【実施例】
【0098】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた各測定装置は以下のとおりである。
[
1H−NMR]
装置:Varian NMR System 400NB(400MHz)
JEOL−ECA700(700MHz)
測定溶媒:DMSO−d6
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.0ppm)
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex KF−804L+KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(以下、THF)
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
[紫外線可視分光光度計]
装置:(株)島津製作所製 SHIMADSU UV−3600
[エリプソメーター]
装置:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製 多入射角分光エリプソメーターVASE
[示差熱天秤(TG−DTA)]
装置:(株)リガク製 TG−8120
昇温速度:10℃/分
測定温度:25〜750℃
[電子顕微鏡]
装置:日本電子(株)製 電子顕微鏡S−4800
【0099】
[実施例1]高分子化合物[3]の合成
【化31】
【0100】
空気下、200mL四口フラスコに9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン[2](9.29g、0.027mol、Aldrich製)を加え、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)80mLに溶解し、オイルバスで100℃に加熱した。その後、DMAc20mLに溶解した2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](3.69g、0.02mol、東京化成工業(株)製)を加えて重合を開始した。
5分後、アニリン(3.34g、0.036mol)を加え、10分間撹拌して重合を停止した。室温まで放冷後、炭酸カリウム(15g、0.11mol)を水1,000mLに溶解した水溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、THF50mLに再溶解させ、ヘキサン540mLとエタノール60mLに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で40℃、6時間乾燥し、目的とする高分子化合物[3](以下、HB−TFA90と略す)12.4gを得た。
HB−TFA90の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図1に示す。得られたHB−TFA90は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TFA90のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは9,200、多分散度Mw/Mnは2.33であった。
【0101】
[実施例2]
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン[2](8.37g、0.024mol)、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](3.69g、0.02mol)、アニリン(5.64g、0.06mol)を用い、実施例1と同様の手法で合成を行い、分子量が実施例1と異なる高分子化合物[3](以下、HB−TFA56と略す)11.5gを得た。HB−TFA56の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図2に示す。得られたHB−TFA56は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TFA56のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは5,600、多分散度Mw/Mnは2.67であった。
【0102】
[実施例3]
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン[2](7.32g、0.021mol)、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](3.87g、0.01mol)、アニリン(5.64g、0.06mol)を用い、実施例1と同様の手法で合成を行い、分子量が実施例1と異なる高分子化合物[3](以下、HB−TFA32と略す)10.9gを得た。HB−TFA32の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図3に示す。HB−TFA32は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TFA32のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,200、多分散度Mw/Mnは2.02であった。
【0103】
[実施例4]
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン[2](6.48g、0.018mol)、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](4.06g、0.022mol)、アニリン(5.64g、0.06mol)を用い、実施例1と同様の手法で合成を行い、分子量が実施例1と異なる高分子化合物[3](以下、HB−TFA20と略す)10.8gを得た。HB−TFA20の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図4に示す。HB−TFA20は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TFA20のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,000、多分散度Mw/Mnは1.58であった。
【0104】
[
参考例
1]高分子化合物[5]の合成
【化32】
【0105】
2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンに代えて、4,6−ジクロロ−N−フェニル−1,3,5−トリアジン−2−アミン[4](6.48g、0.018mol)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン[2](6.48g、0.018mol)、アニリン(5.64g、0.06mol)を用いて合成を行い、目的とする線状高分子化合物[5](以下、L−TF39と略す)10.8gを得た。L−TF39の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図5に示す。得られたL−TF39は式(2)で表される構造単位を有する化合物である。L−TF39のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,900、多分散度Mw/Mnは1.78であった。
【0106】
<被膜形成用組成物の調製>
[実施例6]
空気下、10mLナスフラスコに、実施例1で得られたHB−TFA90 1.0000gを加え、溶媒としてシクロヘキサノン3.9950gを加えた。次いで、商品名メガファックR−30(DIC(株)製)の5質量%シクロヘキサノン溶液0.0100gを加え、溶液が均一になるまで3時間撹拌した。撹拌後、溶質は完全に溶解し、薄黄色透明溶液として、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニス(以下、HB−TFA90Vと略す)を得た。
【0107】
[実施例7]
実施例2で得られたHB−TFA56を用いた以外は、実施例6と同様にポリマーワニスを調製し、薄黄色透明溶液として、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニス(以下、HB−TFA56Vと略す)を得た。
【0108】
[実施例8]
実施例3で得られたHB−TFA32を用いた以外は、実施例6と同様にポリマーワニスを調製し、薄黄色透明溶液として、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニス(以下、HB−TFA32Vと略す)を得た。
【0109】
[実施例9]
実施例4で得られたHB−TFA20を用いた以外は、実施例6と同様にポリマーワニスを調製し、薄黄色透明溶液として、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニス(以下、HB−TFA20Vと略す)を得た。
【0110】
[
参考例
2]
参考例
1で得られたL−TF39を用いた以外は、実施例6と同様にポリマーワニスを調製し、薄黄色透明溶液として、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニス(以下、L−TF39Vと略す)を得た。
【0111】
実施例6〜
9および参考例2で得たポリマーワニスは、完全に溶質が溶解し、均一なワニスであった。また、23℃55RH%の条件で1ヶ月放置しても、溶質が析出することはなく、保存安定性が優れていた。
【0112】
<被膜の作製と屈折率>
[実施例11]
実施例6で得られたHB−TFA90Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、被膜(以下、HB−TFA90F1と略す)を得た。
【0113】
[実施例12]
実施例6で得られたHB−TFA90Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA90F2と略す)を得た。
【0114】
[実施例13]
実施例6で得られたHB−TFA90Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA90F3と略す)を得た。
【0115】
[実施例14]
実施例6で得られたHB−TFA90Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA90F4と略す)を得た。
【0116】
[実施例15]
実施例7で得られたHB−TFA56Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、被膜(以下、HB−TFA56F1と略す)を得た。
【0117】
[実施例16]
実施例7で得られたHB−TFA56Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA56F2と略す)を得た。
【0118】
[実施例17]
実施例7で得られたHB−TFA56Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA56F3と略す)を得た。
【0119】
[実施例18]
実施例7で得られたHB−TFA56Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA56F4と略す)を得た。
【0120】
[実施例19]
実施例8で得られたHB−TFA32Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、被膜(以下、HB−TFA32F1と略す)を得た。
【0121】
[実施例20]
実施例8で得られたHB−TFA32Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA32F2と略す)を得た。
【0122】
[実施例21]
実施例8で得られたHB−TFA32Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA32F3と略す)を得た。
【0123】
[実施例22]
実施例8で得られたHB−TFA32Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA32F4と略す)を得た。
【0124】
[実施例23]
実施例9で得られたHB−TFA20Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、被膜(以下、HB−TFA20F1と略す)を得た。
【0125】
[実施例24]
実施例9で得られたHB−TFA20Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA20F2と略す)を得た。
【0126】
[実施例25]
実施例9で得られたHB−TFA20Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA20F3と略す)を得た。
【0127】
[実施例26]
実施例9で得られたHB−TFA20Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TFA20F4と略す)を得た。
【0128】
[
参考例
3]
参考例
2で得られたL−TF39Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、被膜(以下、L−TF39F1と略す)を得た。
【0129】
[
参考例
4]
参考例
2で得られたL−TF39Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、被膜(以下、L−TF39F2)を得た。
【0130】
[
参考例
5]
参考例
2で得られたL−TF39Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、被膜(以下、L−TF39F3)を得た。
【0131】
[
参考例
6]
参考例
2で得られたL−TF39Vをシリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、被膜(以下、L−TF39F4)を得た。
【0132】
上記実施例11〜26
および参考例3〜5で作製した各被膜について、屈折率および膜厚を測定した。その結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
【0134】
表1の結果から、実施例11におけるHB−TFA90F1の屈折率は波長550nmで1.7250、波長633nmで1.7025であり、ポリマー単体として非常に高屈折率であることがわかった。
さらに、実施例11〜14を比較すると、大気中、300℃で5分間の焼成工程を加えても、屈折率が低下せず、熱時の屈折率の安定性が非常に高いことが証明された。また、実施例12と実施例14の膜厚を比較しても、200℃から300℃までの工程の間に514.5nmから509.8nmしか膜厚の変化がないことから、体積収縮率が極めて低いことがわかった。
実施例15〜18、実施例19〜22、実施例23〜26、
参考例
3〜6においても、焼成温度の上昇とともに、大きな屈折率の低下は確認されず、体積収縮率に関しても、低体積収縮率であることがわかった。
また、ポリマーの分子量に対する屈折率の変化は、実施例12、実施例16、実施例20および実施例24を比較すると、屈折率は波長550nmでそれぞれ1.7287、1.7300、1.7335、1.7377であり、分子量が低いポリマーが高い屈折率を発現する傾向であることがわかった。
高分岐構造を有するポリマーを用いた実施例19と直線構造を有するポリマーを用いた
参考例
3とを比較すると、屈折率は波長550nmでそれぞれ1.7277、1.7322であり、直線構造を有するポリマーが高い屈折率を発現する傾向であることがわかった。
【0135】
<被膜の作製と透過率>
[実施例31]
実施例6で得られたHB−TFA90Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、HB−TFA90F1を得た。HB−TFA90F1の透過率を測定した結果を
図6に示す。
【0136】
[実施例32]
実施例6で得られたHB−TFA90Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、HB−TFA90F2を得た。HB−TFA90F2の透過率を測定した結果を
図7に示す。
【0137】
[実施例33]
実施例6で得られたHB−TFA90Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、HB−TFA90F3を得た。HB−TFA90F3の透過率を測定した結果を
図8に示す。
【0138】
[実施例34]
実施例6で得られたHB−TFA90Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、HB−TFA90F4を得た。HB−TFA90F4の透過率を測定した結果を
図9に示す。
【0139】
[実施例35]
実施例7で得られたHB−TFA56Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、HB−TFA56F1を得た。HB−TFA56F1の透過率を測定した結果を
図10に示す。
【0140】
[実施例36]
実施例7で得られたHB−TFA56Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、HB−TFA56F2を得た。HB−TFA56F2の透過率を測定した結果を
図11に示す。
【0141】
[実施例37]
実施例7で得られたHB−TFA56Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、HB−TFA56F3を得た。HB−TFA56F3の透過率を測定した結果を
図12に示す。
【0142】
[実施例38]
実施例7で得られたHB−TFA56Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、HB−TFA56F4を得た。HB−TFA56F4の透過率を測定した結果を
図13に示す。
【0143】
[実施例39]
実施例8で得られたHB−TFA32Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、HB−TFA32F1を得た。HB−TFA32F1の透過率を測定した結果を
図14に示す。
【0144】
[実施例40]
実施例8で得られたHB−TFA32Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、HB−TFA32F2を得た。HB−TFA32F2の透過率を測定した結果を
図15に示す。
【0145】
[実施例41]
実施例8で得られたHB−TFA32Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、HB−TFA32F3を得た。HB−TFA32F3の透過率を測定した結果を
図16に示す。
【0146】
[実施例42]
実施例8で得られたHB−TFA32Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、HB−TFA32F4を得た。HB−TFA32F4の透過率を測定した結果を
図17に示す。
【0147】
[実施例43]
実施例9で得られたHB−TFA20Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、HB−TFA20F1を得た。HB−TFA20F1の透過率を測定した結果を
図18に示す。
【0148】
[実施例44]
実施例9で得られたHB−TFA20Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、HB−TFA20F2を得た。HB−TFA20F2の透過率を測定した結果を
図19に示す。
【0149】
[実施例45]
実施例9で得られたHB−TFA20Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、HB−TFA20F3を得た。HB−TFA20F3の透過率を測定した結果を
図20に示す。
【0150】
[実施例46]
実施例9で得られたHB−TFA20Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、HB−TFA20F4を得た。HB−TFA20F4の透過率を測定した結果を
図21に示す。
【0151】
[
参考例
7]
参考例
2で得られたL−TF39Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、L−TF39F1を得た。L−TF39F1の透過率を測定した結果を
図22に示す。
【0152】
[
参考例
8]
参考例
2で得られたL−TF39Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、200℃で5分間焼成し、L−TF39F2を得た。L−TF39F2の透過率を測定した結果を
図23に示す。
【0153】
[
参考例
9]
参考例
2で得られたL−TF39Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、250℃で5分間焼成し、L−TF39F3を得た。L−TF39F3の透過率を測定した結果を
図24に示す。
【0154】
[
参考例
10]
参考例
2で得られたL−TF39Vを石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで、300℃で5分間焼成し、L−TF39F4を得た。L−TF39F4の透過率を測定した結果を
図25に示す。
【0155】
実施例31〜34、実施例35〜38、実施例39〜42、実施例43〜46、および
参考例
7〜10で得られた被膜について、可視光領域である400〜800nmの透過率を比較すると、透過率は焼成温度の上昇とともに低下することなく、90%以上を保持していることがわかった。また、屈折率が高いため、透過率はハンチングしているが、これらの透過率の平均透過率をとると、95%以上となり極めて良好な透明性を発現していることがわかる。
【0156】
<耐光性試験>
耐光性試験における、光照射は財団法人日本ウエザリングテストセンターにて行い、照度が38.7W/m
2のキセノンアークランプを光源とした。
[実施例51]
実施例14で作製したHB−TFA90F4に上記の光源を用い、12.5時間、光照射した。この光照射は100万Lux相当の光照射量に換算される。100万Luxとは、屋外暴露1年間に相当することが一般的に知られている。
100万Lux照射後の被膜(以下、HB−TFA90F4Iと略す)の屈折率および膜厚を測定した結果を表2に示す。
【0157】
【表2】
【0158】
表2に示されるように、HB−TFA90F4は100万Luxの光照射で550nmおよび633nmの屈折率が若干低下するものの、膜厚は1nm程度収縮したのみで、良好な耐光性を有していることがわかった。
【0159】
[実施例52]
実施例34で作製したHB−TFA90F4について、実施例51と同様の光照射を行い、透過率を測定した。その結果を
図26に示す。
図26に示されるように、HB−TFA90F4は100万Luxの光照射で、可視光領域の透過率に変化がないことがわかった。
実施例51および実施例52の結果を総合すると、HB−TFA90F4は100万Luxの光照射に対して、屈折率、透過率、膜厚の変化がほとんどなく、良好な耐光性を有していることが証明された。
【0160】
<耐熱性試験>
[実施例53]HB−TFA90の5%重量減少測定
実施例1で得られた高分子化合物[3]3.57mgを白金パンに加え、TG−DTAにより昇温速度15℃/minで測定を行った。その結果を
図27に示す。5%重量減少は498℃であった。また、DSC測定によりガラス転移温度を測定したところ、289℃に転移点が観測された。
【0161】
[実施例54]HB−TFA56の5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例2で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は476℃であった。その結果を
図28に示す。
【0162】
[実施例55]HB−TFA32の5%重量減少測定
実施例53と同様にして実施例3で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は466℃であった。その結果を
図29に示す。
【0163】
[実施例56]HB−TFA20の5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例4で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は465℃であった。その結果を
図30に示す。
【0164】
[
参考例
11]L−TF39の5%重量減少測定
実施例53と同様にして、
参考例
1で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は465℃であった。その結果を
図31に示す。
【0165】
<埋め込み性試験>
〈埋め込み性試験用組成物の調製〉
[実施例58]
空気下、10mLナスフラスコに実施例4で得られたHB−TFA20 2.0000gを加え、溶媒としてシクロヘキサノン8.0000gを加え、ウェイブローターを用いて室温にて完全に溶解させ、HB−TFA20の20質量%シクロヘキサノン溶液を調製した。次いで、この20質量%シクロヘキサノン溶液1.0000gに、シクロヘキサノン0.7220gを加え、その後、架橋剤としてエポキシ基を含有する化合物であるエポリードGT−401(ダイセル化学工業(株)製)の10質量%シクロヘキサノン溶液0.1500g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して7.5質量部)加えた。さらに、密着促進剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)の2質量%シクロヘキサノン溶液0.1000g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して1質量部)加え、界面活性剤として、商品名メガファックR−30(DIC(株)製)の0.1質量%シクロヘキサノン溶液0.2000g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.1質量部)加え、溶液が均一になるまで3時間撹拌した。撹拌後、溶質は完全に溶解し、無色薄黄色溶液として、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニス(以下、HB−TFA20SV1と略す)を得た。
【0166】
[実施例59]
空気下、10mLナスフラスコに実施例4で得られたHB−TFA20 2.0000gを加え、溶媒としてシクロヘキサノン8.0000gを加え、ウェイブローターを用いて室温にて完全に溶解させ、HB−TFA20の20質量%シクロヘキサノン溶液を調製した。次いで、この20質量%シクロヘキサノン溶液1.0000gにシクロヘキサノン0.7220gを加え、その後、架橋剤としてブロック化イソシアナートを含有する化合物であるVESTAGON B 1065(デグザAG製)の10質量%シクロヘキサノン溶液0.1000g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して5質量部)加えた。さらに、密着促進剤として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)の2質量%シクロヘキサノン溶液0.1000g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して1質量部)加え、界面活性剤として、商品名メガファックR−30(DIC(株)製)の0.1質量%シクロヘキサノン溶液0.2000g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.1質量部)加え、溶液が均一になるまで3時間撹拌した。撹拌後、溶質は完全に溶解し、無色薄黄色溶液として、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニス(以下、HB−TFA20SV2と略す)を得た。
【0167】
[実施例60]
実施例9で調製したHB−TFA20Vを用い、埋め込み性試験を行った。埋め込み性試験に用いた構造物基板は材質がシリコンであり、深さが1.6μm、Via径が400nmである。
HB−TFA20Vを構造物基板に500nm狙いでスピンコート法にて製膜し、ホットプレートを用いて150℃で2分間、次いで、300℃で5分間の焼成を行った。
焼成後の製膜された構造物基板は、ダイアモンドペンを用いて基板の端に傷をつけた後、基板をヘキ開し、SEM観察を行った。観察した画像を
図32に示す。
図32に示されるように、HB−TFA20Vはクラックが発生しているものの。Viaのボトムにまで材料が到達していることから、埋め込み材料として使用できる可能性が示唆された。
【0168】
[実施例61]
実施例58で得られたHB−TFA20SV1を用いた以外は、実施例60と同様に埋め込み性試験を行った。観察した画像を
図33に示す。
【0169】
[実施例62]
実施例59で得られたHB−TFA20SV2を用いた以外は、実施例61と同様に埋め込み性試験を行った。観察した画像を
図34に示す。
【0170】
図32、
図33および
図34を比較すると、架橋剤および密着促進剤を添加した方が、埋め込み性が向上していることがわかる。この現象は架橋剤を添加したことで、ポリマー末端のNH
2と、エポキシまたはブロックイソシアネートとが架橋することで高分子量体となってクラック耐性が向上すること、密着促進剤を添加したことでサイドスリットが軽減すること、を示唆していると考えられる。
このように、架橋剤および密着促進剤を選択することで、架橋温度やリフロー温度をコントロールでき、表面エネルギーのコントロールができることから、種々の表面を有した埋め込み基材に対して、最適な埋め込み材料を選択することができる。
これらの埋め込み材料は、特に固体撮像素子のフォトダイオード上の平坦化材(埋め込み材)として、好適に用いることができる。
本発明の高分岐ポリマーをフォトダイオード上の平坦化材とする場合、屈折率が1.7以上と高いことから、光導波路の原理でフォトダイオードまで光を誘導できるため、現行のVia径をより小さく設定することが可能となり、高繊細な固体撮像素子を作製することが可能になる。
【0171】
[実施例63]
実施例58で得られたHB−TFA20SV1を用いた以外は、実施例14と同様に、シリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで300℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TF20SVF1)を得た。
HB−TF20SVF1の屈折率および膜厚を測定したところ、550nmにおける屈折率は1.7312、633nmにおける屈折率は1.7120、膜厚は510.5nmとなった。
【0172】
[実施例64]
実施例59で得られたHB−TFA20SV2を用いた以外は、実施例14と同様に、シリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、150℃のホットプレートで2分間の焼成を行い、次いで300℃で5分間焼成し、被膜(以下、HB−TF20SVF2)を得た。
HB−TF20SVF2の屈折率および膜厚を測定したところ、550nmにおける屈折率は1.7443、633nmにおける屈折率は1.7242、膜厚は510.5nmとなった。
【0173】
実施例63,64と実施例26とを比較すると、架橋剤および密着促進剤を添加しても屈折率の著しい低下は確認できなかった。一般的に、架橋剤および密着促進剤は低屈折率な材料であることから、本実施例の添加剤の添加範囲では高分岐ポリマーが有している屈折率を低下させることなく、高屈折率材料として用いることができることが証明された。
さらに、実施例64においては、架橋剤および密着促進剤を添加した場合、添加しない場合よりも屈折率が向上することがわかった。この現象は、高分岐ポリマー末端のアミノ基と架橋剤の反応性基とが架橋して高分子量体となり、添加剤が低屈折率化させる成分として働かず、屈折率を保持、または向上させる成分として働いていることが示唆された。
【0174】
[実施例65]
実施例1で得られたHB−TFA90を用いて硬化膜を作製した。多官能アクリレートとしてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(0.15g、新中村化学工業(株)製)、HB−TFA90(0.15g)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(9.0mg、製品名イルガキュア907、チバ・ジャパン(株)製)を加え、シクロヘキサノン(2.7g)に溶解させた。その調製した溶液をガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒、1,000rpmで30秒スピンコートし、120℃で20分加熱して溶媒を除去した。その後、UVランプにより光照射(100W 高圧水銀ランプ(セン特殊光源(株)、HL−100、照射時間:20分、光源からの距離:5cm、室温で実施))を行い、160℃で5分焼成し、HB−TFA90を混合した硬化膜を得た。
得られた硬化膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は1.7162であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図35に示す。
【0175】
[実施例66]
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(0.09g)、HB−TFA90(0.21g)を用いた以外は、実施例65と同様にして硬化膜を作製した。
得られた硬化膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は1.7336であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図36に示す。
【0176】
実施例65,66と、実施例11とを比較すると、低屈折率である多感能アクリレート系モノマーに添加した場合でも、HB−TFA90単膜に近い、高い屈折率を示すことがわかった。一般的に多官能アクリレート系モノマーとの組成物は屈折率を低下させる傾向にあるが、本発明では、著しい屈折率の低下を招くことのない高屈折率材料として用いることができることが証明された。
【0177】
[実施例67]屈折率および透過率測定
実施例1で得られたHB−TFA90 0.5gをシクロヘキサノン4.5gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて100rpmで5秒間、500rpmで30秒間スピンコートし、150℃で5分間焼成し、溶媒を除去して被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.7428であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図37に示す。
【0178】
[実施例68]高分子化合物[7]の合成
【化33】
【0179】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン[6](7.52g,0.02mol、東京化成工業(株)製)を用い、これを実施例1と同様の手法で2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](2.74g,0.015mol,東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに実施例1と同様にしてアニリン(4.29g、0.045mol)を加えて処理し、目的の高分子化合物[7](以下、HB−TFmAと略す)8.80gを得た。HB−TFmAの
1H−NMRスペクトルを
図38に示す。得られたHB−TFmAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TFmAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,800、多分散度Mw/Mnは2.09であった。なお、本実施例におけるGPC測定条件は下記のとおりである。
【0180】
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex OHpak SB−803HQ+SB−804HQ
カラム温度:40℃
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMF)
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
【0181】
[実施例69]屈折率測定
実施例68で得られたHB−TFmA1.0gを、N−メチルピロリドン9.0gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて100rpmで5秒間、800rpmで30秒間スピンコートし、250℃で5分間加熱して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.7105であった。
【0182】
[実施例70]HB−TFmAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例68で得られた高分子化合物[7]のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は489℃であった。その結果を
図39に示す。
【0183】
[実施例71]高分子化合物[9]の合成
【化34】
【0184】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えてα,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン[8](4.59g、0.013mol、東京化成工業(株)製)を用い、これを実施例1と同様の手法で2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](1.84g、0.010mol、東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに実施例1と同様にしてアニリン(2.82g、0.03mol)を加えて処理し、目的の高分子化合物[9](以下、HB−TBAと略す)5.73gを得た。得られたHB−TBAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TBAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは15,900、多分散度Mw/Mnは5.62であった。
【0185】
[実施例72]屈折率測定
実施例71で得られたHB−TBA1.0gを、シクロヘキサノン9.0gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて100rpmで5秒間、800rpmで30秒間スピンコートし、150℃で5分間加熱し、溶媒を除去して被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.6724であった。
【0186】
[実施例73]HB−TBAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例71で得られた高分子化合物[9]のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は469℃であった。その結果を
図40に示す。
【0187】
[実施例74]高分子化合物[11]の合成
【化35】
【0188】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン[10](3.57g、0.013mol、東京化成工業(株)製)を用い、これを実施例1と同様の手法で2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](1.85g、0.010mol、東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに実施例1と同様にしてアニリン(2.82g、0.03mol)を加えて処理し、目的の高分子化合物[11](以下、HB−TCAと略す)4.92gを得た。HB−TCAの
1H−NMRスペクトルを
図41に示す。得られたHB−TCAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TCAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,100、多分散度Mw/Mnは2.28であった。
【0189】
[実施例75]屈折率測定
実施例74で得られたHB−TCA1.0gを、シクロヘキサノン9.0gに溶解し、茶色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて100rpmで5秒間、800rpmで30秒間スピンコートし、150℃で5分間加熱し、溶媒を除去して被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.7047であった。
【0190】
[実施例76]HB−TCAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例74で得られた高分子化合物[11]のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は469℃であった。その結果を
図42に示す。
【0191】
[実施例77]高分子化合物[13]の合成
【化36】
【0192】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて、3,6−ジアミノカルバゾール[12](0.52g、0.0025mol、東京化成工業(株)製)を用い、これを実施例1と同様の手法で2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](0.56g、0.003mol、東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに実施例1と同様にしてアニリン(0.87g、0.009mol)を加えて処理した。再溶解をDMF(13mL)により行い、再沈殿させて目的の高分子化合物[13](以下、HB−TCzAと略す)0.87gを得た。得られたHB−TCzAの
1H−NMRスペクトルを
図43に示す。得られたHB−TCzAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。
HB−TCzAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,200、多分散度Mw/Mnは2.59であった。なお、GPC測定は、実施例68の条件にて行った。
【0193】
[実施例78]屈折率および透過率測定
実施例77で得られたHB−TCzA0.1gを、N−メチルピロリドン0.9gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスを石英基板上にスピンコーターを用いて100rpmで5秒間、1,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分間、250℃で5分間焼成し、溶媒を除去して被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.8008であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図44に示す。
【0194】
[実施例79]HB−TCzAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例77で得られた高分子化合物[13]のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は454℃であった。その結果を
図45に示す。
【0195】
[実施例80]高分子化合物[15]の合成
【化37】
【0196】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えてビス(4−アミノフェニル)スルフィド[14](11.83g、0.06mol、東京化成工業(株)製)を用い、これを実施例1と同様の手法で2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](0.56g、0.05mol、東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに実施例1と同様にしてアニリン(14.1g、0.15mol)を加えて処理し、目的の高分子化合物[15](以下、HB−TTAと略す)16.85gを得た。HB−TTAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図46に示す。得られたHB−TTAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TTAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,100、多分散度Mw/Mnは2.30であった。
【0197】
[実施例81]屈折率および透過率測定
実施例80で得られたHB−TTA1.0gをN−メチルピロリドン9.0gに溶解し、紫色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて100rpmで5秒間、1,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分間、250℃で5分間焼成して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.8008であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図47に示す。
【0198】
[実施例82]HB−TTAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例80で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は452℃であった。その結果を
図48に示す。
【0199】
[実施例83]高分子化合物[17]の合成
【化38】
【0200】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えてベンゼン−1,4−ジアミン[16](2.70g、0.024mol、東京化成工業(株)製)を用い、実施例1と同様の手法で、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](3.70g、0.02mol、東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに実施例1と同様にしてアニリン(8.46g、0.09mol)を加えて処理した。再溶解をDMF(40mL)により行い、再沈殿させて目的の高分子化合物[17](以下、HB−TDAと略す)0.87gを得た。HB−TDAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図49に示す。得られたHB−TDAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは14,900、多分散度Mw/Mnは7.34であった。なお、GPC測定は、実施例68の条件にて行った。
【0201】
[実施例84]屈折率および透過率測定
実施例83で得られたHB−TDA1.0gをN−メチルピロリドン9.0gに溶解し、薄茶色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて100rpmで5秒間、1,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分間、250℃で5分間焼成して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.8010であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図50に示す。
【0202】
[実施例85]HB−TDAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例83で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は452℃であった。その結果を
図51に示す。
【0203】
[実施例86]高分子化合物[21]の合成
【化39】
【0204】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて4,4’−ジアミノベンゾフェノン[20](0.75g、0.0034mol、東京化成工業(株)製)を用い、実施例1と同様の手法で2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](0.58 g、0.003mol、東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに実施例1と同様にしてアニリン(0.87g、0.009mol、純正化学(株)製)を加えて処理し、目的の高分子化合物[21](以下、HB−TBpAと略す)1.05gを得た。HB−TBpAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図52に示す。得られたHB−TBpAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TBpAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,200、多分散度Mw/Mnは2.15であった。
【0205】
[実施例87]屈折率および透過率測定
実施例86で得られたHB−TBpA0.3gをN−メチルピロリドン2.7gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で2分間、250℃で5分間焼成して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.8929であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図53に示す。
【0206】
[実施例88]HB−TBpAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例87で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は453℃であった。その結果を
図54に示す。
【0207】
[実施例89]高分子化合物[23]の合成
【化40】
【0208】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて4,4’−ジアミノ−N−メチルジフェニルアミン[22](3.56g、0.013mol、Macromolecules (2003), 36(9), 3115−3127に記載の方法に準じて製造)を用い、実施例1と同様の手法で2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](1.84g、0.010mol、東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに、さらに実施例1と同様にしてアニリン(2.80g、0.03mol、純正化学(株)製)を加えて処理した。再溶解をDMF(100mL)により行い、再沈殿させ目的の高分子化合物[23](以下、HB−TDMAと略す)1.77gを得た。HB−TDMAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図55に示す。得られたHB−TDMAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TDMAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは7,800、多分散度Mw/Mnは4.49であった。なお、GPC測定は、実施例68の条件にて行った。
【0209】
[実施例90]屈折率および透過率測定
実施例89で得られたHB−TDMA0.3gをN−メチルピロリドン2.7gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で2分、250℃で5分間焼成して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.8034であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図56に示す。
【0210】
[実施例91]HB−TDMAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例89で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は462℃であった。その結果を
図57に示す。
【0211】
[実施例92]低温仕込み法による高分子化合物[3]の合成
窒素雰囲気下、50mL四口フラスコに9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン[2](3.35g、0.0096mol、Aldrich製)を加え、DMAc23gに溶解し、−10℃に冷却した。その後、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](1.48g、0.008mol、東京化成工業(株)製)を温度が0℃以上にならないように少しずつ加え、その後30分間撹拌した。この反応溶液を、予め100mL四口フラスコにDMAc23gを加え、オイルバスで85℃に加熱してある槽へ、トランスファーチューブを用いて、10分間かけて滴下し、1時間撹拌して重合した。
その後、アニリン(1.46g、0.024mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液(15g、0.024mol)をイオン交換水181gとメタノール42gとの混合溶液に溶解した溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、THF43gに再溶解させ、イオン交換水215g中で再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、8時間乾燥し、目的とする高分子化合物[3](以下、HB−TFA110と略す)4.43gを得た。
HB−TFA110の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図58に示す。得られたHB−TFA110は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TFA110のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは11,000、多分散度Mw/Mnは3.30であった。
【0212】
[実施例93]屈折率および透過率測定
実施例92で得られたHB−TFA110 1.0gを、シクロヘキサノン9.0gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて500rpmで5秒間、3,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で2分間、250℃で5分間焼成して被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.738であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図59に示す。
【0213】
[実施例94]HB−TFA110の5%重量減少測定
実施例92で得られたHB−TFA110 3.47mgを白金パンに加え、TG−DTAにより昇温速度15℃/minで測定を行った。5%重量減少は496℃であった。その結果を
図60に示す。
【0214】
[実施例95]高分子化合物[25]の合成
【化41】
【0215】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて4,4′−ジアミノベンズアニリド[24](4.18g、0.0184mol、東京化成工業(株)製)を用い、これを実施例1と同様の手法で2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](2.67g、0.014mol、東京化成工業(株)製)と反応させ、さらに実施例1と同様にしてアニリン(4.00g、0.0425mol)を加えて処理した。再溶解をDMF(80mL)を用いて行い、再沈殿させて目的の高分子化合物[25](以下、HB−TAMA1と略す)6.30gを得た。
得られたHB−TAMAの
1H−NMRスペクトルを
図61に示す。得られたHB−TAMAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。
HB−TAMAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは149,000、多分散度Mw/Mnは44.0であった。なお、GPC測定は、実施例68の条件にて行った。
【0216】
[実施例96]屈折率および透過率測定
実施例95で得られたHB−TAMA1 1.0gを9.0gのN−メチルピロリドンに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒、2,000rpmで30秒スピンコートし、150℃で2分、250℃で5分焼成して溶媒を除去して被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.9387であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図62に示す。
【0217】
[実施例97]HB−TAMA1の5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例95で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は416℃であった。その結果を
図63に示す。
【0218】
[実施例98]高分子化合物[27]の合成
【化42】
【0219】
空気下、1,000mL四口フラスコにm−フェニレンジアミン[26](12.17g、0.12mol、Aldrich社製)を加え、DMAc121mLに溶解し、オイルバスで100℃に加熱した。その後、DMAc261.5mLに溶解した2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](26.15g、0.14mol、東京化成工業(株)製)を加えて重合を開始した。
50分後、アニリン(30.6g、0.3mol、純正化学(株)製)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液(30.4g)を水1,600mLおよびメタノール520mLに溶解した混合溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、THF400mL、DMF15mLに再溶解させ、イオン交換水2100mLに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、6時間乾燥し、目的とする高分子化合物[27](以下、HB−TmDA12と略す)19.94gを得た。
HB−TmDA12の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図64に示す。得られたHB−TmDA12は式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA12のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,200、多分散度Mw/Mnは1.23であった。
【0220】
[実施例99]屈折率および透過率測定
実施例98で得られたHB−TmDA12 1.0gをプロピレングリコールモノメチルエーテル9.0gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスを石英基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で2分間、250℃で5分間焼成して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.7752であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図65に示す。
【0221】
[実施例100]HB−TmDA12の5%重量減少測定
実施例98で得られた高分子化合物[27]3.57mgを白金パンに加え、TG−DTAにより昇温速度15℃/minで測定を行ったところ、5%重量減少は434℃であった。その結果を
図66に示す。
【0222】
[実施例101]異なる分子量の高分子化合物[27]の合成
実施例98と同様の手法で、m−フェニレンジアミン[26](28.94g、0.27mol、Aldrich社製)、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](36.91g、0.20mol、東京化成工業(株)製)、アニリン(56.53g、0.6mol、純正化学(株)製)を用いて合成を行い、目的の高分子化合物[27](以下、HB−TmDA45と略す)49.78gを得た。HB−TmDA45の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図67に示す。得られたHB−TmDA45は式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA45のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4,600、多分散度Mw/Mnは2.37であった。
【0223】
[実施例102]屈折率および透過率測定
実施例101で得られたHB−TmDA45 1.0gをシクロヘキサノン9.0gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で2分間、250℃で5分間焼成して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.8030であった。
また、得られた被膜の400〜800nmの透過率測定を行った。結果を
図68に示す。
【0224】
[実施例103]HB−TmDA45の5%重量減少測定
実施例100と同様にして、実施例101で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は453℃であった。その結果を
図69に示す。
【0225】
以上のとおり、式[27]で示される高分子化合物は、ポリマー単体として非常に高屈折率であることがわかる。
【0226】
[実施例104]
【化43】
【0227】
実施例98と同様の手法で、p−フェニレンジアミン[16](7.49g、0.069mol、Aldrich製)、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](18.54g、0.1mol、東京化成工業(株)製)、アニリン(28.30g、0.3mol、純正化学(株)製)を用いて合成を行った。再溶解をDMF(260mL)により行い、再沈殿させて目的の高分子化合物[17](以下、HB−TpDA23と略す)49.78gを得た。HB−TpDA23の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図70に示す。HB−TpDAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,300、多分散度Mw/Mnは1.75であった。なお、GPC測定は、下記の条件にて行った。
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex OHpak SB−803HQ+SB−804HQ
カラム温度:40℃
溶媒:DMF
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
【0228】
上記実施例98および実施例104で得られた高分子化合物について、表
3に示す各溶媒に対する溶解性を検討し、以下の基準にて評価した。なお、溶液は、10質量%高分子化合物となるように調製し、溶解性は、25℃で1時間後に目視で確認した。
○:透明な溶液となり、良好に溶解
×:沈殿物があり、不溶
【0229】
【表3】
【0230】
表3に示されるように、m−フェニレンジアミンを用いた高分子化合物は、p−フェニレンジアミンを用いた高分子化合物に比べ、有機溶媒に対する溶解性が良好であり、特に、電子デバイス分野で汎用されている、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等にも良く溶けることがわかる。
【0231】
<被膜形成用組成物の調製>
[実施例105]
空気下、10mLナスフラスコに実施例101で得られたHB−TmDA45 2.0000gを加え、溶媒としてシクロヘキサノン8.0000gを加え、ウェイブローターを用いて室温にて完全に溶解させ、HB−TmDA45の20質量%シクロヘキサノン溶液を調製した。次いで、この20質量%シクロヘキサノン溶液1.0000gにシクロヘキサノン0.9420gを加え、その後、架橋剤としてエポキシ基を含有する化合物であるエポリードGT−401(ダイセル化学工業(株)製)の10質量%シクロヘキサノン溶液0.2000g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して10.0質量部)を加えた。さらに、密着促進剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)の5質量%シクロヘキサノン溶液0.0400g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して1質量部)を加え、界面活性剤として、商品名メガファックR−30(DIC(株)製)の0.5質量%シクロヘキサノン溶液0.0400g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.1質量部)を加え、溶液が均一になるまで3時間撹拌した。撹拌後、溶質は完全に溶解し、薄黄色透明溶液として、固形分の総質量%が10質量%のポリマーワニス(以下、HB−TmDA45SV1と略す)を得た。
【0232】
<被膜の作製と透過率測定>
[実施例106]
実施例105で得られたHB−TmDA45SV1を石英基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TmDA45F1を得た。HB−TmDA45F1の透過率を測定した結果を
図71に示す。
図71に示されるように、HB−TmDA45F1は、大気下にて300℃という高温焼成にも関わらず、透過率が良好であった。具体的には、400〜800nmの可視光領域において、その平均透過率は95%以上を示し、非常に透明性が高い膜であることがわかった。
【0233】
<被膜の作製と屈折率>
[実施例107]
実施例101で得られたHB−TmDA45を用いて、実施例106と同様に、シリコン基板上にスピンコーターを用いて500nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、被膜(以下、HB−TmDA45F2)を得た。
HB−TmDA45F2の屈折率および膜厚を測定したところ、550nmにおける屈折率は1.7604、633nmにおける屈折率は1.7389、膜厚は508.2nmであった。
このように、架橋剤または密着促進剤を加えた組成物においても、屈折率は550nmで1.75を超える非常に高い屈折率を有していることがわかった。
【0234】
<溶剤耐性>
[実施例108]
実施例107で得られたHB−TmDA45F2の溶剤耐性試験を行った。HB−TmDA45F2の本焼成後の膜厚は508.2nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TmDA45F2をそれぞれ独立して、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、アセトン、乳酸エチルに完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。
初期膜厚を100%としたとき、プロピレングリコールモノメチルエーテルでは97.5%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートでは99.9%、シクロヘキサノンでは99.7%、アセトンでは99.6%、乳酸エチルでは99.3%となり、各種有機溶剤に対して溶剤耐性が良好であることがわかった。
なお、溶剤耐性試験とは、本焼成後の被膜が溶剤への接触に対して、不溶化していることを示す試験である。溶剤耐性は被膜の上にレジストなどをリコートし、パターニングする後工程が加わった際に必要になる特性であり、溶剤耐性がない場合、リコートする際のレジスト溶剤に溶解してしまい、被膜とレジストとがミキシングされてしまって、本来の特性が発現しないことがある。
【0235】
<埋め込み性試験>
[実施例109]
実施例105で調製したHB−TmDA45SV1を用い、埋め込み性試験を行った。埋め込み性試験に用いた構造物基板は材質がシリコンであり、深さが1.6μm、Via径が400nmである。
HB−TmDA45SV1を構造物基板に500nm狙いでスピンコート法にて製膜し、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行った。
焼成後の製膜された構造物基板は、ダイアモンドペンを用いて基板の端に傷をつけた後、基板をヘキ開し、SEM観察を行った。観察した画像を
図72に示す。
図72に示されるように、埋め込み性は良好であり、埋め込み材料として使用できる可能性が示唆された。
本発明の高分岐ポリマーをフォトダイオード上の平坦化材とする場合、屈折率が1.7以上と高いことから、光導波路の原理でフォトダイオードまで光を誘導できるため、現行のVia径をより小さく設定することが可能となり、高繊細な固体撮像素子を作製することが可能になる。
【0236】
[実施例110]低温仕込み法による高分子化合物[27]の合成
窒素下、200mL四口フラスコにDMAc50.41gを加え、塩化ナトリウムを加えた氷浴で−10℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](11.06g、0.06mol、Aldrich社製)を加えて溶解した。その後、DMAc41.24gに溶解したm−フェニレンジアミン[26](8.43g、0.078mol)を滴下した。滴下後、30分間撹拌し、この反応溶液を、予め300mL四口フラスコにDMAc91.65gを加えてオイルバスで110℃に加熱してある槽へ、トランスファーチューブを用いて滴下し、1時間撹拌して重合した。
その後、アニリン(1.46g、0.024mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液(36.43g)とイオン交換水731gの混合溶液中で再沈殿させた。沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で120℃、4時間乾燥後、THF95.5g、DMF35.1gおよび28%アンモニア水溶液3.64gで再溶解させ、イオン交換水1365g中で再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で120℃、8時間乾燥し、目的とする高分子化合物[3](以下、HB−TmDA30と略す)17.3gを得た。
HB−TmDA30の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図73に示す。得られたHB−TmDA30は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA30のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,000、多分散度Mw/Mnは2.99であった。
【0237】
[実施例111]HB−TmDA30の5%重量減少測定
実施例100と同様にして、実施例110で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は403℃であった。その結果を
図74に示す。
【0238】
[実施例112]アニリン同時仕込みによる高分子化合物[27]の合成
窒素下、500mL四口フラスコにDMAc300gを加え、塩化ナトリウムを加えた氷浴で−10℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](61.63g,0.33mol,Aldrich社製)を加えて溶解した。その後、DMAc300gに溶解したm−フェニレンジアミン[26](97.55g、0.90mol)とアニリン(15.71g、0.17mol)とを滴下した。滴下後、30分間撹拌し、この反応溶液を、予め2,000mL四口フラスコにDMAc895gを加えてオイルバスで110℃に加熱してある槽へ、トランスファーチューブを用いて滴下し、1時間撹拌して重合した。
室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液(229.13g)とイオン交換水4,000gの混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、THF550g、DMF50.8gおよび28%アンモニア水溶液20.2gに再溶解させ、イオン交換水4,000g中で再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で120℃、8時間乾燥し、目的とする高分子化合物[27](以下、HB−TmDA18NH2と略す)145.5gを得た。
HB−TmDA18NH2の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図75に示す。高分子化合物末端NH2由来のシグナルが5ppm付近に観測された。得られたHB−TmDA18NH2は式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA18NH2のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,200、多分散度Mw/Mnは1.91であった。
【0239】
[実施例113]HB−TmDA18NH2の5%重量減少測定
実施例100と同様にして、実施例112で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は440℃であった。その結果を
図76に示す。
【0240】
[実施例114]アニリン同時仕込みによる分子量の異なる高分子化合物[27]の合成
窒素下、200mL四口フラスコにm−フェニレンジアミン[26](3.25g、0.03 mol、Aldrich製)、アニリン(0.82g、0.0085mol)を加え、DMAc32mLに溶解し、オイルバスで100℃に加熱した。その後、DMAc31.3mLに溶解した2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](3.13g、0.017mol、東京化成工業(株)製)を加えて重合を開始した。
60分後、さらにアニリン(3.99g、0.042mol)を加え、60分間撹拌して重合を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水5.29gと純水240mLの混合水溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、THF60mLとDMF10mLに再溶解させ、純水420mLに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で120℃、8時間乾燥し、目的とする高分子化合物[27](以下、HB−TmDA25と略す)4.36gを得た。
HB−TmDA25の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図77に示す。得られたHB−TmDA25は式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA25のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,500、多分散度Mw/Mnは1.87であった。
【0241】
[実施例115]屈折率測定
実施例114で得られたHB−TmDA25 0.5gを、シクロヘキサノン4.5gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分、250℃で5分間加熱して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.7830であった。
【0242】
[実施例116]HB−TmDA25の5%重量減少測定
実施例100と同様にして、実施例114で得られた高分子化合物[27]のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は425℃であった。その結果を
図78に示す。
【0243】
[実施例117]アニリン低温同時仕込みによる高分子化合物[27]の合成
窒素下、500mL四口フラスコにDMAc223.05gを加え、アセトン−ドライアイス浴により−10℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](41.49g、0.225mol、エポニックデグザ社製)を加え溶解した。その後、DMAc148.70gに溶解したm−フェニレンジアミン[26](30.41g、0.281mol)およびアニリン(6.29g、0.068mol)を滴下した。滴下後30分撹拌し、この反応溶液を、予め1,000mL四口フラスコにDMAc304.17gを加えてオイルバスで85℃に加熱してある槽へ送液ポンプにより1時間かけて滴下し、1時間撹拌して重合した。
その後、さらにアニリン(56.58g、0.608mol)を加え、1時間撹拌して反応を終了した。室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液(136.61g)とイオン交換水4314gの混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、5時間乾燥後、THF407.5gに再溶解させ、イオン交換水2852gに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、20時間乾燥し、目的とする高分子化合物[27](以下、HB−TmDA30と略す)55.0gを得た。
HB−TmDA30の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図79に示す。得られたHB−TmDA30は式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA30のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,200、多分散度Mw/Mnは2.62であった。
【0244】
[実施例118]HB−TmDA30の5%重量減少測定
実施例100と同様にして、実施例117で得られた高分子化合物[27]のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は410℃であった。その結果を
図80に示す。
【0245】
[実施例119]アニリン同時仕込みによる高分子化合物[27]の合成(アニリンの添加割合を変えた例)
窒素下、500mL四口フラスコにm−フェニレンジアミン[26](10.81g、0.10mol、Aldrich製)、アニリン(5.40g、0.056mol)を加え、DMAc108mLに溶解し、オイルバスで100℃に加熱した。その後、DMAc104mLに溶解した2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](10.48g、0.056mol、東京化成工業(株)製)を加えて重合を開始した。
60分後、さらにアニリン(10.72g、0.114mol)を加え、60分間撹拌して重合を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水17.4gと純水800mLの混合水溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、THF200mLとDMF30mLに再溶解させ、純水1400mLに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で120℃、8時間乾燥し、目的とする高分子化合物[27](以下、HB−TmDA15と略す)16.36gを得た。
HB−TmDA15の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図81に示す。得られたHB−TmDA15は式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA15のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,500、多分散度Mw/Mnは1.47であった。
【0246】
[実施例120]屈折率測定
実施例119で得られたHB−TmDA15 0.5gを、シクロヘキサノン4.5gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分、300℃で5分間加熱して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.7830であった。
【0247】
[実施例121]アニリン低温同時仕込みによる高分子化合物[27]の合成(アニリンの添加割合を変えた例)
窒素下、1,000mL四口フラスコにDMAc456.02gを加え、アセトン−ドライアイス浴により−10℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](84.83g、0.460mol、エポニックデグザ社製)を加え溶解した。その後、DMAc304.01gに溶解したm−フェニレンジアミン[26](62.18g、0.575mol)、およびアニリン(14.57g、0.156mol)を滴下した。滴下後30分撹拌し、この反応溶液を、予め2,000mL四口フラスコにDMAc621.85gを加えてオイルバスで85℃に加熱してある槽へ送液ポンプにより1時間かけて滴下し、1時間撹拌して重合した。
その後、アニリン(113.95g、1.224mol)を加え、1時間撹拌して反応を終了した。氷浴により室温まで冷却後、トリエチルアミン(116.36g、1.15mol)を滴下し、30分撹拌して塩酸をクエンチした。その後、析出した塩酸塩をろ過除去した。ろ過した反応溶液を28%アンモニア水溶液(279.29g)とイオン交換水8,820gの混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、8時間乾燥後、THF833.1gに再溶解させ、イオン交換水6,665gに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、25時間乾燥し、目的とする高分子化合物[27](以下、HB−TmDA40と略す)118.0gを得た。
HB−TmDA40の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図82に示す。得られたHB−TmDA40は式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA40のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4,300、多分散度Mw/Mnは3.44であった。
【0248】
[実施例122]屈折率測定
実施例121で得られたHB−TmDA40 0.5gを、シクロヘキサノン4.5gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分、250℃で5分間加熱して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.790であった。
【0249】
[実施例123]HB−TmDA40の5%重量減少測定
実施例100と同様にして、実施例121で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は419℃であった。その結果を
図83に示す。
【0250】
[実施例124]2−エチルヘキシルアミン低温同時仕込みによる高分子化合物[27]の合成
2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](23.0g、0.125mol、東京化成工業(株)製)、m−フェニレンジアミン[26](48.66g、0.45mol、Aldrich製)と2−エチルヘキシルアミン(6.46g、0.05mol、東京化成工業(株)製)を加え、実施例117と同様に低温反応を行った。その後、105℃の反応槽にて重合を行った。60分後、2−エチルヘキシルアミン(37.45g、0.325mol、東京化成工業(株)製)を添加し、60分後、室温まで放冷し実施例117と同様の操作により精製を行い、目的の高分子化合物[27](以下、HB−TmEHと略す)74.24gを得た。HB−TmEHの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図84に示す。得られたHB−TmEHは式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmEHのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,500、多分散度Mw/Mnは1.59であった。
得られたHB−TmEH 0.5gを、シクロヘキサノン4.5gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分、250℃で5分間加熱して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.8153であった。
また、実施例100と同様にして、得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は469℃であった。その結果を
図85に示す。
【0251】
[実施例125]高分子化合物[29]の合成
【化44】
【0252】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて、4,4’−スルホニルジアニリン[28](7.45g、0.030moL、東京化成工業(株)製)を用い、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](4.64g、0.025mol、東京化成工業(株)製)と実施例1と同様の手法で反応させた。再溶解をDMF(120mL)により行い、再沈殿させ目的の高分子化合物[29](以下、HB−TSdAと略す)10.30gを得た。HB−TSdAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図86に示す。得られたHB−TSdAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TSdAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,200、多分散度Mw/Mnは1.64であった。
【0253】
[実施例126]HB−TSdAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例125で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は427℃であった。その結果を
図87に示す。
【0254】
[実施例127]高分子化合物[31]の合成
【化45】
【0255】
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンに代えて、4,4’−ジアミノジフェニルメタン[30](11.90g、0.06moL、東京化成工業(株)製)を用い、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](9.22g、0.05mol、東京化成工業(株)製)と実施例1と同様の手法で反応させた。再溶解をDMF(200mL)により行い、再沈殿させ目的の高分子化合物[31](以下、HB−TMAと略す)15.86gを得た。HB−TMAの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図88に示す。得られたHB−TMAは式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TMAのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは4,700、多分散度Mw/Mnは2.93であった。
【0256】
[実施例128]HB−TMAの5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例127で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は509℃であった。その結果を
図89に示す。
【0257】
[実施例129]アニリンを重合槽に入れておいた同時仕込み(低温仕込み)による高分子化合物[27]の合成
窒素下、50mL四口フラスコにDMAc20.27gを加え、アセトン−ドライアイス浴により−10℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](3.69g、0.02mol、エポニックデグザ社製)を加えて溶解した。その後、DMAc13.29gに溶解したm−フェニレンジアミン[26](2.70g、0.025mol)を滴下した。滴下後30分撹拌し、この反応溶液を、予め100mL四口フラスコにジメチルアセトアミド27.04g、およびアニリン(0.63g、0.0068mol)を加え、オイルバスで85℃に加熱してある槽へ送液ポンプにより1時間かけて滴下し、その後1時間撹拌して重合した。
その後、アニリン(4.95g、0.053mol)を加え、1時間撹拌して反応を終了した。氷浴により室温まで冷却後、トリエチルアミン(5.07g、0.05mol)を滴下し、30分撹拌して塩酸をクエンチした。その後、析出した塩酸塩をろ過除去した。ろ過した反応溶液を28%アンモニア水溶液(12.2g)とイオン交換水387gの混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、ろ物をTHF39.3gに再溶解させ、イオン交換水306gに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、25時間乾燥し、目的とする高分子化合物[27](以下、HB−TmDA40Hと略す)4.08gを得た。
HB−TmDA40Hの
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図90に示す。得られたHB−TmDA40Hは式(25)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TmDA40HのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,500、多分散度Mw/Mnは2.21であった。
【0258】
[実施例130]屈折率測定
実施例129で得られたHB−TmDA40H 0.5gを、シクロヘキサノン4.5gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分、250℃で5分間加熱して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.7884であった。
【0259】
[実施例131]HB−TmDA40Hの5%重量減少測定
実施例100と同様にして、実施例129で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は430℃であった。その結果を
図91に示す。
【0260】
[実施例132]アニリン同時仕込みによる高分子化合物[25]の合成
窒素下、100mL四口フラスコにジメチルアセトアミド20.1gに、4,4’−ジアミノベンズアニリド(6.05g、0.027mol)およびアニリン(0.67g、0.0072mol)を加え、アセトン−ドライアイス浴により−10℃まで冷却した。その後、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](3.69g、0.02mol、エポニックデグザ社製)を、予め−10℃に冷却したDMAc30.2gに溶解させた溶液を滴下した。滴下後30分撹拌し、この反応溶液を、予め200mL四口フラスコにDMAc41.19gをオイルバスで85℃に加熱してある槽へ送液ポンプにより1時間かけて滴下し、1時間撹拌して重合した。
その後、アニリン(4.96g、0.053mol)を加え、1時間撹拌して反応を終了した。氷浴により室温まで冷却後、トリエチルアミン(5.07g、0.05mol)を滴下し、30分撹拌して塩酸をクエンチした。その後、析出した塩酸塩をろ過除去した。ろ過した反応溶液を28%アンモニア水溶液(12.3g)とイオン交換水585gの混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、ろ物をTHF64.84gに再溶解させ、イオン交換水586.8gに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で150℃、25時間乾燥し、目的とする高分子化合物[25](以下、HB−TAMA40と略す)6.97gを得た。HB−TAMA40の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図92に示す。得られたHB−TAMA40は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TAMA40のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,200、多分散度Mw/Mnは2.40であった。
【0261】
[実施例133]屈折率測定
実施例132で得られたHB−TAMA40 0.5gを、NMP4.5gに溶解し、薄黄色透明溶液を得た。得られたポリマーワニスをガラス基板上にスピンコーターを用いて200rpmで5秒間、2,000rpmで30秒間スピンコートし、150℃で1分、250℃で5分間加熱して溶媒を除去し、被膜を得た。得られた被膜の屈折率を測定したところ、550nmにおける屈折率は、1.8592であった。
【0262】
[実施例134]HB−TAMA40の5%重量減少測定
実施例53と同様にして、実施例132で得られた高分子化合物のTG−DTA測定を行ったところ、5%重量減少は420℃であった。その結果を
図93に示す。
【0263】
<被膜形成用組成物の調製>
[実施例135]
実施例125で得られたHB−TSdA1.00gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、N−メチルピロリドン(NMPと略す)9.00gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、10%NMP溶液を調製した。5mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TSdAの10%NMP溶液0.50gを秤量し、次いで、架橋剤としてNK−オリゴ UA−53H(新中村化学工業(株)製)をシクロヘキサノン(CHNと略す)で希釈した20%溶液を0.0750g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30質量部)加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液0.0250g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)加え、さらに、CHN0.2353gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TSdAV1と略す)を調製した。
【0264】
[実施例136]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53HからB−882N(三井ポリウレタン(株)製)に変更した以外は、実施例135と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TSdAV2と略す)を調製した。
【0265】
[実施例137]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53Hからエポリード GT−401(ダイセル化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例135と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TSdAV3と略す)を調製した。
【0266】
[実施例138]
実施例127で得られたHB−TMA1.00gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、NMP9.00gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、10%NMP溶液を調製した。5mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TMAの10%NMP溶液0.50gを秤量し、次いで、架橋剤としてNK−オリゴ UA−53H(新中村化学工業(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.0750g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液を0.0250g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)加え、さらに、CHN0.2353gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TMAV1と略す)を調製した。
【0267】
[実施例139]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53HからB−882N(三井ポリウレタン(株)製)に変更した以外は、実施例138と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TMAV2と略す)を調製した。
【0268】
[実施例140]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53Hからエポリード GT−401(ダイセル化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例138と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TMAV3と略す)を調製した。
【0269】
[実施例141]
実施例71で得られたHB−TMdA1.00gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、NMP9.00gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、10%NMP溶液を調製した。5mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TMdAの10%NMP溶液0.50gを秤量し、次いで、架橋剤としてNK−オリゴ UA−53H(新中村化学工業(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.0750g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液を0.0250g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)加え、さらに、CHN0.2353gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TMdAV1と略す)を調製した。
【0270】
[実施例142]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53HからB−882N(三井ポリウレタン(株)製)に変更した以外は、実施例141と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0%のワニス(HB−TMdAV2と略す)を調製した。
【0271】
[実施例143]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53Hからエポリード GT−401(ダイセル化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例141と同様にワニスを調製し、固形分総量として8.0質量%のワニス(HB−TMdAV3と略す)を調製した。
【0272】
[実施例144]
実施例95で得られたHB−TAMA1.00gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、NMP9.00gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、10%NMP溶液を調製した。5mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TAMA1の10%NMP溶液0.50gを秤量し、次いで、架橋剤としてNK−オリゴ UA−53H(新中村化学工業(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.0750g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液を0.0250g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)加え、さらに、CHN0.2353gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TAMA1V1と略す)を調製した。
【0273】
[実施例145]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53HからB−882N(三井ポリウレタン(株)製)に変更した以外は、実施例144と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TAMA1V2と略す)を調製した。
【0274】
[実施例146]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53Hからエポリード GT−401(ダイセル化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例144と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TAMA1V3と略す)を調製した。
【0275】
[実施例147]
実施例132で得られたHB−TAMA40 1.00gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、NMP9.00gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、10%NMP溶液を調製した。5mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TAMA40の10%NMP溶液0.50gを秤量し、次いで、架橋剤としてNK−オリゴ UA−53H(新中村化学工業(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.0750g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液を0.0250g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)加え、さらに、CHN0.2353gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TAMA2V1と略す)を調製した。
【0276】
[実施例148]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53HからB−882N(三井ポリウレタン(株)製)に変更した以外は、実施例
147と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TAMA2V2と略す)を調製した。
【0277】
[実施例149]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53Hからエポリード GT−401(ダイセル化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例
147と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0%のワニス(HB−TAMA2V3と略す)を調製した。
【0278】
[実施例150]
実施例77で得られたHB−TCzA1.00gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、NMP9.00gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、10%NMP溶液を調製した。5mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TCzAの10%NMP溶液0.50gを秤量し、次いで、架橋剤としてNK−オリゴ UA−53H(新中村化学工業(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.0750g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液0.0250g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)を加え、さらに、CHN0.2353gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TCzAV1と略す)を調製した。
【0279】
[実施例151]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53HからB−882N(三井ポリウレタン(株)製)に変更した以外は、実施例150と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TCzAV2と略す)を調製した。
【0280】
[実施例152]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53Hからエポリード GT−401(ダイセル化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例150と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TCzAV3と略す)を調製した。
【0281】
[実施例153]
実施例83で得られたHB−TDA1.00gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、NMP9.00gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、10%NMP溶液を調製した。5mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TDAの10%NMP溶液0.50gを秤量し、次いで、架橋剤としてNK−オリゴ UA−53H(新中村化学工業(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.0750g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して30質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液0.0250g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)を加え、さらに、CHN0.2353gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TDAV1と略す)を調製した。
【0282】
[実施例154]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53HからB−882N(三井ポリウレタン(株)製)に変更した以外は、実施例
153と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TDAV2と略す)を調製した。
【0283】
[実施例155]
架橋剤をNK−オリゴ UA−53Hからエポリード GT−401(ダイセル化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例
153と同様にワニスを調製し、固形分総量8.0質量%のワニス(HB−TDAV3と略す)を調製した。
【0284】
<溶剤耐性試験>
[実施例156]
実施例135中で調製したHB−TSdAの10%NMP溶液をシリコン基板上にスピンコーターを用いて200nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TSdA−Fを得た。
得られたHB−TSdA−Fの溶剤耐性試験を行った。HB−TSdA−Fの本焼成後の膜厚は198.5nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TSdA−Fはプロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを7:3(質量比)で混合し、完全に均一としたシンナー(シンナー73と略す)に完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。
初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は2.5%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0285】
[実施例157]
実施例135で得られたHB−TSdAV1を用い、実施例156と同様に被膜(HB−TCzA−F1)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0286】
[実施例158]
実施例136で得られたHB−TSdAV2を用い、実施例156と同様に被膜(HB−TCzA−F2)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0287】
[実施例159]
実施例137で得られたHB−TSdAV3を用い、実施例156と同様に被膜(HB−TCzA−F3)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0288】
[実施例160]
実施例138中で調製したHB−TMAの10%NMP溶液をシリコン基板上にスピンコーターを用いて200nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TMA−Fを得た。
得られたHB−TMA−Fの溶剤耐性試験を行った。HB−TMA−Fの本焼成後の膜厚は202.5nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TMA−Fはシンナー73に完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。
初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は3.5%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0289】
[実施例161]
実施例138で得られたHB−TMAV1を用い、実施例160と同様に被膜(HB−TMA−F1)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0290】
[実施例162]
実施例139で得られたHB−TMAV2を用い、実施例160と同様に被膜(HB−TMA−F2)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0291】
[実施例163]
実施例140で得られたHB−TMAV3を用い、実施例160と同様に被膜(HB−TMA−F3)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0292】
[実施例164]
実施例141中で調製したHB−TMdAの10%NMP溶液をシリコン基板上にスピンコーターを用いて200nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TMdA−Fを得た。
得られたHB−TMdA−Fの溶剤耐性試験を行った。HB−TMdA−Fの本焼成後の膜厚は196.6nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TMdA−Fはシンナー73に完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。
初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は1.5%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0293】
[実施例165]
実施例141で得られたHB−TMdAV1を用い、実施例164と同様に被膜(HB−TMdA−F1)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0294】
[実施例166]
実施例142で得られたHB−TMdAV2を用い、実施例164と同様に被膜(HB−TMdA−F2)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0295】
[実施例167]
実施例143で得られたHB−TMdAV3を用い、実施例164と同様に被膜(HB−TMdA−F3)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0296】
[実施例168]
実施例144中で調製したHB−TAMA1の10%NMP溶液をシリコン基板上にスピンコーターを用いて200nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TAMA1−Fを得た。
得られたHB−TAMA1−Fの溶剤耐性試験を行った。HB−TAMA1−Fの本焼成後の膜厚は198.4nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TAMA1−Fはシンナー73に完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。
初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は5.6%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0297】
[実施例169]
実施例144で得られたHB−TAMA1V1を用い、実施例168と同様に被膜(HB−TAMA1−F1)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0298】
[実施例170]
実施例145で得られたHB−TAMA1V2を用い、実施例168と同様に被膜(HB−TAMA1−F2)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0299】
[実施例171]
実施例146で得られたHB−TAMA1V3を用い、実施例168と同様に被膜(HB−TAMA1−F3)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0300】
[実施例172]
実施例147中で調製したHB−TAMA2の10%NMP溶液をシリコン基板上にスピンコーターを用いて200nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TAMA2−Fを得た。
得られたHB−TAMA2−Fの溶剤耐性試験を行った。HB−TAMA2−Fの本焼成後の膜厚は201.5nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TAMA2−Fはシンナー73に完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。
初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は3.6%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0301】
[実施例173]
実施例147で得られたHB−TAMA2V1を用い、実施例172と同様に被膜(HB−TAMA2−F1)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0302】
[実施例174]
実施例148で得られたHB−TAMA2V2を用い、実施例172と同様に被膜(HB−TAMA2−F2)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0303】
[実施例175]
実施例149で得られたHB−TAMA2V3を用い、実施例172と同様に被膜(HB−TAMA2−F3)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0304】
[実施例176]
実施例150中で調製したHB−TCzAの10%NMP溶液をシリコン基板上にスピンコーターを用いて200nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TCzA−Fを得た。
得られたHB−TCzA−Fの溶剤耐性試験を行った。HB−TCzA−Fの本焼成後の膜厚は197.4nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TCzA−Fはシンナー73に完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。
初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は2.2%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
[実施例177]
実施例150で得られたHB−TCzAV1を用い、実施例176と同様に被膜(HB−TCzA−F1)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
[実施例178]
実施例151で得られたHB−TCzAV2を用い、実施例176と同様に被膜(HB−TCzA−F2)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
[実施例179]
実施例152で得られたHB−TCzAV3を用い、実施例176と同様に被膜(HB−TCzA−F3)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0305】
[実施例180]
実施例153中で調製したHB−TDAの10%NMP溶液をシリコン基板上にスピンコーターを用いて200nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TDA−Fを得た。
得られたHB−TDA−Fの溶剤耐性試験を行った。HB−TDA−Fの本焼成後の膜厚は200.1nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TDA−Fはシンナー73に完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した
初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は4.2%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0306】
[実施例181]
実施例153で得られたHB−TDAV1を用い、実施例180と同様に被膜(HB−TDA−F1)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0307】
[実施例182]
実施例154で得られたHB−TDAV2を用い、実施例180と同様に被膜(HB−TDA−F2)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0308】
[実施例183]
実施例155で得られたHB−TDAV3を用い、実施例180と同様に被膜(HB−TDA−F3)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0309】
なお、溶剤耐性試験とは、本焼成後の被膜が溶剤への接触に対して、不溶化しているか否かを確認する試験である。溶剤耐性は被膜の上にレジストなどをリコートし、パターニングする後工程が加わった際に必要になる特性であり、溶剤耐性がない場合、リコートする際のレジスト溶剤に溶解してしまい、被膜とレジストとがミキシングされてしまって、本来の特性が発現しないことがある。溶剤耐性は100%であることが求められ、99.5%であっても、リコートする際にミキシングされ、基板面内の膜ムラや、表面のラフネスを増加させる問題となる。
上記に示したとおり、架橋剤を加えない樹脂は製膜した後の溶剤耐性が不良であるが、架橋剤を添加し、熱をかけて樹脂の結合性基と架橋させることで溶剤耐性を発現した。溶剤耐性の付与は目的とするデバイスのプロセスによって選択されれば良いが、一般的な半導体プロセスを経る場合、溶剤耐性が100%であることは一般的に求められる要求性能である。
【0310】
[実施例184]
実施例98で得られたHB−TmDA12 1.20gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、CHN8.80gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、12%CHN溶液を調製した。10mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TmDA12の12%CHN溶液5.00gを秤量し、次いで、架橋剤としてB−882N(三井ポリウレタン(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.60g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して20質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液0.03g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)を加え、さらに、CHN0.5725gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量12.0質量%のワニス(HB−TmDA−H1と略す)を調製した。
【0311】
[実施例185]
実施例114で得られたHB−TmDA25 1.20gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、CHN8.80gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、12%CHN溶液を調製した。10mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TmDA25の12%CHN溶液5.00gを秤量し、次いで、架橋剤としてB−882N(三井ポリウレタン(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.60g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して20質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液0.03g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)を加え、さらに、CHN0.5725gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量12.0質量%のワニス(HB−TmDA−I1と略す)を調製した。
【0312】
[実施例186]
実施例95で得られたHB−TAMA1.20gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、CHN8.80gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、12%CHN溶液を調製した。10mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TAMAの12%CHN溶液5.00gを秤量し、次いで、架橋剤としてB−882N(三井ポリウレタン(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.60g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して20質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液0.03g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)を加え、さらに、CHN0.5725gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量12.0質量%のワニス(HB−TAMA−J1と略す)を調製した。
【0313】
[実施例187]
実施例132で得られたHB−TAMA40 1.20gを10mLの1つ口丸底フラスコに秤量し、CHN8.80gを加え、23℃で24時間撹拌し、完全に溶解させ、12%CHN溶液を調製した。10mLの1つ口丸底フラスコに、HB−TAMA40の12%CHN溶液5.00gを秤量し、次いで、架橋剤としてB−882N(三井ポリウレタン(株)製)をCHNで希釈した20%溶液0.60g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して20質量部)を加え、界面活性剤として、メガファック R−30(DIC(株)製)をCHNで希釈した1%溶液0.03g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.05質量部)を加え、さらに、CHN0.5725gを加えた。23℃で1時間撹拌し、溶液が均一になったのを確認し、固形分総量12.0質量%のワニス(HB−TAMA−K1と略す)を調製した。
【0314】
[実施例188]
実施例184で得たHB−TmDA−H1について、4インチのシリコン基板を用いてエッジビートリンス試験を行った。エッジビードリンスとは、基板にスピンコートで被膜を形成した後に、基板のエッジ部分の被膜をリンス液で除去する工程である。
HB−TmDA−H1を4インチのシリコン基板にポッティングし、(1)回転数:30rpm、加速度:5,000R/S、3秒(プレ回転)、(2)回転数:500rpm、加速度:5,000R/S、1秒(プレ回転)、(3)回転数:1,500rpm、加速度:5,000R/S、40秒(本回転)し、次いで連続して(4)回転数:1,000rpm、加速度:5,000R/S、30秒(エッジビードリンス)、(5)回転数:1,000rpm、加速度:5,000R/S、20秒(エッジ乾燥)し、エッジビードリンスできるかを試験した。リンス液はシンナー73を用いた。
処理後の基板について、エッジ部分を5倍の倍率で光学顕微鏡にて観察した。観察した結果を
図94に示す。
【0315】
[実施例189]
実施例185で得たHB−TmDA−I1を用いた以外は、実施例188と同様にエッジビードリンス試験を行った。処理後の基板について、エッジ部分を5倍の倍率で光学顕微鏡にて観察した。観察した結果を
図95に示す。
【0316】
[実施例190]
実施例186で得たHB−TAMA−J1を用い、リンス液にCHNを用いた以外は実施例188と同様にエッジビードリンス試験を行った。処理後の基板について、エッジ部分を5倍の倍率で光学顕微鏡にて観察した。観察した結果を
図96に示す。
【0317】
[実施例191]
実施例187で得たHB−TAMA−K1を用い、リンス液にCHNを用いた以外は実施例188と同様にエッジビードリンス試験を行った。処理後の基板はエッジ部分を5倍の倍率で光学顕微鏡にて観察した。観察した結果を
図97に示す。
【0318】
実施例188、実施例189、実施例190、実施例191を比較すると、アニリンを同時に入れて重合させたポリマーを用いている実施例189および191では、エッジビードリンスできることがわかった。この結果は、1級アミンを同時に加えて重合することでポリマーのコンフォメーションが変化し、溶解性が向上していることを示唆している。
デバイスを作製する際に、一般的にクリーントラックが用いられるが、クリーントラックはスピンコート、エッジビードリンス、バックリンス、焼成等の処理を一貫して行える装置である。この装置は基板の搬送を自動で行うが、基板を持つピンセット部分を汚染しないように、エッジビードリンスする必要がある。エッジビードリンスによって、エッジ部分の被膜を除去できないと、ピンセットが汚染され、パーティクルの原因となりデバイスの歩留まりを低下させる可能性がある。
エッジビードリンスの可否は目的とするデバイスのプロセスによって選択されれば良いが、一般的な半導体プロセスを経る場合、エッジビードリンスによって、基板エッジ部分の残膜を除去できることが一般的に求められる要求性能である。
【0319】
<架橋剤種の変更>
[実施例192]アミン末端を多く有する高分子化合物[27]の合成
窒素下、500mL四口フラスコにDMAc280mLを、塩化ナトリウムを混ぜた表浴で−10℃まで冷却し、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](43.08g、0.23mol、Aldrich社製)を加えて溶解した。その後、DMAc390gに溶解したm−フェニレンジアミン[26](75.80g、0.70mol)を滴下した。滴下後30分撹拌し、この反応溶液を、予め2,000mL四口フラスコにDMAc446gを加え、オイルバスで110℃に加熱してある槽へ、トランスファーチューブを用いて滴下し、1時間撹拌して重合した。その後、アニリン(21.73g、0.23mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水溶液(70.83g)とイオン交換水4,000gの混合溶液に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、THF600gとDMF600gに再溶解させ、イオン交換水3500gに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で120℃、8時間乾燥し、目的とする高分子化合物[27](以下、HB−TmDA20NH2と略す)70.0gを得た。
【0320】
[実施例193]架橋剤なし
空気下、10mLナスフラスコに実施例192で得られたHB−TmDA20NH2 1.0000gを加え、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEと略す)9.0000gを加え、ウェイブローターを用いて室温にて完全に溶解させ、HB−TmDA20NH2の10質量%PGME溶液を調製した。
【0321】
[実施例194]架橋剤B−882N
空気下、10mLナスフラスコに実施例192で得られたHB−TmDA20NH2 2.0000gを加え、PGME8.0000gを加え、ウェイブローターを用いて室温にて完全に溶解させ、HB−TmDA20NH2の20質量%PGME溶液を調製した。次いで、この20質量%PGME溶液1.0000gにPGME0.5083gを加え、その後、架橋剤としてブロックイソシアネート基を含有する化合物であるB−882N(三井ポリウレタン(株)製)の10質量%PGME溶液0.4000g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して20.0質量部)を加えた。さらに、界面活性剤として、商品名メガファック R−30(DIC(株)製)の1.0質量%PGME溶液0.1000g(ポリマーの固形分を100質量部としたのに対して0.5質量部)を加え、溶液が均一になるまで3時間撹拌した。撹拌後、溶質は完全に溶解し、薄黄色透明溶液として、固形分の総質量%が12質量%のポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV1と略す)を得た。
【0322】
[実施例195]架橋剤GT−401
架橋剤としてエポキシ基を含有する化合物であるエポリード GT−401(ダイセル化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV2と略す)を得た。
【0323】
[実施例196]架橋剤セロキサイド2021P
架橋剤としてエポキシ基を含有する化合物であるセロキサイド2021(ダイセル化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV3と略す)を得た。
【0324】
[実施例197]架橋剤EHPE3150
架橋剤としてエポキシ基を含有する化合物であるEHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例19
4と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV4と略す)を得た。
【0325】
[実施例198]架橋剤CYMEL303
架橋剤としてメトキシメチレン基を含有する化合物であるCYMEL(登録商標)303(日本サイテックインダストリーズ(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV5と略す)を得た。
【0326】
[実施例199]架橋剤UA−53H
架橋剤としてアクリル基を含有する化合物であるUA−53H(新中村化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV6と略す)を得た。
【0327】
[実施例200]架橋剤B−830
架橋剤としてブロックイソシアネート基を含有する化合物であるB−830(三井ポリウレタン(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV7と略す)を得た。
【0328】
[実施例201]架橋剤B−5010
架橋剤としてブロックイソシアネート基を含有する化合物であるB−5010(三井ポリウレタン(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV8と略す)を得た。
【0329】
[実施例202]架橋剤B−7075
架橋剤としてブロックイソシアネート基を含有する化合物であるB−7075(三井ポリウレタン(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV9と略す)を得た。
【0330】
[実施例203]架橋剤KAYARAD DPHA
架橋剤としてアクリル基を含有する化合物であるKAYARAD(登録商標)DPHA(日本化薬(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV10と略す)を得た。
【0331】
[実施例204]架橋剤TM−BIP−A
架橋剤としてヒドロキシメチレン基を含有する化合物であるTM−BIP−A(旭有機材工業(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV11と略す)を得た。
【0332】
[実施例205]架橋剤OXT−221
架橋剤としてオキセタン骨格を含有する化合物であるOXT−221(東亜合成(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV12と略す)を得た。
【0333】
[実施例206]架橋剤OX−SQ−H
架橋剤としてオキセタン骨格を含有する化合物であるOX−SQ−H(東亜合成(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV13と略す)を得た。
【0334】
[実施例207]架橋剤OX−SC
架橋剤としてオキセタン骨格を含有する化合物であるOX−SC(東亜合成(株)製)を用いた以外は、実施例194と同様にワニスを調製し、ポリマーワニス(以下、HB−TmDA20NH2SV14と略す)を得た。
【0335】
<耐溶剤性試験>
[実施例208]
実施例193で得たHB−TmDA20NH2の10質量%PGME溶液をシリコン基板上にスピンコーターを用いて200nm狙いでスピンコートし、大気下、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行い、基板上の被膜としてHB−TmDA20NH2−F0を得た。
得られたHB−TmDA20NH2−F0の溶剤耐性試験を行った。HB−TmDA20NH2−F0の本焼成後の膜厚は198.4nmであり、これを初期膜厚とした。HB−TmDA20NH2−F0はシンナー73に完全に浸漬させ、5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚と比較した。
初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は0.0%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0336】
[実施例209]
実施例194で得られたHB−TmDA20NH2SV1を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F1)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0337】
[実施例210]
実施例195で得られたHB−TmDA20NH2SV2を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F2)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0338】
[実施例211]
実施例196で得られたHB−TmDA20NH2SV3を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F3)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は90.5%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0339】
[実施例212]
実施例197で得られたHB−TmDA20NH2SV4を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F4)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0340】
[実施例213]
実施例198で得られたHB−TmDA20NH2SV5を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F5)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0341】
[実施例214]
実施例199で得られたHB−TmDA20NH2SV6を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F6)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0342】
[実施例215]
実施例200で得られたHB−TmDA20NH2SV7を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F7)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は99.9%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0343】
[実施例216]
実施例201で得られたHB−TmDA20NH2SV8を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F8)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は95.6%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0344】
[実施例217]
実施例202で得られたHB−TmDA20NH2SV9を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F9)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0345】
[実施例218]
実施例203で得られたHB−TmDA20NH2SV10を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F10)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0346】
[実施例219]
実施例204で得られたHB−TmDA20NH2SV11を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F11)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は100%となり、溶剤耐性が良好であることがわかった。
【0347】
[実施例220]
実施例205で得られたHB−TmDA20NH2SV12を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F12)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は12.6%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0348】
[実施例221]
実施例206で得られたHB−TmDA20NH2SV13を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F13)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は15.6%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0349】
[実施例222]
実施例207で得られたHB−TmDA20NH2SV14を用い、実施例208と同様に被膜(HB−TmDA20NH2−F14)を作製し、溶剤耐性試験を行った。初期膜厚を100%としたとき、シンナー73で浸漬後は14.5%となり、溶剤耐性が不良であることがわかった。
【0350】
実施例209〜222の結果から、架橋剤にエポキシ基、ブロックイソシアネート基、アクリル基、メトキシメチレン基、ヒドロキシメチレン基を含むことで溶剤耐性が100%となり、オキセタン骨格を有する架橋剤は溶剤耐性が不良で、架橋密度が低いことが示唆された。
これらの架橋剤の中では、300℃焼成などの高温プロセスを経る場合や、100万Lux以上の耐光性が求められる場合など、堅牢性および耐候性が必要なデバイスとして用いる際には、メトキシメチレン基およびヒドロキシメチレン基を有する架橋剤は着色し、透過率を低下させる可能性がある。これに対し、エポキシ基、ブロックイソシアネート基、アクリル基を有する架橋剤は架橋後の構造が熱および光に対して安定であり、堅牢性および耐候性が必要なデバイスとして用いる際に、被膜の透過率を劣化させないことから好ましい。
【0351】
<埋め込み性試験>
[実施例223]
実施例196で調製したHB−TmDA20NH2SV1を用い、埋め込み性試験を行った。埋め込み性試験に用いた構造物基板は材質がシリコンであり、深さが1.6μm、Via径が400nm若しくは750nmである。
HB−TmDA20NH2SV1を構造物基板に500nm狙いでスピンコート法にて製膜し、100℃のホットプレートで1分間の仮焼成を行い、次いで、大気下、300℃のホットプレートで5分間の本焼成を行った。
焼成後の製膜された構造物基板は、ダイアモンドペンを用いて基板の端に傷をつけた後、基板をヘキ開し、SEM観察を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図98に、750nmのVia部分を観察した画像を
図99に示す。
【0352】
[実施例224]
実施例195で調製したHB−TmDA20NH2SV2を用い、実施例223と同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図100に、750nmのVia部分を観察した画像を
図101に示す。
【0353】
[実施例225]
実施例196で調製したHB−TmDA20NH2SV3を用い、実施例223と同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図102に、750nmのVia部分を観察した画像を
図103に示す。
【0354】
[実施例226]
実施例197で調製したHB−TmDA20NH2SV4を用い、実施例223と同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図104に、750nmのVia部分を観察した画像を
図105に示す。
【0355】
[実施例227]
実施例198で調製したHB−TmDA20NH2SV5を用い、実施例223と同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図106に、750nmのVia部分を観察した画像を
図107に示す。
【0356】
[実施例228]
実施例199で調製したHB−TmDA20NH2SV6を用い、実施例223と同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図108に、750nmのVia部分を観察した画像を
図109に示す。
【0357】
[実施例229]
実施例200で調製したHB−TmDA20NH2SV7を用い、実施例L1Bと同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図110に、750nmのVia部分を観察した画像を
図111に示す。
【0358】
[実施例230]
実施例
201で調製したHB−TmDA20NH2SV8を用い、実施例223と同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図112に、750nmのVia部分を観察した画像を
図113に示す。
【0359】
[実施例231]
実施例
202で調製したHB−TmDA20NH2SV9を用い、実施例223と同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図114に、750nmのVia部分を観察した画像を
図115に示す。
【0360】
[実施例232]
実施例
203で調製したHB−TmDA20NH2SV10を用い、実施例223と同様に埋め込み性試験を行った。400nmのVia部分を観察した画像を
図116に、750nmのVia部分を観察した画像を
図117に示す。
【0361】
図98〜117に示されるように、埋め込み性は架橋剤の種類によって傾向があり、架橋剤としてB−5010またはB−7075を用いると、埋め込み性が不良となることがわかった。
一方、架橋剤として、B−882N、GT−401、セロキサイド2021P、EHPE3150、Cymel303、UA−53H、B−830、DPHA、TM−BIP−Aを用いることで良好な埋め込み性が発現されることがわかった。
【0362】
本発明の重合体をフォトダイオード上の平坦化材とする場合、屈折率が1.7以上と高いことから、光導波路の原理でフォトダイオードまで光を誘導できるため、現行のVia径をより小さく設定することが可能となり、高繊細な固体撮像素子を作製することが可能になる。
また、目的とするデバイスに合わせて、要求性能を選択することができ、溶剤耐性、エッジビードリンスの可否、埋め込み性をコントロールすることが可能である。特に、固体撮像素子のフォトダイオード上の埋め込み材料として機能発現するためには、溶剤耐性が100%、エッジビードリンスが可能で、埋め込み性が良好であることが求められ、本発明の組成物を用いることで、それらの要求を満たすことができる。さらに、固体撮像素子のレンズとして機能発現するためには、溶剤耐性、エッジビードリンスが可能であることが求められ、本発明の組成物を用いることで、それらの要求を満たすことができる。
【0363】
[実施例233]赤外吸収スペクトルの測定
ジアミノアリール部分を変換した本発明の重合体の赤外吸収スペクトルを測定した。具体的には、実施例95で得られた高分子化合物[25](アミド系)、実施例86で得られた高分子化合物[21](ベンゾフェノン系)、実施例77で得られた高分子化合物[13](カルバゾール系)、実施例101で得られた高分子化合物[27](m−フェニレンジアミン系)、実施例1で得られた高分子化合物[3](ビスアミノフェニルフルオレン系)について赤外吸収スペクトルを測定した。得られた結果を
図118に示し、NHピーク比と屈折率の関係を
図119に示す。
なお、測定は、重合体を60℃で6時間、真空乾燥した直後に以下の条件で測定した。
測定装置:Thermo Fisher Scientific社製Nicolet 6700 1回反射ATR法(ダイヤモンドヘッド使用)
積算回数:64回
【0364】
[実施例234]アニリン同時仕込みによる高分子化合物[17]の合成
窒素下、200mL四口フラスコにp−フェニレンジアミン[16](4.52g、0.042mol、東京化成工業(株)製)、アニリン(1.10g、0.012mol)を加え、DMAc45mLに溶解し、オイルバスで100℃に加熱した。その後、DMAc55mLに溶解した2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン[1](5.55g、0.03mol、東京化成工業(株)製)を加えて重合を開始した。
30分後、アニリン(7.33g、0.078mol)を加え、60分間撹拌して重合を停止した。室温まで放冷後、28%アンモニア水9.1gと純水400mLの混合水溶液中に再沈殿させた。沈殿物をろ過し、DMF200mLに再溶解させ、純水800mLに再沈殿した。得られた沈殿物をろ過し、減圧乾燥機で120℃、8時間乾燥し、目的とする高分子化合物[17](以下、HB−TpDA600と略す)7.58gを得た。
HB−TpDA600の
1H−NMRスペクトルの測定結果を
図120に示す。得られたHB−TpDA600は式(1)で表される構造単位を有する化合物である。HB−TpDA600のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは66,000、多分散度Mw/Mnは60.4であった。
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex OHpak SB−803HQ+SB−804HQ
カラム温度:40℃
溶媒:DMF
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
【0365】
以上に示したように、本発明の重合体は、透明性と耐熱性に優れ、高い屈折率を有し、かつ、様々な溶媒への溶解性に優れているため、液晶表示素子の保護膜、TFTアレイ平坦化膜、カラーフィルター等のオーバーコート、スペーサー材、ELディスプレイの光取り出し向上膜、撮像素子の光取り入れ向上層、LED素子における光取り向上層等に応用可能である。