【実施例1】
【0013】
[実施例1に係る発電量算出装置の構成]
図1は、実施例1に係る発電量算出装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、発電量算出装置100は、以下に詳細に説明するように、電力網の電圧を変更し、変更前後の電圧と有効電力とに基づいて、電力網と接続された分散型電源による発電量を算出する。
【0014】
発電量算出装置100は、電力網に供給される電力の電圧を調整する調整装置200と、電力網に供給される電力の有効電力を測定するセンサ300と接続される。なお、
図1に示す例では、発電量算出装置100と調整装置200とセンサ300とが別装置であり、発電量算出装置100が調整装置200及びセンサ300と接続される場合を示したが、これに限定されるものではない。例えば、調整装置200とセンサ300とのうち一方または両方が発電量算出装置100と統合されても良い。
【0015】
調整装置200は、発電量算出装置100と接続される。調整装置200は、電力網に供給される電力の電圧を調整する。また、後述するように、制御部120により調整装置200の動作状態が変更されることで、電力網に供給される電力の電圧が変更される。
【0016】
調整装置200は、例えば、電力網に設けられた変圧器のタップやスタティックコンデンサ(スタコン)などの任意の調相設備などが該当する。なお、調整装置200は、電力網に設けられた変圧器のタップや調相設備などに限定されるものではなく、任意の装置を用いて良い。具体的には、電力網に供給される電力の電圧を変更する機能を有する任意の設備を調整装置200として用いて良い。
【0017】
センサ300は、電力網の有効電力を測定する。なお、以下では、センサ300が、電力網に供給される有効電力と電圧とを測定する場合を例に説明する。
【0018】
図2は、実施例1における電力網と、電圧が変更される点と、センサにより測定される点との関係の一例を示す図である。
図2は、電力系統図の一例である。
図2に示すように、発電所401により発電された電力は、変電所402や変電所403により電圧が変更された上で、負荷404や負荷405、負荷406に送られる。なお、負荷404〜負荷406は、例えば、住宅地域、商業地域や工業地域などが該当する。また、
図2に示す例では、負荷404〜負荷406には、それぞれ、分散型電源であるPV(太陽光発電システム、Photovoltaic)407やPV408、PV409が導入されている場合を示した。
【0019】
図2に示す電力系統図についてより詳細に説明する。
図2に示す例では、発電所401により発電された電力は、送電線411を介して変電所402に送られる。ここで、変電所402は、例えば、発電所401から送られた電力の電圧を「66kV」に変更する。そして、変電所402は、電圧が「66kV」となる電力を送電線412や送電線413、配電線414、送電線415、送電線416などを介して送る。その後、例えば、変電所403は、送電線413を介して電圧が「66kV」の電力を変電所402から受信すると、受信した電力の電圧を「6.6kV」に変更する。そして、変電所403は、電圧が「6.6kV」となる電力を配電線414を介して負荷404〜負荷406などに送る。
【0020】
図2に示す電力系統図を用いて説明する場合には、調整装置200が、変電所402に設けられた場合を用いて説明する。ただし、これに限定されるものではなく、調整装置200は、任意の場所に設けられて良い。
【0021】
図2において、センサ300が電圧を測定する箇所について説明する。センサ300が電圧を測定する点は、調整装置200により電圧が変更される電力が流れる箇所となる。
図2に示す例では、調整装置200が変電所402に設けられている結果、
図2の電力系統図において変電所402より負荷側の箇所となる。例えば、センサ300は、測定点501において電圧を測定する。
【0022】
図2において、センサ300が有効電力を測定する箇所について説明する。センサ300が有効電力を測定する点は、センサ300により測定される電圧と同一の電圧となる電力が流れる箇所となる。測定点501においてセンサ300が電圧を測定する場合を用いて説明する。この場合、
図2に示す例では、変電所402より負荷側であって、変電所403より発電所401側の箇所となる。例えば、センサ300は、測定点501や測定点502、測定点503、測定点504などにおいて、有効電力を測定する。
【0023】
図2において、分散型電源による発電量が算出される電力網について説明する。分散型電源による発電量が算出される電力網は、センサ300により測定された電圧や有効電力の電力が供給される範囲となる。例えば、測定点502においてセンサ300が有効電力を測定した場合には、分散型電源による発電量が算出される電力網は、
図2の電力系統図において、測定点502より負荷側にある範囲601となる。また、同様に、測定点503や測定点504においてセンサ300が有効電力を測定した場合には、分散型電源による発電量が算出される電力網は、それぞれ、範囲602や範囲603となる。
【0024】
図1の説明に戻る。
図1に示すように、発電量算出装置100は、入力部101と、出力部102と、記憶部110と、制御部120とを有する。入力部101は、制御部120と接続される。入力部101は、発電量算出装置100を利用する利用者から情報や指示を受け付け、受け付けた情報や指示を制御部120に入力する。入力部101は、キーボードやマウス、マイクなどが該当する。出力部102は、制御部120と接続される。出力部102は、制御部120から情報を受け付け、受け付けた情報を出力する。出力部102は、モニタやスピーカなどが該当する。なお、入力部101によって受け付けられる情報や指示の詳細や、出力部102によって出力される情報の詳細については、関係する各部について説明する際に適宜説明する。
【0025】
記憶部110は、制御部120と接続される。記憶部110は、制御部120による各種処理に用いるデータを記憶する。記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスクや光ディスクなどが該当する。
図1に示す例では、記憶部110は、電圧特性指数テーブル111を有する。
【0026】
電圧特性指数テーブル111は、電力網の電圧特性指数を記憶する。電圧特性指数は、下記の負荷の電圧特性を示す(数1)におけるαを示す。
【0027】
【数1】
【0028】
(数1)において、「P
0」は、電力網の電圧が定格電圧となる場合における負荷を示す。「V
0」は、電力網の定格電圧を示す。「P」は、電力網の電圧が「V」となる場合における負荷を示す。電圧特性指数は、例えば、有効電力や電圧、周波数を実測することで算出される。なお、電圧特性指数は、電力網内の負荷の電圧特性が定インピーダンス特性となる場合には「α=2」となり、同電圧特性が定電流特性となる場合には「α=1」となり、同電圧特性が定電力特性となる場合には「α=0」となる。
【0029】
図3は、実施例1における電圧特性指数テーブルに記憶された情報の一例を示す図である。
図3に示すように、電圧特性指数テーブル111は、電圧特性指数と、電圧特性指数を適用する対象となる電力網の条件を対応付けて記憶する。
図3に示す例では、電圧特性指数テーブル111は、電圧特性指数「0」と条件「工場」とを対応付けて記憶する。また、電圧特性指数テーブル111は、電圧特性指数「2」と条件「住宅地」とを対応付けて記憶する。また、電圧特性指数テーブル111は、電圧特性指数「1」と条件「指定なし」とを対応付けて記憶する。
【0030】
すなわち、電圧特性指数テーブル111は、工場を含む電力網に適用される電圧特性指数として「0」を記憶する。また、電圧特性指数テーブル111は、住宅地を含む電力網に適用される電圧特性指数として「2」を記憶する。また、電圧特性指数テーブル111は、利用者により指定されなかった場合に適用される電圧特性指数として「1」を記憶する。
【0031】
すなわち、工場において用いられることが多いモータは、消費電力が一定となるようにする性質がある。この結果、工場を含む電力網内の負荷の電圧特性は、定電力特性に近い場合が多い。このことを踏まえ、この実施例では、電圧特性指数テーブル111は、工場を含む電力網に適用される電圧特性指数として「0」を記憶する。この数値は一例であり、電圧特性は整数に限らず、「0.5」を指定することも可能である。
【0032】
また、この実施例では、住宅地を含む電力網では、電圧特性指数が「2」に近い場合が多いことを踏まえ、電圧特性指数テーブル111は、住宅地を含む電力網に適用される電圧特性指数として「2」を記憶する。また、一般的な電力網では工場や住宅地などの影響が平均化されて電圧特性指数が「1」に近くなることを踏まえ、電圧特性指数テーブル111は、利用者による指定がなかった場合に適用される電圧特性指数として「1」を記憶する。なお、負荷全体の特性は「1」に近いことが知られているため、工場、住宅などの区別ができたとしても、一律に同一の数値として「1」を設定する方法もある。
【0033】
図1の説明に戻る。制御部120は、入力部101、出力部102及び記憶部110と接続される。制御部120は、各種の処理手順などを規定したプログラムを記憶する内部メモリを有し、種々の処理を制御する。制御部120は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などが該当する。
図1に示す例では、制御部120は、変更部121と、測定部122と、発電量算出部123とを有する。
【0034】
変更部121は、電力網に供給される電力の電圧を変更する。具体的には、変更部121は、電力網に供給される電力の電圧を調整する調整装置200の動作状態を切り替えることで、電圧を変更する。例えば、変更部121は、電力網に設けられた変圧器のタップやスタコンなどの調相設備などを動作させたり動作させなかったり、調相設備を投入したり開放したりすることで、電力網の電圧を微少に変更する。
【0035】
変更部121は、分散型電源による発電量を算出する算出タイミングとなると、有効電力を測定する旨を測定部122に送り、有効電力を測定した旨を測定部122から受信すると、電力網に供給される電力の電圧を変更する。そして、変更部121は、電力網に供給される電力の電圧を変更した後に、電圧を変更した旨を測定部122に送る。なお、算出タイミングとは、例えば、利用者により算出する指示が入力部101に入力されたタイミングや、任意のタイミングが該当する。
【0036】
ここで、変更部121による電圧の変更について補足する。電力を供給する電力会社は、変電所や発電所などにおいて、電力の電圧を調整する調整装置を有する。この結果、実施例1においては、もともと電力会社が備える設備を用いて電圧を微小に変更することで、以下に詳細に説明するように、電力網と接続された分散型電源による現在の発電量が算出可能となる。
【0037】
測定部122は、変更部121により電圧が変更される電力網の有効電力を測定する。具体的には、測定部122は、センサ300を制御することで、変更部121により電圧が変更される前後において、電力網の有効電力と電圧とを測定する。
【0038】
例えば、測定部122は、測定する旨を変更部121から受信すると、有効電力と電圧とを測定する。その後、測定部122は、電圧を変更した旨を変更部121から受信すると、有効電力と電圧とを測定し、有効電力を測定した旨を変更部121に送信する。ここで、測定する旨を変更部121から受信した際に測定した有効電力と電圧とは、電圧の変更前の有効電力と電圧とになる。また、電圧を変更した旨を変更部121から受信した際に測定した有効電力と電圧とは、電圧の変更後の有効電力と電圧とになる。ただし、測定部122による測定タイミングはこれに限定されるものではない。測定部122は、常に有効電力と電圧とを測定しても良い。
【0039】
発電量算出部123は、電力網と接続された分散型電源による発電量として、変更部121による変更前後において、電圧の変化量に対して測定部122により測定された有効電力の変化量が大きい場合には、有効電力の変化量が小さい場合と比較して小さい値を算出する。また、発電量算出部123は、電力網と接続された分散型電源による発電量として、変更部121による電圧の変化量に対して測定部122により測定された有効電力の変化量が小さい場合には、有効電力の変化量が大きい場合と比較して大きい値を算出する。
【0040】
具体的には、発電量算出部123は、下記の(数2)に基づいて、電力網と接続された分散型電源による発電量を算出する。(数2)において、「P
PV」は、分散型電源による発電量を示す。「V
1」は、変更部121による変更前の電圧を示す。「V
2」は、変更部121による変更後の電圧を示す。「P
1」は、変更部121による変更前の有効電力(負荷)を示す。また、「P
2」は、変更部121による変更後の有効電力(負荷)を示す。「α」は、電圧特性指数を示す。なお、「P
1」や「P
2」は、電力会社から見た有効電力であり、分散型電源による発電量を含む値となる。また、以下では、負荷の消費を「正」の値とし、発電量を「負」の値として説明する。
【0041】
【数2】
【0042】
すなわち、(数2)に示すように、発電量算出部123は、分母が、電力網の定格電圧を分母として変更後の電圧を分子とする値を所定の電圧特性指数で乗算した値から、該定格電圧を分母として変更前の電圧を分子とする値を該電圧特性指数で乗算した値を減算した値となり、分子が、電力網の定格電圧を分母として変更前の電圧を分子とする値を所定の電圧特性指数で乗算した値に変更後に測定された有効電力を乗算した値から、該定格電圧を分母として変更後の電圧を分子とする値を該電圧特性指数で乗算した値に変更前に測定された有効電力を乗算した値を減算した値となる値を算出することで、分散型電源の発電量を算出する。
【0043】
ここで、(数2)の導き方について更に説明する。まず、負荷の電圧特性は、上述した(数1)により示される。ここで、電力網の電圧が「V
1」から「V
2」に変化したとする。また、電圧の変化にともなって、分散型電源による発電量を含む負荷の値が「P
1」から「P
2」に変化したとする。
【0044】
この場合、分散型電源による発電量を含まない負荷の変化は、(数3)や(数4)により示される。(数3)や(数4)において、「P
PV」は、分散型電源の発電量を示す。上述したように、負荷の消費を「正」の値とし、発電量を「負」の値とした場合には、分散型電源による発電量を含まない負荷は、「P
PV」を「P
1」あるいは「P
2」と加算することで算出される。なお、「P
0」は、分散型電源による発電量を含まない定格電圧時における負荷を示す。
【0045】
【数3】
【0046】
【数4】
【0047】
ここで、(数3)と(数4)とから、不明な値となる「P0」を消去することで、(数5)が導かれる。
【0048】
【数5】
【0049】
また、(数5)において、右辺と左辺の分母をなくす変形をすることで、(数6)が導かれる。
【0050】
【数6】
【0051】
また、(数6)を整理すると、(数7)を経て上述した(数2)が導かれる。
【0052】
【数7】
【0053】
図4は、電力網における実測値の一例を示す図である。
図4に示す実測値は、電力系統シミュレータで太陽光発電用PCS(Power Conditioning System)を合計9台(各相3台)接続し、さらに、30kWの抵抗負荷を接続して太陽光発電を含む系統負荷を模擬したときに得られた実測値となる。
【0054】
図4では、横軸を時間軸とし、電力網の電圧と、電力網における系統負荷と、太陽光発電による発電量と、抵抗負荷とを示した。なお、電力網における系統負荷は、電力会社から見た有効電力を示す。また、抵抗負荷は、負荷により実際に消費される消費電力を示す。ここで、電力会社から見えるのは、電力網の電圧と、電力網における系統負荷とである。太陽光発電による発電量と、抵抗負荷とについては、説明の便宜上、併せて記載した。なお、各図の横軸は共通する。なお、
図4の「電力網における系統負荷」は、「太陽光発電による発電量」と「抵抗負荷」とを合わせたものとなる。なお、
図4に示す例では、太陽光発電による発電量を「正」の値として記載しており、
図4の「電力網における系統負荷」は、「抵抗負荷」から「太陽光発電による発電量」を減算した値となる。
【0055】
図4に示す例では、スタティックコンデンサを「2s」頃に投入し、「22s」頃に開放した場合を示した。また、変圧器のタップを「22s」以降電圧上げ方向に動作させ、「43s」、「61s」、「78s」、「85s」において動作させるタップを変更した場合を示した。
【0056】
図4の「太陽光発電による発電量」に示すように、太陽光発電による発電量は、電力網の電圧が変化したとしても、電圧変化の過渡時を除いて変更することなく、ほぼ一定となる。一方、
図4の「抵抗負荷」に示すように、抵抗負荷は、電力網の電圧が変化することで変動する。
【0057】
すなわち、分散型電源を導入すると、分散型電源による発電量に応じて電力会社から見た見かけ上の負荷(消費電力)が減少することになり、電力網の有効電力が変化する。ここで、電力会社が供給する電力の電圧を変化させると、分散型電源の発電量は日射量が変化しない場合に過渡時以外は変化しない一方、家庭にて消費される消費電力は変化する。これらに着目し、実施例1に係る発電量算出装置100は、電力網により提供される電力の電圧を変更させる構成を採用した上で、電圧の変更前後における電圧の変化量に対する有効電力の変化量に基づいて、電力網と接続された分散型電源による発電量を算出する。具体的には、発電量算出装置100は、電力網の電圧を変更し、変更前後の電圧と有効電力とに基づいて、電力網と接続された分散型電源による発電量を算出する。さらに詳細には、発電量算出装置100は、(数2)に基づいて、電力網と接続された分散型電源による発電量を算出する。
【0058】
図4に示す値を用いて、発電量算出部123が分散型電源による発電量を算出する手法の一例について説明する。
図4に示すように、以下では、変更部121による変更前の電圧「V
1」を「189.19V」とし、変更部121による変更後の電圧「V
2」を「192.3V」とする。また、変更部121による変更前の有効電力「P
1」を「−1.84kW」とし、変更部121による変更後の有効電力「P
2」を「−0.958kW」とする。また、利用者により条件「住宅地」が入力部101に入力された場合を用いて説明する。
【0059】
この場合、発電量算出部123は、電圧特性指数テーブル111を条件「住宅地」で検索することで電圧特性指数「2」を取得する。そして、発電量算出部123は、下記の(数8)に示すように、(数2)の「V
1」に「189.19V」を代入し、「V
2」に「192.3V」を代入し、「P
1」に「−1.84kW」を代入し、「P
2」に「−0.958kW」を代入し、「α」に「2」を代入する。この結果、発電量算出部123は、分散型電源による発電量として、「28.5kW」を算出する。
図4を見るとわかるように、太陽光発電による実際の発電量は「28.7kW」であり、高精度に分散型電源による発電量が算出されたことがわかる。
【0060】
【数8】
【0061】
なお、発電量算出部123は、電圧特性指数として利用者により特定の値が指定された場合には、指定された値を用いて分散型電源による発電量を算出する。また、発電量算出部123は、利用者により条件が指定された場合には、指定された条件に合致する電圧特性指数を電圧特性指数テーブル111から読み出し、読み出した電圧特性指数を用いて分散型電源による発電量を算出する。また、発電量算出部123は、利用者により電圧特性指数が指定されなかった場合には、
図3の条件「指定なし」に示すように、電圧特性指数として「1」を用いて分散型電源による発電量を算出する。
【0062】
なお、発電量算出装置100は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、PDA(Personal Data Assistance)などの任意の除法処理端末を用いて実現して良い。例えば、PDAなどの情報処理装置に、
図1に示した制御部120の各機能を搭載することで実現しても良い。
【0063】
[実施例1に係る発電量算出装置による処理]
図5は、実施例1に係る発電量算出装置による処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御部120は、算出タイミングとなると(ステップS101肯定)、以下に説明する一連の処理を実行する。なお、算出タイミングとは、例えば、利用者により算出する指示が入力部101に入力されたタイミングや、任意のタイミングが該当する。
【0064】
すなわち、
図5に示すように、算出タイミングとなると(ステップS101肯定)、測定部122は、変更部121による変更前の有効電力負荷と電圧とを測定する(ステップS102)。例えば、測定部122は、算出タイミングとなって変更部121から測定する旨を受信すると、電圧の変更前における有効電力負荷と電圧とを測定する。また、この際、測定部122は、有効電力負荷と電圧とを測定すると、有効電力を測定した旨を変更部121に送信する。
【0065】
そして、変更部121は、電力網の電圧を変更する(ステップS103)。例えば、変更部121は、有効電力を測定した旨を測定部122から受信すると、調整装置200の動作状態を切り替えることで、電圧を変更する。また、この際、変更部121は、電圧を変更すると、電圧を変更した旨を変更部121に送信する。
【0066】
そして、測定部122は、変更部121による変更後の有効電力負荷と電圧とを測定する(ステップS104)。例えば、測定部122は、電圧を変更した旨を受信すると、電圧の変更後における有効電力負荷と電圧とを測定する。
【0067】
そして、発電量算出部123は、電力網と接続された分散型電源の発電量を算出する(ステップS105)。例えば、利用者により指定された電圧特性指数を電圧特性指数テーブル111から取得し、測定部122により測定された有効電力と電圧とを上述した数2に代入することで、電力網と接続された分散型電源の発電量を算出する。
【0068】
そして、発電量算出部123は、算出結果を出力部102から出力する(ステップS106)。例えば、算出結果が「28.5kW」である場合には、発電量算出部123は、電力網と接続された分散型電源の発電量として「28.5kW」を出力する。
【0069】
なお、上記の処理手順は、上記の順番に限定されるものではなく、処理内容を矛盾させない範囲で適宜変更しても良い。例えば、算出タイミングか否かに関係なく、変更前における有効電力や電圧を測定しても良い。
【0070】
[実施例1に係る発電量算出装置による効果]
上述したように、実施例1によれば、発電量算出装置100は、電力網に供給される電力の電圧を変更する。また、発電量算出装置100は、電圧が変更される電力網の有効電力を測定する。また、発電量算出装置100は、電力網と接続された分散型電源による発電量として、変更前後において、電圧の変化量に対して測定された有効電力の変化量が大きい場合には、有効電力の変化量が小さい場合と比較して小さい値を算出する。また、発電量算出装置100は、変更前後において、電圧の変化量に対して測定された有効電力の変化量が小さい場合には、有効電力の変化量が大きい場合と比較して大きい値を算出する。この結果、電力網と接続された分散型電源による発電量を簡単に把握可能である。
【0071】
すなわち、分散型電源を導入すると、分散型電源による発電量に応じて電力会社から見た見かけ上の負荷(消費電力)が減少することになり、電力網の有効電力が変化する。ここで、例えば、電力会社から見た一般家庭「A」の見かけ上の負荷は、分散型電源による発電量と家庭にて消費される消費電力とを合わせたものとなる。電力会社が供給する電力の電圧を変化させると、分散型電源の発電量はあまり変化しない一方、家庭にて消費される消費電力は変化する。これらに着目し、電力網により提供される電力の電圧を変更させる構成を採用した上で、電圧の変更前後における電圧と有効電力との変化量に基づいて、電力網と接続された分散型電源による発電量を算出する。この結果、電力網と接続された分散型電源による発電量を電力会社が簡単に把握可能である。例えば、各分散型電源に通信装置を設けたりすることなく、電力会社の設備を用いて、一般家庭各々に導入された分散型電源の発電量を合計値として簡単に推定可能である。
【0072】
また、実施例1によれば、発電量算出装置100は、分母が、電力網の定格電圧を分母として変更後の電圧を分子とする値を所定の電圧特性指数で乗算した値から、該定格電圧を分母として変更前の電圧を分子とする値を該電圧特性指数で乗算した値を減算した値となり、分子が、電力網の定格電圧を分母として変更前の電圧を分子とする値を所定の電圧特性指数で乗算した値に変更後に測定された有効電力を乗算した値から、該定格電圧を分母として変更後の電圧を分子とする値を該電圧特性指数で乗算した値に変更前に測定された有効電力を乗算した値を減算した値となる値を算出することで、分散型電源の発電量を算出する。この結果、分散型電源による発電量を簡単に高精度に算出可能である。
【0073】
また、実施例1によれば、発電量算出装置100は、利用者により条件が何ら指定されなかった場合に、電圧特性指数として1を用いて算出する。すなわち、平均的な電力網であれば、電圧特性指数が「1」となることに着目し、電圧特性指数として1を用いて算出するので、分散型電源による発電量を簡単に高精度に算出可能である。
【0074】
また、実施例1によれば、発電量算出装置100は、電力網に供給される電力の電圧を調整する調整装置200の動作状態を切り替えることで、電圧を変更する。ここで、調整装置は、変電所などに一般的に設けられている結果、発電量算出装置100によれば、電力会社の既存の設備を用いて、分散型電源による発電量を簡単に算出可能である。