【実施例】
【0042】
以下の実施例は例示の手段としてのみ示されるものであり、限定として示されるものではない。当業者は、変更または改変して同様の結果を得ることができる様々なパラメータを容易に認識するであろう。
【0043】
NMRの割当は、当業者によって行われる一次元
1H−NMRおよび
13C NMRスペクトルの解析に基づく、説明のみのためのものである。スペクトルのより詳細な解析は幾つかのNMRピークの些細な再割当につながるかもしれないが、これが全体の割当を変化させることはない。全ての
1H−NMRスペクトルは500MHz機器で記録し、シフトは[ppm]表示でTMSに対するものであり、溶媒はDMSO−d
6である。
【0044】
NMR解析に加えて、式IおよびIVの化合物のジアステレオマー比を決定するのにHPLC/MS分析法を用いた。
【0045】
HPLC分析実験条件:
カラム Atlantis T3 長さ150mm
*4.6mm;空隙率:3μm
溶離液A 0.04%v/vのギ酸を含む水
溶離液B 0.05%v/vのギ酸を含むアセトニトリル
注入 10μl
検出 205nm
温度 35℃
勾配
【0046】
【表1】
後時間(Post Time) 5分
【0047】
[実施例1]
メタノール中65℃でのHOSAおよびナトリウムメチレートからのジイミン生成によるジヒドロアルテミシン酸Iaの合成
0.248g(0.001mol)のアルテミシン酸IIIaを10mL MeOHに溶解した。次に、0.432g(0.008mol)のナトリウムメチレートを添加した。この反応混合物を還流温度(65℃)まで加熱し、0.628g(0.005mol)のヒドロキシルアミン−O−スルホン酸(HOSA)を少しずつ添加した。添加が完了した後、RP−HPLC分析が出発物質の完全消費を示すまで、反応混合物を同じ温度でさらに1時間撹拌した。反応混合物を希塩酸水溶液でpH2に酸性化した。生成物をMTBEで抽出して硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を蒸発させて0.22g(93%)の標題化合物を得、これは静置することで結晶化した。
1H−NMRおよび HPLC/MS分析によって決定される非精製生成物中のジアステレオマー比は、所望の立体異性体Ia側に優勢であり、>96:4であった。
【0048】
(2R)−立体異性体Ia:
【0049】
【化10】
融点 137−138℃(lit.:136−137℃,T.E.Wallaart et al.,J.Nat.Prod.1999,62,430−433)。
1H NMR(DMSO−d
6):
12.0(s,1H,OH)、5.14(s,1H,H−11)、2.52(m,1H,H−2)、2.54(m,1H,H−12)、1.95 and 1.84(m,2H,H−9)、1.98 and 1.59(m,2H,H−8)、1.66(m,1H,H−3)、1.46、1.16(m,2H,H−4)、1.65(s,3H,10−Me)、1.63 and 1.00(m,2H,H−5)、1.46(m,1H,H−6)、1.28(m,1H,H−7)、1.22(d,2H,2−Me)、0.89(d,3H,6−Me)。
【0050】
13C NMR(DMSO−d
6):
184.01(C−1)、42.24(C−2)、15.05(2−Me)、43.55(C−3)、27.40(C−4)、35.22(C−5)、27.65(C−6)、19.68(6−Me)、41.71(C−7)、25.76(C−8)、26.60(C−9)、136.00(C−10)、23.81(10−Me)、119.29(C−11)、36.33(C−12)。
【0051】
(2S)−立体異性体IVa:
【0052】
【化11】
1H NMR(DMSO−d
6):12.0(s,1H,OH)、5.33(s,1H,H−11)
【0053】
[実施例2]
メタノール中40から50℃でのヒドロキシルアミンおよびHOSAからのジイミン生成によるジヒドロアルテミシン酸Iaの合成
5.3g(0.08mol)のヒドロキシルアミン(水中50%)および15.1g(0.12mol)のHOSA(25mLの水に溶解)を、5N NaOH水溶液でpH値をpH9で一定に保持しながら、10mL MeOH中に4.69g(0.02mol)のアルテミシン酸IIIaの溶液に連続的に添加した。温度範囲は40℃から50℃であった。添加が完了した後、pH変化が検出可能でなくなるまで、反応混合物をさらに1時間撹拌した。アルテミシン酸Iaの完全消費をRP−HPLC分析で確認した。次に、反応混合物を希塩酸水溶液でpH2に酸性化した。生成物をMTBEで抽出して硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を蒸発させて4.8g(100%)の標題化合物を得、これは静置することで結晶化した。
1H−NMRおよびLC/MS分析によって決定される非精製生成物中のジアステレオマー比は、標題化合物側に優勢であり、96:4であった。
【0054】
[実施例3]
メタノール中−5℃から0℃でのヒドロキシルアミンおよびHOSA/NaOHからのジイミン生成によるジヒドロアルテミシニン酸Iaの合成
2.34g(0.01mol)のアルテミシニン酸IIIaを20mLのMeOHに溶解した。次に、32%NaOH水溶液でpH9を維持しながら、1.98g(0.03mol)のヒドロキシルアミン(水中50%)および5.65g(0.045mol)のHOSA(10mLの水に溶解)を連続的に添加した。温度を−5℃から0℃に調整した。添加が完了した後、pH変化が検出可能でなくなるまで、反応混合物をさらに1時間撹拌した。アルテミシン酸の完全消費をRP−HPLC分析で確認した。次に、反応混合物を希塩酸水溶液でpH2に酸性化した。生成物をMTBEで抽出して硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を蒸発させて2.25g(95%)の標題化合物を得、これは静置することで結晶化した。
1H−NMRおよびLC/MS分析によって決定される非精製生成物中のジアステレオマー比は、所望の立体異性体Ia側に優勢であり、98:2であった。
【0055】
[実施例4]
ヒドロキシルアミンおよび酢酸エチルからのジイミン生成によるジヒドロアルテミシニン酸Iaの合成
6.95g(0.1mol)の塩酸ヒドロキシルアミンを10mLのDMFに懸濁させ、6.60gの粉末化KOHを添加した。30℃で10分後、この懸濁液を濾過し、ヒドロキシルアミンを含む濾液を集めた。氷浴での冷却下、3.19g(0.044mol)の酢酸エチルをヒドロキシルアミン溶液に添加した。次に、この溶液を、90℃の、10mLのDMFに溶解した0.47g(0.002mol)のアルテミシニン酸IIIaの溶液に滴下により添加した。添加が完了した後、アルテミシニン酸の完全消費がRP−HPLC分析によって確認されるまで、反応混合物をさらに1時間撹拌した。続いて、希塩酸水溶液で反応混合物をpH2に酸性化した。生成物をMTBEで抽出して硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を蒸発させて0.36g(76%)の粗製生成物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液としての1:2 酢酸エチル:ヘプタン)の後に結晶化して0.26g(55%)の精製標題化合物を得た。
1H−NMRおよびLC/MS分析によって決定される非精製粗製反応生成物中のジアステレオマー比は、所望の立体異性体Ia側に優勢であり、95:5であった。
【0056】
[実施例5]
ヒドロキシルアミンおよびHOSA/KOHからのジイミン生成によるジヒドロアルテミシニン酸Iaの合成
0.248g(0.001mol)のアルテミシニン酸IIIaを5mL MeOHに溶解した。次に、2.24g(0.02mol)のKOH(水中50%)を添加した。この反応混合物を40℃に加熱し、0.264g(0.004mol)のヒドロキシルアミンおよび0.754g(0.006mol)のHOSA酸を同時に少しずつ添加した。添加が完了した後、RP−HPLC分析で出発物質の完全消費が確認されるまで、反応混合物を同じ温度でさらに1時間撹拌した。次に、反応混合物を希塩酸水溶液でpH2に酸性化した。
1H−NMRおよびLC/MS分析によって決定される非精製粗製反応生成物中のジアステレオマー比は、所望の立体異性体側に優勢であり、95:5であった。
【0057】
[実施例6]
ヒドラジンおよび過酸化水素からのジイミン生成によるジヒドロアルテミシニン酸Iaの合成
2mLの無水EtOH中に0.248g(0.001mol)のアルテミシニン酸IIIaおよび0.821g(0.0105mol)のヒドラジン水和物(水中64%)の氷冷溶液に0.641mL(0.0063mol)の30%過酸化水素水溶液を1時間の間に添加した。添加が完了した後、この反応混合物を室温まで暖め、RP−HPLC分析で出発物質の完全消費が確認されるまで、さらに4時間撹拌した。次に、混合物を希塩酸水溶液でpH2に酸性化して生成物をMTBEで抽出し、FeSO
4−溶液および食塩水で1回洗浄して硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を蒸発させ、0.222g(93%)の結晶性標題化合物を得た。
1H−NMRおよびLC/MS分析によって決定される非精製生成物中のジアステレオマー比は、所望の立体異性体Ia側に優勢であり、95:5であった。
【0058】
[実施例7]
ヒドロキシルアミンおよびHOSAからのジイミン生成によるジヒドロアルテミシニン酸Iaの大規模合成
11.72g(0.05mol)のアルテミシニン酸IIIaを25mLの熱(約50℃)MeOHに溶解した。NaOHの32%水溶液でpHを9に調整した。NaOHの32%水溶液でpH9を維持しながら、13.2g(0.2mol)のヒドロキシルアミン(50%水溶液)および25.1g(0.2mol)のHOSA(30mLの水に溶解)を同時に添加した。冷却により内部温度範囲を−5℃から5℃に保持した。添加が完了した後、pHが一定のままであるまで、反応混合物をさらに1時間撹拌した。アルテミシニン酸IIIaの完全消費をRP−HPLC分析で確認した。約30mLの合計体積のNaOH(約6.5当量)を消費した。次に、反応混合物を希塩酸水溶液でpH2に酸性化した。生成物を100mLのMTBEで抽出し、25mLの水で1回洗浄して硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を蒸発させて11.1g(93%)の結晶性標題化合物を得た。NMR解析で不純物としてのMTBEが明らかになった。ジアステレオマー比は、
1H−NMR解析により、所望の標題化合物側に優勢であり、>97:3であるものと評価された。この物質を以下のようにさらに精製した:11gの粗製生成物を12mLの還流エタノールに溶解し、6mLの水を加熱体に添加した。ゆっくりと冷却することで結晶が生成し、氷冷浴において30分撹拌した後、これを濾別した。濾紙ケークを20mLの氷冷エタノール/水(1/1)で1回、次いで30mLの水で洗浄した。乾燥させることで9.0g(76%)の所望の生成物Iaが生じ、これに対して望ましくないジアステレオマーは適用されるNMRおよび HPLC法の検出限界を下回った。
【0059】
[実施例8]
二カリウムアゾジカルボキシレートからのジイミン生成によるジヒドロアルテミシン酸Iaの合成
5℃の、4.22g(0.035mol)のKOH(水中40%)の撹拌溶液に0.500g(0.0043mol)のアゾジカルバミドを少量ずつ添加した。さらに1時間撹拌した後、沈殿した明黄色固体を濾別し、冷メタノールで数回洗浄して0.683g(80%)の二カリウムアゾジカルボキシレートを得た。この塩および0.234g(0.001mol)のアルテミシン酸IIIaを5mLの無水メタノールに懸濁させた。撹拌および氷浴での冷却の下、1mLの無水メタノール中に0.36g(0.006mol)の酢酸の溶液を30分以内に滴下により添加した。室温で4時間撹拌した後、水およびMTBEを添加し、有機相を10mLの1M HCl水溶液で1回洗浄して硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を蒸発させることで0.23(97%)の結晶性標題化合物を得た。
1H−NMRおよびLC/MS分析によって決定される非精製生成物中のジアステレオマー比は、所望の立体異性体Ia側に優勢であり、97:3であった。
【0060】
[実施例9]
ヒドラジンおよび過酸化水素からのジイミン生成によるジヒドロアルテミシニン酸メチルエステル(R1=メチルである化合物I)の合成
2mLの無水エタノール中の、文献の方法(X.Xu et al.,Tetrahedron 42,819 1986)によって調製された、0.248g(0.001mol)のアルテミシン酸メチルエステル(R1=メチルである化合物III)の氷冷溶液および0.821g(0.0105mol)のヒドラジン水和物(64%水溶液)に0.641mL(0.0063mol)の30%過酸化水素水溶液を1時間の間に添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温まで暖め、RP−HPLC分析で出発化合物の完全消費が示されるまで、さらに4時間撹拌した。この反応混合物を希塩酸水溶液でpH2に酸性化して生成物をMTBEで抽出し、FeSO
4−溶液および食塩水で1回洗浄して硫酸マグネシウムで脱水し、蒸発させて0.222g(93%)の標題化合物を得た。
1H−NMRおよびLC/MS分析によって決定されるジアステレオマー比は、所望の化合物側に優勢であり、97:3であった。
【0061】
1H NMR(DMSO−d
6):5.15(s,1H,H−11)、3.60(s,3H,OMe)、1.62(s,3H,10−Me)、1.05(d,2H,2−Me)、0.84(d,3H,6−Me);少量異性体に対応するシグナルは5.25(s,1H,H−11)、3.59(s,3H,OMe)に現れる。
【0062】
[実施例10]
ヒドラジンおよび過酸化水素でのジイミン生成によるジヒドロアルテミシン酸tert−ブチルエステル(R1=tert−ブチルである化合物I)の合成
2mLの無水エタノール中の、文献の方法(W.Zhou et al.,Huaxue Xuebao 43(9),845−851,1985)によって調製された、0.290g(0.001mol)のアルテミシン酸tert−ブチルエステル(R1=tert−ブチルである化合物III)の氷冷溶液および0.821g(0.0105mol)のヒドラジン水和物(64%水溶液)に0.641mL(0.0063mol)の30%過酸化水素水溶液を1時間の間に添加した。添加が完了した後、反応混合物を室温まで暖め、RP−HPLC分析で出発化合物の完全消費が示されるまで、さらに4時間撹拌した。この反応混合物を希塩酸水溶液でpH2に酸性化して生成物をMTBEで抽出し、FeSO
4−溶液および食塩水で1回洗浄して硫酸マグネシウムで脱水し、蒸発させて0.290g(98%)の標題化合物を得た。
【0063】
1H NMR(DMSO−d
6):5.14(s,1H,H−11)、1.58(s,3H,10−Me)、1.44(s,9H,t−Bu)、1.02(d,2H,2−Me)、0.88(d,3H,6−Me)。