【実施例】
【0082】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されない。化合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、質量スペクトルで確認した。相転移温度の単位は℃であり、Cは結晶を、Iは等方性液体相を示す。以下に、物性値の測定法を示す。
【0083】
<重量平均分子量(Mw)および多分散度(Mw/Mn)>
島津製作所製の島津LC−9A型ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、および昭和電工製のカラムShodex(商標登録) GF−7M HQ(展開溶媒はDMFあるいはTHF、標準物質は分子量既知のポリスチレン)を用いた。
【0084】
<液晶分子の配向>
以下に示す方法により確認した。
(1)目視による観察方法
クロスニコルに配置した2枚の偏光板の間に液晶配向膜上に異方性ポリマーを形成した基板を挟持して観察し、基板を水平面内で回転させ、明暗の状態を確認した。液晶配向膜上に異方性ポリマーを形成した基板を偏光顕微鏡観察し、配向欠陥の有無を確認した。
(2)偏光解析装置による測定
シンテック(株)製のOPTIPRO偏光解析装置を用い、液晶配向膜上に異方性ポリマーを形成した基板に波長が550nmの光を照射した。この光の入射角度をフィルム面に対して90°から減少させながらレタデーションを測定した。レタデーション(retardation;位相遅れ)はΔn×dで表される。記号Δnは光学異方性値であり、記号dは重合体フィルムの厚さである。
【0085】
<膜厚測定>
液晶配向膜上に異方性ポリマーを形成した基板から液晶配向膜と異方性ポリマーの2つの層を削りだして、その段差を微細形状測定装置(KLA TENCOR(株)製 アルファステップIQ)を用いて測定した。
【0086】
<光学異方性値(Δn)の評価>
ホモジニアス配向を誘起する液晶配向膜と、異方性ポリマーの2層からなる複合層について求めたレタデーションと膜厚値から、Δn=レタデーション/膜厚として算出した。
【0087】
<基板との密着性の評価>
粘着テープ剥離試験は、JIS規格「JIS−5400 8.5 付着性 (8.5.2 碁盤目テープ法)」の試験法、すなわち100ます中の残存したます目により評価した。基板には鹸化処理を施した富士フイルム社製のTACフィルム(以後 鹸化処理TAC)を用いた。
【0088】
<重合性液晶組成物の光重合条件>
窒素雰囲気下または大気中において、室温で500Wの超高圧水銀灯(ウシオ電機社製)を用いて90mW/cm
2(365nm)の強度の光を30秒間照射した。
【0089】
[実施例1]
化合物(1−1−4)を以下のようにして合成した。
【0090】
(第1段階)
trans−p−クマル酸400gをメタノール1200mlに加え、濃硫酸10gを滴下し、加熱還流下で5時間攪拌した。室温まで冷却した後、減圧下でメタノールを留去した。得られた残渣を氷水2000mlに注ぎ込み、酢酸エチル2000mlを加え、有機層を分離した。得られた有機層を飽和重曹水および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、得られた残渣をエタノールで再結晶することにより、化合物(ex−1)280gを得た。
【0091】
(第2段階)
無水イタコン酸250gをイソプロピルアルコ−ル150mlに加え、窒素雰囲気下100℃で6時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後、蒸留により、化合物(ex−2)200gを得た。
【0092】
(最終段階)
化合物(ex−1)20g、化合物(ex−2)19gおよび4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)2.7gを、ジクロロメタン200mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)24gのジクロロメタン溶液50mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=8/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−1−4)28gを得た。
得られた化合物(1−1−4)の相転移温度およびNMR分析値は以下の通りである。
相転移温度:C 64 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.68(d,1H),7.55(d,2H),7.16(d,2H),6.55(s,1H),6.41(d,1H),5.90(s,1H),5.08−5.01(m,1H),3.81(s,3H),3.42(s,2H),1.25(s,3H),1.24(s,3H).
【0093】
[実施例2]
化合物(1−1−1)を以下のようにして合成した。
【0094】
化合物(ex−1)31g、モノメチルイタコン酸25gおよびDMAP4.2gを、ジクロロメタン200mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC37.6gのジクロロメタン溶液80mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=8/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−1−1)42gを得た。
得られた化合物(1−1−1)の相転移温度およびNMR分析値は以下の通りである。
相転移温度:C 80 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.69(d,1H),7.55(d,2H),7.17(d,2H),6.58(s,1H),6.41(d,1H),5.93(s,1H),3.81(s,3H),3.73(s,3H),3.48(s,2H).
【0095】
[実施例3]
化合物(1−1−7)を以下のようにして合成した。
【0096】
化合物(ex−1)27.4g、イタコン酸10gおよびDMAP3.8gを、ジクロロメタン200mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC33.3gのジクロロメタン溶液70mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製し、トルエンで再結晶することにより、化合物(1−1−7)7gを得た。
得られた化合物(1−1−7)の相転移温度およびNMR分析値は以下の通りである。
相転移温度:C 131 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.69(d,1H),7.66(d,1H),7.57(d,2H),7.53(d,2H),7.18(d,2H),7.13(d,2H),6.66(s,1H),6.43(d,1H),6.39(d,1H),6.05(s,1H),3.81(m,6H),3.71(s,2H).
【0097】
[実施例4]
化合物(1−1−11)を以下のようにして合成した。
【0098】
(第1段階)
化合物(ex−1)40gおよび水酸化ナトリウム9.9gを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)400mlに加え、窒素雰囲気下60℃で加熱撹拌した。そこへ、2−ブロモエタノール30.9gを滴下した。滴下後、80℃で8時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、酢酸エチル800mlおよび水800mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を飽和重曹水、次いで水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製し、トルエンで再結晶することにより、化合物(ex−2)31.9gを得た。
【0099】
(最終段階)
化合物(ex−2)15g、モノメチルイタコン酸9.7gおよびDMAP1.7gを、ジクロロメタン100mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC14.6gのジクロロメタン溶液50mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=6/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−1−11)16.7gを得た。
得られた化合物(1−1−11)の相転移温度およびNMR分析値は以下の通りである。
相転移温度:C 50 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.65(d,1H),7.48(d,2H),6.92(d,2H),6.38(s,1H),6.33(d,1H),5.76(s,1H),4.53(t,2H),4.24(t,2H),3.80(s,3H),3.67(s,3H),3.36(s,2H).
【0100】
[実施例5]
化合物(1−2−2)を以下のようにして合成した。
【0101】
(第1段階)
モノエチルイタコン酸40gおよび1,4−ブタンジオール68.4gをトルエン160mlに加え、濃硫酸を3滴滴下し、Dean-Starkを用い加熱還流下脱水しながら16時間攪拌した。反応液に水を加え有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でトルエンを留去した。蒸留により、化合物(ex−3)29.7gを得た。
【0102】
(最終段階)
化合物(ex−3)10g、3,4−ジメトキシ桂皮酸9gおよびDMAP1.1gを、ジクロロメタン100mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC9.4gのジクロロメタン溶液30mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=8/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(1−2−2)11.4gを得た。
得られた化合物(1−2−2)の相転移温度およびNMR分析値は以下の通りである。
相転移温度:C 39 I
1H−NMR(CDCl
3;δppm):7.51(d,1H),7.48(s,1H),7.41(d,1H),7.22(d,1H),6.38(s,1H),5.98(s,1H),5.32(s,1H),4.34−4.30(m,2H),4.11(t,2H),4.07(t,2H),3.78(s,6H),3.29(s,2H),1.58−1.49(m,4H),1.31(t,3H).
[実施例6]
化合物(1−1−13)を以下のようにして合成した。
【0103】
(第1段階)
無水イタコン酸100gをt−ブタノール200mlに加え、窒素雰囲気下100℃で6時間加熱攪拌した。室温まで冷却した後、蒸留により、化合物(ex−4)128gを得た。
【0104】
(第2段階)
化合物(ex−1)20g、化合物(ex−4)21gおよびDMAP2.3gを、ジクロロメタン200mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC14.4gのジクロロメタン溶液50mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:トルエン−酢酸エチル混合物(容量比:トルエン/酢酸エチル=4/1))で精製し、メタノールで再結晶することにより、化合物(ex−5)24.7gを得た。
【0105】
(最終段階)
化合物(ex−5)24.7gを酢酸500mlに加え、窒素雰囲気下100℃で撹拌した。そこへ、47%臭化水素酸25mlを滴下した。滴下後、還流下4時間撹拌した。酢酸エチル1000mlおよび水1000mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、エタノールで再結晶することにより、化合物(1−1−13)11.8gを得た。
得られた化合物(1−1−13)の相転移温度およびNMR分析値は以下の通りである。
相転移温度:C 127 I
1H−NMR(DMSO;δppm):12.1(s,1H),7.78(d,1H),7.57(d,2H),7.17(d,2H),6.59(s,1H),6.51(d,1H),5.93(s,1H),3.82(s,3H),3.47(s,2H).
[実施例7]
化合物(1−1−14)を以下のようにして合成した。
【0106】
(第1段階)
trans−p−クマル酸100gおよびピリジン60gをテトラヒドロフラン(THF)1000mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら攪拌した。そこへ、無水酢酸75gを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。析出物をろ別し、トルエンで洗浄することにより、化合物(ex−6)68gを得た。
【0107】
(第2段階)
化合物(ex−6)30g、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン15gおよびピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)3.6gをジクロロメタン600mlに加え、窒素雰囲気下室温で8時間攪拌した。飽和重曹水を加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、減圧乾燥することにより、無色液体の化合物(ex−7)39gを得た。
【0108】
(第3段階)
化合物(ex−7)39gをTHF300mlおよびメタノール300mlの混合溶液に加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、28%アンモニア水溶液18mlを滴下した。滴下後、室温で8時間撹拌した。減圧下でTHFおよびメタノールを留去し、酢酸エチル500mlおよび水500mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をヘプタンで再結晶することにより、化合物(ex−8)18.7gを得た。
【0109】
(第4段階)
化合物(ex−8)18.7gおよび水酸化ナトリウム3.3gをDMF200mlに加え、窒素雰囲気下60℃で加熱撹拌した。そこへ、2−ブロモエタノール11.3gを滴下した。滴下後、80℃で8時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、酢酸エチル800mlおよび水800mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を飽和重曹水、次いで水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、残渣をヘプタンで再結晶することにより、化合物(ex−9)15.6gを得た。
【0110】
(第5段階)
化合物(ex−9)15.6g、モノメチルイタコン酸8.5gおよびDMAP0.7gを、ジクロロメタン160mlに加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、DCC11.6gのジクロロメタン溶液30mlを滴下した。滴下後、室温で16時間撹拌した。析出した沈殿物を濾別し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下でジクロロメタンを留去し、残渣をメタノールで再結晶することにより、化合物(ex−9)13.6gを得た。
【0111】
(最終段階)
化合物(ex−9)13.6gをTHF150mlおよびメタノール150mlの混合溶液に加え、窒素雰囲気下冷却しながら撹拌した。そこへ、6N塩酸水20mlを滴下した。滴下後、室温で4時間撹拌した。酢酸エチル500mlおよび水500mlを加え有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で酢酸エチルを留去し、エタノールで再結晶することにより、化合物(1−1−14)8gを得た。
得られた化合物(1−1−14)の相転移温度およびNMR分析値は以下の通りである。
相転移温度:C 138 I
1H−NMR(DMSO;δppm):13.0(s,1H),7.71(d,1H),7.48(d,2H),6.87(d,2H),6.51(s,1H),6.32(d,1H),5.74(s,1H),4.53(t,2H),4.24(t,2H),3.80(s,3H),3.35(s,2H).
【0112】
[実施例8]
化合物(1−1−4)と化合物(M−1−2)の共重合ポリマーを以下のようにして合成した。
【0113】
化合物(1−1−4)2.5g、化合物(M−1−2)2.5gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−1)4.3gを得た。
【0114】
得られたポリマーは、Mwが6400、Mw/Mnが2.3であった。
【0115】
化合物(M−1−2)は特許第4011652号公報に記載の方法に従い合成した。
【0116】
[実施例9]
化合物(1−1−11)と化合物(M−1−2)の共重合ポリマーを以下のようにして合成した。
【0117】
化合物(1−1−11)0.5g、化合物(M−1−2)4.5gおよびAIBN0.04gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−2)4.7gを得た。
【0118】
得られたポリマーは、Mwが57200、Mw/Mnが2.9であった。
【0119】
[実施例10]
化合物(1−1−7)、化合物(M−1−1)および化合物(S−5−1)の共重合ポリマーを以下のようにして合成した。
【0120】
化合物(1−1−7)2.5g、化合物(M−1−1)2.5g、化合物(S−5−1)0.2gおよびAIBN0.1gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−3)3.2gを得た。
【0121】
得られたポリマーは、Mwが22800、Mw/Mnが2.5であった。
【0122】
化合物(M−1−1)は特許第4011652号公報に記載の方法に従い合成した。
【0123】
化合物(S−5−1)は特開2002−226429号公報に記載の方法に従い合成した。
【0124】
[実施例11]
化合物(1−2−2)、化合物(M−2−1)および4-ヒドロキシブチルメタクリレートの共重合ポリマーを以下のようにして合成した。
【0125】
化合物(1−2−2)4.0g、化合物(M−2−1)1.0g、4-ヒドロキシブチルメタクリレート0.5gおよびAIBN0.6gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−4)2.8gを得た。
【0126】
得られたポリマーは、Mwが4700、Mw/Mnが3.5であった。
【0127】
[実施例12]
実施例8および実施例9と同様の手法で以下の共重合ポリマー(P−5)〜(P−10)を合成した。
【0128】
化合物(M−1−11)は特表2005−528486号公報に記載の方法に従い合成した。
化合物(M−1−12)はMakromolekulare Chemie, 1989, 190(6), 1369-77.に記載の方法に従い合成した。
【0129】
[比較例1]
化合物(M−1−2)5.0gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−11)4.2gを得た。このポリマーは、Mwが25000、Mw/Mnが2.8であった。
【0130】
[比較例2]
化合物(M−1−11)5.0gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1gをTHF40mlに加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流下撹拌した。反応液をメタノールへ注ぎ込み再沈殿化した。結晶を濾別し、乾燥することにより、ポリマー(P−12)4.0gを得た。このポリマーは、Mwが23000、Mw/Mnが2.9であった。
【0131】
[実施例13]
ポリマー(P−1)をシクロペンタノン:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)=7:3(重量比)の混合溶剤に溶解させ、固形分濃度7重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.45μmのフィルターで濾過することにより、光配向剤(H−1)を調製した。
【0132】
[実施例14]
ポリマー(P−1)をポリマー(P−2)に置き換えた以外は、実施例13と同様のスキームで光配向剤(H−2)を調製した。
【0133】
[実施例15]
ポリマー(P−1)をポリマー(P−3)に置き換えた以外は、実施例13と同様のスキームで光配向剤(H−3)を調製した。
【0134】
[実施例16]
実施例13と同様の手法でポリマー(P−1)をポリマー(P−4)〜(P−10)にそれぞれ置き換え、それぞれ光配向剤(H−4)〜(H−10)を調製した。
【0135】
[比較例3]
ポリマー(P−1)をポリマー(P−11)に置き換えた以外は、実施例13と同様のスキームで光配向剤(H−11)を調製した。
【0136】
[比較例4]
ポリマー(P−1)をポリマー(P−12)に置き換えた以外は、実施例13と同様のスキームで光配向剤(H−12)を調製した。
【0137】
[実施例17]
<液晶配向膜F−1の作製>
光配向剤(H−1)を、ガラス基板上へスピンコートにより塗布した。この時、塗布性は良好であった。この基板を80℃で3分間加熱し、混合溶剤を除去することで塗膜を形成した。超高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)より、この塗膜表面に塗布面に対して90°の方向から313nm付近の波長の直線偏光紫外線を1.0J/cm
2照射することで、光配向処理した液晶配向膜F−1を得た。
【0138】
次に、2枚の光配向膜F−1で低分子液晶JC−5100XX(チッソ社/JNC社製)を挟み、110℃のホットプレートで30秒加熱し、室温に静置した。クロスニコルにした二枚の偏光板の間に挟み水平面内で回転させると、明暗の状態になり水平配向であることを確認した。
液晶配向膜F−1を重ねるときは塗布面が液晶に接するようにし、直線偏光の向きが同じ向き(ほぼ平行)になるようにした。
【0139】
[実施例18]
光配向剤(H−1)を光配向剤(H−2)に置き換えた以外は、実施例17と同様のスキームで液晶配向膜F−2を得た。
【0140】
[実施例19]
光配向剤(H−1)を光配向剤(H−3)に置き換えた以外は、実施例17と同様のスキームで液晶配向膜F−3を得た。
【0141】
[実施例20]
光配向剤(H−1)を光配向剤(H−4)〜(H−10)にそれぞれ置き換えた以外は、実施例17と同様のスキームでそれぞれ液晶配向膜(F−4)〜(F−10)を得た。
【0142】
[実施例21]
光配向剤(H−1)を、ガラス基板上へスピンコートにより塗布した。この時、塗布性は良好であった。この基板を80℃で3分間加熱し、混合溶剤を除去することで塗膜を形成した。超高圧水銀ランプより、この塗膜表面に塗布面に対して90°の方向から313nm付近の波長の直線偏光紫外線を0.03J/cm
2照射することで、光配向処理した液晶配向膜F−1Aを得た。
【0143】
[実施例22]
光配向剤(H−1)を光配向剤(H−2)、(H−5)〜(H−10)にそれぞれ置き換えた以外は、実施例21と同様のスキームでそれぞれ液晶配向膜(F−2A)、(F−5A)〜(F−10A)を得た。
【0144】
[比較例5]
光配向剤(H−1)を光配向剤(H−11)に置き換えた以外は、実施例17と同様のスキームで液晶配向膜F−11を得た。
【0145】
[比較例6]
光配向剤(H−1)を光配向剤(H−11)に置き換えた以外は、実施例21と同様のスキームで液晶配向膜F−11Aを得た。
【0146】
[比較例7]
光配向剤(H−1)を光配向剤(H−12)に置き換えた以外は、実施例17と同様のスキームで液晶配向膜F−12を得た。
【0147】
[実施例23]
<重合性液晶組成物(1)の調製>
化合物(LC−1):化合物(LC−2)=50:50(重量比)で2つの化合物を混合した。この組成物をMIX1とする。このMIX1の全重量を基準として、重量比0.002の非イオン性のフッ素系界面活性剤(ネオス(株)製、商品名フタージェント(商標登録) FTX−218)、および重量比0.06の重合開始剤irgacure907(BASF社製、商標登録)を添加した。この組成物にシクロペンタノン:PGMEA=1:1(重量比)の混合溶剤を加えて、この混合溶剤の割合が80重量%である重合性液晶組成物(1)とした。
【0148】
上記記載の化合物(LC−1)および化合物(LC−2)の具体的製造法について説明する。化合物(LC−1)は特開2006−307150号公報に記載の方法に従い合成した。化合物(LC−2)は特開昭63−64029号公報に記載された方法に従い合成した。
【0149】
[実施例24]
<光学フィルムの形成>
実施例15で得られた液晶配向膜F−1に、重合性液晶組成物(1)をスピンコートにより塗布した。この基板を80℃で3分間加熱してから、室温で3分間冷却し、溶剤が除去された塗膜を紫外線により大気中で重合させて、液晶の配向状態を固定させた光学フィルムを得た。この光学フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ、配向欠陥はなく、均一な配向を有していることが確認できた。この光学フィルムのレタデーションを測定したところ、ホモジニアス配向であることが確認できた。
【0150】
[実施例25]
液晶配向膜F−1を液晶配向膜F−2に置き換えた以外は、実施例24と同様のスキームで光学フィルムを得た。
この光学フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ、配向欠陥はなく、均一な配向を有していることが確認できた。この光学フィルムのレタデーションを測定したところ、ホモジニアス配向であることが確認できた。
【0151】
[実施例26]
液晶配向膜F−1を液晶配向膜F−3に置き換えた以外は、実施例24と同様のスキームで光学フィルムを得た。
この光学フィルムを偏光顕微鏡で観察したところ、配向欠陥はなく、均一な配向を有していることが確認できた。この光学フィルムのレタデーションを測定したところ、ホモジニアス配向であることが確認できた。
【0152】
[実施例27]
実施例24と同様のスキームで液晶配向膜(F−3)〜(F−10)および(F−1A)、(F−2A)、(F−5A)〜(F−10A)を用いた光学フィルムを得た。これらの光学フィルムを偏光顕微鏡で観察した。これらの結果は後述する表1に示す。
【0153】
[比較例8]
実施例24と同様のスキームで液晶配向膜(F−11)、(F−11A)および(F−12)を用いた光学フィルムを得た。これらの光学フィルムを偏光顕微鏡で観察した。これらの結果は後述する表1に示す。
【0154】
表1
【0155】
実施例27および比較例5との比較により、本発明光配向膜は高感度で高い液晶配向性を有する事が分かる。
【0156】
[実施例28]
<液晶配向膜FA−1の作製>
光配向剤(H−6)を、鹸化処理TACフィルム上へスピンコートにより塗布した。この時、塗布性は良好であった。このフィルムを80℃で1分間加熱し、混合溶剤を除去することで塗膜を形成した。超高圧水銀ランプより、この塗膜表面に塗布面に対して90°の方向から313nm付近の波長の直線偏光紫外線を0.3J/cm
2照射することで、光配向処理した液晶配向膜FA−1を得た。
【0157】
[実施例29]
光配向剤(H−6)をそれぞれ光配向剤(H−7)〜(H−9)に置き換えた以外は、実施例28と同様のスキームでそれぞれ液晶配向膜(FA−2)〜(FA−4)を得た。
【0158】
[比較例9]
光配向剤(H−6)を光配向剤(H−11)に置き換えた以外は、実施例28と同様のスキームで液晶配向膜(FA−5)を得た。
【0159】
得られた光配向剤(FA−1)〜(FA−5)の粘着テープ剥離試験の評価結果を表2に示す。
【0160】
表2
【0161】
実施例28および実施例29と比較例9とを比較すると、本発明光配向膜は鹸化処理TACフィルムに対する密着性に優れている事が分かる。