN
1の電圧v
1を任意の最低電圧から徐々に増加させるために、容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2を所望の値に変更すれば良い。
上記のようにして、ノードN
1の最高電圧及び最低電圧を、任意の電圧、ここではV
DD(V)、0(V)とする時、
図3(a)及び
図3(b)に示した各ノードの電圧より、時間Tがt
3(Sec)からt
4(Sec)のときのノードN
1の電圧の変位を、下記の数1−1に示す式のように表すことができる。
【0045】
上記の数1−1に示す式から、容量素子C
1の容量値c
1と容量素子C
2の容量値c
2との関係は、下記の数1−2に示す式のように表すことができる。
【0047】
上記の数1−2に示す式を展開すると、下記の数1−3に示す式のように表すことができる。
【0049】
つまり、容量素子C
1の容量値c
1と、容量素子C
2の容量値c
2の容量値との比は、3:1になる。このような時、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の最高電圧をV
DD(V)にすることができると共に、最低電圧が0(V)にすることができる。つまり、容量素子C
1の容量値c
1と、容量素子C
2の容量値c
2とによって、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の信号S
1の最高電圧及び最低電圧を任意の電圧にすることができる。
【0050】
なお、容量素子C
1の容量値c
1と、容量素子C
2の容量値c
2とは、ノードN
2の電圧v
2を基準とした時であって時間Tがt
3(Sec)からt
4(Sec)のときのノードN
1の電圧の変位を考慮して求めたが、時間Tがt
1(Sec)からt
2(Sec)のときから求めても同様の結果が得られる。
又、発振器10により生成されるクロック信号S
OUTの周期T
Cは、RC回路11の抵抗素子R
1の抵抗値r
1と容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2との時定数によって決まる。従って、時間Tがt(Sec)の時のノードN
1の電圧v1(t)を下記の数1−4に示す式のように表すことができる。
【0052】
又、ノードN
1の電圧v1は、時刻t=0でV
DD(V)ならば、発振器10により生成されるクロック信号S
OUTの周期T
Cの半分の時間、つまりT
C/2(Sec)で、V
DD/2(V)になる。このため、下記の数1−4に示す式を、下記の数1−5に示す式のように表すことができる。
【0054】
ノードN
1の電圧v
1を、上記の数1−5に示す式のように表すことができる時に、発振器10により生成されるクロック信号S
OUTの周期T
Cを、下記の数1−6に示す式のように表すことができる。
【0056】
上記の数1−3に示した式で説明したように、容量素子C
1の容量値c
1と、容量素子C
2の容量値c
2の容量値との比は、3:1である。このため、上記の数1−6に示す式に数1−3に示した式を代入し、その式を展開する。すると、発振器10により生成されるクロック信号S
OUTの周期T
Cを、数1−7に示す式のように表すことができる。
【0058】
よって、発振器10により生成されるクロック信号S
OUTの周期T
Cについても、抵抗素子R
1の抵抗値r
1と容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2とによって決まることがわかる。
上記で説明したように、発振器10のノードv
1の信号S
1の最高電圧がV
DD(V)になると共に、最低電圧が0(V)になるように、RC回路11の容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2を決めることができる。勿論、ノードv
1の信号S
1の最高電圧及び最低電圧は任意の電圧で良いため、上記で説明したようにRC回路11の容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2を変更すれば良い。
【0059】
(発振器10の動作)
続いて、
図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る発振器10の動作を説明する。
図4(a)は、発振器10のノードN
1の信号S
1の電圧v
1を示す。
図4(b)は、発振器10のノードN
2,N
3の各信号の電圧v
2,v
3を示す。
図4(a)及び
図4(b)に示すグラフの縦軸は発振器10のノードN
1〜N
3の電圧v
1〜v
3を示し、又横軸は時間Tを示す。
まず、
図4(b)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
1(Sec)である時に、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)である。又、
図4(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、0(V)である。
図4(a)に示すように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD/2(V)である。
【0060】
そして、
図4(b)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
1(Sec)からt
2(Sec)になると、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)から0(V)に切り替わる。従って、
図4(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、0(V)からV
DD(V)に切り替わる。すると、
図4(a)に示すように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD/2(V)からV
DD(V)に向かって徐々に高くなる。
【0061】
そして、
図4(b)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
2(Sec)になった時に、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、0(V)になる。従って、
図4(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、V
DD(V)になる。すると、
図4(a)に示すように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、最高電圧であるV
DD(V)になる。背景技術で説明したように、発振器100によりクロック信号S
OUTを生成する動作では、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の信号S
1の最高電圧は、V
DD(V)より電圧V
O(V)だけ高くなっていた。ところが、発振器10によりクロック信号S
OUTを生成する動作では、上記で説明したように容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2によって、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の信号S
1の最高電圧が、丁度V
DD(V)になる。このため、発振器10によりクロック信号S
OUTを生成する動作では、ノードN
1の信号S
1の最高電圧がV
DD(V)を上回ることがない。
【0062】
そして、
図4(a)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
2(Sec)を過ぎると、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、V
DD(V)からV
DD/2(V)に向かって徐々に低くなる。この時、
図4(a)のグラフ中に示す破線のように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、RC回路11の時定数によって、漸近的に0(V)に近づき、下側が凸になる凸曲線をたどりながら徐々に低くなっていく。
【0063】
そして、
図4(b)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
3(Sec)からt
4(Sec)になると、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)になる。従って、
図4(b)のグラフ中に波線に示すように、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、0(V)になる。すると、
図4(a)に示すように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、最低電圧である0(V)になる。背景技術で説明したように、発振器100によりクロック信号S
OUTを生成する動作では、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、0(V)より電圧V
O(V)だけ低くなっていた。ところが、発振器10では、容量素子C
1,C
2の容量値c
1,c
2によって、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の信号S1の最低電圧が、0(V)になる。このため、発振器10によりクロック信号S
OUTを生成する動作では、ノードN
1の信号S
1の最低電圧が0(V)を下回ることがない。
【0064】
そして、
図4(a)のグラフ中に実線に示すように、時間Tがt
4(Sec)を過ぎると、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、0(V)からV
DD/2(V)に向かって徐々に高くなっていく。この時、
図4(a)のグラフ中に示す破線のように、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1は、RC回路11の時定数によって、漸近的にV
DD(V)に近づき、上側が凸になる凸曲線をたどりながら徐々に高くなっていく。
【0065】
そして、
図4(a)及び
図4(b)のグラフに示すように、時間Tがt
5(Sec)になった時に、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の電圧v
1、インバータI
1の出力端子側であるノードN
2の電圧v
2、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、時間Tがt
1(Sec)であった時と同じ電圧に戻る。
なお、上記で説明した発振器10により生成されたクロック信号S
OUTの周期T
Cについても、発振器100と同様に、RC回路11の時定数によって決まる。クロック信号の周期T
Cは、時間Tがt
1(Sec)になってからt
3(Sec)になるまでの時間T
C/2(Sec)と、時間Tがt
3(Sec)になってからt
5(Sec)になるまでの時間T
C/2(Sec)との総和である。このように、発振器100は、上記の動作を繰り返しながらクロック信号S
OUTを生成する。
【0066】
(発振器10のまとめ)
上記で説明したように、第1実施形態に係る発振器10は、容量素子C
1の容量値c
1と、容量素子C
2の容量値c
2の容量値によって、インバータI
1の入力端子側であるノードN
1の信号S
1の最高電圧及び最低電圧を任意に電圧にすることができる。
【0067】
(第2実施形態)
上記で説明した第1の実施形態に係る発振器10は、任意のノードの信号をクロック信号として、そのまま出力するものであった。しかしながら、信号を整形した上で、その信号をクロック信号として出力することもできる。そこで、信号を整形するための波形整形回路を用いて構成される発振器を説明する。
【0068】
(発振器20の回路構成)
まず、
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る発振器20の回路構成を説明する。
図5に示す発振器20は、
図1に示した発振器10を構成する素子の他に、抵抗素子R
2と、容量素子C
3,C
4とを備えて構成される。
抵抗素子R
2は、一方の端子がノードN
2に接続され、他方の端子がノードN
4に接続される。抵抗素子R
2は、抵抗素子R
1と同様に一方の端子がノードN
2に接続され、接続関係の上で抵抗素子R
1と対になるように接続されている。但し、抵抗素子R
2は、抵抗素子R
1のようにノードN
4の信号S
4を、ノードN
1の信号S
1に帰還させない。
【0069】
容量素子C
3は、一方の端子がノードN
3に接続され、他方の端子がノードN
4に接続される。容量素子C
3は、容量素子C
1と同様に一方の端子がノードN
3に接続されており、回路構成上、容量素子C
1と対になるように接続されている。但し、容量素子C
3は、容量素子C
1のようにノードN
4の信号S
4を、ノードN
1の信号S
1に帰還させない。
容量素子C
4は、一方の端子がノードN
2に接続され、他方の端子がノードN
4に接続される。容量素子C
4は、容量素子C
2と同様に一方の端子がノードN
2に接続され、回路構成上、容量素子C
2と対になるように接続されている。但し、容量素子C
4は、容量素子C
2のようにノードN
4の信号S
4を、ノードN
1の信号S
1に帰還させない。
【0070】
さらに、発振器20は、タイミング生成回路30を備えて構成される。この発振器20は、ノードN
1,N
4と信号出力端子T
OUT+,T
OUT−とが直接接続されておらず、タイミング生成回路30を介して接続されている。このタイミング生成回路30は、各ノードの信号の波形を整形するための波形整形回路の一つである。なお、タイミング生成回路30は、波形整形回路31と、AND演算回路L
1と、NOR演算回路L
2とを備えて構成される。
【0071】
波形整形回路31は、インバータI
3,I
4を備えて構成される。インバータI
3,I
4は、インバータI
1,I
2と同様に、入力端子から入力された信号の位相を反転させる反転増幅回路である。インバータI
3は、入力端子がノードN
4に接続され、出力端子がAND演算回路L
1の2つの入力端子のうちの一方の入力端子に接続される。インバータI
4は、入力端子がノードN
1に接続され、出力端子がNOR演算回路L
2の2つの入力端子のうちの一方の入力端子に接続される。
【0072】
AND演算回路L
1は、一方の入力端子がノードN
5に接続され、他方の入力端子がノードN
6に接続され、出力端子が信号出力端子T
OUT+に接続される。AND演算回路L
1は、2つの入力端子から入力された信号S
5,S
6の電圧v
5,v
6に基づいてAND演算を行う。そして、AND演算回路L
1は、その演算結果に応じた電圧V
OUT+の信号を、クロック信号S
OUT+として出力端子T
OUT+から出力する。
【0073】
NOR演算回路L
2は、一方の入力端子がノードN
5に接続され、他方の入力端子がノードN
6に接続され、出力端子が信号出力端子T
OUT−に接続される。NOR演算回路L
2は、2つの入力端子から入力された信号S
5,S
6の電圧v
5,v
6に基づいてNOR演算を行う。NOR演算回路L
2は、その演算結果に応じた電圧V
OUT−の信号を、クロック信号S
OUT−として出力端子T
OUT−から出力する。
【0074】
この発振器20は、発振器10と同様に、抵抗素子R
1と容量素子C
1,C
2との各素子によって、ノードN
2の信号S
2とノードN
3の信号S
3とを、ノードN
1の信号S
1に帰還させている。一方で、発振器20は、抵抗素子R
1と容量素子C
1,C
2に対応する抵抗素子R
2と容量素子C
3,C
4との各素子を備えているが、抵抗素子R
2と容量素子C
3,C
4との各素子によっては、ノードN
2の信号S
2とノードN
3の信号S
3とを、ノードN
1の信号S
1に帰還させていない。その代わりに、発振器20は、ノードN
4の信号S
4をタイミング生成回路30に出力している。
【0075】
そして、タイミング生成回路30は、共に同相であるノードN
1の信号S
1と、ノードN
4の信号S
4とを入力し、周期が信号S
1及び信号S
4の周期と共に同じであって、位相が互いに逆相である一対のノンオーバーラップのクロック信号S
OUT+,S
OUT−を生成する。なお、発振器20では、ノンオーバーラップのクロック信号S
OUT+,S
OUT−を生成させるために、ノードN
1の信号S
1を第1の基準信号としてタイミング生成回路30に出力し、ノードN
4の信号S
4を第2の基準信号としてタイミング生成回路30に出力している。
【0076】
勿論、波形整形回路は、第1実施形態に係る発振器10のノードN
1〜N
3の信号S
1〜S
3のうちの少なくとも1つの信号を入力し、入力された信号の波形を整形して所望の波形を生成するような回路であれば良い。例えば、ノードN
1の信号S
1又はノードN
4の信号S
4と、それらと逆相であるノードN
3の信号S
3とをタイミング生成回路30に入力させて、タイミング生成回路30でノンオーバーラップのクロック信号S
OUT+,S
OUT−を生成するように、発振器20を構成しても良い。又、タイミング生成回路30の代わりに、バッファ回路等を波形整形回路として用いることで、共に同相であるクロック信号を生成するように、発振器20を構成することもできる。
【0077】
(発振器20の信号S
4の最高電圧及び最低電圧を任意の電圧にする方法)
次に、
図6及び
図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る発振器20のノードN
4の信号S
4の最高電圧及び最低電圧が、任意の電圧になるようにする方法を説明する。
図6は、発振器20のノードN
1〜N
3の信号S
1〜S
3の電圧v
1〜v
3を示すグラフである。
図6(a)及び
図6(b)に示すグラフの縦軸は各信号S
1〜S
3の電圧v
1〜v
3を示し、横軸は時間Tを示す。
図7(a)は、ノードN
4の電圧v
4を基準とした時、時間Tがt
3(Sec)のときの各ノードの電圧を示す。
図3(b)は、ノードN
2の電圧v
2を基準とした時、時間Tがt
4(Sec)のときの各ノードの電圧を示す。
【0078】
なお、発振器20によりクロック信号S
OUT+,S
OUT−を生成する動作においても、発振器10によりクロック信号S
OUTを生成する動作と同様に、ノードN
4の信号S
4の電圧v4の最高電圧をV
DD(V)にし、最低電圧を0(V)にする場合について説明する。
まず、
図6(a)のグラフ中に実線で示すように、時間Tがt
2(Sec)になってからt
3(Sec)になるまでの間、ノードN
2の電圧v
2は0(V)である。従って、
図6(a)のグラフ中に破線で示すように、ノードN
3の電圧v
3がV
DD(V)になる。すると、
図6(b)に示すように、時間Tがt
2(Sec)になってからt
3´(Sec)になるまでの間、ノードN
4の電圧v
4は、V
DD(V)からV
DD/2(V)に向かって徐々に減少していく。さらに、時間Tがt
3´(Sec)になってからt
3(Sec)になるまでの間(クロック信号S
OUT+,S
OUT−のノンオーバーラップ区間である時間T
N(Sec))、ノードN
4の電圧v
4は、V
DD(V)からV
DD×2
-1/n(V)に向かって徐々に減少していく。
【0079】
このように、時間Tがt
2(Sec)になってからt
3´(Sec)になるまでの間で、ノードN
4の電圧v
4を、所望の最高電圧から徐々に減少させる場合には、容量素子C
3,C
4の容量値c
3,c
4を変更すれば良い。
一方で、
図6(a)のグラフ中に実線で示すように、時間Tがt
3(Sec)になると、ノードN
2の電圧v
2は、0(V)からV
DD(V)に切り替わる。従って、
図6(a)のグラフ中に破線で示すように、ノードN
3の電圧v
3は、V
DD(V)から0(V)に切り替わる。すると、
図6(b)に示すように、ノードN
4の電圧v
4は、V
DD×2
-1/n(V)から0(V)に向かって徐々に減少していく。
【0080】
このように、ノードN4の電圧v
4の所望の最低電圧まで減少させるために、容量素子C
3,C
4の容量値c
3,c
4を変更すれば良い。
上記のようにして、ノードN
4の電圧v
4の最高電圧及び最低電圧を任意の電圧にすると共に、最高電圧と最低電圧との中間の電圧になるタイミングを時間T
N(Sec)だけずらす時を考える。
時間tに対するノードN
4の電圧v
4(t)を、下記の数2−1に示す式のように表すことができる。
【0082】
ここで、抵抗素子R
2の抵抗値をr
2とし、容量素子C
3,C
4の容量値をc
3,c
4とする。そして、時間Tがt
3´(Sec)、つまりT
C/2(Sec)になる時間T
N(Sec)前の電圧v
4(T
C/2−T
N)は、V
DD/2(V)である。すると、電圧v
4(T
C/2−T
N)を、下記の数2−2に示すように表すことができる。
【0084】
さらに、上記の数2−2に示した式は、下記の数2−3に示すように展開することができる。
【0086】
従って、時間T
N(Sec)を、下記の数2−4に示すように表すことができる。
【0088】
ここで、上記で説明した数1−7に示した式のように、抵抗素子R
1の抵抗値をr
1とし、容量素子C
1,C
2の容量値を3c
2,c
2として表わす。すると、ノードN
4の信号S
4の周期T
Cは、T
C=8c
2r
1In2になる。よって、時間T
N(Sec)を、下記の数2−5に示すように展開することができる。
【0090】
ここで、抵抗素子R
2と容量素子C
3,C
4とからなるRC回路21の時定数を、抵抗素子R
1と容量素子C
1,C
2とからなるRC回路11の時定数のn倍とする。すると、時間T
N(Sec)を、下記の数2−6に示す式のように表すことができる。
【0092】
なお、上記の数2−6に示した式の変数nは、1以下の値である。
上記で説明したように、発振器10のノードv
4の信号S
4の時間T
N(Sec)を、RC回路11の時定数とRC回路21の時定数との比1:nと、ノードN
1の信号S
1の周期T
Cとの関係によって、任意の時間にすることができる。勿論、ノードv
4の信号S
4の時間T
N(Sec)は任意の時間で良いため、上記で説明したようにRC回路の各容量素子の容量値を変更すれば良い。
又、時間Tがt
3(Sec)である時、つまりT
C/2(Sec)である時の電圧v4(T
C/2)は、下記の数2−7に示す式のように表すことができる。
【0094】
さらに、
図7(a)及び
図7(b)に示した各ノードの電圧より、時間Tがt
3(Sec)からt
4(Sec)のときのノードN
4の電圧の変位を、下記の数2−8に示す式のように表すことができる。
【0096】
上記の数2−8に示した式から、容量素子C
3の容量値c
3と容量素子C
4の容量値c
4との関係を、下記の数2−9に示す式のように表すことができる。
【0098】
そして、上記の数2−9に示した式を、下記の数2−10に示す式のように展開することができる。
【0100】
つまり、容量素子C
3の容量値c
3と、容量素子C
4の容量値c
4の容量値との比は、1:(1−2
-(1/n))/(1+2
-(1/n))であることがわかる。さらに、容量素子C
3の容量値c
3と容量素子C
1の容量値c
1との間の関係を、下記の数2−11に示す式のように表すことができる。
【0102】
従って、容量素子C
3の容量値c
3を、下記の数2−12に示す式のように表すことができる。
【0104】
同時に、容量素子C
4の容量値c
4を、下記の数2−13に示す式のように表すことができる。
【0106】
上記で説明したように、抵抗素子R
1,R
2の抵抗値r
1,r
2と、容量素子C
1〜C
4の容量値c
1〜c
4を変更することによって、時間T
N(Sec)だけずらして、ノードN
1,N
4の信号S
1,S
4の最高電圧をV
DD(V)にすることができる。同時に、時間T
N(Sec)だけずらして、ノードN
1,N
4の信号S
1,S
4の最低電圧を0(V)にすることができる。
【0107】
上記で説明したことをまとめると、発振器20においては、発振器10と同様に、容量素子C
1の容量値c
1とC
2の容量値c
2との比を3:1にする。さらに、容量素子C
3の容量値c
3とC
4の容量値c
4との比を、(1−2
-(1/n))/(1+2
-(1/n)):1にする。すると、時間T
N(Sec)だけずらして、ノードN
1の信号S
1の最高電圧をV
DD(V)にし、最低電圧を0(V)にすることができる。
なお、さらに、抵抗素子R
1の抵抗値r
1と、抵抗素子R
2の抵抗値r
2との比を例えば10:9と変更することで、ノードN
1を流れる信号S
1とノードN
4を流れる信号S
4との周波数を変えずに、僅かに位相を変えることもできる。
【0108】
(発振器20の動作)
続いて、
図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る発振器20の動作を説明する。
図8(a)は、発振器10のノードN
1,N
4の信号S
1,S
4の電圧v
1,v
4を示す。
図8(b)は、発振器10のノードN
2,N
3の信号S
2,S
3の電圧v
2,v
3を示す。
図8(c)は、発振器10のノードN
5,N
6の信号S
5,S
6の電圧v
5,v
6を示す。
図8(d)は、発振器10の信号出力端子T
OUT+,T
OUT−から出力されたクロック信号S
OUT+,S
OUT−の電圧V
OUT+,V
OUT−を示す。
図8(a)〜(d)のグラフの縦軸は各信号の電圧を示し、横軸は時間Tを示している。なお、
図8(a)及び
図8(b)のグラフに示すノードN
1〜N
3の電圧v
1〜v
3の変化については、第1実施形態に係る発振器10のノードN
1〜N
3の電圧v
1〜v
3の変化と基本的に同じであるため、説明を省略する。
【0109】
まず、各時間TにおけるインバータI
2の入力端子側であるノードN
2の電圧v
2の変化を説明する。
図8(b)に示すように、時間Tがt
1(Sec)になると、インバータI
2の入力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、0(V)からV
DD(V)に切り替わる。従って、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、V
DD(V)から0(V)に切り替わる。
すると、
図8(a)に示すように、ノードN
4の電圧v
4は、抵抗素子R
2と容量素子C
3,C
4とからなるRC回路21の時定数によって、V
DD/2(V)より高い電圧から最高電圧であるV
DD(V)に向かって徐々に高くなる。
【0110】
次に、
図8(b)に示すように、時間Tがt
2(Sec)になると、インバータI2の入力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)になる。従って、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、0(V)になる。
すると、
図8(a)に示すように、ノードN
4の電圧v
4は、抵抗素子R
2と容量素子C
3,C
4とからなるRC回路21の時定数によって、V
DD(V)からV
DD/2(V)に向かって徐々に低くなる。この時、ノードN
4の電圧v
4は、漸近的に0(V)に徐々に近づき、下側が凸になる凸曲線をたどるようにして低くなっていく。
【0111】
そして、時間Tがt
3´(Sec)になると、ノードN
4の電圧v4はV
DD/2(V)になる。この時、ノードN
1の電圧v
1は、まだV
DD/2(V)になっていない。
次に、
図8(a)に示すように、時間Tがt
3´(Sec)になってから、さらに時間T
N(Sec)だけ経過したt
3(Sec)になるまでの間、ノードN4の電圧v
4は、抵抗素子R
2と容量素子C
3,C
4とからなるRC回路21の時定数によって、漸近的に0(V)に徐々に近づくと共に、下側が凸になる凸曲線をたどるようにして、さらに低くなっていく。
【0112】
次に、
図8(b)に示すように、時間Tがt
3(Sec)になると、インバータI
2の入力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)から0(V)に切り替わる。従って、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、0(V)からV
DD(V)に切り替わる。
すると、
図8(a)に示すように、ノードN
1の電圧v
1は、V
DD/2(V)になる。又、ノードN
4の電圧v
4は、V
DD/2(V)より低い電圧から最低電圧である0(V)に向かって徐々に低くなる。
【0113】
次に、
図8(b)に示すように、時間Tがt
4(Sec)になると、インバータI
2の入力端子側であるノードN
2の電圧v
2は、V
DD(V)から0(V)に切り替わる。従って、インバータI
2の出力端子側であるノードN
3の電圧v
3は、0(V)からV
DD(V)に切り替わる。
すると、
図8(a)に示すように、ノードN
4の電圧v
4は、抵抗素子R
2と容量素子C
3,C
4とからなるRC回路21の時定数によって、最低電圧である0(V)からV
DD/2(V)まで徐々に高くなる。この時、ノードN
4の電圧v
4は、漸近的にV
DD(V)に近づくと共に、上側に凸になる凸曲線をたどるようにして高くなっていく。
そして、時間Tがt
5´(Sec)になると、ノードN
4の電圧v
4はV
DD/2(V)になる。この時、ノードN
1の電圧v
1は、まだV
DD/2(V)になっていない。
【0114】
次に、
図8(a)に示すように、時間Tがt
5´(Sec)になってから、さらに時間T
N(Sec)だけ経過したt
5(Sec)になるまでの間、ノードN
4の電圧v
4は、抵抗素子R
2と容量素子C
3,C
4とからなるRC回路21の時定数によって、漸近的にV
DD(V)に徐々に近づくと共に、上側が凸になる凸曲線をたどるようにして、さらに高くなっていく。
そして、時間Tがt
5(Sec)になった時に、ノードN
1の電圧v
1は、V
DD/2(V)になる。又、各グラフに示した各信号の電圧は、全て時間Tがt
1(Sec)であった時と同じ電圧に戻る。
上記の動作が繰り返されながら、ノードN
1,N
4の信号S
1,S
4がタイミング生成回路30に入力される。
【0115】
タイミング生成回路30において、最初に、インバータI
3がノードN
4の信号S
4を反転させる。又、インバータI
4がノードN
1の信号S
1を反転させる。このため、
図8(c)に示すように、ノードN
5の信号S
5は、ノードN
4の信号S
4と逆相になる。又、ノードN
6の信号S
6は、ノードN
1の信号S
1と逆相になる。
つまり、ノードN
5の信号S
5の電圧v5は、時間Tがt
3(Sec)になってからt
4(Sec)になるまでの間で、0(V)からV
DD(V)に立ち上がる。そして、信号S
5の電圧v
5は、時間Tがt
1(Sec)になってからt
2(Sec)になるまでの間で、V
DD(V)から0(V)に立ち下がる。
【0116】
又、ノードN
6の信号S
6の電圧v
6は、時間Tがt
3´(Sec)になってからt
3(Sec)になるまでの間で、0(V)からV
DD(V)に立ち上がる。そして、信号S
6の電圧v
6は、時間Tがt
5´(Sec)になってからt
5(Sec)になるまでの間で、V
DD(V)から0(V)に立ち下がる。
さらに、タイミング生成回路30において、AND演算回路L
1が、2つの信号S
5,S
6の電圧v
5,v
6に応じたAND演算することで、クロック信号S
OUT+を生成する。又、NOR演算回路L
2が、2つの信号S
5,S
6の電圧v
5,v
6に応じたNOR演算することで、クロック信号S
OUT+を生成する。
【0117】
すると、
図8(d)に示すように、クロック信号S
OUT+の電圧V
OUT+は、時間Tがt
3(Sec)になってからt
3(Sec)になるまでの間で、0(V)からV
DD(V)に立ち上がる。そして、クロック信号S
OUT+の電圧V
OUT+は、時間Tがt
5´(Sec)になってからt
5(Sec)になるまでの間で、V
DD(V)から0(V)に立ち下がる。
又、クロック信号S
OUT−の電圧V
OUT−は、時間Tがt
1になってからt
2(Sec)になるまでの間で、0(V)からV
DD(V)に立ち上がる。そして、クロック信号S
OUT−の電圧V
OUT−は、時間Tがt
3´(Sec)になってからt
3(Sec)になるまでの間で、V
DD(V)から0(V)に立ち下がる。
【0118】
つまり、タイミング生成回路30から出力されたクロック信号S
OUT+とクロック信号S
OUT−とは、位相が互いに逆相である。さらに、クロック信号S
OUT+とクロック信号S
OUT−とは、電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間との差が、時間T
N(Sec)になるようなノンオーバーラップの関係にある。
上記で説明したように、発振器20は、上記で説明した動作を繰り返すことで、ノンオーバーラップクロック信号であるクロック信号S
OUT+,S
OUT−を生成する。なお、上記で説明した発振器20により生成されたクロック信号S
OUT+,S
OUT−の周期についても、発振器10と同様に、RC回路21の時定数によって決まる。クロック信号S
OUT+,S
OUT−の周期は、時間Tがt
1(Sec)になってからt
3(Sec)になるまで時間と、時間Tがt
3(Sec)になってからt
5(Sec)になるまで時間との総和である。
【0119】
(発振器20のまとめ)
上記で説明したように、第2実施形態に係る発振器20は、抵抗素子R
1の抵抗値r
1と、容量素子C
1の容量値c
1と、容量素子C
2の容量値c
2に加えて、抵抗素子R
2の抵抗値r
2と、容量素子C
3の容量値c
3と、容量素子C
4の容量値c
4の容量値によって、ノードN
1,N
4の信号S
1,S
4の電圧v
1,v
4の最高電圧及び最低電圧を、任意に電圧にする。又、発振器20は、ノードN
1,N
4の信号S
1,S
4が、最高電圧と最低電圧との中間の電圧V
DD/2(V)になるタイミングを時間T
N(Sec)だけずらす。さらに、発振器20は、タイミング生成回路30を用いて、互い逆相であるノンオーバーラップクロック信号を生成することができる。
【0120】
(変形例)
上記で説明した各実施形態に係る発振器10,20は、インバータの数が2つであった。しかしながら、インバータの数はこれに限定されない。そこで、インバータの数を、発振器10,20のインバータの数より1つだけ多くし、3つのインバータを用いて構成された発振器について説明する。
(発振器30の回路構成)
まず、
図9を参照して、本発明に係る第2実施形態に係る発振器20の変形例として、発振器30の回路構成を説明する。
図9に示す発振器30は、
図5に示した発振器20を構成する素子の他に、インバータI
5を備えて構成される。
インバータI
5は、インバータI
1,I
2と同様に、入力端子から入力された信号の位相を反転させ、出力端子からその信号を出力する反転増幅回路である。インバータI
5は、ノードN
1とインバータI
1の入力端子との間に接続される。
【0121】
つまり、
図9に示す発振器30は、直列に接続されたインバータI
1,I
2の最前段に、さらにインバータI
5が接続される。つまり、発振器30は、3つのインバータI
1〜I
5が互いに直列に接続されている。従って、最後段のインバータI
2の出力端子から出力された信号S
2は、ノードN
1の信号S
1に帰還されるように構成されている。
但し、発振器10,20ではインバータの数が偶数であったが、発振器30ではインバータの数が奇数である。このため、最後段のインバータI
2の出力端子から出力された信号S
2と、最前段のインバータI
5の入力端子に入力された信号とは逆相になる。
【0122】
このため、発振器30のノードN
2,N
3の位置と、発振器20のノードN
2,N
3の位置とを入れ替えてある。従って、発振器30においても、ノードN
2がインバータI
2の出力端子と、容量素子C
2及び抵抗素子R
1との接続点である。又、ノードN
3が、インバータI
1の出力端子と容量素子C
1との接続点である。要するに、発振器30においても、ノードN
2の信号S
2は、ノードN
1の信号S
1と逆相になる。又、ノードN
3の信号S
3は、ノードN
1の信号S
1と同相になる。
【0123】
容量素子C
1は、ノードN
3の信号S
3を、ノードN
3の信号S
3と同相であるノードN
1の信号S
1に帰還させる。又、抵抗素子R
1及び容量素子C
2は、ノードN
2の信号S
2を、ノードN
2の信号S
2と逆相であるノードN
1の信号S
1に帰還させる。
このように、発振器30は、インバータの数が偶数であるが、発振器20と同様に、抵抗素子R
1及び容量素子C
1,C
2と、抵抗素子R
2及び容量素子C
3,C
4とが互いに対になり、それらのインバータを共有しているように接続されている。さらに、発振器30は、発振器20と同様に、タイミング生成回路30を備えている。これにより、タイミング生成回路30は、ノードN
1,N
4から共に同相である信号を入力し、互いに逆相であるノンオーバーラップの関係があるクロック信号S
OUT+,S
OUT−を出力するように構成されている。
【0124】
(発振器30の動作)
上記で説明したように、第3実施形態に係る発振器30は、互いに直列に接続された複数のインバータの数が奇数である。しかしながら、発振器30は、各ノードを流れる信号の電圧や位相が、第2実施形態に係る発振器20と同じになるように構成されている。従って、
図2に示す発振器30の各ノードN
1〜N
4及びクロック信号S
OUT+,S
OUT−の立ち上がり方及び立ち下がり方は、図示するまでもなく、
図8に示した発振器20の各信号の立ち上がり方及び立ち下がり方と同じになる。
【0125】
(発振器30のまとめ)
上記で説明したように、第3実施形態に係る発振器30は、互いに直列に接続された複数のインバータの数が、第2実施形態に係る発振器20と異なっている。しかしながら、発振器を構成する複数のインバータの数の関わらず、容量素子C
1〜C
4の容量値c
1〜c
4及び抵抗素子R
1,R
2の抵抗値r
1,r
2によって、各ノードの信号の最高電圧及び最低電圧を任意の電圧にすることができる。